JPWO2003104815A1 - ホルマザンを用いた酸化還元反応による測定方法 - Google Patents

ホルマザンを用いた酸化還元反応による測定方法 Download PDF

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Abstract

試料中の測定対象物を酸化還元反応を用いて測定する方法であって、信頼性に優れる測定値を得ることができる測定方法を提供する。前記酸化還元反応に先立ち、試料にホルマザン化合物を添加して、前記試料中に含まれる還元物質の影響を排除し、その後、前記測定対象物由来の還元物質または酸化物質を発生させ、この量を酸化還元反応により測定し、この測定値から前記測定対象物の量を決定する。前記ホルマザン化合物としては、例えば、1−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(2,4−ジニトロフェニル)ホルマザンが使用できる。

Description

技術分野
本発明は、試料中の測定対象物を、酸化還元反応を用いて測定する方法に関する。
背景技術
従来から、例えば、酸化還元反応を利用して、試料中の測定対象物の量を測定することは、広く実施されている。例えば、生化学分析や臨床検査等における糖化タンパク質の測定にも適用されている。
例えば、血液中の糖化タンパク質、特に赤血球中の糖化ヘモグロビン(HbA1c)は、生体血糖値の過去の履歴を反映しているため、糖尿病診断や治療等における重要な指標とされている。例えば、赤血球中の糖化タンパク質は、酸化還元反応を用いて、以下に示すようにして測定されている。
まず、赤血球を溶血させた試料を調製し、この溶血試料を適当なプロテアーゼ等で処理した後、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(以下、FAODという)で処理し、過酸化水素を発生させる。この過酸化水素量は、赤血球中の糖化タンパク質量に対応する。そして、この反応溶液に、さらにペルオキシダーゼ(以下、PODという)および還元剤を添加し、前記PODを触媒として前記過酸化水素と前記還元剤との間で酸化還元反応を起こす。この時、前記還元剤として、酸化されることにより発色する還元剤を用いれば、その発色を測定することにより前記過酸化水素量を測定でき、この結果、赤血球中の糖化タンパク質量を知ることができる。
しかし、血液中には、通常、アスコルビン酸(AsA)、ビリルビン等の各種還元物質が存在し、さらに、赤血球中には、グルタチオン(GSH)等の各種還元物質が存在する。これらの還元物質により、前記過酸化水素が還元されたり、前記酸化還元反応が阻害されたり、前記還元剤が発色した後に還元され退色するおそれがある。このため、赤血球中の糖化タンパク質量を正確に測定することが困難であるという問題があった。
また、試料ごとによって、含まれる還元物質の濃度も一定ではないため、測定精度が劣るという問題もあった。
このような問題を回避するために、例えば、種々の酸化剤を前記試料に添加するという方法がある。例えば、特開昭56−151358号公報には、酸化剤としてヨウ素酸、過ヨウ素酸等のハロゲン酸化物を用いる方法が開示されており、特開昭57−13357号公報、特開昭57−161650号公報、特開昭59−193354号公報、特開昭62−169053号公報、特開平3−30697号公報には、酸化剤としてコバルト、鉄、セリウム等の金属錯体を用いる方法が開示されている。
しかしながら、これらの酸化剤を用いた場合でも、前述のような測定に対する影響を充分に回避できず、特に、測定対象物が赤血球内成分である場合には、前述のような酸化剤による効果が低かった。
発明の開示
そこで、本発明の目的は、試料中の測定対象物を、酸化還元反応を用いて測定する方法であって、信頼性に優れる測定値を得ることができる測定方法の提供である。
前記目的を達成するために、本発明の測定方法は、試料中の測定対象物を酸化還元反応を用いて測定する方法であって、ホルマザン化合物により、前記試料中の還元物質の影響を排除することを特徴とする。なお、本発明においてホルマザン化合物とは、ホルマザン(HNN=CHN=NH)骨格を有するホルマザンの置換化合物である。
本発明者らは、すでに、従来の方法によると、前記GSHやAsAのような低分子量還元物質の影響は排除されるが、タンパク質等のような高分子量還元物質の影響は排除されていないという見地を得ている。そこで、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、前記ホルマザン化合物によれば、従来の酸化剤とは異なり、前記低分子量還元物質等と同様の還元型物質であるにも拘わらず、例えば、ヘモグロビンおよびヘモグロビン分解物(以下、両者あわせて「ヘモグロビン」という)の影響を排除できるということを見出し、本発明の測定方法に到達したのである。このように、前述のような高分子量還元物質の影響を、還元型物質であるホルマザン化合物によって排除できることは、本発明者らが初めて見出したものである。このような本発明の測定方法によれば、より信頼性に優れた測定対象物の量を求めることが可能であるため、例えば、臨床医療等における各種検査に有用である。なお、このように、還元物質であるホルマザン化合物が、試料中の還元物質の測定系に対する影響を排除するのは、従来の酸化剤とは異なるメカニズムによると推測される。また、このホルマザン化合物は非常に安定であるため、ホルマザン化合物によって酸化還元反応が影響を受けることもない。
本発明の測定方法において、前記酸化還元反応に先立ち、前記試料にホルマザン化合物を添加して前記試料に含まれる還元物質の影響を排除し、その後、前記測定対象物由来の還元物質または酸化物質を発生させ、この量を前記酸化還元反応により測定し、この測定値から前記測定対象物の量を決定することが好ましい。
本発明の測定方法において、前記ホルマザン化合物は、例えば、下記式(1)で表わすことができ、ホルマザン骨格の少なくとも1位の窒素原子、3位の炭素原子および5位の窒素原子に置換基(R、RおよびR)を有してもよい。下記式(1)においてR、RおよびRとしては、水素、または、以下に示すような置換基があげられる。
N=N−C(R)=N−NHR ・・・(1)
前記ホルマザン化合物としては、例えば、ホルマザン骨格の1位の窒素原子、3位の炭素原子および5位の窒素原子の少なくとも二箇所に、環構造の置換基(環構造置換基)を有することが好ましく、より好ましくは、3箇所に環構造置換基を有する構造である。
前記ホルマザン化合物が、前述のように、少なくとも二箇所に環構造置換基を有する場合、前記置換基を、1位の窒素原子および5位の窒素原子に有することが好ましい。また、ホルマザン化合物が三箇所に環構造置換基を有する場合は、前記置換基を、1位の窒素原子、3位の炭素原子および5位の窒素原子に有することが好ましい。
前記ホルマザン化合物は、少なくとも二つの環構造置換基の環構造がベンゼン環であることが好ましい。また、環構造がベンゼン環以外である環構造置換基としては、例えば、環骨格にSまたはOを含み、かつ共鳴構造である置換基があげられ、例えば、チエニル基、チアゾイル基等である。
前記ホルマザン化合物は、ホルマザン骨格の少なくとも1位の窒素原子、3位の炭素原子および5位の窒素原子に、環構造置換基を有し、前記環構造置換基の少なくとも2つの環構造置換基が、環構造としてベンゼン環を有することが好ましい。
前記ホルマザン化合物は、少なくとも一つの環構造置換基が官能基を有することが好ましく、前記官能基の数が多いことがより好ましい。
前記官能基としては、電子吸引性の官能基が好ましく、例えば、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルホ基等があげられる。この他にも、例えば、前記官能基以外で、ヒドロペルオキシ基、オキシ基、エポキシ基、エピジオキシ基、オキソ基等の酸素を含む特性基や、メルカプト基、アルキルチオ基、メチルチオメチル基、チオキソ基、スルフィノ基、ベンゼンスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、p−トリルスルホニル基、トシル基、スルファモイル基、イソチオシアネート基等の硫黄を含む特性基等があげられる。これらの電子吸引性官能基の中でも、好ましくは、ニトロ基、スルホ基、ハロゲン基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基である。また、前記電子吸引性の官能基の他に、例えば、フェニル基(C−)、スチリル基(CCH=CH−)等の不飽和炭化水素基等もあげられる。なお、前記官能基は、解離によりイオン化していてもよい。
前記ホルマザン化合物は、ホルマザン骨格の1位の窒素原子および5位の窒素原子に、ベンゼン環(フェニル基)を有し、前記両ベンゼン環(フェニル基)のうち少なくとも一方が、ハロゲン基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択された少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。なお、前記両方のベンゼン環(フェニル基)が、前記官能基を有してもよい。前記ベンゼン環(フェニル基)において、いずれの箇所(ortho−、meta−、pra−)に前記官能基を有してもよい。また、官能基の数も特に制限されず、同じ官能基を有しても、異なる官能基を有してもよい。
ホルマザン骨格の1位の窒素、3位の炭素原子および5位の窒素原子に、環構造がベンゼン環である環構造置換基を持つ有するホルマザン化合物としては、例えば、以下のような化合物があげられる。
1−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(4−ニトロフェニル)−ホルマザン
1−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(2,4−ジニトロフェニル)−ホルマザン
1−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(4−ニトロフェニル)−ホルマザン
1−(4−ヨードフェニル)−3−フェニル−5−(4−ニトロフェニル)−ホルマザン
3−(4−クロロフェニル)−1,5−(ジフェニル)ホルマザン
1,3−ジフェニル−5−(p−ジフェニル)ホルマザン
3−(p−ジフェニル)−1,5−(ジフェニル)ホルマザン
1,3−ジフェニル−5−(4−スチリルフェニル)ホルマザン
1,3−ジフェニル−5−(m−トリル)ホルマザン
1,3−ジフェニル−5−(p−トリル)ホルマザン
また、前記ホルマザン化合物は、前述のような化合物には制限されず、この他に、ホルマザン骨格の1位の窒素原子、3位の炭素原子および5位の窒素原子のうち2箇所に、環構造がベンゼン環である環構造置換基を有し、他の1箇所にその他の環構造置換基を有する化合物も使用できる。このような化合物としては、例えば、以下の化合物があげられる。
3−(2−チエニル)−1,5−(ジフェニル)ホルマザン
1−ベンゾチアゾイル−3−[4−(2−スルホエチル カルバモイル)フェニル]−5−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)ホルマザン
1,3−ジフェニル−3−(4,5−ジメチル−2−チアゾイル)ホルマザン また、ホルマザン骨格の1位の窒素原子、3位の炭素原子および5位の窒素原子のうち2箇所に、環構造がベンゼン環である環構造置換基を有し、他の1箇所に環構造でない置換基を有するホルマザン化合物も使用でき、例えば、以下に示す化合物があげられる。
3−シアノ−1,5−(ジフェニル)ホルマザン
3−カルボキシ−1,5−(ジフェニル)ホルマザン
3−メチル−1,5−(ジフェニル)ホルマザン
3−エチル−1,5−(ジフェニル)ホルマザン
この他に、例えば、5,5’−[3,3’−ジメトキシ−(1,1’−ビフェニル)4,4’−ジイル]−ビス[1−(4−ニトロフェニル)−3−フェニルホルマザン]、1−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−3,5−ジフェニルホルマザン等も使用できる。
前述のホルマザン化合物の中でも、前述のように、環構造置換基を3つ有する化合物が好ましく、より好ましくは、環構造がベンゼン環である置換基を3つ有し、かつ電子吸引性官能基を多く有するものであり、特に好ましくは1−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(2,4−ジニトロフェニル)−ホルマザンである。なお、このようなホルマザン化合物は、例えば、塩でもよいし、イオン化された状態等であってもよい。
本発明の測定方法において、前記ホルマザン化合物の添加量は、特に制限されず、試料の種類や前記試料中の還元物質の量により適宜決定できる。具体的には、例えば、試料1μl当たり、前記ホルマザン化合物を、0.001〜100μmolの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.005〜10μmolの範囲、特に好ましくは、0.01〜1μmolの範囲である。
本発明の測定方法において、前記試料が全血の場合、前記ホルマザン化合物を、全血1μl当たり、0.001〜10μmolの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.005〜5μmolの範囲、特に好ましくは0.01〜1μmolの範囲である。具体的には、前記ホルマザン化合物が1−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(2,4−ジニトロフェニル)−ホルマザンの場合は、全血1μl当たり、0.001〜0.4μmolの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.005〜0.1μmolの範囲、特に好ましくは0.01〜0.07μmolの範囲である。
本発明の測定方法において、例えば、前記酸化還元反応は、酸化酵素により、前記測定対象物由来の酸化物質を還元し、かつ、酸化により発色する基質(発色性基質)を酸化させる発色反応であり、前記酸化物質の量の測定が、前記発色反応による発色程度の測定であることが好ましい。また、前記発色程度の測定は、前記基質の検出波長における吸光度測定であることが好ましい。
このように前記測定対象物由来の酸化物質と前記発色性基質とを、酸化酵素を用いて発色反応させ、酸化による前記基質の発色程度を吸光度測定する場合、前記発色性基質の検出波長と、ホルマザン化合物の吸収波長とが異なる波長であることが好ましい。
前記発色性基質としては、特に制限されないが、高感度に検出可能であることから、例えば、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム(例えば、商品名DA−64:和光純薬工業社製)が好ましい。また、前記酸化酵素はペルオキシダーゼ(POD)であることが好ましい。
本発明の測定方法において、前記測定対象物由来の酸化物質は、過酸化水素であり、前記過酸化水素の量を測定することによって、測定対象物の量を決定することが好ましい。前記過酸化水素の量は、例えば、前記酸化酵素であるPODにより、過酸化水素を還元し、かつ、前記発色性基質を酸化させ、前記基質の発色程度を測定することによって測定できる。
本発明の測定方法において、前記試料の種類は、特に制限されず、全血、血漿、血清、血球等の他に、例えば、尿、髄液等の生体試料や、ジュース等の飲料水、醤油、ソース等の食品類等の試料に対しても適用できる。
本発明の測定方法において、測定対象物としては、例えば、全血中成分、赤血球内成分、血漿中成分、血清中成分、尿成分、髄液成分等があげられるが、好ましくは赤血球内成分である。前記赤血球内成分としては、例えば、糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン等の糖化タンパク質、糖化ペプチド、糖化アミノ酸、グルコース、尿酸、コレステロール、クレアチニン、サルコシン、グリセロール等があげられ、より好ましくは糖化タンパク質である。例えば、前記赤血球成分を測定する場合、全血をそのまま溶血させたものを試料としてもよいし、全血から赤血球を分離して、前記赤血球を溶血させたものを試料として用いてもよい。
本発明の測定方法において、前記測定対象物が、糖化タンパク質である場合、前記測定対象物にフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを作用させることによって、前記測定対象物由来の酸化物質として過酸化水素を発生させることが好ましい。また、前記糖化ペプチド、糖化アミノ酸等の糖化アミンも、同様にFAODを作用させることが好ましい。なお、前記糖化タンパク質や糖化ペプチドは、必要に応じて、前記FAOD処理前に、プロテアーゼ処理することが好ましい。
前記FAODとしては、下記式(2)に示す反応を触媒するFAODであることが好ましい。
−CO−CH−NH−R + HO + O
→R−CO−CHO + NH−R + H ...(2)
前記式(2)において、Rは、水酸基もしくは糖化反応前の糖に由来する残基(糖残基)を意味する。前記糖残基(R)は、反応前の糖がアルドースの場合はアルドース残基であり、反応前の糖がケトースの場合、ケトース残基である。例えば、反応前の糖がグルコースの場合は、アマドリ転位により、反応後の構造はフルクトース構造をとるが、この場合、糖残基(R)は、グルコース残基(アルドース残基)となる。
この糖残基(R)は、例えば、
−[CH(OH)]−CHOH
で示すことができ、nは、0〜6の整数である。
前記式(2)において、Rは、特に制限されないが、例えば、糖化アミノ酸、糖化ペプチドまたは糖化タンパク質の場合、α−アミノ基が糖化されている場合と、それ以外のアミノ基が糖化されている場合とで異なる。
前記式(2)において、α−アミノ基が糖化されている場合、Rは、下記式(3)で示すアミノ酸残基またはペプチド残基である。
−CHR−CO−R ...(3)
前記式(3)において、Rはアミノ酸側鎖基を示す。また、Rは水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基を示し、例えば、下記式(4)で示すことができる。下記式(4)において、nは、0以上の整数であり、Rは、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(NH−CRH−CO)−OH …(4)
また、前記式(2)において、α−アミノ基以外のアミノ基が糖化されている(アミノ酸側鎖基が糖化されている)場合、Rは下記式(5)で示すことができる。
−R−CH(NH−R)−CO−R …(5)
前記式(5)において、Rは、アミノ酸側鎖基のうち、糖化されたアミノ基以外の部分を示す。例えば、糖化されたアミノ酸がリジンの場合、R
−CH−CH−CH−CH
であり、
例えば、糖化されたアミノ酸がアルギニンの場合、Rは、
−CH−CH−CH−NH−CH(NH)−
である。
また、前記式(5)において、Rは、水素、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(6)で示すことができる。なお、下記式(6)において、nは0以上の整数であり、Rは、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(CO−CHR−NH)−H ...(6)
また、前記式(5)において、Rは、水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(7)で示すことができる。なお、下記式(7)において、nは0以上の整数であり、Rは、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(NH−CHR−CO)−OH ...(7)
また、試料中の前記還元物質はタンパク質であることが好ましい。前記タンパク質の分子量は、例えば、3,000以上であり、好ましくは、3,000〜3,000,000の範囲、より好ましくは10,000〜300,000の範囲、特に好ましくは30,000〜100,000の範囲である。このような還元物質としては、例えば、ヘモグロビン、グロビン、グロブリン、アルブミン等があげられ、好ましくは、ヘモグロビンである。
発明を実施するための最良の形態
つぎに、本発明の測定方法について、血球中の糖化タンパク質を測定する例をあげて説明する。
まず、全血をそのまま溶血することによって、または全血から遠心分離等の常法により血球画分を分離してこれを溶血することによって、溶血試料を調製する。この溶血方法は、特に制限されず、例えば、界面活性剤を用いる方法、超音波による方法、浸透圧の差を利用する方法等が使用できる。この中でも、操作の簡便性等の理由から、前記界面活性剤を用いる方法が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェニル エーテル(Triton系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン ソルビタン アルキル エステル(Tween系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン アルキル エーテル(Brij系界面活性剤等)等の非イオン性界面活性剤が使用でき、具体的には、例えば、TritonX−100、Tween−20、Brij35等があげられる。前記界面活性剤による処理条件は、通常、処理溶液中の血球濃度が、1〜10体積%の場合、前記処理溶液中の濃度が0.01〜5重量%になるように前記界面活性剤を添加し、室温で、数秒(約5秒)〜10分程度攪拌すればよい。
つぎに、前記溶血試料に対し、前記ホルマザン化合物を添加し、試料の前処理を行う。
前記ホルマザン化合物は、例えば、前処理溶液中の血球濃度が、1〜10体積%の場合、濃度0.02〜2000mmol/Lの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜1000mmol/Lの範囲、特に好ましくは0.4〜200mmol/Lの範囲である。具体的に、前記ホルマザン化合物が1−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(2,4−ジニトロフェニル)−ホルマザンの場合は、濃度0.02〜80mmol/Lの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜20mmol/Lの範囲、特に好ましくは0.2〜15mmol/Lの範囲である。
前記前処理は、通常、緩衝液中で行われる。前記緩衝液は、例えば、CHES緩衝液、CAPSO緩衝液、CAPS緩衝液、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、EPPS緩衝液、HEPES緩衝液等が使用できる。そのpHは、例えば、6〜13の範囲であり、好ましくは8〜12の範囲、より好ましくは9〜11の範囲である。また、前記前処理溶液中における前記緩衝液の最終濃度は、例えば、1〜400mmol/Lの範囲であり、好ましくは10〜200mmol/Lの範囲である。
この前処理の条件は、特に制限されないが、通常、温度10〜37℃の範囲であり、処理時間10秒〜60分の範囲である。
前記ホルマザン化合物は、そのまま使用してもよいが、操作の簡便性や処理効率等の点から、溶媒に溶解したホルマザン化合物溶液として使用することが好ましい。前記溶液の濃度は、ホルマザン化合物の種類(例えば、分子量等)等により適宜決定でき、例えば、0.01〜120mmol/Lの範囲であり、好ましくは0.1〜50mmol/Lの範囲、より好ましくは0.2〜20mmol/Lの範囲である。前記溶媒としては、例えば、蒸留水、生理食塩水、緩衝液等が使用でき、前記緩衝液としては、例えば、前述と同様の緩衝液が使用できる。なお、前記ホルマザン化合物は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
つぎに、この前処理済み溶血試料に対し、プロテアーゼ処理を行う。これは、後の処理に使用するFAODを測定対象物に作用し易くするためである。
前記プロテアーゼの種類は、特に制限されず、例えば、プロテアーゼK、ズブチリシン、トリプシン、アミノペプチダーゼ等が使用できる。前記プロテアーゼ処理は、通常、緩衝液中で行われ、その処理条件は、使用するプロテアーゼの種類、測定対象物である糖化タンパク質の種類およびその濃度等により適宜決定される。
具体的には、例えば、前記プロテアーゼとしてプロテアーゼKを用いて前記前処理済み溶血試料を処理する場合、通常、反応液中のプロテアーゼ濃度10〜30,000mg/L、反応液中の血球濃度0.05〜15体積%、反応温度15〜37℃、反応時間1分〜24時間、pH6〜12の範囲である。また、前記緩衝液の種類も特に制限されず、例えば、トリス塩酸緩衝液、EPPS緩衝液、PIPES緩衝液等が使用できる。
つぎに、前記プロテアーゼ処理により得られた分解物を、前記FAODで処理する。このFAOD処理により、前記式(2)に示す反応が触媒される。
このFAOD処理は、前記プロテアーゼ処理と同様に緩衝液中で行うことが好ましい。その処理条件は、使用するFAODの種類、測定対象物である糖化タンパク質の種類およびその濃度等により適宜決定される。
具体的には、例えば、反応液中のFAOD濃度50〜50,000U/L、反応液中の血球濃度0.01〜1体積%、反応温度15〜37℃、反応時間1〜60分、pH6〜9の範囲である。また、前記緩衝液の種類も特に制限されず、前記プロテアーゼ処理と同様の緩衝液が使用できる。
つぎに、前記FAOD処理で生成した過酸化水素を、PODおよび前記発色性基質を用いて酸化還元反応を測定する。
前記発色性基質としては、例えば、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム(以下、「DA−64」ともいう)、オルトフェニレンジアミン(OPD)、トリンダー試薬と4−アミノアンチピリン(4AA)とを組み合せた基質等があげられる。前記トリンダー試薬としては、例えば、フェノール、フェノール誘導体、アニリン誘導体、ナフトール、ナフトール誘導体、ナフチルアミン、ナフチルアミン誘導体等があげられ、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン ナトリウム塩二水和物(TOOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリンナトリウム塩一水和物(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン ナトリウム塩(DAOS)等が使用できる。また、前記アミノアンチピリンの他に、アミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)、スルホン化メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(SMBTH)等も使用できる。このような発色性基質の中でも、特に好ましくは、前述のように、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム(DA−64)である。
前記酸化還元反応は、通常、緩衝液中で行われ、その条件は、前記生成した過酸化水素の濃度等により適宜決定される。通常、反応液中のPOD濃度10〜100,000IU/L、発色性基質濃度0.005〜30mmol/L、反応温度15〜37℃、反応時間0.1〜30分、pH5〜9である。また、前記緩衝液は、特に制限されず、例えば、前記プロテアーゼ処理およびFAOD処理等と同様の緩衝液等が使用できる。
前記酸化還元反応において、例えば、前記発色性基質を用いた場合、前記反応液の発色程度(吸光度)を分光光度計で測定することにより、過酸化水素の量を測定できる。そして、例えば、この過酸化水素濃度と検量線等とを用いて、試料中の糖化タンパク質量を求めることができる。
なお、前記ホルマザン化合物の多くが色素化合物であり、特定の波長に吸収を示すことが知られているが、前述のように吸光度測定を行う場合には、例えば、使用する発色性基質の発色の吸収波長と異なる吸収波長のホルマザン化合物を使用すれば、ホルマザン化合物によって測定誤差が生じることもない。
以下にホルマザン化合物の具体例とそのλmax、発色基質の具体例とそのλmaxをあげる。個々のλmaxの値から、例えば、発色基質(1)に対して、(2)、(3)または(5)のホルマザン化合物、発色基質(2)に対して(1)〜(5)のいずれかのホルマザン化合物、発色基質(3)に対して(1)〜(5)のいずれかのホルマザン化合物、発色基質(4)に対して(2)(3)または(5)のホルマザン化合物を組み合わせることができる。なお、これらは一例であって、その組み合わせは特に限定されない。
(ホルマザン化合物とそのλmax)
Figure 2003104815
(発色基質とそのλmax)
(1)TOOSと4AAの組み合わせ λmax=555(nm)
(2)MAOSと4AAの組み合わせ λmax=630(nm)
(3)DA−64 λmax=723(nm)
(4)DAOSと4AAの組み合わせ λmax=593(nm)
なお、前記過酸化水素量は、前記POD等を用いた酵素的手法の他に、例えば、電気的手法により測定することもできる。
この測定方法において、ホルマザン化合物による前処理工程は、前述のように、酸化還元反応が実質的に生じる前であれば、特に制限されないが、前記FAOD処理後に過酸化水素が発生することから、前記FAOD処理前に行うことが好ましい。また、各処理工程は、前述のように別々に行ってもよいが、例えば、以下に示すような組み合わせで同時に行ってもよい処理工程がある。
1:溶血処理+前処理
2:溶血処理+前処理+プロテアーゼ処理
3:プロテアーゼ処理+FAOD処理
4:FAOD処理+POD酸化還元処理
5:プロテアーゼ処理+FAOD処理+POD酸化還元処理
また、前記FAOD、PODおよび発色性基質の添加順序も、特に制限されない。
このように、試料にホルマザン化合物を接触させることにより、GSH、AsA、ジチオスレイトール、システイン、N−アセチル−システイン等の低分子量還元物質による影響だけでなく、例えば、タンパク質や前述のような分子量の範囲である還元物質による影響も回避することができる。
また、本発明の測定方法の前記ホルマザン化合物による前処理工程において、例えば、還元型物質である前記ホルマザン化合物以外に、各種酸化剤を、さらに併用してもよい。前記酸化剤としては、例えば、ヨード酢酸ナトリウム、ヨーソ酸、過ヨウ素酸等のハロゲン酸化物、EDTA−Fe、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ等が使用できる。このような酸化剤の添加量は、例えば、試料1μl当たり0.001〜0.1mgの範囲である。
本発明の測定方法において、測定対象物は、酸化還元反応を利用するものであれば、特に制限されず、前記糖化タンパク質の他に、例えば、前述のように、糖化ペプチド、糖化アミノ酸、グルコース、コレステロール、尿酸、クレアチニン、サルコシン、グリセロール等があげられる。
例えば、過酸化水素を発生させて、前記各測定対象物の量を測定する場合は、例えば、前記グルコースにはグルコースオキシダーゼを、前記コレステロールにはコレステロールオキシダーゼを、前記尿酸にはウリカーゼを、前記クレアチニンにはサルコシンオキシダーゼを、前記サルコシンにはサルコシンオキシダーゼを、前記グリセロールにはグリセロールオキシダーゼを、それぞれ作用させて過酸化水素を発生させればよい。この過酸化水素量の測定方法は、前述と同様にして行うことができる。また、糖化ペプチド、糖化アミノ酸は、例えば、前記糖化タンパク質の測定と同様にして測定できる。
また、前記ホルマザン化合物による試料中の還元物質の処理後、測定対象物由来の還元物質を発生させ、この量を酸化還元反応により測定し、この測定値から、前記測定対象物の量を決定する場合は、例えば、以下に示すようにして測定を行うことができる。
例えば、前記測定対象物がグルコースの場合、例えば、NADやNADP等の存在下、グルコースデヒドロゲナーゼを用いて、NADHやNADPH等の還元物質を発生させる。そして、前記測定対象物由来の還元物質であるNADHやNADPHを、例えば、ジアホラーゼと、還元により発色する基質とを用いて、酸化還元反応により測定する。そして、前述のように、例えば、この測定対象物由来の還元物質の濃度と検量線等とを用いて、試料中の測定対象物の量を求めることができる。また、例えば、測定対象物がコレステロールの場合はコレステロールデヒドロゲナーゼを、サルコシンの場合は、サルコシンデヒドロゲナーゼをそれぞれ使用できる。
前記還元により発色する基質としては、特に制限されないが、例えば、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール等が使用できる。なお、より優れた信頼性の測定値を得るために、例えば、前記測定対象物由来の還元物質を測定する前に、予め吸光度を測定しておくことが好ましい。
このように、前記ホルマザン化合物を用いて試料を処理すれば、例えば、前述のようなタンパク質等の高分子量還元物質の影響を回避できる。このため、分子量1万以上の還元物質や、タンパク質である還元物質が影響する場合は、前記全血試料だけには限定されず、前述のような各種試料に対しても適用できる。全血試料以外の試料を用いる場合は、前記試料が異なる以外は同様の試薬を用いて、同様にして測定することができる。
実施例
つぎに、実施例につい比較例と併せて説明する。
(実施例1、比較例1)
この実施例は、試料をホルマザン化合物で前処理し、前記試料中の還元物質の影響を排除した例である。以下に、使用した試薬および方法を示す。
(Hb試料)
HbA1c濃度6.7%の精製Hb凍結乾燥品を使用した。
(ホルマザン化合物)
ホルマザン化合物としては、下記式に示す、1−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(2,4−ジニトロフェニル)ホルマザン(商品名WSF3、同仁化学社製)を使用した。
Figure 2003104815
(フルクトシルバリン溶液)
フルクトシルバリン(以下、FVという)は、特開平2−69644号公報にしたがって製造した。前記FVを精製水に溶解して、10mMのFV溶液を調製した。
(溶血試薬)
40mM CHESおよび15mM MOPSを含む緩衝液(pH9.4)に、7.5%となるように界面活性剤(商品名Nikkol、ニッコーケミカル社製)を混合して、溶血試薬を調製した。
(前処理試薬)
WSF3 0、 0.25、 1.7 mM
NaN 0.043 g/L
CaCl 2.5 mM
NaCl 50 mM
MES−MES・Na(pH5.5) 1 mM
(発色試薬)
FAOD 17.5 KU/L
POD 67 KU/L
商品名DA−64(和光純薬工業社製) 70 μM
Tris−HCl(pH7.0) 300 mM
(方法)
前記Hb試料10mgに、10mM FV溶液0.123mLおよび前記溶血試薬1.877mLを添加し、測定サンプルを調製した。この測定サンプル8.4μLに、前記所定濃度のWSF3を含む前処理試薬75.6μLを添加して、37℃で5分間処理した。その後、さらに、発色試薬18.9μLを添加して、37℃で3分間発色反応を行った(全量102.9μL)。そして、この発色反応後の反応溶液について、726nmにおける吸光度を測定した。なお、WSF3の吸収波長は、430nm付近であるため、DA−64の検出には影響ない。
コントロールとしては、前記Hb試料10mgを添加せずに、10mM FV溶液0.123mLおよび前記溶血試薬1.877mLを混合したものを用いた以外は、前述と同様にして測定を行った。比較例1としては、前記WSF3を添加せずに調製した前処理試薬を用いた以外は、前記実施例1と同様にして測定を行った。
そして、これらの測定値を下記式に代入し、コントロールの吸光度を100%とした時の相対値(%)を求めた。前処理試薬中のWSF3濃度が1.7mMの場合の結果を下記表1に示す。
相対値(%)=[(X−X)/(Y−Y)]×100
:発色反応8分後の吸光度
:発色反応開始時の吸光度
:コントロールの発色反応8分後の吸光度
:コントロールの発色反応開始時の吸光度
Figure 2003104815
このように、酸化還元反応を用いた測定に影響を与える還元物質であるHbを含む測定試料について、ホルマザン化合物処理を施すことによって、前記測定試料中の還元物質の影響が排除でき、測定の信頼性が向上した。
産業上の利用の可能性
以上のように、本発明の測定方法は、前記ホルマザン化合物を試料に添加することにより、試料中の還元物質の影響を排除できるため、信頼性に優れた測定を行うことができる。このため、本発明の測定方法は、例えば、臨床医療における各種分析に適用でき、特に、糖尿病診断において重要である、赤血球中の糖化ヘモグロビン等の糖化タンパク質の測定に有用である。

Claims (20)

  1. 試料中の測定対象物を酸化還元反応を用いて測定する方法であって、試料にホルマザン化合物を添加して、前記試料に含まれる還元物質の影響を排除することを特徴とする測定方法。
  2. 前記酸化還元反応に先立ち、試料にホルマザン化合物を添加して前記試料に含まれる還元物質の影響を排除し、その後、前記測定対象物由来の還元物質または酸化物質を発生させ、この量を前記酸化還元反応により測定し、この測定値から前記測定対象物の量を決定する請求の範囲1記載の測定方法。
  3. ホルマザン化合物が、ホルマザン骨格の1位の窒素原子、3位の炭素原子および5位の窒素原子のうち少なくとも二箇所に、環構造の置換基を有する請求の範囲1記載の測定方法。
  4. ホルマザン化合物が、少なくともホルマザン骨格の1位の窒素原子および5位の窒素原子に、環構造の置換基を有する請求の範囲3記載の測定方法。
  5. ホルマザン化合物が、ホルマザン骨格の1位の窒素原子および5位の窒素原子に、置換基としてベンゼン環(フェニル基)を有する請求の範囲4記載の測定方法。
  6. ホルマザン骨格の1位の窒素原子および5位の窒素原子が、置換基としてベンゼン環(フェニル基)を有し、前記両ベンゼン環(フェニル基)のうち少なくとも一方が、ハロゲン基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択された少なくとも一つの官能基を有する請求の範囲5記載の測定方法。
  7. ホルマザン化合物が、1−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジスルホフェニル)−5−(2,4−ジニトロフェニル)ホルマザンである請求の範囲1記載の測定方法。
  8. 前記酸化還元反応が、酸化酵素により、前記測定対象物由来の酸化物質を還元し、かつ、酸化により発色する基質を酸化させる発色反応であり、前記酸化物質の量の測定が、前記発色反応による発色程度の測定である請求の範囲2記載の測定方法。
  9. 前記発色程度の測定が、前記基質の検出波長における吸光度測定である請求の範囲8記載の測定方法。
  10. 酸化により発色する基質の検出波長と、ホルマザン化合物の吸収波長とが異なる波長である請求の範囲9記載の測定方法。
  11. 前記測定対象物由来の酸化物質が、過酸化水素である請求の範囲2記載の測定方法。
  12. 前記酸化酵素が、ペルオキシダーゼである請求の範囲8記載の測定方法。
  13. 測定対象物が、糖化タンパク質、糖化ペプチドおよび糖化アミノ酸からなる群から選択された少なくとも一つであり、前記測定対象物にフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを作用させることによって、前記測定対象物由来の酸化物質として過酸化水素を発生させる請求の範囲2記載の測定方法。
  14. 前記測定対象物に前記フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを作用させる前に、前記試料にホルマザン化合物を添加する請求の範囲13記載の測定方法。
  15. 測定対象物にフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを作用させる前に、前記測定対象物にプロテアーゼを作用させる請求の範囲13記載の測定方法。
  16. 測定対象物が、糖化タンパク質、糖化ペプチドおよび糖化アミノ酸からなる群から選択された少なくとも一つである請求の範囲1記載の測定方法。
  17. 糖化タンパク質が、糖化ヘモグロビンである請求の範囲16記載の測定方法。
  18. 前記試料に含まれる還元物質が、タンパク質である請求の範囲1記載の測定方法。
  19. 前記試料が、赤血球の溶血試料である請求の範囲1記載の測定方法。
  20. 前記試料に対するホルマザンの添加割合が、血球1〜10体積%に対して、0.02〜2000mmol/Lの範囲である請求の範囲17記載の測定方法。
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