JPWO2004080312A1 - うつ病の診断方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、うつ病を正確に評価できる評価尺度を提供することである。本発明によれば、ファジィ推論および/又は多変数分析に基づいた言葉情報を利用した新規なうつ病の評価システムによるうつ病の診断方法が提供される。
Description
本発明は、うつ病の診断方法に関する。より詳細には、本発明は、ファジィ推論と多変数分析に基づいた新規なうつ病評価尺度を用いたうつ病の診断方法に関する。
うつ病は、主な精神疾患の中でも最も頻度の高い疾患であり(Kessler RC他、Arch Gen Psychiatry,1994;51:8−19)、通常の苦悩、悲しみや失望、及び内科疾患の罹患後の精神不安や困惑とは区別する必要がある。うつ病は、強い悲しみと失望、精神活動の低下及び集中力の喪失、悲観的な心配、不安感、及び自己非難を感じることを特徴とする。肉体的変化も生じ、例えば、不眠、食欲の喪失、体重の減少、活力と性的衝動の低下などが挙げられる。しかしながら、うつ病の評価は容易ではなく、症状は過小診断されることが多い(Keller MB他、JAMA,1982;248:1848−1855)。
これまでに多数のうつ病の評価尺度が作られている。例えば、ハミルトンのうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale)(HAM−D)(Hamilton M,J Neurol Neurosurg Psychiat,1960;23:56−62)、簡便精神医学評価尺度(Brief Psychiatric rating Scale)(BPRS)(Overall JE他、Psycol Rep,1962;10:799−812)、モンドゴメリー・アスベルグのうつ病評価尺度(Montgomery Asberg Depression Rating Scale)(MADRS)(Montgomery SA,他、Br J Psychiatry,1979;134:382−389)、及びベックのうつ病目録(Beck Depression Inventory)(BDI)(Beck AT,他、Arch Gen Psychiatry,1961;4:561−571)は、有用な評価尺度である。これらの評価尺度は、うつ病の程度を評価したり、新しい抗うつ薬の効果を調べるために広く利用されている。
しかしながら、既存の評価尺度には幾つかの問題点がある。これらは客観的な評価尺度である。うつ病の判定は、個人の答えや質問者の判断に基づくものであり、このような情報は主観的なものである。質問の定量化は、必要な情報を引き出すという点において質問者の技量に完全に依存する。もう一つの問題点は、症状に付与される重みは直線的なものではないということである。患者は、質問に答える際に、はい/いいえ、又は1、2、3のどの答えを選択すべきか悩むことが多く、質問に対する応答は、精神環状及び身体状況によって影響されて変動する。即ち、うつ病の概念は、正常被験者の悲しみから精神病患者の重度のうつ病までの重複する領域に及ぶ。
また最近では、ファジィ情報を評価するために、ファジィ推論および/又は多変数理論が利用されている(Zadeh LA,Information and Control,1965;8:338−353;Sanchez E,他、Biomed Fuzzy Sys Bull,1990;1:4−21;及びArita S,Biomed Fuzzy Sys Bull,1990;1:83−89)。
これまでに多数のうつ病の評価尺度が作られている。例えば、ハミルトンのうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale)(HAM−D)(Hamilton M,J Neurol Neurosurg Psychiat,1960;23:56−62)、簡便精神医学評価尺度(Brief Psychiatric rating Scale)(BPRS)(Overall JE他、Psycol Rep,1962;10:799−812)、モンドゴメリー・アスベルグのうつ病評価尺度(Montgomery Asberg Depression Rating Scale)(MADRS)(Montgomery SA,他、Br J Psychiatry,1979;134:382−389)、及びベックのうつ病目録(Beck Depression Inventory)(BDI)(Beck AT,他、Arch Gen Psychiatry,1961;4:561−571)は、有用な評価尺度である。これらの評価尺度は、うつ病の程度を評価したり、新しい抗うつ薬の効果を調べるために広く利用されている。
しかしながら、既存の評価尺度には幾つかの問題点がある。これらは客観的な評価尺度である。うつ病の判定は、個人の答えや質問者の判断に基づくものであり、このような情報は主観的なものである。質問の定量化は、必要な情報を引き出すという点において質問者の技量に完全に依存する。もう一つの問題点は、症状に付与される重みは直線的なものではないということである。患者は、質問に答える際に、はい/いいえ、又は1、2、3のどの答えを選択すべきか悩むことが多く、質問に対する応答は、精神環状及び身体状況によって影響されて変動する。即ち、うつ病の概念は、正常被験者の悲しみから精神病患者の重度のうつ病までの重複する領域に及ぶ。
また最近では、ファジィ情報を評価するために、ファジィ推論および/又は多変数理論が利用されている(Zadeh LA,Information and Control,1965;8:338−353;Sanchez E,他、Biomed Fuzzy Sys Bull,1990;1:4−21;及びArita S,Biomed Fuzzy Sys Bull,1990;1:83−89)。
近年、うつ病患者は急増し、その危険率は15〜25%に達すると言われている。うつ病を早期に発見し、治療することは自殺を防止するばかりでなく、社会経済的損失を低下させるうえでも重要である。しかしながら、うつ病の発見と評価は、精神科専門医でも困難であり、一般医、ましては患者自身でも現症を正しく評価することは困難であった。そのため、うつ病を正確に評価できる評価尺度が必要であった。即ち、本発明の目的は、うつ病を正確に評価できる評価尺度を提供することである。
本発明は、ファジィ推論および/又は多変数分析に基づいた言葉情報を利用した新規なうつ病の評価システムに関するものである。
本発明によれば、以下の工程を含むうつ病の診断方法が提供される。
(1)うつ病の症状を複数個選択する工程、
(2)重症度を予め診断された複数の対照うつ病患者について、上記(1)で選択した各症状の度合いを数値として決定する工程、
(3)上記(2)で決定した数値を用いて多変数解析により、上記(1)で選択した各症状の「良い」、「普通」及び「悪い」のそれぞれについて、分類別重み(categorical weight)を算出する工程、
(4)対照患者の各人について各症状の分類別重み(categorical weight)を全て加算して、ニュースケールスコア(New scale score)を算出し、うつ病の重症度の診断のためのニュースケールスコア(New scale score)のカットオフ(cut−off value)を、予め行った診断結果と合致するように定める工程、
(5)上記(1)で選択した各症状について、診断対象患者が「良い」、「普通」及び「悪い」の何れかであるかを決定する工程、
(6)上記(5)の結果と、上記(3)で算出した分類別重み(categorical weight)とを用いて、診断対象患者の各症状の分類別重み(categorical weight)を全て加算して、診断対象患者のニュースケールスコア(New scale score)を算出する工程、及び
(7)上記(6)で算出したニュースケールスコア(New scale score)をカットオフ値と比較することにより診断対象患者のうつ病の重症度を診断する工程。
好ましくは、上記工程(1)において、うつ病の症状を、DSM−IVの主要うつ症状の基準「A」から選択することができる。
好ましくは、上記工程(2)において、症状評価尺度を用いて各症状の程度を決定し、その結果に基づいて各症状の度合いを数値として表すことができる。
好ましくは、上記工程(2)において、直線(ここで、直線の片方の端はその症状が強いことを示し、直線の中央部はその症状が中位であることを示し、直線の他方の端はその症状がないことを示す)を症状評価尺度として使用し、診断対象患者に各症状の程度を、上記直線上に一定の幅を含むように記入してもらい、該幅の中心と上記直線の何れか片方の端との距離をB値(Interval)として測定し、このB値(Interval)を各症状の度合いとして使用することができる。
好ましくは、中症うつ病又は軽症うつ病と診断された患者を対照うつ病患者として使用し、工程(7)においてニュースケールスコア(New scale score)が基準値以上である場合に中等度うつ病と診断し、基準値未満である場合に軽度うつ病と診断することができる。
好ましくは、うつ病の症状として食欲、睡眠、焦燥感、不安感、抑うつ気分、及び自殺念慮を選択し;上記各症状について、診断対象患者が「良い」、「普通」又は「悪い」の何れかであるかを決定し;その決定に基づいて以下に記載の分類別重み(categorical weight)を全て加算してニュースケールスコア(New scale score)を算出し、算出したニュースケールスコア(New scale score)が、0.05以上である場合に中等度うつ病と診断し、0.05未満である場合に軽度うつ病と診断することを含む、うつ病の診断方法が提供される。
本発明の方法では、例えば、抗うつ薬による治療効果の判定を行うことができる。
本発明は、ファジィ推論および/又は多変数分析に基づいた言葉情報を利用した新規なうつ病の評価システムに関するものである。
本発明によれば、以下の工程を含むうつ病の診断方法が提供される。
(1)うつ病の症状を複数個選択する工程、
(2)重症度を予め診断された複数の対照うつ病患者について、上記(1)で選択した各症状の度合いを数値として決定する工程、
(3)上記(2)で決定した数値を用いて多変数解析により、上記(1)で選択した各症状の「良い」、「普通」及び「悪い」のそれぞれについて、分類別重み(categorical weight)を算出する工程、
(4)対照患者の各人について各症状の分類別重み(categorical weight)を全て加算して、ニュースケールスコア(New scale score)を算出し、うつ病の重症度の診断のためのニュースケールスコア(New scale score)のカットオフ(cut−off value)を、予め行った診断結果と合致するように定める工程、
(5)上記(1)で選択した各症状について、診断対象患者が「良い」、「普通」及び「悪い」の何れかであるかを決定する工程、
(6)上記(5)の結果と、上記(3)で算出した分類別重み(categorical weight)とを用いて、診断対象患者の各症状の分類別重み(categorical weight)を全て加算して、診断対象患者のニュースケールスコア(New scale score)を算出する工程、及び
(7)上記(6)で算出したニュースケールスコア(New scale score)をカットオフ値と比較することにより診断対象患者のうつ病の重症度を診断する工程。
好ましくは、上記工程(1)において、うつ病の症状を、DSM−IVの主要うつ症状の基準「A」から選択することができる。
好ましくは、上記工程(2)において、症状評価尺度を用いて各症状の程度を決定し、その結果に基づいて各症状の度合いを数値として表すことができる。
好ましくは、上記工程(2)において、直線(ここで、直線の片方の端はその症状が強いことを示し、直線の中央部はその症状が中位であることを示し、直線の他方の端はその症状がないことを示す)を症状評価尺度として使用し、診断対象患者に各症状の程度を、上記直線上に一定の幅を含むように記入してもらい、該幅の中心と上記直線の何れか片方の端との距離をB値(Interval)として測定し、このB値(Interval)を各症状の度合いとして使用することができる。
好ましくは、中症うつ病又は軽症うつ病と診断された患者を対照うつ病患者として使用し、工程(7)においてニュースケールスコア(New scale score)が基準値以上である場合に中等度うつ病と診断し、基準値未満である場合に軽度うつ病と診断することができる。
好ましくは、うつ病の症状として食欲、睡眠、焦燥感、不安感、抑うつ気分、及び自殺念慮を選択し;上記各症状について、診断対象患者が「良い」、「普通」又は「悪い」の何れかであるかを決定し;その決定に基づいて以下に記載の分類別重み(categorical weight)を全て加算してニュースケールスコア(New scale score)を算出し、算出したニュースケールスコア(New scale score)が、0.05以上である場合に中等度うつ病と診断し、0.05未満である場合に軽度うつ病と診断することを含む、うつ病の診断方法が提供される。
本発明の方法では、例えば、抗うつ薬による治療効果の判定を行うことができる。
図1は、うつ病評価尺度の一例を示す。上部には「あなたの気持ちを適切に表している位置に丸をつけて質問に答えて下さい。」と記載されている。質問1は「食欲は良好ですか?」、質問2は「睡眠は良好ですか?」、質問3は「焦燥感を感じますか?」、質問4は「不安感を感じますか?」、質問5は「抑うつ気分を感じますか?」、そして質問6は「人生が嫌になりますか?」である。
図2は、評価システムの分析方法を示す。上段の図は、質問1「食欲は良好ですか?」と質問2「睡眠は良好ですか?」についてのものを示し、下段の図は、質問3「焦燥感を感じますか?」、質問4「不安感を感じますか?」、質問5「抑うつ気分を感じますか?」、及び質問6「人生が嫌になりますか?」についてのものを示す。
図3は、治療後における本発明の評価尺度の経過を示す。
図2は、評価システムの分析方法を示す。上段の図は、質問1「食欲は良好ですか?」と質問2「睡眠は良好ですか?」についてのものを示し、下段の図は、質問3「焦燥感を感じますか?」、質問4「不安感を感じますか?」、質問5「抑うつ気分を感じますか?」、及び質問6「人生が嫌になりますか?」についてのものを示す。
図3は、治療後における本発明の評価尺度の経過を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明においては、先ず、一般的なうつ病患者が訴える症状の中から、中心的症状である6項目(食欲、睡眠、焦燥感、不安感、抑うつ気分、自殺含慮)を抽出し、各項目についてファジィ・スケールを作製した。症状としては、例えば、DSM−IVの主要うつ症状の基準「A」から選択することができ、上記の6項目はその一例である。選択する項目の数は複数以上であれば特に限定されないが、好ましくは3項目から10項目程度であり、より好ましくは3項目から8項目程度であり、特に好ましくは上記の6項目(食欲、睡眠、焦燥感、不安感、抑うつ気分、自殺含慮)である。
ファジィ・スケールとは、食欲などの症状項目の程度(強さ)を「10点満点中6点」といった数値で示すのではなく、5点から7点くらいのある幅をもった円で囲む回答方式のことを言う。この円から中心と変動の幅を算出し、ファジィ理論のメンバーシップ関数により、円で囲まれた入力データから症状項目の程度が(「とても」20%、「やや」70%、「少し」10%)のデータに変換する。このデータ変換により、回答者の項目回答のゆらぎが軽減できる。
次いで、うつ病患者の症状をファジィスケールに入力し、診断ロジックにもとづいて各うつ病症状の重症度を計算し、うつ診断ロジックを作製した。この計算に基づいてうつ病評価尺度を作成した。
うつ病の各症状を入力し、変換されたデータから、総合的なうつ病重症度を算出するシステムが「うつ診断ロジック」である。すなわち、診断ロジックは症状の各項目による「うつ病得点」が計算され、出力側には、それらの各項目の「うつ病得点」の和が計算される。また、各項目の「うつ病得点」はすべて同等ではなく、各項ごとにうつ重症度の「重み」が異なる。この「重み」は臨床データを基に多変量解析(数量化理論第II類)によって算出されたものである。うつ診断ロジックによって算出された総合的なうつ重症度が「うつ病評価尺度」である。
上記のようにして作製した本発明のうつ病評価尺度を用いて、別のうつ病患者群を評価し、臨床診断と、評価尺度による重症度がよく相関していることが証明された。また、このうつ病評価尺度と、従来使用されてきたHamilton Depression Rating Scale(HAM−D)のうつ病評価尺度の二つを、新たなうつ病患者群で検証し、両者の相関は相関係数0.927の高値を示し、よく相関していることを確認した。以上の結果から、本発明のうつ病評価尺度の信頼性が実証されている。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
本発明においては、先ず、一般的なうつ病患者が訴える症状の中から、中心的症状である6項目(食欲、睡眠、焦燥感、不安感、抑うつ気分、自殺含慮)を抽出し、各項目についてファジィ・スケールを作製した。症状としては、例えば、DSM−IVの主要うつ症状の基準「A」から選択することができ、上記の6項目はその一例である。選択する項目の数は複数以上であれば特に限定されないが、好ましくは3項目から10項目程度であり、より好ましくは3項目から8項目程度であり、特に好ましくは上記の6項目(食欲、睡眠、焦燥感、不安感、抑うつ気分、自殺含慮)である。
ファジィ・スケールとは、食欲などの症状項目の程度(強さ)を「10点満点中6点」といった数値で示すのではなく、5点から7点くらいのある幅をもった円で囲む回答方式のことを言う。この円から中心と変動の幅を算出し、ファジィ理論のメンバーシップ関数により、円で囲まれた入力データから症状項目の程度が(「とても」20%、「やや」70%、「少し」10%)のデータに変換する。このデータ変換により、回答者の項目回答のゆらぎが軽減できる。
次いで、うつ病患者の症状をファジィスケールに入力し、診断ロジックにもとづいて各うつ病症状の重症度を計算し、うつ診断ロジックを作製した。この計算に基づいてうつ病評価尺度を作成した。
うつ病の各症状を入力し、変換されたデータから、総合的なうつ病重症度を算出するシステムが「うつ診断ロジック」である。すなわち、診断ロジックは症状の各項目による「うつ病得点」が計算され、出力側には、それらの各項目の「うつ病得点」の和が計算される。また、各項目の「うつ病得点」はすべて同等ではなく、各項ごとにうつ重症度の「重み」が異なる。この「重み」は臨床データを基に多変量解析(数量化理論第II類)によって算出されたものである。うつ診断ロジックによって算出された総合的なうつ重症度が「うつ病評価尺度」である。
上記のようにして作製した本発明のうつ病評価尺度を用いて、別のうつ病患者群を評価し、臨床診断と、評価尺度による重症度がよく相関していることが証明された。また、このうつ病評価尺度と、従来使用されてきたHamilton Depression Rating Scale(HAM−D)のうつ病評価尺度の二つを、新たなうつ病患者群で検証し、両者の相関は相関係数0.927の高値を示し、よく相関していることを確認した。以上の結果から、本発明のうつ病評価尺度の信頼性が実証されている。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(方法)
1.尺度の構築
多変数分析を評価するために、「食欲は良好ですか?」などの6個の質問を採用した(図1)。6個の予備的質問は、DSM−IV(American Psychiatric Association.Diagnostic and Stastistical Manual of Mental Disorders,Forth Edition.Washington,DC:American Psychiatric Association;1994)中の主要なうつ病の症状の出現の基準「A」から選択した。これらの基準はうつ病の評価のために精神科医によってよく使用されている。医者又は患者は、程度の表記が付いた印付のカードを使用して6個の精神症状に関するデータを入力することができる(図2)。次いで、医者がうつ病の重症度(軽症又は中症)を評価した。
症状の範囲は、3つの部分(良い、普通、悪い)に均等に分割した。長円形の中心(A地点)を症状の最適位置と認定した。A地点と「良い」の先端との距離(B)を、各部分からのデータとして測定した(図2)。6個の症状の間の臨床的重み及び各々の程度(良い、普通、悪い)についての分類別重みを、多変数分析(Hayashiの定量方法)により距離(B)のデータを用いて分析した。各個人の全体の分類別重みスコアを、個人のうつ病患者の程度として評価した。そして、カットオフ値を分析して、軽症又は中症のうつ病に分割した。
平均年齢45歳(21歳〜64歳まで)の30名の患者(男性19名、女性11名)についてこの分析を行った。患者は外来患者で、全員が主要うつ病疾患についてのDSM−IV基準を充足していた。中症の患者が22名で、軽症の患者が8名であった。発作又は筋肉の痙攣、合併している不安症、躁状態、アルコール又は薬物の乱用、及び他の精神疾患の病歴を有する被験者は、本実施例の実験から除いた。
2.本発明の評価尺度の有効性
うつ病の重症度を評価する尺度の有効性を試験するためには、比較は独立した測定で行う必要がある。この尺度が中症及び軽症を同定することができるかどうかを予備的に評価するために、中症うつ病(19名の患者)と軽症うつ病(11名の患者)の間で明確な相違がある被験者において尺度スコアを比較した。中症又は軽症はDSM−IV基準で特定した。13名の男性と17名の女性であり、平均年齢は45歳であった(20歳から70歳)。尺度の有効性は、χ2試験及びFisher’s試験を用いて分析した。有意性の水準はP<0.05に設定した。
3.本発明の評価尺度の進捗
本発明の評価尺度と、17項目のHAM−Dスコアを使用して、抗うつ治療を施した患者のうつ病の重症度の進行を比較した。平均年齢42.2歳(25歳から62歳)の10名の患者(3名の男性と7名の女性)がこの試験に参加した。全員が主要うつ病疾患(中症)についてのDSM−IV基準を充足していた。ミルナシプラン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)を抗うつ薬として経口投与した。他の抗うつ薬は使用しなかった。ミルナシプランの一日当たりの投与量は50mgから100mgであり、30日間投与した。ミルナシプランは新しい抗うつ薬であり、その効果は実証されているので(Montgomery SA,他、Int Clin Psychopharmacol,1996:11(suppl 4):47−51;及び、Spencer CM,他、Drug,1998;56:405−427)、本試験で使用した。ミルナシプランによる治療の10日及び30日後にスコアを評価し、中症又は軽症をDSM−IV基準でも評価した。
なお、全ての試験の開始前に、患者全員からインフォームドコンセントを取得した。
(結果)
多変数解析は、6個の臨床症状の間の各因子の臨床的重みを示した(表1)。重みは因子間で異なる。睡眠が最も重要と考えられ、2番目は食欲であった。不安感、抑うつ気分、及び自殺念慮はほぼ同じ値であった。焦燥感は、これらの6個の症状の中で低い値であった。
各々のうつ病症状の分類別重みを表1に示す。睡眠(0.163)、自殺念慮(0.136)及び不安感(0.127)は、中症のうつ病の重要な因子である一方、睡眠(−0.339)、食欲(−0.233)及び抑うつ気分(−0.188)は軽症うつ病の重要な因子であった。
19名の中症うつ病患者の個々の全体の分類別重みスコアは0.08から0.59であった。しかし、11名の軽症うつ病患者の個々の全体の分類別重みスコアは−0.92から0.03であった。2つの群を分けるスコアは0.05であった。うつ病の重症度とスコアとの相関を表2に示す。2つの群の間には有意差があった(χ2=30.df=1、P<0.0001、Fisher’s P<0.0001)。
予後について、全患者は、10日及び30日のミルナシプラン治療後に、DSM−IV基準により中症から軽症に改善した。全患者のこれら新規評価尺度スコアは、ミルナシプラン治療前は0.05以上であった。全患者のこれら新規評価尺度スコアは、10日及び30日のミルナシプラン治療後は0.05未満に低下した。17項目のHAM−Dについては、中症うつ病について≧16ポイントのカットオフ値が提唱されている(Beck P,他、Acta Psychiar Scand,1986;73(suppl 326):7−37)。全患者のHAM−Dスコアは治療前は16ポイント以上を示した。しかし、10日間の治療期間後、6名の患者は16ポイント以上を示した。また、30日間の治療期間後、1名の患者は16ポイント以上を示した(図3)。
(考察)
医師による疾患の決定と評価において直接の問診は重要な役割を担う。患者と医師間の会話は、価値ある情報を医学的評価に提供する。この情報は、不眠、不安等のような言葉の説明からなるものである。このような情報は、ある種の疾患を示唆する場合がある。相談室での患者からの言葉の情報は医学的評価のために非常に有用である。例えば、軽度の不眠、食欲不振及び疲労の不満は一定の身体疾患を示唆する可能性がある。特に、このような言葉情報はうつ病の評価において非常に重要である。しかし、そのような言葉情報を正確に表示するうつ病の評価尺度は開発されていない。その第一の理由は、言葉情報はファジィ性を主観的な広がりを有しているためである。第二の理由は、各症状が様々な様式で臨床的なうつ病に寄与しているためである。
本発明では、うつ病の各症状の臨床上の重みを示すことができた。これらの臨床上の重みは、うつ状態の重症度を評価するために相談室において精神分析医によって普段から使用されている。さらに、本発明では、臨床重みにファジィな広がりを提供する分類別の重みを開発した。これらの分類別の重みは、重要な意義を有し、予後を予測することができる。睡眠、不安感及び自殺念慮は、中症うつ病において「悪い」の位置に印が置かれた場合には、高い値を有した。従って、これらの因子は、重症状態の指標である。そして、これらの値を調べることにより、うつ病の悪化を同定することができる。しかしながら、食欲、睡眠及び抑うつ気分は、軽症うつ病において「良い」の位置上に低い値を有していた。これらの因子は軽症状態の指標である。そして、これらの値を調べることにより、うつ病の改善を同定することができる。言葉情報のファジィ性を表すことができる評価尺度を、これらの因子及び値を用いて作製した。
うつ病の評価項目として6個の項目を選択した。多くの項目を用意すると、重要でない項目が増えてしまう。余計な重要でない情報は核心の情報を混乱させる可能性がある。抗うつ薬による治療効果のための評価尺度のための主要な要件は、うつ病に関連して臨床設備に適用できるように短くかつ容易なものであり、かつ変化を感度よく正確に評価できるということである(Carrol BJ,他、Arch Gen Psychiatry,1973;28:361−366;及びPichot P.The problem of quantifying the symptomatology of depression.In Depressive Illness(ed.P.Kielholz).Bern:Huber,1972)。多数の項目の存在はランダム誤差を増大させる傾向がある(Montgomery SA,他、Br J Psychiatry,1979;134:382−389)。従って、DSM−IVの主要うつ病症状の基準Aの中から6個の核心の症状を選択した。精神科医は一般にこれらの症状をうつ病の評価に重要であると考える。さらに、尺度は実用のために簡単なものが好ましいが、これらの6個の項目は複雑なものではない。モントゴメリー及びアスベルグは、17項目のHAM−Dと彼ら自身の10個の項目の尺度を用いて同様に高い信頼性を実証した(Montgomery SA,他、Br J Psychiatry,1979;134:382−389)。最大でも10個程度の項目数が実用的には好適である。
尺度の有効性を調べるために、重症度とスコアの間のポイント二系列相関を、本発明の評価尺度とDSM−IVについて計算した。重症度と本発明の評価尺度スコアとの間に強い相関が存在した。軽症と中症のうつ病のカットオフ値は0.05ポイントであることが示唆された。
抗うつ薬によるうつ病の治療の予後に関して、重症度と新規な評価尺度スコアとの間の相関は、重症度とHAM−Dスコアの相関よりも高かった。HAM−Dは多くの項目を有し、コア情報は末端の項目と混同される可能性があることは上述した通りである。従って、HAM−Dスコアは医師の印象と一致しない場合があるかもしれない。本発明の評価尺度は予後及び改善の優れた予測手段である。
本実施例では、多変数解析と言葉情報を利用したうつ病の新しい評価尺度を考察した。本発明の評価尺度は、うつ病の診断に有用である。
1.尺度の構築
多変数分析を評価するために、「食欲は良好ですか?」などの6個の質問を採用した(図1)。6個の予備的質問は、DSM−IV(American Psychiatric Association.Diagnostic and Stastistical Manual of Mental Disorders,Forth Edition.Washington,DC:American Psychiatric Association;1994)中の主要なうつ病の症状の出現の基準「A」から選択した。これらの基準はうつ病の評価のために精神科医によってよく使用されている。医者又は患者は、程度の表記が付いた印付のカードを使用して6個の精神症状に関するデータを入力することができる(図2)。次いで、医者がうつ病の重症度(軽症又は中症)を評価した。
症状の範囲は、3つの部分(良い、普通、悪い)に均等に分割した。長円形の中心(A地点)を症状の最適位置と認定した。A地点と「良い」の先端との距離(B)を、各部分からのデータとして測定した(図2)。6個の症状の間の臨床的重み及び各々の程度(良い、普通、悪い)についての分類別重みを、多変数分析(Hayashiの定量方法)により距離(B)のデータを用いて分析した。各個人の全体の分類別重みスコアを、個人のうつ病患者の程度として評価した。そして、カットオフ値を分析して、軽症又は中症のうつ病に分割した。
平均年齢45歳(21歳〜64歳まで)の30名の患者(男性19名、女性11名)についてこの分析を行った。患者は外来患者で、全員が主要うつ病疾患についてのDSM−IV基準を充足していた。中症の患者が22名で、軽症の患者が8名であった。発作又は筋肉の痙攣、合併している不安症、躁状態、アルコール又は薬物の乱用、及び他の精神疾患の病歴を有する被験者は、本実施例の実験から除いた。
2.本発明の評価尺度の有効性
うつ病の重症度を評価する尺度の有効性を試験するためには、比較は独立した測定で行う必要がある。この尺度が中症及び軽症を同定することができるかどうかを予備的に評価するために、中症うつ病(19名の患者)と軽症うつ病(11名の患者)の間で明確な相違がある被験者において尺度スコアを比較した。中症又は軽症はDSM−IV基準で特定した。13名の男性と17名の女性であり、平均年齢は45歳であった(20歳から70歳)。尺度の有効性は、χ2試験及びFisher’s試験を用いて分析した。有意性の水準はP<0.05に設定した。
3.本発明の評価尺度の進捗
本発明の評価尺度と、17項目のHAM−Dスコアを使用して、抗うつ治療を施した患者のうつ病の重症度の進行を比較した。平均年齢42.2歳(25歳から62歳)の10名の患者(3名の男性と7名の女性)がこの試験に参加した。全員が主要うつ病疾患(中症)についてのDSM−IV基準を充足していた。ミルナシプラン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)を抗うつ薬として経口投与した。他の抗うつ薬は使用しなかった。ミルナシプランの一日当たりの投与量は50mgから100mgであり、30日間投与した。ミルナシプランは新しい抗うつ薬であり、その効果は実証されているので(Montgomery SA,他、Int Clin Psychopharmacol,1996:11(suppl 4):47−51;及び、Spencer CM,他、Drug,1998;56:405−427)、本試験で使用した。ミルナシプランによる治療の10日及び30日後にスコアを評価し、中症又は軽症をDSM−IV基準でも評価した。
なお、全ての試験の開始前に、患者全員からインフォームドコンセントを取得した。
(結果)
多変数解析は、6個の臨床症状の間の各因子の臨床的重みを示した(表1)。重みは因子間で異なる。睡眠が最も重要と考えられ、2番目は食欲であった。不安感、抑うつ気分、及び自殺念慮はほぼ同じ値であった。焦燥感は、これらの6個の症状の中で低い値であった。
各々のうつ病症状の分類別重みを表1に示す。睡眠(0.163)、自殺念慮(0.136)及び不安感(0.127)は、中症のうつ病の重要な因子である一方、睡眠(−0.339)、食欲(−0.233)及び抑うつ気分(−0.188)は軽症うつ病の重要な因子であった。
19名の中症うつ病患者の個々の全体の分類別重みスコアは0.08から0.59であった。しかし、11名の軽症うつ病患者の個々の全体の分類別重みスコアは−0.92から0.03であった。2つの群を分けるスコアは0.05であった。うつ病の重症度とスコアとの相関を表2に示す。2つの群の間には有意差があった(χ2=30.df=1、P<0.0001、Fisher’s P<0.0001)。
予後について、全患者は、10日及び30日のミルナシプラン治療後に、DSM−IV基準により中症から軽症に改善した。全患者のこれら新規評価尺度スコアは、ミルナシプラン治療前は0.05以上であった。全患者のこれら新規評価尺度スコアは、10日及び30日のミルナシプラン治療後は0.05未満に低下した。17項目のHAM−Dについては、中症うつ病について≧16ポイントのカットオフ値が提唱されている(Beck P,他、Acta Psychiar Scand,1986;73(suppl 326):7−37)。全患者のHAM−Dスコアは治療前は16ポイント以上を示した。しかし、10日間の治療期間後、6名の患者は16ポイント以上を示した。また、30日間の治療期間後、1名の患者は16ポイント以上を示した(図3)。
(考察)
医師による疾患の決定と評価において直接の問診は重要な役割を担う。患者と医師間の会話は、価値ある情報を医学的評価に提供する。この情報は、不眠、不安等のような言葉の説明からなるものである。このような情報は、ある種の疾患を示唆する場合がある。相談室での患者からの言葉の情報は医学的評価のために非常に有用である。例えば、軽度の不眠、食欲不振及び疲労の不満は一定の身体疾患を示唆する可能性がある。特に、このような言葉情報はうつ病の評価において非常に重要である。しかし、そのような言葉情報を正確に表示するうつ病の評価尺度は開発されていない。その第一の理由は、言葉情報はファジィ性を主観的な広がりを有しているためである。第二の理由は、各症状が様々な様式で臨床的なうつ病に寄与しているためである。
本発明では、うつ病の各症状の臨床上の重みを示すことができた。これらの臨床上の重みは、うつ状態の重症度を評価するために相談室において精神分析医によって普段から使用されている。さらに、本発明では、臨床重みにファジィな広がりを提供する分類別の重みを開発した。これらの分類別の重みは、重要な意義を有し、予後を予測することができる。睡眠、不安感及び自殺念慮は、中症うつ病において「悪い」の位置に印が置かれた場合には、高い値を有した。従って、これらの因子は、重症状態の指標である。そして、これらの値を調べることにより、うつ病の悪化を同定することができる。しかしながら、食欲、睡眠及び抑うつ気分は、軽症うつ病において「良い」の位置上に低い値を有していた。これらの因子は軽症状態の指標である。そして、これらの値を調べることにより、うつ病の改善を同定することができる。言葉情報のファジィ性を表すことができる評価尺度を、これらの因子及び値を用いて作製した。
うつ病の評価項目として6個の項目を選択した。多くの項目を用意すると、重要でない項目が増えてしまう。余計な重要でない情報は核心の情報を混乱させる可能性がある。抗うつ薬による治療効果のための評価尺度のための主要な要件は、うつ病に関連して臨床設備に適用できるように短くかつ容易なものであり、かつ変化を感度よく正確に評価できるということである(Carrol BJ,他、Arch Gen Psychiatry,1973;28:361−366;及びPichot P.The problem of quantifying the symptomatology of depression.In Depressive Illness(ed.P.Kielholz).Bern:Huber,1972)。多数の項目の存在はランダム誤差を増大させる傾向がある(Montgomery SA,他、Br J Psychiatry,1979;134:382−389)。従って、DSM−IVの主要うつ病症状の基準Aの中から6個の核心の症状を選択した。精神科医は一般にこれらの症状をうつ病の評価に重要であると考える。さらに、尺度は実用のために簡単なものが好ましいが、これらの6個の項目は複雑なものではない。モントゴメリー及びアスベルグは、17項目のHAM−Dと彼ら自身の10個の項目の尺度を用いて同様に高い信頼性を実証した(Montgomery SA,他、Br J Psychiatry,1979;134:382−389)。最大でも10個程度の項目数が実用的には好適である。
尺度の有効性を調べるために、重症度とスコアの間のポイント二系列相関を、本発明の評価尺度とDSM−IVについて計算した。重症度と本発明の評価尺度スコアとの間に強い相関が存在した。軽症と中症のうつ病のカットオフ値は0.05ポイントであることが示唆された。
抗うつ薬によるうつ病の治療の予後に関して、重症度と新規な評価尺度スコアとの間の相関は、重症度とHAM−Dスコアの相関よりも高かった。HAM−Dは多くの項目を有し、コア情報は末端の項目と混同される可能性があることは上述した通りである。従って、HAM−Dスコアは医師の印象と一致しない場合があるかもしれない。本発明の評価尺度は予後及び改善の優れた予測手段である。
本実施例では、多変数解析と言葉情報を利用したうつ病の新しい評価尺度を考察した。本発明の評価尺度は、うつ病の診断に有用である。
本発明のうつ病評価尺度は、従来の評価尺度のHAM−D、MADRS等が各症状が全て同一点数であり、その合計による評価であり、実際の臨床評価と相関しずらい部分があるのに対し、各症状別に重みづけが別々になされており、実際の臨床評価に近づいているという利点がある。
本発明のうつ病評価尺度は、精神科の専門医のみならず、一般医も特に難しいトレーニングなしに使用できる。また、患者自身による自己評価も可能である(この場合は、標準的な6項目の質問項目以外に3〜4項目のダミー項目を追加することができる)。
本発明のうつ病評価尺度は、ファジィシステムを利用した簡便な方法であり、難しさがないため、コンピューターシステムに構築してインターネット上で自己評価できるシステムに利用可能である。
上記したようなインターネット上でのシステムが構築できれば、インターネット上で医師は各個人あるいは集団のうつ病情報を、許可を得て入手することができ、個人の治療・集団への予防的介入などの行為が早期に可能である。
本発明のうつ病評価尺度は、点数化が可能であるためり、治療経過に応用でき、診断ばかりでなく、治療方針の決定(薬物の選択や中止、治療の終了や薬物による治療効果の判定)に役立てることができる。
本発明のうつ病評価尺度は、精神科の専門医のみならず、一般医も特に難しいトレーニングなしに使用できる。また、患者自身による自己評価も可能である(この場合は、標準的な6項目の質問項目以外に3〜4項目のダミー項目を追加することができる)。
本発明のうつ病評価尺度は、ファジィシステムを利用した簡便な方法であり、難しさがないため、コンピューターシステムに構築してインターネット上で自己評価できるシステムに利用可能である。
上記したようなインターネット上でのシステムが構築できれば、インターネット上で医師は各個人あるいは集団のうつ病情報を、許可を得て入手することができ、個人の治療・集団への予防的介入などの行為が早期に可能である。
本発明のうつ病評価尺度は、点数化が可能であるためり、治療経過に応用でき、診断ばかりでなく、治療方針の決定(薬物の選択や中止、治療の終了や薬物による治療効果の判定)に役立てることができる。
Claims (7)
- 以下の工程を含むうつ病の診断方法。
(1)うつ病の症状を複数個選択する工程、
(2)重症度を予め診断された複数の対照うつ病患者について、上記(1)で選択した各症状の度合いを数値として決定する工程、
(3)上記(2)で決定した数値を用いて多変数解析により、上記(1)で選択した各症状の「良い」、「普通」及び「悪い」のそれぞれについて、分類別重み(categorical weight)を算出する工程、
(4)対照患者の各人について各症状の分類別重み(categorical weight)を全て加算して、ニュースケールスコア(New scale score)を算出し、うつ病の重症度の診断のためのニュースケールスコア(New scale score)のカットオフ(cut−off value)を、予め行った診断結果と合致するように定める工程、
(5)上記(1)で選択した各症状について、診断対象患者が「良い」、「普通」及び「悪い」の何れかであるかを決定する工程、
(6)上記(5)の結果と、上記(3)で算出した分類別重み(categorical weight)とを用いて、診断対象患者の各症状の分類別重み(categorical weight)を全て加算して、診断対象患者のニュースケールスコア(New scale score)を算出する工程、及び
(7)上記(6)で算出したニュースケールスコア(New scale score)をカットオフ値と比較することにより診断対象患者のうつ病の重症度を診断する工程。 - 工程(1)において、うつ病の症状を、DSM−IVの主要うつ症状の基準「A」から選択する、請求項1に記載の方法。
- 工程(2)において、症状評価尺度を用いて各症状の程度を決定し、その結果に基づいて各症状の度合いを数値として表す、請求項1に記載の方法。
- 工程(2)において、直線(ここで、直線の片方の端はその症状が強いことを示し、直線の中央部はその症状が中位であることを示し、直線の他方の端はその症状がないことを示す)を症状評価尺度として使用し、診断対象患者に各症状の程度を、上記直線上に一定の幅を含むように記入してもらい、該幅の中心と上記直線の何れか片方の端との距離をB値(Interval)として測定し、このB値(Interval)を各症状の度合いとして使用する、請求項3に記載の方法。
- 中症うつ病又は軽症うつ病と診断された患者を対照うつ病患者として使用し、工程(7)においてニュースケールスコア(New scale score)が基準値以上である場合に中等度うつ病と診断し、基準値未満である場合に軽度うつ病と診断する、請求項1に記載の方法。
- 抗うつ薬による治療効果の判定を行う、請求項1から6の何れかに記載の方法。
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