JPWO2004109777A1 - 露光方法及び装置、デバイス製造方法、並びにデバイス - Google Patents

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Abstract

例えば空間周波数変調型の位相シフトレチクルを使用した場合に、その光学的近接効果による誤差であるOPE(Optical Proximity Error)特性を改善できる露光方法及び装置である。レチクル(R)上にX方向を長手方向とするパターンがY方向に所定ピッチで形成されている。レチクル(R)をX方向を長手方向とする照明視野(IAR)で照明すると共に、照明光学系中の照明開口絞り(11a)の開口部(12a)をX方向を長手方向とする長方形とすることによって、その照明視野(IAR)を照明する照明光の実効的なσ値をX方向については0.6以上とし、Y方向については0.3以下とする。露光中にレチクル(R)とウエハとを投影光学系に対してY方向に相対走査する。

Description

本発明は、例えば半導体集積回路、撮像素子、液晶ディスプレイ、又は薄膜磁気ヘッド等の各種デバイスを製造するためのリソグラフィ工程で使用される露光技術に関し、特に光学的近接効果による誤差であるOPE(Optical Proximity Error)を低減するために使用して好適なものである。更に本発明は、その露光技術を用いたデバイス製造技術及びそのデバイス製造技術で製造されるデバイスに関する。
半導体集積回路、液晶ディスプレイ等の電子デバイスの微細パターンの形成に際しては、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して描画したマスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)のパターンを、投影光学系を介して被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)上に縮小して露光転写する方法が用いられている。投影光学系の解像度は、概ね露光波長を投影光学系の開口数(NA)で割った値である。投影光学系の開口数(NA)とは、露光用の照明光束のウエハへの最大入射角の正弦(sin)にその光束の通過する媒質の屈折率を乗じたものである。
従って、半導体集積回路等の微細化に対応するために、投影露光装置の露光波長は、より短波長化されてきた。現在、露光波長はKrFエキシマーレーザの248nmが主流であるが、より短波長のArFエキシマーレーザの193nmも実用化段階に入りつつある。そして、更に短波長の波長157nmのFレーザや、波長126nmのArレーザ等の、いわゆる真空紫外域の露光光源を使用する投影露光装置の提案も行なわれている。また、短波長化のみでなく、投影光学系の大開口数化(大NA化)によっても高解像度化は可能であるので、投影光学系をより一層大NA化するための開発もなされており、現在の最先端の投影光学系のNAは、0.8程度である。
一方、同一の露光波長、同一NAの投影光学系を使用しながら、転写されるパターンの解像度を向上する技術として、いわゆる位相シフトレチクルを用いる方法や、照明光束のレチクルへの入射角度分布を所定分布に制御する輪帯照明(例えば日本国特開昭61−91662号公報参照)、2極照明、及び4極照明(例えば日本国特開平4−101148号公報、日本国特開平4−225357号公報参照)などのいわゆる超解像技術も実用化されている。位相シフトレチクル中で、特に空間周波数変調型位相シフトレチクルは、転写するパターンのパターン間隔(ピッチ)の縮小とパターン線幅の縮小との双方に極めて効果的であり、特に微小な線幅のパターンを必要とするCPU(中央演算処理装置)などの高速デバイスを製造する際に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、投影光学系の大NA化は、視野(露光視野)が小さい光学系程実現が容易である。但し、投影露光装置としては露光フィールド(1回の露光動作で転写できる領域)が大きい程、処理能力(スループット)が向上する。そこで、小視野ではあるが大NAの投影光学系を用いて、なおかつ実質的に大きな露光フィールドを得るために、露光中に、マスクとウエハとを、その結像関係を維持したまま相対走査する走査型露光装置(スキャニング・ステッパー等)が最近の主流となっている。
走査型露光装置に使用される投影光学系は、一般的に一方向に長く、それと直交する方向に短かい長方形状の良像範囲(露光視野)を有する。このような光学系には、反射光学系が使用される場合もあるが、露光波長が193nm(ArFエキシマーレーザ)程度までは、屈折光学系を使用することが一般的である。この場合、上記長方形状の露光視野は、円形のレンズの組み合わせからなる屈折光学系の本来の良像範囲である円形から、その円の中心を通る直径を対角線として、且つその円に内接する長方形とするのが一般的である。その理由は、このような長方形の視野が、視野の長辺の長さを最大にでき、最も効率が良いからである。この場合、視野の短辺の長さは減少するが、視野の短辺方向に上記相対走査を行なうことで、この方向についての露光フィールドを実質的に拡大することができる。従って、走査型露光装置では、1回の走査露光でウエハ上に露光できる露光フィールドの大きさは上記視野の長辺の長さと走査距離との積となり、より小型の投影光学系を使用しても大面積の露光フィールドを露光することが可能となる。
日本国特許第1441789号公報
上記の如く、位相シフトレチクルの使用は、解像度の向上に極めて効果的であるが、その性能を十分に発揮するためには、空間的コヒーレンスの高い照明光を使用する必要がある。空間的コヒーレンスとは、異なる2点間の照明光が有する可干渉性の程度であり、照明光の入射角度範囲が小さい程空間的コヒーレンスは高まる。従って、位相シフトレチクルの使用時には、照明光のコヒーレンスファクタであるいわゆるσ値(レチクルを照明する照明光のNA(NAI)を、投影光学系のレチクル側のNA(NAR)で割った値)を、現状も0.3程度以下とする必要がある。そして、将来的には半導体集積回路等の一層の微細化に対応するために、更に解像度を向上しつつ、一方で必要な焦点深度を確保するために、σ値が0.15程度の照明光での照明が必要になると言われている。
しかしながら、このような小σ値、即ち高コヒーレンスの照明光を使用すると、所定のパターンに照射される照明光と、その近傍に照射される照明光との可干渉性が極めて強くなる。その結果、光学的近接効果による誤差であるOPE(Optical Proximity Error)と呼ばれる問題が生じる。これは、所定パターンの近傍での他のパターンの有無により、その所定パターンの転写像の強度が変動し、その結果として転写線幅が変化してしまう現象である。
パターン相互間での線幅の変動は、例えばLSIの高速動作性能に大きい悪影響を与えるため、高速動作が要求されるLSIでは許容できない問題となる。そこで、露光波長、投影光学系のNA、照明条件(σ値等)等の光学条件とパターンのレイアウトとから、発生するOPEを光学シミュレーションを用いて見積もり、その見積もられた誤差をレチクル上のパターンの線幅自体を増減して補正する方法であるOPC(Optical Proximity Correction)も実用化されている。
OPCによる補正に際し考慮すべきパターンの範囲は、レチクル上に照射される照明光が可干渉性を有する範囲となる。使用する照明光のσ値が現状の0.3程度であれば、その範囲は、半径が0.61×露光波長/(NAR×0.3)程度の領域である。これに対して、照明光のσ値が0.15になると、その範囲は、半径が0.61×露光波長/(NAR×0.15)程度の領域に増大する。その結果、考慮すべきパターンエリアの面積は4倍になり、またOPEは量的にも増大するため、OPCによる補正量も増大する。そのため、OPCによる補正に際しての光学シミュレーションに必要な時間の増大や、補正コストの増大を招き、レチクルコストの増大を招くという問題がある。
また、照明光のσ値が0.15程度に小さくなると、所定ピッチを有するパターンに対しては、空間周波数変調型位相シフトレチクルを使用しても、十分な焦点深度が得られなくなるという問題も生じる。このため、LSI中の電子回路の設計に際して、パターンが上記所定ピッチで配列されることを防止する設計ルールを規定するなどの対策が必要となる。これは、LSIの集積度を実質的に低下させるものであり、また、回路設計を複雑にし、回路設計時間の増大と設計コストの増大とを招く。
本発明は、このような課題に対して鑑みてなされたものであり、光学的近接効果による誤差(OPE特性)を改善できる露光技術を提供することを第1の目的とする。
更に本発明は、例えば空間周波数変調型の位相シフトレチクルを使用した場合に、そのOPE特性を改善し、且つ所定ピッチを有するパターンでの焦点深度の低下を防止できる露光技術を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、上記露光技術を用いて、高性能な電子デバイスを安価に製造できるデバイス製造技術、及びそのデバイス製造技術で製造できるデバイスを提供することをも目的とする。
本発明による第1の露光方法は、マスク(R)のパターンを照明光で照明し、そのパターンの像を投影光学系(23)を介して基板(W)上に投影する露光方法であって、そのマスクのパターンの少なくとも一部は、第1方向に長手方向を有するパターン(LC,LL1,LR1)であると共に、その第1方向におけるそのマスクに対するその照明光の入射角度範囲を、その第1方向と直交する第2方向におけるそのマスクに対するその照明光の入射角度範囲に比べて広くするものである。
斯かる本発明によれば、そのマスク上のその第1方向に長手方向を有するパターン(転写用パターン)を通過した結像光束は、その投影光学系の瞳面上でその第1方向にその第2方向よりも拡がった領域に分布する。また、その瞳面上の領域では光軸近傍の方が周辺よりもその第2方向に対する開口数が実質的に大きくなる。従って、その基板上に形成される像は、実質的に互いに異なる開口数による光学像がインコヒーレントに加算(強度的に加算)されたものとなる。従って、平均化効果により基板上での像の空間的コヒーレンシーが低減し、転写線幅のピッチの変化に伴う変動が低減し、光学的近接効果による誤差であるOPE(Optical Proximity Error)特性が改善される。
本発明において、そのマスクに対するその照明光の入射角度範囲を、その第1方向における実効的なσ値と、その第2方向における実効的なσ値とを異ならせるように設定してもよい。このとき、そのマスクに対するその照明光の入射角度範囲を、その第1方向については実効的なσ値を0.6以上とし、その第2方向については実効的なσ値を0.3以下で0より大きくすることが望ましい。
この場合、その照明光のそのマスク上の所定方向についての実効的なσ値とは、その照明光のそのマスクへのその所定方向における入射角度の最大値の正弦(sin)に媒質の屈折率を乗じて得られる値を、その投影露光装置のそのマスク側のその所定方向における開口数で割って得られる値を言う。従って、その照明光の実効的なσ値がその第1方向においてその第2方向よりも大きくなると、マスクの上下の媒質の屈折率が実質的に等しい場合には、その第1方向における入射角度範囲がその第2方向の入射角度範囲よりも広くなる。また、その第2方向の実効的なσ値を0.3以下とすることで、その第2方向に対していわゆる小σ照明と同様の原理で高解像度が得られる。
また、本発明において、そのマスクに対するその照明光の入射角度範囲を、その第1方向については実効的なσ値を0.7以上とし、その第1方向と直交する第2方向については実効的なσ値を0.2以下とすることが望ましい。これによって、解像度が更に向上すると共に、OPE特性が更に改善される。
本発明において、そのマスクのパターンの少なくとも一部は、その第1方向に長手方向を有する空間周波数変調型位相シフトパターンであることが望ましい。これによって、そのOPE特性が改善されると共に、所定ピッチを有するパターンでの焦点深度の低下を防止できる。
本発明において、一例として所定の強度分布調整部材(11)によってそのマスクに対するその照明光の入射角度範囲が調整される。
また、その強度分布調整部材は、一例としてそのマスクをその照明光で照明する照明光学系(50)の瞳面上又はこの近傍に配置されて、長方形状又は楕円状の開口(12)が設けられた照明系開口絞り(11)である。その照明開口絞りの開口の形状を設定するのみで、容易にその第1方向及び第2方向における照明光の入射角度範囲、又は実効的なσ値を所望の状態にすることができる。
また、その照明光の偏光状態を、その電場方向がその第1方向と一致する直線偏光を主成分とする状態にすることが望ましい。これによって、結像性能が更に向上する。
また、そのマスクに対するその照明光のその第1方向の入射角度に対する強度分布を、入射角度範囲の両端部で強く、入射角度範囲の中間部で弱くしてもよい。これによって、OPE特性が更に改善される場合がある。
この場合、その入射角度範囲の両端部での強度分布が、その入射角度範囲の中間部での強度分布の、1.5倍から3倍であることが望ましい。
また、その第1方向(X方向)に長辺を有する長方形状視野の投影光学系(23)、及びその第1方向に長辺を有する長方形状の照明視野(IAR)の照明光学系(50)を使用し、そのマスク及びその基板を、その投影光学系を介しての結像関係を保ったまま、その第2方向(Y方向)に相対走査しつつ露光を行なうことが望ましい。これによって、その第1方向に長手方向を有するパターンは、その長方形状視野の投影光学系によってそのまま投影されると共に、その第2方向にその照明視野よりも拡がったパターンは、走査露光によって基板上に投影される。
また、本発明の第2の露光方法は、マスクのパターンを照明光で照明し、そのパターンの像を投影光学系(23)を介して基板(W)上に投影する露光方法であって、その基板の露光を、本発明の第1の露光方法を用いる第1露光と、それ以外の露光方法を用いる第2露光との多重露光により行なうものである。
本発明によれば、種々のパターンをそれぞれ高解像度で基板上に転写することができる。
また、本発明による露光装置は、照明光でマスク(R)を照明する照明光学系(50)と、そのマスクのパターンの像を基板(W)上に投影する投影光学系(23)とを有する露光装置であって、そのマスク上の第1方向におけるそのマスクに対するその照明光の入射角度範囲が、その第1方向と直交する第2方向におけるそのマスクに対するその照明光の入射角度範囲よりも広いものである。
斯かる本発明によれば、例えばそのマスク上にその第1方向に長手方向を有するパターンが形成されている場合に、そのパターンの像のOPE特性が改善される。更に、そのマスク上にその第1方向に長手方向を有する空間周波数変調型位相シフトパターンが形成されている場合に、そのOPE特性が改善されると共に、所定ピッチを有するパターンでの焦点深度の低下を防止できる。
本発明においても、そのマスクに対するその照明光の入射角度範囲を、その第1方向における実効的なσ値と、その第2方向における実効的なσ値とを異ならせるように設定してもよい。このとき、そのマスクに対するその照明光の入射角度範囲を、その第1方向については実効的なσ値を0.6以上とし、その第2方向については実効的なσ値を0.3以下で0より大きくすることが望ましい。
これによって、その第1方向における入射角度範囲がその第2方向よりも広くなる。また、その第2方向の実効的なσ値を0.3以下とすることで、小σ照明と同様に高解像度が得られる。
この場合、そのマスクに対するその照明光の入射角度範囲は、その第1方向については実効的なσ値が0.7以上であり、その第2方向については実効的なσ値が0.2以下であることが望ましい。これによって、更に高い解像度が得られ、OPE特性もより改善される。
また、そのマスクに対するその照明光の入射角度範囲を調整するための強度分布調整部材(11)を有することが望ましい。
また、その強度分布調整部材は、一例としてその照明光学系(50)の瞳面上又はこの近傍に配置されて、長方形状又は楕円状の開口(12)が設けられた照明系開口絞り(11)である。照明系開口絞りによって、容易にその照明光の入射角度範囲又は実効的なσ値を直交する2方向で所望の状態に設定できる。
また、その照明光学系は、その照明光の偏光状態を、その電場方向がその第1方向と一致する直線偏光を主成分とせしめる偏光制御部材(4)を有することが望ましい。これによって結像性能が更に向上する。
また、そのマスクに対するその照明光のその第1方向の入射角度に対する強度分布が、入射角度範囲の両端部で強く、入射角度範囲の中間部で弱くなっていることが望ましい。これによってOPE特性が更に改善される場合がある。
この場合、その入射角度範囲の両端部での強度分布は、その入射角度範囲の中間部での強度分布の、1.5倍から3倍であることが望ましい。
また、その照明光学系は、その照明光の入射角度範囲をその入射角度範囲のその条件内で可変とする、第1の照明条件可変機構(10,11)を有することが望ましい。
また、その照明光学系は、その照明光の入射角度範囲を、更にその入射角度範囲外とする第2の照明条件可変機構(10,11)を有することが望ましい。
この場合、その第2の照明条件可変機構が設定する照明条件は、輪帯照明、2極照明、又は4極照明を含むことが望ましい。
また、そのマスク及びその基板を、その投影光学系を介した結像関係を保ったまま相対走査するステージ機構(19,20,24,27)を有すると共に、その相対走査の方向が、その第2方向と一致することが望ましい。
また、その投影光学系の露光視野が、その第1方向に長辺を有する長方形状であることが望ましい。また、その照明光学系の照明視野が、その第1方向に長辺を有する長方形状であることが望ましい。これによって、その第1方向に長手方向を有するパターンは、その投影光学系によってそのまま投影される。
また、本発明によるデバイス製造方法は、本発明の露光方法を使用してデバイスのパターンを基板上に転写する工程を有するものである。本発明の適用によって、デバイスを高精度に量産できる。
また、本発明のデバイスは、本発明のデバイス製造方法により製造されたデバイスである。本発明によって、微細なライン・アンド・スペースパターンを有するデバイスを高精度に製造できる。
本発明によれば、照明光の入射角度範囲又は実効的なσ値を直交する2方向で所定の異なる条件に設定しているため、光学的近接効果による誤差であるOPE特性を改善して露光を行うことができる。
また、本発明によれば、空間周波数変調型の位相シフトレチクルを使用した場合に、そのOPE特性を改善し、且つ所定ピッチを有するパターンでの焦点深度の低下を防止することができる。
[図1]図1は、本発明の実施形態の一例の投影露光装置の概略構成を示す一部を切り欠いた図である。
[図2]図2は、図1の照明開口絞り11からレチクルRまでの光学系を簡略化して示す斜視図である。
[図3]図3(A)は図2の照明開口絞り11aを示す平面図、図3(B)は図2の光学系を簡略化してY方向に見た図、図3(C)は図2の光学系を簡略化してX方向に見た図である。
[図4]図4(A)は本例の投影露光装置で露光するのに好適なパターンが描画されたレチクルを示す平面図、図4(B)は投影露光装置で露光した場合に視野の両端部で投影光学系の収差の影響を受けやすいパターンが描画されたレチクルを示す平面図である。
[図5]図5(A)は空間周波数変調型の位相シフトレチクルの一例を示す平面図、図5(B)は図5(A)のAA’線に沿う部分に対応する像の強度分布の一例を示す図である。
[図6]図6(A)は図3(A)の照明開口絞り11aを示す平面図、図6(B)は照明開口絞り11a内の開口部12aの一様な光量分布を示す図、図6(C)はその開口部12aの中心部よりも周辺部で光量が大きくなる光量分布を示す図である。
[図7]図7は、本発明の実施形態の一例において、σx=0.85,σy=0.15の照明条件の使用を想定した光学シミュレーションによって、パターンピッチPTに対して転写線幅PW及びDOF(焦点深度)を計算した結果の一例を示す図である。
[図8]図8は、図7の例と同じσ値の条件で、かつ開口部の光量分布として図6(C)の分布を使用した場合の光学シミュレーションによって、パターンピッチPTに対して転写線幅PW及びDOF(焦点深度)を計算した結果の一例を示す図である。
[図9]図9(A)は図3(A)の照明開口絞り11aを示す平面図、図9(B)はレチクルRのパターンの一例を示す平面図、図9(C)は投影光学系23の瞳面PPを示す図である。
[図10]図10は、従来の通常の照明(σ=0.15)の使用を想定した光学シミュレーションによって、パターンピッチPTに対して転写線幅PW及びDOF(焦点深度)を計算した結果の一例を示す図である。
[図11]図11は、従来の通常の照明(σ=0.30)の使用を想定した光学シミュレーションによって、パターンピッチPTに対して転写線幅PW及びDOF(焦点深度)を計算した結果の一例を示す図である。
[図12]図12(A)は本発明の実施形態の効果を説明するために使用するレチクルパターンを示す図、図12(B)は図12(A)のパターンの転写によって形成されるレジストパターンを示す図である。
[図13]図13(A)及び図13(B)は、従来のσ=0.15の通常の照明方法を用いて、それぞれベストフォーカス位置及び50nmデフォーカスした位置で露光した場合の図12(B)のレジストパターンの線幅とX方向の位置との関係を示す図である。
[図14]図14(A)及び図14(B)は、従来のσ=0.30の通常の照明方法を用いて、それぞれベストフォーカス位置及び50nmデフォーカスした位置で露光した場合の図12(B)のレジストパターンの線幅とX方向の位置との関係を示す図である。
[図15]図15(A)及び図15(B)は、本発明の照明条件の一例としてσx=0.85、σy=0.15を採用して、それぞれベストフォーカス位置及び50nmデフォーカスした位置で露光した場合の図12(B)のレジストパターンの線幅とX方向の位置との関係を示す図である。
[図16]図16は、本発明の実施形態の投影露光装置を用いて半導体デバイスを製造するためのリソグラフィ工程の一例を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態の一例につき図面を参照して説明する。本例は、ステップ・アンド・スキャン方式よりなる走査露光型の投影露光装置(走査型露光装置)で露光を行う場合に本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影露光装置を示す一部を切り欠いた図であり、この図1において、露光光源1として例えばKrF(波長247nm)又はArF(波長193nm)などのエキシマーレーザ光源が使用されている。なお、露光光源としては、F(フッ素分子)レーザ光源(波長157nm)、Krレーザ光源(波長146nm)、Arレーザ光源(波長126nm)、YAGレーザの高調波発生光源、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波発生装置、又は輝線ランプなども使用することができる。
露光時に露光光源1から射出された露光ビームとしての露光用の照明光(露光光)ILは、光軸AX1に沿ってリレーレンズ2,3を経て偏光制御部材4に入射する。偏光制御部材4の詳細は後述する。偏光制御部材4を発した照明光ILは、オプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ又はホモジナイザ)としての第1の照度均一化部材5に入射する。本例では照度均一化部材5として例えばフライアイレンズ(フライアイ・インテグレータ)を使用するが、その代わりに内面反射型インテグレータ(例えばいわゆるガラスロッド)又は回折格子などの回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)等も使用することができる。第1の照度均一化部材5を射出した照明光ILは、リレーレンズ6を介して光路折り曲げ用のミラー7に至る。ミラー7で反射された照明光ILは、光軸AX2に沿ってリレーレンズ8を経て、オプティカル・インテグレータとしての第2の照度均一化部材9に入射する。照度均一化部材9として、本例ではフライアイレンズが使用されているが、この代わりにも、内面反射型インテグレータ又は回折光学素子(DOE)等を使用することができる。
第2の照度均一化部材9の射出側の面(射出側焦点面)には、照明開口絞り(いわゆるσ絞り)の開口の形状を種々に切り替えるための照明開口絞り11が、回転自在に配置されている。強度分布調整部材としての照明開口絞り11には、光学的近接効果による誤差を低減するための開口部12(詳細後述)の他に、半径が可変な円形絞り(虹彩絞り)、及び輪帯形状の絞りや複数の開口部を有する変形照明(2極照明及び4極照明等)用の絞り等からなる開口部13が配置されている。そして、装置全体の動作を統轄制御する主制御系51の制御のもとで、例えばターレット式の交換機構10により照明開口絞り11を駆動することで、それらのうちの任意の開口部(σ絞り)を照度均一化部材9の射出側の面に配置できるように構成されている。図1の状態では、照度均一化部材9の射出側の面には開口部12が配置されている。照明開口絞り11及び交換機構10が、本発明の第1及び第2の照明条件可変機構に対応している。
開口部12を射出した照明光ILは、光軸AX2に沿ってリレーレンズ14、照明視野絞り15、及びコンデンサーレンズ16を経て、光路折り曲げ用のミラー17に入射する。ミラー17で反射された照明光ILは、光軸AX3に沿ってコンデンサーレンズ18を経て、マスクとしてのレチクルRのパターン面(下面)の長方形状の照明視野IARを均一な照度分布で照明する。本例では、リレーレンズ2,3、偏光制御部材4、第1の照度均一化部材5、リレーレンズ6,8、ミラー7,17、第2の照度均一化部材9、開口部12(又は他の絞り)、リレーレンズ14、照明視野絞り15、及びコンデンサーレンズ16,18より照明光学系50が構成されている。
なお、光路折り曲げ用のミラー7,17は、光学性能的に必須のものではないが、照明光学系50の光軸AX1,AX2,AX3を一直線上に配置すると投影露光装置の全高が増大するために、省スペース化を目的として照明光学系50内の適所に配置してあるものである。照明光学系50の光軸AX1は、ミラー7で折り曲げられて光軸AX2となり、光軸AX2はミラー17で折り曲げられて光軸AX3となる。また、本例の投影露光装置は走査露光型であるため、照明視野絞り15は、レチクルR上の照明視野IARの形状を規定する固定視野絞りである。実際には、その他に各走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光が行われないように、その照明視野IARを走査方向に次第に開閉するための可動視野絞り(不図示)も配置されている。後者の可動視野絞りは、照明視野IARを走査方向に直交する非走査方向に制限するためにも使用される。
照明光ILのもとで、レチクルRの照明視野IAR内のパターンは、例えば両側テレセントリックの投影光学系23を介して投影倍率β(βは1/4,1/5等)で、被露光基板(基板)としてのフォトレジストが塗布されたウエハW上の一つのショット領域上の露光領域に縮小投影される。露光領域は、照明視野IARと共役なウエハWの走査方向に直交する非走査方向に細長い形状である。レチクルR及びウエハWはそれぞれ第1物体及び第2物体ともみなすことができる。ウエハWは、例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の直径が200〜300mm程度の円板状の基板である。本例の投影光学系23は、例えば屈折光学系である。以下、図1において、投影光学系23の光軸AX4に平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面(XY平面)内で走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向に沿ってY軸を取り、非走査方向に沿ってX軸を取って説明する。本例ではXY平面はほぼ水平面となっている。また、投影光学系23の光軸AX4は、レチクルR上で照明光学系50の光軸AX3と合致している。
先ず、露光転写すべきパターンの形成されたレチクルRはレチクルステージ20上に吸着保持され、レチクルステージ20はレチクルベース19上でY方向に一定速度で移動すると共に、同期誤差を補正するようにX方向、Y方向、Z軸の回りの回転方向に微動して、レチクルRの走査を行う。レチクルステージ20のX方向、Y方向の位置、及び回転角は、この上に設けられた移動鏡21及びレーザ干渉計22によって計測されている。この計測値及び主制御系51からの制御情報に基づいて、レチクルステージ駆動系52はリニアモータ等の駆動機構(不図示)を介してレチクルステージ20の位置及び速度を制御する。レチクルRの周辺部の上方には、レチクルアライメント用のレチクルアライメント顕微鏡(不図示)が配置されている。
一方、ウエハWは、ウエハホルダ(不図示)を介してウエハステージ24上に吸着保持され、ウエハステージ24は、ウエハベース27上にY方向に一定速度で移動できると共に、X方向、Y方向にステップ移動できるように載置されている。また、ウエハステージ24には、不図示のオートフォーカスセンサの計測値に基づいて、ウエハWの表面を投影光学系PLの像面に合わせ込むためのZレベリング機構も組み込まれている。ウエハステージ24のX方向、Y方向の位置、及び回転角は、この上に設けられた移動鏡25及びレーザ干渉計26によって計測されている。この計測値及び主制御系51からの制御情報に基づいて、ウエハステージ駆動系53はリニアモータ等の駆動機構(不図示)を介してウエハステージ24の位置及び速度を制御する。
レチクルステージ20、レチクルベース19、ウエハステージ24、ウエハベース27、及び不図示のリニアモータ等の駆動機構が本発明のステージ機構に対応している。また、投影光学系23の近傍には、ウエハアライメントのために、ウエハW上のアライメントマークの位置を検出するオフ・アクシス方式で例えばFIA(Field Image Alignment)方式のアライメントセンサ28が配置されている。FIA方式のアライメントセンサについては、例えば日本国特開平7−183186号公報に開示されている。
本例の投影露光装置の走査露光時には、レチクルR上の照明視野IARに照明光ILを照射した状態で、レチクルステージ20及びウエハステージ24を駆動して、レチクルRとウエハW上の一つのショット領域とをY方向に同期走査する動作と、照明光ILの発光を停止して、ウエハステージ24を駆動してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作とが繰り返される。その同期走査時のウエハステージ24とレチクルステージ20との走査速度の比は、投影光学系23を介してのレチクルRとウエハWとの結像関係を保つために、投影光学系23の投影倍率β(例えば1/4、1/5等の縮小倍率)と等しい。これらの動作によって、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の全部のショット領域にレチクルRのパターン像が露光転写される。
次に、本例の照明条件につき詳細に説明する。先ず、図2及び図3を参照して、図1の照明開口絞り11(開口部12)、照明視野絞り15、及びレチクルRの間の関係について説明する。
図2は、図1に示した投影露光装置の照明光学系50のうち、照明開口絞り11からレチクルRに至るまでの部材を示す拡大図である。但し、説明の便宜上、図1中の光路折り曲げ用のミラー17は省略し、これにより図1の照明光学系50の光軸AX2は光軸AX3と一致し、且つ共にZ軸に平行になるものとした。また、説明の便宜上、図1の照明開口絞り11、開口部12、リレーレンズ14,照明視野絞り15、及びコンデンサーレンズ16,18を、図2ではそれぞれ照明開口絞り11a、開口部12a、リレーレンズ14a,照明視野絞り15a、及びコンデンサーレンズ16a,18aと符号に文字aを付加して呼んでいる。図1の部材とそれに対応する図2の部材(及び図3以降の部材)との構成及び機能は同一である。
図2において、本例の投影露光装置は、走査露光時にレチクルRがY方向に走査されるものであるから、図1の投影光学系23の視野、即ちレチクルR上の照明視野IARは、X方向(非走査方向)に長辺を有する長方形であることが望ましい。従って、照明視野絞り15aの開口部15bの形状も、X方向に長辺を有する長方形とする。この開口部15bを透過した照明光が、コンデンサーレンズ16a,18aを介してレチクルR上の長方形の照明視野IAR内に照射される。
本例においては、照明開口絞り11a上の開口部12aの形状も、図2に示した通りX方向(非走査方向)に長辺を有する長方形とする。図1中の第2の照度均一化部材9の射出側の面は、図2のリレーレンズ14a及びコンデンサーレンズ16a,18aを介して、レチクルRのパターン面のフーリエ変換面となる位置又はその近傍に配置される。
照明光学系中のレチクルRに対するフーリエ変換面とは、その面内で光軸から所定距離Dだけ離れた位置を通る照明光のレチクルRへの入射光束が、概ね平行光束になって、次の関係を満たす入射角φで入射することになる面を言い、一般的に照明光学系の瞳面と呼ばれる面に相当する。
D=f×sinφ
なお、fはリレーレンズ14a及びコンデンサーレンズ16a,18aの合成焦点距離である。照明開口絞り11aは、図1の第2の照度均一化部材9の射出側の面、即ち照明光学系50中のレチクルRに対するフーリエ変換面(瞳面)又はその近傍に配置されるため、X方向に長辺を有する開口部12aを透過した光束のレチクルRへの入射角度範囲は、X方向では大きくY方向では小さくなる。
図3は、図2に示した照明開口絞り11aと、照明光IL1(図1の照明光ILに対応する)のレチクルRへの入射角度範囲との関係を表わす図である。但し、図2をそれぞれY方向及びX方向に見た図に対応する図3(B)及び図3(C)では、説明の便宜上、図2のリレーレンズ14a、及びコンデンサーレンズ16a,18aを仮想の1つのコンデンサーレンズ180として表示した。この仮想のコンデンサーレンズ180と照明開口絞り11aとの間隔、及びコンデンサーレンズ180とレチクルRとの間隔は、それぞれコンデンサーレンズ180の焦点距離fに等しく、これは、リレーレンズ14aとコンデンサーレンズ16a,18aとの合成焦点距離に等しい。
図3(A)は、照明開口絞り11aの平面図であり、図3(A)において、照明開口絞り11aは、遮光性の基板中に光軸AX3を中心として、X方向の半幅をSx、Y方向の半幅をSyとするX方向(本例では非走査方向)を長辺とする長方形の開口部12aを形成したものである。なお、照明開口絞り11aには、別の開口部(不図示)も設けられている。開口部12aを透過した照明光IL1は、図3(B)及び図3(C)に示すコンデンサーレンズ180により、所定の入射角度範囲を持って、レチクルRに入射する。
レチクルRへの照明光IL1の入射角度範囲は、X方向は図3(B)に示した如く光軸AX3の方向を中心として±φxの角度範囲となり、Y方向は図3(C)に示した如く光軸AX3の方向を中心として±φyの角度範囲となる。照明開口絞り11aの開口部12aの大きさ(半幅Sx,Sy)と、照明光IL1のレチクルRへの入射角度範囲との間には、次の関係が成り立つ。
Sx=f×sinφx …(1)
Sy=f×sinφy …(2)
なお、レチクルRへの照明光の入射角度範囲は、一般的にコヒーレンスファクタ(いわゆるσ値)で表される。σ値とは、一般的には、次のようにレチクルを照明する照明光の開口数(NAI)を、投影光学系のレチクル側の開口数(NAR)で割った値である。
σ=NAI/NAR
この場合、レチクルを照明する照明光の開口数(NAI)とは、次のように、レチクルへの照明光の最大入射角(これをφとする)の正弦に、レチクルの上部の媒質の屈折率naを乗じたものである。
NAI=na×sinφ
また、投影光学系のレチクル側の開口数(NAR)とは、図3(B)、図3(C)中に破線で示した如く、レチクルR上の1点を射出した結像光束IMの射出角の最大値θの正弦(=sinθ)に、レチクルRの下部の媒質の屈折率nbを乗じた値である。即ち、開口数NARは、次のようになり、その値は投影光学系23のウエハW側開口数NAにレチクルからウエハへの投影倍率βを乗じた値に一致する。
NAR=nb×sinθ
なお、通常の露光では、レチクルの上下の媒質は気体であり、屈折率na,nbは実質的に1とみなすことができる。ここでは、レチクルRの上下の媒質(本例では空気、窒素ガス、又は希ガス(ヘリウムガス等)などの気体)の屈折率が等しく、na=nbが成立するものとすると、σ値は次のようになる。
σ=NAI/NAR=sinφ/sinθ
従来の投影露光装置では、照明開口絞り11a上の開口部の形状は、一般的には、所定の半径Rを有する円とされていた。このとき、この円を透過した照明光のレチクルへの入射角度範囲は、X方向及びY方向で共通に次式を満たす角度φである。
R=f×sinφ …(3)
この場合、σ=1の照明光とは、sinφ=sinθを満たす照明光であり、半径R1が
R1=f×sinθ …(4)
の円形開口から照明される照明光に対応し、σ=εの照明光とは、半径Rε(=ε×f×sinθ)の円形開口から照明される照明光に対応する。
本例においても、レチクルRへの入射角度範囲を、σ値を用いて以下のように定義する。即ち、照明光IL1のレチクルRへのX方向の入射角度範囲(±φx)の正弦(sinφx)を投影光学系23のレチクル側の開口数(NAR=sinθ)で除したもの(=sinφx/sinθ)を、照明光IL1のX方向の実効的なσ値σxとする。そして、照明光IL1のレチクルRへのY方向の入射角度範囲(±φy)の正弦(sinφy)を投影光学系23のレチクル側の開口数(NAR=sinθ)で除したもの(=sinφy/sinθ)を、照明光IL1のY方向の実効的なσ値σyとする。なお、本例の投影光学系23は、回転対称であり、X方向及びY方向の開口数は等しい。このとき、本例のX方向及びY方向がそれぞれ本発明の第1方向及び第2方向に対応しており、次式が成立する。
σx=sinφx/sinθ
σy=sinφy/sinθ
なお、このσx,σyを、開口部12aの形状を用いて表せば、(1)式、(2)式及び(4)式から、次のようになる。
σx=Sx/Rn
σy=Sy/Rn
本例の投影露光装置においては、後述するように、X方向(第1方向)におけるレチクルRに対する照明光の入射角度範囲(±φx)を、Y方向(第2方向)におけるレチクルRに対するその照明光の入射角度範囲(±φy)に比べて広くすることが望ましい。即ち、本例の投影露光装置では、σxの値をσyの値よりも大きく設定することが望ましい。そして、より具体的に本例においては、σxの値を0.6程度以上とし、σyの値を0.3程度以下で0より大きくすることが望ましい。そして、本例において更に望ましくは、σxの値を0.7程度以上とし、σyの値を0.2程度以下とする。
次に、照明光IL1のレチクルRへ入射角度範囲をこのような条件に設定した場合、即ち本例の照明条件の場合に、従来の小σ照明で問題となっていた光学的近接効果による誤差であるOPE(Optical Proximity Error)の増大や特定ピッチのパターンでの焦点深度の劣化が改善されることを、光学シミュレーション結果等を用いて説明する。
始めに、シミュレーション検討に用いるレチクルパターンについて説明する。図5(A)は、以下のシミュレーションで使用するレチクルパターンを示す平面図である。図5(A)において、透過性のレチクル基板RP上には、クロム等の遮光性の膜からなるラインパターンLC,LL1,LL2,LR1,LR2が、Y方向に周期(ピッチ)PTで配列されている。図5(A)中のXY座標は、図1〜図3で示した座標と同じである。各ラインパターンLC,LL1,LL2,LR1,LR2の長手方向はX方向に一致し、短手方向であるY方向の線幅はWDである。両端のラインパターンLL2及びLR2の更に外側には、それぞれ間隔(辺間間隔)SPだけ離れて、遮光パターンCL,CRが配置されている。
ラインパターンLC,LL1,LL2,LR1,LR2及び遮光パターンCRの間隔部には、その1つおきに位相シフト部PS1,PS2,PS3が形成され、その部分の透過光の位相が他のレチクル基板RPからの透過光に対して、180°シフトされる、いわゆる空間周波数変調型位相シフトパターン(空間周波数変調型位相シフトレチクル)を構成している。位相シフト部PS1,PS2,PS3は、例えばレチクル基板RPをエッチングにより掘り込むことで形成される。
以下のシミュレーションでは、露光波長を193nm、投影光学系のウエハ側開口数NAを0.92とし、図5(A)中のレチクルパターンの各寸法は、投影倍率β(本例では縮小倍率)を勘案してウエハ上の寸法に換算した値として、線幅WDを50nm、間隔SPを140nm、遮光パターンCR,CLのY方向の幅を10μm、各パターンのX方向の長さを10μmとした。そして、OPE特性及び各ピッチでの焦点深度の評価のために、ラインパターンLC,LL1,LL2,LR1,LR2のピッチPTを可変とした。
ところで、このように所定方向に長手方向を有するパターンが形成されたレチクルへの照明光を直線偏光とすることで、投影露光装置の解像性能を一層を向上させる方法が、本出願人による日本国特開平5−109601号公報や、参考文献1「Thimothy A.Brunner,et al.:″High NA lithographic imaging at Brewster’s angel″,SPIE Vol.4691,pp.1−24,(2002)」で開示されている。
そこで、本例でも、これらのX方向に長手方向を有するラインパターンLC,LL1,LL2,LR1,LR2に対して結像性能を向上するために、照明光IL1として、その電場方向がX方向に一致する直線偏光を使用した。これは、照明光の偏光方向(電場方向)が、図3(B)、図3(C)中の方向ILPに一致した場合に相当する。
これらの条件は、以下の本例の照明条件でのシミュレーション、及び比較のために示した従来の照明条件でのシミュレーションにおいて同様である。
続いて本例のシミュレーションの手法について説明する。
図5(B)は、図5(A)に示したレチクルパターンを本例の投影露光装置を使用してウエハ上に投影した際に生じる投影像のうち、図5(A)中のAA’線に対応する部分での強度分布Imgを光学シミュレーションにより求めたものを表わす。
図5(A)中の中心にあるラインパターンLCがウエハ上に転写された線幅は、像強度分布ImgのうちのラインパターンLCに対応する部分(暗部IC)を、所定のスライスレベルSLで2値化したときのスライス幅PWとして算出できる。
この手法を使用して、以下の方法でシミュレーション評価を行なった。OPE特性の評価では、各照明条件において始めにラインパターンLC等のピッチPTが600nmの場合の光学像の強度分布Imgを算出し、その像の暗部ICのスライス幅PWを35nmとするスライスレベルSLを求める。
続いてピッチPTを可変として各ピッチPTにおける像の強度分布Imgを算出し、各像の暗部ICの、上記スライスレベルSLでのスライス幅から転写パターの線幅PWを求める。これにより、転写パターンの線幅PWとパターンのピッチPTとの関係が求まる。
DOF(焦点深度)の評価においても、ラインパターンLC等のピッチPTを変化させ、各ピッチPTでの焦点深度を計算して、DOF対ピッチPTの関係を求めた。DOFの算出には、ED−Tree法を応用した。ED−Tree法については、例えば参考文献2「Burn J.Lin et al.:″Methods to Print Optical Images at Low−kl Factors″,SPIE Vol.1264,pp.2−13,(1990)」に開示されている。その際に目標線幅は35nmとし、想定した誤差は、許容線幅誤差を±2.8nm、露光量誤差を±2.5%とした。パターンは、レチクル線幅に+3nmの製造誤差を想定した線幅WDが53nmのパターンと、レチクル線幅に−3nmの製造誤差を想定した線幅WDが47nmのパターンとを想定し、その共通焦点深度を求めた。
なお、OPE,DOFともに、図5(A)中のパターンから、ラインパターンLL1,LL2,LR1,LR2の4本を除去し、遮光部CL,CRを、中心のラインパターンLCとの辺間間隔がSPとなるように中心にシフトした変形パターンである「1本パターン」についても評価を行なった。
以下、その結果について、図7、図10、図11を用いて説明する。
従来の露光方法であるσ=0.15の通常の照明の使用を想定したOPE及びDOFのシミュレーション結果は、それぞれ図10(A)、図10(B)に示したグラフの通りである。
露光対象とするレチクルパターンが、空間周波数変調型位相シフトパターンであるので、σ=0.15の小σ照明では、図10(B)に示した通り、パターンピッチPT(横軸)が140nm〜200nmの微小ピッチパターンにおいて、大DOF(縦軸)を得ることができる。しかしながら、中程度のピッチPTである290nm〜340nm程度の範囲において、DOFが150nmを下回り、いわゆる特定のピッチを有するパターンでの焦点深度の低下が生じている。
DOFを150nm以上確保することは、LSIの量産においては、歩留まりの確保のために極めて重要であり、150nm未満のDOFでは、その露光技術を量産に適用することは困難である。この結果、この従来の露光方法で、回路パターンを形成するためには、回路パターンの設計(レイアウト)に制約を加え、この範囲のピッチを持つパターンを排除する必要が生じる場合がある。
また、図10(A)に示した通り、パターンピッチPT(横軸)の変化に伴う転写線幅PW(縦軸)の変化は大きく、その変化幅は、ピッチPTが250nm〜600nmの範囲のパターンに対して、10.5nmにも達してしまう。
このOPEを解消するには、この線幅変化を打ち消すべく、レチクルR上のパターンの線幅WD自体を補正(レチクル上のパターンの線幅自体を増減して補正する方法であるOPC(Optical Proximity Correction)による補正)する必要がある。しかしながら、そのためには所定のレチクルパターンの近傍にどのようなパターンが存在するかをパターン設計データから求め、その近傍パターンの影響を光学シミュレーション等により算定し、それの結果に基づく線幅補正が必要となる。そのためには、膨大な計算時間と計算コストとが必要であり、レチクル製造コストを上昇させてしまう。
特に、σ=0.15程の小σ照明では、図10(A)に示した通り、ピッチPTが460nm程度の大ピッチパターンにおいても、比較的大きなOPEが生じている。これは、上記OPCに際して、所定パターンを中心として大きな範囲(ウエハ上への換算で半径600nm以上にも及ぶ範囲)のパターンを考慮する必要があることを示しており、OPCのために考慮すべきデータ数及び処理時間が一層増大することとなる。
なお、図10(A)、図10(B)に示したグラフ中の横軸の右端のIso及び黒点は、前述の1本パターンでの結果を表わすものであり、以下のグラフでも同様である。
一方、従来のσ=0.30の通常の照明の使用を想定したOPE及びDOFのシミュレーション結果は、それぞれ図11(A)、図11(B)に示したグラフの通りである。照明σ値を0.3まで拡大したことにより、照明光の空間的コヒーレンスが低減したため、図11(A)に示したOPE特性は、図10(A)に示したものに比べピッチPTの変化に対する転写線幅PWの変動が減少し改善する。数値的には、ピッチPTが250nm〜600nmの範囲での転写線幅PWの変化幅は、5.5nmに減少している。
しかしながら、照明σ値の拡大によりDOFは減少し、図11(B)に示すように、ピッチPTが260nm以下のパターンについては、DOFが150nmを下回り、微細ピッチパターンの転写は、極めて困難となってしまう。
これに対して、本例の照明条件の一例として、σx=0.85,σy=0.15を採用した場合のOPE及びDOFのシミュレーション結果は、図7(A)、図7(B)に示したグラフの通りとなる。
OPE特性は、図7(A)に示した通りであり、ピッチPTが250nm〜600nmの範囲での転写線幅PWの変化幅は、5.5nmと、図11(A)に示した従来例のσ=0.3の照明での場合と同等に小さく良好である。
また、特に考慮すべきOPEの変動は、ピッチPTが320nm以内のパターンに限られるため、本例の照明条件においては、レチクルパターンのOPC補正に際して、所定パターンを中心として半径320nm程度以内の他のパターンのみを考慮すれば良い。従って、従来のσ=0.15の照明を採用する場合に比べ、対象とするパターンデータを大幅に低減することができ、OPC時間の削減、OPCコストの削減が可能となる。
なお、本例の照明条件では、ピッチPTが200nm程度以下の微小ピッチパターンにおいて転写線幅PWの減少量が大きく、例えばピッチPTが200nmのパターンに対して線幅減少量は8nm(=35nm−27nm)となっている。これは、従来のσ=0.15の照明に比べて大きく、本例の照明条件では、所定パターンに近接して配置される他のパターンが、所定パターンの転写線幅に与える影響が大きいことを意味している。
しかしながら、このことはOPC補正に際して考慮すべきパターンのデータを増大させるものではないので、OPC処理時間の増大には、何ら悪影響を及ぼすものではないことは言うまでもない。
なお、本例の照明条件においては、図7(B)に示した通り、ピッチPTが140nm〜600nmのすべての範囲と、図7(B)図中右端にIsoとして示した1本パターンとの何れにおいても、150nm以上のDOFが確保されている。
以上より、本例の照明条件では、OPEをより小さく抑え、且つ広範なピッチPTのパターンに対して、実用的な焦点深度を持って、その露光転写が可能となることが分かる。
なお、この例では、照明光のレチクルへの入射角度範囲がσy=0.15,σx=0.85である照明光を使用するものとしたが、本例の照明光のレチクルへの入射角度範囲は、この値に限られるものではない。即ち、σyが0.3以下であり、σxが0.6以上の照明光であれば、良好なOPE特性と焦点深度との両立を達成するという本発明の効果を得ることができる。また、露光すべきレチクルパターンのピッチPTがより微細である場合には、σyが0.2以下であり、σxが0.7以上である照明光を使用することにより、上記効果を一層良好に発揮することが可能となる。
なお、前述の通り以上のシミュレーションでは、照明光IL1としてその電場方向がX方向に一致する直線偏光を使用したが、上述の本発明の効果は、このような直線偏光の使用時に限って発揮できるものではないことは言うまでもない。
ここで、本例の照明条件によって、OPE特性及びDOFが改善する理由を、図9を用いて簡単に説明する。
図9(A)は、図3(A)に示した照明開口絞り11aを表わす図である。図9(A)において、開口部12aのうち、光軸AX3の近傍に位置する中心部CSに存在する照明光は、従来の小σ(例えばσ=0.15)の照明光と同等な作用を有する。この照明光は、図9(B)に示したX方向に長手方向を有しY方向に周期性を有するパターンPMを有するレチクルRにほぼ垂直に照射され、パターンPMからはY方向に回折光が発生する。その回折光は、図9(C)に示した通り、投影光学系23の瞳面PPにおいて、分布DIFPC及びDIFMCの如くY方向に広がって分布する。その分布の範囲は、瞳面PPの半径、即ち投影光学系23のNAにより制限される。
一方、開口部12aのうち、光軸AX3から図9(A)中右側にSTだけ離れた位置にある周辺部ESに存在する照明光は、レチクルパターンPMに対してX方向に傾いて入射する。これに伴って、レチクルパターンPMからの回折光も、X方向に傾いて発生し、その回折光DIFPE,DIFMEは、図9(C)の投影光学系23の瞳面PPにおいて、光軸AX4からSTだけX方向に離れた位置に分布することになる。そして、そのY方向への分布は、瞳面PPの半径(即ちNA)より小さな値である実効的開口数NAbにより制限される。
開口部12aの中心部CS及び周辺部ESを発した照明光によるレチクルパターンPMの像は、ともにウエハW上に露光されるが、両照明光により形成される像は、上述の通り、その実効的な開口数が相互に異なった光学系により形成されるものである。そして、この異なる開口数による光学像が、ウエハW上でインコヒーレントに加算(強度的に加算)されるため、平均化効果によりウエハW上での像の空間的コヒーレンシーが低減し、転写線幅PWのピッチPTの変化に伴う変動が低減し、OPE特性が改善する。
一方、従来の小σ照明で生じていた特定ピッチでの焦点深度の低減は、そのピッチが、露光波長/NAの所定倍(例えば1.5倍程度)となるときに発生する現象である。従って、本例の照明条件により生じる実質的に異なる開口数の光束による重ね合わせ露光では、この所定ピッチでの悪影響が平均化により改善され、所定ピッチでの焦点深度の悪化が改善されることになる。
以上のように本実施形態によれば、レチクル上に配置された微細パターンに対し、最適な入射角度範囲で照明光を照射することにより、良好なOPE特性をもってパターンを露光することが可能となる。また、従来の小σ照明で問題となっていた、特定のピッチを有するパターンでの焦点深度の低下も防止することができ、任意のピッチのパターンを含むパターンの全てに対して、十分な焦点深度を持った露光を行なうことが可能となる。
なお、上記の実質的に異なる開口数の光束による平均化は上記の図9(A)の中心部CS及び周辺部ESから発生する照明光によってのみなされるものではなく、それらの中間の位置から発生する照明光によっても連続的になされるものであることは言うまでもない。また、この平均化は開口部12a中の光軸AX3より左側の部分(−X方向の部分)から発生する照明光によってもなされる。
しかしながら、周辺部ESのX方向の位置STに対してY方向の実効的開口数NAbの値は線形に変化せず、光軸AX3近傍においては、位置STの変化に対する実効的開口数NAbの変化が緩く、その値はNAに近いままである。
そのため、開口部12a内での照明光の光量分布がX方向に一様である場合には、上記平均化に際して、Y方向の実効的開口数がNAである光束(開口部12a内でX方向について光軸AX3近傍に分布する光束)の寄与度が大きくなり、開口部12aのX方向の周辺位置ESから発生する照明光束による平均化効果を十分に発揮できない場合も生じる。
そこで、この平均化効果を更に高めるために、図6(C)に示す如く、開口部12aを透過した照明光の光量分布を、X方向についてその周辺で高く中心で低下させた照明光強度分布とすることもできる。
図6(A)は、照明開口絞り11a及び開口部12aを表わす図であり、図6(B)及び図6(C)は、開口部12aを透過した照明光のX方向の強度分布を表わす図である。
上述の図7に示したシミュレーションにおいては、X方向の照明光量分布として、図6(B)に示した一様な光量分布Dst1を使用した。
一方、図6(C)に示す光量分布Dst2は、X方向の中央部での光量分布の分布密度が、X方向周辺部(両端)での光量分布密度の半分となる分布であり、上述の通り、一層の平均化効果が期待できるものである。
以下、図8に示したシミュレーション結果を用いて、この場合の効果を説明する。以下のシミュレーションにおいて、開口部12aを透過した照明光のX方向の位置に対する照明光の強度分布、即ちレチクルパターンへのX方向の入射角度に対する照明光の強度分布以外の条件は、図7に示したシミュレーションの条件と同様である。
図8(A)はOPE特性を表わすグラフであり、図8(B)はDOFを表わすグラフである。この照明条件においては、パターンピッチPTが、250nm〜600nmに変化する際の転写線幅PWの変動幅は4.5nmであり、図7(A)に示したものより、一層OPE特性が改善されている。
また、DOFについても図8(B)に示す通り、すべてのパターンピッチPTのパターン、及び図8(B)中右端にIsoとして示した1本パターンの何れにおいても、150nm以上のDOFが確保されている。
従って、開口部12aを透過した照明光束内の照明光強度分布(分布密度)を、X方向の両端近傍で、X方向の中央部近傍に対して、2倍程度の大きさに強調することにより、転写されるパターンのOPE特性を一層改善することが可能であることが分かる。
開口部12a上での、このような照明光の強度分布は、開口部12aの透過率を部分的に変化させて生成することができる。具体的には、ガラスや石英等の透過性基板上に、クロム等の金属や誘電体からなる吸光性の薄膜を、その厚さを位置に応じて変化させて形成することで、そのような強度分布の開口部12aを製造することができる。
なお、上記の2倍程度という分布密度の比率は、必ずしもこれに限定される訳ではなく、1.5倍〜3倍程度であれば、X方向の分布が均一な場合に比べて、更に良好なOPE特性が得られることに変わりはない。
一方、その比率が3倍以上の場合には、X方向の中央部に存在する光量分布が相対的に低下し過ぎて、上記平均化効果を十分に発揮できず、本発明の効果を得ることが難しくなる。勿論、X方向の中央部近傍の光量分布が0であるような場合、即ち、照明光がX方向について光軸AX3以外の位置に離散的に分布する場合にも、上記平均化効果を十分に得ることはできない、
本例は、X方向について広範な入射角度範囲を有する照明光でレチクルRを照明することにより、上記平均化を生じさせるものであるので、開口部12aの形状は、長方形に限られるものではない。即ち図3(A)に示した開口部12aは、図3(A)中にある長方形ではなく、その長軸がX方向に一致し、短軸がY方向に一致する楕円であっても良い。その場合にも、その楕円の長軸の長さの1/2(半幅)はSxであり、短軸の長さの1/2(半幅)はSyであることが望ましい。
但し、楕円型の開口部を採用すると、そのY方向の幅は、X方向において中心部で広く周辺部で狭くなるため、楕円型の開口絞り上の照明光の強度分布のY方向での積算値は、X方向の中心部で大きく周辺部で小さくなる。これは、図6(C)に示した、より好ましい分布と逆であり、本例による平均化効果が生じにくい分布となってしまう。そこで、楕円型の開口部を使用する際には、その開口部内の単位面積あたりの照明光量分布を、X方向の周辺部で一層強めることが望ましい。
また、X方向に離散的に照明光が分布する場合にであっても、その一部が光軸AX3近傍に分布し、他の照明光がX方向の端部に分布している場合には、それらの照明光によって本例の平均化が行われるので、本発明の効果を得ることが可能となる。その場合、上記σx,σyは、上記X方向の端部に分布する照明光がレチクルRに入射する際のX方向の入射角の最大値の正弦に基づいて定義し、且つこれが、本例の条件である、0<σy≦0.3,σx≧0.6を満たせば、本発明の効果を得ることができる。そして更に、0<σy≦0.2,σx≧0.7を満たせば、上記効果を一層良好に発揮することが可能となる。
本例の投影露光装置においては、図1中の照明開口絞り11上に、X方向の透過率分布がそれぞれ異なるいくつかの開口部(開口部12及びその透過率分布を変えた開口等)を設け、露光すべきレチクルR上のパターンに応じて、それらをターレット式交換機構等の交換機構10により交換しつつ、露光を行う構成とすることができる。
また、照明開口絞り11上には、その形状自体もそれぞれ異なる複数の開口部12,13等を設置することもできる。それらの各開口部の形状は、図3(A)に示した如き長方形であって、その各辺の長さSx,Syがそれぞれ異なるものを配置し、露光すべきレチクルR上のパターンに応じてそれらを交換して使用することもできる。
なお、図1に示した本例の投影露光装置では、投影光学系23とウエハWとの間の光路空間は空気、窒素ガス、又は希ガス(ヘリウムガス等)等の気体で満たされるものとしたが、この部分に水等の液体を満たす構成としてもよい。このようないわゆる液浸型露光装置は、例えば国際公開第99/49504号に開示されている。この場合、ウエハWに照射される露光光の波長が、実質的に液体の屈折率分だけ縮小されるため、投影光学系23の解像度が向上する。
なお、投影光学系の瞳面の開口の形状を変更することによっても、上記の平均化効果を良好に発揮させることは可能である。通常の投影光学系の瞳面PPの開口の形状は、図9(C)に示した如く円形である。このため、図9(A)に示した照明光学系中の開口絞り11aの開口部12a内で、中心からX方向に所定距離STだけ離れた部分の光束ESが形成する回折光DIFPE,DIFMEを制限する実効的なY方向の開口数NAbは、距離STに対して線形に減少しない。しかしながら、投影光学系23の瞳面PPの開口の形状を、例えば光軸AX4に対して、±X方向に離れた2点、及び±Y方向に離れた2点の計4点をそれぞれ頂点とする正方形とするなら、上記実効的なY方向の開口数NAbは、距離STに対して線形に減少する。従って、このような投影光学系23を採用するなら、開口部12a上の照明光量分布をX方向について一様としたままでも上記と同様に良好な平均化効果を発揮させることが可能となる。瞳面PPの開口の形状をこのように設定するには、投影光学系23の瞳面にこのような形状の(正方形)の開口部を有する絞りを装填すればよい。
但し、本例の投影露光装置により、従来の露光方法による露光も行う場合には、この絞りは固定絞りではなく、可変の絞りとすることが望ましい。これは、例えば、上記正方形の各辺に対応させた4枚の可変絞り羽根を、投影光学系23の光軸AX4を中心として、放射状に可動とするように配置することで実現することができる。
また、本例の投影露光装置は、図5(A)に示した空間周波数変調型の位相シフトレチクル以外のレチクルを露光することもあるので、照明開口絞り11上には、これ以外のレチクルに対する露光に適した、σ値が0.1〜0.9程度の通常照明用の円形の開口部や、輪帯照明用の輪帯形状の開口部や、2極及び4極照明に対応する開口部を配置して、露光すべきレチクルRに応じて、それらを交換して使用可能とすることが好ましい。
ところで、照明光IL1のレチクルRへの入射角度範囲の設定は、上述の照明開口絞り11(又は11a)上の開口部12(又は12a)の形状によってのみ可能となるものではない。即ち、図1の第2の照度均一化部材9の射出側の面での照明光の強度分布自体を上記の所望の形状にできれば、照明光IL1のレチクルRへの入射角度範囲を所望の範囲に設定することが可能であり、この場合には照明開口絞り11a及び開口部12を使用しなくてもよい。
このためには、例えば図1の第1の照度均一化部材5として所定の回折格子を使用すればよい。その回折格子に形成する回折パターンは、そこから発生する回折光が、第2の照度均一化部材9の入射面での上記所定の形状に分布するような周期性及び方向性となるように設定する。なお、回折格子としては位相格子を用いることが0次回折光(直進光)の発生を抑える点で好ましい。
また、図1中の第1の照度均一化部材5の位置に、このような回折格子を多数設置して、それらを交換可能に照明光学系50の光軸AX1の位置に設置可能とする回折格子交換機構を設け、露光すべきレチクルR上のパターンに応じて、回折格子を交換して露光を行なうこともできる。このとき、これらの各回折格子は、σyが0.3以下でσxが0.6以上である本例の照明条件の少なくとも1条件を実現するものを含むと共に、通常照明や輪帯照明、2極照明、4極照明に、それぞれ対応するものを含むことが望ましい。
なお、第1の照度均一化部材5として、多面体プリズム、円錐プリズムや多面ミラーを使用しても、第2の照度均一化部材9の入射面側に所定の照明光強度分布を形成することが可能である。
以上の実施形態において、回折格子等を使用する第1の照度均一化部材5と第2の照度均一化部材9との間のリレーレンズ6,8をズーム光学系とすると、回折格子等の回折作用や、多面体プリズム・ミラー等の屈折及び反射作用により第2の照度均一化部材9の入射面側に形成される照明光の強度分布を、図1中のX方向及びZ方向について光軸AX2を中心に拡大及び縮小することも可能となる。これにより、第2の照度均一化部材9の射出側の面(即ち照明光学系50の瞳面又はこの近傍)に形成される照明光の強度分布の形状を、即ち、照明光のレチクルRへの入射角度範囲を一層の自由度をもって可変とすることが可能となる。
更に、露光光源1と第1の照度均一化部材5との間のリレーレンズ2,3をズーム光学系とすることによって、照明光のレチクルRへの入射角度範囲設定の自由度を一層拡大することも可能となる。
なお、図1に示した投影露光装置では、第2の照度均一化部材9としてフライアイレンズを使用するとしたが、第2の照度均一化部材9としては、内面反射型インテグレータとしての例えばいわゆるガラスロッド(ロッドインテグレータ)を使用することも可能である。このガラスロッドは、ガラス、石英、水晶などの透過性材料からなる直方体に、その1面から照明光を入射し、対向する面から射出するに際し、その他の面(側面)での内面反射を利用して、射出面での照明光の強度分布を均一化する光学部材である。従って、第2の照度均一化部材9としてガラスロッドを使用する場合には、ガラスロッドの射出面は、レチクルRのパターン面に対する共役面に配置することになる。
本例の投影露光装置において、第2の照度均一化部材9としてガラスロッドを使用する場合には、例えばガラスロッドとレチクルRとをリレーする照明光学系の中の瞳面に、図3(A)に示したものと同様な形状の開口部を有する開口絞りを設置するとよい。或いは、露光光源からガラスロッドに至るまでの照明光学系中の、ガラスロッドの入射面に対する瞳面又はその近傍に、図3(A)に示したものと同様な形状の開口部を有する開口絞りを設置してもよい。
或いは、ガラスロッド入射面の近傍か、露光光源からガラスロッドに至るまでの照明光学系中の、ガラスロッドの入射面に対する共役面の近傍に、所定の周期性及び方向性を有する回折格子を配置することによっても、照明光のレチクルR上への入射角度範囲を所定の範囲に設定することが可能である。或いはまた、露光光源からガラスロッドに至るまでの照明光学系中の何れかの位置に、多面体プリズムや円錐プリズムを設置して照明光のレチクルR上への入射角度範囲を所定の範囲に設定することが可能である。また、この回折格子やプリズムと開口絞りとを組み合わせて使用することもできる。
ところで、第2の照度均一化部材9としてフライアイレンズを使用する場合であっても、ガラスロッドを使用する場合であっても、照明光のレチクルRへの入射角度範囲の設定を、照明開口絞りを使用せず、上記の回折格子やプリズムを使用して行なう場合には、レチクルRに入射する照明光束の角度範囲の境界が、ややボケたものになりやすい。この場合の、本例の特徴である照明光のレチクルRへの入射角度範囲に相当するσx及びσyの定義は、σxは、照明光のレチクルRへのX方向の入射角度に対する照明光強度分布の密度関数の半値全幅(FWHM)の半分の角度の正弦を、投影光学系23のレチクル側の開口数NARで割った値とし、σyは、照明光のレチクルRへのY方向の入射角度に対する照明光強度分布の密度関数の半値全幅の半分の角度の正弦を、投影光学系23のレチクル側の開口数NARで割った値とすれば良い。そして、この実効的なσx及び実効的なσyが、本例の条件であるσx≧0.6,0<σy≦0.3を満たせばよい。勿論、この場合においても、σx≧0.7,0<σy≦0.2を満たせば、より微細なピッチを有するパターンに対する結像性能が一層向上する。
ところで、本例による照明条件では、図5(A)に示した如きレチクルパターンLC,LL1,LL2,LR1,LR2等へのX方向の照明光の入射角度範囲を、σx≧0.6に拡大するので、レチクルRに照射される照明光のX方向についての可干渉性(空間的コヒーレンス)は、従来のσが0.15〜0.3程度の小σ照明に比べて、大幅に低減している。
そのため、レチクルパターンLC,LL1,LL2,LR1,LR2の転写線幅の、これらのパターンからX方向に離れて存在する他のパターンの存在の有無に伴う変動は、一層低減されたものとなる。
また、上記σxの拡大に伴い、一般的にパーシャルコヒーレント照明時の解像度とσ値との関係に従って、従来のσが0.15〜0.3程度の小σ照明に比べて、X方向についての解像度も向上する。このため、本例の照明条件により転写すべきパターンのX方向についての集積度を向上することも可能となる。
なお、本発明の照明条件の使用によって、レチクルRに形成されるX方向に長手方向を有するパターンのウエハW上への転写像の、X方向における線幅均一性が向上するという効果もある。この効果は、本発明により達成される効果である、レチクルRに照射される照明光のX方向についての可干渉性の低減により得られるものである。
以下、図12から図15を参照して、この効果について説明する。
図12(A)は、以下に示すコンピュータによるシミュレーションで使用したレチクルパターンを表す図である。図12(A)において、レチクルRは、クロム等の遮光性の膜RP2で覆われ、その中に、その長手方向がX方向に一致する6個の透過パターンGL2,SL1,GL1,SR1,GR1,SR2が形成されている。そして、透過パターンGL2,SL1,GL1,SR1,GR1,SR2のうち、3つの透過パターンSL1,SR1,SRは、そのパターンからの透過光の位相が、それらに隣接して配置される透過パターンGL2,GL1,GR1の透過光の位相に対して180°シフトされる、空間周波数変調型位相シフトレチクルパターンを構成している。
6個の透過パターンGL2,SL1,GL1,SR1,GR1,SR2のそれぞれは、Y方向の線幅が150nmであり、Y方向にピッチPT2が200nmで配列され、X方向の長さXLは1μm(=1000nm)である。従って、各透過パターンGL2,SL1,GL1,SR1,GR1,SR2の間に形成される遮光部の線幅WD2は、ウエハW上への換算値で50nmとなるが、これは、図5(A)に示したレチクルパターンと同様である。なお、これらの寸法は、いずれも投影光学系23の縮小倍率を考慮してウエハWに換算した値である。
図12(A)中の線分X0は、透過パターンGL2,SL1,GL1,SR1,GR1,SR2のX方向の中心位置を表す。
また、図12(B)は、図12(A)のパターンが、ウエハW上に露光転写された場合に形成されるレジストパターンRSを表す図である。なお、ウエハW上のフォトレジストは、ポジ型(露光され感光された部分が現像により溶解する)を使用するとしている。このため、ウエハW上には、レチクルR上の6個の透過パターンGL2,SL1,GL1,SR1,GR1,SR2のそれぞれに対応して、レジストが除去される部分VL3,VL2,VL1,VR1,VR2,VR3が形成される。そして、それぞれの部分の間には、レジストパターンが形成される。
このレジストパターンのうちY方向の中心部にあるレジストパターンCAについて、このパターンのX方向の中心位置X0からの変位量がX1となる位置での線幅PW1を求めた光学シミュレーションの結果を、図13から図15に示す。
図13(A)及び図13(B)は、従来の露光方法であるσ=0.15の通常の照明を使用した場合の、図12(B)のレジストパターンCAの線幅PW1(縦軸)と、X方向の位置X1(横軸)との関係を表す図である。ここで位置X1が0とは、X方向の中心位置X0に対応している。図13(A)はベストフォーカス位置での結果を、図13(B)は50nmデフォーカスした位置での結果をそれぞれ示す。
なお、光学シミュレーションのその他の諸条件、及び転写される線幅の算出方法は、上述の光学シミュレーションと同一である。なお、線幅を決定するためのスライスレベルSL(図5(B)参照)は、ベストフォーカス位置において、X1=0での線幅が35nmとなるように設定した。
σ=0.15の小σ照明では、レチクルR上の照明光は、X方向、Y方向の双方において高い可干渉性を有するため、レチクルパターン上のX方向の位置によって、より正確には、レチクルパターン上のX方向のエッジ(すなわち、X1がパターン長さ1000nmの半分であるX1=500(nm)の位置)からの位置によって、ウエハW上に転写される光学像の強度が変動し、それに従って、転写される線幅も大きく変動する。その変動幅は、X1が0から400nmの範囲において4nm程度にもなる。また、レチクルR上でのX方向の可干渉距離が長いため、エッジ(X1=500(nm))から400nmも離れたX1=100(nm)の位置においても転写パターンの線幅が、1〜2nmと大きく変動する。
このように、転写されたパターンの線幅がその長手方向(ここではX方向)に沿って変動すると、例えば、このパターンがMOSトランジスターのゲートパターンの場合には、線幅が細くなった部分ではトランジスターの短絡(オフ電流の増大)が生じ、線幅が太くなった部分ではトランジスターの断線(オン電流の減少)が生じる。そして、これらによって形成されるトランジスターの性能が低下する。
これを防止するには、あらかじめ、このようなX方向についての線幅変化を予測し、それを補正するべくレチクルパターン自体の線幅WD2等を、X方向の位置に応じて変化させること、すなわちOPC(Optical Proximity Correction)が必要になる。そして、このOPC補正もレチクル製造コストを上昇させることになる。
従来のσ=0.30の通常の照明を使用した場合のシミュレーション結果についても、図14(A)にベストフォーカス位置での結果を、図14(B)に50nmデフォーカスした位置での結果をそれぞれ示す。照明σ値の増加により、レチクルR上での照明光の可干渉性が低下するため、ベストフォーカス位置及びデフォーカスした位置の双方において、図13(A),図13(B)に示した結果に比べ、X方向の位置X1の変化に対する線幅PW1の変動幅は減少し、X1が0から400nmの範囲において2.5nm程度になっている。ただし、このσ=0.30の条件では、十分な焦点深度が得られず、レジスト線幅35nmのパターンの露光への適用は困難なことは、先の述べたとおりである。
これに対して、本発明の照明条件の一例として、σx=0.85,σy=0.15の条件を採用した場合のシミュレーション結果を図15に示す。図15(A)はベストフォーカス位置での結果であり、図15(B)は50nmデフォーカスした位置での結果である。本発明による照明方法では、照明光のX方向のσ値(σx)が0.6以上、あるいは更に0.7以上と大きいため、レチクルR上に照射される照明光のX方向の可干渉性が低い。そのため、X方向の位置X1の変化に対する線幅PW1の変動幅は大幅に減少し、X1が0から400nmの範囲において2nm程度に収まっている。
従って、本発明の照明条件によりMOSトランジスターのゲートを露光する場合には、そのゲートの長手方向の位置(X方向の位置)変化に対する、転写されたパターンの線幅変化は僅かとなり、製造されるトランジスターの性能の向上に貢献することが出来る。また、僅かながら残存するX方向の位置変化に対する転写線幅の変化は、レチクル上のレチクルパターンの線幅の補正によって、このOPC補正に際して線幅を補正すべき範囲は、レチクルパターンのX方向の終端から200nm程度の範囲内(X1が300〜500nmの、幅として200nmの範囲)のみでよい。これは、従来のσ=0.15の照明条件の使用時に補正が必要となる範囲(X1が100〜500nmの、幅として400nmの範囲)に比べて小さい。従って、本発明の照明条件では、OPC補正によるレチクル製造コストの上昇を、最小限に抑えることが可能である。
なお、本発明の照明条件の使用によっても残存する上記の転写線幅の変化が、トランジスターの性能等に鑑みて無視できる量であるなら、本発明の照明方法を採用する場合には、レチクルのOPC補正は不要である。従って、この場合には、レチクル製造コストを全く上昇させることなく、高解像度でかつ任意のピッチを有するパターンに対し十分な焦点深度を有する露光方法を実現することができる。
次に、図1中の照明光学系50の中の偏光制御部材4について説明する。
前述の如く、レチクルR上のパターンがラインパターンのように所定の方向に長手方向を有するパターンである場合には、レチクルRへの照明光を、その偏光方向(電場の方向)が上記パターンの長手方向と一致する直線偏光とすることにより、その結像特性を改善することができる。偏光制御部材4は、このための光学部材でありレチクルRに照射される照明光の偏光状態を制御する。
露光光源1としてエキシマーレーザやフッ素レーザを使用する場合、露光光源からの射出光は、元々概ね直線偏光となっている。そこで、偏光制御部材4としては、その直線偏光の偏光方向を所望の方向に変換(回転)する部材を使用すれば良い。即ち、例えば水晶(二酸化珪素結晶)やフッ化マグネシウム結晶等の複屈折性を有する光学材料からなる1/2波長板を、照明光学系50の光軸AX1を回転中心として回転可能に設定することで実現できる。レチクルRに照明される照明光の偏光方向は、この1/2波長板の回転角度の設定により制御する。
一方、露光光源1が、ランプやランダム偏光レーザのように直線偏光以外の光束を発する場合には、偏光制御部材4として所定の方向の直線偏光のみを透過する偏光フィルタや偏光ビームスプリッタを使用する。但し、レチクルRへの照明光を完全な直線偏光にしなくとも、照明光強度の大部分(例えば80%程度以上)を所定の直線偏光とすれば、本例の効果は発揮できるので、上記偏光フィルタや偏光ビームスプリッタの偏光選択比は、80%程度以上あれば十分である。
ところで、本例の投影露光装置であっても、露光するパターンによっては、レチクル上に照明される照明光の偏光状態を非偏光とすることが好ましい場合もあることは言うまでもない。そこで、本例の投影露光装置の偏光制御部材4は、着脱可能であったり、非偏光の照明光をも供給可能な構成としておくことが望ましい。例えば、図1の露光光源1が概ね直線偏光の光束を発するレーザ光源である場合、偏光制御部材4として、光軸AX1に沿って直列に配置する2枚の1/4波長板を使用し、光軸AX1を回転中心としてそれらを個別に回転することにより、射出される光束を直線偏光としたり円偏光(即ち実質的に非偏光)としたりすることができる。
なお、本例の照明条件での露光に際しては、露光すべきレチクルR上のパターンの長手方向が、上述の通り所定の一方向(上述の実施形態ではX方向)と一致していることが好ましい。そこで、レチクルR上に多数のパターンが存在する場合には、それらのパターンのうち、特に結像特性が重要になるパターン(例えばトランジスタのゲートパターン)については、各パターンの方向性を統一し、その長手方向を所定の一方向と一致させることが望ましい。
以下、その具体例について図4を用いて説明する。
図4(A)、図4(B)は、それぞれ本例の投影露光装置で露光するのに好適な原版パターンが描画されたレチクルの例を示す平面図である。
図4(A)は、パターンエリアPA1内に、その長手方向がすべてX方向に平行なパターンPHC,PHE1,PHE2が形成されたレチクルR1を示す図である。レチクルR1上にはこれ以外にもパターンを含むが、これ以外のパターンは特に結像特性が重要になるパターンではないため、記載を省略している。
本例の投影露光装置は、走査型露光装置であり、その走査方向(レチクルR及びウエハWの走査方向)はY方向であるので、図1の投影光学系23の露光視野(及び照明光学系50の照明視野)IARは、その長辺方向がX方向(非走査方向)に一致する長方形となっている。従って、パターンPHC,PHE1,PHE2の長手方向は、投影光学系23の露光視野IARの長手方向に平行であり、走査方向とは直交している。レチクルR1は、露光視野(照明視野)IARに対してY方向に走査されるので、パターンエリアPA1内であって、図示した位置での露光視野IARの外部に存在する他のパターンも投影光学系23を介してウエハWに露光されることは言うまでもない。
一方、図4(B)は、パターンエリアPA2内に、その長手方向がすべてY方向に平行なパターンPVC,PVE1,PVE2が形成されたレチクルR2を表わす図である。レチクルR2上にはこれ以外にもパターンを含むが、これ以外のパターンは特に結像特性が重要になるパターンではないため、記載を省略している。レチクルR2上のパターンPVC,PVE1,PVE2は、図4(A)中のパターンと異なり、その長手方向は投影光学系23の露光視野IARの長手方向と直交し、走査方向に平行である。
ところで、一般的に光学系には、その結像特性を劣化させる収差が残存する。投影露光装置用の投影光学系では、他の用途の光学系に比べ残存収差が極めて小さいが、或る程度の収差が残存することは避けられない。また、収差の残存量は一般的に投影光学系の露光視野の中心に比べ周辺で増大する。
これらの残存収差には、転写像を投影光学系の光軸から周辺への放射方向にボカす成分(放射方向成分)と、投影光学系の光軸を中心とする同心円方向にボカす成分(同心円方向成分)とがあるが、一般的にはこのうち放射方向成分の方が大きい。放射方向成分の収差の成分は、コマ収差や倍率の色収差である。コマ収差は、設計上も製造誤差からの点からもその補正が難しく、これを完全に無くすことは困難である。
これらより、図4(B)中の露光視野IARのX方向の両端部近傍にあるY方向に長手方向を有するパターンPVE1,PVE2は、投影光学系の収差の影響を最も受けやすいパターンとなる。従って、これらのパターンのウエハW上への転写像には、転写線幅の変動や解像不良が生じる恐れが高く、生産されるLSIの性能を劣化させ、歩留まりを低下させる恐れが高い。
一方、各パターンの長手方向を、図4(A)に示した如く、投影光学系23の露光視野IARの長辺方向(X方向)と一致させる場合には、収差による像のボケ方向が大きな方向は、高い解像性能が要求されないパターンの長手方向と一致するため、露光視野IARのX方向の周辺にあるパターンPHE1,PHE2についても、収差の影響を実質的に受けない高解像度な露光が可能になる。
そこで、本例の投影露光装置では、露光すべきレチクルR上の微細パターンが、その長手方向が投影光学系23の露光視野IARの長辺方向(X方向)に一致して配置されることが望ましい。即ち、露光すべきレチクルR上の微細パターンが、その長手方向がレチクルRの走査方向(Y方向)に直交して配置されることを前提として、上記レチクルパターンの結像に適した上述の照明光の入射角度範囲を設定することが望ましい。
なお、以上の実施形態は、走査型露光装置について説明したが、本発明の照明条件が適応可能な露光装置は、走査型に限定されるものではなく、本発明の照明条件は、ステッパー型(レチクルR及びウエハWを静止して露光するタイプ)の露光装置に対しても適応可能である。この場合には、投影光学系の露光視野は、正方形か長辺長と短辺長との比が1:1に近い長方形となるので、投影光学系の収差の点からは、レチクルR上に配置されるパターンの長手方向と露光視野の形状との間に、特に望ましい関係が生じることはない。
従って、本例の照明条件として上述したσx≧0.6,0<σy≦0.3等を定めるに際して想定したX方向及びY方向は、露光装置全体やレチクルRの外形形状に対して、特に所定の関係を有する方向でなくても良い。
また、走査型露光装置においても、採用する投影光学系の収差が極めて少ないものであれば、ステッパー型露光装置の使用時と同様に、レチクルR上に配置されるパターンの長手方向と投影光学系の露光視野の形状とに、特に望ましい関係が生じることはなくなるので、本例の照明条件の定義に際して使用したX方向及びY方向は、露光装置全体や走査方向及びレチクルRの外形形状に対して、特に所定の関係を有する方向でなくても良い。
なお、上述の露光方法は、特に空間周波数変調型位相シフトレチクルの露光に適するものである。一方、最近の高性能LSIでは、特にゲート層の露光に際して、高解像度が要求されるゲートパターンの部分は空間周波数変調型位相シフトレチクルを使用し露光し、配線部分等のそれ以外の部分は通常レチクル(バイナリーレチクル)を使用して露光する、二重露光を採用することもある。
本発明においても二重露光を採用することが可能であることは言うまでもない。即ち、露光すべきウエハWに対して、空間周波数変調型位相シフトレチクルを使用して本発明の照明条件からなる露光を行ない、その後、不図示のレチクル交換機構を用いて、レチクルを通常レチクルに交換して、同一のウエハWに対して重ね合わせ露光を行なえば良い。このとき、通常レチクルへの露光に際しては、照明条件を、いわゆる通常照明や輪帯照明又は2極、4極照明に変更して行なうことが望ましい。
次に、上記の実施の形態の投影露光装置を使用した半導体デバイスの製造工程の一例につき図16を参照して説明する。
図16は、半導体デバイスの製造工程の一例を示し、この図16において、まずシリコン半導体等からウエハWが製造される。その後、ウエハW上にフォトレジストを塗布し(ステップS10)、次のステップS12において、上記の実施の形態(図1)の投影露光装置のレチクルステージ上にレチクル(仮にR1とする)をロードし、走査露光方式でレチクルR1のパターン(符号Aで表す)をウエハW上の全部のショット領域SEに転写(露光)する。この際に必要に応じて二重露光が行われる。なお、ウエハWは例えば直径300mmのウエハ(12インチウエハ)であり、ショット領域SEの大きさは一例として非走査方向の幅が25mmで走査方向の幅が33mmの矩形領域である。次に、ステップS14において、現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域SEに所定のパターンが形成される。
次に、ステップS16において、ウエハW上にフォトレジストを塗布し、その後ステップS18において、上記の実施の形態(図1)の投影露光装置のレチクルステージ上にレチクル(仮にR2とする)をロードし、走査露光方式でレチクルR2のパターン(符号Bで表す)をウエハW上の各ショット領域SEに転写(露光)する。そして、ステップS20において、ウエハWの現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域に所定のパターンが形成される。
以上の露光工程〜パターン形成工程(ステップS16〜ステップS20)は所望の半導体デバイスを製造するのに必要な回数だけ繰り返される。そして、ウエハW上の各チップCPを1つ1つ切り離すダイシング工程(ステップS22)や、ボンディング工程、及びパッケージング工程等(ステップS24)を経ることによって、製品としての半導体デバイスSPが製造される。
本例のデバイス製造方法によれば、上記の実施形態の照明条件で露光を行っているため、半導体集積回路の製造に必要なレチクルのコストや回路設計のコストを低減することができる。また、従来に比べてより高集積な半導体集積回路を歩留まり良く製造することが可能となる。そして、以上の効果により、本例のデバイス製造方法によれば、より高集積で高性能な半導体集積回路を、安価に製造することが可能となる。
また、上記の実施の形態の投影露光装置は、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をして、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造することができる。なお、その露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、本発明の露光装置の用途としては半導体デバイス製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでもよい。なお、投影光学系としては、露光波長として、KrFまたはArFエキシマーレーザ等の遠紫外光を用いる場合には、硝材としては石英や蛍石等の遠紫外線を透過する材料を用い、Fレーザ等の真空紫外光を用いる場合には、硝材として蛍石やその他のフッ化物結晶を使用する。また、いずれの露光波長を使用する場合においても、投影光学系として、レンズ部材のみからなる屈折光学系と、レンズ部材及び反射部材の両者からなる反射屈折光学系のいずれかを採用することができる。また、露光波長としてX線(波長が1〜20nm程度の軟X線を含む)を使用する露光装置の場合には、投影光学系として、反射光学系を採用することが好ましい。この場合には、レチクルも反射型のものを採用することが好ましく、位相シフトパターンの構成は、レチクル表面に段差を形成し、その段差により反射光に生じる位相差により、位相差を形成する方法とすることができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2003年6月3日付け提出の日本国特許出願第2003−158732の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
本発明のデバイス製造方法によれば、高性能なデバイスを安価に製造することが可能となる。

Claims (28)

  1. マスクのパターンを照明光で照明し、前記パターンの像を投影光学系を介して基板上に投影する露光方法であって、
    前記マスクのパターンの少なくとも一部は、第1方向に長手方向を有するパターンであると共に、
    前記第1方向における前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲を、前記第1方向と直交する第2方向における前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲に比べて広くすることを特徴とする露光方法。
  2. 前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲を、
    前記第1方向における実効的なσ値と、前記第2方向における実効的なσ値とを異ならせるように設定することを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
  3. 前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲を、
    前記第1方向については実効的なσ値を0.6以上とし、
    前記第2方向については実効的なσ値を0.3以下で0より大きくすることを特徴とする請求項2に記載の露光方法。
  4. 前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲を、
    前記第1方向については実効的なσ値を0.7以上とし、
    前記第2方向については実効的なσ値を0.2以下とすることを特徴とする請求項3に記載の露光方法。
  5. 前記マスクのパターンの少なくとも一部は、前記第1方向に長手方向を有する空間周波数変調型位相シフトパターンであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の露光方法。
  6. 所定の強度分布調整部材によって前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲を調整することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の露光方法。
  7. 前記強度分布調整部材は、前記マスクを前記照明光で照明する照明光学系の瞳面上又はこの近傍に配置されて、長方形状又は楕円状の開口が設けられた照明系開口絞りであることを特徴とする請求項6に記載の露光方法。
  8. 前記照明光の偏光状態を、その電場方向が前記第1方向と一致する直線偏光を主成分とする状態にすることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の露光方法。
  9. 前記マスクに対する前記照明光の前記第1方向の入射角度に対する強度分布を、入射角度範囲の両端部で強く、入射角度範囲の中間部で弱くすることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の露光方法。
  10. 入射角度範囲の両端部での強度分布が、前記入射角度範囲の中間部での強度分布の、1.5倍から3倍であることを特徴とする請求項9に記載の露光方法。
  11. 前記第1方向に長辺を有する長方形状視野の投影光学系、及び前記第1方向に長辺を有する長方形状の照明視野の照明光学系を使用し、
    前記マスク及び前記基板を、前記投影光学系を介しての結像関係を保ったまま、前記第2方向に相対走査しつつ露光を行なうことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の露光方法。
  12. マスクのパターンを照明光で照明し、前記パターンの像を投影光学系を介して基板上に投影する露光方法であって、
    前記基板の露光を、請求項1から11のいずれか一項に記載の露光方法を用いる第1露光と、それ以外の露光方法を用いる第2露光との多重露光により行なうことを特徴とする露光方法。
  13. 照明光でマスクを照明する照明光学系と、前記マスクのパターンの像を基板上に投影する投影光学系とを有する露光装置であって、
    前記マスク上の第1方向における前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲が、前記第1方向と直交する第2方向における前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲よりも広いことを特徴とする露光装置。
  14. 前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲を、
    前記第1方向における実効的なσ値と、前記第2方向における実効的なσ値とを異ならせるように設定することを特徴とする請求項13に記載の露光方法。
  15. 前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲が、
    前記第1方向については実効的なσ値が0.6以上であり、
    前記第2方向については実効的なσ値が0.3以下で0より大きいことを特徴とする請求項14に記載の露光装置。
  16. 前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲が、
    前記第1方向については実効的なσ値が0.7以上であり、
    前記第2方向については実効的なσ値が0.2以下であることを特徴とする請求項15に記載の露光装置。
  17. 前記マスクのパターンの少なくとも一部は、前記第1方向に長手方向を有するパターンであることを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載の露光装置。
  18. 前記マスクに対する前記照明光の入射角度範囲を調整するための強度分布調整部材を有することを特徴とする請求項13から17のいずれか一項に記載の露光装置。
  19. 前記強度分布調整部材は、前記照明光学系の瞳面上又はこの近傍に配置されて、長方形状又は楕円状の開口が設けられた照明系開口絞りであることを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
  20. 前記照明光学系は、前記照明光の偏光状態を、その電場方向が前記第1方向と一致する直線偏光を主成分とせしめる偏光制御部材を有することを特徴とする請求項13から19のいずれか一項に記載の露光装置。
  21. 前記マスクに対する前記照明光の前記第1方向の入射角度に対する強度分布が、入射角度範囲の両端部で強く、入射角度範囲の中間部で弱くなっていることを特徴とする請求項13から20のいずれか一項に記載の露光装置。
  22. 入射角度範囲の両端部での強度分布は、前記入射角度範囲の中間部での強度分布の、1.5倍から3倍であることを特徴とする請求項21に記載の露光装置。
  23. 前記照明光学系は、前記照明光の入射角度範囲を前記入射角度範囲の前記条件内で可変とする、第1の照明条件可変機構を有することを特徴とする請求項13から22のいずれか一項に記載の露光装置。
  24. 前記照明光学系は、前記照明光の入射角度範囲を、更に前記入射角度範囲外とする第2の照明条件可変機構を有することを特徴とする請求項23に記載の露光装置。
  25. 前記第2の照明条件可変機構が設定する照明条件は、輪帯照明、2極照明、又は4極照明を含むことを特徴とする請求項24に記載の露光装置。
  26. 前記投影光学系の露光視野は、前記第1方向に長辺を有する長方形状であり、前記照明光学系の照明視野は、前記第1方向に長辺を有する長方形状であり、
    前記マスク及び前記基板を、前記投影光学系を介した結像関係を保ったまま相対走査するステージ機構を有すると共に、前記相対走査の方向が、前記第2方向と一致することを特徴とする請求項13から25のいずれか一項に記載の露光装置。
  27. 請求項1から12のいずれか一項に記載の露光方法を使用してデバイスのパターンを基板上に転写する工程を有することを特徴とするデバイス製造方法。
  28. 請求項27に記載のデバイス製造方法により製造されたデバイス。
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