技術分野
本発明は、導電性水硬性組成物、導電性部品及びその製造方法に関し、特に、温度変化による比抵抗値の変動がなく、均一なムラのない比抵抗値を有し、更に比抵抗値のコントロールが容易な導電性水硬性組成物、導電性部品及びその製造方法に関する。
背景技術
従来から、プリンタや複写機などの画像形成装置に用いられる帯電ローラや現像ローラ、電子部品収納容器(例えばICトレー)、面発熱体や面スイッチなどの電子・電気部品、電磁波遮蔽材や帯電防止を施した床材・ベルトなどの複合機能性部品などのように、ゴムや樹脂材料に導電性材料を添加し、所定の抵抗値に設定された各種導電性部品が実用化されている。
例えば、帯電ローラは、画像形成装置内の感光体表面に均一な帯電を施すための部材であり、電圧を印加した導電性弾性ローラを感光体表面に押し当て、感光体と共に接触回転することで帯電を行っている。
帯電ローラの形状は、第1図に示すように、高圧電源が摺動電極を介して接続される金属製のシャフト1、シャフト1の周りに配置される導電性弾性層2、導電性弾性層2の外周には中抵抗層3及び保護層4が配置されているものが例示される。
導電性弾性層2は、導電カーボン粉体を分散したEPDM、ウレタンゴム、シリコンゴムなどから構成される。中抵抗層3は、過剰電流に対して層内電圧降下によって電流を抑制し、電源電圧降下による帯電不良及び感光体絶縁破壊を防止する機能を有する。保護層4は、ローラ内部のゴム材料に含まれる添加剤による感光体汚染、ならびに現像剤や紙粉の付着による帯電ローラ表面の汚れの蓄積を防止する保護層であり、ナイロンなどの樹脂が利用されている。
また、現像ローラでは、一成分非磁性トナーを用いた現像装置などにおいて、第2図に示すように、シャフト5の周りに中抵抗層6、表層7を配置したものが用いられている。
このような、帯電ローラや現像ローラにおいては、ローラ表面を所定の電位に安定的に保持することが必要であり、特に中抵抗層においては、使用環境状況の変化にも拘らず、例えば常に比抵抗106〜108Ω・cmを維持することが必要となる。
このように、従来から導電性部品としては、一般に、ゴムや樹脂などにカーボンなどの導電性材料を添加した導電性部品が広く使用されており、かかる導電性部品の導電性を任意に設定するために、導電性材料の量を増大させることで、任意の比抵抗値を有する導電性部品を得ていた。
しかし、これらの従来の導電性部品は、103〜1011Ω・cm、特に105〜109Ω・cmの中抵抗値領域においては、著しい抵抗値の変動が認められ、安定した抵抗値を有することが困難であった。これは、例えば、ゴム材料中に分散された導電性材料であるカーボンの凝集構造が、ゴム製造時に温度により変形してしまうことが原因と考えられる。
さらに従来の導電性部品は、温度依存性が高く、温度が上昇するに伴い、ゴムなどが膨張して形態学的な変化を呈することにより、含有される導電性材料であるカーボンの凝集体間の距離が増大し、比抵抗値が変動してしまうという問題があった。
本発明の目的は、上記問題点を解決し、優れた機械的特性、耐熱性、寸法安定性及び成形性を有すると共に、一定の比抵抗値を保持でき、比抵抗値のムラがなくかつ制御が容易であり、温度変化による比抵抗値の変動が少ない、導電性水硬性組成物及び導電性部品を提供することにある。
また、本発明の目的は、比抵抗値のコントロールが容易にでき、所望する用途に抵抗値を簡易に設定できる、導電性部品の製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明の導電性水硬性組成物は、水硬性組成物及び導電性材料を含有することを特徴とする。
好適には、上記導電性水硬性組成物は、更に、樹脂を含有してなることを特徴とする。
また好適には、上記導電性水硬性組成物は、更に、シランカップリング剤を含有することを特徴とする。
更に好適には、上記導電性水硬性組成物において、導電性材料は、金属系導電性材料または非金属系導電性材料であることを特徴とする。
更に好適には、上記導電性水硬性組成物において、樹脂100重量部に対して、水硬性組成物を200〜900重量部配合してなることを特徴とする。
更に好適には、上記導電性水硬性組成物において、水硬性組成物は、水硬性粉体からなることを特徴とする。
更に好適には、上記導電性水硬性組成物において、水硬性組成物は、水硬性粉体と非水硬性粉体とからなることを特徴とする。
更に好適には上記導電性水硬性組成物において、水硬性粉体と非水硬性粉体との混合割合は、水硬性粉体と非水硬性粉体との混合粉体中、非水硬性粉体が0〜80重量%含有されることを特徴とする。
更に好適には、上記導電性水硬性組成物において、樹脂は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂からなることを特徴とする。
本発明の導電性部品は、水硬性組成物及び導電性材料を含有する材料により構成されることを特徴とする。
また好適には、上記導電性部品は、水硬性組成物、樹脂及び導電性材料を含有する材料により構成されることを特徴とする。
また好適には、上記導電性部品は、更にシランカップリング剤を含有する材料により構成されることを特徴とする。
更に好適には、上記導電性部品において、比抵抗値が103〜1011Ω・cmであり、望ましくは105〜109Ω・cmであり、更に望ましくは106〜108Ω・cmであることを特徴とする。
また好適には、上記導電性部品において、導電性材料は、2種以上含有されることを特徴とする。
また好適には、上記導電性部品は、ローラであることを特徴とする。
本発明の導電性部品の製造方法は、水硬性組成物及び導電性材料を含有する材料を、所定形状に成形し、次いで養生硬化させることにより製造する工程を含むことを特徴とする。
好適には、上記導電性部品の製造方法において、成形は射出成形であることを特徴とする。
更に好適には、上記導電性部品の製造方法において、水硬性組成物及び導電性材料を含有する材料をシャフトの周りに射出成形してローラを製造することを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明の導電性水硬性組成物及び導電性部品は、水硬性組成物と導電性材料とを含む材料により構成され、特に、水硬性組成物と導電性材料と樹脂とを含む材料により構成されるものである。ここで、これらの水硬性組成物と導電性材料とを含む材料を、以下に導電性水硬性組成物と称す。
また、機械部品とは、一般の機械のみならず、電気機器や電子機器等の機器全般に利用される部品を意味するものとする。
本発明の導電性水硬性組成物や導電性部品に用いる導電性材料は、導電性材料が水硬性組成物中に均質分散して導電ネットワークを形成することにより、絶縁体である水硬性組成物成形体に対して導電性を付与する作用を有する材料である。
かかる導電性材料は、特に限定されず、金属系導電性材料や非金属系導電性材料を使用することができ、より好ましくは、2種以上の導電性材料を同時に用いることが、体積固有抵抗値が安定となるため好ましい。
金属系導電性材料としては、例えば銅、アルミニウム、鉄、クロム、亜鉛、鉛、錫、プラチナ、ニッケル等の粉末が挙げられる。
また、非金属系導電性材料としては、例えばZnO、SnO2/BaSO4、SnO2/TiO2、TiN、SnO2/K2O/nTiO2、C/K2O/nTiO2、ZnO等の粉末があり、またオイルファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、PAN系カーボン繊維、ピッチ系カーボン繊維等のカーボン系導電性材料も含まれる。
当該導電性材料の、導電性水硬性組成物中の配合割合は、所望する比抵抗値が達成されるための量であれば特に限定されず任意に決定することができる。例えば、103〜1011Ω・cm程度の比抵抗値を所望する場合には、水硬性組成物及び樹脂の混合物100重量部に対して、導電性材料は7〜14重量部、好ましくは、8〜10重量部配合される。また、使用する導電性フィラーの粉末抵抗値によっても、その添加量は変動する。
本発明の導電性水硬性組成物中の水硬性組成物と樹脂との配合割合は、該導電性水硬性組性物の成形性によっても変化するが、上記樹脂100重量部に対して水硬性組成物を200〜900重量部、特に好適には550〜750重量部の量で用いることが望ましい。200重量部未満であると、得られる成形体の強度が低下し、900重量部を超えると導電性水硬性組成物中の樹脂の配合量が減ることから成形性が低下して望ましくない。
また、本発明の導電性部品を構成する導電性水硬性組成物に用いられる水硬性組成物は、水硬性粉体のみからなることができる。
ここで、水硬性粉体とは、水によって硬化する粉体を意味し、好ましくはポルトランドセメント、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、リン酸カルシウム、半水又は無水石膏及び自硬性を有する生石灰の粉体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が使用される。
前記水硬性粉体の粒径等は特に制限されないが、成形時の可使時間ならびに得られる成形体の強度の点から、平均粒径10〜40μm程度のものが好ましく、また、成形体の高強度を確保する点から、ブレーン比表面積が2500cm2/g以上であることが好ましい。
また、本発明に用いる水硬性組成物は、上記水硬性粉体のほかに、非水硬性粉体を含有してなることもできる。
当該非水硬性粉体は、単体では水と接触しても硬化することがない粉体を意味するが、アルカリ性若しくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気においてその成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む意である。
非水硬性粉体としては、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末及びシリカヒューム粉末からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体を好適に用いることができる。
これらの非水硬性粉体は、ポゾラン反応もしくはマイクロフィラー効果により、強度を増進する機能を有する。
これらの非水硬性粉体の平均粒径は、好ましくは水硬性粉体の平均粒径より1桁以上小さく、より好ましくは2桁以上小さいものが、水硬性粉体の間隙を充填し、得られる成形体部品が緻密かつ高強度となる点から好ましいが、細かさの下限は特に限定されず、本発明の効果を害することがなければ特に制限されることはない。通常、水硬性粉体の平均粒径の1/500程度以上であることが成形性の点から好ましい。
このような粒径の非水硬性粉体を用いることによって、導電性水硬性組成物を用いた本発明の導電性部品の寸法安定性を向上させることができる。
また、導電性水硬性組成物を成形して、導電性部品を成形する場合であって、特に複雑な形状に成形する際には、その性状が流動性に富むことが、成形性を容易にする要因であり、このためには前記非水硬性粉体の40〜60重量部が5〜20μmの球状粒子で構成されていることが流動性を高める有効な手段であり、特に好ましい。
かかる非水硬性粉体は、上記水硬性粉体と非水硬性粉体との混合粉体である水硬性組成物中、0〜80重量%、特に好適には50〜70重量%含有されることが好ましい。これは、80重量%を超えて、水硬性組成物中に非水硬性粉体が含有されると、成形体強度、HDTの低下、線膨張係数が温度依存を受けることとなり好ましくない。
本発明に用いる導電性水硬性組成物に含有される樹脂は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂を使用することができる。
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂には、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンやポリ4メチルペンテン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の公知の熱可塑性樹脂が含まれ、これらを一種又はそれ以上で用いることができる。
当該熱可塑性樹脂は、射出成形、押出成形、加圧成形等の種種の成形に使用できるものであるが、特に射出成形に好適に使用することができる。
また、好適には、当該熱可塑性樹脂は、導電性水硬性組成物や導電性部品の成形性をより優れたものとするため、分子量は5000以上あることが望ましい。なお、その上限については、分子量が大きくなると混練性に大きく影響するため、混練性に影響を与えない範囲で適宜選択設定することが好ましい。
また、本発明に用いることができる熱硬化性樹脂には、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が含まれ、これらを一種又はそれ以上で用いることができる。
好適には本発明の導電性水硬性組成物には、導電性の安定化を図るため、更にシランカップリング剤などの添加剤を含有することが望ましい。
シランカップリング剤は、有機物とケイ素とから構成される化合物で、通常では極めて結合し難い有機材料と無機材料とを結ぶ仲介機能を有するため、本発明の導電性水硬性組成物のような複合材料の機械的強度、耐水性、接着性の改善、樹脂改質、表面改質等に寄与し、特に本発明では、導電性の安定化の向上に有効である。導電性水硬性組成物中のシランカップリング剤の含有量は、導電性水硬性組成物中の樹脂分を除いた残部(無機フィラー)100重量部に対して1重量部以下が好ましく、特に好ましくは0.5重量部程度において、顕著な安定化効果が期待できる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エボキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどがある。
本発明の導電性水硬性組成物を調製するには、上記水硬性組成物と、上記導電性材料と、必要に応じて添加される上記樹脂や上記シランカップリング添加剤等とを上記配合割合で混合して調製する。混合方法については、特に限定はなく、これらの成分を均一に混合できればよい。特に、水硬性粉体と非水硬性粉体とを含む組成物を均一に混合するためには、強力な剪断力を加えることができる混合方法を採用することが好ましく、例えば、ニーダー等を用いて混練する。この様な剪断力の高い混合機を用いて混合することによって、混合に要する時間を短縮することができる。
更に、成形時の混合物のハンドリングを良好にするために、混合後、成形する形状に適した大きさに造粒しても良い。造粒方法としては、転動造粒法、圧縮造粒法、攪拌造粒法等の公知の方法を採用すればよい。
次いで、得られた導電性水硬性組成物を用いて、導電性部品である成形体を製造する。
本発明に係る導電性部品である成形体は、上記導電性水硬性組成物を所定の形状に成形し、成形体を得た後、得られた成形体に水分を導入することにより養生硬化させることによって製造するものである。
具体的には、成形方法としては、射出成形法、押出成形法、加圧成形法等を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の成形法を利用することができる。
上記導電性水硬性組成物は、優れた射出成形性を有するものであり、特に射出成形を用いる場合には、導電性水硬性組成物を溶融混練することにより、例えばペレット状に成形し、これを射出成形用の原料として用いることが好ましい。
特に、樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、当該熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度で導電性水硬性組成物を溶融混練して、射出成形用ペレット状原料に成形する。
前記ペレット状原料は、射出成形機内部の加熱シリンダ内で再び溶融・混練されて、射出装置によって所望する形状の金型内に充填され、成形体を得る。
一般に、水硬性組成物は水によって流動性が得られるが、脱型には長時間が必用であり、射出成形等の成形は難しい。また、水硬性組成物と水とが接触した場合には水和反応が進行して硬化するため、成形不良品等のリサイクルは不可能となる。
しかしながら、特に、導電性水硬性組成物中に熱可塑性樹脂を使用した場合には、水を使用せずに導電性水硬性組成物に形状を付与し、短時間での脱型を実現することができるため、すなわち未硬化成形段階では水を使用しないものであるため、導電性水硬性組成物の水和反応は開始されず、養生前であれば何度でもリサイクルすることが可能である。
このように、得られた未硬化成形体の成形時には、水を使用していないことから、当該成形後に水分の供給を行う必要がある。
かかる水分を供給する養生方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、養生は20〜180℃で3時間以上行うことが好ましい。養生方法としては、例えば、常圧蒸気養生、高圧蒸気養生及び熱水養生からなる群より選ばれる少なくとも一種の養生方法を用いることができるが、好ましくは常圧蒸気養生、高圧蒸気養生または熱水養生等の養生法を単独で行うか、あるいは常圧蒸気養生と熱水養生との組合せ、あるいは高圧蒸気養生と熱水養生との組合せにより行う。特に、本発明においては加圧条件下における熱水養生が好ましい。
また望ましくは、このようにして得られた導電性部品である成形体の表面には、導電性水硬性組成物中に樹脂が含有されている場合、樹脂が多く含有される樹脂リッチな被膜が形成されているため、特に当該被膜を、例えばセンタレス研削機を使用して研磨、研削することにより、より有効な導電性部品の成形体を得ることができる。
本発明の導電性部品として、導電性ローラを射出成形により製造する場合を例に挙げて以下に説明する。
上記導電性水硬性組成物を用いて導電性ローラを製造するには、まず、当該導電性組成物を射出成形して、ローラ形状の未硬化成形体を製造し、次いで該未硬化成形体に水分を導入して、養生・硬化することにより製造する。
具体的には、導電性水硬性組成物を用いてシャフトの周りに同心円状にローラ形状の未硬化成形体を射出成形し、これを養生硬化することによって、シャフトとローラ部とを一体化して、導電性ローラを製造する。
更に、他の導電性ローラ成形体の製造方法としては、導電性水硬性組成物を用いて中空円筒状成形体を射出成形し、得られた成形体の穴にシャフトを挿通したのち、水分を導入して養生・硬化することにより、シャフトとローラ部とを一体化する方法、または、導電性水硬性組成物を中空形状に射出成形し、水分を導入して養生・硬化させた後、得られた硬化成形体であるローラの穴にシャフトを挿通して一体化させる方法等がある。後者の場合には、まず、導電性水硬性組成物を用いて、シャフトを挿通する穴を中心部に有する中空円筒状ローラ成形体を射出成形する。射出成形には、通常の射出成形機を用い、射出成形体を所定の長さに切断して中空円筒状ローラの未硬化成形体を得る。
この場合の導電性ローラのシャフトは、円筒状ローラ部の中央部に、円筒状ローラ部外周面と同心円状に設けた穴部に芯合わせして、挿通・固定される。シャフトの全長、挿入部の長さ及び外部に露呈される長さは適宜決定することができる。
接着剤等でシャフトを円筒状ローラ部の穴部に取付ける場合には、シャフト(回転軸)の外径は、円筒状成形体の穴部の内径よりも10〜50μm程度小さくするが、10〜30μmとすることが好ましい。10μm未満であると円筒状成形体にシャフトを組みこむ作業が困難となり、50μmより大きくなるとシャフトと円筒状成形体との真円度(同心からのずれ)が大きくなり、ローラ精度が低下する。特に30μm以下であれば円筒状成形体の硬化に伴う収縮により、シャフトへの取付けが接着剤の併用なしで可能となる。
射出成形体の養生・硬化は、常温養生、蒸気養生、オートクレーブ養生等の1つ若しくは組み合わせにより行うことが可能であるが、大量生産、製品の化学的安定性、寸法安定性等を考えるとオートクレーブ養生が好ましい。例えば5〜10時間程度のオートクレーブ養生により、円筒状ローラ成形体の硬化反応は完全に終結し、以後の寸法変化は極めて小さなものとなる。
上記方法においては、養生硬化後、シャフトと円筒状ローラ成形体とを取付けるためには少なくとも10μm以上のクリアランスが必要となるが、オートクレーブ養生後においては円筒状ローラ成形体の収縮は無いことから、シャフトへの取付けには接着剤を使用するか、あるいはシャフトを冷却または円筒状ローラ成形体を加温することにより取付け可能なクリアランスとして、取付けることも可能である。または、シャフトを円筒状ローラ成形体の穴部に圧入することにより取付けることも可能である。
接着剤としては、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、エマルジョン系接着剤、合成ゴム系接着剤、アクリレート系接着剤等が用いられる。
また、ローラ成形体本体を成形後に、シャフトを中空ローラ本体に挿入する場合には、オートクレーブ養生を行うと円筒状ローラ成形体の寸法は0.08〜0.15%(配合条件により異なる)の範囲で収縮することから、収縮量を見込んで円筒状ローラ成形体の内径部分を形成するようにする。
このようにして得られた導電性ローラは、温度による比抵抗値の変動が少なく、帯電性が均一であり、例えば帯電ローラや現像ローラとして用いた場合には、カーボンのアグリゲートの膨張が起こることがなくなる。
本発明の導電性部品は、帯電量を一定に保持することが必要とされる部材や、静電破壊が必要とされる部材、例えば、複写機の帯電ローラや現像ローラ、電子部品収納容器(ICトレー)、面発熱体、面スイッチ、電磁波遮蔽材、床材、ベルトなどに有効に用いられることができる。
特に、本発明の導電性部品は、比抵抗値が103〜1011Ω・cm、特に105〜109Ω・cmの中抵抗値、更に特に106〜108Ω・cmの中抵抗値が必要とされ、温度依存変化を抑制することが必要とされる導電性部品に、好適に用いることができる。
実施例
本発明を、次の実施例、比較例及び試験例に基づき詳細に説明する。
〈実施例1〜10、比較例1〉
表1に示す配合割合に従って、水硬性粉体としてポルトランドセメント(平均粒径20μm、商品名:普通ポルトランドセメント、住友大阪セメント株式会社製)、非水硬性粉体としてフライアッシュ(平均粒径10μm、球状粒子、商品名:中部フライアッシュ、株式会社中部テクノ製)、シリカヒューム(平均粒径0.2μm、商品名:マイクロシリカ、SKW株式会社製)又は炭酸カルシウム(商品名:カルペットA、日東粉化工業株式会社製)、樹脂としてポリエチレン樹脂(商品名:サンテック、旭化成株式会社製)又はエポキシ樹脂(商品名:スミコンFM、住友ベークライト株式会社製)、更に導電性材料として、アセチレンブラック(平均粒径25μm、商品名:デンカブロックFX−35、電気化学工業株式会社製)、銅粉末(平均粒径20μm、商品名:MA−CF、三井金属株式会社製)、SnO2/TiO2(平均粒径0.2μm、商品名:W−P、三菱マテリアル株式会社製)を添加して、導電性水硬性組成物を調製した。得られた導電性水硬性組成物をニーダー混練機(商品名:ラボブラストミル、東洋精機製作所株式会社製)にて220℃で45分間混合して、ペレットを得た。
次にこのペレットを使用して、長さ350mm×直径20mmの射出成形未硬化ローラ体を得た。得られた各未硬化ローラ成形体に熱水養生(160℃、12時間)を行い、それぞれ硬化成形体である導電性ローラを製造した。
〈実施例11〜13〉
表2に示す配合割合に従い、特にシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越シリコーン社製)を添加した以外は、実施例1と同様にして、導電性水硬性組成物を調製し、ペレットを得た。
当該ペレットを使用して、実施例1と同様にして、導電性ローラを製造した。
また、当該ペレットを使用して、実施例1と同様の方法で長さ324mm×直径16mmの別の未硬化成形体を得、得られた各未硬化成形体に熱水養生(160℃、12時間)を行い、それぞれ硬化成形体部品の試験体を製造した。
〈試験例1〉
特記しない限り、得られた各導電性ローラの体積抵抗率、曲げ強度、HDT、線膨張係数、成形性について試験し、その結果を表1及び表2に示す。
〈試験方法〉
1)体積抵抗率・・・JIS C 2141に準拠して行った。電源には500Vを用いて測定した。ただし、試験片として、直径50mmで厚みが2.0±0.5mmの成形体を使用した。
2)曲げ強度…JIS K 7191−2A法に準拠して行った。
3)HDT試験(荷重たわみ温度試験)・・・JIS K 7191−2 A法準拠で行った。
得られた上記各硬化ローラ成形体を、距離100mmの支点間に支持し、中心部上方より1.8MPaの曲げ応力をかけた状態で一定速度で昇温し、標準たわみ量に到達したときの温度の荷重たわみ温度とした。
4)線膨張係数・・・ASTM D−648準拠法で行った。
得られた上記各硬化ローラ成形体をφ3×20mmの試験片とし、熱応力歪み測定装置(商品名TMA/SS、セイコーインスツルメント株式会社製)を使用して、30〜80℃の温度域で線膨張係数を測定した。
上記結果から本発明の導電性ローラは、体積抵抗率、曲げ強度、HDT、線膨張係数、成形性において優れた物性を発現することが確認できた。
(試験例2)
実施例11〜13で得られた硬化成形体部品の試験体について、シランカップリング剤の有無に関する導電性安定効果を試験し、その結果を図4に示す。
〈試験方法〉
(抵抗率分布測定方法)
第3図に示すように、実施例11〜13で得られた硬化成形体部品の試験体を、導電層として導電性ポリエチレンフィルム(アキレス株式会社製)を設けた金属板(SUS304の厚み5mmの平滑な板)上側面で、その端部より10mm、150mm、300mmの各位置において、試験体の上側面接触部に上記材料と同じ導電層を形成した電極(SUS304製;直径8mmの球状電極、電極押圧力500g重)を配置し、当該電極を各位置に移動させて、抵抗値を測定した。
その測定結果を第4図に示す。
第4図の縦軸は、logΩで示したものであり、第4図から、シランカップリング剤を添加しない実施例11の場合と対比して、実施例12及び13は、抵抗値の測定点間のバラツキが収束する傾向が認められる。しかも、シランカップリング剤の添加量が無機フィラー100重量部に対して0.5重量部の実施例12は、バラツキが最も小さく、添加量を1重量部まで増加させた実施例13においては、0.5重量部のものと比較して特に顕著な効果は認められなかった。
このことから、シランカップリング剤の添加が、導電性の安定化に寄与していると判断される。
また、0.5重量部の添加量の場合には、実施例12のように曲げ強度も最大となっていることから、機械的強度においても改善されていることが理解される。
産業上の利用可能性
以上、説明したように、本発明の導電性水硬性組成物及び導電性部品は、優れた機械的特性、耐熱性、寸法安定性及び成形性を有すると共に、比抵抗値の変動を防止して一定に保持することができ、温度変化による比抵抗値のばらつきを抑制し、所望する比抵抗値を容易にコントロールすることができるという優れた特性を有することができる。
また、優れた静電破壊効果を有するため、静電破壊が所望される機械部品や電気・電子部品に有効に用いられることができる。
更に、一定の量の帯電量を均一に保持することができ、帯電量の制御がきわめて容易になるという効果も有する。
また、本発明の導電性部品の製造方法は、比抵抗値のコントロールが容易にでき、所望する用途に抵抗値を簡易に設定できる導電性部品を、容易にかつ経済的に製造することを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、帯電ローラの断面図である。
第2図は、現像ローラの断面図である。
第3図は、導電性部品の抵抗値の分布測定方法の概略図である。
第4図は、導電性部品の抵抗値の分布測定結果を示す図である。Technical field
The present invention relates to a conductive hydraulic composition, a conductive component, and a method for producing the same, and in particular, has a specific resistance value that does not vary evenly and does not vary even with a temperature change, and further has a specific resistance value. The present invention relates to a conductive hydraulic composition that is easy to control, a conductive component, and a method for producing the same.
Background art
Conventionally, charging rollers and developing rollers used in image forming apparatuses such as printers and copying machines, electronic component storage containers (for example, IC trays), electronic and electrical components such as surface heating elements and surface switches, electromagnetic shielding materials and antistatics Various conductive parts set to a predetermined resistance value by adding a conductive material to rubber or resin material, such as composite functional parts such as floor materials and belts subjected to the above, have been put into practical use.
For example, the charging roller is a member for uniformly charging the surface of the photoconductor in the image forming apparatus, and a conductive elastic roller to which a voltage is applied is pressed against the surface of the photoconductor and is rotated in contact with the photoconductor. Charging is performed.
As shown in FIG. 1, the charging roller has a metal shaft 1 to which a high-voltage power source is connected via a sliding electrode, a conductive elastic layer 2 disposed around the shaft 1, and a conductive elastic layer. An example in which the intermediate resistance layer 3 and the protective layer 4 are disposed on the outer periphery of the member 2 is illustrated.
The conductive elastic layer 2 is made of EPDM, urethane rubber, silicon rubber or the like in which conductive carbon powder is dispersed. The middle resistance layer 3 has a function of suppressing current due to an in-layer voltage drop with respect to an excess current, and preventing charging failure and photoreceptor breakdown due to a power supply voltage drop. The protective layer 4 is a protective layer for preventing contamination of the photoreceptor due to the additive contained in the rubber material inside the roller, and accumulation of dirt on the surface of the charging roller due to adhesion of developer and paper powder, and a resin such as nylon is used. Has been.
Further, as the developing roller, a developing device using a one-component nonmagnetic toner is used in which a middle resistance layer 6 and a surface layer 7 are arranged around a shaft 5 as shown in FIG.
In such a charging roller and developing roller, it is necessary to stably hold the roller surface at a predetermined potential. Especially in the middle resistance layer, for example, the ratio is always changed regardless of changes in the usage environment. Resistance 10 6 -10 8 It is necessary to maintain Ω · cm.
As described above, conventionally, as a conductive part, a conductive part obtained by adding a conductive material such as carbon to rubber or resin has been widely used, and the conductivity of the conductive part is arbitrarily set. Therefore, by increasing the amount of the conductive material, a conductive component having an arbitrary specific resistance value has been obtained.
However, these conventional conductive components are 10 3 -10 11 Ω · cm, especially 10 5 -10 9 In the middle resistance value region of Ω · cm, significant resistance value variation was recognized, and it was difficult to have a stable resistance value. This is considered to be caused by, for example, the aggregation structure of carbon, which is a conductive material dispersed in a rubber material, being deformed by temperature during rubber production.
Furthermore, conventional conductive parts are highly temperature-dependent, and as the temperature rises, the rubber expands and exhibits morphological changes. However, there is a problem that the specific resistance value fluctuates.
The object of the present invention is to solve the above-mentioned problems, have excellent mechanical properties, heat resistance, dimensional stability and moldability, maintain a specific resistance value, have no unevenness in specific resistance value, and control. It is an object of the present invention to provide a conductive hydraulic composition and a conductive part that are easy to be changed and have a small variation in specific resistance value due to temperature change.
It is another object of the present invention to provide a method for manufacturing a conductive component that can easily control a specific resistance value and can easily set a resistance value for a desired application.
Disclosure of the invention
The conductive hydraulic composition of the present invention is characterized by containing a hydraulic composition and a conductive material.
Preferably, the conductive hydraulic composition further contains a resin.
Preferably, the conductive hydraulic composition further contains a silane coupling agent.
More preferably, in the conductive hydraulic composition, the conductive material is a metal-based conductive material or a non-metal-based conductive material.
More preferably, in the conductive hydraulic composition, 200 to 900 parts by weight of the hydraulic composition is blended with 100 parts by weight of the resin.
More preferably, in the conductive hydraulic composition, the hydraulic composition is made of hydraulic powder.
More preferably, in the conductive hydraulic composition, the hydraulic composition is composed of a hydraulic powder and a non-hydraulic powder.
More preferably, in the conductive hydraulic composition, the mixing ratio of the hydraulic powder and the non-hydraulic powder is such that the non-hydraulic powder in the mixed powder of the hydraulic powder and the non-hydraulic powder. The body is contained in an amount of 0 to 80% by weight.
More preferably, in the conductive hydraulic composition, the resin is made of a thermoplastic resin and / or a thermosetting resin.
The conductive component of the present invention is characterized by being composed of a material containing a hydraulic composition and a conductive material.
Preferably, the conductive part is composed of a material containing a hydraulic composition, a resin and a conductive material.
Preferably, the conductive component is further composed of a material containing a silane coupling agent.
More preferably, in the conductive part, the specific resistance value is 10 3 -10 11 Ω · cm, preferably 10 5 -10 9 Ω · cm, more preferably 10 6 -10 8 It is Ω · cm.
Preferably, in the conductive part, two or more kinds of conductive materials are contained.
Preferably, the conductive component is a roller.
The method for producing a conductive part of the present invention includes a step of producing a material containing a hydraulic composition and a conductive material by molding the material into a predetermined shape and then curing and curing the material.
Preferably, in the method for manufacturing a conductive part, the molding is injection molding.
More preferably, in the method for manufacturing a conductive part, a roller is manufactured by injection-molding a material containing a hydraulic composition and a conductive material around a shaft.
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The conductive hydraulic composition and conductive part of the present invention are composed of a material including a hydraulic composition and a conductive material, and in particular, composed of a material including a hydraulic composition, a conductive material, and a resin. Is. Here, the material containing these hydraulic compositions and conductive materials is hereinafter referred to as conductive hydraulic compositions.
The mechanical parts mean parts used not only for general machines but also for general equipment such as electrical equipment and electronic equipment.
The conductive material used for the conductive hydraulic composition or conductive part of the present invention is a hydraulic composition that is an insulator by forming a conductive network by uniformly dispersing the conductive material in the hydraulic composition. It is a material having an effect of imparting conductivity to the molded body.
Such a conductive material is not particularly limited, and a metal-based conductive material or a non-metal-based conductive material can be used. More preferably, two or more types of conductive materials can be used simultaneously. This is preferable because the value is stable.
Examples of the metal conductive material include powders of copper, aluminum, iron, chromium, zinc, lead, tin, platinum, nickel and the like.
Examples of non-metallic conductive materials include ZnO and SnO. 2 / BaSO 4 , SnO 2 / TiO 2 , TiN, SnO 2 / K 2 O / nTiO 2 , C / K 2 O / nTiO 2 And powders such as ZnO, and carbon-based conductive materials such as oil furnace black, acetylene black, thermal black, natural graphite, artificial graphite, PAN-based carbon fiber, and pitch-based carbon fiber are also included.
The blending ratio of the conductive material in the conductive hydraulic composition is not particularly limited as long as it is an amount for achieving a desired specific resistance value, and can be arbitrarily determined. For example, 10 3 -10 11 When a specific resistance value of about Ω · cm is desired, the conductive material is blended in an amount of 7 to 14 parts by weight, preferably 8 to 10 parts by weight, based on 100 parts by weight of the hydraulic composition and resin mixture. The Further, the amount of addition varies depending on the powder resistance value of the conductive filler used.
The blending ratio of the hydraulic composition and the resin in the conductive hydraulic composition of the present invention varies depending on the moldability of the conductive hydraulic composition, but is hydraulic with respect to 100 parts by weight of the resin. It is desirable to use the composition in an amount of 200 to 900 parts by weight, particularly preferably 550 to 750 parts by weight. If the amount is less than 200 parts by weight, the strength of the resulting molded article is lowered, and if it exceeds 900 parts by weight, the compounding amount of the resin in the conductive hydraulic composition is reduced, which is not desirable because the moldability is lowered.
Moreover, the hydraulic composition used for the electroconductive hydraulic composition which comprises the electroconductive component of this invention can consist only of hydraulic powder.
Here, the hydraulic powder means a powder that is hardened by water, preferably Portland cement, calcium silicate, calcium aluminate, calcium fluoroaluminate, calcium sulfoaluminate, calcium aluminoferrite, calcium phosphate, semi-solid. At least one powder selected from the group consisting of water or anhydrous gypsum and self-hardening quicklime powder is used.
The particle size and the like of the hydraulic powder are not particularly limited, but those having an average particle size of about 10 to 40 μm are preferable from the viewpoint of the pot life at the time of molding and the strength of the molded product to be obtained. Blaine specific surface area is 2500cm from the viewpoint of ensuring strength 2 / G or more is preferable.
Further, the hydraulic composition used in the present invention may contain a non-hydraulic powder in addition to the hydraulic powder.
The non-hydraulic powder means a powder that does not harden when contacted with water alone, but its components are eluted in an alkaline or acidic state, or in a high-pressure steam atmosphere, and other already-eluting components. It also includes powders that react to form products.
The non-hydraulic powder includes at least one powder selected from the group consisting of calcium hydroxide powder, dihydrate gypsum powder, calcium carbonate powder, slag powder, fly ash powder, silica stone powder, clay powder and silica fume powder. The body can be preferably used.
These non-hydraulic powders have a function of increasing strength by a pozzolanic reaction or a microfiller effect.
The average particle size of these non-hydraulic powders is preferably one or more orders of magnitude smaller than the average particle diameter of the hydraulic powders, more preferably two or more orders of magnitude smaller than that of the hydraulic powder, filling the gaps of the hydraulic powder. However, the lower limit of the fineness is not particularly limited, and is not particularly limited as long as the effects of the present invention are not impaired. Usually, from the viewpoint of moldability, it is preferably about 1/500 or more of the average particle diameter of the hydraulic powder.
By using the non-hydraulic powder having such a particle size, the dimensional stability of the conductive component of the present invention using the conductive hydraulic composition can be improved.
In addition, when forming a conductive hydraulic composition and forming a conductive part, especially when forming into a complicated shape, the property is rich in fluidity, which facilitates moldability. For this purpose, it is particularly preferable that 40 to 60 parts by weight of the non-hydraulic powder is composed of 5 to 20 μm spherical particles, which is an effective means for improving fluidity.
Such a non-hydraulic powder is contained in an amount of 0 to 80% by weight, particularly preferably 50 to 70% by weight, in the hydraulic composition which is a mixed powder of the hydraulic powder and the non-hydraulic powder. It is preferable. If the non-hydraulic powder is contained in the hydraulic composition in excess of 80% by weight, this is not preferable because the strength of the compact, the decrease in HDT, and the linear expansion coefficient are affected by temperature.
Although the resin contained in the electroconductive hydraulic composition used for this invention is not specifically limited, A thermoplastic resin and / or a thermosetting resin can be used.
Examples of the thermoplastic resin that can be used in the present invention include known thermoplastic resins such as low density polyethylene, high density polyethylene, polyolefin such as polypropylene and poly-4-methylpentene, polystyrene, polyvinyl chloride, and polyester, One or more of these can be used.
The thermoplastic resin can be used for various types of molding such as injection molding, extrusion molding, and pressure molding, and can be particularly suitably used for injection molding.
Preferably, the thermoplastic resin preferably has a molecular weight of 5000 or more in order to improve the moldability of the conductive hydraulic composition or conductive part. The upper limit is preferably selected and set appropriately within a range that does not affect the kneadability because the kneadability is greatly affected when the molecular weight is increased.
The thermosetting resin that can be used in the present invention includes known thermosetting resins such as phenol resin, urea resin, melamine resin, alkyd resin, and epoxy resin. Can be used.
Preferably, the conductive hydraulic composition of the present invention preferably further contains an additive such as a silane coupling agent in order to stabilize the conductivity.
A silane coupling agent is a compound composed of an organic substance and silicon, and has a mediating function to connect an organic material and an inorganic material, which are usually extremely difficult to bond to each other. Therefore, the silane coupling agent is a composite like the conductive hydraulic composition of the present invention. This contributes to improvement of the mechanical strength, water resistance, adhesiveness, resin modification, surface modification, etc. of the material, and in the present invention, it is effective in improving the stabilization of conductivity. The content of the silane coupling agent in the conductive hydraulic composition is preferably 1 part by weight or less, particularly preferably 100 parts by weight or less of the remainder (inorganic filler) excluding the resin content in the conductive hydraulic composition. In about 0.5 parts by weight, a remarkable stabilizing effect can be expected.
As the silane coupling agent, vinyltrichlorosilane, vinyltrimethoxysilane, vinyltriethoxysilane, 2- (3,4-cyclohexylcyclohexyl) ethyltrimethoxysilane, 3-glycidoxypropyltrimethoxysilane, p-styryltrimethoxy There are silanes.
In order to prepare the conductive hydraulic composition of the present invention, the blending ratio of the hydraulic composition, the conductive material, the resin added as necessary, the silane coupling additive, and the like. Prepare by mixing. The mixing method is not particularly limited as long as these components can be mixed uniformly. In particular, in order to uniformly mix a composition containing hydraulic powder and non-hydraulic powder, it is preferable to employ a mixing method capable of applying a strong shearing force, for example, using a kneader or the like. Knead. By mixing using such a mixer having a high shearing force, the time required for mixing can be shortened.
Furthermore, in order to improve the handling of the mixture at the time of molding, it may be granulated to a size suitable for the shape to be molded after mixing. As the granulation method, a known method such as a rolling granulation method, a compression granulation method, or a stirring granulation method may be employed.
Subsequently, the molded object which is an electroconductive component is manufactured using the obtained electroconductive hydraulic composition.
The molded body, which is a conductive part according to the present invention, is molded and cured by introducing moisture into the molded body obtained after molding the conductive hydraulic composition into a predetermined shape and obtaining the molded body. It is manufactured by.
Specifically, an injection molding method, an extrusion molding method, a pressure molding method, or the like can be used as the molding method, but the molding method is not limited to these, and a known molding method can be used.
The conductive hydraulic composition has excellent injection moldability. In particular, when injection molding is used, the conductive hydraulic composition is molded into, for example, a pellet by melting and kneading the conductive hydraulic composition. Is preferably used as a raw material for injection molding.
In particular, when a thermoplastic resin is used as the resin, the conductive hydraulic composition is melt-kneaded at a temperature equal to or higher than the softening point of the thermoplastic resin and molded into a pellet-shaped raw material for injection molding.
The pellet raw material is melted and kneaded again in a heating cylinder inside the injection molding machine, and filled into a mold having a desired shape by an injection device to obtain a molded body.
In general, a hydraulic composition can be fluidized by water, but a long time is required for demolding, and molding such as injection molding is difficult. Further, when the hydraulic composition and water come into contact with each other, the hydration reaction proceeds and cures, so that it is impossible to recycle defective moldings.
However, in particular, when a thermoplastic resin is used in the conductive hydraulic composition, the shape is imparted to the conductive hydraulic composition without using water, and demolding can be realized in a short time. In other words, since water is not used in the uncured molding stage, the hydration reaction of the conductive hydraulic composition is not started and can be recycled any number of times before curing.
Thus, since water is not used at the time of molding the obtained uncured molded body, it is necessary to supply water after the molding.
It does not specifically limit as a curing method which supplies this water | moisture content, Although a well-known method can be used, It is preferable to perform curing for 3 hours or more at 20-180 degreeC. As the curing method, for example, at least one curing method selected from the group consisting of atmospheric steam curing, high pressure steam curing and hot water curing can be used, but preferably atmospheric steam curing, high pressure steam curing or hot water. A curing method such as curing is performed alone, or a combination of atmospheric steam curing and hot water curing, or a combination of high pressure steam curing and hot water curing. In particular, in the present invention, hot water curing under pressurized conditions is preferable.
Desirably, the surface of the molded body, which is the conductive part thus obtained, has a resin-rich film containing a large amount of resin when the resin is contained in the conductive hydraulic composition. Since it is formed, it is possible to obtain a more effective molded body of a conductive part, in particular, by polishing and grinding the coating using, for example, a centerless grinding machine.
As a conductive part of the present invention, a case where a conductive roller is manufactured by injection molding will be described below as an example.
In order to manufacture a conductive roller using the conductive hydraulic composition, first, the conductive composition is injection-molded to produce a roller-shaped uncured molded body, and then the uncured molded body is formed. Manufactured by introducing moisture, curing and curing.
Specifically, a roller-shaped uncured molded body is injection-molded concentrically around the shaft using the conductive hydraulic composition, and the shaft and the roller portion are integrated by curing and curing this. Manufacturing a conductive roller.
Furthermore, as another method for producing a conductive roller molded body, a hollow cylindrical molded body is injection-molded using a conductive hydraulic composition, and after inserting a shaft into the hole of the obtained molded body, moisture is removed. Introducing and curing / curing to integrate the shaft and roller part, or injection-molding the conductive hydraulic composition into a hollow shape, introducing moisture and curing / curing There is a method of inserting a shaft into a hole of a roller, which is a cured molded body, and integrating the shaft. In the latter case, first, a hollow cylindrical roller molded body having a hole through which the shaft is inserted at the center is injection-molded using the conductive hydraulic composition. For injection molding, an ordinary injection molding machine is used, and the injection molded body is cut into a predetermined length to obtain an uncured molded body of a hollow cylindrical roller.
In this case, the shaft of the conductive roller is inserted and fixed in the center of the cylindrical roller portion by being aligned with a hole provided concentrically with the outer peripheral surface of the cylindrical roller portion. The total length of the shaft, the length of the insertion portion, and the length exposed to the outside can be determined as appropriate.
When the shaft is attached to the hole of the cylindrical roller portion with an adhesive or the like, the outer diameter of the shaft (rotating shaft) is made about 10 to 50 μm smaller than the inner diameter of the hole of the cylindrical molded body. The thickness is preferably 30 μm. If it is less than 10 μm, it is difficult to incorporate the shaft into the cylindrical molded body. If it exceeds 50 μm, the roundness (deviation from concentricity) between the shaft and the cylindrical molded body increases, and the roller accuracy decreases. In particular, if it is 30 μm or less, it can be attached to the shaft without using an adhesive due to shrinkage accompanying the curing of the cylindrical molded body.
Curing / curing of injection-molded products can be performed by one or a combination of room temperature curing, steam curing, autoclave curing, etc., but considering the mass production, chemical stability, dimensional stability, etc. of the autoclave Curing is preferred. For example, by curing for 5 to 10 hours, the curing reaction of the cylindrical roller molded body is completely terminated, and the subsequent dimensional change is extremely small.
In the above method, after curing and curing, a clearance of at least 10 μm or more is required to attach the shaft and the cylindrical roller molded body, but after the autoclave curing, there is no contraction of the cylindrical roller molded body, It is also possible to use an adhesive for mounting on the shaft, or as a clearance that can be mounted by cooling the shaft or heating the cylindrical roller molded body. Alternatively, the shaft can be attached by press-fitting it into the hole of the cylindrical roller molded body.
As the adhesive, an epoxy adhesive, a urethane adhesive, an emulsion adhesive, a synthetic rubber adhesive, an acrylate adhesive, or the like is used.
In addition, when the shaft is inserted into the hollow roller body after molding the roller molded body, the size of the cylindrical roller molded body is 0.08 to 0.15% (depending on the blending conditions) when autoclave curing is performed. Since the shrinkage occurs in the range, the inner diameter portion of the cylindrical roller molded body is formed in consideration of the shrinkage amount.
The conductive roller obtained in this way has little variation in specific resistance value due to temperature and uniform chargeability. For example, when used as a charging roller or a developing roller, expansion of the carbon aggregate occurs. Nothing will happen.
The conductive component of the present invention is a member that requires a constant charge amount or a member that requires electrostatic breakdown, such as a charging roller or a developing roller of a copying machine, an electronic component storage container ( IC trays), surface heating elements, surface switches, electromagnetic wave shielding materials, flooring materials, belts, and the like.
In particular, the conductive component of the present invention has a specific resistance value of 10 3 -10 11 Ω · cm, especially 10 5 -10 9 Medium resistance value of Ω · cm, more particularly 10 6 -10 8 It can be suitably used for conductive parts that require a medium resistance value of Ω · cm and are required to suppress temperature-dependent changes.
Example
The present invention will be described in detail based on the following examples, comparative examples and test examples.
<Examples 1 to 10, Comparative Example 1>
According to the blending ratio shown in Table 1, Portland cement (average particle size 20 μm, trade name: ordinary Portland cement, manufactured by Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd.) as hydraulic powder, fly ash (average particle size 10 μm, as non-hydraulic powder, Spherical particles, trade name: Chubu Fly Ash, manufactured by Chubu Techno Co., Ltd., silica fume (average particle size 0.2 μm, trade name: Microsilica, manufactured by SKW Co., Ltd.) or calcium carbonate (trade name: Calpet A, Nitto Flour) Kasei Kogyo Co., Ltd.), polyethylene resin (trade name: manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.) or epoxy resin (trade name: Sumicon FM, manufactured by Sumitomo Bakelite Co., Ltd.), and acetylene black (average particle size) as a conductive material. Diameter 25 μm, trade name: DENKA BLOCK FX-35, manufactured by Denki Kagaku Kogyo Co., Ltd.), copper powder (Average particle size of 20μm, product name: MA-CF, Mitsui Mining & Smelting Co., Ltd.), SnO 2 / TiO 2 (Average particle size 0.2 μm, trade name: WP, manufactured by Mitsubishi Materials Corporation) was added to prepare a conductive hydraulic composition. The obtained conductive hydraulic composition was mixed at 220 ° C. for 45 minutes with a kneader kneader (trade name: Labo Blast Mill, manufactured by Toyo Seiki Seisakusho Co., Ltd.) to obtain pellets.
Next, using this pellet, an injection-molded uncured roller body having a length of 350 mm and a diameter of 20 mm was obtained. Each obtained uncured roller molded body was subjected to hot water curing (160 ° C., 12 hours) to produce a conductive roller as a cured molded body.
<Examples 11 to 13>
According to the blending ratio shown in Table 2, in particular, as in Example 1, except that 3-glycidoxypropyltrimethoxysilane (trade name: KBM-403, manufactured by Shin-Etsu Silicone) was added as a silane coupling agent. A conductive hydraulic composition was prepared to obtain pellets.
Using the pellet, a conductive roller was produced in the same manner as in Example 1.
Further, using the pellets, another uncured molded body having a length of 324 mm and a diameter of 16 mm was obtained in the same manner as in Example 1, and each obtained uncured molded body was subjected to hot water curing (160 ° C., 12 Time), and a specimen of a cured molded part was produced.
<Test Example 1>
Unless otherwise specified, each conductive roller obtained was tested for volume resistivity, bending strength, HDT, linear expansion coefficient, and formability, and the results are shown in Tables 1 and 2.
<Test method>
1) Volume resistivity: Measured according to JIS C 2141. It measured using 500V for a power supply. However, a molded body having a diameter of 50 mm and a thickness of 2.0 ± 0.5 mm was used as a test piece.
2) Bending strength: Performed according to JIS K 7191-2A method.
3) HDT test (deflection temperature test under load): This was performed according to JIS K 7191-2 A method.
Each of the obtained cured roller molded bodies was supported between fulcrums at a distance of 100 mm, heated at a constant speed in a state where a bending stress of 1.8 MPa was applied from above the center, and reached the standard deflection amount. The temperature deflection temperature was used.
4) Linear expansion coefficient: Performed by ASTM D-648 compliant method.
Each of the obtained cured roller molded bodies was used as a φ3 × 20 mm test piece, and a thermal stress strain measuring device (trade name TMA / SS, manufactured by Seiko Instruments Inc.) was used, and a temperature range of 30 to 80 ° C. The linear expansion coefficient was measured at
From the above results, it was confirmed that the conductive roller of the present invention exhibited excellent physical properties in volume resistivity, bending strength, HDT, linear expansion coefficient, and moldability.
(Test Example 2)
The test specimens of the cured molded part parts obtained in Examples 11 to 13 were tested for the conductivity stabilizing effect related to the presence or absence of the silane coupling agent, and the results are shown in FIG.
<Test method>
(Resistivity distribution measurement method)
As shown in FIG. 3, the specimens of the cured molded part parts obtained in Examples 11 to 13 were made of a metal plate (SUS304 having a thickness of 5 mm with a conductive polyethylene film (manufactured by Achilles Co., Ltd.) as a conductive layer. (Smooth plate) An electrode (made of SUS304; spherical electrode with a diameter of 8 mm; formed with the same conductive layer as the above material at the upper surface contact portion of the test specimen at each position of 10 mm, 150 mm, and 300 mm from the end on the upper surface An electrode pressing force of 500 g was placed, the electrode was moved to each position, and the resistance value was measured.
The measurement results are shown in FIG.
The vertical axis in FIG. 4 represents log Ω. From FIG. 4, in comparison with Example 11 in which no silane coupling agent was added, Examples 12 and 13 are resistance measurement points. There is a tendency for the variation between them to converge. In addition, Example 12 in which the addition amount of the silane coupling agent is 0.5 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the inorganic filler has the smallest variation, and in Example 13 in which the addition amount is increased to 1 part by weight, No significant effect was observed compared with 0.5 parts by weight.
From this, it is judged that the addition of the silane coupling agent contributes to the stabilization of conductivity.
Moreover, in the case of the addition amount of 0.5 weight part, since bending strength is also the maximum like Example 12, it understands that it is improving also in mechanical strength.
Industrial applicability
As described above, the conductive hydraulic composition and conductive component of the present invention have excellent mechanical properties, heat resistance, dimensional stability, and moldability, and prevent fluctuations in specific resistance value. It can be held constant, and can have excellent characteristics that variation in specific resistance value due to temperature change can be suppressed and a desired specific resistance value can be easily controlled.
Moreover, since it has an excellent electrostatic breakdown effect, it can be effectively used for mechanical parts and electrical / electronic parts where electrostatic breakdown is desired.
In addition, a certain amount of charge can be uniformly maintained, and the control of the amount of charge is extremely easy.
In addition, the method for manufacturing a conductive component according to the present invention can easily control the specific resistance value, and easily and economically manufacture a conductive component that can easily set the resistance value for a desired application. It is what.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a charging roller.
FIG. 2 is a sectional view of the developing roller.
FIG. 3 is a schematic view of a method for measuring the distribution of resistance values of conductive parts.
FIG. 4 is a diagram showing a distribution measurement result of resistance values of conductive parts.