JPWO2004077888A1 - 有機el素子用材料とそれを用いた有機el素子 - Google Patents
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Abstract
少なくとも、次式(I)(W)k−X−(Y)l(I)(ただし、Xはコア部位であり、YおよびWは同一または別異に、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニット、もしくは、カルバゾールデンドロンサブユニットのいずれかであり、lはXに結合しているYの数を表す整数であり、kはXに結合しているWの数を表す整数である)で表される化合物からなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
Description
この出願の発明は、有機EL素子用材料とそれを用いた有機EL素子に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、有機EL素子における正孔輸送層および/または発光層用材料として有用な、フェニルアゾメチン系またはフェニルアゾメチン−カルバゾール系化合物からなる材料に関するものである。
近年、携帯電話や携帯情報端末(PDA)の普及に伴い、それらのさらなる小型化や軽量化が望まれており、その一手段として新しいフラットパネルディスプレイ技術、とくに有機EL(Electroluminescence:電界発光)素子技術への期待が高まっている。
有機EL素子は一般に、ITO等の透明な陽極と仕事関数の低い金属からなる陰極の間に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などが積層されて構成される。そして、電極間に直流電流を流すことにより陽極から正孔輸送層に正孔が注入され、発光層で陰極から注入された電子と正孔が再結合して励起子(エキシトン)が生成される。このエキシトンが失活する際に光エネルギー(蛍光・燐光)が放出され、発光が起こるのである。
有機EL素子は、このように、自発光性でバックライトを必要としないため、消費電力が小さく、応答速度、視野角、コントラスト比等の特性が従来のTFT液晶表示素子よりも格段に優れている。しかし、実用化に向けては、発光効率の向上、高輝度化、長寿命化等の課題が残されているのが実情である。
これまで、有機EL素子の発光効率を向上する方法として、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の材料が検討されている。例えば、有機EL素子用材料として、イオン化ポテンシャルが低く、正孔輸送性の高い芳香族アミン誘導体や芳香族アミンを側鎖に有する高分子材料が用いられている。さらに有機EL素子の高効率、高安定性を高めるためにトリフェニルアミン基とビニル基を結合させたジスチルベンゼン誘導体や電子輸送材料として知られているオキサジアゾール基と結合させた誘導体などが用いられている。また、強い蛍光特性を示す希土類金属錯体系や、π共役系のポリフェニレンビニレン(PPV)、非共役系のポリビニルカルバゾール(PVK)誘導体なども発光層や正孔輸送層の材料として用いられている(S.A.VanSlyke,C.H.Chen,C.W.Tang,Appl.Phys.Lett.1996,69,2160;Y.Shirota,Y.Kuwabara,H.Inada,T.Wakimoto,H.Nakada,Y.Yonemoto,S.Kawami,K.Imai,Appl.Phys.Lett.1994,65,807.;S.A.Carter,M.Angelopoulos,S.Karg,P.J.Brock,and J.C.Scott,Appl.Phys.Lett.1997,70,2067)。
一方、有機EL素子の長寿命化のためには、各層の膜形成状態、すなわち薄膜のモルホロジー安定性が極めて重要である。さらに、素子の消費電力を小さくするためには駆動電圧の低下も望まれる。
しかし、これまでに報告されている有機EL素子用材料は、いずれも薄膜状態でのモルホロジー安定性が低く、十分な耐久性が得られていなかった。特に正孔輸送材料については、有機EL素子の長期安定性を高めるために、ガラス転移点(Tg)の高いアモルファス材料としてポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール等のポリマー材料を用いたり、各層の間にバッファ層を設けたりしているが、実用化において要求される寿命や駆動電圧は実現されていなかった。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、発光効率に優れ、耐久性の高い有機EL素子を提供することを課題としている。
有機EL素子は一般に、ITO等の透明な陽極と仕事関数の低い金属からなる陰極の間に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などが積層されて構成される。そして、電極間に直流電流を流すことにより陽極から正孔輸送層に正孔が注入され、発光層で陰極から注入された電子と正孔が再結合して励起子(エキシトン)が生成される。このエキシトンが失活する際に光エネルギー(蛍光・燐光)が放出され、発光が起こるのである。
有機EL素子は、このように、自発光性でバックライトを必要としないため、消費電力が小さく、応答速度、視野角、コントラスト比等の特性が従来のTFT液晶表示素子よりも格段に優れている。しかし、実用化に向けては、発光効率の向上、高輝度化、長寿命化等の課題が残されているのが実情である。
これまで、有機EL素子の発光効率を向上する方法として、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の材料が検討されている。例えば、有機EL素子用材料として、イオン化ポテンシャルが低く、正孔輸送性の高い芳香族アミン誘導体や芳香族アミンを側鎖に有する高分子材料が用いられている。さらに有機EL素子の高効率、高安定性を高めるためにトリフェニルアミン基とビニル基を結合させたジスチルベンゼン誘導体や電子輸送材料として知られているオキサジアゾール基と結合させた誘導体などが用いられている。また、強い蛍光特性を示す希土類金属錯体系や、π共役系のポリフェニレンビニレン(PPV)、非共役系のポリビニルカルバゾール(PVK)誘導体なども発光層や正孔輸送層の材料として用いられている(S.A.VanSlyke,C.H.Chen,C.W.Tang,Appl.Phys.Lett.1996,69,2160;Y.Shirota,Y.Kuwabara,H.Inada,T.Wakimoto,H.Nakada,Y.Yonemoto,S.Kawami,K.Imai,Appl.Phys.Lett.1994,65,807.;S.A.Carter,M.Angelopoulos,S.Karg,P.J.Brock,and J.C.Scott,Appl.Phys.Lett.1997,70,2067)。
一方、有機EL素子の長寿命化のためには、各層の膜形成状態、すなわち薄膜のモルホロジー安定性が極めて重要である。さらに、素子の消費電力を小さくするためには駆動電圧の低下も望まれる。
しかし、これまでに報告されている有機EL素子用材料は、いずれも薄膜状態でのモルホロジー安定性が低く、十分な耐久性が得られていなかった。特に正孔輸送材料については、有機EL素子の長期安定性を高めるために、ガラス転移点(Tg)の高いアモルファス材料としてポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール等のポリマー材料を用いたり、各層の間にバッファ層を設けたりしているが、実用化において要求される寿命や駆動電圧は実現されていなかった。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、発光効率に優れ、耐久性の高い有機EL素子を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、少なくとも、次式(I)
(ただし、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、サイクラムとその誘導体、ならびにビニルポリマーとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、YおよびWは同一または別異に、次式(II)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数である)で表されるフェニルアゾメチンデンドロンサブユニット、もしくは、次式(III)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数である)で表されるカルバゾールデンドロンサブユニットのいずれかであり、lはXに結合しているYの数を表す整数であり、kはXに結合しているWの数を表す整数である)で表される化合物からなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
第2には、この出願の発明は、次式(IV)
(ただし、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、ならびにサイクラムとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数であり、lはXに結合しているデンドロンサブユニットの数を表す1〜6の整数である)で表されるフェニルアゾメチンデンドリマーからなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
また、この出願の発明は、第3には、次式(V)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数であり、kはXに結合しているデンドロンサブユニットの数を表す整数である)
で表されるカルバゾールデンドリマーからなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
この出願の発明は、第4には、次式(VI)
(ただし、Nは窒素原子であり、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、ならびにサイクラムとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基である;mは1〜6の整数であり、nは1〜6の整数である;kおよびlは各々でXに結合しているデンドロンサブユニットの数を表す、1≦k+l≦6の条件を満たす整数である)で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーからなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
この出願の発明は、第5には、Xが少なくとも次式(VII)
(ただし、Nは窒素原子、Sは硫黄原子、Oは酸素原子であり、Arは、ベンゼン、チオフェン、ピロール、または1,3,4−オキサジアゾールである)で表される化合物(a)〜(m)からなる群より選択される構造を有するものである有機EL素子用材料を提供する。
第6には、この出願の発明は、Xが次式(VIII)
(ただし、pおよびqは重合度を表す1以上の整数である)
で表される有機EL素子用材料を提供する。
この出願の発明は、第7には、次式(IX)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基から選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数、nは1〜6の整数、pおよびqは重合度を表す1以上の整数である)で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体からなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
この出願の発明は、さらに、第8には、次式(X)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数である)で表されるビニルアゾメチンモノマーと、次式(XI)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数である)で表されるビニルカルバゾールモノマーを反応させることを特徴とする有機EL素子用材料の製造方法を提供する。
この出願の発明は、第9には、少なくとも陽極と、陽極上に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層に接する発光層と、発光層と接する陰極から構成される有機EL素子において、正孔輸送層または発光層が、前記いずれかの有機EL素子用材料を含有する薄膜からなることを特徴とする有機EL素子を、第10には、正孔輸送層または発光層が、前記いずれかの有機EL素子用材料とともに、金属塩を含有する薄膜からなることを特徴とする有機EL素子を、そして、第11には、正孔輸送層または発光層が、前記いずれかの有機EL素子用材料を光架橋してなる薄膜からなることを特徴とする有機EL素子を提供する。
また、この出願の発明は、第12には、前記いずれかの有機EL素子を含んで構成されることを特徴とする発光もしくは表示装置をも提供する。
(ただし、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、サイクラムとその誘導体、ならびにビニルポリマーとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、YおよびWは同一または別異に、次式(II)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数である)で表されるフェニルアゾメチンデンドロンサブユニット、もしくは、次式(III)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数である)で表されるカルバゾールデンドロンサブユニットのいずれかであり、lはXに結合しているYの数を表す整数であり、kはXに結合しているWの数を表す整数である)で表される化合物からなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
第2には、この出願の発明は、次式(IV)
(ただし、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、ならびにサイクラムとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数であり、lはXに結合しているデンドロンサブユニットの数を表す1〜6の整数である)で表されるフェニルアゾメチンデンドリマーからなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
また、この出願の発明は、第3には、次式(V)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数であり、kはXに結合しているデンドロンサブユニットの数を表す整数である)
で表されるカルバゾールデンドリマーからなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
この出願の発明は、第4には、次式(VI)
(ただし、Nは窒素原子であり、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、ならびにサイクラムとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基である;mは1〜6の整数であり、nは1〜6の整数である;kおよびlは各々でXに結合しているデンドロンサブユニットの数を表す、1≦k+l≦6の条件を満たす整数である)で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーからなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
この出願の発明は、第5には、Xが少なくとも次式(VII)
(ただし、Nは窒素原子、Sは硫黄原子、Oは酸素原子であり、Arは、ベンゼン、チオフェン、ピロール、または1,3,4−オキサジアゾールである)で表される化合物(a)〜(m)からなる群より選択される構造を有するものである有機EL素子用材料を提供する。
第6には、この出願の発明は、Xが次式(VIII)
(ただし、pおよびqは重合度を表す1以上の整数である)
で表される有機EL素子用材料を提供する。
この出願の発明は、第7には、次式(IX)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基から選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数、nは1〜6の整数、pおよびqは重合度を表す1以上の整数である)で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体からなることを特徴とする有機EL素子用材料を提供する。
この出願の発明は、さらに、第8には、次式(X)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数である)で表されるビニルアゾメチンモノマーと、次式(XI)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数である)で表されるビニルカルバゾールモノマーを反応させることを特徴とする有機EL素子用材料の製造方法を提供する。
この出願の発明は、第9には、少なくとも陽極と、陽極上に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層に接する発光層と、発光層と接する陰極から構成される有機EL素子において、正孔輸送層または発光層が、前記いずれかの有機EL素子用材料を含有する薄膜からなることを特徴とする有機EL素子を、第10には、正孔輸送層または発光層が、前記いずれかの有機EL素子用材料とともに、金属塩を含有する薄膜からなることを特徴とする有機EL素子を、そして、第11には、正孔輸送層または発光層が、前記いずれかの有機EL素子用材料を光架橋してなる薄膜からなることを特徴とする有機EL素子を提供する。
また、この出願の発明は、第12には、前記いずれかの有機EL素子を含んで構成されることを特徴とする発光もしくは表示装置をも提供する。
図1は、この発明の有機EL素子を例示した概略模式図である。(ただし、1:有機EL素子、21:透明基板、22:陽極、3:正孔輸送層、4:発光層、5:陰極、6:導線)
図2は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)、b:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)高温測定、c:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)・塩化錫、d:ジアミノメチル置換フェニルアゾメチンデンドリマー(第3世代))
図3は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)・塩化錫/ポリビニルカルバゾール、b:ポリビニルカルバゾール)
図4は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、発光層は、a:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)・塩化錫/ポリフェニレンビニレン、b:ポリフェニレンビニレン)
図5は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:4−(ジフェニルアゾメチン)スチレン−ビニルカルバゾール共重合体、b:4−(ジフェニルアゾメチン)スチレン−ビニルカルバゾール共重合体・塩化錫、c:ポリビニルカルバゾール)
図6は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:フェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマー、b:フェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマー・Eu(OTf)3)
図7は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:カルバゾールデンドリマー(第3世代)光架橋、b:カルバゾールデンドリマー未架橋)
図8は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の寿命(時間−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:カルバゾールデンドリマー(第3世代)光架橋、b:カルバゾールデンドリマー未架橋)
図2は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)、b:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)高温測定、c:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)・塩化錫、d:ジアミノメチル置換フェニルアゾメチンデンドリマー(第3世代))
図3は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)・塩化錫/ポリビニルカルバゾール、b:ポリビニルカルバゾール)
図4は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、発光層は、a:フェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)・塩化錫/ポリフェニレンビニレン、b:ポリフェニレンビニレン)
図5は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:4−(ジフェニルアゾメチン)スチレン−ビニルカルバゾール共重合体、b:4−(ジフェニルアゾメチン)スチレン−ビニルカルバゾール共重合体・塩化錫、c:ポリビニルカルバゾール)
図6は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:フェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマー、b:フェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマー・Eu(OTf)3)
図7は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の特性(電圧−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:カルバゾールデンドリマー(第3世代)光架橋、b:カルバゾールデンドリマー未架橋)
図8は、この出願の発明の実施例において構築された有機EL素子の寿命(時間−輝度曲線)を示す図である。(ただし、正孔輸送層は、a:カルバゾールデンドリマー(第3世代)光架橋、b:カルバゾールデンドリマー未架橋)
本願発明の有機EL素子用材料は、金属集積能を有するフェニルアゾメチンデンドロンサブユニットおよび/または優れた正孔輸送性を有するカルバゾールデンドロンサブユニットを有し、溶液キャスト法により簡便に薄膜を形成できるものである。また、得られる薄膜の界面のモルホロジー特性は、従来の有機EL素子用材料に比較して格段に改善されたものとなる。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、次式(I)
で表される化合物からなるものである。
このとき、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、サイクラムとその誘導体、ならびにビニルポリマーとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、YおよびWは、同一または別異に、次式(II)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数である)のフェニルアゾメチンデンドロンサブユニット、または、次式(III)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数である)で表されるカルバゾールデンドロンサブユニットである。
このとき、式(II)、(III)中のmおよびnは、各々のデンドロサブユニットにおける世代数を表す1〜6の整数であり、式(I)におけるlおよびkは、各々のXに結合しているデンドロサブユニット、すなわちYおよびWの数を表す。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、コア部位であるXに対して、少なくとも、フェニルアゾメチンまたはカルバゾールデンドロンサブユニットが結合してなるものである。
このような化合物としては、Xをコアとし、デンドロンサブユニットとしてYのみ、Wのみ、またはYとWを有するデンドリマーが含まれる。
具体的には、次式(IV)
(ただし、N、X、R1、R2、mおよびlは、前記のものである)
で表されるフェニルアゾメチンデンドリマーや、次式(V)
(ただし、N、nおよびkは前記のものである)
で表されるカルバゾールデンドリマー、さらには、次式(VI)
(N、X、R1、R2、mおよびnは前記のものである)で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーが例示される。
式(IV)〜(VI)のデンドリマーにおいて、Xは、炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、およびサイクラムとその誘導体から選択されるコア部位であるが、Xに対して、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニット(Y)およびカルバゾールデンドロンサブユニット(W)は、合計で1〜6個結合できる。このようなYとWの個数とは、Xの有する結合可能な位置の数に応じて適宜選択できるものであり、例えば、Xがベンゼンの場合、YとWは最大で合計6個結合でき、Xが炭素原子の場合には、YとWは最大で合計4個結合できる。もちろん、6個以上のYとWを結合できるXも考慮されるが、その場合にはデンドリマーの立体障害に注意する必要がある。
具体的に、コア部位Xとしては、少なくともその構造中に次式(VII)
で表されるベンゼン(DAB:a)、3,6−ジメチル−ベンゼン(DMDABz:b)、トリフェニルアミン(TATPA:c)、テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン(TAPo:d)、ナフタレン(DANPh:e)、ピレン(DAPy:f)、1,4,8,11テトラアザ−シクロテトラデカン(g)、環状フェニルアゾメチン三量体(CPA:h)、2,5−ビス(フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(DAPOX:i)、2,5−(ジフェニル)−チオフェン(DAPTh:j)、ペリレン(k)、1,2,3−トリフェニル−1,3,4−テトラゾール(l)、およびトリフェニルアミン誘導体(m)を有するものが好ましく例示される。なお、上記(m)におけるArは、ベンゼン、チオフェン、ピロール、または1,3,4−オキサジアゾール等の芳香環を表す。
これらのコア部位Xにおいて、YまたはWの結合箇所を(D)として示すならば、次のもの:
すなわち、ベンゼン(DAB:a)(Y+W=2(1,4−))、ベンゼン(TABz:a−2)(Y+W=3(1,3,5−))、3,6−ジメチル−ベンゼン(DMDABz:b)(Y+W=2(1,4−))、トリフェニルアミン(TATPA:c)(Y+W=3(4,4′,4′′−))、テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン(TAPo:d)(Y+W=4(5,10,15,20−))、ナフタレン(DANPh:e)(Y+W=2(1,5−))、ピレン(DAPy:f)(Y+W=2(1,6−))、1,4,8,11テトラアザ−シクロテトラデカン(g)(Y+W=4(1,4,8,11−))、環状フェニルアゾメチン三量体(CPA:h)(Y+W=4(4,4′,4′′,−))、2,5−ビス(フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(DAPOX:i)(Y+W=2(4−))、2,5−(ジフェニル)−チオフェン(DAPTh:j)(Y+W=2(4,4′−))、ペリレン(k)、1,2,3−トリフェニル−1,3,4−テトラゾール(l)(Y+W=3(4,4′,4′′−))、およびトリフェニルアミン誘導体(m)(Y+W=3(4,4′,4′′−))等が好ましく例示される。(ただし、ここでY+Wは各々のX’に結合するなYとWの合計数を表し、Y+Wに続く( )内の数字は、(D)の位置、すなわち、Yおよび/またはWが結合する位置を示す。)
このようなフェニルアゾメチンデンドリマー、カルバゾールデンドリマー、およびフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーの合成方法はとくに限定されず、デンドリマー中心から外に向かって合成するDivergent法やデンドリマー外から中心に向かって合成するConvergent法などの公知の方法を適用できる。例えば、各世代のデンドロンYおよびWをそれぞれ合成し、反応基(例えばI、Br、NH2など)を有するコア化合物Xを、触媒の存在下、脱水縮合反応させるConvergent法により、該フェニルアゾメチンデンドリマーおよび/またはフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーを合成できる(例えば、特願2002−02010;特願2002−066191;Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,and Kimihisa Yamamoto,Org.Lett.2000,Vol.2,No.20,3079−3082;Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,Katsuhiko Ariga,and Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc.2001,123,4414−4420)。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、また、Xが次式(VIII)
(ただし、pおよびqは重合度を表す1以上の整数である)のビニルポリマーであってもよい。
このような有機EL素子用材料において、前記YやWのデンドロンサブユニットは、ビニルポリマーの側鎖として存在する。具体的には、次式(IX)
(N、R1、R2、m、n、pおよびqは前記のものである)
で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体が例示される。
このようなフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体は、次式(X)
(ただし、R1、R2、およびmは前記のとおりである)で表されるビニルアゾメチンモノマーと次式(XI)
(ただし、nは、前記のとおりである)で表されるビニルカルバゾールモノマーを反応させて得られるものであるが、反応は、各モノマーを、例えばトルエン、ベンゼン等の溶媒中で30〜80℃に加熱することにより進行する。好ましくは、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のラジカル開始剤の存在下で反応させて得られる。
また、このとき、式(VIII)のフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体におけるpおよびqは、各々、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットを有する部位とカルバゾールデンドロンサブユニットを有する部位の重合度を示す1以上の整数であるが、これはフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体がブロックコポリマーに限定されることを意味するものではない。式(VIII)のフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体は、ランダムコポリマーであっても、あるいは、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットとカルバゾールデンドロンサブユニットが交互に規則的に配置されたコポリマーであってもよい。pとqの比はとくに限定されないが、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットは高い金属集積能を有し、カルバゾールデンドロンサブユニットは高い正孔輸送能を有することから、目的とする有機EL素子用材料の特性に応じて適宜変更できる。
この出願の発明の有機EL素子用材料において、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニット(Y)中のR1は、アルキレン、フェニレン、ヘテロ環基およびそれらの誘導体から選択される置換基であり、具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、フェニレン、ピロール、チオフェン、オキサジアゾール等のヘテロ環が例示される。また、YにおけるR2は、置換基を一つ以上有していてもよいフェニル基であり、これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。このようなR2としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基、シアノ基またはジメチルアミノ基等がo−位、m−位、p−位のいずれか1ヶ所または2ヶ所以上に結合した置換フェニル基が挙げられる。R2の性質(電子供与性/電子吸引性など)により、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットの電子密度が変化することから、目的に応じてR2を適宜選択することにより、有機EL素子用材料全体の性質(あるいは有機EL素子全体の発光効率)等を調整することが可能となる。
また、この出願の発明の有機EL素子用材料では、フェニルアゾメチンデンドロサブユニット(Y)やカルバゾールデンドロサブユニット(W)の世代数、すなわちmおよびnの値を選択することによっても、その正孔輸送性や発光性を調整できる。
この出願の発明者らは、これまでに、フェニルアゾメチンデンドリマーが分子内において次世代のイミン部位の電子密度差(塩基度)による電子勾配を有するため、種々の金属を添加することにより、分子内イミン部位との段階的な錯形成が起こることを明らかにし、報告している(例えば、Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,and Kimihisa Yamamoto,Org.Lett.2000,Vol.2,No.20,3079−3082;Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,Katsuhiko Ariga,and Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc.2001,123,4414−4420;Kimihisa Yamamoto,Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,Masanori Tsuruta and Hiroshi Chiba,Nature,Vol.415,No.6871,509−511,31 Jan 2002)。
この出願の発明の有機EL素子用材料においても、同様に、フェニルアゾメチンデンドリマー、フェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーまたはフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体のフェニルアゾメチンデンドロンサブユニットに金属を錯形成させることができる。
以上のとおりのこの出願の発明の有機EL素子用材料は、緻密で高い強度を有する薄膜を形成できる。そして、このような薄膜は、電気化学的に安定で高い耐熱性を示すことから、これを正孔輸送層や発光層として用いることにより、優れた発光効率とともに高い耐久性も実現できるのである。したがって、この出願の発明は、以上のとおりの有機EL素子用材料を含有する薄膜からなる正孔輸送層または発光層を有する有機EL素子をも提供する。
図1に本願発明の有機EL素子の概略を示した。すなわち、この出願の発明の有機EL素子(1)は、少なくとも、陽極(22)と、陽極(22)上に形成された正孔輸送層(3)と、正孔輸送層(3)と接する発光層(4)と、発光層(4)と接する陰極(5)を有するものであり、正孔輸送層(3)または発光層(4)のいずれかが、少なくとも前記のいずれかの有機EL素子用材料を含有する薄膜により構成されるものであればよい。
本発明の有機EL素子(1)において、正孔輸送層(3)は、陽極(22)に接し、陽極(22)から注入された正孔を発光層(4)へ輸送するものであり、前記のとおりの有機EL素子用材料を含有するものであればよい。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、例えば、フェニルアゾメチンデンドリマーの次世代のイミン部位の電子密度差(塩基度)による電子勾配を有する。したがって、この出願の発明の有機EL素子(1)では、このような有機EL素子用材料を正孔輸送層(3)に用いることにより、陽極(22)と正孔輸送層(3)のエネルギーギャップが小さくなり、正孔輸送層(3)への正孔注入や、正孔輸送層(3)から発光層(4)への正孔輸送が効率よく行われるようになる。したがって、有機EL素子(1)の発光効率の向上と開放電圧の低下、さらには駆動電圧の低下が実現される。
また、この出願の発明の有機EL素子(1)における発光層(4)は、注入された正孔と電子の再結合が起こる場であり、正孔と電子の再結合により放出されるエネルギーに反応して発光を起こすものであればよく、一般に有機EL素子用として用いられる各種の材料、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体(BeBq2)、ビス(8−キノラト)亜鉛錯体(Znq2)、フェナントロリン系ユウロピウム錯体(Eu(TTA)3(phen))等の金属錯体や、ペリレン、キナクリドン、クマリン等の低分子蛍光色素を蒸着法により薄膜化したもの、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)やポリフルオレン(PF)等のπ共役高分子、さらにはポリビニルカルバゾールなどの側鎖に蛍光色素を含有する高分子等を溶媒に溶解し、湿式塗布法により薄膜化したものが好適に使用できる。好ましくは、発光層(4)は、正孔と電子の再結合により放出されるエネルギーに反応して発光を起こす材料とともに、前記いずれかの有機EL素子用材料を含有する薄膜からなるものとする。発光層(4)が前記の有機EL素子用材料を含有する場合には、素子の発光特性が向上し、好ましい。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、前記のとおり、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットに金属を錯形成させることができるものであり、このような錯形成により、有機EL素子用材料中に電子密度差(塩基度)に基づく電子勾配が生じるものである。したがって、この出願の発明の有機EL素子(1)においては、正孔輸送層(3)または発光層(4)は、前記の有機EL素子用材料とともに、金属塩を含有する薄膜からなるものであってもよい。
この出願の発明の有機EL素子用材料のフェニルアゾメチンデンドロンサブユニットに集積される金属は、フェニルアゾメチンのイミン基を配位子として錯形成できるものであればよく、とくに限定されない。例えば、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au,Zn、Cd、Mo、W、Mn、Sn、Eu、Tb、Nd等が上げられる。好ましくは、錫(Sn)の塩化物(SnCl2)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)等の遷移金属塩化物(例えば、CuCl2,FeCl3,AuCl3など)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)等の希土類金属塩化物(例えばEuCl3,TbCl3)、銅トリフルオロメタンスルホン酸(Cu(OTf)3)、ユウロピウムトリフルオロメタンスルホン酸(Eu(OTf)3)、テルビウムトリフルオロメタンスルホン酸(Tb(OTf)3)、ネオジムトリフルオロメタンスルホン酸(Nd(OTf)3)が挙げられる。
このような錯形成は、前記の有機EL素子用材料の溶液にフェニルアゾメチン構造中のイミン基を配位子として錯形成できる金属(イオンや化合物)の溶液を混合することにより行うことができる。そして、錯形成を確認した後に、この溶液をキャストすれば、有機EL素子用材料の錯体薄膜が得られる。このとき、金属化合物を、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットにおいて錯形成させたいイミン部位と等モルで添加すれば、各世代のフェニルアゾメチンデンドロンのイミンに対する金属当量を制御することができる。そして、UV−Visスペクトルにより錯形成を確認した後、溶媒を濃縮すれば、有機EL素子用材料の薄膜が得られる。このとき、溶媒は、とくに限定されず、例えばクロロホルムやアセトニトリルが使用できる。
この出願の発明の有機EL素子(1)は、さらに、前記の有機EL素子用材料を光架橋してなる薄膜を正孔輸送層(3)または、発光層(4)とするものであってもよい。例えば、前記の有機EL素子用材料の溶液をキャストし、薄膜を形成した後に、キャスト膜に対しては光照射し、成膜されたデンドリマーを光架橋させることができる。このとき、照射される光は、少なくとも有機EL素子用材料におけるフェニルアゾメチンおよび/またはカルバゾールがの吸収波長領域を含む光であればよく、光源としては各種のものが適用される。好ましくは、照射される光の波長領域は、500nm以下の紫外光領域とする。
このように、有機EL素子用材料を光架橋してなる薄膜は、カルバゾール基やフェニル環が光架橋反応により分子内または分子間架橋した膜である。具体的には、カルバゾールデンドロンサブユニットを有する有機EL素子用材料では、光照射によりカルバゾールデンドロンサブユニットにおける3位または6位のいずれかで架橋反応が起こり、架橋膜となる。また、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットを有する化合物では、例えば、近接するフェニル基の2位の間等で架橋反応が起こり、架橋膜となる。このような架橋膜は、有機溶媒への溶解性が低く、一般の有機溶媒にはほとんど不溶となる。したがって、光架橋された薄膜を正孔輸送層(3)として用いれば、その上にさらに発光層(4)を有機溶媒溶液のキャストにより成膜しても、正孔輸送層(3)が溶解することない。
この出願の発明の有機EL素子(1)において、陽極(22)は、正孔注入能の高い(言いかえれば、仕事関数の大きな)材料からなるものが望ましく、例えばインジウム/酸化錫(ITO)、酸化錫、金などの薄膜が好ましい。中でもITOは、可視光透過性が高く、有機EL素子(1)からの発光を取り出せるため好適である。また、陽極(22)は、ガラスやプラスチック等の透明基板(21)上に形成されるものであってもよく、その膜厚等は限定されない。もちろん、陽極(22)として、市販の導電性ガラスを用いてもよい。
さらに、陰極(5)は、導電性を有し、発光層(4)へ電子(E)を注入するという目的を達成できるものであれば、その材質や厚さ等はとくに限定されない。好ましくは、仕事関数の低い、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの第III族金属等が挙げられる。中でも化学的に安定で安価なマグネシウムと銀あるいは銅の合金や安価で膜形成が容易なアルミニウムが好ましい。また、これらの材料はガラスまたはプラスチック等の透明基板上に形成されたものであってもよい。
以上のとおりのこの出願の発明の有機EL素子(1)は、さらに導線、カバー、フィルター等と組み合わせることにより、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の各種機器のフラットパネルディスプレイとして用いられるものである。
以下、実施例を示しこの発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、次式(I)
で表される化合物からなるものである。
このとき、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、サイクラムとその誘導体、ならびにビニルポリマーとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、YおよびWは、同一または別異に、次式(II)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数である)のフェニルアゾメチンデンドロンサブユニット、または、次式(III)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数である)で表されるカルバゾールデンドロンサブユニットである。
このとき、式(II)、(III)中のmおよびnは、各々のデンドロサブユニットにおける世代数を表す1〜6の整数であり、式(I)におけるlおよびkは、各々のXに結合しているデンドロサブユニット、すなわちYおよびWの数を表す。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、コア部位であるXに対して、少なくとも、フェニルアゾメチンまたはカルバゾールデンドロンサブユニットが結合してなるものである。
このような化合物としては、Xをコアとし、デンドロンサブユニットとしてYのみ、Wのみ、またはYとWを有するデンドリマーが含まれる。
具体的には、次式(IV)
(ただし、N、X、R1、R2、mおよびlは、前記のものである)
で表されるフェニルアゾメチンデンドリマーや、次式(V)
(ただし、N、nおよびkは前記のものである)
で表されるカルバゾールデンドリマー、さらには、次式(VI)
(N、X、R1、R2、mおよびnは前記のものである)で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーが例示される。
式(IV)〜(VI)のデンドリマーにおいて、Xは、炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、およびサイクラムとその誘導体から選択されるコア部位であるが、Xに対して、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニット(Y)およびカルバゾールデンドロンサブユニット(W)は、合計で1〜6個結合できる。このようなYとWの個数とは、Xの有する結合可能な位置の数に応じて適宜選択できるものであり、例えば、Xがベンゼンの場合、YとWは最大で合計6個結合でき、Xが炭素原子の場合には、YとWは最大で合計4個結合できる。もちろん、6個以上のYとWを結合できるXも考慮されるが、その場合にはデンドリマーの立体障害に注意する必要がある。
具体的に、コア部位Xとしては、少なくともその構造中に次式(VII)
で表されるベンゼン(DAB:a)、3,6−ジメチル−ベンゼン(DMDABz:b)、トリフェニルアミン(TATPA:c)、テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン(TAPo:d)、ナフタレン(DANPh:e)、ピレン(DAPy:f)、1,4,8,11テトラアザ−シクロテトラデカン(g)、環状フェニルアゾメチン三量体(CPA:h)、2,5−ビス(フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(DAPOX:i)、2,5−(ジフェニル)−チオフェン(DAPTh:j)、ペリレン(k)、1,2,3−トリフェニル−1,3,4−テトラゾール(l)、およびトリフェニルアミン誘導体(m)を有するものが好ましく例示される。なお、上記(m)におけるArは、ベンゼン、チオフェン、ピロール、または1,3,4−オキサジアゾール等の芳香環を表す。
これらのコア部位Xにおいて、YまたはWの結合箇所を(D)として示すならば、次のもの:
すなわち、ベンゼン(DAB:a)(Y+W=2(1,4−))、ベンゼン(TABz:a−2)(Y+W=3(1,3,5−))、3,6−ジメチル−ベンゼン(DMDABz:b)(Y+W=2(1,4−))、トリフェニルアミン(TATPA:c)(Y+W=3(4,4′,4′′−))、テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン(TAPo:d)(Y+W=4(5,10,15,20−))、ナフタレン(DANPh:e)(Y+W=2(1,5−))、ピレン(DAPy:f)(Y+W=2(1,6−))、1,4,8,11テトラアザ−シクロテトラデカン(g)(Y+W=4(1,4,8,11−))、環状フェニルアゾメチン三量体(CPA:h)(Y+W=4(4,4′,4′′,−))、2,5−ビス(フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(DAPOX:i)(Y+W=2(4−))、2,5−(ジフェニル)−チオフェン(DAPTh:j)(Y+W=2(4,4′−))、ペリレン(k)、1,2,3−トリフェニル−1,3,4−テトラゾール(l)(Y+W=3(4,4′,4′′−))、およびトリフェニルアミン誘導体(m)(Y+W=3(4,4′,4′′−))等が好ましく例示される。(ただし、ここでY+Wは各々のX’に結合するなYとWの合計数を表し、Y+Wに続く( )内の数字は、(D)の位置、すなわち、Yおよび/またはWが結合する位置を示す。)
このようなフェニルアゾメチンデンドリマー、カルバゾールデンドリマー、およびフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーの合成方法はとくに限定されず、デンドリマー中心から外に向かって合成するDivergent法やデンドリマー外から中心に向かって合成するConvergent法などの公知の方法を適用できる。例えば、各世代のデンドロンYおよびWをそれぞれ合成し、反応基(例えばI、Br、NH2など)を有するコア化合物Xを、触媒の存在下、脱水縮合反応させるConvergent法により、該フェニルアゾメチンデンドリマーおよび/またはフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーを合成できる(例えば、特願2002−02010;特願2002−066191;Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,and Kimihisa Yamamoto,Org.Lett.2000,Vol.2,No.20,3079−3082;Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,Katsuhiko Ariga,and Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc.2001,123,4414−4420)。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、また、Xが次式(VIII)
(ただし、pおよびqは重合度を表す1以上の整数である)のビニルポリマーであってもよい。
このような有機EL素子用材料において、前記YやWのデンドロンサブユニットは、ビニルポリマーの側鎖として存在する。具体的には、次式(IX)
(N、R1、R2、m、n、pおよびqは前記のものである)
で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体が例示される。
このようなフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体は、次式(X)
(ただし、R1、R2、およびmは前記のとおりである)で表されるビニルアゾメチンモノマーと次式(XI)
(ただし、nは、前記のとおりである)で表されるビニルカルバゾールモノマーを反応させて得られるものであるが、反応は、各モノマーを、例えばトルエン、ベンゼン等の溶媒中で30〜80℃に加熱することにより進行する。好ましくは、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のラジカル開始剤の存在下で反応させて得られる。
また、このとき、式(VIII)のフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体におけるpおよびqは、各々、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットを有する部位とカルバゾールデンドロンサブユニットを有する部位の重合度を示す1以上の整数であるが、これはフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体がブロックコポリマーに限定されることを意味するものではない。式(VIII)のフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体は、ランダムコポリマーであっても、あるいは、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットとカルバゾールデンドロンサブユニットが交互に規則的に配置されたコポリマーであってもよい。pとqの比はとくに限定されないが、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットは高い金属集積能を有し、カルバゾールデンドロンサブユニットは高い正孔輸送能を有することから、目的とする有機EL素子用材料の特性に応じて適宜変更できる。
この出願の発明の有機EL素子用材料において、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニット(Y)中のR1は、アルキレン、フェニレン、ヘテロ環基およびそれらの誘導体から選択される置換基であり、具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、フェニレン、ピロール、チオフェン、オキサジアゾール等のヘテロ環が例示される。また、YにおけるR2は、置換基を一つ以上有していてもよいフェニル基であり、これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。このようなR2としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基、シアノ基またはジメチルアミノ基等がo−位、m−位、p−位のいずれか1ヶ所または2ヶ所以上に結合した置換フェニル基が挙げられる。R2の性質(電子供与性/電子吸引性など)により、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットの電子密度が変化することから、目的に応じてR2を適宜選択することにより、有機EL素子用材料全体の性質(あるいは有機EL素子全体の発光効率)等を調整することが可能となる。
また、この出願の発明の有機EL素子用材料では、フェニルアゾメチンデンドロサブユニット(Y)やカルバゾールデンドロサブユニット(W)の世代数、すなわちmおよびnの値を選択することによっても、その正孔輸送性や発光性を調整できる。
この出願の発明者らは、これまでに、フェニルアゾメチンデンドリマーが分子内において次世代のイミン部位の電子密度差(塩基度)による電子勾配を有するため、種々の金属を添加することにより、分子内イミン部位との段階的な錯形成が起こることを明らかにし、報告している(例えば、Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,and Kimihisa Yamamoto,Org.Lett.2000,Vol.2,No.20,3079−3082;Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,Katsuhiko Ariga,and Kimihisa Yamamoto,J.Am.Chem.Soc.2001,123,4414−4420;Kimihisa Yamamoto,Masayoshi Higuchi,Satoshi Shiki,Masanori Tsuruta and Hiroshi Chiba,Nature,Vol.415,No.6871,509−511,31 Jan 2002)。
この出願の発明の有機EL素子用材料においても、同様に、フェニルアゾメチンデンドリマー、フェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーまたはフェニルアゾメチン−カルバゾール共重合体のフェニルアゾメチンデンドロンサブユニットに金属を錯形成させることができる。
以上のとおりのこの出願の発明の有機EL素子用材料は、緻密で高い強度を有する薄膜を形成できる。そして、このような薄膜は、電気化学的に安定で高い耐熱性を示すことから、これを正孔輸送層や発光層として用いることにより、優れた発光効率とともに高い耐久性も実現できるのである。したがって、この出願の発明は、以上のとおりの有機EL素子用材料を含有する薄膜からなる正孔輸送層または発光層を有する有機EL素子をも提供する。
図1に本願発明の有機EL素子の概略を示した。すなわち、この出願の発明の有機EL素子(1)は、少なくとも、陽極(22)と、陽極(22)上に形成された正孔輸送層(3)と、正孔輸送層(3)と接する発光層(4)と、発光層(4)と接する陰極(5)を有するものであり、正孔輸送層(3)または発光層(4)のいずれかが、少なくとも前記のいずれかの有機EL素子用材料を含有する薄膜により構成されるものであればよい。
本発明の有機EL素子(1)において、正孔輸送層(3)は、陽極(22)に接し、陽極(22)から注入された正孔を発光層(4)へ輸送するものであり、前記のとおりの有機EL素子用材料を含有するものであればよい。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、例えば、フェニルアゾメチンデンドリマーの次世代のイミン部位の電子密度差(塩基度)による電子勾配を有する。したがって、この出願の発明の有機EL素子(1)では、このような有機EL素子用材料を正孔輸送層(3)に用いることにより、陽極(22)と正孔輸送層(3)のエネルギーギャップが小さくなり、正孔輸送層(3)への正孔注入や、正孔輸送層(3)から発光層(4)への正孔輸送が効率よく行われるようになる。したがって、有機EL素子(1)の発光効率の向上と開放電圧の低下、さらには駆動電圧の低下が実現される。
また、この出願の発明の有機EL素子(1)における発光層(4)は、注入された正孔と電子の再結合が起こる場であり、正孔と電子の再結合により放出されるエネルギーに反応して発光を起こすものであればよく、一般に有機EL素子用として用いられる各種の材料、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体(BeBq2)、ビス(8−キノラト)亜鉛錯体(Znq2)、フェナントロリン系ユウロピウム錯体(Eu(TTA)3(phen))等の金属錯体や、ペリレン、キナクリドン、クマリン等の低分子蛍光色素を蒸着法により薄膜化したもの、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)やポリフルオレン(PF)等のπ共役高分子、さらにはポリビニルカルバゾールなどの側鎖に蛍光色素を含有する高分子等を溶媒に溶解し、湿式塗布法により薄膜化したものが好適に使用できる。好ましくは、発光層(4)は、正孔と電子の再結合により放出されるエネルギーに反応して発光を起こす材料とともに、前記いずれかの有機EL素子用材料を含有する薄膜からなるものとする。発光層(4)が前記の有機EL素子用材料を含有する場合には、素子の発光特性が向上し、好ましい。
この出願の発明の有機EL素子用材料は、前記のとおり、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットに金属を錯形成させることができるものであり、このような錯形成により、有機EL素子用材料中に電子密度差(塩基度)に基づく電子勾配が生じるものである。したがって、この出願の発明の有機EL素子(1)においては、正孔輸送層(3)または発光層(4)は、前記の有機EL素子用材料とともに、金属塩を含有する薄膜からなるものであってもよい。
この出願の発明の有機EL素子用材料のフェニルアゾメチンデンドロンサブユニットに集積される金属は、フェニルアゾメチンのイミン基を配位子として錯形成できるものであればよく、とくに限定されない。例えば、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au,Zn、Cd、Mo、W、Mn、Sn、Eu、Tb、Nd等が上げられる。好ましくは、錫(Sn)の塩化物(SnCl2)、銅(Cu)、鉄(Fe)、金(Au)等の遷移金属塩化物(例えば、CuCl2,FeCl3,AuCl3など)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)等の希土類金属塩化物(例えばEuCl3,TbCl3)、銅トリフルオロメタンスルホン酸(Cu(OTf)3)、ユウロピウムトリフルオロメタンスルホン酸(Eu(OTf)3)、テルビウムトリフルオロメタンスルホン酸(Tb(OTf)3)、ネオジムトリフルオロメタンスルホン酸(Nd(OTf)3)が挙げられる。
このような錯形成は、前記の有機EL素子用材料の溶液にフェニルアゾメチン構造中のイミン基を配位子として錯形成できる金属(イオンや化合物)の溶液を混合することにより行うことができる。そして、錯形成を確認した後に、この溶液をキャストすれば、有機EL素子用材料の錯体薄膜が得られる。このとき、金属化合物を、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットにおいて錯形成させたいイミン部位と等モルで添加すれば、各世代のフェニルアゾメチンデンドロンのイミンに対する金属当量を制御することができる。そして、UV−Visスペクトルにより錯形成を確認した後、溶媒を濃縮すれば、有機EL素子用材料の薄膜が得られる。このとき、溶媒は、とくに限定されず、例えばクロロホルムやアセトニトリルが使用できる。
この出願の発明の有機EL素子(1)は、さらに、前記の有機EL素子用材料を光架橋してなる薄膜を正孔輸送層(3)または、発光層(4)とするものであってもよい。例えば、前記の有機EL素子用材料の溶液をキャストし、薄膜を形成した後に、キャスト膜に対しては光照射し、成膜されたデンドリマーを光架橋させることができる。このとき、照射される光は、少なくとも有機EL素子用材料におけるフェニルアゾメチンおよび/またはカルバゾールがの吸収波長領域を含む光であればよく、光源としては各種のものが適用される。好ましくは、照射される光の波長領域は、500nm以下の紫外光領域とする。
このように、有機EL素子用材料を光架橋してなる薄膜は、カルバゾール基やフェニル環が光架橋反応により分子内または分子間架橋した膜である。具体的には、カルバゾールデンドロンサブユニットを有する有機EL素子用材料では、光照射によりカルバゾールデンドロンサブユニットにおける3位または6位のいずれかで架橋反応が起こり、架橋膜となる。また、フェニルアゾメチンデンドロンサブユニットを有する化合物では、例えば、近接するフェニル基の2位の間等で架橋反応が起こり、架橋膜となる。このような架橋膜は、有機溶媒への溶解性が低く、一般の有機溶媒にはほとんど不溶となる。したがって、光架橋された薄膜を正孔輸送層(3)として用いれば、その上にさらに発光層(4)を有機溶媒溶液のキャストにより成膜しても、正孔輸送層(3)が溶解することない。
この出願の発明の有機EL素子(1)において、陽極(22)は、正孔注入能の高い(言いかえれば、仕事関数の大きな)材料からなるものが望ましく、例えばインジウム/酸化錫(ITO)、酸化錫、金などの薄膜が好ましい。中でもITOは、可視光透過性が高く、有機EL素子(1)からの発光を取り出せるため好適である。また、陽極(22)は、ガラスやプラスチック等の透明基板(21)上に形成されるものであってもよく、その膜厚等は限定されない。もちろん、陽極(22)として、市販の導電性ガラスを用いてもよい。
さらに、陰極(5)は、導電性を有し、発光層(4)へ電子(E)を注入するという目的を達成できるものであれば、その材質や厚さ等はとくに限定されない。好ましくは、仕事関数の低い、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの第III族金属等が挙げられる。中でも化学的に安定で安価なマグネシウムと銀あるいは銅の合金や安価で膜形成が容易なアルミニウムが好ましい。また、これらの材料はガラスまたはプラスチック等の透明基板上に形成されたものであってもよい。
以上のとおりのこの出願の発明の有機EL素子(1)は、さらに導線、カバー、フィルター等と組み合わせることにより、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の各種機器のフラットパネルディスプレイとして用いられるものである。
以下、実施例を示しこの発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
〔準備〕
(a)陽極:ITOガラス電極(20mm X 20mm;王子トビ社)のITO面を塩酸エッチングし、幅3mmの陽極を作成して用いた。
(b)正孔輸送層:Org.Lett.2000,Vol.2,No.20,3079−3082に記載される方法により合成した次式(IV−a)
で表されるフェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)を、デンドリマー1mgに対して1mlのクロロホルムで溶解し、スピンキャスト法(2500rpm、1分間隔で2回キャスト)により厚さ500Åの正孔輸送層を形成した。
(c)発光層:得られた正孔輸送層にAlq3(東京化成社)を、真空蒸着装置(Ulvac VPC−410A)を用いて 50 X 10−6 Torrの減圧下、2〜3Å/secの蒸着速度で真空蒸着し、厚さ500Åの発光層(電子輸送性)を形成した。
(d)陰極:得られた発光層にAl線(直径1mm)を用いて、上記(c)と同条件下2〜5Å/secの蒸着速度でAlを真空蒸着し、厚さ1000Åの陰極を形成した。
〔有機EL素子の評価〕
得られた面積0.1cm2の有機EL素子について、室温・大気下で電圧−電流および電圧−輝度の測定を行った。
有機EL素子の特性を図2aに示した。
ITO電極を陽極として5V以上の電圧を印可することにより、Alq3由来の緑色発光が見られた。また、15Vでは、最高輝度1600cd/m2が確認された。0.1cd/m2に達するturn−on電圧は5.6V、輝度300cd/m2における発光効率は1.2lm/Wであった。
さらに、この有機EL素子の高温測定(100℃、空気中)を行った。図2bに示したように、発光強度が初期値と同等(turn−on電圧:5.5V、最高輝度:1560cd/m2 at 15V、330cd/m2の発光効率:1.16lm/W)であった。これよりこのEL素子の安定性が確認できた。
(a)陽極:ITOガラス電極(20mm X 20mm;王子トビ社)のITO面を塩酸エッチングし、幅3mmの陽極を作成して用いた。
(b)正孔輸送層:Org.Lett.2000,Vol.2,No.20,3079−3082に記載される方法により合成した次式(IV−a)
で表されるフェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)を、デンドリマー1mgに対して1mlのクロロホルムで溶解し、スピンキャスト法(2500rpm、1分間隔で2回キャスト)により厚さ500Åの正孔輸送層を形成した。
(c)発光層:得られた正孔輸送層にAlq3(東京化成社)を、真空蒸着装置(Ulvac VPC−410A)を用いて 50 X 10−6 Torrの減圧下、2〜3Å/secの蒸着速度で真空蒸着し、厚さ500Åの発光層(電子輸送性)を形成した。
(d)陰極:得られた発光層にAl線(直径1mm)を用いて、上記(c)と同条件下2〜5Å/secの蒸着速度でAlを真空蒸着し、厚さ1000Åの陰極を形成した。
〔有機EL素子の評価〕
得られた面積0.1cm2の有機EL素子について、室温・大気下で電圧−電流および電圧−輝度の測定を行った。
有機EL素子の特性を図2aに示した。
ITO電極を陽極として5V以上の電圧を印可することにより、Alq3由来の緑色発光が見られた。また、15Vでは、最高輝度1600cd/m2が確認された。0.1cd/m2に達するturn−on電圧は5.6V、輝度300cd/m2における発光効率は1.2lm/Wであった。
さらに、この有機EL素子の高温測定(100℃、空気中)を行った。図2bに示したように、発光強度が初期値と同等(turn−on電圧:5.5V、最高輝度:1560cd/m2 at 15V、330cd/m2の発光効率:1.16lm/W)であった。これよりこのEL素子の安定性が確認できた。
実施例1の正孔輸送層の形成工程(b)において、式(IV−a)のフェニルアゾメチンデンドリマーとともに塩化錫1当量(フェニルアゾメチンデンドリマー中のイミン数に対して)をアセトニトリル中で混合し、錯形成させた後、濃縮し、これを実施例1と同条件でスピンキャストして、厚さ500Åの正孔輸送層を形成した。
さらに、実施例1と同様の方法により有機EL素子を構築し、評価した。
図2cより、12Vで最高輝度18000cd/m2を示し、輝度300cd/m2における発光効率は2.6lm/Wと高いことが確認された。また、turn−on電圧が4V程度でデンドリマーのみを正孔輸送層とした場合(実施例1)よりも1.5V以上低下した。
以上より、フェニルアゾメチンデンドリマー−金属錯体を正孔輸送材料として用いることにより、有機EL素子の消費電力を大幅に低下させることができることが確認された。
これは、正孔注入電極(陽極)と正孔輸送層間のエネルギーギャップが小さくなり、正孔輸送層への正孔の注入効率が高くなるためであると考えられる。
さらに、実施例1と同様の方法により有機EL素子を構築し、評価した。
図2cより、12Vで最高輝度18000cd/m2を示し、輝度300cd/m2における発光効率は2.6lm/Wと高いことが確認された。また、turn−on電圧が4V程度でデンドリマーのみを正孔輸送層とした場合(実施例1)よりも1.5V以上低下した。
以上より、フェニルアゾメチンデンドリマー−金属錯体を正孔輸送材料として用いることにより、有機EL素子の消費電力を大幅に低下させることができることが確認された。
これは、正孔注入電極(陽極)と正孔輸送層間のエネルギーギャップが小さくなり、正孔輸送層への正孔の注入効率が高くなるためであると考えられる。
次式(IV−b)
で表されるジメチルアミン置換フェニルアゾメチンデンドリマー(第3世代)を正孔輸送材料として用いて有機EL素子を構築し、評価した。
図2dに示されるように、14Vで最高輝度4500cd/m2を示し、輝度300cd/m2における発光効率は1.8lm/Wであった。また、5.0V程度でturn−on電圧を有し、無置換フェニルアゾメチンデンドリマーを正孔輸送層として用いた場合(実施例1)よりもさらに高い素子特性を示すことが確認された。これは、デンドリマー末端に電子供与性のジメチルアミン基が導入されたことにより、デンドリマー内部の電子密度が向上したためと考えられる。
<比較例1>
ポリビニルカルバゾールのクロロホルム溶液を調製し、このクロロホルム溶液を実施例1と同条件でスピンキャストして、厚さ500Åの正孔輸送層とした。
さらに、実施例1と同様の方法により有機EL素子を構築し、評価した。
得られた有機EL素子では、4V以上の電圧を印加することによりAlq由来の緑色発光が確認された。また、図3bに示されるように、11Vで最高輝度600cd/m2を示し、0.1cd/m2に達するturn−on電圧は4.5V、輝度300cd/m2における発光効率は2.0lm/Wであった。
で表されるジメチルアミン置換フェニルアゾメチンデンドリマー(第3世代)を正孔輸送材料として用いて有機EL素子を構築し、評価した。
図2dに示されるように、14Vで最高輝度4500cd/m2を示し、輝度300cd/m2における発光効率は1.8lm/Wであった。また、5.0V程度でturn−on電圧を有し、無置換フェニルアゾメチンデンドリマーを正孔輸送層として用いた場合(実施例1)よりもさらに高い素子特性を示すことが確認された。これは、デンドリマー末端に電子供与性のジメチルアミン基が導入されたことにより、デンドリマー内部の電子密度が向上したためと考えられる。
<比較例1>
ポリビニルカルバゾールのクロロホルム溶液を調製し、このクロロホルム溶液を実施例1と同条件でスピンキャストして、厚さ500Åの正孔輸送層とした。
さらに、実施例1と同様の方法により有機EL素子を構築し、評価した。
得られた有機EL素子では、4V以上の電圧を印加することによりAlq由来の緑色発光が確認された。また、図3bに示されるように、11Vで最高輝度600cd/m2を示し、0.1cd/m2に達するturn−on電圧は4.5V、輝度300cd/m2における発光効率は2.0lm/Wであった。
ポリビニルカルバゾールのクロロホルム溶液を調製し、これに、実施例1において使用した式(IV−a)のフェニルアゾメチンデンドリマー(第4世代)を、ポリビニルカルバゾールに対して1重量%添加し、さらに、塩化錫1当量(フェニルアゾメチンデンドリマー中のイミン数に対して)を混合した。このクロロホルム溶液を実施例1と同条件でスピンキャストして、厚さ500Åの正孔輸送層を形成した。
さらに、実施例1と同様の方法により有機EL素子を構築し、評価した。
図3aに示したように、得られた有機EL素子は、10Vで最高輝度1500cd/m2を示し、輝度300cd/m2における発光効率は3.5lm/Wと高い発光効率を示した。さらに、0.1cd/m2に達するturn−on電圧が3V程度で比較例1のポリビニルカルバゾールを正孔輸送層とした(フェニルアゾメチンデンドリマーを含まない)有機EL素子より1V以上低下した。したがって、素子の低消費電力化が確認された。
実施例2および4より、金属が集積(錯形成)されたデンドリマーを含有する薄膜を正孔輸送層とすることにより、素子の高発光効率さらに低turn−on電圧特性が実現されることが確認された。また、正孔注入電極であるITOと正孔輸送層間のエネルギーギャップがより小さくなり、正孔輸送層へ正孔の注入効率が高くなったことが示唆された。
<比較例2>
〔準備〕
(a)陽極:ITOガラス電極(20mm X 20mm;王子トビ社)のITO面を塩酸エッチングし、幅3mmの陽極を作成して用いた。
(b)正孔輸送層:ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)水溶液を実施例1と同条件でスピンキャストして、厚さ300Åの正孔輸送層を形成した。
(c)発光層:ポリフェニレンビニレン誘導体(MEH−PPV)のクロロベンゼン溶液を調製し、これをスピンキャストして厚さ500Åの発光層を形成した。
(d)陰極:得られた発光層に実施例1と同条件下2〜5Å/secの蒸着速度でCaを真空蒸着し、厚さ1000Åの陰極を形成した。
〔有機EL素子の評価〕
上記(a)〜(d)により得られた面積0.1cm2の有機EL素子について、室温・大気下で電圧−電流および電圧−輝度の測定を行った。
有機EL素子の特性を図4bに示した。
ITO電極を正極として5V以上の電圧を印加することにより、MEH−PPV由来の緑色発光が確認された。また、図4bに示されるように、12Vで最高輝度350cd/m2を示し、0.1cd/m2に達するturn−on電圧は5.6V、輝度300cd/m2における発光効率は1.2lm/Wであった。
さらに、実施例1と同様の方法により有機EL素子を構築し、評価した。
図3aに示したように、得られた有機EL素子は、10Vで最高輝度1500cd/m2を示し、輝度300cd/m2における発光効率は3.5lm/Wと高い発光効率を示した。さらに、0.1cd/m2に達するturn−on電圧が3V程度で比較例1のポリビニルカルバゾールを正孔輸送層とした(フェニルアゾメチンデンドリマーを含まない)有機EL素子より1V以上低下した。したがって、素子の低消費電力化が確認された。
実施例2および4より、金属が集積(錯形成)されたデンドリマーを含有する薄膜を正孔輸送層とすることにより、素子の高発光効率さらに低turn−on電圧特性が実現されることが確認された。また、正孔注入電極であるITOと正孔輸送層間のエネルギーギャップがより小さくなり、正孔輸送層へ正孔の注入効率が高くなったことが示唆された。
<比較例2>
〔準備〕
(a)陽極:ITOガラス電極(20mm X 20mm;王子トビ社)のITO面を塩酸エッチングし、幅3mmの陽極を作成して用いた。
(b)正孔輸送層:ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)水溶液を実施例1と同条件でスピンキャストして、厚さ300Åの正孔輸送層を形成した。
(c)発光層:ポリフェニレンビニレン誘導体(MEH−PPV)のクロロベンゼン溶液を調製し、これをスピンキャストして厚さ500Åの発光層を形成した。
(d)陰極:得られた発光層に実施例1と同条件下2〜5Å/secの蒸着速度でCaを真空蒸着し、厚さ1000Åの陰極を形成した。
〔有機EL素子の評価〕
上記(a)〜(d)により得られた面積0.1cm2の有機EL素子について、室温・大気下で電圧−電流および電圧−輝度の測定を行った。
有機EL素子の特性を図4bに示した。
ITO電極を正極として5V以上の電圧を印加することにより、MEH−PPV由来の緑色発光が確認された。また、図4bに示されるように、12Vで最高輝度350cd/m2を示し、0.1cd/m2に達するturn−on電圧は5.6V、輝度300cd/m2における発光効率は1.2lm/Wであった。
比較例2と同様に正孔輸送層を形成し、その上に、フェニレンビニレン誘導体(MEH−PPV)に前記式(IV−a)のフェニルアゾメチンデンドリマー1重量%(MEH−PPVに対して)と塩化錫1当量(フェニルアゾメチンデンドリマー中のイミン数に対して)を添加したクロロベンゼン溶液をスピンキャストし、厚さ500Åの発光層を形成した。
比較例2と同様の方法により、発光層の上に陰極を形成し、得られた面積0.1cm2の有機EL素子の特性を図4aに示した。
この有機EL素子では、11Vで最高輝度850cd/m2を示し、輝度300cd/m2における発光効率は2.1lm/Wと高かった。さらに、0.1cd/m2に達するturn−on電圧は4.5Vとなり、比較例2のMEH−PPVのみを発光層とした(フェニルアゾメチンデンドリマーを含まない)有機EL素子より1V以上低下した。したがって、素子の低消費電力化が確認された。
比較例2と同様の方法により、発光層の上に陰極を形成し、得られた面積0.1cm2の有機EL素子の特性を図4aに示した。
この有機EL素子では、11Vで最高輝度850cd/m2を示し、輝度300cd/m2における発光効率は2.1lm/Wと高かった。さらに、0.1cd/m2に達するturn−on電圧は4.5Vとなり、比較例2のMEH−PPVのみを発光層とした(フェニルアゾメチンデンドリマーを含まない)有機EL素子より1V以上低下した。したがって、素子の低消費電力化が確認された。
〔準備〕 4−(ジフェニルアゾメチン)スチレンモノマー(a)の合成
次の反応式(A)に従い、第1世代のデンドロンとして、4−(ジフェニルアゾメチン)スチレンモノマーを合成した。
4−アミノスチレン(0.35ml,1当量)、ベンゾフェノン(0.65g,1.2当量)および1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)をクロロベンゼン(PhCl)15mlに溶解し、100mlの二口フラスコ中、窒素雰囲気下で撹拌しながら四塩化チタン(TiCl4)(0.25ml,0.75当量)を加え、120℃で12時間脱水反応した。化合物aを56%の収率で得た。得られた化合物aはTOF−Mass、元素分析、および1H−NMRにより同定した。
TOF−Mass 283.21 found(283.37 calcd.)
元素分析 C:88.95 found(89.01 calcd.),
H:6.01(6.05),
N:4.91(4.94)
〔実験〕 4−(ジフェニルアゾメチン)スチレン−ビニルカルバゾール共重合体(b)(p/q=1/1)の合成
次の反応式(B)に従い、4−(ジフェニルアゾメチン)スチレン−ビニルカルバゾール共重合体を合成した。
得られた4−(ジフェニルアゾメチン)スチレンモノマーa(0.35g、1当量)、ビニルカルバゾール(1.89g、8当量)、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN、22mg)をトルエン20mlに溶解し、300mlの二口フラスコ中、80℃で還流した。化合物bを25%の収率で得た。
得られた化合物はGPC、1H−NMR、およびUVにより同定した。
Mn:5640 Mw:6430
次の反応式(A)に従い、第1世代のデンドロンとして、4−(ジフェニルアゾメチン)スチレンモノマーを合成した。
4−アミノスチレン(0.35ml,1当量)、ベンゾフェノン(0.65g,1.2当量)および1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)をクロロベンゼン(PhCl)15mlに溶解し、100mlの二口フラスコ中、窒素雰囲気下で撹拌しながら四塩化チタン(TiCl4)(0.25ml,0.75当量)を加え、120℃で12時間脱水反応した。化合物aを56%の収率で得た。得られた化合物aはTOF−Mass、元素分析、および1H−NMRにより同定した。
TOF−Mass 283.21 found(283.37 calcd.)
元素分析 C:88.95 found(89.01 calcd.),
H:6.01(6.05),
N:4.91(4.94)
〔実験〕 4−(ジフェニルアゾメチン)スチレン−ビニルカルバゾール共重合体(b)(p/q=1/1)の合成
次の反応式(B)に従い、4−(ジフェニルアゾメチン)スチレン−ビニルカルバゾール共重合体を合成した。
得られた4−(ジフェニルアゾメチン)スチレンモノマーa(0.35g、1当量)、ビニルカルバゾール(1.89g、8当量)、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN、22mg)をトルエン20mlに溶解し、300mlの二口フラスコ中、80℃で還流した。化合物bを25%の収率で得た。
得られた化合物はGPC、1H−NMR、およびUVにより同定した。
Mn:5640 Mw:6430
実施例1で得られた化合物b(2mg)をクロロホルムに溶解し、スピンキャスト法によりITOガラス電極上に厚さ500Åの薄膜を形成し、正孔輸送層とした。その上に、Alqを真空蒸着して厚さ500Åの薄膜を形成し、発光層および電子輸送層とした。さらに、陰極としてAlを厚さ1000Åに成形し、面積0.1cm2の有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度の測定を行い、結果を図5aに示した。
ITO電極を正極として5V以上の電圧を印加することによりAlq由来の緑色発光が確認され、20Vで最高輝度800cd/m2が確認された。
また、0.1cd/m2に達するturn−on(駆動)電圧は6.2V、輝度300cd/m2における発光効率は0.8lm/Wであった。
<比較例3>
ポリビニルカルバゾール(PVK、関東化学Cat.No.32777−31)2mgをクロロホルムに溶解し、スピンキャスト法によりITOガラス電極上に、厚さ500Åの薄膜を形成し、正孔輸送層とした。次いで、実施例5と同様に有機EL素子を作製した。
この有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度の測定を行い、図5cに結果を示した。
ITO電極を正極として5V以上の電圧を印加することによりAlq由来の緑色発光が確認され、16Vで最高輝度1100cd/m2が確認された。また、0.1cd/m2に達するturn−on(駆動)電圧は5.2V、輝度300cd/m2における発光効率は0.9lm/Wであった。
得られた有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度の測定を行い、結果を図5aに示した。
ITO電極を正極として5V以上の電圧を印加することによりAlq由来の緑色発光が確認され、20Vで最高輝度800cd/m2が確認された。
また、0.1cd/m2に達するturn−on(駆動)電圧は6.2V、輝度300cd/m2における発光効率は0.8lm/Wであった。
<比較例3>
ポリビニルカルバゾール(PVK、関東化学Cat.No.32777−31)2mgをクロロホルムに溶解し、スピンキャスト法によりITOガラス電極上に、厚さ500Åの薄膜を形成し、正孔輸送層とした。次いで、実施例5と同様に有機EL素子を作製した。
この有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度の測定を行い、図5cに結果を示した。
ITO電極を正極として5V以上の電圧を印加することによりAlq由来の緑色発光が確認され、16Vで最高輝度1100cd/m2が確認された。また、0.1cd/m2に達するturn−on(駆動)電圧は5.2V、輝度300cd/m2における発光効率は0.9lm/Wであった。
実施例7で用いた化合物bのクロロホルム溶液と塩化錫(1当量:共重合体のデンドロンのイミン数に対して)のアセトニトリル溶液を混合し、錯形成させた後、溶媒を濃縮し、実施例7と同様の方法により薄膜を形成し、正孔輸送層とした。実施例7と同様の方法により有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度の測定を行い、結果を図5bに示した。
この有機EL素子は、10Vで最高輝度9000cd/m2を示し、輝度300cd/m2において1.7lm/Wの高い発光効率を示した。
さらに、turn−on(駆動)電圧は4.1V程度であり、金属を錯形成していない正孔輸送層を用いた場合(実施例5)より2.0V以上、PVKを正孔輸送層として用いた場合(比較例3)より1.0V以上低下しており、素子の低消費電力化が可能となったことが確認された。
金属が集積(錯形成)された共重合体を正孔輸送層として用いることにより、有機EL素子の発光効率が上昇し、さらにturn−on(駆動)電圧が低下したのは、正孔注入電極であるITOと正孔輸送層の間のエネルギーギャップが小さくなり、正孔輸送層へ正孔の注入効率が高くなったためと考えられる。
得られた有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度の測定を行い、結果を図5bに示した。
この有機EL素子は、10Vで最高輝度9000cd/m2を示し、輝度300cd/m2において1.7lm/Wの高い発光効率を示した。
さらに、turn−on(駆動)電圧は4.1V程度であり、金属を錯形成していない正孔輸送層を用いた場合(実施例5)より2.0V以上、PVKを正孔輸送層として用いた場合(比較例3)より1.0V以上低下しており、素子の低消費電力化が可能となったことが確認された。
金属が集積(錯形成)された共重合体を正孔輸送層として用いることにより、有機EL素子の発光効率が上昇し、さらにturn−on(駆動)電圧が低下したのは、正孔注入電極であるITOと正孔輸送層の間のエネルギーギャップが小さくなり、正孔輸送層へ正孔の注入効率が高くなったためと考えられる。
さらに、化合物cのクロロホルム溶液とEu(OTf)3(1当量:フェニルアゾメチンデンドロンのイミン数に対して)のアセトニトリル溶液を混合し、錯形成させた後、実施例7と同様の方法で有機EL素子を構築した。
得られた有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度の測定を行い、結果を図6bに示した。
得られた有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度の測定を行い、結果を図6bに示した。
(a)陽極:ITOガラス電極(20mm X 20mm;王子トビ社)のITO面を塩酸エッチングし、幅3mmの陽極を作成して用いた。
(b)正孔輸送層:次式(Va)
で表されるカルバゾールデンドリマー(第3世代)をクロロホルムで溶解し、スピンキャスト法により厚さ500Åの正孔輸送層を形成した。
次いで、キセノンランプ(150W)を用いて1時間光照射し光架橋反応を行った。
(c)発光層:PPVのトルエン溶液を用いてキャスト法により厚さ500ÅのPPVキャスト膜を形成した。
(d)陰極:真空蒸着法により、Alを厚さ1000Åに形成した。面積5ミリメートルの素子を作成した。
得られた有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度を測定し、図7aに示した。
ITO電極を正極として3V以上の電圧を印加することによりオレンジ色の発光が確認された。また、最大輝度は11Vで8000cd/m2、300cd/m2の発光時における発光効率は1.51mWであった。
また、図8aに示したように、真空下条件での輝度100cd/m2時における半減時間は1000時間以上となり、耐久性に優れることが確認された。
<比較例4>
同一膜厚でカルバゾールデンドリマーをキャストし、光架橋を行うことなしに、乾燥して正孔輸送層を形成し、その後、発光層であるPPVのトルエン溶液を用いスピンキャスト法により形成し、背面電極を作製したEL素子の測定結果を図7bおよび図8bに示した。光架橋してない素子においては、発光層のキャスト時に正孔輸送層が可溶化される場合があり、発光層を真空蒸着により作成するか、正孔輸送層を浸食しない溶媒を用いた溶液キャスト法により作製するか、架橋させたものとすることが望ましいことが示唆された。
(b)正孔輸送層:次式(Va)
で表されるカルバゾールデンドリマー(第3世代)をクロロホルムで溶解し、スピンキャスト法により厚さ500Åの正孔輸送層を形成した。
次いで、キセノンランプ(150W)を用いて1時間光照射し光架橋反応を行った。
(c)発光層:PPVのトルエン溶液を用いてキャスト法により厚さ500ÅのPPVキャスト膜を形成した。
(d)陰極:真空蒸着法により、Alを厚さ1000Åに形成した。面積5ミリメートルの素子を作成した。
得られた有機EL素子について、室温大気下において電圧−電流、電圧−輝度を測定し、図7aに示した。
ITO電極を正極として3V以上の電圧を印加することによりオレンジ色の発光が確認された。また、最大輝度は11Vで8000cd/m2、300cd/m2の発光時における発光効率は1.51mWであった。
また、図8aに示したように、真空下条件での輝度100cd/m2時における半減時間は1000時間以上となり、耐久性に優れることが確認された。
<比較例4>
同一膜厚でカルバゾールデンドリマーをキャストし、光架橋を行うことなしに、乾燥して正孔輸送層を形成し、その後、発光層であるPPVのトルエン溶液を用いスピンキャスト法により形成し、背面電極を作製したEL素子の測定結果を図7bおよび図8bに示した。光架橋してない素子においては、発光層のキャスト時に正孔輸送層が可溶化される場合があり、発光層を真空蒸着により作成するか、正孔輸送層を浸食しない溶媒を用いた溶液キャスト法により作製するか、架橋させたものとすることが望ましいことが示唆された。
以上詳しく説明したとおり、この発明によって、金属集積能を有するフェニルアゾメチンデンドロンサブユニット、および/または優れた正孔輸送性を有するカルバゾールデンドロンサブユニットを有し、溶液キャスト法により簡便に薄膜を形成できる有機EL素子用材料が提供される。
このような有機EL素子用材料を用いることにより、界面のモルホロジー特性が改善さた緻密で高い強度を有する薄膜を形成できる。そして、このような薄膜は、電気化学的に安定で高い耐熱性を示すものとなる。また、このような有機EL素子用材料を正孔輸送層または発光層に使用することにより、有機EL素子の発光効率の向上と開放電圧の低下、さらには駆動電圧の低下が期待でき、有用性が高い。
このような有機EL素子用材料を用いることにより、界面のモルホロジー特性が改善さた緻密で高い強度を有する薄膜を形成できる。そして、このような薄膜は、電気化学的に安定で高い耐熱性を示すものとなる。また、このような有機EL素子用材料を正孔輸送層または発光層に使用することにより、有機EL素子の発光効率の向上と開放電圧の低下、さらには駆動電圧の低下が期待でき、有用性が高い。
Claims (12)
- 少なくとも、次式(I)
(ただし、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、サイクラムとその誘導体、ならびにビニルポリマーとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、YおよびWは同一または別異に、次式(II)
(ただし、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数である)
で表されるフェニルアゾメチンデンドロンサブユニット、もしくは、次式(III)
(ただし、Nは窒素原子であり、nは1〜6の整数である)
で表されるカルバゾールデンドロンサブユニットのいずれかであり、lはXに結合しているYの数を表す整数であり、kはXに結合しているWの数を表す整数である)
で表される化合物からなることを特徴とする有機EL素子用材料。 - 次式(IV)
(ただし、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、ならびにサイクラムとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、Nは窒素原子であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、mは1〜6の整数であり、lはXに結合しているデンドロンサブユニットの数を表す1〜6の整数である)
で表されるフェニルアゾメチンデンドリマーからなることを特徴とする請求項1の有機EL素子用材料。 - 次式(VI)
(ただし、Nは窒素原子であり、Xは炭素原子、窒素原子、アミン誘導体、ベンゼンとその誘導体、ヘテロ環とその誘導体、ポルフィリンとその誘導体、フタロシアニンとその誘導体、ならびにサイクラムとその誘導体からなる群より選択されるコア部位であり、R1は置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基およびヘテロ環基からなる群より選択される置換基であるか、存在しなくてもよく、R2は1以上の置換基を有していてもよいフェニル基である;mは1〜6の整数であり、nは1〜6の整数である;kおよびlは各々でXに結合しているデンドロンサブユニットの数を表す、1≦k+l≦6の条件を満たす整数である)
で表されるフェニルアゾメチン−カルバゾール非対称デンドリマーからなることを特徴とする請求項1の有機EL素子用材料。 - 少なくとも陽極と、陽極上に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層に接する発光層と、発光層と接する陰極から構成される有機EL素子において、正孔輸送層または発光層が、請求項1ないし7のいずれかの有機EL素子用材料を含有する薄膜からなることを特徴とする有機EL素子。
- 正孔輸送層または発光層が、請求項1ないし7のいずれかの有機EL素子用材料とともに、金属塩を含有する薄膜からなることを特徴とする請求項9の有機EL素子。
- 正孔輸送層または発光層が、請求項1ないし7のいずれかの有機EL素子用材料を光架橋してなる薄膜からなることを特徴とする請求項8または9の有機EL素子。
- 請求項9ないし11のいずれかの有機EL素子を含んで構成されることを特徴とする発光もしくは表示装置。
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JPN6010019049, Masayoshi Higuchi,et.al., "First Synthesis of Phenylazomethine Dendrimer Ligands and Structural Studies", J.Am.Chem.Soc., 20010421, 123, 4414−4420, US * |
JPN6010019050, Takane Imaoka,et.al., "Metal Assembly in Novel Dendrimers with Porphyrin Cores", J.AM.CHEM.SOC., 20021213, 125, 340−341, US * |
JPN6010019051, Masayoshi Higuchi,et.al., "Novel phenylazomethine Dendrimers:Synthesis and Structural Properties", Organic Letters, 20000709, Vol.2,No.20, 3079−3082 * |
JPN6010019052, Masayoshi Higuch,et.al., "Controlled Cyclotrimerization in Hyperbranched Polymer Synthesis", Macromolecules, Vol.34, 8847−8850 * |
JPN6010019053, S.Grigalevicius,et.al., "Photoconductive molecular glasses consisting of twin moleculres", Journal of Photochemistry and Photobiology A : Chemistry, 20030124, Vol.154 , Issue 2−3, 161−167 * |
JPN6010019054, Ahmed Hameurlaine et. al., "Synthesis of soluble oligocarbazole derivatives", Tetrahedron Letters, 20030127, Vol.44, Issue 5, 957−959 * |
JPN6010019055, 樋口昌芳、山元公寿, "Novel Topological Polyphenylazomethines Having Controlled Metal Assembling Properties", 有機合成化学協会誌, Vol.60,No.9, p869−877, JP * |
JPN6010019056, Kimihisa Yamamoto.et.al., "Stepwise radial complexation of imine groups in phenylazomethine dendrimers", Nature, 20020131, Vol.415, p509−511 * |
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