JPWO2004050125A1 - 腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制剤 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は新規な抗腫瘍剤を提供することであり、新規なメカニズムを保持する遺伝子治療の手段を提供するものである。即ち、腫瘍細胞に対する細胞外マトリックスの制御を行い、細胞の増殖及び/又は浸潤の制御を行い癌を治療する手段を提供することを課題とする。具体的には、コラーゲン遺伝子を腫瘍細胞内に導入することによって、腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
Description
本出願は、参照によりここに援用されるところの、日本特許出願番号2002−351599からの優先権を請求する。
本発明は新規な抗腫瘍剤に関し、より詳しくは、腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤を抑制させる機能を担持する抗腫瘍剤に関する。更に具体的には、コラーゲン遺伝子及びその相同物を含む遺伝子治療用組成物からなる腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制剤、この抑制剤を利用した腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制方法、並びにこの抑制方法を利用した腫瘍の治療方法に関する。
ガンの浸潤、転移は細胞外マトリックスとの相互作用によって進行するために、その制御は悪性ガン治療の重要な手段の一つである。従来腫瘍細胞は細胞外マトリックスについては、例えばReillyらのEndostatin、StanderらのDecorin、MaeshimaらのTumstatin、AkamatsuらのFibronectin等の接着因子が腫瘍細胞の遊走、浸潤、転移に大きく係わっていることが明らかにされている。また細胞外マトリックスの主成分であって、生体内に多量に存在するタンパク質であるコラーゲンについては、細胞のガン化に伴う産生量の変化が調べられており、例えば神経芽腫(Kugaら)(非特許文献1)、肝芽腫(Inagakiら)(非特許文献2)、甲状腺ガン(Dahlmaら)(非特許文献3)は悪性化によってコラーゲンの産生量は減少するとされている。このように細胞外マトリックスと腫瘍細胞には何らかの相互作用が存在するが、それを制御することで、ガンの遊走、浸潤、転移、増殖に対する抑制、さらにはガン細胞を消失させることは未だ成し得ていない。
一方、ガンを抑制すると考えられるペプチドを産生させ、腫瘍細胞の増殖、浸潤を制御することも試みられている。例えばp53遺伝子等ガン抑制遺伝子の導入、IFN遺伝子等抑制効果のあるサイトカイン類の遺伝子導入等が行われている。しかし、これらの方法はターゲットとする細胞にのみに発現させる必要がある、あるいはその産生量をコントロールする必要があるといった問題が残っていた。
(非特許文献1)日小外会誌 第36巻2号 2000年4月 p41−47
(非特許文献2)Biochem.Biophys.Res.Commun.1987 Oct 29;148(2):869−7
(非特許文献3)Int.J.Cancer.2002 Mar10;98(2):186−92
一方、ガンを抑制すると考えられるペプチドを産生させ、腫瘍細胞の増殖、浸潤を制御することも試みられている。例えばp53遺伝子等ガン抑制遺伝子の導入、IFN遺伝子等抑制効果のあるサイトカイン類の遺伝子導入等が行われている。しかし、これらの方法はターゲットとする細胞にのみに発現させる必要がある、あるいはその産生量をコントロールする必要があるといった問題が残っていた。
(非特許文献1)日小外会誌 第36巻2号 2000年4月 p41−47
(非特許文献2)Biochem.Biophys.Res.Commun.1987 Oct 29;148(2):869−7
(非特許文献3)Int.J.Cancer.2002 Mar10;98(2):186−92
本発明の課題は、新規な抗腫瘍剤を提供することであり、新規なメカニズムを担持する遺伝子治療の手段を提供するものである。即ち、腫瘍細胞に対する細胞外マトリックスの制御を行い、細胞の増殖及び/又は浸潤の制御を行い癌を治療する手段を提供するものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、コラーゲン遺伝子を腫瘍細胞内に導入することによって、腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1.コラーゲン遺伝子を含む遺伝子治療用組成物からなる腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制剤。
2.コラーゲン遺伝子が、I型コラーゲン遺伝子である前項1の抑制剤。
3.コラーゲン遺伝子が、I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子である、前項2に記載の抑制剤。
4.コラーゲン遺伝子が、下記の群より選ばれる遺伝子である前項1に記載の抑制剤。
1)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子を含むポリヌクレオチド及びその相補鎖
2)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子と少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
3)前記1)及び2)の遺伝子がコードするアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加あるいは挿入といった変異を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
4)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド
5)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖の少なくとも約15個の連続する塩基配列で示され、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド
5.遺伝子治療用組成物が、組換えベクターである前項1〜4の何れか一に記載の抑制剤。
6.コラーゲン遺伝子を、腫瘍細胞内に導入することを特徴とする前項1〜5の何れか一に記載の抑制剤。
7.腫瘍細胞のアポトーシスの誘発をマーカーとする前項1〜6の何れか一に記載の抑制剤。
8.腫瘍細胞が、コラーゲンの発現量が減少していることを特徴とする前項1〜7の何れか一に記載の抑制剤。
9.腫瘍細胞が、以下の少なくとも1から選ばれる前項1〜8の何れか一に記載の抑制剤。
1)グリオブラストーマ細胞(T98G)
2)乳癌細胞(MCF−7)
10.前項1〜9の何れか一に記載の抑制剤を用い、生体内の腫瘍細胞内に、コラーゲン遺伝子及びその相同物を導入することを特徴とする腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制方法。
11.前項10の抑制方法を使用する腫瘍の治療方法。
からなる。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、コラーゲン遺伝子を腫瘍細胞内に導入することによって、腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1.コラーゲン遺伝子を含む遺伝子治療用組成物からなる腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制剤。
2.コラーゲン遺伝子が、I型コラーゲン遺伝子である前項1の抑制剤。
3.コラーゲン遺伝子が、I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子である、前項2に記載の抑制剤。
4.コラーゲン遺伝子が、下記の群より選ばれる遺伝子である前項1に記載の抑制剤。
1)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子を含むポリヌクレオチド及びその相補鎖
2)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子と少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
3)前記1)及び2)の遺伝子がコードするアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加あるいは挿入といった変異を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
4)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド
5)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖の少なくとも約15個の連続する塩基配列で示され、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド
5.遺伝子治療用組成物が、組換えベクターである前項1〜4の何れか一に記載の抑制剤。
6.コラーゲン遺伝子を、腫瘍細胞内に導入することを特徴とする前項1〜5の何れか一に記載の抑制剤。
7.腫瘍細胞のアポトーシスの誘発をマーカーとする前項1〜6の何れか一に記載の抑制剤。
8.腫瘍細胞が、コラーゲンの発現量が減少していることを特徴とする前項1〜7の何れか一に記載の抑制剤。
9.腫瘍細胞が、以下の少なくとも1から選ばれる前項1〜8の何れか一に記載の抑制剤。
1)グリオブラストーマ細胞(T98G)
2)乳癌細胞(MCF−7)
10.前項1〜9の何れか一に記載の抑制剤を用い、生体内の腫瘍細胞内に、コラーゲン遺伝子及びその相同物を導入することを特徴とする腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制方法。
11.前項10の抑制方法を使用する腫瘍の治療方法。
からなる。
図1は、発現ベクター(pCXN2/HCOL1A1)を構示す。
図2は、樹立したI型コラーゲンα1鎖発現細胞株(T98G/HCOL1A1)を示す。
図3は、コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞の増殖の比較を示す。
図4は、コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞の遊走性および浸潤性の比較を示す。A(遊走性の比較)はトランスウエル、B(浸潤性の比較)はマトリゲルチャンバーを用いた。
図5は、コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のヌードマウスにおける造腫瘍性の比較を示す。
図6は、コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のアポトーシス誘導の比較を示す。
図2は、樹立したI型コラーゲンα1鎖発現細胞株(T98G/HCOL1A1)を示す。
図3は、コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞の増殖の比較を示す。
図4は、コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞の遊走性および浸潤性の比較を示す。A(遊走性の比較)はトランスウエル、B(浸潤性の比較)はマトリゲルチャンバーを用いた。
図5は、コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のヌードマウスにおける造腫瘍性の比較を示す。
図6は、コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のアポトーシス誘導の比較を示す。
○ △ □ 遺伝子導入細胞(図3)(図5)
● ■ コントロール(図3、図5)
● ■ コントロール(図3、図5)
本発明において「コラーゲン遺伝子」とは、所謂広くコラーゲンをコードする遺伝子を対象とし、その断片、変異体、誘導体であっても、腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤を可能とする限りは利用可能である。当業者は、本発明により、コラーゲン遺伝子が腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制を可能とすることを知り容易にその断片、変異体、誘導体を調製・そして目的物質の調製も可能である。
本発明で使用されるコラーゲン遺伝子の由来は、特に制限されるものではないが、腫瘍細胞担持体と同種であることが好ましい。人が担持体である場合は、人由来と同じ又は相同であることが好適である。
コラーゲン遺伝子がコードするペプチド鎖についても特に制限はないが、多量に存在するI型、II型、III型、あるいは転移に関与されるとされるIV型、XVIII型等が望ましい。本発明の実施例では好適な事例として、I型を選別した。
ヒトの場合、I型コラーゲンはα1鎖とα2鎖の2種類から構成されているが、本発明においては2種類の遺伝子を導入する必要はなく、α1あるいはα2のいずれかでも良いし、両方でも良いし、それらの断片でもよいし、さらにそれらの相同物でもよい。
本発明の実施例ではα1鎖を好適な代表事例として説明する。そして、本発明のコラーゲン遺伝子は、当該遺伝子の細胞内導入が腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤を可能とすることをマーカーにして以下のような相同物も本発明の対象とする。
1)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子を含むポリヌクレオチド及びその相補鎖
2)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子と少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
3)前記1)及び2)の遺伝子がコードするアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加あるいは挿入といった変異を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
4)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド
5)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖の少なくとも約15個の連続する塩基配列で示され、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド
欠失、置換、付加あるいは挿入の手段は自体公知であり、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法またはポリメラーゼ連鎖増幅法(PCR)を単独または適宜組み合わせて、例えばサムブルック等編[モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル 第2版]コールドスプリングハーバーラボラトリー,1989、村松正實編[ラボマニュアル遺伝子工学]丸善株式会社,1988、エールリッヒ,HE.編[PCRテクノロジー,DNA増幅の原理と応用]ストックトンプレス,1989等の成書に記載の方法に準じて、あるいはそれらの方法を改変して実施することができ、例えばUlmerの技術(Science,219,666,1983)を利用することができる。
上記のような変異の導入において、当該発現されるコラーゲン蛋白質の基本的な性質(物性、活性、または免疫学的活性等)を変化させないという観点からは、例えば、同族アミノ酸(極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸等)の間での相互置換は容易に想定される。
本発明のポリヌクレオチドおよびその相補鎖は、その対応する領域にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドをも包含する。ハイブリダイゼーションの条件は、例えばサムブルック等編[モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル 第2版]コールドスプリングハーバーラボラトリー,(1989)等に従うことができる。これらのポリヌクレオチドは目的のポリヌクレオチドにハイブリダイズするものであれば必ずしも相補的配列でなくともよい。例えば、相同性において、少なくとも約40%、例えば、約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上である。また本発明のポリヌクレオチドは、指定された塩基配列の領域に対応する連続する10個以上のヌクレオチド、好ましくは15個以上、より好ましくは20個以上の配列からなるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびそれらの相補鎖を包含する。
これらのポリヌクレオチドは、本発明の提供により、その腫瘍の増殖抑制及び/又は浸潤抑制の活性を指標にして選別することにより提供することができる。また、本発明のポリヌクレオチドは、本発明の提供により、腫瘍細胞のアポトーシスの誘発能を指標にして選別することによって提供することができる。
遺伝子の導入に使用する組換えベクターは、自体公知の手段が応用され、例えばレプリコンとして、エピソーム、染色体、非感染化ウイルス等を利用して行われる。
組換えベクターは、細菌プラスミド由来ベクター、バクテリオファージ由来ベクター、トランスポゾン由来ベクター、酵母エピソーム由来ベクター、挿入エレメント由来ベクター、酵母染色体エレメント由来ベクター、バキュロウイルス・パポバウイルス・SV40・ワクシニアウイルス・アデノウイルス・鶏痘ウイルス・仮狂犬病ウイルス・レトロウイルス等のウイルス由来のベクター、プラスミドとバクテリオファージの遺伝学的エレメント由来のベクター(コスミド及びファージミド)等があげられる。
ベクターは、選択した宿主の種類により選別され、発現目的の遺伝子配列と複製そして制御に関する情報を担持した遺伝子配列とを構成要素とする。組合せは原核細胞、真核細胞によって分別され、薬剤耐性マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター、シグナル配列、エンハンサー等を自体公知の方法によって組合せて利用できる。ベクターは真核細胞で発現できるものならば特に制限はない。
本発明の具体例では好適な発現ベクターとしてpCXN2を示したが、これに限定されるものではない。
ベクターへの遺伝子の組み込み方法は、自体公知の方法を適用できる。例えば、適当な制限酵素を選択、処理してDNAを特定部位で切断し、次いで同様に処理したベクターとして用いるDNAと混合し、リガーゼによって再結合する方法が用いられる。
腫瘍細胞への導入は、例えば、サムブルック編〔モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル〕コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(1989)等に記載の標準的な方法により実施できる。遺伝子の安定性を考慮するならば、染色体内へのインテグレート法(例えばリポソーム法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等)であるが、簡便には核外遺伝子を利用した自律複製系の利用である。一過性に発現させるリポソーム法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、ウイルスベクター法、アテロコラーゲン法等の方法でも良い。
本発明のコラーゲン遺伝子を含むベクターからなる遺伝子治療組成物は、一般的には非経口的に対象に投与される。好適には、腫瘍細胞に直接或はターゲッティング手法によって処置される。投与量は、特に制限されないが、腫瘍細胞の大きさによって適宜調整される。一般的には、腫瘍細胞1gに対して、コラーゲン遺伝子を含むベクターは、20〜440μg、好ましくは40〜110μg程度が投与される。投与時期は、腫瘍細胞の増殖期におこなうことがより効率的であるが、特に限定されるものではない。
本発明の対象とする腫瘍は、特に限定されないが、神経芽腫、肝芽腫、甲状腺ガン等の悪性腫瘍化によってコラーゲン産生量が減少する腫瘍が好適である。本発明では、特にグリオブラストーマ細胞(T98G)、乳癌細胞(MCF−7)に対するコラーゲン遺伝子導入の特有の優位な効果を確認した。
本発明で使用されるコラーゲン遺伝子の由来は、特に制限されるものではないが、腫瘍細胞担持体と同種であることが好ましい。人が担持体である場合は、人由来と同じ又は相同であることが好適である。
コラーゲン遺伝子がコードするペプチド鎖についても特に制限はないが、多量に存在するI型、II型、III型、あるいは転移に関与されるとされるIV型、XVIII型等が望ましい。本発明の実施例では好適な事例として、I型を選別した。
ヒトの場合、I型コラーゲンはα1鎖とα2鎖の2種類から構成されているが、本発明においては2種類の遺伝子を導入する必要はなく、α1あるいはα2のいずれかでも良いし、両方でも良いし、それらの断片でもよいし、さらにそれらの相同物でもよい。
本発明の実施例ではα1鎖を好適な代表事例として説明する。そして、本発明のコラーゲン遺伝子は、当該遺伝子の細胞内導入が腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤を可能とすることをマーカーにして以下のような相同物も本発明の対象とする。
1)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子を含むポリヌクレオチド及びその相補鎖
2)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子と少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
3)前記1)及び2)の遺伝子がコードするアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加あるいは挿入といった変異を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
4)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド
5)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖の少なくとも約15個の連続する塩基配列で示され、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド
欠失、置換、付加あるいは挿入の手段は自体公知であり、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法またはポリメラーゼ連鎖増幅法(PCR)を単独または適宜組み合わせて、例えばサムブルック等編[モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル 第2版]コールドスプリングハーバーラボラトリー,1989、村松正實編[ラボマニュアル遺伝子工学]丸善株式会社,1988、エールリッヒ,HE.編[PCRテクノロジー,DNA増幅の原理と応用]ストックトンプレス,1989等の成書に記載の方法に準じて、あるいはそれらの方法を改変して実施することができ、例えばUlmerの技術(Science,219,666,1983)を利用することができる。
上記のような変異の導入において、当該発現されるコラーゲン蛋白質の基本的な性質(物性、活性、または免疫学的活性等)を変化させないという観点からは、例えば、同族アミノ酸(極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸等)の間での相互置換は容易に想定される。
本発明のポリヌクレオチドおよびその相補鎖は、その対応する領域にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドをも包含する。ハイブリダイゼーションの条件は、例えばサムブルック等編[モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル 第2版]コールドスプリングハーバーラボラトリー,(1989)等に従うことができる。これらのポリヌクレオチドは目的のポリヌクレオチドにハイブリダイズするものであれば必ずしも相補的配列でなくともよい。例えば、相同性において、少なくとも約40%、例えば、約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上である。また本発明のポリヌクレオチドは、指定された塩基配列の領域に対応する連続する10個以上のヌクレオチド、好ましくは15個以上、より好ましくは20個以上の配列からなるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびそれらの相補鎖を包含する。
これらのポリヌクレオチドは、本発明の提供により、その腫瘍の増殖抑制及び/又は浸潤抑制の活性を指標にして選別することにより提供することができる。また、本発明のポリヌクレオチドは、本発明の提供により、腫瘍細胞のアポトーシスの誘発能を指標にして選別することによって提供することができる。
遺伝子の導入に使用する組換えベクターは、自体公知の手段が応用され、例えばレプリコンとして、エピソーム、染色体、非感染化ウイルス等を利用して行われる。
組換えベクターは、細菌プラスミド由来ベクター、バクテリオファージ由来ベクター、トランスポゾン由来ベクター、酵母エピソーム由来ベクター、挿入エレメント由来ベクター、酵母染色体エレメント由来ベクター、バキュロウイルス・パポバウイルス・SV40・ワクシニアウイルス・アデノウイルス・鶏痘ウイルス・仮狂犬病ウイルス・レトロウイルス等のウイルス由来のベクター、プラスミドとバクテリオファージの遺伝学的エレメント由来のベクター(コスミド及びファージミド)等があげられる。
ベクターは、選択した宿主の種類により選別され、発現目的の遺伝子配列と複製そして制御に関する情報を担持した遺伝子配列とを構成要素とする。組合せは原核細胞、真核細胞によって分別され、薬剤耐性マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター、シグナル配列、エンハンサー等を自体公知の方法によって組合せて利用できる。ベクターは真核細胞で発現できるものならば特に制限はない。
本発明の具体例では好適な発現ベクターとしてpCXN2を示したが、これに限定されるものではない。
ベクターへの遺伝子の組み込み方法は、自体公知の方法を適用できる。例えば、適当な制限酵素を選択、処理してDNAを特定部位で切断し、次いで同様に処理したベクターとして用いるDNAと混合し、リガーゼによって再結合する方法が用いられる。
腫瘍細胞への導入は、例えば、サムブルック編〔モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル〕コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(1989)等に記載の標準的な方法により実施できる。遺伝子の安定性を考慮するならば、染色体内へのインテグレート法(例えばリポソーム法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等)であるが、簡便には核外遺伝子を利用した自律複製系の利用である。一過性に発現させるリポソーム法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、ウイルスベクター法、アテロコラーゲン法等の方法でも良い。
本発明のコラーゲン遺伝子を含むベクターからなる遺伝子治療組成物は、一般的には非経口的に対象に投与される。好適には、腫瘍細胞に直接或はターゲッティング手法によって処置される。投与量は、特に制限されないが、腫瘍細胞の大きさによって適宜調整される。一般的には、腫瘍細胞1gに対して、コラーゲン遺伝子を含むベクターは、20〜440μg、好ましくは40〜110μg程度が投与される。投与時期は、腫瘍細胞の増殖期におこなうことがより効率的であるが、特に限定されるものではない。
本発明の対象とする腫瘍は、特に限定されないが、神経芽腫、肝芽腫、甲状腺ガン等の悪性腫瘍化によってコラーゲン産生量が減少する腫瘍が好適である。本発明では、特にグリオブラストーマ細胞(T98G)、乳癌細胞(MCF−7)に対するコラーゲン遺伝子導入の特有の優位な効果を確認した。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1 腫瘍細胞へのコラーゲン遺伝子の導入
腫瘍細胞として、グリオブラストーマ細胞(T98G)(ATCC由来株細胞を大日本製薬株式会社より購入)を使用した。
細胞内に導入する遺伝子は、ヒトI型プロコラーゲンα1鎖遺伝子を使用し、ヘリックス領域の両端にプロペプチド部をもつ完全長cDNAを、発現ベクターpCXN2のCAGプロモーター下に挿入して、発現ベクター(pCXN2/HCOL1A1)を構築した(図1)。
遺伝子導入試薬Lipofectamine 2000 reagent(GIBCO)を用いたリポソーム法によりpCXN2/HCOL1A1をT98G細胞に導入した。添加量は、シャーレ(直径10cm)に約50%程度集密(confluent)にさせた細胞(略1.0x104個)に対してLipofectamine 2000 reagent 20μlとpCXN2/HCOL1A1 10μgとした。安定形質発現体を獲得するため、薬剤耐性マーカー(Neo R)に対する選択薬剤G418を終濃度800μg/mlとなるように培養液に添加し、安定形質発現体による細胞のコロニーを形成させ、それを回収した。回収した細胞をさらに培養し、抗I型コラーゲンα1鎖抗体による細胞免疫染色を行い、その発現を確認して、I型コラーゲンα1鎖発現細胞株(T98G/HCOL1A1)を樹立した(図2)。
試験例1
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞の増殖の比較〕
96穴プレートに1穴あたり5x105個の細胞を播種し、5日間の細胞増殖を、テトラカラーワン試薬(生化学工業)を用いて測定した。3つの遺伝子導入細胞株は、コントロール細胞にくらべ、有意に増殖が抑制されていた(図3)。
試験例2
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞の遊走性および浸潤性の比較〕
トランスウエルアッセイにより遊走性と浸潤性を調べた。遊走性は、2.5x105個の細胞をポアサイズ8ミクロンのメンブランのトランスウエル(ベクトン・ディッキンソン)に添加して24時間培養後、メンブランを通過した細胞数をカウントして比較した。遺伝子導入細胞の遊走性は、コントロール細胞の30%に減少していた。浸潤性は、2.5x105個の細胞をマトリゲルチャンバー(ベクトン・ディッキンソン)に添加して24時間培養後、それを通過した細胞数をカウントして比較した。遺伝子導入細胞の浸潤性は、コントロール細胞の1/10以下であった(図4)。
試験例3
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のヌードマウスにおける造腫瘍性の比較〕
ヌードマウスの皮下に各細胞を移植し、その造腫瘍性をしらべた。コントロール細胞を移植した群では、50日以降に急激に腫瘍が大きくなった。しかし、コラーゲン遺伝子導入細胞を移植した群では、腫瘍の増殖が認められず、造腫瘍性が消失していた(図5)。
試験例4
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のアポトーシス誘導の比較〕
コラーゲン遺伝子の発現による培養細胞におけるアポトーシス誘導について、In Situ Cell Death Detection Kit,POD(ロシュ・ダイアグノスティック)を用いたTUNELアッセイで検討した。各細胞をコンフルエントになるまで培養し、無血清培地に交換して十数日後にアッセイした。コントロールではアポトーシス細胞がほとんど検出されなかったが、I型コラーゲン発現細胞では、多くの細胞がアポトーシス誘導されていた(図6)。
試験例5
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のコロニー生成率の比較〕
腫瘍細胞として、グリオブラストーマ細胞(T98G)、乳癌細胞(MCF−7:ATCC由来株細胞を大日本製薬株式会社より購入)を使用した。
導入した遺伝子及び該遺伝子導入方法は、以下に示す以外は実施例1と同様な方法で行った。実施例1と異なる点は、遺伝子導入試薬の添加量は、腫瘍細胞に対してLipofectamine 2000 reagent 20μlとpCXN2/HCOL1A1 17.5μgとし、またコントロールとして使用した腫瘍細胞にはLipofectamine 2000 reagent 20μlとpCXN2 10.0μgとした。さらに腫瘍細胞に遺伝子を導入後、その細胞を別のディッシュにパッセージ後、選択薬剤G418を終濃度600μg/mlとなるように培養液に添加し、細胞のコロニーを形成させ、それを回収した。
上記方法で回収した細胞をコロニーフォーメーションアッセイ法により、コントロールのpCXN2を導入した腫瘍細胞に対してpCXN2/HCOL1A1を導入した腫瘍細胞が何%の割合でコロニーが出来るかを調べた。グリオブラストーマ細胞(T98G)、乳癌細胞(MCF−7)にコラーゲン遺伝子を導入した腫瘍細胞では共に、25%のコロニーの生成率であった。以上の結果により、グリオブラストーマ細胞(T98G)、乳癌細胞(MCF−7)に対するコラーゲン遺伝子導入は、著しく細胞増殖抑制効果があることがわかった。
実施例1 腫瘍細胞へのコラーゲン遺伝子の導入
腫瘍細胞として、グリオブラストーマ細胞(T98G)(ATCC由来株細胞を大日本製薬株式会社より購入)を使用した。
細胞内に導入する遺伝子は、ヒトI型プロコラーゲンα1鎖遺伝子を使用し、ヘリックス領域の両端にプロペプチド部をもつ完全長cDNAを、発現ベクターpCXN2のCAGプロモーター下に挿入して、発現ベクター(pCXN2/HCOL1A1)を構築した(図1)。
遺伝子導入試薬Lipofectamine 2000 reagent(GIBCO)を用いたリポソーム法によりpCXN2/HCOL1A1をT98G細胞に導入した。添加量は、シャーレ(直径10cm)に約50%程度集密(confluent)にさせた細胞(略1.0x104個)に対してLipofectamine 2000 reagent 20μlとpCXN2/HCOL1A1 10μgとした。安定形質発現体を獲得するため、薬剤耐性マーカー(Neo R)に対する選択薬剤G418を終濃度800μg/mlとなるように培養液に添加し、安定形質発現体による細胞のコロニーを形成させ、それを回収した。回収した細胞をさらに培養し、抗I型コラーゲンα1鎖抗体による細胞免疫染色を行い、その発現を確認して、I型コラーゲンα1鎖発現細胞株(T98G/HCOL1A1)を樹立した(図2)。
試験例1
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞の増殖の比較〕
96穴プレートに1穴あたり5x105個の細胞を播種し、5日間の細胞増殖を、テトラカラーワン試薬(生化学工業)を用いて測定した。3つの遺伝子導入細胞株は、コントロール細胞にくらべ、有意に増殖が抑制されていた(図3)。
試験例2
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞の遊走性および浸潤性の比較〕
トランスウエルアッセイにより遊走性と浸潤性を調べた。遊走性は、2.5x105個の細胞をポアサイズ8ミクロンのメンブランのトランスウエル(ベクトン・ディッキンソン)に添加して24時間培養後、メンブランを通過した細胞数をカウントして比較した。遺伝子導入細胞の遊走性は、コントロール細胞の30%に減少していた。浸潤性は、2.5x105個の細胞をマトリゲルチャンバー(ベクトン・ディッキンソン)に添加して24時間培養後、それを通過した細胞数をカウントして比較した。遺伝子導入細胞の浸潤性は、コントロール細胞の1/10以下であった(図4)。
試験例3
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のヌードマウスにおける造腫瘍性の比較〕
ヌードマウスの皮下に各細胞を移植し、その造腫瘍性をしらべた。コントロール細胞を移植した群では、50日以降に急激に腫瘍が大きくなった。しかし、コラーゲン遺伝子導入細胞を移植した群では、腫瘍の増殖が認められず、造腫瘍性が消失していた(図5)。
試験例4
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のアポトーシス誘導の比較〕
コラーゲン遺伝子の発現による培養細胞におけるアポトーシス誘導について、In Situ Cell Death Detection Kit,POD(ロシュ・ダイアグノスティック)を用いたTUNELアッセイで検討した。各細胞をコンフルエントになるまで培養し、無血清培地に交換して十数日後にアッセイした。コントロールではアポトーシス細胞がほとんど検出されなかったが、I型コラーゲン発現細胞では、多くの細胞がアポトーシス誘導されていた(図6)。
試験例5
〔コラーゲン遺伝子を導入していない細胞(コントロール細胞)とコラーゲン遺伝子導入細胞のコロニー生成率の比較〕
腫瘍細胞として、グリオブラストーマ細胞(T98G)、乳癌細胞(MCF−7:ATCC由来株細胞を大日本製薬株式会社より購入)を使用した。
導入した遺伝子及び該遺伝子導入方法は、以下に示す以外は実施例1と同様な方法で行った。実施例1と異なる点は、遺伝子導入試薬の添加量は、腫瘍細胞に対してLipofectamine 2000 reagent 20μlとpCXN2/HCOL1A1 17.5μgとし、またコントロールとして使用した腫瘍細胞にはLipofectamine 2000 reagent 20μlとpCXN2 10.0μgとした。さらに腫瘍細胞に遺伝子を導入後、その細胞を別のディッシュにパッセージ後、選択薬剤G418を終濃度600μg/mlとなるように培養液に添加し、細胞のコロニーを形成させ、それを回収した。
上記方法で回収した細胞をコロニーフォーメーションアッセイ法により、コントロールのpCXN2を導入した腫瘍細胞に対してpCXN2/HCOL1A1を導入した腫瘍細胞が何%の割合でコロニーが出来るかを調べた。グリオブラストーマ細胞(T98G)、乳癌細胞(MCF−7)にコラーゲン遺伝子を導入した腫瘍細胞では共に、25%のコロニーの生成率であった。以上の結果により、グリオブラストーマ細胞(T98G)、乳癌細胞(MCF−7)に対するコラーゲン遺伝子導入は、著しく細胞増殖抑制効果があることがわかった。
以上説明したように、本発明の方法により、コラーゲン遺伝子の腫瘍細胞への導入は、腫瘍細胞の浸潤及び/又は転移を有意に抑制する効果が確認され、有用な抗腫瘍の手段になりうることが達成された。
Claims (11)
- コラーゲン遺伝子を含む遺伝子治療用組成物からなる腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制剤。
- コラーゲン遺伝子が、I型コラーゲン遺伝子である請求項1の抑制剤。
- コラーゲン遺伝子が、I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子である、請求項2に記載の抑制剤。
- コラーゲン遺伝子が、下記の群より選ばれる遺伝子である請求項1に記載の抑制剤。
1)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子を含むポリヌクレオチド及びその相補鎖
2)I型コラーゲンのα1鎖の遺伝子と少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
3)前記1)及び2)の遺伝子がコードするアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加あるいは挿入といった変異を有し、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド、及びその相補鎖
4)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド
5)前記1)〜3)に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖の少なくとも約15個の連続する塩基配列で示され、かつ腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制能を担持するポリヌクレオチド - 遺伝子治療用組成物が、組換えベクターである請求項1〜4の何れか一に記載の抑制剤。
- コラーゲン遺伝子を、腫瘍細胞内に導入することを特徴とする請求項1〜5の何れか一に記載の抑制剤。
- 腫瘍細胞のアポトーシスの誘発をマーカーとする請求項1〜6の何れか一に記載の抑制剤。
- 腫瘍細胞が、コラーゲンの発現量が減少していることを特徴とする請求項1〜7の何れか一に記載の抑制剤。
- 腫瘍細胞が、以下の少なくとも1から選ばれる請求項1〜8の何れか一に記載の抑制剤。
1)グリオブラストーマ細胞(T98G)
2)乳癌細胞(MCF−7) - 請求項1〜9の何れか一に記載の抑制剤を用い、生体内の腫瘍細胞内に、コラーゲン遺伝子及びその相同物を導入することを特徴とする腫瘍細胞の増殖及び/又は浸潤の抑制方法。
- 請求項10の抑制方法を使用する腫瘍の治療方法。
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- 2003-08-22 AU AU2003262277A patent/AU2003262277A1/en not_active Abandoned
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JPN7009005633, 日本経済新聞, 20020927 * |
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