JPWO2003008584A1 - ヒト型抗ヒトIgE受容体抗体及び抗体フラグメント - Google Patents
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Abstract
Description
IgEとIgE受容体の結合活性を阻害するヒト抗IgE受容体抗体及びその抗体フラグメントに関する。当該抗体及び抗体フラグメントは、IgE及びIgE受容体の結合により惹起されるアレルギー疾患の治療薬として期待される。
背景技術
イムノグロブリンE(IgE)のFc部(Fcε)に対する受容体(FcεR)の一つであるFcεレセプターI(以下、FcεRIと称することもある)は、IgEに対して高い親和性を有するレセプターである。FcεRIは、主に肥満細胞、好塩基球の細胞膜上に発現する糖蛋白分子で、I型アレルギー反応においてこれらの細胞の活性化に重要な役割を果たす。抗原特異的IgEが、対応する多価抗原、すなわちアレルゲンによって架橋されると、FcεRIは凝集し、シグナル伝達機構が作動し、肥満細胞が活性化される。その結果、細胞性脱顆粒が起こり、ヒスタミンやセロトニンなどの化学伝達物質が放出される。それにより、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの新たな合成、放出も誘導され、I型アレルギー反応が惹起される。
ヒトのFcεRIは、3つの異なるサブユニット(IgE結合因子α鎖、シグナル増幅因子β鎖、シグナル伝達因子γ鎖)からなり、各一本ずつのα・β鎖、二本のγ鎖の四量体か、または一本のα鎖、二本のγ鎖の三量体を形成している。
肥満細胞、好塩基球の細胞膜上では、主に四量体FcεRIが発現しており、上述の通りI型アレルギー反応においてこれらの細胞の活性化に重要な役割を果たす。
また、皮膚ランゲルハンス細胞や単球、好酸球、樹状細胞、及び血小板の細胞膜上では、主に三量体FcεRIの発現が、前述の二細胞での四量体FcεRIに比べ発現量は低いものの認められており、抗原提示や化学伝達物質の産生に寄与していることが示唆されている。
FcεRIにおいて、IgEとの直接的な相互作用を行うのは、α鎖のみであると考えられており、α鎖のIgEとの結合部位は、α鎖の細胞外領域全体にわたっている(Nature,406巻(2000年),259頁)。
FcεRIの生体内での主な機能としては、α鎖のノックアウトマウスを用いた解析により、ある種の寄生虫に対する感染防御機構に寄与していることが示唆されている。しかし、そのノックアウトマウスにおいても、平常時における表現型は特に見出されないことから、マウスにおいては生存に必須な遺伝子ではないことが明らかにされている。
アレルギー疾患において、IgEとFcεRIとの相互作用が病態形成において重要であることは前述の通りであるが、患者の血中には、FcεRI発現細胞が増加することも知られている。アトピー性喘息、アレルギー性鼻炎、及びアトピー性皮膚炎患者においては、末梢血中の好塩基球、単球、及び好酸球におけるFcεRIの発現が亢進していることが知られており、病態形成への関与が示唆されている。
また、慢性蕁麻疹の患者の一部には、FcERIα鎖に対する自己抗体が血清中に存在することが報告されており、抗FcεRI自己抗体がFcεRIを架橋し、FcεRI発現細胞を活性化することが病態形成メカニズムの一つとして考えられている。
発明の開示
(発明が解決しようとする技術的課題)
I型アレルギーの治療には現在、抗ヒスタミン剤や、ステロイドなどの抗炎症剤が広く用いられているが、その治療効果あるいは副作用の点で問題も多い。そのため、I型アレルギーにおいて最も重要な反応であるIgEとFcεRIとの結合を特異的に阻害する薬剤は、特異的かつ根本的な治療効果が期待でき、また副作用の低減も期待できる。
IgEとFcεRIとの結合阻害剤の候補としては、抗ヒトFcεRI抗体(J.Biochem.(Tokyo),129巻(2001年),5頁)、可溶化ヒトFcεRIα鎖(Int.Immunol.,5巻(1993年),47頁)、ヒトIgE定常領域(Fcε)(Nature,331巻(1988年),180頁)、抗ヒトIgE抗体(J.Immunol.,151巻(1993年),2623頁)などが考えられ、実際に開発が進められているものもある。
上記IgE−FcεRI結合阻害剤候補の中でも、抗ヒトFcεRI抗体は、FcεRIに特異的に結合し、他のIgE結合分子には結合しないため、IgE結合によるFcεRI発現細胞の活性化を特異的に阻害することができる。また、抗FcεRI自己抗体によるFcεRI発現細胞の活性化も阻害することが期待できる。さらに、FcεRI発現細胞に特異的に薬剤をデリバリーすることができる。以上のような点で、抗ヒトFcεRI抗体は、他のIgE−FcεRI結合阻害剤の候補と比較して優れている。
ヒトFcεRIに対する抗体としては、マウスモノクローナル抗体(特開平5−252988)、ヒト型化抗体、半キメラ抗体及びキメラ抗体(特開平9−191886)が既に知られている。
しかし、抗体による治療を行う場合、マウス由来の配列を含む抗体分子では、その免疫原性により、ヒトの生体内においてヒト抗マウス抗体の産生を惹起させ、予定された効果を打ち消すばかりでなく、その頻回投与はアナフィラキシーショック等の副作用を患者にもたらす危険性が危惧される。
上記ヒト型化抗体もマウスモノクローナル抗体をヒト型化した分子であり、免疫原性が低減されているものの、CDR領域はマウス由来の配列であるため、免疫原性及び副作用の危険性を否定できない。
それ故、上記のような危険性を回避でき、特異的な治療効果のみを生み出すことが期待できる完全ヒト型の抗体または抗体断片の取得及び開発が望まれるが、これまでにそのような報告はなされていない。
(その解決方法)
そこで、本発明では、ファージ抗体法を用いて、完全ヒト型抗ヒトFcεRI一本鎖Fv(scFv)分子を取得し、その抗体VH鎖、VL鎖を明らかにした。さらに、その性状を解析し、当該scFvがFcεRIα鎖と特異的に結合すること、またIgE−FcεRI結合活性に阻害作用を示すこと、さらに、IgEとFcεRIとの相互作用により起こる白血球からのヒスタミンの遊離を抑制することを明らかにした。
発明を実施するための最良の形態
健常者20名分の末梢血Bリンパ球より、RT−PCR法にて、免疫グロブリン重(H)鎖、軽(L)鎖cDNAを増幅、更に両者をlinker DNAで結合し、健常者リンパ球由来のVH鎖とVL鎖のランダムな組み合わせによる一本鎖Fv(scFv)DNAを作製した。
このscFv DNAをphagemid vector pCANTAB5Eに組込み、109cloneからなる健常者由来scFvディスプレイファージライブラリーを作製した。このライブラリーを、固相に固定化されたヒトFcεRIα鎖の可溶性断片と結合させて回収、濃縮し、抗ヒトFcεRIα鎖scFvディスプレイファージクローンをスクリーニングした。その結果、スクリーニングされたscFvクローンは、IgE−FcεRI結合活性を阻害した。
上記阻害活性を有するscFvクローンのVH鎖及びVL鎖のアミノ酸配列及びそれをコードする塩基配列は、下記の通りである。
さらに、上記配列中、VH鎖及びVL鎖のCDR1〜3のアミノ酸配列を下記に示す。
上記VH鎖及びVL鎖のいずれかまたは両方の可変領域を有する抗体フラグメントは、ヒト由来抗ヒトFcεRI抗体の可変領域を有し、ヒトFcεRIのα鎖と強く反応して、IgE−FcεRI結合活性に阻害作用を示す。
本発明で開示されるVH鎖及び/またはVL鎖は、ファージ抗体法を用いてscFvの形で得られた物であるが、原則としてその適用はscFvに限定されることはなく、開示したVH鎖及び/またはVL鎖をヒト免疫グロブリンの定常部と連結した完全分子型、またヒト免疫グロブリンの定常部の一部と組み合わせたFab、Fab’またはF(ab’)2、さらにscFvをヒト免疫グロブリンの定常部と結合させた一本鎖抗体(scAb)などの他の抗体フラグメントもその適用範囲に含まれる。また、これらの抗体及び抗体フラグメント蛋白分子に高分子修飾剤を結合させた修飾蛋白分子も同様である。
以上より、本発明のヒト型モノクローナル抗体及び抗体フラグメント分子は、IgEとFcεRIとの結合によって引き起こされる種々のアレルギー反応を阻害することができ、アレルギー疾患の治療、及び予防のための薬剤として使用することができる。このことは、血中半減期が非常に長く、副作用を起こしにくいという、他の抗アレルギー剤にない優れた新規抗アレルギー剤となる可能性を示唆する。
また、他の抗体或いは薬剤と結合させて用いることにより、FcεR発現細胞を標的としたミサイル療法へ応用することも期待できる。
さらに、本発明のヒト型モノクローナル抗体及び抗体フラグメント分子はその特性から、ヒト末梢血中または組織中のFcεRI発現細胞を検出或いは測定する免疫学的測定法を提供することが可能である。
また、本発明のヒト型モノクローナル抗体及び抗体フラグメント分子を免疫学的に不活性な吸着物質からなる免疫吸着物質と吸着させた複合体は多くの応用が可能になる。
まず第一には、ヒト末梢血中または組織中のFcεRI発現細胞上のFcεRIα鎖をイムノアフィニティクロマトグラフィにより精製することができる。
さらに、遺伝子組換え法により形質転換された培養細胞から産生される培養上清中のFcεRIα鎖の精製に用いることが可能である。
また、本発明のヒト型モノクローナル抗体の可変部位のペプチドまたはその誘導体は、それを認識するペプチドまたは抗イディオタイプ抗体を、ライブラリーより単離する新たな手段を提供する。得られるペプチドと抗イデオタイプ抗体、及びその誘導体は、IgEの中和によるアレルギー症状の治療、または抗ヒト高親和性IgE受容体自己抗体を有する患者の治療に有効であることが期待できる。
さらに、本発明のヒト型モノクローナル抗体の可変部位のペプチドまたはその誘導体を患者に免疫して、抗イディオタイプ抗体産生を誘導できれば、血中のIgE抗体の働きを中和することが期待される。その場合には、新たな免疫療法薬すなわちワクチンとしての使用が可能と考えられる。
以下、実施例にそって本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例
《実施例1:健常者からのファージライブラリーの構築》
ファージライブラリーの構築は、J.D.Marksら(J.Mol.Biol.,222:581−597,1991)により報告されている方法を参考に調製した。
健常者20名由来末梢血よりFicollにてリンパ球を分離し、PBSで充分に洗浄後、ISOGEN(日本ジーン)で処理して、total RNAを調製した。このtotal RNAを4つに分割し、ヒトIgG、IgM、κ鎖、λ鎖の定常領域に特異的なプライマーを使用し、first strand cDNA synthesis kit(Pharmacia bio tec)にて、それぞれのcDNAを作製した。このcDNAをテンプレートにして、Marksらが報告したのと同様にVH(γまたはμ)とJH及びVκとJκ、VλとJλの組合せで各ジーンファミリーに特異的なプライマーを用いて、それぞれの抗体V領域遺伝子をポリメラーゼチェインリアクション(PCR)法にて増幅した。
更に、VH(γまたはμ)とVκ、及びVH(γまたはμ)とVλをlinker DNAを用いて、アッセンブリーPCR法により結合させ、一本鎖scFv DNAを作製した。scFv DNAは更にPCRを用いて、NotI及びSfiI制限酵素部位を付加し、アガロースゲルで電気泳動後、精製した。精製したscFv DNAは制限酵素SfiI(Takara)とNotI(Takara)で消化後、phagemid pCANTAB5E(Pharmacia)にクローニングした。scFv DNAを結合させたpCANTAB5EはVH(γ)−Vκ、VH(γ)−Vλ、VH(μ)−Vκ、VH(μ)−Vλ毎にエレクトロポレイションにより大腸菌TG1に導入した。形質転換したTG1の数から、VH(γ)−Vκ、VH(γ)−Vλ、VH(μ)−Vκ、VH(μ)−Vλはそれぞれ1.1×108、2.1×108、8.4×107、5.3×107クローンの多様性を有すると評価された。この形質転換したTG1から、M13KO7ヘルパーファージを用いてファージ抗体を発現し、健常者由来scFv呈示ファージライブラリーを調製した。
《実施例2:スクリーニング》
ヒトIgE受容体(FcεRI)のα鎖可溶性断片(4μg/mL)は0.1M NaHCO31mLに溶解し、35mmのディッシュ(岩城)に4℃で一晩反応させて固定化した。1%BSA/PBSを用いて20℃で2時間ブロッキングした後、0.05%Tween20−PBSで6回洗浄した。これに健常者由来の抗体ファージライブラリー(一本鎖抗体提示ファージ液)を0.9mL(1×1012tu/mL)加え、反応させた。0.05% Tween20−PBSで10回洗浄した後、0.4mLのグリシン緩衝液(pH2.2)を加え、FcεRIα鎖と結合する一本鎖抗体提示ファージを溶出させた。溶出したファージは1M Tris(hydroxymethyl)aminomethane−HCl、pH9.1を加えてpHを調製した後、対数増殖期の大腸菌TG1に感染させた。感染後のTG1は3000×g、5分で遠心して、上清を除き、200μLの2×YT培地で懸濁し、SOBAGプレートに播き、30℃のふ卵器中で一晩培養した。生じたコロニーは適量の2×YT培地を加えスクレイパー(Coastor)を使って懸濁、回収した。このTG1 500μLを、50mLの2×YTAG培地に植え、ヘルパーファージを用いてレスキューし、スクリーニング後のファージライブラリーを調製した。健常者由来ファージライブラリーVH(γ)−Vκ、VH(γ)−Vλ、VH(μ)−Vκ、VH(μ)−Vλ、それぞれに対してスクリーニングを計4回行った。4回目のスクリーニング後に、SOBAGプレートから任意にクローンを抽出し、scFvの発現の確認及びFcεRIα鎖ELISAによる特異性の確認と塩基配列の解析を行った。
《実施例3:スクリーニングFcεRIα鎖ELISA》
分離したクローンのスクリーニングのためのELISAは以下のように行った。FcεRIα鎖及びコントロール蛋白をELISAプレートに固定化してスクリーニングに用いた。2.5μg/mLのFcεRIα鎖、2.5μg/mLのヒト血清アルブミン、2.5μg/mLのヒトTNFRIまたはヒト血清を40μL/well ELISAプレート(Nunc)に入れ、4℃で16時間静置し、固定化した。固定化プレートは、0.5%BSA、0.5%ゼラチン及び5%スキムミルクを含むTBS溶液400μL/wellをELISAプレートに入れ、4℃で2時間静置し、ブロッキングを行った。
scFv呈示ファージを含む試料液を100μL/wellを入れ、反応させた後試料液を捨て、洗浄液で5回洗った。ビオチン標識した抗M13モノクローナル抗体(Pharmacia)と反応させ、アルカリフォスファターゼ(AP)標識した抗マウスIgG抗体と反応させた。洗浄液で5回洗った後、発色基質液(1g/mL p−nitrophenyl phosphate(Wako)、10%ジエタノールアミン(Wako)を含むPBS溶液)を100μL/well入れ、遮光し、室温〜37℃で、5〜10分発色させた。1規定硫酸を50μL/well入れ発色させ、マルチプレートオートリーダーNJ−2001(Inter Med)で405nmの吸光度を測定した。その結果、評価したクローン全てで、FcεRIに特異的であることが確認できた(図1)。
《実施例4:クローンの配列分析》
単離したクローンのscFv遺伝子のVH及びVLのDNA塩基配列をDye terminator cycle sequencing FS Ready Reaction kit(Applied Biosystems)を用いて決定した。ELISA及び配列分析の結果、単離したクローンは4種に分類された。
《実施例5:scFvの発現と回収》
可溶性scFvを大腸菌HB2151を用いて発現させ、大腸菌ペリプラズム画分より回収、粗精製した。更に精製が必要な場合はRPAS Purification Module(Pharmcia Biotech)を用いて、アフィニティ精製を行った。精製したscFv蛋白の純度は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動と、scFv蛋白のC末端のEtagエピトープを標的にしたウェスタンブロッティングにより確認した。scFv蛋白精製品の蛋白濃度の決定には、Protein Assayキット(BIO−RAD)を用いた。
《実施例6:SPR法による精製scFvの親和性測定》
BIAcore(BIAcore社)を用いて、SPR法により精製scFvの親和性を測定した結果、最も高い親和性を示したクローンαFcR51は、ヒトFcεRIα鎖に対して0.58×10−8Mの解離定数を有すると評価された。
《実施例7:IgEのFcεRIα鎖への結合阻害実験》
精製scFvを用いて、IgE−FcεRI結合に対する阻害実験を行った結果、IgEのFcεRIへの結合を阻害することが確認できたクローンαFcR51について、詳細な検討を行った。
ヒトIgEをELISAプレートに固定化して結合阻害実験に用いた。2.5μg/mLのヒトIgEを40μL/well ELISAプレート(Nunc)に入れ、4℃で16時間静置し、固定化した。ビオチン標識したFcεRIα鎖(55ng/mL)を、各濃度のαFcR51 scFv、及びコントロールとして特異性の異なるscFvクローン(ap64)と反応させた後、40μL/wellずつIgE固定化プレートに加え、反応させた。FcεRIα鎖とIgEとの結合は、AP標識したストレプトアビジン及び基質を用いて測定した。その結果、図2に示すように、0.1μg/ml以上のscFvでIgEのFcεRIα鎖への結合を阻害し、100μg/ml以上では90%以上の阻害率を示した。
《実施例8:ヒスタミン遊離抑制実験》
末梢血より調製した白血球(106細胞)を乳酸バッファーで細胞表面のIgEをはずした後、αFcR51 scFv(コントロールは特異性の異なるscFvクローン:MRH2)と氷上15分間反応させ、IgE(終濃度25μg/ml)を加えて、更に氷上15分間反応させた。細胞を洗浄後、anti−human IgE ascites(Sigma)をコートしたプレートに細胞(2×105)を加え、37℃で30分間反応させ、上清を回収し、ヒスタミンキット(栄研)でヒスタミンの遊離を測定した。その結果、図3に示すように、αFcR51は、濃度依存にヒスタミンの遊離を抑制することが確認された。
(従来技術より有効な効果)
本発明のヒト型抗ヒトIgE受容体抗体及び抗体フラグメントは、ヒトIgE受容体のIgE結合活性を中和することから、IgEとIgE受容体との結合により惹起されるアレルギー症状を治療するための薬剤として使用することができる。また、IgE受容体発現細胞を標的としたミサイル療法への応用も期待される。さらに、細胞上に発現されたIgE受容体の検出や測定、IgE受容体または発現細胞の分離・精製に使用でき、研究用試薬、患者のモニタリング用薬剤として使用することができる。
また、本発明のヒト型抗体及び抗体フラグメントまたはその誘導体を用いることにより、抗原エピトープとなるペプチドの単離と抗イデオタイプ抗体の単離または誘導が可能となる。得られるペプチドと抗イデオタイプ抗体、及びその誘導体は、IgEの中和によるアレルギー症状の治療、または抗ヒトIgE受容体自己抗体を有する患者の治療に有効であることが期待される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、種々の抗原(ヒトFcεRIα鎖、ヒト血清アルブミン、ヒトTNFRIまたはヒト血清)に対する、得られたscFvクローン(αFcR51)の反応性をELISAにより測定した結果を示す図である。
図2は、scFvクローン(αFcR51)のIgE−FcεRI結合に対する阻害活性を、ELISAにより測定した結果を示す図である。
図3は、scFvクローン(αFcR51)のIgE−FcεRI結合阻害によるヒスタミン遊離抑制効果を示す図である。
Claims (16)
- ヒトIgE受容体に結合し、IgE受容体とIgEの結合活性を阻害する活性を有するヒト抗IgE受容体抗体のVH鎖をコードする遺伝子断片。
- 当該ヒトIgE受容体が、IgEのFc部に対する受容体(以下、FcεR)、好ましくはFcεRIである請求項1に記載の遺伝子断片。
- 当該VH鎖が配列表配列番号2に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなる請求項1から3に記載の遺伝子断片。
- ヒトIgE受容体に結合し、IgE受容体とIgEの結合活性を阻害する活性を有するヒト抗IgE受容体抗体のVL鎖をコードする遺伝子断片。
- 当該ヒトIgE受容体が、IgEのFc部に対する受容体(以下、FcεR)、好ましくはFcεRIである請求項5に記載の遺伝子断片。
- 当該VL鎖が配列表配列番号4に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなる請求項5から7に記載の遺伝子断片。
- 請求項1から4のいずれかに記載のVH鎖遺伝子及び請求項5から8のいずれかに記載のVL鎖遺伝子を結合してなる一本鎖Fv遺伝子。
- 請求項1から4のいずれかに記載のVH鎖遺伝子及び請求項5から8のいずれかに記載のVL鎖遺伝子を、それぞれヒト抗体CH鎖遺伝子及びヒト抗体CL鎖遺伝子と結合してなるヒト抗IgE受容体抗体をコードする遺伝子断片。
- 請求項1から4のいずれかに記載のVH鎖遺伝子及び/または請求項5から8のいずれかに記載のVL鎖遺伝子を、それぞれヒト抗体CH鎖遺伝子またはその一部及びヒト抗体CL鎖遺伝子またはその一部と結合してなるヒト型抗IgE受容体抗体フラグメントをコードする遺伝子断片。
- 当該抗体フラグメントが、Fab、Fab’、またはF(ab’)2から選ばれる請求項11に記載の遺伝子断片。
- 請求項9に記載の一本鎖Fv遺伝子を、ヒト抗体CH鎖遺伝子またはその一部、またはヒト抗体CL鎖遺伝子またはその一部と結合してなるヒト型抗IgE受容体抗体フラグメントをコードする遺伝子断片。
- 請求項1から13のいずれかに記載の遺伝子断片を発現ベクターに組込み、遺伝子組換え法により発現されるヒト抗IgE受容体抗体またはヒト型抗IgE受容体抗体フラグメント。
- 請求項14に記載のヒト抗IgE受容体抗体またはヒト型IgE受容体抗体フラグメントを含有するIgE−IgE受容体の結合活性阻害剤。
- 請求項14に記載のヒト抗IgE受容体抗体またはヒト型IgE受容体抗体フラグメントを含有するアレルギー疾患治療薬。
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