JPWO2004108929A1 - 高親和性IgE受容体β鎖発現調節 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)β鎖遺伝子の転写を調節する、配列番号1で記載される塩基配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチド、及び配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1との結合を促進する工程を含む、FcεRIIβ鎖遺伝子の転写調節方法を提供する。また、本発明は、配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1との結合を促進する工程を含む、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節方法を利用するスクリーニング方法及びそのキットを提供され、新しいアレルギー疾患の予防・治療剤の開発が可能となる。
Description
本発明は、高親和性IgE受容体β鎖発現調節に係り、より詳細には、高親和性IgE受容体β鎖遺伝子転写抑制及びその利用に関する。
近年、花粉症、アトピー性皮膚炎及びアトピー性喘息等のアレルギー症状を持つ人が増加しており、社会的に問題となっている。これらのアレルギーは、IgEによって媒介されるI型アレルギーに分類される。
肥満細胞や好塩基球の細胞膜上に発現する高親和性IgE受容体(以下「FcεRI」という。)はI型アレルギー反応において、鍵を握る糖蛋白質であることが知られている。FcεRIに結合した抗原特異的IgEが、対応する多価抗原(たとえば、杉花粉症の患者では杉花粉抗原、ダニアレルギー患者ではダニ抗原)によって架橋されると、FcεRIは凝集し、シグナル伝達機構が作動し、肥満細胞が初めて活性化される。その結果、アレルギー性炎症を惹起する種々の化学伝達物質、すなわち予め細胞内顆粒に蓄えられているヒスタミンの放出をはじめとして、細胞内代謝産物であるロイコトリエン、プロスタグランジンなどの新たな合成と放出が爆発的に誘導され、I型アレルギー反応が惹起される。
さらに、肥満細胞上のFcεRIの凝集により、肥満細胞からのサイトカインの分泌が促進され、近接する血管内皮細胞に種々の接着分子の発現を誘導する。血液中の好酸球並びにリンパ球がこれらの接着分子を介して炎症局所の血管内皮細胞に結合し、集積する。結果として、遅発性喘息反応が惹起される。さらにまた、皮膚のランゲルハンス細胞に発現するFcεRIは、抗原提示、サイトカイン産出などにより、アトピー性皮膚炎の病態形成に寄与していると推定されている。
これらのことから、I型アレルギーを特異的に支配するFcεRIを標的にして、この受容体からのシグナル伝達をその根幹で遮断することは、アレルギー予防・治療剤の開発に有望な戦略である。
一方、ヒトにおいては、ヒトFcεRIが、α鎖、β鎖、および2つのγ鎖からなる四量体、あるいはα鎖と2つのγ鎖からなる三量体として、細胞表面上に発現して機能している。α鎖は、その細胞外領域で直接IgEと結合し、一方、β鎖・γ鎖は細胞内へのシグナル伝達に関与する。これらのサブユニットのうち、β鎖はγ鎖を介したシグナルを増幅する重要な役目を果たしているのみならず(たとえば、非特許文献1及び2参照)、最近ではα鎖の成熟化を促進することにより細胞上のFcεRIの発現を促進することも報告されている(たとえば、非特許文献3参照)。これは、β鎖の発現を抑制することにより、細胞表面上の受容体の発現も減少し、さらに受容体1個あたりが伝達する細胞内シグナルの強さも低減されることを意味する。そして、このβ鎖発現抑制は、非常に効果的にアレルギー反応を抑制することができると推測される。
FcεRI鎖の発現を抑制するにあたって、β鎖遺伝子の転写を特異的に抑制することは有用な方法である。
ところで、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子に関しては、すでに、そのゲノム構造及び塩基配列が明らかになっている(たとえば、非特許文献4参照)。このうち、プロモーター領域を含む、開始コドンの上流域についてのみ既に解析が行われており、Oct−1の結合モチーフを含む領域がプロモーター活性に必須であることが報告されている(非特許文献5参照)。
しかしながら、その他の遺伝子領域については具体的に転写調節領域を特定した例は皆無であり、イントロンや3’側の非翻訳領域に転写調節領域が存在する例も多いことから、未解析の遺伝子領域中にFcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する領域が存在する可能性もある。
S.Lin et al.,Cell 85,985−995(1996) D.Domobrowicz et al.,Immunity 8,517−529(1998) E.Donnadieu et al.,Immunity 2,515−523(2000) H.Kuster et al.,J.Biol.Chem.267,12782−12787(1992) Y.Akizawa et al.,Int.Immunol.15,549−556(2003)
肥満細胞や好塩基球の細胞膜上に発現する高親和性IgE受容体(以下「FcεRI」という。)はI型アレルギー反応において、鍵を握る糖蛋白質であることが知られている。FcεRIに結合した抗原特異的IgEが、対応する多価抗原(たとえば、杉花粉症の患者では杉花粉抗原、ダニアレルギー患者ではダニ抗原)によって架橋されると、FcεRIは凝集し、シグナル伝達機構が作動し、肥満細胞が初めて活性化される。その結果、アレルギー性炎症を惹起する種々の化学伝達物質、すなわち予め細胞内顆粒に蓄えられているヒスタミンの放出をはじめとして、細胞内代謝産物であるロイコトリエン、プロスタグランジンなどの新たな合成と放出が爆発的に誘導され、I型アレルギー反応が惹起される。
さらに、肥満細胞上のFcεRIの凝集により、肥満細胞からのサイトカインの分泌が促進され、近接する血管内皮細胞に種々の接着分子の発現を誘導する。血液中の好酸球並びにリンパ球がこれらの接着分子を介して炎症局所の血管内皮細胞に結合し、集積する。結果として、遅発性喘息反応が惹起される。さらにまた、皮膚のランゲルハンス細胞に発現するFcεRIは、抗原提示、サイトカイン産出などにより、アトピー性皮膚炎の病態形成に寄与していると推定されている。
これらのことから、I型アレルギーを特異的に支配するFcεRIを標的にして、この受容体からのシグナル伝達をその根幹で遮断することは、アレルギー予防・治療剤の開発に有望な戦略である。
一方、ヒトにおいては、ヒトFcεRIが、α鎖、β鎖、および2つのγ鎖からなる四量体、あるいはα鎖と2つのγ鎖からなる三量体として、細胞表面上に発現して機能している。α鎖は、その細胞外領域で直接IgEと結合し、一方、β鎖・γ鎖は細胞内へのシグナル伝達に関与する。これらのサブユニットのうち、β鎖はγ鎖を介したシグナルを増幅する重要な役目を果たしているのみならず(たとえば、非特許文献1及び2参照)、最近ではα鎖の成熟化を促進することにより細胞上のFcεRIの発現を促進することも報告されている(たとえば、非特許文献3参照)。これは、β鎖の発現を抑制することにより、細胞表面上の受容体の発現も減少し、さらに受容体1個あたりが伝達する細胞内シグナルの強さも低減されることを意味する。そして、このβ鎖発現抑制は、非常に効果的にアレルギー反応を抑制することができると推測される。
FcεRI鎖の発現を抑制するにあたって、β鎖遺伝子の転写を特異的に抑制することは有用な方法である。
ところで、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子に関しては、すでに、そのゲノム構造及び塩基配列が明らかになっている(たとえば、非特許文献4参照)。このうち、プロモーター領域を含む、開始コドンの上流域についてのみ既に解析が行われており、Oct−1の結合モチーフを含む領域がプロモーター活性に必須であることが報告されている(非特許文献5参照)。
しかしながら、その他の遺伝子領域については具体的に転写調節領域を特定した例は皆無であり、イントロンや3’側の非翻訳領域に転写調節領域が存在する例も多いことから、未解析の遺伝子領域中にFcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する領域が存在する可能性もある。
S.Lin et al.,Cell 85,985−995(1996) D.Domobrowicz et al.,Immunity 8,517−529(1998) E.Donnadieu et al.,Immunity 2,515−523(2000) H.Kuster et al.,J.Biol.Chem.267,12782−12787(1992) Y.Akizawa et al.,Int.Immunol.15,549−556(2003)
そこで、本発明は、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節に関与する領域を未解析の領域中から特定し、さらにその領域に結合する転写因子を特定することを目的とする。そして、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節に関与する領域と当該領域に結合する転写因子に基づく知見から本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)ヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)β鎖遺伝子の転写を調節する、配列番号1で記載される塩基配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチド;(2)前記ポリヌクレオチドがDNAである、前記(1)記載のポリヌクレオチド;(3)配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1との結合を促進する工程を含む、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節方法;(4)配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1を含む転写抑制複合体との結合を促進する工程を含む、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節方法;(5)配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1との結合を促進する化合物又はその塩のスクリーニング方法;(6)配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1を含む転写抑制複合体との結合を促進する化合物又はその塩のスクリーニング方法;(7)配列番号1で記載される塩基配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチドを用いる、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する化合物又はその塩のスクリーニング用キット;(8)前記(5)又は(6)記載のスクリーニング方法、又は前記(7)記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する化合物又はその塩;(9)前記(8)記載の化合物又はその塩を含有してなる医薬;(10)前記医薬がアレルギー疾患の予防・治療剤である、前記(9)記載の医薬;(11)哺乳動物に対して、前記(8)記載の化合物又はその塩を有効量投与する工程を含む、アレルギー疾患の予防・治療方法;(12)アレルギー疾患の予防・治療剤を製造するための、前記(8)記載の化合物又はその塩の使用;を提供する。
すなわち、本発明は、(1)ヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)β鎖遺伝子の転写を調節する、配列番号1で記載される塩基配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチド;(2)前記ポリヌクレオチドがDNAである、前記(1)記載のポリヌクレオチド;(3)配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1との結合を促進する工程を含む、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節方法;(4)配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1を含む転写抑制複合体との結合を促進する工程を含む、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節方法;(5)配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1との結合を促進する化合物又はその塩のスクリーニング方法;(6)配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1を含む転写抑制複合体との結合を促進する化合物又はその塩のスクリーニング方法;(7)配列番号1で記載される塩基配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチドを用いる、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する化合物又はその塩のスクリーニング用キット;(8)前記(5)又は(6)記載のスクリーニング方法、又は前記(7)記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する化合物又はその塩;(9)前記(8)記載の化合物又はその塩を含有してなる医薬;(10)前記医薬がアレルギー疾患の予防・治療剤である、前記(9)記載の医薬;(11)哺乳動物に対して、前記(8)記載の化合物又はその塩を有効量投与する工程を含む、アレルギー疾患の予防・治療方法;(12)アレルギー疾患の予防・治療剤を製造するための、前記(8)記載の化合物又はその塩の使用;を提供する。
図1は、本発明におけるレポーターアッセイによるヒトFcεRIβ鎖遺伝子nt4180−nt4260領域の転写調節活性の測定結果を示す図である。
図2は、本発明における部位特異的変異の導入によるnt4180−nt4260領域中の転写調節エレメントの詳細なマッピングを示す。
図3は、本発明におけるゲルシフトアッセイによる結合因子の同定を示す。(A)非標識二本鎖オリゴDNAを用いた競合試験(添加した非標識二本鎖DNAは、レーン3−5;プローブと同じ配列、レーン6−8;プローブの配列中の3塩基置換、レーン9−11;非特異的配列)(B)組換えMZF−1を用いた試験(レーン1;無添加、レーン2;GST、レーン3;GST−MZF−1)。
図4は、本発明におけるMZF−1アンチセンス導入による、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子プロモーター活性の増大を示す。
図5は、本発明におけるMZF−1アンチセンス導入による、ヒトFcεRIβ鎖発現量の増加を示す。
図2は、本発明における部位特異的変異の導入によるnt4180−nt4260領域中の転写調節エレメントの詳細なマッピングを示す。
図3は、本発明におけるゲルシフトアッセイによる結合因子の同定を示す。(A)非標識二本鎖オリゴDNAを用いた競合試験(添加した非標識二本鎖DNAは、レーン3−5;プローブと同じ配列、レーン6−8;プローブの配列中の3塩基置換、レーン9−11;非特異的配列)(B)組換えMZF−1を用いた試験(レーン1;無添加、レーン2;GST、レーン3;GST−MZF−1)。
図4は、本発明におけるMZF−1アンチセンス導入による、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子プロモーター活性の増大を示す。
図5は、本発明におけるMZF−1アンチセンス導入による、ヒトFcεRIβ鎖発現量の増加を示す。
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明に係るヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)β鎖遺伝子の転写を調節する領域を含むDNAは、次に示す方法で取得した。
まず、レポーター遺伝子を用いたアッセイにより、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子のうち、第4エクソンと第5エクソンとの間に存在する第4イントロンの一部に相当する領域が、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を抑制することを見出した。また、部位特異的変異法を用いて、第4イントロン中のMZF−1結合モチーフと相同性を持つ、配列番号1で記載される配列が実際に転写抑制に関与することを明らかにした。次いで、転写調節領域である配列番号1で記載される配列に結合する転写調節因子の同定を行った。FcεRI発現細胞より調製した核抽出物蛋白質を用いたゲルシフトアッセイにより、この配列に実際にMZF−1が結合することが判明した。さらにまた、MZF−1のアンチセンス発現ベクターを、FcεRIβ鎖発現細胞に導入することにより、FcεRIβ鎖遺伝子のプロモーター活性が増大し、FcεRIβ鎖のmRNA量が増大したことから、転写調節因子であるMZF−1が、実際にFcεRIβ鎖遺伝子の転写を抑制することが確認された。
このようにして、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節に関与するDNA領域並びにその領域に結合する転写調節因子が決定されたことにより、FcεRIβ鎖発現を阻害する化合物又はその塩のスクリーニング方法及びスクリーニング用キットを構築することが可能となり、ひいてはアレルギー疾患の治療・予防剤の開発に資するものとなる。たとえば、同定した転写調節因子MZF−1と特定した遺伝子領域の結合を促進する物質を探索するといった方策により、β鎖発現を阻害する化合物又はその塩を開発することが可能となる。
転写調節因子MZF−1は、細胞の種類や遺伝子のプロモーター構造によって転写活性又は転写抑制にも機能することが報告されており、転写活性化及び抑制性補因子の存在が示唆されている(R.Hromas,et al.,Cuur.Top.Microbiolo.Immunol.,211,159−164(1996))。したがって、MZF−1がさらに他の補因子と結合することにより転写抑制に寄与している可能性もあり、その相互作用を促進するような物質を探索する方策により、β鎖発現を阻害する化合物又はその塩を開発することも可能となる。たとえば、後述する本発明の実施例1中のβ鎖遺伝子のnt4180−nt4260領域を挿入したレポータープラスミドを適当なFcεRIβ鎖発現細胞に導入し、ルシフェラーゼ活性の低下を指標として、天然物や合成化合物から、FcεRIβ鎖転写抑制のスクリーニング方法を提供できる。また、MZF−1の転写活性化補因子との結合領域に相当するペプチドあるいはMZF−1の転写活性化補因子のアンチセンスDNAを利用して、MZF−1を含む転写抑制複合体と配列番号1で記載される配列を含む領域の結合を促進する化合物又はその塩を探索することも可能となる。
ここで、化合物の塩とは生理学的に許容される酸(たとえば、無機酸、有機酸など)や、生理学的に許容される塩基(たとえば、アルカリ金属など)などとの塩である。とりわけ好ましいのは、生理学的に許容される酸付加塩である。かかる塩の具体例としては、無機酸として、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸との塩が挙げられ、あるいは有機酸として、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
本発明に係るスクリーニング方法及びスクリーニング用キットを用いて得られる、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する化合物又はその塩は、アレルギー疾患の予防・治療剤として有用である。とりわけ、前記化合物又はその塩を含有する医薬は、その利用価値が高い。
本発明により得られる化合物又はその塩は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。たとえば、本発明により得られる化合物又はその塩を、生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これらの製剤における有効成分量は、指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、たとえば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液体担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油などのような天然産出植物油などを溶解又は懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することできる。注射用水の水性液としては、たとえば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(たとえば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえば、エタノールなど)、ポリアルコール(たとえば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(たとえば、ポリソルベート80(登録商標)、HCO−50など)などと併用してもよい。溶解補助剤として、たとえば、ゴマ油、大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(たとえば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(たとえば、塩酸ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定化剤(たとえば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(たとえば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られえた製剤は、安全で低毒性であるので、たとえば、哺乳動物や温血動物(たとえばヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ)に対して投与することができる。本発明により得られる化合物又はその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、たとえば、花粉症治療の目的で本発明により得られる化合物又はその塩を経口投与する場合、一般的に成人(60Kg)において、1日につき、該化合物又はその塩を0.1mg〜1.0g、好ましくは約1.0mg〜50mg投与する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明をこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 ヒトFcεRIβ鎖遺伝子nt4180−nt4260領域の転写調節活性の測定
ヒトゲノミックライブラリー(Stratagene社)よりプラークハイブリダイゼーション法を用いて、FcεRIβ鎖遺伝子断片を取得した。制限酵素切断及びPCRを利用して得た、第4イントロンの一部を含む遺伝子断片nt4180−nt4260をヒトFcεRIβ鎖プロモーター下流にレポーター遺伝子としてルシフェラーゼをコードする発現プラスミドに挿入した。
500μlの培地(20%FCS添加RPMI(Invitrogen社))に懸濁したヒトのFcεRIβ鎖発現肥満細胞株KU812(1×107個)に、上記レポータープラスミド5μg、及び対照としてCMVプロモーター支配下にシーパンジールシフェラーゼ遺伝子をコードするプラスミドpRL−CMV(東洋インク社)0.1μgを添加し、Gene Pulser II(Bio−Rad社)を用いて、エレクトロポレーション(300V、950μF)を行った。1wellあたり2mlの培地を添加した12wellプレートに半量ずつを移し、37℃、5% CO2条件下で、24時間培養した。細胞を回収し、細胞溶解液を添加後、Luminometer(Berthold社)を使用してホタルルシフェラーゼ活性及びシーパンジールシフェラーゼ活性の測定を行った。細胞溶解液及び基質は、Dual luciferase assay kit(Promega社)に含まれるものを用いた。各サンプルについて、ホタルルシフェラーゼ活性/シーパンジールシフェラーゼ活性の値を算出した。
図1は、β鎖プロモーターのみのときのホタルルシフェラーゼ活性/シーパンジールシフェラーゼ活性の値を1.0とした、相対活性を示す。その結果、遺伝子断片nt4180−nt4260にその挿入向きに関わらず強い転写抑制活性が認められた。
実施例2 部位特異的変異の導入による転写調節エレメントの詳細なマッピング
次に、β鎖遺伝子領域nt4180−nt4260中の転写活性化配列の特定を行った。この領域中の3−5塩基にQuick Change Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を利用し、それぞれ部位特異的変異を導入したレポータープラスミドを用いて、実施例1に示したのと同様の方法でルシフェラーゼアッセイを行った。
図2に示したように、nt4190近傍に変異を導入した場合に、転写抑制活性が阻害されることから、nt4190近傍の配列が転写抑制活性に必須であることが明らかとなった。
実施例3 ゲルシフトアッセイによる結合因子の同定
KU812細胞より、以下のようにして、核タンパク質画分を調製した。KU812細胞を回収後、氷冷したリン酸緩衝塩溶液(8g NaCl、0.2g KCl、0.2g KH2PO4、2.9g Na2HPO4・12H2O/1L H2O)にて洗浄し、同じく氷冷したバッファーA(10mM HEPES pH7.9,10mMKCl,0.1mM EDTA,1mM DTT,1mM PMSF,1μg/ml leupeptin,1μg/ml aprotinin)に懸濁後、氷上で10分間静置した。NP−40を最終濃度0.5%となるように添加し、さらに、氷上で15分間静置後、6000×gで1分間遠心した。沈殿画分をバッファーE(20mM HEPES pH7.9,400mM KCL,15mM MgCl2,0.2mM EDTA,1mM DTT,1mM PMSF,1mM DTT,1mM PMSF,1μg/ml leupeptin,1μg/ml aprotinin)に懸濁して、氷上で1時間放置後、10000×gで10分間遠心した。遠心分離した上清を核タンパク質画分とした。
FITC標識した合成DNAオリゴ5’−GTGAGTTGCCCGCTTCTGTCTTTG−3’及び5’−CAAAGACAGAAGCGGGCAACTCAC−3’(Invitrogen社)を等モル混合し、95℃5分間静置後ゆっくり放冷し、プローブとして使用した。また、プローブと同一の塩基配列を持つもの(self)、nt4190近傍の3塩基を置換したもの(mutant)、プローブと無関係の配列を持つもの(non−specific)の3種類の非標識二本鎖合成オリゴDNAをコンペティターとして用いた。
調製した核抽出物30μgと、プローブ5pmol、コンペティター各5−125pmolをpoly(dI−dC)400ng、1mM MgCl2、30mM KCl、1mM DTT、5%グリセロールを含む10mM HEPES緩衝液(pH7.9)中で混合して、室温で20分間静置した。その後、0.5×TBE緩衝液(45mMトリス、45mMホウ酸、1mM EDTA)を用いた、4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。120Vにて2−3時間泳動後、FluorImager 595(Amersham Bioscience社)を使用して、FITCの蛍光を検出した。その結果を図3(A)に示す。プローブ単独のバンドより移動度の小さい位置にいくつかのシフトしたバンドが観察され(レーン2)、このうち白抜きの矢印で示したバンドは、selfコンペティターを添加した場合(レーン3−5)にコンペティターの濃度依存的に消失し、non−specificコンペティターを添加した場合(レーン6−8)には影響を受けなかったことから、このバンドがプローブに特異的にタンパク質が結合したことによるものであることが示された。さらに、mutantコンペティターを添加した場合(レーン9−11)には、競合のかかり方が非常に弱くなったことから、このタンパク質がnt4190近傍の配列を認識して結合することが明らかとなった。
nt4190近傍の遺伝子領域は転写因子MZF−1の結合モチーフと相同性を有する塩基配列を含んでいた。そこで、次にこの配列に結合する転写因子の同定を行った。通常、ゲルシフトアッセイにおいてMZF−1に対する抗体を添加してシフトバンドのスーパーシフトあるいは消失が起こるかどうかにより解析するが、MZF−1に対する抗体が市販されていないため、大腸菌を用いてglutathione S−transferase(GST)との融合タンパクとして発現させた組換えMZF−1を用いて解析を行った(図3(B))。GST−MZF−1融合タンパクをプローブに添加した場合にはシフトしたバンドが観察され、GSTのみを発現させた場合には観察されなかったことから、MZF−1が特定したnt4190近傍の遺伝子領域に結合することが示された。
実施例4 KU812細胞へのMZF−1アンチセンス導入によるβ鎖プロモーター活性の増大
次に、同定された転写因子の細胞内における転写調節能を確認するため、MZF−1のアンチセンスを細胞に導入しその因子の発現を抑制した状態で、FcεRIβ鎖プロモーター活性を測定した。まず、以下のようにして、MZF−1アンチセンスを作製した。K562細胞より、TRIZOL(Invitrogen社)を用いてtotal RNAを調製した。調製したtotal RNA 1μgを鋳型とし、ランダムヘキサマーをプライマーとして用いてRT反応を行った。その後、ヒトMZF−1の塩基配列に特異的なプライマー
を用いて、94℃30秒、65℃30秒、72℃2分を30サイクルのプロトコールでPCRを行った。得られた増幅断片を、pCR3.1ベクター(Invitrogen社)に挿入し、制限酵素の切断パターンからCMVプロモーターに対して逆向きに断片が挿入されたクローンを選択し、シークエンスにより塩基配列を確認した(pCR3.1−hMZF−1 antisense)。また、コントロールとして使用するために、pCR3.1をEcoRIで切断後、T4 Ligaseを用いて閉環したプラスミドpCR3.1−selfを作製した。
pCR3.1−hMZF−1 antisenseあるいはpCR3.1−self 5−20μgをβ鎖プロモーターおよびnt4180−nt4260領域を含むレポータープラスミド5μgとともに実施例1に記載の条件と同条件のエレクトロポレーションによりKU812細胞に導入し、同様にルシフェラーゼアッセイを行った。レポータープラスミドのみの場合のホタルルシフェラーゼ活性/シーパンジールシフェラーゼ活性の値を1.0とした、相対活性を図4に示した。その結果、pCR3.1−hMZF−1 antisenseの濃度依存的に、ルシフェラーゼ活性、すなわち、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子のプロモーター活性が増大した。このことより、実施例3で同定したMZF−1が、特定したDNA配列に結合することにより、プロモーター活性を抑制することが確認された。
実施例5 KU812細胞へのMZF−1アンチセンス導入によるβ鎖mRNA量の増大
pCR3.1−hMZF−1 antisenseあるいはpCR3.1−self20μgを実施例1と同様にしてエレクトロポレーションによりKU812細胞へ導入した。5% CO2存在下37℃で12時間培養した後、DNAが導入された細胞を選択するためにG418を最終濃度0.4mg/mlとなるように添加した。さらに48時間培養した後細胞を回収し、TRIZOL(Invitrogen社)を用いてtotal RNAを調製した。total RNA各1μgを鋳型としたRT−PCRにより、FcεRIβ鎖およびβ−actinのmRNA量の測定を行った。PCRはRT産物各1μlを鋳型として94℃30秒、55℃30秒、72℃1分のサイクルをβ鎖は28−32回、β−actinは18−22回行った。PCR反応に用いたプライマーは以下のとおりである。
MZF−1のアンチセンスの導入によりβ鎖のmRNA量が増加することが明らかとなった。また、β−actinのバンドの濃さはほとんど変化しないことから、この転写活性化効果がβ鎖に特異的であると考えられた。(図5(A))
さらに、pCR3.1−hMZF−1 antisenseあるいはpCR3.1−self10μgを同様にしてKU812細胞へ導入し、G418によりDNAが導入された細胞を選択した。回収した細胞よりtotal RNAを調製し、ノーザンブロッティングによりFcεRIβ鎖およびβ−actinのmRNA量の測定を行った。total RNA 10μgを2.2Mホルムアルデヒドを含む1.5%アガロースゲルを用いた電気泳動に供し、HybondN(+)ナイロンメンブラン(Amersham Bioscience社)に転写した。50%ホルムアミド、1% blocking reagent(Roche Diagnostics社)、0.1% N−lauroil salcosine、0.02% SDSを含む5×SSC緩衝液中で、DIG標識したFcεRIβ鎖およびβ−actinに対するプローブとハイブリダイズさせた。ハイブリダイズしたプローブを抗DIG抗体とCDP−Starsubstrate(いずれもRoche Diagnostics社)を用いて検出した。結果を図5(B)に示した。(B)の右側のグラフはβ鎖のバンドの濃さを数値化してβ−actinのバンドの濃さで補正した値である。MZF−1のアンチセンスを導入することによりβ鎖のmRNA量が約2.5倍増加した。
以上の結果より、MZF−1アンチセンスを導入して細胞内のMZF−1の発現を抑制することにより、FcεRIβ鎖の発現が増大することが示された。
本発明に係るヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)β鎖遺伝子の転写を調節する領域を含むDNAは、次に示す方法で取得した。
まず、レポーター遺伝子を用いたアッセイにより、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子のうち、第4エクソンと第5エクソンとの間に存在する第4イントロンの一部に相当する領域が、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を抑制することを見出した。また、部位特異的変異法を用いて、第4イントロン中のMZF−1結合モチーフと相同性を持つ、配列番号1で記載される配列が実際に転写抑制に関与することを明らかにした。次いで、転写調節領域である配列番号1で記載される配列に結合する転写調節因子の同定を行った。FcεRI発現細胞より調製した核抽出物蛋白質を用いたゲルシフトアッセイにより、この配列に実際にMZF−1が結合することが判明した。さらにまた、MZF−1のアンチセンス発現ベクターを、FcεRIβ鎖発現細胞に導入することにより、FcεRIβ鎖遺伝子のプロモーター活性が増大し、FcεRIβ鎖のmRNA量が増大したことから、転写調節因子であるMZF−1が、実際にFcεRIβ鎖遺伝子の転写を抑制することが確認された。
このようにして、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節に関与するDNA領域並びにその領域に結合する転写調節因子が決定されたことにより、FcεRIβ鎖発現を阻害する化合物又はその塩のスクリーニング方法及びスクリーニング用キットを構築することが可能となり、ひいてはアレルギー疾患の治療・予防剤の開発に資するものとなる。たとえば、同定した転写調節因子MZF−1と特定した遺伝子領域の結合を促進する物質を探索するといった方策により、β鎖発現を阻害する化合物又はその塩を開発することが可能となる。
転写調節因子MZF−1は、細胞の種類や遺伝子のプロモーター構造によって転写活性又は転写抑制にも機能することが報告されており、転写活性化及び抑制性補因子の存在が示唆されている(R.Hromas,et al.,Cuur.Top.Microbiolo.Immunol.,211,159−164(1996))。したがって、MZF−1がさらに他の補因子と結合することにより転写抑制に寄与している可能性もあり、その相互作用を促進するような物質を探索する方策により、β鎖発現を阻害する化合物又はその塩を開発することも可能となる。たとえば、後述する本発明の実施例1中のβ鎖遺伝子のnt4180−nt4260領域を挿入したレポータープラスミドを適当なFcεRIβ鎖発現細胞に導入し、ルシフェラーゼ活性の低下を指標として、天然物や合成化合物から、FcεRIβ鎖転写抑制のスクリーニング方法を提供できる。また、MZF−1の転写活性化補因子との結合領域に相当するペプチドあるいはMZF−1の転写活性化補因子のアンチセンスDNAを利用して、MZF−1を含む転写抑制複合体と配列番号1で記載される配列を含む領域の結合を促進する化合物又はその塩を探索することも可能となる。
ここで、化合物の塩とは生理学的に許容される酸(たとえば、無機酸、有機酸など)や、生理学的に許容される塩基(たとえば、アルカリ金属など)などとの塩である。とりわけ好ましいのは、生理学的に許容される酸付加塩である。かかる塩の具体例としては、無機酸として、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸との塩が挙げられ、あるいは有機酸として、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
本発明に係るスクリーニング方法及びスクリーニング用キットを用いて得られる、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する化合物又はその塩は、アレルギー疾患の予防・治療剤として有用である。とりわけ、前記化合物又はその塩を含有する医薬は、その利用価値が高い。
本発明により得られる化合物又はその塩は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。たとえば、本発明により得られる化合物又はその塩を、生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これらの製剤における有効成分量は、指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、たとえば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液体担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油などのような天然産出植物油などを溶解又は懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することできる。注射用水の水性液としては、たとえば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(たとえば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえば、エタノールなど)、ポリアルコール(たとえば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(たとえば、ポリソルベート80(登録商標)、HCO−50など)などと併用してもよい。溶解補助剤として、たとえば、ゴマ油、大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(たとえば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(たとえば、塩酸ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定化剤(たとえば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(たとえば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られえた製剤は、安全で低毒性であるので、たとえば、哺乳動物や温血動物(たとえばヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ)に対して投与することができる。本発明により得られる化合物又はその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、たとえば、花粉症治療の目的で本発明により得られる化合物又はその塩を経口投与する場合、一般的に成人(60Kg)において、1日につき、該化合物又はその塩を0.1mg〜1.0g、好ましくは約1.0mg〜50mg投与する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明をこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 ヒトFcεRIβ鎖遺伝子nt4180−nt4260領域の転写調節活性の測定
ヒトゲノミックライブラリー(Stratagene社)よりプラークハイブリダイゼーション法を用いて、FcεRIβ鎖遺伝子断片を取得した。制限酵素切断及びPCRを利用して得た、第4イントロンの一部を含む遺伝子断片nt4180−nt4260をヒトFcεRIβ鎖プロモーター下流にレポーター遺伝子としてルシフェラーゼをコードする発現プラスミドに挿入した。
500μlの培地(20%FCS添加RPMI(Invitrogen社))に懸濁したヒトのFcεRIβ鎖発現肥満細胞株KU812(1×107個)に、上記レポータープラスミド5μg、及び対照としてCMVプロモーター支配下にシーパンジールシフェラーゼ遺伝子をコードするプラスミドpRL−CMV(東洋インク社)0.1μgを添加し、Gene Pulser II(Bio−Rad社)を用いて、エレクトロポレーション(300V、950μF)を行った。1wellあたり2mlの培地を添加した12wellプレートに半量ずつを移し、37℃、5% CO2条件下で、24時間培養した。細胞を回収し、細胞溶解液を添加後、Luminometer(Berthold社)を使用してホタルルシフェラーゼ活性及びシーパンジールシフェラーゼ活性の測定を行った。細胞溶解液及び基質は、Dual luciferase assay kit(Promega社)に含まれるものを用いた。各サンプルについて、ホタルルシフェラーゼ活性/シーパンジールシフェラーゼ活性の値を算出した。
図1は、β鎖プロモーターのみのときのホタルルシフェラーゼ活性/シーパンジールシフェラーゼ活性の値を1.0とした、相対活性を示す。その結果、遺伝子断片nt4180−nt4260にその挿入向きに関わらず強い転写抑制活性が認められた。
実施例2 部位特異的変異の導入による転写調節エレメントの詳細なマッピング
次に、β鎖遺伝子領域nt4180−nt4260中の転写活性化配列の特定を行った。この領域中の3−5塩基にQuick Change Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を利用し、それぞれ部位特異的変異を導入したレポータープラスミドを用いて、実施例1に示したのと同様の方法でルシフェラーゼアッセイを行った。
図2に示したように、nt4190近傍に変異を導入した場合に、転写抑制活性が阻害されることから、nt4190近傍の配列が転写抑制活性に必須であることが明らかとなった。
実施例3 ゲルシフトアッセイによる結合因子の同定
KU812細胞より、以下のようにして、核タンパク質画分を調製した。KU812細胞を回収後、氷冷したリン酸緩衝塩溶液(8g NaCl、0.2g KCl、0.2g KH2PO4、2.9g Na2HPO4・12H2O/1L H2O)にて洗浄し、同じく氷冷したバッファーA(10mM HEPES pH7.9,10mMKCl,0.1mM EDTA,1mM DTT,1mM PMSF,1μg/ml leupeptin,1μg/ml aprotinin)に懸濁後、氷上で10分間静置した。NP−40を最終濃度0.5%となるように添加し、さらに、氷上で15分間静置後、6000×gで1分間遠心した。沈殿画分をバッファーE(20mM HEPES pH7.9,400mM KCL,15mM MgCl2,0.2mM EDTA,1mM DTT,1mM PMSF,1mM DTT,1mM PMSF,1μg/ml leupeptin,1μg/ml aprotinin)に懸濁して、氷上で1時間放置後、10000×gで10分間遠心した。遠心分離した上清を核タンパク質画分とした。
FITC標識した合成DNAオリゴ5’−GTGAGTTGCCCGCTTCTGTCTTTG−3’及び5’−CAAAGACAGAAGCGGGCAACTCAC−3’(Invitrogen社)を等モル混合し、95℃5分間静置後ゆっくり放冷し、プローブとして使用した。また、プローブと同一の塩基配列を持つもの(self)、nt4190近傍の3塩基を置換したもの(mutant)、プローブと無関係の配列を持つもの(non−specific)の3種類の非標識二本鎖合成オリゴDNAをコンペティターとして用いた。
調製した核抽出物30μgと、プローブ5pmol、コンペティター各5−125pmolをpoly(dI−dC)400ng、1mM MgCl2、30mM KCl、1mM DTT、5%グリセロールを含む10mM HEPES緩衝液(pH7.9)中で混合して、室温で20分間静置した。その後、0.5×TBE緩衝液(45mMトリス、45mMホウ酸、1mM EDTA)を用いた、4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。120Vにて2−3時間泳動後、FluorImager 595(Amersham Bioscience社)を使用して、FITCの蛍光を検出した。その結果を図3(A)に示す。プローブ単独のバンドより移動度の小さい位置にいくつかのシフトしたバンドが観察され(レーン2)、このうち白抜きの矢印で示したバンドは、selfコンペティターを添加した場合(レーン3−5)にコンペティターの濃度依存的に消失し、non−specificコンペティターを添加した場合(レーン6−8)には影響を受けなかったことから、このバンドがプローブに特異的にタンパク質が結合したことによるものであることが示された。さらに、mutantコンペティターを添加した場合(レーン9−11)には、競合のかかり方が非常に弱くなったことから、このタンパク質がnt4190近傍の配列を認識して結合することが明らかとなった。
nt4190近傍の遺伝子領域は転写因子MZF−1の結合モチーフと相同性を有する塩基配列を含んでいた。そこで、次にこの配列に結合する転写因子の同定を行った。通常、ゲルシフトアッセイにおいてMZF−1に対する抗体を添加してシフトバンドのスーパーシフトあるいは消失が起こるかどうかにより解析するが、MZF−1に対する抗体が市販されていないため、大腸菌を用いてglutathione S−transferase(GST)との融合タンパクとして発現させた組換えMZF−1を用いて解析を行った(図3(B))。GST−MZF−1融合タンパクをプローブに添加した場合にはシフトしたバンドが観察され、GSTのみを発現させた場合には観察されなかったことから、MZF−1が特定したnt4190近傍の遺伝子領域に結合することが示された。
実施例4 KU812細胞へのMZF−1アンチセンス導入によるβ鎖プロモーター活性の増大
次に、同定された転写因子の細胞内における転写調節能を確認するため、MZF−1のアンチセンスを細胞に導入しその因子の発現を抑制した状態で、FcεRIβ鎖プロモーター活性を測定した。まず、以下のようにして、MZF−1アンチセンスを作製した。K562細胞より、TRIZOL(Invitrogen社)を用いてtotal RNAを調製した。調製したtotal RNA 1μgを鋳型とし、ランダムヘキサマーをプライマーとして用いてRT反応を行った。その後、ヒトMZF−1の塩基配列に特異的なプライマー
を用いて、94℃30秒、65℃30秒、72℃2分を30サイクルのプロトコールでPCRを行った。得られた増幅断片を、pCR3.1ベクター(Invitrogen社)に挿入し、制限酵素の切断パターンからCMVプロモーターに対して逆向きに断片が挿入されたクローンを選択し、シークエンスにより塩基配列を確認した(pCR3.1−hMZF−1 antisense)。また、コントロールとして使用するために、pCR3.1をEcoRIで切断後、T4 Ligaseを用いて閉環したプラスミドpCR3.1−selfを作製した。
pCR3.1−hMZF−1 antisenseあるいはpCR3.1−self 5−20μgをβ鎖プロモーターおよびnt4180−nt4260領域を含むレポータープラスミド5μgとともに実施例1に記載の条件と同条件のエレクトロポレーションによりKU812細胞に導入し、同様にルシフェラーゼアッセイを行った。レポータープラスミドのみの場合のホタルルシフェラーゼ活性/シーパンジールシフェラーゼ活性の値を1.0とした、相対活性を図4に示した。その結果、pCR3.1−hMZF−1 antisenseの濃度依存的に、ルシフェラーゼ活性、すなわち、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子のプロモーター活性が増大した。このことより、実施例3で同定したMZF−1が、特定したDNA配列に結合することにより、プロモーター活性を抑制することが確認された。
実施例5 KU812細胞へのMZF−1アンチセンス導入によるβ鎖mRNA量の増大
pCR3.1−hMZF−1 antisenseあるいはpCR3.1−self20μgを実施例1と同様にしてエレクトロポレーションによりKU812細胞へ導入した。5% CO2存在下37℃で12時間培養した後、DNAが導入された細胞を選択するためにG418を最終濃度0.4mg/mlとなるように添加した。さらに48時間培養した後細胞を回収し、TRIZOL(Invitrogen社)を用いてtotal RNAを調製した。total RNA各1μgを鋳型としたRT−PCRにより、FcεRIβ鎖およびβ−actinのmRNA量の測定を行った。PCRはRT産物各1μlを鋳型として94℃30秒、55℃30秒、72℃1分のサイクルをβ鎖は28−32回、β−actinは18−22回行った。PCR反応に用いたプライマーは以下のとおりである。
MZF−1のアンチセンスの導入によりβ鎖のmRNA量が増加することが明らかとなった。また、β−actinのバンドの濃さはほとんど変化しないことから、この転写活性化効果がβ鎖に特異的であると考えられた。(図5(A))
さらに、pCR3.1−hMZF−1 antisenseあるいはpCR3.1−self10μgを同様にしてKU812細胞へ導入し、G418によりDNAが導入された細胞を選択した。回収した細胞よりtotal RNAを調製し、ノーザンブロッティングによりFcεRIβ鎖およびβ−actinのmRNA量の測定を行った。total RNA 10μgを2.2Mホルムアルデヒドを含む1.5%アガロースゲルを用いた電気泳動に供し、HybondN(+)ナイロンメンブラン(Amersham Bioscience社)に転写した。50%ホルムアミド、1% blocking reagent(Roche Diagnostics社)、0.1% N−lauroil salcosine、0.02% SDSを含む5×SSC緩衝液中で、DIG標識したFcεRIβ鎖およびβ−actinに対するプローブとハイブリダイズさせた。ハイブリダイズしたプローブを抗DIG抗体とCDP−Starsubstrate(いずれもRoche Diagnostics社)を用いて検出した。結果を図5(B)に示した。(B)の右側のグラフはβ鎖のバンドの濃さを数値化してβ−actinのバンドの濃さで補正した値である。MZF−1のアンチセンスを導入することによりβ鎖のmRNA量が約2.5倍増加した。
以上の結果より、MZF−1アンチセンスを導入して細胞内のMZF−1の発現を抑制することにより、FcεRIβ鎖の発現が増大することが示された。
本発明によれば、ヒトFcεRIβ鎖遺伝子の転写抑制に関与する塩基配列が提供され、β鎖発現を阻害する化合物又はその塩のスクリーニング方法及びそのキットが確立される。そのため、本発明は、新しいアレルギー疾患の予防・治療剤の開発を進めることが可能となる。
Claims (12)
- ヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)β鎖遺伝子の転写を調節する、配列番号1で記載される塩基配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
- 配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1との結合を促進する工程を含む、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節方法。
- 配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1を含む転写抑制複合体との結合を促進する工程を含む、FcεRIβ鎖遺伝子の転写調節方法。
- 配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1との結合を促進する化合物又はその塩のスクリーニング方法。
- 配列番号1で記載される塩基配列を含むFcεRIβ鎖遺伝子の転写調節領域と、MZF−1を含む転写抑制複合体との結合を促進する化合物又はその塩のスクリーニング方法。
- 配列番号1で記載される塩基配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチドを用いる、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する化合物又はその塩のスクリーニング用キット。
- 請求項5又は6記載のスクリーニング方法、又は請求項7記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、FcεRIβ鎖遺伝子の転写を調節する化合物又はその塩。
- 請求項8記載の化合物又はその塩を含有してなる医薬。
- 前記医薬がアレルギー疾患の予防・治療剤である、請求項9記載の医薬。
- 哺乳動物に対して、請求項8記載の化合物又はその塩を有効量投与する工程を含む、アレルギー疾患の予防・治療方法。
- アレルギー疾患の予防・治療剤を製造するための、請求項8記載の化合物又はその塩の使用。
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