JPWO2004077870A1 - 移動通信におけるダイバーシチハンドオーバー方法及び制御局並びに移動端末装置 - Google Patents
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Abstract
通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおいてダイバーシチハンドオーバーを実現できるようにする。制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、該複数の基地局から送信される端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与する。また、一つの端末から複数の基地局のそれぞれに、送信元アドレスとして異なるIPアドレスを付与したパケットを同時に送信し、各基地局を介してパケットを制御局に送信する。
Description
本発明は、自動車電話や携帯電話などの移動通信におけるダイバーシチハンドオーバー(またはソフトハンドオーバー)方法及び制御局並びに移動端末装置に係わり、特に、無線通信チャネルを介して多数の基地局と移動局が通信を行う移動通信において、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる場合に適用できるダイバーシチハンドオーバー方法及び制御局並びに移動端末装置に関する。
現在の移動通信システムでは回線交換方式による信号伝送が主流であるが、近年のインターネットの普及により、パケットによる信号伝送も多く行われるようになってきている。さらに今後は、よりインターネットとの親和性の高い、IP(Internet Protocol:インタネットプロトコル)を用いた伝送が主流になると考えられる。移動通信でのIP伝送には、Mobile−IP(モバイルIP)やCellular−IP(セルラーIP)と呼ばれる方式が検討されている。
Mobile−IPおよびCellular−IPでは、網内および無線区間で伝送される信号のフォーマットとしてIPを用いている。Mobile−IPは比較的広い範囲での使用を想定しているが、移動中の使用は考慮されていない。一方、Cellular−IPは、適用できる範囲が狭いものの、移動中でも使用できるようなルーチング方法が採用されている。そのため、これらを移動通信に適用する場合は、無線制御局より上位のネットワークではMobile−IPが、それより下位ではCellular−IPが用いられるものと考えられる。また、ある程度の範囲内での移動まで考慮した、階層化Mobile−IP(HMIP)についても検討が行われている。
IP伝送では、パケットデータはヘッダーに記述された宛先(アドレス)情報を元に、目的とする宛先に一または複数のノードを経て伝送される。移動通信システムにIP伝送を適用した場合、ノードは基地局、移動局、ネットワーク制御局などが相当する。
CDMAなどを用いる移動通信システムでは、一つの移動局が同時に複数の基地局と接続して通信する、ダイバーシチハンドオーバーが行われる。ダイバーシチハンドオーバーは通信中の切断の確率を減少させたり、受信利得を向上させるなどの効果がある。
従来、IPネットワークは固定網のみで用いられてきた。そのため一つの宛先への経路は常に一つしか存在しない。そのため、IP伝送の手法をそのまま移動通信に適用すると、同一の信号を複数の経路で送出するというダイバーシチハンドオーバーを実現することができない。IP伝送でのダイバーシチハンドオーバーについての検討は一部行われているが、基地局間の送信タイミングが非同期のときに端末での受信タイミングがそろわない場合があることを考慮していない。また、特開平4−10720号は、複数基地局で送受信されるパケットのヘッダーまで含めて同一であるとしているので、IPパケットの伝送を考慮していない。
以上のようにIPネットワークにおける移動通信では、ダイバーシチハンドオーバー実行が困難であった。
従って、本発明の目的は一つのパケットを複数の経路で同時に送出できるようにし、これにより、簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現できるようにすることである。
Mobile−IPおよびCellular−IPでは、網内および無線区間で伝送される信号のフォーマットとしてIPを用いている。Mobile−IPは比較的広い範囲での使用を想定しているが、移動中の使用は考慮されていない。一方、Cellular−IPは、適用できる範囲が狭いものの、移動中でも使用できるようなルーチング方法が採用されている。そのため、これらを移動通信に適用する場合は、無線制御局より上位のネットワークではMobile−IPが、それより下位ではCellular−IPが用いられるものと考えられる。また、ある程度の範囲内での移動まで考慮した、階層化Mobile−IP(HMIP)についても検討が行われている。
IP伝送では、パケットデータはヘッダーに記述された宛先(アドレス)情報を元に、目的とする宛先に一または複数のノードを経て伝送される。移動通信システムにIP伝送を適用した場合、ノードは基地局、移動局、ネットワーク制御局などが相当する。
CDMAなどを用いる移動通信システムでは、一つの移動局が同時に複数の基地局と接続して通信する、ダイバーシチハンドオーバーが行われる。ダイバーシチハンドオーバーは通信中の切断の確率を減少させたり、受信利得を向上させるなどの効果がある。
従来、IPネットワークは固定網のみで用いられてきた。そのため一つの宛先への経路は常に一つしか存在しない。そのため、IP伝送の手法をそのまま移動通信に適用すると、同一の信号を複数の経路で送出するというダイバーシチハンドオーバーを実現することができない。IP伝送でのダイバーシチハンドオーバーについての検討は一部行われているが、基地局間の送信タイミングが非同期のときに端末での受信タイミングがそろわない場合があることを考慮していない。また、特開平4−10720号は、複数基地局で送受信されるパケットのヘッダーまで含めて同一であるとしているので、IPパケットの伝送を考慮していない。
以上のようにIPネットワークにおける移動通信では、ダイバーシチハンドオーバー実行が困難であった。
従って、本発明の目的は一つのパケットを複数の経路で同時に送出できるようにし、これにより、簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現できるようにすることである。
本発明は、ヘッダー情報の書き換えにより、一つのパケットを複数の経路を介して同時に送出することでダイバーシチハンドオーバーを実現する。
すなわち、通信信号フォーマットとしてIPを用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、該複数の基地局から送信される端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与する。また、端末より複数の基地局に並列に上りパケットを同時に送信し、該複数の基地局へ送信するパケットの送信元IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、各基地局を介してパケットを制御局に送信する。
より具体的には、端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、制御局において宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して同一の端末に送信する。端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる
また、端末において送信元IPアドレスとして基地局毎に異なる前記IPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局を介して制御局に送信する。制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる
すなわち、通信信号フォーマットとしてIPを用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、該複数の基地局から送信される端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与する。また、端末より複数の基地局に並列に上りパケットを同時に送信し、該複数の基地局へ送信するパケットの送信元IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、各基地局を介してパケットを制御局に送信する。
より具体的には、端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、制御局において宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して同一の端末に送信する。端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる
また、端末において送信元IPアドレスとして基地局毎に異なる前記IPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局を介して制御局に送信する。制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる
図1は本発明を適用できる移動通信システムの構成図である。
図2は移動通信システムのダイバーシチハンドオーバー状態説明図である。
図3は本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図である。
図4はダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
図5は制御局の下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
図6は宛先アドレスを基地局に応じた気付きアドレスに書き替えて基地局に送出するパケット説明図である。
図7は制御局の上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
図8は移動端末の上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
図9は送信元アドレスを基地局に応じた気付きアドレスに書き替えて基地局に送出するパケット説明図である。
図10は移動端末の下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
図11は制御局の構成図である。
図12は移動端末の構成図である。
図2は移動通信システムのダイバーシチハンドオーバー状態説明図である。
図3は本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図である。
図4はダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
図5は制御局の下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
図6は宛先アドレスを基地局に応じた気付きアドレスに書き替えて基地局に送出するパケット説明図である。
図7は制御局の上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
図8は移動端末の上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
図9は送信元アドレスを基地局に応じた気付きアドレスに書き替えて基地局に送出するパケット説明図である。
図10は移動端末の下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
図11は制御局の構成図である。
図12は移動端末の構成図である。
(A)移動通信システム
図1は本発明を適用できる移動通信システムの構成図であり、HMIP(階層モバイルIP)における構成を示している。HAはホームエージェント(Home Agent)、MAはモバイルエージェント(Mobile Agent)、AR1,AR2はアクセスルータ(Access Router)、Rはルーター、CNは通信ノード(Corresponding Node)、MNはモバイルノード(Mobile Node)であり、アクセスルータ AR1,AR2が移動通信での基地局、モバイルノードMNが移動端末、モバイルエージェントMAが制御局に相当する。
モバイルノードMNは、ホームエージェントHAより割り当てられた固有のIPアドレスIP0を有しており、ホームネットワークNWH内から通信する場合にはこのIPアドレスIP0を使用する。しかし、モバイルノードMNがホームネットワークNWHからアクセスネットワークNWA1に移動すれば、アクセスルータAR1よりアドレスIP1を仮に割り当てられ、このアドレスIP1を用いて通信する。移動先のアクセスネットワークNWA1で割り当てられるこの仮アドレスを気付きアドレス(CoA:Care of Address)という。
モバイルノードMNは、アクセスネットワークNWA1で気付きアドレスCoA(=IP1)を用いて移動通信中に、図2に示すように隣のアクセスネットワークNWA2に接近すると基地局であるアクセスルータAR2へのハンドオーバーを開始し、該アクセスルータAR2から新しい気付きアドレスCoA(=IP2)が割り当てられる。
HMIPにおいて、同一モバイルエージェントMAの配下であるアクセスルータAR1,AR2間のIPアドレスの変更は、該モバイルエージェントMAが管理し、ホームエージェントHAには通知されない。また、Mobile−IPでは、移動端末であるモバイルノードMNは一つの気付きアドレスCoAしか持てないので、ハンドオーバーを開始するとIPアドレスはIP1からIP2に切り替わる。しかし、これではダイバーシチハンドオーバーを実行できない。ダイバーシチハンドオーバーを実行するためには、移動端末であるモバイルノードMNは、複数の基地局(アクセスルータ)AR1,AR2と同時に通信する必要があるからである。
そこで、ダイバーシチハンドオーバーを可能とするために、モバイルエージェントMAは、▲1▼下りパケットの複製を行うと共に、▲2▼モバイルノードMNに各アクセスルータAR1,AR2に対応した複数のIPアドレスIP1,IP2を付与し、更に、▲3▼上りパケットの選択合成を行う。
すなわち、モバイルエージェント(制御局)MAは、モバイルノード(移動端末)MNにアクセスルータ(基地局)AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を付与し、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる
(B)ダイバーシチハンドオーバーシーケンス
図3は本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図、図4はダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
図3において、初期時、移動端末(モバイルノード)MNは、気付きアドレスCoAとしてIP1を与えられて基地局(アクセスルータ)AR1を介して移動通信を行っている(図1参照。ステップ(1))。かかる状態において、制御局(モバイルエージェント)MAは移動端末MNに定期的に無線状態を報告するように要求する(ステップ(2))。移動端末MNは、無線状態報告要求を受信すれば、周辺基地局AR2からの受信レベルを測定して通信中の基地局AR1を介して制御局MNに報告する(ステップ(3))。
制御局MAはMNからの無線状態報告に基づいてダイバーシチハンドオーバーの実行が必要であるか判断し、必要であると判断すれば、隣接基地局AR2にチャネル(CDMAの場合には拡散コード)を設定すると共に送信開始を要求し(ステップ(4))、隣接基地局AR2は設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(5))。また、制御局MNは通信中の基地局AR1を介して移動端末MNにチャネルを設定すると共にダイバーシチハンドオーバーの開始を要求し(ステップ(6))、これにより、移動端末MNは設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(7))。
移動端末MNは隣接基地局AR2との間で同期が確立すれば、制御局MAに同期完了を通知する(ステップ8)。これにより、移動端末MNは基地局AR1,AR2との間に同時に無線リンクを張って通信を行える状態になる(ステップ(9))。
かかる状態において、隣接基地局AR2はルータ広告(Router Advertisement)を移動端末MNに発行し(ステップ(10))、移動端末MNはルータ広告を受信すれば、制御局に対して結合更新(Binding Update)を行い(ステップ(11))、制御局MAは基地局AR2に応じた新しい気付きアドレスCoA(=IP2)を基地局AR2、移動端末MNに通知する(図2参照。ステップ(12))。
以上により、ダイバーシチハンドオーバー(ダイバーシチハンドオーバー)が可能となり、図4(A),図4(B)に従ってダイバーシチハンドオーバーが行われる(ステップ(13))。すなわち、下り送信の場合(図4(A)参照)、制御局MAは、通信ノードCNより移動端末MN宛のパケットを受信すると、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する2つパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、上り送信の場合(図4(B)参照)、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2が受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択し、コアネットワークに送出する。
以上のダイバーシチハンドオーバーと並行して、移動端末MNは基地局AR1からのパイロット信号の強度が設定時間以上連続して設定レベル以下になると、移動局MNは基地局AR1を介して受信レベルを制御局MAに通知する(ステップ(14))。この通知により、制御局MAは移動局MNと基地局AR1間の通信終了を決定し、基地局AR2を介して移動局MNにハンドオーバー(ハードハンドオーバー)を指示する(ステップ(15))。移動局MNはハンドオーバーが指示されると、ハンドオーバー完了を制御局MAに送信すると共に(ステップ(16))、基地局AR1間の無線回線を切断する(ステップ(17))。制御局MAはハンドオーバー完了を受信すれば基地局AR1に通信チャネルの使用禁止を指示し(ステップ(18))、ダイバーシチハンドオーバー制御が完了する。以後、移動局MNは基地局AR2を介して移動通信を行う。
(C)各部のダイバーシチハンドオーバー処理
(a)制御局MAの処理
図5は制御局MAの下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。制御局MAは通信ノードCNから移動端末宛のパケットを受信し、順次基地局へ送出する。かかる状態において、端末へ送出すべきパケットが残存するかチェックし(ステップ101)、存在すればi=1とし(ステップ102)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ103)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ103はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該パケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ103において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ108)、ステップ106以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ105)。
図6は、受信パケット51の宛先アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット511,512を示している。
図7は制御局MAの上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
上り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ201)、存在すれば、i=1とし(ステップ202)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ203)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ203において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ205)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ206)、ステップ205以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
(b)移動端末MNの処理
図8は移動端末MNの上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。移動端末MNは相手通信ノード(端末)CNに送信すべきデータが存在すればパケットを作成してバッファリングし、順次送信する。相手通信ノード(端末)CNに送信すべき上りパケットが存在するかチェックし(ステップ301)、存在すればi=1とし(ステップ302)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ303)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ303はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該上りパケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ303において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの送信元アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP1)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し、(ステップ308)、ステップ306以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP2)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ305)。
図9は、送信パケット61の送信元アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット611,612を示している。
図10は移動端末MNの下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
下り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ401)、存在すれば、i=1とし(ステップ402)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ403)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ403において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ405)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ406)、ステップ405以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
(D)各部の構成
(a)制御局MA
図11は制御局MAの構成図であり、コアインターフェース11は通信ノードCNより下りパケットを受信すると共に上りパケットを通信ノードCNに送信する。データ処理部12は、下りパケットに関してパケットの複製、IPヘッダの書き換え、上りパケットに関してパケットの選択、IPヘッダの書き換え等を行う。制御部13は、▲1▼配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理を行う共に、▲2▼下りパケットに関してデータ処理部12に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、▲3▼上りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択を指示し、また、▲4▼ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。基地局インターフェース部14は下りパケットを基地局AR1,AR2…へ送信すると共に、基地局AR1,AR2…より上りパケットを受信する。
下りパケットに関して以下の処理が行われる。データ振り分け部21はコアネットワークインターフェース部11より下りパケットが入力すると、該パケットを複製部22、基地局インターフェース部14に入力すると共にIPヘッダ部を制御部13に入力する。制御部13は、ヘッダ情報より宛先の端末を判別する。又、制御部13は、配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ20に管理しているから、該管理データを参照して図5の処理を行う。制御部13は、宛先端末がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部22にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部23に書き換えを指示しない。この結果、基地局インターフェース部14はデータ振り分け部21から直接入力されたパケットを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部13はデータ複製部22にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部23に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部22は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部23に入力する。IPヘッダ書き換え部23は複製されたパケットのIPヘッダにおける宛先アドレスを制御部13より指示されたIPアドレスで書き(図6参照)、基地局インターフェース部14に入力する。基地局インターフェース部14は複製された下りパケットをそれぞれダイバーシチハンドオーバーで通信中の基地局AR1,AR2…へ送信する。
上りパケットに関して、制御部13は図7に示す処理を行う。すなわち、制御部13は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択・データ分離部24に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択・データ分離部24は各基地局より入力されるパケットの受信状態(SIR)を測定し、受信状態(SIR)が最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。
制御部13は上りパケットに付加すべき送信元IPアドレスを、メモリ30の管理データを参照して求め、該送信元IPアドレスをIPヘッダ書き換え部25に入力する。IPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットの送信元IPアドレスを制御部13より入力するIPアドレスで書き替えてコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、制御部13はその旨をパケット選択・データ分離部24に通知する。この結果、パケット選択・データ分離部24は基地局インターフェース14から入力するパケットを選択し、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。又、制御部13は上りパケットの送信元IPアドレスに変更がない旨をIPヘッダ書き換え部25に入力する。これによりIPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットをそのままコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
(b)移動端末MN
図12は移動端末MNの構成図であり、データ処理部31は、送信パケット及び制御情報を出力すると共に、下りのパケットを受信してデータ処理する。データ複製部32は制御部34からの指示に従って上りパケットの複製を行い、IPヘッダ書き換え部33は制御部34からの指示に従ってIPヘッダ(送信元IPアドレス)の書き換えを行う。制御部34は、▲1▼自移動端末MNがダイバーシチのハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理をメモリ30で行う共に、▲2▼上りパケットに関してデータ複製部32及びIPヘッダ書き換え部33に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、▲3▼下りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択をパケット選択部35に指示し、また、▲4▼ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。
送信変調部36は、各基地局毎に変調器MDL、コード拡散器SP、各コード拡散器出力を合成する合成部CBNを備えている。送信機37は合成器CBNの出力を高周波信号に変換して送信する。受信部38は受信信号をベースバンド信号に変換して受信復調部39に入力する。受信復調部39は、各基地局毎に逆拡散器RSP及び復調器DMDLを備えている。
パケット選択部35は、最も受信状態が良好な基地局を決定し、下り受信パケットをデータ処理部31に入力すると共に、IPヘッダを分離して制御部34に入力する。
上りパケットに関して以下の処理が行われる。
制御部13は、自移動端末MNのダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ30に管理しているから、該管理データを参照して図8の処理を行う。すなわち、制御部34は、自分がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部32にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部33に書き換えを指示しない。この結果、送信機37は送信変調部36の一番上の変調器、拡散器を介して入力した拡散信号のみを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部34はデータ複製部32にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部33に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部32は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部33に入力する。IPヘッダ書き換え部33は複製されたパケットのIPヘッダにおける送信元アドレスを制御部34より指示されたIPアドレスで書き替え、(図9参照)、それぞれ送信変調部36に入力する。送信変調部36の対応する複数の変調器MDLは例えばQPSK変調すると共に、各拡散器SPは所定の拡散コードで拡散し、合成器CBNで合成して送信機37に入力する。送信機37は合成信号を高周波信号に変換して送信する。
下りパケットに関して、制御部34は図10に示す処理を行う。すなわち、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択部35に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択部35は各基地局より入力されるパケットのSIRを測定し、SIRが最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部34に入力する。
一方、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態でなければその旨をパケット選択部35に通知する。この結果、パケット選択部35は受信復調部39から入力するパケットをそのままデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部13に入力する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
また、図12では変調器、拡散器はパケットごとに用意されているが、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの変調器および拡散器で構成することも可能である。同様に、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの復調器および逆拡散器で構成することも可能である。
以上、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる自動車電話や携帯電話などの移動通信システムに、本発明を用いることで、従来難しかったダイバーシチハンドオーバーが簡単に実現可能となる。
図1は本発明を適用できる移動通信システムの構成図であり、HMIP(階層モバイルIP)における構成を示している。HAはホームエージェント(Home Agent)、MAはモバイルエージェント(Mobile Agent)、AR1,AR2はアクセスルータ(Access Router)、Rはルーター、CNは通信ノード(Corresponding Node)、MNはモバイルノード(Mobile Node)であり、アクセスルータ AR1,AR2が移動通信での基地局、モバイルノードMNが移動端末、モバイルエージェントMAが制御局に相当する。
モバイルノードMNは、ホームエージェントHAより割り当てられた固有のIPアドレスIP0を有しており、ホームネットワークNWH内から通信する場合にはこのIPアドレスIP0を使用する。しかし、モバイルノードMNがホームネットワークNWHからアクセスネットワークNWA1に移動すれば、アクセスルータAR1よりアドレスIP1を仮に割り当てられ、このアドレスIP1を用いて通信する。移動先のアクセスネットワークNWA1で割り当てられるこの仮アドレスを気付きアドレス(CoA:Care of Address)という。
モバイルノードMNは、アクセスネットワークNWA1で気付きアドレスCoA(=IP1)を用いて移動通信中に、図2に示すように隣のアクセスネットワークNWA2に接近すると基地局であるアクセスルータAR2へのハンドオーバーを開始し、該アクセスルータAR2から新しい気付きアドレスCoA(=IP2)が割り当てられる。
HMIPにおいて、同一モバイルエージェントMAの配下であるアクセスルータAR1,AR2間のIPアドレスの変更は、該モバイルエージェントMAが管理し、ホームエージェントHAには通知されない。また、Mobile−IPでは、移動端末であるモバイルノードMNは一つの気付きアドレスCoAしか持てないので、ハンドオーバーを開始するとIPアドレスはIP1からIP2に切り替わる。しかし、これではダイバーシチハンドオーバーを実行できない。ダイバーシチハンドオーバーを実行するためには、移動端末であるモバイルノードMNは、複数の基地局(アクセスルータ)AR1,AR2と同時に通信する必要があるからである。
そこで、ダイバーシチハンドオーバーを可能とするために、モバイルエージェントMAは、▲1▼下りパケットの複製を行うと共に、▲2▼モバイルノードMNに各アクセスルータAR1,AR2に対応した複数のIPアドレスIP1,IP2を付与し、更に、▲3▼上りパケットの選択合成を行う。
すなわち、モバイルエージェント(制御局)MAは、モバイルノード(移動端末)MNにアクセスルータ(基地局)AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を付与し、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる
(B)ダイバーシチハンドオーバーシーケンス
図3は本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図、図4はダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
図3において、初期時、移動端末(モバイルノード)MNは、気付きアドレスCoAとしてIP1を与えられて基地局(アクセスルータ)AR1を介して移動通信を行っている(図1参照。ステップ(1))。かかる状態において、制御局(モバイルエージェント)MAは移動端末MNに定期的に無線状態を報告するように要求する(ステップ(2))。移動端末MNは、無線状態報告要求を受信すれば、周辺基地局AR2からの受信レベルを測定して通信中の基地局AR1を介して制御局MNに報告する(ステップ(3))。
制御局MAはMNからの無線状態報告に基づいてダイバーシチハンドオーバーの実行が必要であるか判断し、必要であると判断すれば、隣接基地局AR2にチャネル(CDMAの場合には拡散コード)を設定すると共に送信開始を要求し(ステップ(4))、隣接基地局AR2は設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(5))。また、制御局MNは通信中の基地局AR1を介して移動端末MNにチャネルを設定すると共にダイバーシチハンドオーバーの開始を要求し(ステップ(6))、これにより、移動端末MNは設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(7))。
移動端末MNは隣接基地局AR2との間で同期が確立すれば、制御局MAに同期完了を通知する(ステップ8)。これにより、移動端末MNは基地局AR1,AR2との間に同時に無線リンクを張って通信を行える状態になる(ステップ(9))。
かかる状態において、隣接基地局AR2はルータ広告(Router Advertisement)を移動端末MNに発行し(ステップ(10))、移動端末MNはルータ広告を受信すれば、制御局に対して結合更新(Binding Update)を行い(ステップ(11))、制御局MAは基地局AR2に応じた新しい気付きアドレスCoA(=IP2)を基地局AR2、移動端末MNに通知する(図2参照。ステップ(12))。
以上により、ダイバーシチハンドオーバー(ダイバーシチハンドオーバー)が可能となり、図4(A),図4(B)に従ってダイバーシチハンドオーバーが行われる(ステップ(13))。すなわち、下り送信の場合(図4(A)参照)、制御局MAは、通信ノードCNより移動端末MN宛のパケットを受信すると、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する2つパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、上り送信の場合(図4(B)参照)、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2が受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択し、コアネットワークに送出する。
以上のダイバーシチハンドオーバーと並行して、移動端末MNは基地局AR1からのパイロット信号の強度が設定時間以上連続して設定レベル以下になると、移動局MNは基地局AR1を介して受信レベルを制御局MAに通知する(ステップ(14))。この通知により、制御局MAは移動局MNと基地局AR1間の通信終了を決定し、基地局AR2を介して移動局MNにハンドオーバー(ハードハンドオーバー)を指示する(ステップ(15))。移動局MNはハンドオーバーが指示されると、ハンドオーバー完了を制御局MAに送信すると共に(ステップ(16))、基地局AR1間の無線回線を切断する(ステップ(17))。制御局MAはハンドオーバー完了を受信すれば基地局AR1に通信チャネルの使用禁止を指示し(ステップ(18))、ダイバーシチハンドオーバー制御が完了する。以後、移動局MNは基地局AR2を介して移動通信を行う。
(C)各部のダイバーシチハンドオーバー処理
(a)制御局MAの処理
図5は制御局MAの下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。制御局MAは通信ノードCNから移動端末宛のパケットを受信し、順次基地局へ送出する。かかる状態において、端末へ送出すべきパケットが残存するかチェックし(ステップ101)、存在すればi=1とし(ステップ102)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ103)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ103はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該パケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ103において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ108)、ステップ106以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ105)。
図6は、受信パケット51の宛先アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット511,512を示している。
図7は制御局MAの上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
上り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ201)、存在すれば、i=1とし(ステップ202)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ203)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ203において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ205)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ206)、ステップ205以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
(b)移動端末MNの処理
図8は移動端末MNの上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。移動端末MNは相手通信ノード(端末)CNに送信すべきデータが存在すればパケットを作成してバッファリングし、順次送信する。相手通信ノード(端末)CNに送信すべき上りパケットが存在するかチェックし(ステップ301)、存在すればi=1とし(ステップ302)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ303)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ303はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該上りパケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ303において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの送信元アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP1)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し、(ステップ308)、ステップ306以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP2)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ305)。
図9は、送信パケット61の送信元アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット611,612を示している。
図10は移動端末MNの下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
下り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ401)、存在すれば、i=1とし(ステップ402)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ403)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ403において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ405)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ406)、ステップ405以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
(D)各部の構成
(a)制御局MA
図11は制御局MAの構成図であり、コアインターフェース11は通信ノードCNより下りパケットを受信すると共に上りパケットを通信ノードCNに送信する。データ処理部12は、下りパケットに関してパケットの複製、IPヘッダの書き換え、上りパケットに関してパケットの選択、IPヘッダの書き換え等を行う。制御部13は、▲1▼配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理を行う共に、▲2▼下りパケットに関してデータ処理部12に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、▲3▼上りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択を指示し、また、▲4▼ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。基地局インターフェース部14は下りパケットを基地局AR1,AR2…へ送信すると共に、基地局AR1,AR2…より上りパケットを受信する。
下りパケットに関して以下の処理が行われる。データ振り分け部21はコアネットワークインターフェース部11より下りパケットが入力すると、該パケットを複製部22、基地局インターフェース部14に入力すると共にIPヘッダ部を制御部13に入力する。制御部13は、ヘッダ情報より宛先の端末を判別する。又、制御部13は、配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ20に管理しているから、該管理データを参照して図5の処理を行う。制御部13は、宛先端末がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部22にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部23に書き換えを指示しない。この結果、基地局インターフェース部14はデータ振り分け部21から直接入力されたパケットを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部13はデータ複製部22にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部23に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部22は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部23に入力する。IPヘッダ書き換え部23は複製されたパケットのIPヘッダにおける宛先アドレスを制御部13より指示されたIPアドレスで書き(図6参照)、基地局インターフェース部14に入力する。基地局インターフェース部14は複製された下りパケットをそれぞれダイバーシチハンドオーバーで通信中の基地局AR1,AR2…へ送信する。
上りパケットに関して、制御部13は図7に示す処理を行う。すなわち、制御部13は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択・データ分離部24に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択・データ分離部24は各基地局より入力されるパケットの受信状態(SIR)を測定し、受信状態(SIR)が最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。
制御部13は上りパケットに付加すべき送信元IPアドレスを、メモリ30の管理データを参照して求め、該送信元IPアドレスをIPヘッダ書き換え部25に入力する。IPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットの送信元IPアドレスを制御部13より入力するIPアドレスで書き替えてコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、制御部13はその旨をパケット選択・データ分離部24に通知する。この結果、パケット選択・データ分離部24は基地局インターフェース14から入力するパケットを選択し、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。又、制御部13は上りパケットの送信元IPアドレスに変更がない旨をIPヘッダ書き換え部25に入力する。これによりIPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットをそのままコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
(b)移動端末MN
図12は移動端末MNの構成図であり、データ処理部31は、送信パケット及び制御情報を出力すると共に、下りのパケットを受信してデータ処理する。データ複製部32は制御部34からの指示に従って上りパケットの複製を行い、IPヘッダ書き換え部33は制御部34からの指示に従ってIPヘッダ(送信元IPアドレス)の書き換えを行う。制御部34は、▲1▼自移動端末MNがダイバーシチのハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理をメモリ30で行う共に、▲2▼上りパケットに関してデータ複製部32及びIPヘッダ書き換え部33に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、▲3▼下りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択をパケット選択部35に指示し、また、▲4▼ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。
送信変調部36は、各基地局毎に変調器MDL、コード拡散器SP、各コード拡散器出力を合成する合成部CBNを備えている。送信機37は合成器CBNの出力を高周波信号に変換して送信する。受信部38は受信信号をベースバンド信号に変換して受信復調部39に入力する。受信復調部39は、各基地局毎に逆拡散器RSP及び復調器DMDLを備えている。
パケット選択部35は、最も受信状態が良好な基地局を決定し、下り受信パケットをデータ処理部31に入力すると共に、IPヘッダを分離して制御部34に入力する。
上りパケットに関して以下の処理が行われる。
制御部13は、自移動端末MNのダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ30に管理しているから、該管理データを参照して図8の処理を行う。すなわち、制御部34は、自分がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部32にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部33に書き換えを指示しない。この結果、送信機37は送信変調部36の一番上の変調器、拡散器を介して入力した拡散信号のみを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部34はデータ複製部32にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部33に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部32は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部33に入力する。IPヘッダ書き換え部33は複製されたパケットのIPヘッダにおける送信元アドレスを制御部34より指示されたIPアドレスで書き替え、(図9参照)、それぞれ送信変調部36に入力する。送信変調部36の対応する複数の変調器MDLは例えばQPSK変調すると共に、各拡散器SPは所定の拡散コードで拡散し、合成器CBNで合成して送信機37に入力する。送信機37は合成信号を高周波信号に変換して送信する。
下りパケットに関して、制御部34は図10に示す処理を行う。すなわち、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択部35に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択部35は各基地局より入力されるパケットのSIRを測定し、SIRが最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部34に入力する。
一方、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態でなければその旨をパケット選択部35に通知する。この結果、パケット選択部35は受信復調部39から入力するパケットをそのままデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部13に入力する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
また、図12では変調器、拡散器はパケットごとに用意されているが、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの変調器および拡散器で構成することも可能である。同様に、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの復調器および逆拡散器で構成することも可能である。
以上、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる自動車電話や携帯電話などの移動通信システムに、本発明を用いることで、従来難しかったダイバーシチハンドオーバーが簡単に実現可能となる。
【書類名】 明細書
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、
制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、
該複数の基地局から送信される前記端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、
一つの端末から前記複数の基地局のそれぞれに、送信元アドレスとして前記異なるIPアドレスを付与したパケットを同時に送信し、各基地局を介してパケットを制御局に送信し、
制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する、
ことを特徴とするダイバーシチハンドオーバー方法。
【請求項2】 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、
制御局において端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、
宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、
制御局より各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して端末に同時に到着するように送信し、
端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる、
ことを特徴とするダイバーシチハンドオーバー方法。
【請求項3】 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおける制御局において、
コアネットワークより端末宛のパケットを受信する手段、
ダイバーシチハンドオーバー状態の端末に対し基地局毎に異なるIPアドレスを付与する手段、
コアネットワークより端末宛のパケットを受信したとき、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、
各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局へ送出する手段、
を備えたことを特徴とする制御局。
【請求項4】 ダイバーシチハンドオーバー状態の1つの端末より複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択する手段、
を備えたことを特徴とする請求項3記載の制御局。
【請求項5】 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおける移動端末装置において、
基地局毎に異なるIPアドレスを指示されて保持する手段、
送信すべきパケットの送信元IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、
複製された各パケットを送信元IPアドレスに対応する基地局へ送出する手段、
を備えたことを特徴とする移動端末装置。
【請求項6】 ダイバーシチハンドオーバー状態において、複数の基地局から受信した複数の下りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを選択する手段、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の移動端末装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
・技術分野
本発明は、自動車電話や携帯電話などの移動通信におけるダイバーシチハンドオーバー(またはソフトハンドオーバー)方法及び制御局並びに移動端末装置に係わり、特に、無線通信チャネルを介して多数の基地局と移動局が通信を行う移動通信において、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる場合に適用できるダイバーシチハンドオーバー方法及び制御局並びに移動端末装置に関する。
【0002】
・背景技術
現在の移動通信システムでは回線交換方式による信号伝送が主流であるが、近年のインターネットの普及により、パケットによる信号伝送も多く行われるようになってきている。さらに今後は、よりインターネットとの親和性の高い、IP(Internet Protocol:インタネットプロトコル)を用いた伝送が主流になると考えられる。移動通信でのIP伝送には、Mobile-IP(モバイルIP)やCellular-IP(セルラーIP)と呼ばれる方式が検討されている。
Mobile-IPおよびCellular-IPでは、網内および無線区間で伝送される信号のフォーマットとしてIPを用いている。Mobile-IPは比較的広い範囲での使用を想定しているが、移動中の使用は考慮されていない。一方、Cellular-IPは、適用できる範囲が狭いものの、移動中でも使用できるようなルーチング方法が採用されている。そのため、これらを移動通信に適用する場合は、無線制御局より上位のネットワークではMobile-IPが、それより下位ではCellular-IPが用いられるものと考えられる。また、ある程度の範囲内での移動まで考慮した、階層化Mobile-IP (HMIP)についても検討が行われている。
IP伝送では、パケットデータはヘッダーに記述された宛先(アドレス)情報を元に、目的とする宛先に一または複数のノードを経て伝送される。移動通信システムにIP伝送を適用した場合、ノードは基地局、移動局、ネットワーク制御局などが相当する。
CDMAなどを用いる移動通信システムでは、一つの移動局が同時に複数の基地局と接続して通信する、ダイバーシチハンドオーバーが行われる。ダイバーシチハンドオーバーは通信中の切断の確率を減少させたり、受信利得を向上させるなどの効果がある。
従来、IPネットワークは固定網のみで用いられてきた。そのため一つの宛先への経路は常に一つしか存在しない。そのため、IP伝送の手法をそのまま移動通信に適用すると、同一の信号を複数の経路で送出するというダイバーシチハンドオーバーを実現することができない。IP伝送でのダイバーシチハンドオーバーについての検討は一部行われているが、基地局間の送信タイミングが非同期のときに端末での受信タイミングがそろわない場合があることを考慮していない。また、特開平4-10720号は、複数基地局で送受信されるパケットのヘッダーまで含めて同一であるとしているので、IPパケットの伝送を考慮していない。
以上のようにIPネットワークにおける移動通信では、ダイバーシチハンドオーバー実行が困難であった。
従って、本発明の目的は一つのパケットを複数の経路で同時に送出できるようにし、これにより、簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現できるようにすることである。
【0003】
・発明の開示
本発明は、ヘッダー情報の書き換えにより、一つのパケットを複数の経路を介して同時に送出することでダイバーシチハンドオーバーを実現する。
すなわち、通信信号フォーマットとしてIPを用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、該複数の基地局から送信される端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与する。また、端末より複数の基地局に並列に上りパケットを同時に送信し、該複数の基地局へ送信するパケットの送信元IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、各基地局を介してパケットを制御局に送信する。
より具体的には、端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、制御局において宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して同一の端末に送信する。端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる
また、端末において送信元IPアドレスとして基地局毎に異なる前記IPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局を介して制御局に送信する。制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる。
【0004】
・発明を実施するための最良の形態
(A)移動通信システム
図1は本発明を適用できる移動通信システムの構成図であり、HMIP(階層モバイルIP)における構成を示している。HAはホームエージェント(Home Agent)、MAはモバイルエージェント(Mobile Agent)、AR1,AR2はアクセスルータ(Access Router)、Rはルーター、CNは通信ノード(Corresponding Node)、MNはモバイルノード(Mobile Node)であり、アクセスルータAR1,AR2が移動通信での基地局、モバイルノードMNが移動端末、モバイルエージェントMAが制御局に相当する。
モバイルノードMNは、ホームエージェントHAより割り当てられた固有のIPアドレスIP0を有しており、ホームネットワークNWH内から通信する場合にはこのIPアドレスIP0を使用する。しかし、モバイルノードMNがホームネットワークNWHからアクセスネットワークNWA1に移動すれば、アクセスルータAR1よりアドレスIP1を仮に割り当てられ、このアドレスIP1を用いて通信する。移動先のアクセスネットワークNWA1で割り当てられるこの仮アドレスを気付きアドレス(CoA :Care of Address)という。
モバイルノードMNは、アクセスネットワークNWA1で気付きアドレスCoA(=IP1)を用いて移動通信中に、図2に示すように隣のアクセスネットワークNWA2に接近すると基地局であるアクセスルータAR2へのハンドオーバーを開始し、該アクセスルータAR2から新しい気付きアドレスCoA(=IP2)が割り当てられる。
HMIPにおいて、同一モバイルエージェントMAの配下であるアクセスルータAR1,AR2間のIPアドレスの変更は、該モバイルエージェントMAが管理し、ホームエージェントHAには通知されない。また、Mobile-IPでは、移動端末であるモバイルノードMNは一つの気付きアドレスCoAしか持てないので、ハンドオーバーを開始するとIPアドレスはIP1からIP2に切り替わる。しかし、これではダイバーシチハンドオーバーを実行できない。ダイバーシチハンドオーバーを実行するためには、移動端末であるモバイルノードMNは、複数の基地局(アクセスルータ)AR1,AR2と同時に通信する必要があるからである。
そこで、ダイバーシチハンドオーバーを可能とするために、モバイルエージェントMAは、1)下りパケットの複製を行うと共に、2)モバイルノードMNに各アクセスルータAR1,AR2に対応した複数のIPアドレスIP1,IP2を付与し、更に、3)上りパケットの選択合成を行う。
すなわち、モバイルエージェント(制御局)MAは、モバイルノード(移動端末)MNにアクセスルータ(基地局)AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を付与し、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる
【0005】
(B)ダイバーシチハンドオーバーシーケンス
図3は本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図、図4はダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
図3において、初期時、移動端末(モバイルノード)MNは、気付きアドレスCoAとしてIP1を与えられて基地局(アクセスルータ)AR1を介して移動通信を行っている(図1参照。ステップ(1))。かかる状態において、制御局(モバイルエージェント)MAは移動端末MNに定期的に無線状態を報告するように要求する(ステップ(2))。移動端末MNは、無線状態報告要求を受信すれば、周辺基地局AR2からの受信レベルを測定して通信中の基地局AR1を介して制御局MNに報告する(ステップ(3))。
制御局MAはMNからの無線状態報告に基づいてダイバーシチハンドオーバーの実行が必要であるか判断し、必要であると判断すれば、隣接基地局AR2にチャネル(CDMAの場合には拡散コード)を設定すると共に送信開始を要求し(ステップ(4))、隣接基地局AR2は設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(5))。また、制御局MNは通信中の基地局AR1を介して移動端末MNにチャネルを設定すると共にダイバーシチハンドオーバーの開始を要求し(ステップ(6))、これにより、移動端末MNは設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(7))。
移動端末MNは隣接基地局AR2との間で同期が確立すれば、制御局MAに同期完了を通知する(ステップ8)。これにより、移動端末MNは基地局AR1,AR2との間に同時に無線リンクを張って通信を行える状態になる(ステップ(9))。
かかる状態において、隣接基地局AR2はルータ広告(Router Advertisement)を移動端末MNに発行し(ステップ(10))、移動端末MNはルータ広告を受信すれば、制御局に対して結合更新(Binding Update)を行い(ステップ(11))、制御局MAは基地局AR2に応じた新しい気付きアドレスCoA(=IP2)を基地局AR2、移動端末MNに通知する(図2参照。ステップ(12))。
【0006】
以上により、ダイバーシチハンドオーバー(ダイバーシチハンドオーバー)が可能となり、図4(A),図4(B)に従ってダイバーシチハンドオーバーが行われる(ステップ(13))。すなわち、下り送信の場合(図4(A)参照)、制御局MAは、通信ノードCNより移動端末MN宛のパケットを受信すると、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する2つパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、上り送信の場合(図4(B)参照)、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2が受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択し、コアネットワークに送出する。
以上のダイバーシチハンドオーバーと並行して、移動端末MNは基地局AR1からのパイロット信号の強度が設定時間以上連続して設定レベル以下になると、移動局MNは基地局AR1を介して受信レベルを制御局MAに通知する(ステップ(14))。この通知により、制御局MAは移動局MNと基地局AR1間の通信終了を決定し、基地局AR2を介して移動局MNにハンドオーバー(ハードハンドオーバー)を指示する(ステップ(15))。移動局MNはハンドオーバーが指示されると、ハンドオーバー完了を制御局MAに送信すると共に(ステップ(16))、基地局AR1間の無線回線を切断する(ステップ(17))。制御局MAはハンドオーバー完了を受信すれば基地局AR1に通信チャネルの使用禁止を指示し(ステップ(18))、ダイバーシチハンドオーバー制御が完了する。以後、移動局MNは基地局AR2を介して移動通信を行う。
【0007】
(C)各部のダイバーシチハンドオーバー処理
(a)制御局MAの処理
図5は制御局MAの下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。制御局MAは通信ノードCNから移動端末宛のパケットを受信し、順次基地局へ送出する。かかる状態において、端末へ送出すべきパケットが残存するかチェックし(ステップ101)、存在すればi=1とし(ステップ102)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ103)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ103はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該パケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ103において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ108)、ステップ106以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ105)。
【0008】
図6は、受信パケット51の宛先アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット511,512を示している。
図7は制御局MAの上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
上り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ201)、存在すれば、i=1とし(ステップ202)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ203)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ203において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ205)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ206)、ステップ205以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
【0009】
(b)移動端末MNの処理
図8は移動端末MNの上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。移動端末MNは相手通信ノード(端末)CNに送信すべきデータが存在すればパケットを作成してバッファリングし、順次送信する。相手通信ノード(端末)CNに送信すべき上りパケットが存在するかチェックし(ステップ301)、存在すればi=1とし(ステップ302)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ303)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ303はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該上りパケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ303において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの送信元アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP1)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ308)、ステップ306以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP2)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ305)。
【0010】
図9は、送信パケット61の送信元アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット611,612を示している。
図10は移動端末MNの下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
下り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ401)、存在すれば、i=1とし(ステップ402)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ403)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ403において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ405)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ406)、ステップ405以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
【0011】
(D)各部の構成
(a)制御局MA
図11は制御局MAの構成図であり、コアインターフェース11は通信ノードCNより下りパケットを受信すると共に上りパケットを通信ノードCNに送信する。データ処理部12は、下りパケットに関してパケットの複製、IPヘッダの書き換え、上りパケットに関してパケットの選択、IPヘッダの書き換え等を行う。制御部13は、1)配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理を行う共に、2)下りパケットに関してデータ処理部12に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、3)上りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択を指示し、また、4)ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。基地局インターフェース部14は下りパケットを基地局AR1,AR2…へ送信すると共に、基地局AR1,AR2…より上りパケットを受信する。
下りパケットに関して以下の処理が行われる。データ振り分け部21はコアネットワークインターフェース部11より下りパケットが入力すると、該パケットを複製部22、基地局インターフェース部14に入力すると共にIPヘッダ部を制御部13に入力する。制御部13は、ヘッダ情報より宛先の端末を判別する。又、制御部13は、配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ20に管理しているから、該管理データを参照して図5の処理を行う。制御部13は、宛先端末がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部22にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部23に書き換えを指示しない。この結果、基地局インターフェース部14はデータ振り分け部21から直接入力されたパケットを所定の基地局に向けて送信する。
【0012】
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部13はデータ複製部22にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部23に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部22は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部23に入力する。IPヘッダ書き換え部23は複製されたパケットのIPヘッダにおける宛先アドレスを制御部13より指示されたIPアドレスで書き (図6参照)、基地局インターフェース部14に入力する。基地局インターフェース部14は複製された下りパケットをそれぞれダイバーシチハンドオーバーで通信中の基地局AR1,AR2…へ送信する。
上りパケットに関して、制御部13は図7に示す処理を行う。すなわち、制御部13は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択・データ分離部24に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択・データ分離部24は各基地局より入力されるパケットの受信状態(SIR)を測定し、受信状態(SIR)が最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。
制御部13は上りパケットに付加すべき送信元IPアドレスを、メモリ30の管理データを参照して求め、該送信元IPアドレスをIPヘッダ書き換え部25に入力する。IPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットの送信元IPアドレスを制御部13より入力するIPアドレスで書き替えてコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、制御部13はその旨をパケット選択・データ分離部24に通知する。この結果、パケット選択・データ分離部24は基地局インターフェース14から入力するパケットを選択し、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。又、制御部13は上りパケットの送信元IPアドレスに変更がない旨をIPヘッダ書き換え部25に入力する。これによりIPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットをそのままコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
【0013】
(b)移動端末MN
図12は移動端末MNの構成図であり、データ処理部31は、送信パケット及び制御情報を出力すると共に、下りのパケットを受信してデータ処理する。データ複製部32は制御部34からの指示に従って上りパケットの複製を行い、IPヘッダ書き換え部33は制御部34からの指示に従ってIPヘッダ(送信元IPアドレス)の書き換えを行う。制御部34は、1)自移動端末MNがダイバーシチのハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理をメモリ30で行う共に、2)上りパケットに関してデータ複製部32及びIPヘッダ書き換え部33に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、3)下りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択をパケット選択部35に指示し、また、4)ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。
送信変調部36は、各基地局毎に変調器MDL、コード拡散器SP、各コード拡散器出力を合成する合成部CBNを備えている。送信機37は合成器CBNの出力を高周波信号に変換して送信する。受信部38は受信信号をべースバンド信号に変換して受信復調部39に入力する。受信復調部39は、各基地局毎に逆拡散器RSP及び復調器DMDLを備えている。
パケット選択部35は、最も受信状態が良好な基地局を決定し、下り受信パケットをデータ処理部31に入力すると共に、IPヘッダを分離して制御部34に入力する。
【0014】
上りパケットに関して以下の処理が行われる。
制御部13は、自移動端末MNのダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ30に管理しているから、該管理データを参照して図8の処理を行う。すなわち、制御部34は、自分がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部32にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部33に書き換えを指示しない。この結果、送信機37は送信変調部36の一番上の変調器、拡散器を介して入力した拡散信号のみを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部34はデータ複製部32にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部33に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部32は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部33に入力する。IPヘッダ書き換え部33は複製されたパケットのIPヘッダにおける送信元アドレスを制御部34より指示されたIPアドレスで書き替え、 (図9参照)、それぞれ送信変調部36に入力する。送信変調部36の対応する複数の変調器MDLは例えばQPSK変調すると共に、各拡散器SPは所定の拡散コードで拡散し、合成器CBNで合成して送信機37に入力する。送信機37は合成信号を高周波信号に変換して送信する。
【0015】
下りパケットに関して、制御部34は図10に示す処理を行う。すなわち、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択部35に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択部35は各基地局より入力されるパケットのSIRを測定し、SIRが最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部34に入力する。
一方、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態でなければその旨をパケット選択部35に通知する。この結果、パケット選択部35は受信復調部39から入力するパケットをそのままデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部13に入力する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
また、図12では変調器、拡散器はパケットごとに用意されているが、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの変調器および拡散器で構成することも可能である。同様に、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの復調器および逆拡散器で構成することも可能である。
以上、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる自動車電話や携帯電話などの移動通信システムに、本発明を用いることで、従来難しかったダイバーシチハンドオーバーが簡単に実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明を適用できる移動通信システムの構成図である。
【図2】
移動通信システムのダイバーシチハンドオーバー状態説明図である。
【図3】
本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図である。
【図4】
ダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
【図5】
制御局の下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
【図6】
宛先アドレスを基地局に応じた気付きアドレスに書き替えて基地局に送出するパケット説明図である。
【図7】
制御局の上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
【図8】
移動端末の上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
【図9】
送信元アドレスを基地局に応じた気付きアドレスに書き替えて基地局に送出するパケット説明図である。
【図10】
移動端末の下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
【図11】
制御局の構成図である。
【図12】
移動端末の構成図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、
制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、
該複数の基地局から送信される前記端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、
一つの端末から前記複数の基地局のそれぞれに、送信元アドレスとして前記異なるIPアドレスを付与したパケットを同時に送信し、各基地局を介してパケットを制御局に送信し、
制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する、
ことを特徴とするダイバーシチハンドオーバー方法。
【請求項2】 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、
制御局において端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、
宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、
制御局より各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して端末に同時に到着するように送信し、
端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる、
ことを特徴とするダイバーシチハンドオーバー方法。
【請求項3】 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおける制御局において、
コアネットワークより端末宛のパケットを受信する手段、
ダイバーシチハンドオーバー状態の端末に対し基地局毎に異なるIPアドレスを付与する手段、
コアネットワークより端末宛のパケットを受信したとき、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、
各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局へ送出する手段、
を備えたことを特徴とする制御局。
【請求項4】 ダイバーシチハンドオーバー状態の1つの端末より複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択する手段、
を備えたことを特徴とする請求項3記載の制御局。
【請求項5】 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおける移動端末装置において、
基地局毎に異なるIPアドレスを指示されて保持する手段、
送信すべきパケットの送信元IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、
複製された各パケットを送信元IPアドレスに対応する基地局へ送出する手段、
を備えたことを特徴とする移動端末装置。
【請求項6】 ダイバーシチハンドオーバー状態において、複数の基地局から受信した複数の下りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを選択する手段、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の移動端末装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
・技術分野
本発明は、自動車電話や携帯電話などの移動通信におけるダイバーシチハンドオーバー(またはソフトハンドオーバー)方法及び制御局並びに移動端末装置に係わり、特に、無線通信チャネルを介して多数の基地局と移動局が通信を行う移動通信において、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる場合に適用できるダイバーシチハンドオーバー方法及び制御局並びに移動端末装置に関する。
【0002】
・背景技術
現在の移動通信システムでは回線交換方式による信号伝送が主流であるが、近年のインターネットの普及により、パケットによる信号伝送も多く行われるようになってきている。さらに今後は、よりインターネットとの親和性の高い、IP(Internet Protocol:インタネットプロトコル)を用いた伝送が主流になると考えられる。移動通信でのIP伝送には、Mobile-IP(モバイルIP)やCellular-IP(セルラーIP)と呼ばれる方式が検討されている。
Mobile-IPおよびCellular-IPでは、網内および無線区間で伝送される信号のフォーマットとしてIPを用いている。Mobile-IPは比較的広い範囲での使用を想定しているが、移動中の使用は考慮されていない。一方、Cellular-IPは、適用できる範囲が狭いものの、移動中でも使用できるようなルーチング方法が採用されている。そのため、これらを移動通信に適用する場合は、無線制御局より上位のネットワークではMobile-IPが、それより下位ではCellular-IPが用いられるものと考えられる。また、ある程度の範囲内での移動まで考慮した、階層化Mobile-IP (HMIP)についても検討が行われている。
IP伝送では、パケットデータはヘッダーに記述された宛先(アドレス)情報を元に、目的とする宛先に一または複数のノードを経て伝送される。移動通信システムにIP伝送を適用した場合、ノードは基地局、移動局、ネットワーク制御局などが相当する。
CDMAなどを用いる移動通信システムでは、一つの移動局が同時に複数の基地局と接続して通信する、ダイバーシチハンドオーバーが行われる。ダイバーシチハンドオーバーは通信中の切断の確率を減少させたり、受信利得を向上させるなどの効果がある。
従来、IPネットワークは固定網のみで用いられてきた。そのため一つの宛先への経路は常に一つしか存在しない。そのため、IP伝送の手法をそのまま移動通信に適用すると、同一の信号を複数の経路で送出するというダイバーシチハンドオーバーを実現することができない。IP伝送でのダイバーシチハンドオーバーについての検討は一部行われているが、基地局間の送信タイミングが非同期のときに端末での受信タイミングがそろわない場合があることを考慮していない。また、特開平4-10720号は、複数基地局で送受信されるパケットのヘッダーまで含めて同一であるとしているので、IPパケットの伝送を考慮していない。
以上のようにIPネットワークにおける移動通信では、ダイバーシチハンドオーバー実行が困難であった。
従って、本発明の目的は一つのパケットを複数の経路で同時に送出できるようにし、これにより、簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現できるようにすることである。
【0003】
・発明の開示
本発明は、ヘッダー情報の書き換えにより、一つのパケットを複数の経路を介して同時に送出することでダイバーシチハンドオーバーを実現する。
すなわち、通信信号フォーマットとしてIPを用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、該複数の基地局から送信される端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与する。また、端末より複数の基地局に並列に上りパケットを同時に送信し、該複数の基地局へ送信するパケットの送信元IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、各基地局を介してパケットを制御局に送信する。
より具体的には、端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、制御局において宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して同一の端末に送信する。端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる
また、端末において送信元IPアドレスとして基地局毎に異なる前記IPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局を介して制御局に送信する。制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる。
【0004】
・発明を実施するための最良の形態
(A)移動通信システム
図1は本発明を適用できる移動通信システムの構成図であり、HMIP(階層モバイルIP)における構成を示している。HAはホームエージェント(Home Agent)、MAはモバイルエージェント(Mobile Agent)、AR1,AR2はアクセスルータ(Access Router)、Rはルーター、CNは通信ノード(Corresponding Node)、MNはモバイルノード(Mobile Node)であり、アクセスルータAR1,AR2が移動通信での基地局、モバイルノードMNが移動端末、モバイルエージェントMAが制御局に相当する。
モバイルノードMNは、ホームエージェントHAより割り当てられた固有のIPアドレスIP0を有しており、ホームネットワークNWH内から通信する場合にはこのIPアドレスIP0を使用する。しかし、モバイルノードMNがホームネットワークNWHからアクセスネットワークNWA1に移動すれば、アクセスルータAR1よりアドレスIP1を仮に割り当てられ、このアドレスIP1を用いて通信する。移動先のアクセスネットワークNWA1で割り当てられるこの仮アドレスを気付きアドレス(CoA :Care of Address)という。
モバイルノードMNは、アクセスネットワークNWA1で気付きアドレスCoA(=IP1)を用いて移動通信中に、図2に示すように隣のアクセスネットワークNWA2に接近すると基地局であるアクセスルータAR2へのハンドオーバーを開始し、該アクセスルータAR2から新しい気付きアドレスCoA(=IP2)が割り当てられる。
HMIPにおいて、同一モバイルエージェントMAの配下であるアクセスルータAR1,AR2間のIPアドレスの変更は、該モバイルエージェントMAが管理し、ホームエージェントHAには通知されない。また、Mobile-IPでは、移動端末であるモバイルノードMNは一つの気付きアドレスCoAしか持てないので、ハンドオーバーを開始するとIPアドレスはIP1からIP2に切り替わる。しかし、これではダイバーシチハンドオーバーを実行できない。ダイバーシチハンドオーバーを実行するためには、移動端末であるモバイルノードMNは、複数の基地局(アクセスルータ)AR1,AR2と同時に通信する必要があるからである。
そこで、ダイバーシチハンドオーバーを可能とするために、モバイルエージェントMAは、1)下りパケットの複製を行うと共に、2)モバイルノードMNに各アクセスルータAR1,AR2に対応した複数のIPアドレスIP1,IP2を付与し、更に、3)上りパケットの選択合成を行う。
すなわち、モバイルエージェント(制御局)MAは、モバイルノード(移動端末)MNにアクセスルータ(基地局)AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を付与し、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる
【0005】
(B)ダイバーシチハンドオーバーシーケンス
図3は本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図、図4はダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
図3において、初期時、移動端末(モバイルノード)MNは、気付きアドレスCoAとしてIP1を与えられて基地局(アクセスルータ)AR1を介して移動通信を行っている(図1参照。ステップ(1))。かかる状態において、制御局(モバイルエージェント)MAは移動端末MNに定期的に無線状態を報告するように要求する(ステップ(2))。移動端末MNは、無線状態報告要求を受信すれば、周辺基地局AR2からの受信レベルを測定して通信中の基地局AR1を介して制御局MNに報告する(ステップ(3))。
制御局MAはMNからの無線状態報告に基づいてダイバーシチハンドオーバーの実行が必要であるか判断し、必要であると判断すれば、隣接基地局AR2にチャネル(CDMAの場合には拡散コード)を設定すると共に送信開始を要求し(ステップ(4))、隣接基地局AR2は設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(5))。また、制御局MNは通信中の基地局AR1を介して移動端末MNにチャネルを設定すると共にダイバーシチハンドオーバーの開始を要求し(ステップ(6))、これにより、移動端末MNは設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(7))。
移動端末MNは隣接基地局AR2との間で同期が確立すれば、制御局MAに同期完了を通知する(ステップ8)。これにより、移動端末MNは基地局AR1,AR2との間に同時に無線リンクを張って通信を行える状態になる(ステップ(9))。
かかる状態において、隣接基地局AR2はルータ広告(Router Advertisement)を移動端末MNに発行し(ステップ(10))、移動端末MNはルータ広告を受信すれば、制御局に対して結合更新(Binding Update)を行い(ステップ(11))、制御局MAは基地局AR2に応じた新しい気付きアドレスCoA(=IP2)を基地局AR2、移動端末MNに通知する(図2参照。ステップ(12))。
【0006】
以上により、ダイバーシチハンドオーバー(ダイバーシチハンドオーバー)が可能となり、図4(A),図4(B)に従ってダイバーシチハンドオーバーが行われる(ステップ(13))。すなわち、下り送信の場合(図4(A)参照)、制御局MAは、通信ノードCNより移動端末MN宛のパケットを受信すると、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する2つパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、上り送信の場合(図4(B)参照)、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2が受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択し、コアネットワークに送出する。
以上のダイバーシチハンドオーバーと並行して、移動端末MNは基地局AR1からのパイロット信号の強度が設定時間以上連続して設定レベル以下になると、移動局MNは基地局AR1を介して受信レベルを制御局MAに通知する(ステップ(14))。この通知により、制御局MAは移動局MNと基地局AR1間の通信終了を決定し、基地局AR2を介して移動局MNにハンドオーバー(ハードハンドオーバー)を指示する(ステップ(15))。移動局MNはハンドオーバーが指示されると、ハンドオーバー完了を制御局MAに送信すると共に(ステップ(16))、基地局AR1間の無線回線を切断する(ステップ(17))。制御局MAはハンドオーバー完了を受信すれば基地局AR1に通信チャネルの使用禁止を指示し(ステップ(18))、ダイバーシチハンドオーバー制御が完了する。以後、移動局MNは基地局AR2を介して移動通信を行う。
【0007】
(C)各部のダイバーシチハンドオーバー処理
(a)制御局MAの処理
図5は制御局MAの下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。制御局MAは通信ノードCNから移動端末宛のパケットを受信し、順次基地局へ送出する。かかる状態において、端末へ送出すべきパケットが残存するかチェックし(ステップ101)、存在すればi=1とし(ステップ102)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ103)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ103はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該パケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ103において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ108)、ステップ106以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ105)。
【0008】
図6は、受信パケット51の宛先アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット511,512を示している。
図7は制御局MAの上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
上り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ201)、存在すれば、i=1とし(ステップ202)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ203)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ203において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ205)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ206)、ステップ205以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
【0009】
(b)移動端末MNの処理
図8は移動端末MNの上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。移動端末MNは相手通信ノード(端末)CNに送信すべきデータが存在すればパケットを作成してバッファリングし、順次送信する。相手通信ノード(端末)CNに送信すべき上りパケットが存在するかチェックし(ステップ301)、存在すればi=1とし(ステップ302)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ303)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ303はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該上りパケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ303において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの送信元アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP1)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ308)、ステップ306以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP2)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ305)。
【0010】
図9は、送信パケット61の送信元アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット611,612を示している。
図10は移動端末MNの下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
下り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ401)、存在すれば、i=1とし(ステップ402)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ403)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ403において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ405)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ406)、ステップ405以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
【0011】
(D)各部の構成
(a)制御局MA
図11は制御局MAの構成図であり、コアインターフェース11は通信ノードCNより下りパケットを受信すると共に上りパケットを通信ノードCNに送信する。データ処理部12は、下りパケットに関してパケットの複製、IPヘッダの書き換え、上りパケットに関してパケットの選択、IPヘッダの書き換え等を行う。制御部13は、1)配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理を行う共に、2)下りパケットに関してデータ処理部12に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、3)上りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択を指示し、また、4)ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。基地局インターフェース部14は下りパケットを基地局AR1,AR2…へ送信すると共に、基地局AR1,AR2…より上りパケットを受信する。
下りパケットに関して以下の処理が行われる。データ振り分け部21はコアネットワークインターフェース部11より下りパケットが入力すると、該パケットを複製部22、基地局インターフェース部14に入力すると共にIPヘッダ部を制御部13に入力する。制御部13は、ヘッダ情報より宛先の端末を判別する。又、制御部13は、配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ20に管理しているから、該管理データを参照して図5の処理を行う。制御部13は、宛先端末がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部22にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部23に書き換えを指示しない。この結果、基地局インターフェース部14はデータ振り分け部21から直接入力されたパケットを所定の基地局に向けて送信する。
【0012】
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部13はデータ複製部22にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部23に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部22は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部23に入力する。IPヘッダ書き換え部23は複製されたパケットのIPヘッダにおける宛先アドレスを制御部13より指示されたIPアドレスで書き (図6参照)、基地局インターフェース部14に入力する。基地局インターフェース部14は複製された下りパケットをそれぞれダイバーシチハンドオーバーで通信中の基地局AR1,AR2…へ送信する。
上りパケットに関して、制御部13は図7に示す処理を行う。すなわち、制御部13は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択・データ分離部24に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択・データ分離部24は各基地局より入力されるパケットの受信状態(SIR)を測定し、受信状態(SIR)が最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。
制御部13は上りパケットに付加すべき送信元IPアドレスを、メモリ30の管理データを参照して求め、該送信元IPアドレスをIPヘッダ書き換え部25に入力する。IPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットの送信元IPアドレスを制御部13より入力するIPアドレスで書き替えてコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、制御部13はその旨をパケット選択・データ分離部24に通知する。この結果、パケット選択・データ分離部24は基地局インターフェース14から入力するパケットを選択し、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。又、制御部13は上りパケットの送信元IPアドレスに変更がない旨をIPヘッダ書き換え部25に入力する。これによりIPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットをそのままコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
【0013】
(b)移動端末MN
図12は移動端末MNの構成図であり、データ処理部31は、送信パケット及び制御情報を出力すると共に、下りのパケットを受信してデータ処理する。データ複製部32は制御部34からの指示に従って上りパケットの複製を行い、IPヘッダ書き換え部33は制御部34からの指示に従ってIPヘッダ(送信元IPアドレス)の書き換えを行う。制御部34は、1)自移動端末MNがダイバーシチのハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理をメモリ30で行う共に、2)上りパケットに関してデータ複製部32及びIPヘッダ書き換え部33に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、3)下りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択をパケット選択部35に指示し、また、4)ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。
送信変調部36は、各基地局毎に変調器MDL、コード拡散器SP、各コード拡散器出力を合成する合成部CBNを備えている。送信機37は合成器CBNの出力を高周波信号に変換して送信する。受信部38は受信信号をべースバンド信号に変換して受信復調部39に入力する。受信復調部39は、各基地局毎に逆拡散器RSP及び復調器DMDLを備えている。
パケット選択部35は、最も受信状態が良好な基地局を決定し、下り受信パケットをデータ処理部31に入力すると共に、IPヘッダを分離して制御部34に入力する。
【0014】
上りパケットに関して以下の処理が行われる。
制御部13は、自移動端末MNのダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ30に管理しているから、該管理データを参照して図8の処理を行う。すなわち、制御部34は、自分がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部32にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部33に書き換えを指示しない。この結果、送信機37は送信変調部36の一番上の変調器、拡散器を介して入力した拡散信号のみを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部34はデータ複製部32にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部33に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部32は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部33に入力する。IPヘッダ書き換え部33は複製されたパケットのIPヘッダにおける送信元アドレスを制御部34より指示されたIPアドレスで書き替え、 (図9参照)、それぞれ送信変調部36に入力する。送信変調部36の対応する複数の変調器MDLは例えばQPSK変調すると共に、各拡散器SPは所定の拡散コードで拡散し、合成器CBNで合成して送信機37に入力する。送信機37は合成信号を高周波信号に変換して送信する。
【0015】
下りパケットに関して、制御部34は図10に示す処理を行う。すなわち、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択部35に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択部35は各基地局より入力されるパケットのSIRを測定し、SIRが最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部34に入力する。
一方、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態でなければその旨をパケット選択部35に通知する。この結果、パケット選択部35は受信復調部39から入力するパケットをそのままデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部13に入力する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
また、図12では変調器、拡散器はパケットごとに用意されているが、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの変調器および拡散器で構成することも可能である。同様に、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの復調器および逆拡散器で構成することも可能である。
以上、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる自動車電話や携帯電話などの移動通信システムに、本発明を用いることで、従来難しかったダイバーシチハンドオーバーが簡単に実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明を適用できる移動通信システムの構成図である。
【図2】
移動通信システムのダイバーシチハンドオーバー状態説明図である。
【図3】
本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図である。
【図4】
ダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
【図5】
制御局の下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
【図6】
宛先アドレスを基地局に応じた気付きアドレスに書き替えて基地局に送出するパケット説明図である。
【図7】
制御局の上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
【図8】
移動端末の上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
【図9】
送信元アドレスを基地局に応じた気付きアドレスに書き替えて基地局に送出するパケット説明図である。
【図10】
移動端末の下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
【図11】
制御局の構成図である。
【図12】
移動端末の構成図である。
本発明は、自動車電話や携帯電話などの移動通信におけるダイバーシチハンドオーバー(またはソフトハンドオーバー)方法及び制御局並びに移動端末装置に係わり、特に、無線通信チャネルを介して多数の基地局と移動局が通信を行う移動通信において、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる場合に適用できるダイバーシチハンドオーバー方法及び制御局並びに移動端末装置に関する。
現在の移動通信システムでは回線交換方式による信号伝送が主流であるが、近年のインターネットの普及により、パケットによる信号伝送も多く行われるようになってきている。さらに今後は、よりインターネットとの親和性の高い、IP(Internet Protocol:インタネットプロトコル)を用いた伝送が主流になると考えられる。移動通信でのIP伝送には、Mobile-IP(モバイルIP)やCellular-IP(セルラーIP)と呼ばれる方式が検討されている。
Mobile-IPおよびCellular-IPでは、網内および無線区間で伝送される信号のフォーマットとしてIPを用いている。Mobile-IPは比較的広い範囲での使用を想定しているが、移動中の使用は考慮されていない。一方、Cellular-IPは、適用できる範囲が狭いものの、移動中でも使用できるようなルーチング方法が採用されている。そのため、これらを移動通信に適用する場合は、無線制御局より上位のネットワークではMobile-IPが、それより下位ではCellular-IPが用いられるものと考えられる。また、ある程度の範囲内での移動まで考慮した、階層化Mobile-IP (HMIP)についても検討が行われている。
IP伝送では、パケットデータはヘッダーに記述された宛先(アドレス)情報を元に、目的とする宛先に一または複数のノードを経て伝送される。移動通信システムにIP伝送を適用した場合、ノードは基地局、移動局、ネットワーク制御局などが相当する。
CDMAなどを用いる移動通信システムでは、一つの移動局が同時に複数の基地局と接続して通信する、ダイバーシチハンドオーバーが行われる。ダイバーシチハンドオーバーは通信中の切断の確率を減少させたり、受信利得を向上させるなどの効果がある。
Mobile-IPおよびCellular-IPでは、網内および無線区間で伝送される信号のフォーマットとしてIPを用いている。Mobile-IPは比較的広い範囲での使用を想定しているが、移動中の使用は考慮されていない。一方、Cellular-IPは、適用できる範囲が狭いものの、移動中でも使用できるようなルーチング方法が採用されている。そのため、これらを移動通信に適用する場合は、無線制御局より上位のネットワークではMobile-IPが、それより下位ではCellular-IPが用いられるものと考えられる。また、ある程度の範囲内での移動まで考慮した、階層化Mobile-IP (HMIP)についても検討が行われている。
IP伝送では、パケットデータはヘッダーに記述された宛先(アドレス)情報を元に、目的とする宛先に一または複数のノードを経て伝送される。移動通信システムにIP伝送を適用した場合、ノードは基地局、移動局、ネットワーク制御局などが相当する。
CDMAなどを用いる移動通信システムでは、一つの移動局が同時に複数の基地局と接続して通信する、ダイバーシチハンドオーバーが行われる。ダイバーシチハンドオーバーは通信中の切断の確率を減少させたり、受信利得を向上させるなどの効果がある。
従来、IPネットワークは固定網のみで用いられてきた。そのため一つの宛先への経路は常に一つしか存在しない。そのため、IP伝送の手法をそのまま移動通信に適用すると、同一の信号を複数の経路で送出するというダイバーシチハンドオーバーを実現することができない。IP伝送でのダイバーシチハンドオーバーについての検討は一部行われているが、基地局間の送信タイミングが非同期のときに端末での受信タイミングがそろわない場合があることを考慮していない。また、特開平4-10720号は、複数基地局で送受信されるパケットのヘッダーまで含めて同一であるとしているので、IPパケットの伝送を考慮していない。
以上のようにIPネットワークにおける移動通信では、ダイバーシチハンドオーバー実行が困難であった。
従って、本発明の目的は一つのパケットを複数の経路で同時に送出できるようにし、これにより、簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現できるようにすることである。
以上のようにIPネットワークにおける移動通信では、ダイバーシチハンドオーバー実行が困難であった。
従って、本発明の目的は一つのパケットを複数の経路で同時に送出できるようにし、これにより、簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現できるようにすることである。
上記課題は本発明によれば、通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法および制御局並びに移動端末装置により達成される。
本発明の第1のダイバーシチハンドオーバー方法は、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出するステップ、該複数の基地局から送信される前記端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与するステップ、一つの端末から前記複数の基地局のそれぞれに、送信元アドレスとして前記異なるIPアドレスを付与したパケットを同時に送信するステップ、各基地局を介してパケットを制御局に送信し、制御局において、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択するステップを有している。
本発明の第2のダイバーシチハンドオーバー方法は、制御局において端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与するステップ、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製するステップ、制御局より各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して端末に同時に到着するように送信するステップ、端末において受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いるステップを有している。
本発明の制御局は、コアネットワークより端末宛のパケットを受信する手段、ダイバーシチハンドオーバー状態の端末に対し基地局毎に異なるIPアドレスを付与する手段、コアネットワークより端末宛のパケットを受信したとき、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、 各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局へ送出する手段を備えている。制御局は更に、ダイバーシチハンドオーバー状態の1つの端末より複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択する手段を有している。
本発明の移動端末装置は、基地局毎に異なるIPアドレスを指示されて保持する手段、送信すべきパケットの送信元IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、複製された各パケットを送信元IPアドレスに対応する基地局へ送出する手段を有している。この移動端末装置は更に、ダイバーシチハンドオーバー状態において、複数の基地局から受信した複数の下りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを選択する手段を有している。
本発明の第1のダイバーシチハンドオーバー方法は、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出するステップ、該複数の基地局から送信される前記端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与するステップ、一つの端末から前記複数の基地局のそれぞれに、送信元アドレスとして前記異なるIPアドレスを付与したパケットを同時に送信するステップ、各基地局を介してパケットを制御局に送信し、制御局において、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択するステップを有している。
本発明の第2のダイバーシチハンドオーバー方法は、制御局において端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与するステップ、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製するステップ、制御局より各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して端末に同時に到着するように送信するステップ、端末において受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いるステップを有している。
本発明の制御局は、コアネットワークより端末宛のパケットを受信する手段、ダイバーシチハンドオーバー状態の端末に対し基地局毎に異なるIPアドレスを付与する手段、コアネットワークより端末宛のパケットを受信したとき、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、 各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局へ送出する手段を備えている。制御局は更に、ダイバーシチハンドオーバー状態の1つの端末より複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択する手段を有している。
本発明の移動端末装置は、基地局毎に異なるIPアドレスを指示されて保持する手段、送信すべきパケットの送信元IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、複製された各パケットを送信元IPアドレスに対応する基地局へ送出する手段を有している。この移動端末装置は更に、ダイバーシチハンドオーバー状態において、複数の基地局から受信した複数の下りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを選択する手段を有している。
本発明によれば、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、該複数の基地局から送信される前記端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、一つの端末から前記複数の基地局のそれぞれに、送信元アドレスとして前記異なるIPアドレスを付与したパケットを同時に送信し、各基地局を介してパケットを制御局に送信し、制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択するようにしたから、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる。
また、本発明によれば、制御局において端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、制御局より各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して端末に同時に到着するように送信し、端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いるように塩田から、同様に、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる。
また、本発明によれば、制御局において端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、制御局より各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して端末に同時に到着するように送信し、端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いるように塩田から、同様に、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる。
本発明は、ヘッダ情報の書き換えにより、一つのパケットを複数の経路を介して同時に送出することでダイバーシチハンドオーバーを実現する。
すなわち、通信信号フォーマットとしてIPを用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、該複数の基地局から送信される端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与する。また、端末より複数の基地局に並列に上りパケットを同時に送信し、該複数の基地局へ送信するパケットの送信元IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、各基地局を介してパケットを制御局に送信する。
より具体的には、端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、制御局において宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して同一の端末に送信する。端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、端末において送信元IPアドレスとして基地局毎に異なる前記IPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局を介して制御局に送信する。制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
すなわち、通信信号フォーマットとしてIPを用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、該複数の基地局から送信される端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与する。また、端末より複数の基地局に並列に上りパケットを同時に送信し、該複数の基地局へ送信するパケットの送信元IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与し、各基地局を介してパケットを制御局に送信する。
より具体的には、端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、制御局において宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して同一の端末に送信する。端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、端末において送信元IPアドレスとして基地局毎に異なる前記IPアドレスを有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局を介して制御局に送信する。制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
(A)移動通信システム
図1は本発明を適用できる移動通信システムの構成図であり、HMIP(階層モバイルIP)における構成を示している。HAはホームエージェント(Home Agent)、MAはモバイルエージェント(Mobile Agent)、AR1,AR2はアクセスルータ(Access Router)、Rはルーター、CNは通信ノード(Corresponding Node)、MNはモバイルノード(Mobile Node)であり、アクセスルータAR1,AR2が移動通信での基地局、モバイルノードMNが移動端末、モバイルエージェントMAが制御局に相当する。
モバイルノードMNは、ホームエージェントHAより割り当てられた固有のIPアドレスIP0を有しており、ホームネットワークNWH内から通信する場合にはこのIPアドレスIP0を使用する。しかし、モバイルノードMNがホームネットワークNWHからアクセスネットワークNWA1に移動すれば、アクセスルータAR1よりアドレスIP1を仮に割り当てられ、このアドレスIP1を用いて通信する。移動先のアクセスネットワークNWA1で割り当てられるこの仮アドレスを気付きアドレス(CoA :Care of Address)という。
モバイルノードMNは、アクセスネットワークNWA1で気付きアドレスCoA(=IP1)を用いて移動通信中に、図2に示すように隣のアクセスネットワークNWA2に接近すると基地局であるアクセスルータAR2へのハンドオーバーを開始し、該アクセスルータAR2から新しい気付きアドレスCoA(=IP2)が割り当てられる。
HMIPにおいて、同一モバイルエージェントMAの配下であるアクセスルータAR1,AR2間のIPアドレスの変更は、該モバイルエージェントMAが管理し、ホームエージェントHAには通知されない。また、Mobile-IPでは、移動端末であるモバイルノードMNは一つの気付きアドレスCoAしか持てないので、ハンドオーバーを開始するとIPアドレスはIP1からIP2に切り替わる。しかし、これではダイバーシチハンドオーバーを実行できない。ダイバーシチハンドオーバーを実行するためには、移動端末であるモバイルノードMNは、複数の基地局(アクセスルータ)AR1,AR2と同時に通信する必要があるからである。
そこで、ダイバーシチハンドオーバーを可能とするために、モバイルエージェントMAは、1)下りパケットの複製を行うと共に、2)モバイルノードMNに各アクセスルータAR1,AR2に対応した複数のIPアドレスIP1,IP2を付与し、更に、3)上りパケットの選択合成を行う。
すなわち、モバイルエージェント(制御局)MAは、モバイルノード(移動端末)MNにアクセスルータ(基地局)AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を付与し、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる
図1は本発明を適用できる移動通信システムの構成図であり、HMIP(階層モバイルIP)における構成を示している。HAはホームエージェント(Home Agent)、MAはモバイルエージェント(Mobile Agent)、AR1,AR2はアクセスルータ(Access Router)、Rはルーター、CNは通信ノード(Corresponding Node)、MNはモバイルノード(Mobile Node)であり、アクセスルータAR1,AR2が移動通信での基地局、モバイルノードMNが移動端末、モバイルエージェントMAが制御局に相当する。
モバイルノードMNは、ホームエージェントHAより割り当てられた固有のIPアドレスIP0を有しており、ホームネットワークNWH内から通信する場合にはこのIPアドレスIP0を使用する。しかし、モバイルノードMNがホームネットワークNWHからアクセスネットワークNWA1に移動すれば、アクセスルータAR1よりアドレスIP1を仮に割り当てられ、このアドレスIP1を用いて通信する。移動先のアクセスネットワークNWA1で割り当てられるこの仮アドレスを気付きアドレス(CoA :Care of Address)という。
モバイルノードMNは、アクセスネットワークNWA1で気付きアドレスCoA(=IP1)を用いて移動通信中に、図2に示すように隣のアクセスネットワークNWA2に接近すると基地局であるアクセスルータAR2へのハンドオーバーを開始し、該アクセスルータAR2から新しい気付きアドレスCoA(=IP2)が割り当てられる。
HMIPにおいて、同一モバイルエージェントMAの配下であるアクセスルータAR1,AR2間のIPアドレスの変更は、該モバイルエージェントMAが管理し、ホームエージェントHAには通知されない。また、Mobile-IPでは、移動端末であるモバイルノードMNは一つの気付きアドレスCoAしか持てないので、ハンドオーバーを開始するとIPアドレスはIP1からIP2に切り替わる。しかし、これではダイバーシチハンドオーバーを実行できない。ダイバーシチハンドオーバーを実行するためには、移動端末であるモバイルノードMNは、複数の基地局(アクセスルータ)AR1,AR2と同時に通信する必要があるからである。
そこで、ダイバーシチハンドオーバーを可能とするために、モバイルエージェントMAは、1)下りパケットの複製を行うと共に、2)モバイルノードMNに各アクセスルータAR1,AR2に対応した複数のIPアドレスIP1,IP2を付与し、更に、3)上りパケットの選択合成を行う。
すなわち、モバイルエージェント(制御局)MAは、モバイルノード(移動端末)MNにアクセスルータ(基地局)AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を付与し、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する。
以上のように本発明によれば、一つのパケットを複数の経路で同時に送出でき、これにより簡単な方法でダイバーシチハンドオーバーを実現することができる
(B)ダイバーシチハンドオーバーシーケンス
図3は本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図、図4はダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
図3において、初期時、移動端末(モバイルノード)MNは、気付きアドレスCoAとしてIP1を与えられて基地局(アクセスルータ)AR1を介して移動通信を行っている(図1参照。ステップ(1))。かかる状態において、制御局(モバイルエージェント)MAは移動端末MNに定期的に無線状態を報告するように要求する(ステップ(2))。移動端末MNは、無線状態報告要求を受信すれば、周辺基地局AR2からの受信レベルを測定して通信中の基地局AR1を介して制御局MNに報告する(ステップ(3))。
制御局MAはMNからの無線状態報告に基づいてダイバーシチハンドオーバーの実行が必要であるか判断し、必要であると判断すれば、隣接基地局AR2にチャネル(CDMAの場合には拡散コード)を設定すると共に送信開始を要求し(ステップ(4))、隣接基地局AR2は設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(5))。また、制御局MNは通信中の基地局AR1を介して移動端末MNにチャネルを設定すると共にダイバーシチハンドオーバーの開始を要求し(ステップ(6))、これにより、移動端末MNは設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(7))。
移動端末MNは隣接基地局AR2との間で同期が確立すれば、制御局MAに同期完了を通知する(ステップ8)。これにより、移動端末MNは基地局AR1,AR2との間に同時に無線リンクを張って通信を行える状態になる(ステップ(9))。
かかる状態において、隣接基地局AR2はルータ広告(Router Advertisement)を移動端末MNに発行し(ステップ(10))、移動端末MNはルータ広告を受信すれば、制御局に対して結合更新(Binding Update)を行い(ステップ(11))、制御局MAは基地局AR2に応じた新しい気付きアドレスCoA(=IP2)を基地局AR2、移動端末MNに通知する(図2参照。ステップ(12))。
図3は本発明のダイバーシチハンドオーバーシーケンスの全体図、図4はダイバーシチハンドオーバーシーケンス図である。
図3において、初期時、移動端末(モバイルノード)MNは、気付きアドレスCoAとしてIP1を与えられて基地局(アクセスルータ)AR1を介して移動通信を行っている(図1参照。ステップ(1))。かかる状態において、制御局(モバイルエージェント)MAは移動端末MNに定期的に無線状態を報告するように要求する(ステップ(2))。移動端末MNは、無線状態報告要求を受信すれば、周辺基地局AR2からの受信レベルを測定して通信中の基地局AR1を介して制御局MNに報告する(ステップ(3))。
制御局MAはMNからの無線状態報告に基づいてダイバーシチハンドオーバーの実行が必要であるか判断し、必要であると判断すれば、隣接基地局AR2にチャネル(CDMAの場合には拡散コード)を設定すると共に送信開始を要求し(ステップ(4))、隣接基地局AR2は設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(5))。また、制御局MNは通信中の基地局AR1を介して移動端末MNにチャネルを設定すると共にダイバーシチハンドオーバーの開始を要求し(ステップ(6))、これにより、移動端末MNは設定チャネルで送信開始を行う(ステップ(7))。
移動端末MNは隣接基地局AR2との間で同期が確立すれば、制御局MAに同期完了を通知する(ステップ8)。これにより、移動端末MNは基地局AR1,AR2との間に同時に無線リンクを張って通信を行える状態になる(ステップ(9))。
かかる状態において、隣接基地局AR2はルータ広告(Router Advertisement)を移動端末MNに発行し(ステップ(10))、移動端末MNはルータ広告を受信すれば、制御局に対して結合更新(Binding Update)を行い(ステップ(11))、制御局MAは基地局AR2に応じた新しい気付きアドレスCoA(=IP2)を基地局AR2、移動端末MNに通知する(図2参照。ステップ(12))。
以上により、ダイバーシチハンドオーバー(ダイバーシチハンドオーバー)が可能となり、図4(A),図4(B)に従ってダイバーシチハンドオーバーが行われる(ステップ(13))。すなわち、下り送信の場合(図4(A)参照)、制御局MAは、通信ノードCNより移動端末MN宛のパケットを受信すると、宛先IPアドレスとして異なるIPアドレスIP1,IP2を有する2つパケットを複製し、各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して移動端末MNに送信する。移動端末MNは、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる。
また、上り送信の場合(図4(B)参照)、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2が受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択し、コアネットワークに送出する。
以上のダイバーシチハンドオーバーと並行して、移動端末MNは基地局AR1からのパイロット信号の強度が設定時間以上連続して設定レベル以下になると、移動局MNは基地局AR1を介して受信レベルを制御局MAに通知する(ステップ(14))。この通知により、制御局MAは移動局MNと基地局AR1間の通信終了を決定し、基地局AR2を介して移動局MNにハンドオーバー(ハードハンドオーバー)を指示する(ステップ(15))。移動局MNはハンドオーバーが指示されると、ハンドオーバー完了を制御局MAに送信すると共に(ステップ(16))、基地局AR1間の無線回線を切断する(ステップ(17))。制御局MAはハンドオーバー完了を受信すれば基地局AR1に通信チャネルの使用禁止を指示し(ステップ(18))、ダイバーシチハンドオーバー制御が完了する。以後、移動局MNは基地局AR2を介して移動通信を行う。
また、上り送信の場合(図4(B)参照)、移動端末MNは送信元IPアドレスとして基地局AR1,AR2毎に異なるIPアドレスIP1,IP2を有する複数のパケットを複製し、各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局AR1,AR2を介して制御局MAに送信する。制御局MAは、複数の基地局AR1,AR2が受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択し、コアネットワークに送出する。
以上のダイバーシチハンドオーバーと並行して、移動端末MNは基地局AR1からのパイロット信号の強度が設定時間以上連続して設定レベル以下になると、移動局MNは基地局AR1を介して受信レベルを制御局MAに通知する(ステップ(14))。この通知により、制御局MAは移動局MNと基地局AR1間の通信終了を決定し、基地局AR2を介して移動局MNにハンドオーバー(ハードハンドオーバー)を指示する(ステップ(15))。移動局MNはハンドオーバーが指示されると、ハンドオーバー完了を制御局MAに送信すると共に(ステップ(16))、基地局AR1間の無線回線を切断する(ステップ(17))。制御局MAはハンドオーバー完了を受信すれば基地局AR1に通信チャネルの使用禁止を指示し(ステップ(18))、ダイバーシチハンドオーバー制御が完了する。以後、移動局MNは基地局AR2を介して移動通信を行う。
(C)各部のダイバーシチハンドオーバー処理
(a)制御局MAの処理
図5は制御局MAの下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。制御局MAは通信ノードCNから移動端末宛のパケットを受信し、順次基地局へ送出する。かかる状態において、端末へ送出すべきパケットが残存するかチェックし(ステップ101)、存在すればi=1とし(ステップ102)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ103)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ103はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該パケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ103において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ108)、ステップ106以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ105)。
(a)制御局MAの処理
図5は制御局MAの下りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。制御局MAは通信ノードCNから移動端末宛のパケットを受信し、順次基地局へ送出する。かかる状態において、端末へ送出すべきパケットが残存するかチェックし(ステップ101)、存在すればi=1とし(ステップ102)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ103)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ103はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該パケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ103において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ105)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ108)、ステップ106以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ106)、受信パケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoAに書き替え(ステップ107)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ104)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ105)。
図6は、受信パケット51の宛先アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット511,512を示している。
図7は制御局MAの上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
上り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ201)、存在すれば、i=1とし(ステップ202)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ203)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ203において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ205)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ206)、ステップ205以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
図7は制御局MAの上りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
上り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ201)、存在すれば、i=1とし(ステップ202)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ203)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ203において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ205)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ204)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ206)、ステップ205以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
(b)移動端末MNの処理
図8は移動端末MNの上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。移動端末MNは相手通信ノード(端末)CNに送信すべきデータが存在すればパケットを作成してバッファリングし、順次送信する。相手通信ノード(端末)CNに送信すべき上りパケットが存在するかチェックし(ステップ301)、存在すればi=1とし(ステップ302)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ303)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ303はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該上りパケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ303において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの送信元アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP1)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ308)、ステップ306以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP2)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ305)。
図8は移動端末MNの上りパケット送信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。移動端末MNは相手通信ノード(端末)CNに送信すべきデータが存在すればパケットを作成してバッファリングし、順次送信する。相手通信ノード(端末)CNに送信すべき上りパケットが存在するかチェックし(ステップ301)、存在すればi=1とし(ステップ302)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ303)。ダイバーシチ接続数Nはパケットの複製数であり、ダイバーシチハンドオーバーでない通常の状態においてN=1であるとし、ダイバーシチハンドオーバー状態においては対象となる周辺基地局数で、たとえばN=2であるとする。従って、ステップ303はダイバーシチハンドオーバー状態であるか否かを判断している。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、該上りパケットを現在通信中の基地局iに送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「NO」であるから処理を終了する。
一方、ステップ303において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの送信元アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP1)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR1)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ305)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ308)、ステップ306以降の処理を繰り返す。すなわち、パケットを1個複製し(ステップ306)、上りパケットのIPヘッダの宛先アドレスを基地局iの気付きアドレスCoA(=IP2)に書き替え(ステップ307)、該パケットを基地局i(基地局AR2)に送出し(ステップ304)、ついで、i<Nかチェックし、「NO」であるから処理を終了する(ステップ305)。
図9は、送信パケット61の送信元アドレスIP1を基地局AR1,AR2に応じた気付きアドレスIP1,IP2に書き替えて基地局AR1,AR2に送出するパケット611,612を示している。
図10は移動端末MNの下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
下り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ401)、存在すれば、i=1とし(ステップ402)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ403)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ403において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ405)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ406)、ステップ405以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
図10は移動端末MNの下りパケット受信時におけるダイバーシチハンドオーバー処理フローである。
下り受信パケットが存在するかチェックし(ステップ401)、存在すれば、i=1とし(ステップ402)、ついで、ダイバーシチ接続数Nが1以上かチェックする(ステップ403)。
N=1で、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、受信パケットを取り込み、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「NO」であるから処理を終了し、はじめに戻る。
一方、ステップ403において、N>1であれば、すなわち、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、受信状態、たとえばSIRが最良の基地局iを選択し(ステップ405)、ついで、i<Nかチェックし(ステップ404)、「YES」であるからi+1→iによりiを歩進し(ステップ406)、ステップ405以降の処理を繰り返す。以上により、SIRが最良の基地局が検出されるから、以後、該基地局よりのパケットを取り込んで処理する。
(D)各部の構成
(a)制御局MA
図11は制御局MAの構成図であり、コアインターフェース11は通信ノードCNより下りパケットを受信すると共に上りパケットを通信ノードCNに送信する。データ処理部12は、下りパケットに関してパケットの複製、IPヘッダの書き換え、上りパケットに関してパケットの選択、IPヘッダの書き換え等を行う。制御部13は、1)配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理を行う共に、2)下りパケットに関してデータ処理部12に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、3)上りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択を指示し、また、4)ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。基地局インターフェース部14は下りパケットを基地局AR1,AR2…へ送信すると共に、基地局AR1,AR2…より上りパケットを受信する。
下りパケットに関して以下の処理が行われる。データ振り分け部21はコアネットワークインターフェース部11より下りパケットが入力すると、該パケットを複製部22、基地局インターフェース部14に入力すると共にIPヘッダ部を制御部13に入力する。制御部13は、ヘッダ情報より宛先の端末を判別する。又、制御部13は、配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ20に管理しているから、該管理データを参照して図5の処理を行う。制御部13は、宛先端末がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部22にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部23に書き換えを指示しない。この結果、基地局インターフェース部14はデータ振り分け部21から直接入力されたパケットを所定の基地局に向けて送信する。
(a)制御局MA
図11は制御局MAの構成図であり、コアインターフェース11は通信ノードCNより下りパケットを受信すると共に上りパケットを通信ノードCNに送信する。データ処理部12は、下りパケットに関してパケットの複製、IPヘッダの書き換え、上りパケットに関してパケットの選択、IPヘッダの書き換え等を行う。制御部13は、1)配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理を行う共に、2)下りパケットに関してデータ処理部12に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、3)上りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択を指示し、また、4)ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。基地局インターフェース部14は下りパケットを基地局AR1,AR2…へ送信すると共に、基地局AR1,AR2…より上りパケットを受信する。
下りパケットに関して以下の処理が行われる。データ振り分け部21はコアネットワークインターフェース部11より下りパケットが入力すると、該パケットを複製部22、基地局インターフェース部14に入力すると共にIPヘッダ部を制御部13に入力する。制御部13は、ヘッダ情報より宛先の端末を判別する。又、制御部13は、配下の移動端末MN毎に、ダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ20に管理しているから、該管理データを参照して図5の処理を行う。制御部13は、宛先端末がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部22にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部23に書き換えを指示しない。この結果、基地局インターフェース部14はデータ振り分け部21から直接入力されたパケットを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部13はデータ複製部22にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部23に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部22は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部23に入力する。IPヘッダ書き換え部23は複製されたパケットのIPヘッダにおける宛先アドレスを制御部13より指示されたIPアドレスで書き (図6参照)、基地局インターフェース部14に入力する。基地局インターフェース部14は複製された下りパケットをそれぞれダイバーシチハンドオーバーで通信中の基地局AR1,AR2…へ送信する。
上りパケットに関して、制御部13は図7に示す処理を行う。すなわち、制御部13は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択・データ分離部24に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択・データ分離部24は各基地局より入力されるパケットの受信状態(SIR)を測定し、受信状態(SIR)が最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。
制御部13は上りパケットに付加すべき送信元IPアドレスを、メモリ30の管理データを参照して求め、該送信元IPアドレスをIPヘッダ書き換え部25に入力する。IPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットの送信元IPアドレスを制御部13より入力するIPアドレスで書き替えてコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、制御部13はその旨をパケット選択・データ分離部24に通知する。この結果、パケット選択・データ分離部24は基地局インターフェース14から入力するパケットを選択し、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。又、制御部13は上りパケットの送信元IPアドレスに変更がない旨をIPヘッダ書き換え部25に入力する。これによりIPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットをそのままコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
データ複製部22は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部23に入力する。IPヘッダ書き換え部23は複製されたパケットのIPヘッダにおける宛先アドレスを制御部13より指示されたIPアドレスで書き (図6参照)、基地局インターフェース部14に入力する。基地局インターフェース部14は複製された下りパケットをそれぞれダイバーシチハンドオーバーで通信中の基地局AR1,AR2…へ送信する。
上りパケットに関して、制御部13は図7に示す処理を行う。すなわち、制御部13は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択・データ分離部24に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択・データ分離部24は各基地局より入力されるパケットの受信状態(SIR)を測定し、受信状態(SIR)が最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。
制御部13は上りパケットに付加すべき送信元IPアドレスを、メモリ30の管理データを参照して求め、該送信元IPアドレスをIPヘッダ書き換え部25に入力する。IPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットの送信元IPアドレスを制御部13より入力するIPアドレスで書き替えてコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、制御部13はその旨をパケット選択・データ分離部24に通知する。この結果、パケット選択・データ分離部24は基地局インターフェース14から入力するパケットを選択し、該パケットをIPヘッダ書き換え部25に入力し、かつ、IPヘッダを制御部13に入力する。又、制御部13は上りパケットの送信元IPアドレスに変更がない旨をIPヘッダ書き換え部25に入力する。これによりIPヘッダ書き換え部25はパケット選択・データ分離部24より入力するパケットをそのままコアネットワークインターフェース部11に入力し、コアネットワークインターフェース部11は該上りパケットを通信ノードCNに送出する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
(b)移動端末MN
図12は移動端末MNの構成図であり、データ処理部31は、送信パケット及び制御情報を出力すると共に、下りのパケットを受信してデータ処理する。データ複製部32は制御部34からの指示に従って上りパケットの複製を行い、IPヘッダ書き換え部33は制御部34からの指示に従ってIPヘッダ(送信元IPアドレス)の書き換えを行う。制御部34は、1)自移動端末MNがダイバーシチのハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理をメモリ30で行う共に、2)上りパケットに関してデータ複製部32及びIPヘッダ書き換え部33に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、3)下りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択をパケット選択部35に指示し、また、4)ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。
送信変調部36は、各基地局毎に変調器MDL、コード拡散器SP、各コード拡散器出力を合成する合成部CBNを備えている。送信機37は合成器CBNの出力を高周波信号に変換して送信する。受信部38は受信信号をべースバンド信号に変換して受信復調部39に入力する。受信復調部39は、各基地局毎に逆拡散器RSP及び復調器DMDLを備えている。
パケット選択部35は、最も受信状態が良好な基地局を決定し、下り受信パケットをデータ処理部31に入力すると共に、IPヘッダを分離して制御部34に入力する。
図12は移動端末MNの構成図であり、データ処理部31は、送信パケット及び制御情報を出力すると共に、下りのパケットを受信してデータ処理する。データ複製部32は制御部34からの指示に従って上りパケットの複製を行い、IPヘッダ書き換え部33は制御部34からの指示に従ってIPヘッダ(送信元IPアドレス)の書き換えを行う。制御部34は、1)自移動端末MNがダイバーシチのハンドオーバー状態であるか否か、基地局に応じたIPアドレス等の管理をメモリ30で行う共に、2)上りパケットに関してデータ複製部32及びIPヘッダ書き換え部33に対してパケットの複製やIPヘッダの書き換えを指示し、3)下りパケットに関して受信状態(例えばSIR)に応じたパケットの選択をパケット選択部35に指示し、また、4)ダイバーシチハンドオーバー制御を行う。
送信変調部36は、各基地局毎に変調器MDL、コード拡散器SP、各コード拡散器出力を合成する合成部CBNを備えている。送信機37は合成器CBNの出力を高周波信号に変換して送信する。受信部38は受信信号をべースバンド信号に変換して受信復調部39に入力する。受信復調部39は、各基地局毎に逆拡散器RSP及び復調器DMDLを備えている。
パケット選択部35は、最も受信状態が良好な基地局を決定し、下り受信パケットをデータ処理部31に入力すると共に、IPヘッダを分離して制御部34に入力する。
上りパケットに関して以下の処理が行われる。
制御部13は、自移動端末MNのダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ30に管理しているから、該管理データを参照して図8の処理を行う。すなわち、制御部34は、自分がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部32にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部33に書き換えを指示しない。この結果、送信機37は送信変調部36の一番上の変調器、拡散器を介して入力した拡散信号のみを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部34はデータ複製部32にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部33に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部32は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部33に入力する。IPヘッダ書き換え部33は複製されたパケットのIPヘッダにおける送信元アドレスを制御部34より指示されたIPアドレスで書き替え、 (図9参照)、それぞれ送信変調部36に入力する。送信変調部36の対応する複数の変調器MDLは例えばQPSK変調すると共に、各拡散器SPは所定の拡散コードで拡散し、合成器CBNで合成して送信機37に入力する。送信機37は合成信号を高周波信号に変換して送信する。
制御部13は、自移動端末MNのダイバーシチハンドオーバー状態F、基地局に応じたIPアドレスIP1,IP2等をメモリ30に管理しているから、該管理データを参照して図8の処理を行う。すなわち、制御部34は、自分がダイバーシチハンドオーバー状態でなければ、データ複製部32にデータ複製を指示せず、またIPヘッダ書き換え部33に書き換えを指示しない。この結果、送信機37は送信変調部36の一番上の変調器、拡散器を介して入力した拡散信号のみを所定の基地局に向けて送信する。
一方、ダイバーシチハンドオーバー状態であれば、制御部34はデータ複製部32にデータの複製を指示すると共に、IPヘッダ書き換え部33に所定の宛先アドレスIP1,IP2,…を入力してIPヘッダの書き換え指示する。
データ複製部32は指示された数のデータ(パケット)を複製してIPヘッダ書き換え部33に入力する。IPヘッダ書き換え部33は複製されたパケットのIPヘッダにおける送信元アドレスを制御部34より指示されたIPアドレスで書き替え、 (図9参照)、それぞれ送信変調部36に入力する。送信変調部36の対応する複数の変調器MDLは例えばQPSK変調すると共に、各拡散器SPは所定の拡散コードで拡散し、合成器CBNで合成して送信機37に入力する。送信機37は合成信号を高周波信号に変換して送信する。
下りパケットに関して、制御部34は図10に示す処理を行う。すなわち、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態であれば、パケット選択部35に最良のパケットの選択を指示する。これにより、パケット選択部35は各基地局より入力されるパケットのSIRを測定し、SIRが最も良好な基地局を決定し、該基地局から入力するパケットを選択すると共に、該パケットをデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部34に入力する。
一方、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態でなければその旨をパケット選択部35に通知する。この結果、パケット選択部35は受信復調部39から入力するパケットをそのままデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部13に入力する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
また、図12では変調器、拡散器はパケットごとに用意されているが、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの変調器および拡散器で構成することも可能である。同様に、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの復調器および逆拡散器で構成することも可能である。
以上、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる自動車電話や携帯電話などの移動通信システムに、本発明を用いることで、従来難しかったダイバーシチハンドオーバーが簡単に実現可能となる。
一方、制御部34は、管理データを参照してダイバーシチハンドオーバー状態でなければその旨をパケット選択部35に通知する。この結果、パケット選択部35は受信復調部39から入力するパケットをそのままデータ処理部31に入力すると共にIPヘッダを制御部13に入力する。
尚、以上ではSIRが最良の基地局からのパケットを選択したが、最大受信レベルの基地局を判断し、該基地局からのパケットを選択することもできる。
また、図12では変調器、拡散器はパケットごとに用意されているが、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの変調器および拡散器で構成することも可能である。同様に、スイッチを用いて時間的に切り替えることで、一つの復調器および逆拡散器で構成することも可能である。
以上、通信信号のフォーマットとしてIPパケットを用いる自動車電話や携帯電話などの移動通信システムに、本発明を用いることで、従来難しかったダイバーシチハンドオーバーが簡単に実現可能となる。
CN 通信ノード
MA 制御局
MN 移動端末
AR1,AR2 基地局
MA 制御局
MN 移動端末
AR1,AR2 基地局
Claims (10)
- 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおけるダイバーシチハンドオーバー方法において、
制御局より複数の基地局を介して並列に下りパケットを一つの端末に同時に到着するよう送出し、
該複数の基地局から送信される前記端末宛のパケットの宛先IPアドレスとしてそれぞれ異なるIPアドレスを付与する、
ことを特徴とするダイバーシチハンドオーバー方法。 - 一つの端末から前記複数の基地局のそれぞれに、送信元アドレスとして前記異なるIPアドレスを付与したパケットを同時に送信し、各基地局を介してパケットを制御局に送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のダイバーシチハンドオーバー方法。 - 前記端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、
制御局において宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、
各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局を介して同一の端末に送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のダイバーシチハンドオーバー方法。 - 前記端末に基地局毎に異なるIPアドレスを付与し、
端末において送信元IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製し、
各パケットを送信元IPアドレスに応じた基地局を介して前記制御局に送信する、
ことを特徴とする請求項2記載のダイバーシチハンドオーバー方法。 - 端末は、受信した複数の下りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択して受信データとして用いる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項3記載のダイバーシチハンドオーバー方法。 - 制御局は、複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを通信データとして選択する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項4記載のダイバーシチハンドオーバー方法。 - 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおける制御局において、
コアネットワークより端末宛のパケットを受信する手段、
ダイバーシチハンドオーバー状態の端末に対し基地局毎に異なるIPアドレスを付与する手段、
コアネットワークより端末宛のパケットを受信したとき、宛先IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、
各パケットを宛先IPアドレスに応じた基地局へ送出する手段、
を備えたことを特徴とする制御局。 - ダイバーシチハンドオーバー状態の1つの端末より複数の基地局を介して受信した複数の上りパケットのうち最も受信状態のよい一つを選択する手段、
を備えたことを特徴とする請求項7記載の制御局。 - 通信信号フォーマットとしてIP(インタネットプロトコル)を用いる移動通信システムにおける移動端末装置において、
基地局毎に異なるIPアドレスを指示されて保持する手段、
送信すべきパケットの送信元IPアドレスとして前記異なるIPアドレスを有する複数のパケットを複製する手段、
複製された各パケットを送信元IPアドレスに対応する基地局へ送出する手段、
を備えたことを特徴とする移動端末装置。 - ダイバーシチハンドオーバー状態において、複数の基地局から受信した複数の下りパケットのうち、最も受信状態のよい一つを選択する手段、
を備えたことを特徴とする請求項9記載の移動端末装置
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