JPWO2003004637A1 - 体重または摂食量の調節に関与するヒスタミン受容体h3遺伝子の利用 - Google Patents

体重または摂食量の調節に関与するヒスタミン受容体h3遺伝子の利用 Download PDF

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Abstract

ヒスタミン受容体H3タンパク質の生体内での機能を明らかにするために、ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制された非ヒト高等動物の作製を試みた。その結果、該非ヒト高等動物では、対照と比較して体重、摂食量、血中インスリン量、または血中レプチン量が増加することが見出された。従って、ヒスタミン受容体H3タンパク質の異常と、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患との間に関連性があることが判明し、これにより該疾患の治療または予防のための薬剤のスクリーニング、および該疾患の検査が可能となった。

Description

技術分野
本発明は、体重または摂食量の変化を呈する疾患の治療または予防のための薬剤、その候補化合物のスクリーニング方法、並びに体重または摂食量の変化を呈する疾患の検査方法および検査薬に関する。また、本発明は、該スクリーニングに利用可能なヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている非ヒト高等動物細胞および非ヒト高等動物に関する。
背景技術
多くのホルモンや神経伝達物質は、細胞膜に存在する特異的な受容体タンパク質を通して生体の機能を調節している。これらの受容体タンパク質の多くは共役しているグアノシン三リン酸結合タンパク質(Gタンパク質)の活性化を通して細胞内のシグナル伝達を行っている。このため、この受容体タンパク質はGタンパク質共役型受容体タンパク質と総称されている。あるいは7個の膜貫通領域を有する共通した構造をもっていることから、7回膜貫通型受容体タンパク質とも総称されている。
Gタンパク質共役型受容体タンパク質は生体の細胞や臓器の各機能細胞表面に存在し、それら生体の細胞や臓器の機能を調節する分子、例えばホルモン、神経伝達物質および生理活性物質等の標的として非常に重要な役割を担っている。このため、Gタンパク質共役型受容体タンパク質は医薬品開発の標的として非常に注目されている。
ヒスタミン受容体H3タンパク質は、Gタンパク質共役型受容体タンパク質の一種である。該タンパク質をコードする遺伝子は、ヒトをはじめとする種々の生物において報告されている(Lovenberg T.W.et.al.,Molecular Pharmacology,55:1101−1107,1999;Lovenberg T.W.et.al.,Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,293:771−778,2000;Tardivel−Lacombe J.et.al.,Molecular Neuroscience 11:755−759,2000)。
これまでに、ヒスタミン受容体H3タンパク質の作用解明には、そのアゴニストおよびアンタゴニストを用いて解析が行われてきた。
ヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストであるR−α−メチルヒスタミン(R−α−methylhistamine;RAMH)のネコでの投与では深い徐波唾眠が有意に多くなり、これはヒスタミン受容体H3タンパク質のアンタゴニストであるチオペラミドの投与で回復される。逆にチオペラミド投与では覚醒効果がみられ、これはRAMHで拮抗される。ゆえに、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、睡眠に関与する可能性があった(Lin J.S.et.al.,Neuropharmacology 27:111−122,1988)。
RAMHの投与により、ラット及びマウスの自発運動は減少する。逆に、チオペラミドはマウスの不安惹起様の作用を示す。また、PETの画像から注意欠如行動過多疾患(ADHD)に関連すると考えられる脳の部位にヒスタミン受容体H3タンパク質が高濃度に存在するという報告がある。さらに、鎮静もしくは抗不安作用を有するクリニジン(clinidine)(α−2アゴニスト)、8−OH−DPAT(5HTへ作用)、ジアゼパム(diazepam)、ブスピロン(buspirone)等の薬物はヒスタミンニューロンの代謝回転を下げるという報告もある。よって、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、抗不安作用に関与する可能性があった(Schwartz J.C.et.al.,Histaminergic Neurons:Morphology and Function.CRC Press 85−104,1991)。
ヒスタミンニューロンの活性化は記憶・学習の改善につながり、ヒスタミン受容体H1タンパク質のアンタゴニストやヒスタミン生合成阻害薬では憎悪がみとめられたという報告が数多くある。また、ヒトのアルツハイマー病患者では脳脊髄液中のヒスタミンレベルが減少している。これはダウン症候群の患者にも認められ、学習記憶障害のみられる患者に共通の現象と考えられている。チオペラミドは老化促進マウスの学習障害に対し、学習改善効果を示す。チオペラミドにはヒスタミンの遊離のみならず、アセチルコリン遊離促進作用も認められる。よって、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、記憶学習作用に関与する可能性があった(Mochizuki T.et.al.,Naunyn−Schmiedberg’s Archieves Pharmacology 343:190−195,1991)。
ヒスタミンをマウスの脳内に投与すると、用量によって鎮痛あるいは発痛両作用が現れる。モルヒネの鎮痛効果に対し、ヒスタミン受容体H1タンパク質のアンタゴニストは鎮痛の増強作用を、ヒスタミン受容体H2タンパク質のアンタゴニストは減弱作用を示す。チオペラミドの投与では鎮痛の減弱作用を示すが、これはヒスタミン受容体H1タンパク質を刺激することによる。チオペラミドの鎮痛作用はRAMHにより拮抗されることから、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、鎮痛作用に関与する可能性があった(Onodera K.et.al.,Progress in Neurobiology 42:685−702,1994)。
ヒトでは偏頭痛のような脳血管拡張に由来する痛みに対してはヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストが血管を収縮し、痛みに奏功する可能性があるという報告がある。ヒスタミン受容体H3タンパク質は求心性一次感覚神経(C繊維)に発現しており、ヒスタミンによりサブスタンスP(substance P)、ニューロキニン(neurokinin)などの神経ペプチド(neuropeptide)の遊離を抑制する。これらの神経ペプチドは硬膜の血管に対し拡張作用、透過性増加作用を示し炎症、痛みを引き起こす。ヒスタミン受容体H3タンパク質は、血管を収縮し、痛みに奏功する機能を有する可能性があった(Mansfield L.E.Journal of Allergy and Clinical Immunology 86:673−676,1990)。
癲癇の実験モデルである電撃痙攣の実験では、ヒスタミンニューロンはヒスタミン受容体H1タンパク質を介して痙攣の抑制系として関与していることが判明している。ヒスタミン受容体H3タンパク質のアンタゴニストのチオペラミドやクロベンプロピットの投与により電撃痙攣を抑制することができる。これらの効果はヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストによりヒスタミンの遊離が起き、そのヒスタミンがヒスタミン受容体H1タンパク質を介して痙攣を抑制しているものと思われる。よって、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、痙攣抑制作用にも関与している可能性があった(Yokoyama H.et.al.,European Journal of Pharmacology 234:129−133,1993)。
ヒスタミン受容体H3タンパク質のアンタゴニストは迷走神経や腸クロマフィン様細胞(enterochromaffin−like cell)、D細胞(somatostatin releasing cell)からのヒスタミン、アセチルコリン、ソマトスタチンの遊離を抑制することにより、胃酸の分泌を抑制する。ゆえに、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、胃酸の分泌に関与している可能性があった。
ヒスタミン受容体H3タンパク質は求心性一次感覚神経(C繊維)に発現しており、ヒスタミンを放出する肥満細胞との共働きにより、神経ペプチドの遊離を抑制する。呼吸器系にはフィードバック機構が発現しており、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、喘息にも関与している可能性があった(Ichinose M.et.al.,British Journal of Pharmacology 97:13−15,1989)。
循環器系ではヒスタミン受容体H3タンパク質は交感神経終末に存在し、ノルエピネフリンの遊離を抑制する。慢性の心筋梗塞ではノルエピネフリンの遊離が上昇している。また、ヒスタミン受容体H3タンパク質は肥満細胞のヒスタミンにより活性化されている。ヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストは交感神経系の伝達を抑制し、不整脈、心筋梗塞などの治療薬となる可能性がある。またヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストはCGRPの放出を促進する。CGRPは敗血症、心不全、急性の心筋梗塞で上昇していることから、これらの疾患に有効であると考えられる。よって、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、循環器作用に関与する可能性があった(James G.P.et.al.,Ann.Rep.Med.Chem.33:31−40,1998)。
また、ヒスタミン受容体H3タンパク質のアンタゴニストの投与により、被験動物における摂食量が減少することが報告されている(Ookuma K.et.al.,Brain Res.628:235−242,1993;PCT/US94/11790)。
しかしながら、上記のようにヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニスト、アンタゴニストを使った研究では、いろいろなパラメーターに影響を与えてしまうことが分かっている。これは化合物の特異性や薬剤の投与量も一因と考えられる。従って、アゴニストやアンタゴニストを用いた研究からは、体重または摂食量の変化と、ヒスタミン受容体H3タンパク質との直接的な関連性を実際に見出すことは、困難であった。
ヒスタミン受容体H3タンパク質は摂食中枢に高濃度に存在するが、ヒスタミン受容体H3タンパク質と過食症、拒食症または肥満との直接的な関連性はこれまでのところ報告されていなかった。
発明の開示
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒスタミン受容体H3タンパク質の生体内での機能を解明し、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患との直接的な関連性を見出すことにある。さらに、本発明は、見出されたヒスタミン受容体H3タンパク質と該疾患との関連性に基づき、該疾患に対する治療または予防のための薬剤およびその候補化合物のスクリーニング方法、並びに該疾患の検査薬および検査方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った。まず、ヒスタミン受容体H3タンパク質の生体内での機能を解明するために、ヒスタミン受容体H3遺伝子を改変したマウスを作製することを考えた。作製した1世代目のヒスタミン受容体H3遺伝子を改変したマウスは、対照と同じ表現型を示した。そこで、本発明者らは、戻し交配という技法を用いてヒスタミン受容体H3遺伝子を改変したマウスを作製した。
その結果、該マウスでは、対照と比較して体重、摂食量、血中インスリン量、および血中レプチン量が増加することを見出した。この結果から、ヒスタミン受容体H3タンパク質は、生体内において、体重、摂食量、血中インスリン量、または血中レプチン量の調節を行う機能を有することが示された。さらに、ヒスタミン受容体H3タンパク質の異常と体重または摂食量の変化を特徴とする疾患との間に関連性があることが示された。
この知見に基づけば、ヒスタミン受容体H3タンパク質を標的として、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物をスクリーニングすることが可能である。このスクリーニングにより得られる化合物は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療薬となるものと大いに期待できる。また、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードする遺伝子の変異や発現の異常を指標として該疾患の検査を行うことも可能である。
即ち、本発明は、ヒスタミン受容体H3タンパク質の異常に起因する疾患に対する治療または予防のための薬剤、その候補化合物のスクリーニング方法、並びに該疾患の検査薬および検査方法に関し、より具体的には、
〔1〕 以下の(a)〜(d)のいずれかを有効成分とする、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための薬剤、
(a)ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA
(b)ヒスタミン受容体H3タンパク質
(c)ヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニスト
(d)ヒスタミン受容体H3タンパク質のアンタゴニスト
〔2〕 アゴニストがN−α−メチルヒスタミン(methylhistamine)、R−α−メチルヒスタミン(methylhistamine)、BP2.94、SCH50971、SCH49648、イミテット(Imitet)、イメピップ(Immepip)、GT2104、およびGT5140からなる群より選択される、〔1〕に記載の薬剤、
〔3〕 アンタゴニストがクロベンプロピット(Clobenpropit)、シプロキシファン(Ciproxifan)、BP2.421、BP3.359、BP3.181、AQ−0145、UCL1390、UCL1409、UCL1199、SCH−49648、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects)No 5376、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects) No 4584、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects)No 4841、4−(3−(4−エチニルフェノキシ)プロピル)−1H−マレイン酸イミダゾール(4−(3−(4−Ethynylphenoxy)propyl)−1H−imidazole maleate)、およびGR−175737からなる群より選択される、〔1〕に記載の薬剤、
〔4〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法、
(a)ヒスタミン受容体H3タンパク質と被験化合物を接触させる工程
(b)前記ヒスタミン受容体H3タンパク質と被験化合物との結合を検出する工程
(c)前記ヒスタミン受容体H3タンパク質と結合する被験化合物を選択する工程
〔5〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法、
(a)ヒスタミン受容体H3遺伝子を発現する細胞に、被験化合物を接触させる工程
(b)該ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現レベルを測定する工程
(c)被験化合物を接触させない場合と比較して、該発現レベルを上昇または減少させる化合物を選択する工程
〔6〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法、
(a)ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被験化合物を接触させる工程
(b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程
(c)工程(b)において測定したレポーター遺伝子の発現レベルを、被験化合物の非存在下において測定した場合と比較して、上昇または減少させる化合物を選択する工程
〔7〕 ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている非ヒト高等動物細胞、
〔8〕 ヒスタミン受容体H3遺伝子の遺伝子対の一方または双方の遺伝子が改変していることを特徴とする非ヒト高等動物細胞であって、個体へ分化させることが可能な〔7〕に記載の非ヒト高等動物細胞、
〔9〕 非ヒト高等動物がマウスである、〔7〕または〔8〕に記載の非ヒト高等動物細胞、
〔10〕 ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている非ヒト高等動物、
〔11〕 ヒスタミン受容体H3遺伝子の遺伝子対の一方または双方の遺伝子が改変していることを特徴とする〔10〕に記載の非ヒト高等動物、
〔12〕 体重、摂食量、血中インスリン量、または、血中レプチン量のいずれかの増加を表現型とする〔10〕または〔11〕に記載の非ヒト高等動物、
〔13〕 非ヒト高等動物がげっ歯類である、〔10〕〜〔12〕のいずれかに記載の非ヒト高等動物、
〔14〕 げっ歯類がマウスである、〔13〕に記載の非ヒト高等動物、
〔15〕 〔10〕〜〔14〕のいずれかに記載の非ヒト高等動物から調製されたヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている非ヒト高等動物細胞、
〔16〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法、
(a)被験化合物を〔10〕〜〔14〕のいずれかに記載の非ヒト高等動物に投与する工程
(b)該非ヒト高等動物の体重、摂食量、血中インスリン量、または、血中レプチン量のいずれかを測定する工程
(c)被験化合物を投与していない場合と比較して、体重、摂食量、血中インスリン量、または、血中レプチン量のいずれかを変化させる化合物を選択する工程
〔17〕 ヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子の制御領域におけるDNAの変異を検出する工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
〔18〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔17〕に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを単離する工程
(c)単離したDNAの塩基配列を決定する工程
(d)工程(c)により決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する工程
〔19〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔17〕に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)調製したDNA試料を制限酵素により切断する工程
(c)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(d)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
〔20〕 以下の(a)〜(e)の工程を含む、〔17〕に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを制限酵素により切断する工程
(d)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(e)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
〔21〕 以下の(a)〜(e)の工程を含む、〔17〕に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる工程
(d)解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する工程
(e)分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
〔22〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔17〕に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する工程
(d)分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
〔23〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔17〕に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを、質量分析器で分離する工程
(d)分離したDNAの質量を対照と比較する工程
〔24〕 ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現量または発現した遺伝子の分子量を検出する工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
〔25〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、〔24〕に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
(a)被検者からRNA試料を調製する工程
(b)該RNA試料に含まれるヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするRNAの量または分子量を検出する工程
(c)検出されたヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするRNAの量または分子量を対照と比較する工程
〔26〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、〔24〕に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法、
(a)被検者からタンパク質試料を調製する工程
(b)該タンパク質試料に含まれるヒスタミン受容体H3タンパク質の量または分子量を検出する工程
(c)検出されたヒスタミン受容体H3タンパク質の量または分子量を対照と比較する工程
〔27〕 ヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子の制御領域にハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査薬、
〔28〕 ヒスタミン受容体H3タンパク質に結合する抗体を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査薬、を提供するものである。
本発明者らにより、ヒスタミン受容体H3遺伝子(GenBankアクセション番号:AB045369、AB419000)の異常が、体重または摂食量の変化等を呈する疾患と関連することが明らかとなった。従って、正常なヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAおよびヒスタミン受容体H3タンパク質は、体重または摂食量の変化等を呈する疾患の治療や予防に有用であるものと考えられる。なお、本発明の体重または摂食量の変化とは、体重または摂食量の増加もしくは減少を指す。
本発明者らによって、ヒスタミン受容体H3遺伝子ノックアウトマウスは、体重または摂食量の増加を呈することが見出された。従って、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA、ヒスタミン受容体H3タンパク質、およびアゴニスト(作用薬)は、通常、体重または摂食量の減少を導く導く。またアンタゴニスト(反作用薬)は、体重または摂食量を増加させる作用を有するものと考えられる。しかしながら、食欲等の生体に重要な機能については、補償(compensate)機能により、通常の作用とは反対の作用を呈することがあり得ることが知られている(Donald J.M.et.al.,Nature Medicine 4:718−721,1998;Thierry P.et.al.,Nature Medicine 4:722−726,1998)。よって、補償機能が働く場合には、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA、ヒスタミン受容体H3タンパク質、およびアゴニストは、反対に体重または摂食量を増加させる効果を有し、アンタゴニストは体重または摂食量を減少させる効果を有する場合も想定され得る。また、ヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストの種類によっては、体重または摂食量を減少させる機能を有するものと、逆に、体重または摂食量を増加させる機能を有するものが存在し得る。
従って、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA、ヒスタミン受容体H3タンパク質、アゴニスト、およびアンタゴニストは、体重または摂食量の変化(増加もしくは減少)を特徴とする疾患の治療または予防のための薬剤となるものと考えられる。
本発明は、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAまたはヒスタミン受容体H3タンパク質を有効成分とする、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための薬剤を提供する。
本発明における「体重または摂食量の変化を特徴とする疾患」とは、具体的には、過食症、拒食症、および肥満疾患等を挙げることができるが、体重または摂食量の変化を呈する疾患であれば特に制限はない。
本発明の薬剤における「ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA」は、染色体DNAであっても、cDNAであってもよい。ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードする染色体DNAは、例えば、細胞等から染色体DNAのライブラリーを調製し、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAにハイブリダイズするプローブを用いた、該ライブラリーのスクリーニングにより取得することができる。またヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするcDNAは、ヒスタミン受容体H3タンパク質が発現していると考えられる脳等の組織からRNA試料を抽出し、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAにハイブリダイズするプライマーを用いたRT−PCR法等の遺伝子増幅技術により取得することができる。
本発明の薬剤における「ヒスタミン受容体H3タンパク質」は、天然のタンパク質の他、遺伝子組み換え技術を利用した組換えタンパク質として調製することができる。天然のタンパク質は、例えばヒスタミン受容体H3タンパク質が発現していると考えられる脳等の組織の抽出液に対し、ヒスタミン受容体H3タンパク質に対する抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーを用いる方法により調製することが可能である。一方、組換えタンパク質は、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAで形質転換した細胞を培養することにより調製することが可能である。
本発明の薬剤における「ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA」や「ヒスタミン受容体H3タンパク質」は、その由来する生物に特に制限はない。ヒトの疾患の治療や予防に用いる場合には、好ましくは哺乳動物由来(例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、ウシ、ブタ、イヌなど)であり、最も好ましくはヒト由来である。
「ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA」や「ヒスタミン受容体H3タンパク質」は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患に対して治療または予防効果を有する限り、その塩基配列やアミノ配列が改変された変異体であってもよい。このような変異体は、天然のものでも人工のものでもよい。人工的に変異体を調製するための方法は当業者に公知である。例えば、Kunkel法(Kunkel,T.A.et al.,Methods Enzymol.154,367−382(1987))、ダブルプライマー法(Zoller,M.J.and Smith,M.,Methods Enzymol.154,329−350(1987))、カセット変異法(Wells,et al.,Gene 34,315−23(1985))、メガプライマー法(Sarkar,G.and Sommer,S.S.,Biotechniques 8,404−407(1990))などが知られている。
本発明者らにより、ヒスタミン受容体H3遺伝子の異常が、体重または摂食量の変化等を呈する疾患と関連することが明らかとなったことから、ヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストおよびアンタゴニストは、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療や予防のための医薬品としての利用が期待される。
本発明の薬剤の他の態様は、ヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストを有効成分とする、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患に用いる薬剤に関する。
本発明におけるアゴニストおよびアンタゴニストは、天然の化合物であっても人工の化合物であってもよい。本発明におけるアゴニストおよびアンタゴニストとしては公知のものを用いることができる。また、後述のスクリーニングをすることにより単離されるものを用いることもできる。公知のヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストおよびアンタゴニストとしては、N−α−メチルヒスタミン(methylhistamin)(Arrang J.M.et.al.,Nature 102:832−,1983)、R−α−メチルヒスタミン(methylhistamine)(Arrang J.M.et.al.,Nature 327:117−,1987)、BP2.94(Krause M.et.al,,J.Med.Chem.38:4070,1995)、SCH50971(Hey J.A.et.al.,Arzneim−Forsch 48:881−,1998)、SCH49648(Shih N.Y.et.al.,J.Med.Chem.38:1593−,1995)、イミテット(Imitet)(Kathmann M.et.al.,Naunyn−schmiedebergs archives pharmacology 348:498−,1993)、イメピップ(Immepip)(Volliga R.C.et.al.,J.Med.Chem.37:332−,1994)、GT2104(Pharmaprojects)、およびGT5140(Adis R&D Insight)等を例示することができる。
さらに、公知のヒスタミン受容体H3タンパク質のアンタゴニストとしては、クロベンプロピット(Clobenpropit)(Van der Goot H.et.al.,J.Med.Chem.27:511−,1992)、シプロキシファン(Ciproxifan)(Ligneau X.et.al.,Journal of Pharmacology & Experimental Therapeutics 287:658−,1998)、BP2.421、BP3.359、BP3.181、AQ−0145(Murakami K.et.al.,Methods and findings in experimental and clinical pharmacology 17 Suppl C 70−73,1995)、UCL1390、UCL1409、UCL1199(Ganellin C.R.et.al.,J.Med.Chem.38:3342,1995)、SCH−49648(Sippl W.et.al.,Quant.Struct.−Act.Relat.14:121−,1995)、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects)No 4584、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects)No 4841、4−(3−(4−エチニルフェノキシ)プロピル)−1H−マレイン酸イミダゾール(4−(3−(4−Ethynylphenoxy)propyl)−1H−imidazole maleate)、およびGR−175737(Clitherow J.W.et.al.,10th Camerino−Noowijkerhout Symposium On Perspectives In Receptor Research,Noordwijkerhout,The Netherland:1995)等を例示することができる。
本発明のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA、ヒスタミン受容体H3タンパク質、該タンパク質のアゴニストもしくはアンタゴニスト、または後述する本発明のスクリーニングにより得られる化合物を、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患に対する治療または予防のための薬剤として使用する場合には、これら分子自体を対象動物に投与することも可能であるが、一般的に公知の製剤学的方法により製剤化して投与することも可能である。例えば経口投与の場合、錠剤、散剤、カプセル剤、懸濁液剤等、経皮投与の場合、ハップ剤等を示すことができるが、これらに制限されない。投与方法は、治療効果や予防効果を示し得る限り特に制限はなく、例えば経口投与、経皮投与、注射による血中投与等が考えられる。ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを生体内に投与する場合には、レトロウイルス、アデノウイルス、センダイウイルスなどのウイルスベクターやリポソームなどの非ウイルスベクターを利用することができる。投与方法としては、in vivo法およびex vivo法を例示することができる。
本発明は、また、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法を提供する。
その一つの態様は、ヒスタミン受容体H3タンパク質と被験化合物との結合を指標とする方法である。この方法においては、まず、ヒスタミン受容体H3タンパク質と被験化合物を接触させる。ヒスタミン受容体H3タンパク質は、被検化合物との結合を検出するための指標に応じて、例えば、ヒスタミン受容体H3タンパク質の精製された形態、細胞内または細胞表面に発現した形態、該細胞の細胞膜画分としての形態、あるいはアフィニティーカラムに結合した形態であり得る。この方法に用いる被験化合物は必要に応じて適宜標識して用いることができる。標識としては、例えば、放射標識、蛍光標識等を挙げることができる。
本方法においては、次いで、ヒスタミン受容体H3タンパク質と被験化合物との結合を検出する。ヒスタミン受容体H3タンパク質と被験化合物との結合は、例えば、ヒスタミン受容体H3タンパク質に結合した被験化合物に付された標識によって検出することができる。また、細胞表面上に発現しているヒスタミン受容体H3タンパク質への被験化合物の結合により生じる細胞内シグナル伝達(例えば、ヒスタミン受容体H3の活性化、Ca2またはcATPの濃度変化、ポスホリパーゼCの活性化、pHの変化)を指標に検出することもできる。
本方法においては、次いで、ヒスタミン受容体H3タンパク質と結合する被験化合物を選択する。本方法により、ヒスタミン受容体H3タンパク質に結合する化合物として単離される化合物には、アゴニストとアンタゴニストが含まれる。単離される化合物がアゴニストであるか否かを評価するには、例えば細胞表面上に発現させたヒスタミン受容体H3タンパク質に、被検化合物を接触させ、該タンパク質の活性化の指標となる細胞内シグナル伝達が生じるか否かを判定すればよい。このような細胞内シグナル伝達を生じさせる化合物は、ヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニストであると考えられる。単離される化合物がアンタゴニストであるか否かを評価するには、例えば細胞表面上に発現させたヒスタミン受容体H3タンパク質に、リガンドの存在下で被検化合物を接触させ、該タンパク質の活性化の指標となる細胞内シグナル伝達が生じるか否かを判定すればよい。リガンド刺激に応答した細胞内シグナル伝達を阻害する化合物は、ヒスタミン受容体H3タンパク質のアンタゴニストであると考えられる。
本方法により単離されるアゴニストおよびアンタゴニストは、体重または摂食量の変化等を特徴とする疾患に対する疾患の治療または予防のための医薬となる。さらに、アゴニストおよびアンタゴニストは、体重または摂食量の変化等を特徴とする疾患を人為的に引き起こすことが可能な化合物として、体重または摂食量の変化等を特徴とする疾患のメカニズム解明のための研究等に有用である。
本発明のスクリーニング方法の他の態様は、ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現を指標とする方法である。本発明者らにより、ヒスタミン受容体H3遺伝子の異常が、体重または摂食量の変化等を呈する疾患と関連することが明らかとなった。従って、正常なヒスタミン受容体H3遺伝子の発現量を上昇または減少させるような化合物は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物となることが期待される。
本方法においては、まず、ヒスタミン受容体H3遺伝子を発現する細胞に、被験化合物を接触させる。用いられる「細胞」の由来としては、ヒト、サル、マウス、ラット、ウシ、ブタ、イヌ等に由来する細胞が挙げられるが、これら由来に制限されない。「ヒスタミン受容体H3遺伝子を発現する細胞」としては、内因性のヒスタミン受容体H3遺伝子を発現している細胞、または外因性のヒスタミン受容体H3遺伝子が導入され、該遺伝子が発現している細胞を利用することができる。外因性のヒスタミン受容体H3遺伝子が発現した細胞は、通常、ヒスタミン受容体H3遺伝子が挿入された発現ベクターを宿主細胞へ導入することにより作製することができる。該発現ベクターは、一般的な遺伝子工学技術によって作製することができる。
本方法に用いる被検化合物としては、特に制限はない。例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、ペプチドなどの単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物等が挙げられるが、それらに限定されない。
ヒスタミン受容体H3遺伝子を発現する細胞への被験化合物の「接触」は、通常、ヒスタミン受容体H3遺伝子を発現する細胞の培養液に被験化合物を添加することによって行うが、この方法に限定されない。被験化合物がタンパク質等の場合には、該タンパク質を発現するDNAベクターを、該細胞へ導入することにより、「接触」を行うことができる。
本方法においては、次いで、該ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現レベルを測定する。ここで「遺伝子の発現」には、転写および翻訳の双方が含まれる。遺伝子の発現レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば、ヒスタミン受容体H3遺伝子を発現する細胞からmRNAを定法に従って抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法またはRT−PCR法を実施することによって該遺伝子の転写レベルの測定を行うことができる。また、ヒスタミン受容体H3遺伝子を発現する細胞からタンパク質画分を回収し、ヒスタミン受容体H3タンパク質の発現をSDS−PAGE等の電気泳動法で検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。さらに、ヒスタミン受容体H3タンパク質に対する抗体を用いて、ウェスタンブロッティング法を実施することにより該タンパク質の発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも可能である。ヒスタミン受容体H3タンパク質の検出に用いる抗体としては、検出可能な抗体であれば、特に制限はないが、例えばモノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体の両方を利用することができる。
本方法においては、次いで、被験化合物を接触させない場合(対照)と比較して、該発現レベルを上昇または減少させる化合物を選択する。このようにして選択された化合物は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物となる。
本発明のスクリーニング方法の他の態様は、本発明のヒスタミン受容体H3遺伝子の発現量を上昇または減少させるような化合物を、レポーター遺伝子を利用して同定する方法に関する。
本方法においては、まず、ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被験化合物を接触させる。ここで「機能的に結合した」とは、ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域に転写因子が結合することにより、レポーター遺伝子の発現が誘導されるように、ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが結合していることをいう。従って、レポーター遺伝子が他の遺伝子と結合しており、他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成する場合であっても、ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域に転写因子が結合することによって、該融合タンパク質の発現が誘導されるものであれば、上記「機能的に結合した」の意に含まれる。ヒスタミン受容体H3遺伝子のcDNA塩基配列に基づいて、当業者においては、ゲノム中に存在するヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域を周知の方法により取得することが可能である。
本方法に用いるレポーター遺伝子としては、その発現が検出可能であれば特に制限はなく、例えば、CAT遺伝子、lacZ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、およびGFP遺伝子等が挙げられる。「ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞」として、例えば、このような構造が挿入されたベクターを導入した細胞が挙げられる。このようなベクターは、当業者に周知の方法により作製することができる。ベクターの細胞への導入は、一般的な方法、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法、リポフェタミン法、マイクロインジェクション法等によって実施することができる。「ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞」には、染色体に該構造が挿入された細胞も含まれる。染色体へのDNA構造の挿入は、当業者に一般的に用いられる方法、例えば、相同組み換えを利用した遺伝子導入法により行うことができる。
「ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞抽出液」とは、例えば、市販の試験管内転写翻訳キットに含まれる細胞抽出液に、ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを添加したものを挙げることができる。
本方法における「接触」は、「ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞」の培養液に被験化合物を添加する、または該DNAを含む上記の市販された細胞抽出液に被験化合物を添加することにより行うことができる。被験化合物がタンパク質の場合には、例えば、該タンパク質を発現するDNAベクターを、該細胞へ導入することにより行うことも可能である。
本方法においては、次いで、該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する。レポーター遺伝子の発現レベルは、該レポーター遺伝子の種類に応じて、当業者に公知の方法により測定することができる。例えば、レポーター遺伝子がCAT遺伝子である場合には、該遺伝子産物によるクロラムフェニコールのアセチル化を検出することによって、レポーター遺伝子の発現量を測定することができる。レポーター遺伝子がlacZ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による色素化合物の発色を検出することにより、また、ルシフェラーゼ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による蛍光化合物の蛍光を検出することにより、さらに、GFP遺伝子である場合には、GFPタンパク質による蛍光を検出することにより、レポーター遺伝子の発現量を測定することができる。
本方法においては、次いで、測定したレポーター遺伝子の発現レベルを、被験化合物の非存在下において測定した場合と比較して、上昇または減少させる化合物を選択する。このようにして選択された化合物は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物となる。
本発明のスクリーニング方法の他の態様は、ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている遺伝子改変非ヒト高等動物を利用する方法に関する。
本発明者らは、ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている遺伝子改変非ヒト高等動物の解析を行うことで、ヒスタミン受容体H3遺伝子の異常と体重または摂食量の増加等を呈する疾患との関連性を見出した。従って、本発明においては、体重または摂食量の増加等を呈する疾患のモデル動物として有用なヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている遺伝子改変非ヒト高等動物を提供する。該遺伝子改変非ヒト高等動物は、これらの疾患の治療または予防のための薬剤のスクリーニングに用いることができる。
このような遺伝子改変非ヒト高等動物を利用した本発明のスクリーニング方法においては、まず、被験化合物をヒスタミン受容体H3遺伝子の発現を人為的に抑制された非ヒト高等動物に投与する。
本方法において「遺伝子の発現を人為的に抑制されている」とは、完全な抑制および部分的な抑制の双方が含まれる。また、遺伝子対の一方の発現が抑制されている場合も含まれる。抑制する方法として、当業者においては一般的に公知の方法によって行うことができる。例えば、遺伝子改変技術(標的遺伝子部位の組み換えを促進する酵素、例えば、Cre−loxにおけるCre、の導入による条件的遺伝子改変技術も含む)を用いた方法、アンチセンスDNAを用いた方法、または、RNAi技術を用いた方法等が挙げられる。
本方法における「非ヒト高等動物」とは、ヒトを含まない脊椎動物や無脊椎動物を意味する。遺伝子改変技術を用いた遺伝子の発現を人為的に抑制することができる非ヒト高等動物としては、非ヒト哺乳動物や昆虫等が挙げられるが、より好適には、非ヒト哺乳動物(例えば、マウスやラットなどのげっ歯類)である。
遺伝子を改変させた動物の作製は、例えば次にようにして行うことができる。まず、標的遺伝子を含むDNA断片をクローニングして、これを基に、内在性の標的遺伝子改変のための相同組み換え用ベクターを構築する。該相同組み換え用ベクターには、標的遺伝子またはその発現制御領域の少なくとも1部を欠失/変異させた核酸配列、標的遺伝子またはその発現制御領域にヌクレオチドやポリヌクレオチドが挿入された核酸配列、標的遺伝子またはその発現制御領域に他の遺伝子が挿入された核酸配列を含むが、標的遺伝子の活性が失われる核酸配列であれば、前記の欠失/変異部位および挿入部位は限定されない。
挿入される遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリア毒素遺伝子等が挙げられる。また、これらの組み合わせも考えられる。該相同組み換え用ベクターの基本骨格は、特に、制限はなく、pKONeo(レキシコン)等を用いることができる。
構築した相同組み換え用ベクターを、個体へ分化させることが可能な非ヒト哺乳動物細胞(例えば、胚性幹細胞(ES細胞))に導入し、内因性の標的遺伝子との相同組み換えを行うことで、遺伝子改変非ヒト哺乳動物細胞を作製する。遺伝子対の双方の発現が抑制されている該細胞を作製するには、例えば、高濃度のネオマイシンで細胞を選択する方法で得ることが可能である。相同組み換え用ベクターの細胞への導入は、当業者に公知の方法によって行うことができる。具体的には、エレクトロポレーション法等を例示することができる。
本方法において個体へ分化させることが可能な動物細胞としてES細胞を用いた場合は、例えば、該細胞を胚盤胞に注入することによりキメラ胚を作製し、偽妊娠させた動物の子宮に移植して産仔を得る。遺伝子改変ES細胞由来の組織を有するキメラ動物を選別できるようにするために、より好適には、作製された個体の外部的特徴(例えば、毛色)が、遺伝子改変ES細胞由来の組織と胚盤胞由来の組織とで異なるように、胚盤胞を選択する。また、遺伝子改変ES細胞由来の生殖組織を有するキメラ動物であるか否かの判定は、一般的には、該キメラ非ヒト哺乳動物と適当な系統の同種非ヒト哺乳動物との交配により得られた仔の毛色で行うが、その他の方法として、例えば、該キメラ非ヒト哺乳動物の生殖細胞から抽出したDNAを鋳型としたPCR反応を行い、挿入された遺伝子の有無を検出する方法を用いることも可能である。
該キメラ動物と適当な系統の同種動物との交配により得られた仔が、ヘテロ接合型遺伝子改変動物であるか否かは、例えば、該動物細胞から抽出したDNAを鋳型とするPCRやサザンハイブリダイゼーションで判定することができる。また、ヘテロ接合型遺伝子改変動物同士の交配により、ホモ接合型遺伝子改変動物を作製することができる。交配により得られた仔が、ホモ接合型遺伝子改変動物であるか否かも上記の判定法に従う。
遺伝子改変動物の作製は、上記の方法に制限されない。例えば、体細胞クローン動物の作製技術に従って遺伝子改変動物を作製することもできる。具体的には、ES細胞以外の体細胞(例えば、皮膚細胞等)を用いて、ES細胞の場合と同様な方法に従って遺伝子改変動物細胞を作製することができる。さらに、該遺伝子改変動物細胞から、体細胞クローン作製技術を応用し、遺伝子改変動物を作製することができる。
このようにして調製した遺伝子改変非ヒト高等動物への被検化合物の投与は、例えば、経口的に、また注射により行うことができるが、それらに限定されない。被験化合物がタンパク質である場合には、例えば、該タンパク質をコードする遺伝子を有するウイルスベクターを構築し、その感染力を利用して、非ヒト高等動物に該遺伝子を導入することも可能である。
この方法においては、次いで、該非ヒト高等動物の体重、摂食量、血中インスリン量、または、血中レプチン量のいずれかを測定する。
本方法における、非ヒト高等動物の体重、摂食量、血中インスリン量、または血中レプチン量の測定方法をマウスの例で説明する。体重は、動物天秤上で測定する。摂食量は、摂食前後の餌の重量の差として測定する。血中インスリン量および血中レプチン量はマイクロプレートのEIAサンドイッチ法(MORINAGA)で測定可能である。血中インスリン量測定の場合には、静脈よりヘパリン採血し、遠心操作により血漿成分を得る。血漿とモルモット抗インスリン血清を抗体固相化プレート中で反応させる。プレートを緩衝液で洗浄後、抗モルモット酵素標識抗体を加え反応させる。再度プレートを緩衝液で洗浄し、酵素基質溶液(オルトフェニレジアミン)を加え反応させる。1N硫酸で反応を停止後吸光度を測定する。標準曲線用インスリン溶液の吸光度より標準曲線を作成し、血漿中のインスリン量を測定する。血中レプチン量測定の場合には、得た血漿とモルモット抗マウスレプチン血清を抗体固相化プレート中で反応させる。プレートを洗浄後、酵素標識モルモットIgG抗体溶液を加え反応させる。再度プレートを洗浄し、酵素基質溶液(TMB;3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン)を加え反応させる。1N硫酸で反応を停止後吸光度を測定する。標準曲線用レプチン溶液の吸光度より標準曲線を作成し、血漿中のレプチン量を測定する。
本方法においては、次いで、被験化合物を投与していない場合と比較して、体重、摂食量、血中インスリン量、または、血中レプチン量のいずれかを上昇あるいは低下させる化合物を選択する。このようにして選択された化合物は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物となる。
ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現を人為的に抑制することができる非ヒト高等動物から調製した細胞は、体重または摂食量の変化等を呈する疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニングなどに用いることができる有用な細胞である。例えば、遺伝子ライブラリーを導入し、ヒスタミン受容体H3タンパク質のリガンドに対する該細胞の細胞内シグナル伝達を上昇または減少させる遺伝子をクローニングすれば、該遺伝子によってコードされるタンパク質は、ヒスタミン受容体H3タンパク質の機能を代替するものと考えられる。このようなスクリーニングにおいては、例えば初代培養細胞および株化した細胞を使用することができるが、これらに制限されない。
本発明は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法を提供する。本実施例においてヒスタミン受容体H3遺伝子がノックアウトされたマウスは、体重または摂食量の増加の特徴を示した。この事実は、ヒスタミン受容体H3遺伝子の変異あるいは発現異常に起因して体重または摂食量の変化を特徴とする疾患が生じることを示唆するものである。従って、ヒスタミン受容体H3遺伝子の変異や発現異常を解析することにより、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査を行うことが可能である。
本方法において「体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査」とは、ヒスタミン受容体H3遺伝子の変異に起因して体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の症状を呈している被検者の検査のみならず、被検者がヒスタミン受容体H3遺伝子の変異に起因する体重または摂食量の変化を特徴とする疾患にかかりやすいか否かを判断するために行う、ヒスタミン受容体H3遺伝子の変異の検査も含まれる。例えば、ヒスタミン受容体H3対立遺伝子の片方に変異が生じることにより、表面上は未だ症状を呈していない場合であっても、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患にかかる危険性が非常に増大していることが考えられる。このような片方のヒスタミン受容体H3対立遺伝子に変異を持つ被検者(キャリアー)を特定するための検査も本発明の検査方法に含まれる。
本発明の検査方法の一つの態様は、被検者のヒスタミン受容体H3遺伝子の塩基配列を直接決定することによって検査を行う方法である。この方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。DNA試料は、例えば被検者の脳等の組織または細胞から抽出した染色体DNAあるいはRNAを基に調製することができる。染色体DNAから本方法のDNA試料を調製するには、例えば染色体DNAを適当な制限酵素で切断し、ベクターにクローニングして、ゲノムライブラリーを作製すればよい。RNAから本方法のDNA試料を調製するには、例えば、逆転写酵素を用いて、RNAからcDNAライブラリーを作製すればよい。
本方法においては、次いで、被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを選択する。ここで「選択」とは、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA(被検者のヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域の一部もしくは全部)を特異的に単離することである。ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAの選択は、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAにハイブリダイズするプローブを用いたゲノムライブラリーやcDNAライブラリーのスクリーニングにより行うことができる。また、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAにハイブリダイズするプライマーを用いて、ゲノムDNAライブラリー、cDNAライブラリー、あるいはRNAを鋳型としたPCRによってヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを選択することも可能である。
本方法においては、次いで、選択したDNAの塩基配列を決定する。選択したDNAの塩基配列の決定は、当業者に公知の方法で行うことができる。
本方法においては、次いで、決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する。本方法における対照とは、正常な(野生型)ヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域の配列を言う。一般に健常人のヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域の配列は正常であるものと考えられることから、上記工程の「対照と比較する」とは、通常、健常人のヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域の配列と比較することを意味するが、GenBank等に野生型として登録されているヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域の配列と比較してもよい。このような比較の結果、被験者のヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域が対照と異なっていた場合には、該被験者は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の疑いがあると判定される。
本発明の検査方法は、上記の如く直接被検者由来のDNAの塩基配列を決定する方法以外に、種々の方法を用いることができる。
その一つの態様においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、DNA試料を制限酵素により切断する。次いで、DNA断片をその大きさに応じて分離する。次いで、検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する。また、他の一つの態様においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、DNAをプライマーとして用いて被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを制限酵素により切断する。次いで、DNA断片をその大きさに応じて分離する。次いで、検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する。
このような方法としては、例えば、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism/RFLP)を利用した方法やPCR−RFLP法等が挙げられる。具体的には、制限酵素の認識部位に変異が存在する場合、あるいは制限酵素処理によって生じるDNA断片内に塩基挿入または欠失がある場合、制限酵素処理後に生じる断片の大きさが対照と比較して変化する。この変異を含む部分をPCR法によって増幅し、それぞれの制限酵素で処理することによって、これらの変異を電気泳動後のバンドの移動度の差として検出することができる。あるいは、染色体DNAをこれらの制限酵素によって処理し、電気泳動した後、本発明のプローブDNAを用いてサザンブロッティングを行うことにより、変異の有無を検出することができる。用いられる制限酵素は、それぞれの変異に応じて適宜選択することができる。この方法では、ゲノムDNA以外にも被検者から調製したRNAを逆転写酵素でcDNAにし、これをそのまま制限酵素で切断した後、サザンブロッティングを行うことも可能である。また、このcDNAを鋳型としてPCRでヒスタミン受容体H3遺伝子の一部、あるいは全部を増幅し、それを制限酵素で切断した後、移動度の差を調べることも可能である。
本発明の検査方法の別の態様においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、DNAをプライマーとして用いて被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する。分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する。
このような方法としては、例えばPCR−SSCP(single−strand conformation polymorphism、一本鎖高次構造多型)法(Cloning and polymerase chain reaction−single−strand conformation polymorphism analysis of anonymous Alu repeats on chromosome 11.Genomics.1992 Jan 1;12(1):139−146.、Detection of p53 gene mutations in human brain tumors by single−strand conformation polymorphism analysis of polymerase chain reaction products.Oncogene.1991 Aug 1;6(8):1313−1318.、Multiple fluorescence−based PCR−SSCP analysis with postlabeling.、PCR Methods Appl.1995 Apr 1;4(5):275−282.)が挙げられる。この方法は操作が比較的簡便であり、また被検試料の量も少なくて済む等の利点を有するため、特に多数のDNA試料をスクリーニングするのに好適である。その原理は次の通りである。二本鎖DNA断片を一本鎖に解離すると、各鎖はその塩基配列に依存した独自の高次構造を形成する。この解離したDNA鎖を、変性剤を含まないポリアクリルアミドゲル中で電気泳動すると、それぞれの高次構造の差に応じて、相補的な同じ鎖長の一本鎖DNAが異なる位置に移動する。一塩基の置換によってもこの一本鎖DNAの高次構造は変化し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動において異なる移動度を示す。従って、この移動度の変化を検出することによりDNA断片に点突然変異や欠失、あるいは挿入等による変異が存在することを検出することができる。
具体的には、まず、ヒスタミン受容体H3遺伝子の一部、あるいは全部をPCR法等によって増幅する。増幅される範囲としては、通常200〜400bp程度の長さが好ましい。また、増幅される領域には、ヒスタミン受容体H3遺伝子の全てのエキソン、全てのイントロンの他、ヒスタミン受容体H3遺伝子のプロモーター、エンハンサーも含まれる。PCRは、当業者においては反応条件等を適宜選択して行うことができる。PCRの際に、32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識したプライマーを用いることにより、増幅DNA産物を標識することができる。あるいはPCR反応液に32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を加えてPCRを行うことにより、増幅DNA産物を標識することも可能である。さらに、PCR反応後にクレノウ酵素等を用いて、32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を、増幅DNA断片に付加することによっても標識を行うことができる。こうして得られた標識されたDNA断片を、熱を加えること等により変性させ、尿素などの変性剤を含まないポリアクリルアミドゲルによって電気泳動を行う。この際、ポリアクリルアミドゲルに適量(5から10%程度)のグリセロールを添加することにより、DNA断片の分離の条件を改善することができる。また、泳動条件は各DNA断片の性質により変動するが、通常、室温(20から25℃)で行い、好ましい分離が得られないときには4から30℃までの温度で最適の移動度を与える温度の検討を行う。電気泳動後、DNA断片の移動度を、X線フィルムを用いたオートラジオグラフィーや、蛍光を検出するスキャナー等で検出し、解析を行う。移動度に差があるバンドが検出された場合、このバンドを直接ゲルから切り出し、PCRによって再度増幅し、それを直接シークエンシングすることにより、変異の存在を確認することができる。また、標識したDNAを使わない場合においても、電気泳動後のゲルをエチジウムブロマイドや銀染色法などによって染色することによって、バンドを検出することができる。
本発明の検査方法の別の態様において、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、DNAをプライマーとして用いて被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する。次いで、分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する。
このような方法としては、例えば、変性剤濃度勾配ゲル(denaturant gradient gel electrophoresis:DGGE法)等を例示することができる。DGGE法は、変性剤の濃度勾配のあるポリアクリルアミドゲル中で、DNA断片の混合物を泳動し、それぞれの不安定性の違いによってDNA断片を分離する方法である。ミスマッチのある不安定なDNA断片が、ゲル中のある変性剤濃度の部分まで移動すると、ミスマッチ周辺のDNA配列はその不安定さのために、部分的に1本鎖へと解離する。この部分的に解離したDNA断片の移動度は、非常に遅くなり、解離部分のない完全な二本鎖DNAの移動度と差がつくことから、両者を分離することができる。具体的には、ヒスタミン受容体H3遺伝子の一部、あるいは全部を本発明のプライマー等を用いたPCR法等によって増幅し、これを尿素などの変性剤の濃度が移動するに従って徐々に高くなっているポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、対照と比較する。変異が存在するDNA断片の場合、より低い変性剤濃度位置でDNA断片が一本鎖になり、極端に移動速度が遅くなるため、この移動度の差を検出することにより変異の有無を検出することができる。
また、本発明の別の態様においては、質量分析器(MASS)を用いて体重増加または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査を行うことができる。まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを、質量分析器で分離する。次いで、分離したDNAの質量を対照と比較する。
上記の方法以外にも、特定位置の変異のみを検出する目的にはアレル特異的オリゴヌクレオチド(Allele Specific Oligonucleotide/ASO)ハイブリダイゼーション法が利用できる。変異が存在すると考えられる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを作製し、これと試料DNAでハイブリダイゼーションを行わせると、変異が存在する場合、ハイブリッド形成の効率が低下する。それをサザンブロット法や、特殊な蛍光試薬がハイブリッドのギャップにインターカレーションすることにより消光する性質を利用した方法、等により検出することができる。また、リボヌクレアーゼAミスマッチ切断法による検出も可能である。具体的には、ヒスタミン受容体H3遺伝子の一部、あるいは全部をPCR法等によって増幅し、これをプラスミドベクター等に組み込んだヒスタミン受容体H3cDNA等から調製した標識RNAとハイブリダイゼーションを行う。変異が存在する部分においてはハイブリッドが一本鎖構造となるので、この部分をリボヌクレアーゼAによって切断し、これをオートラジオグラフィー等で検出することによって変異の存在を検出することができる。
本発明の検査方法の他の態様は、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードする遺伝子の発現量または発現産物の分子量を指標とする方法である。ここで「遺伝子の発現」には、転写および翻訳が含まれる。従って、「発現産物」には、mRNAおよびタンパク質が含まれる。
ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードする遺伝子の転写レベルにおける検査においては、まず、被検者からRNA試料を調製する。次いで、該RNA試料に含まれるヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするRNAの量または分子量を検出する。次いで、検出された該RNAの量または分子量を対照と比較する。
このような方法としては、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAにハイブリダイズするプローブを用いたノーザンブロッティング法、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAにハイブリダイズするプライマーを用いたRT−PCR法、およびオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするDNAマイクロアレイ法等を例示することができる。
ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードする遺伝子の翻訳レベルにおける検査においては、まず、被検者からタンパク質試料を調製する。次いで、該タンパク質試料に含まれるヒスタミン受容体H3タンパク質の量または分子量を検出する。次いで、検出された該タンパク質の量または分子量を対照と比較する。
このような方法としては、SDSポリアクリルアミド電気泳動法、並びにヒスタミン受容体H3タンパク質に結合する抗体を用いた、ウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、免疫沈降法、酵素結合免疫測定法(ELISA)、および免疫蛍光法を例示することができる。
これら方法において、対照(健常者)と比較して、ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードする遺伝子の発現量が有意に上昇または低下していた場合、または発現産物の分子量が有意に異なっていた場合、被検者は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の疑いがあると判定される。
本発明はまた、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法に用いられる検査薬を提供する。
その一つの態様は、ヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子の制御領域にハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む検査薬である。
該オリゴヌクレオチドは、好ましくはヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域の塩基配列に特異的にハイブリダイズするものである。ここで「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、サムブルックら,Molecular Cloning,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA,第2版1989に記載の条件)において、他のタンパク質をコードするDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。
該オリゴヌクレオチドは、上記本発明の検査方法におけるプローブやプライマーとして用いることができる。該オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる場合、その長さは、通常15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、ヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域の少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。上記の領域としては、例えば、ヒスタミン受容体H3遺伝子のエキソン領域、イントロン領域、プロモーター領域、エンハンサー領域等を挙げることができる。
また、上記オリゴヌクレオチドをプローブとして使用する場合、該プローブは、ヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子制御領域の少なくとも一部に特異的にハイブリダイズするものであれば、特に制限されない。該プローブは、合成オリゴヌクレオチドであってもよく、通常少なくとも15bp以上の鎖長を有する。プローブがハイブリダイズする領域としては、例えば、ヒスタミン受容体H3遺伝子のエキソン領域、イントロン領域、プロモーター領域、エンハンサー領域等が挙げられる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば市販のオリゴヌクレオチド合成機により作製することができる。プローブは、制限酵素処理等によって取得される二本鎖DNA断片として作製することもできる。
本発明のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、適宜標識して用いることが好ましい。標識する方法としては、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、オリゴヌクレオチドの5’端を32Pでリン酸化することにより標識する方法、およびクレノウ酵素等のDNAポリメラーゼを用い、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチド等をプライマーとして32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を取り込ませる方法(ランダムプライム法等)を例示することができる。
本発明の検査薬の他の一つの態様は、ヒスタミン受容体H3タンパク質に結合する抗体を含む検査薬である。抗体は、検査に用いることが可能な抗体であれば、特に制限はないが、例えばポリクローナル抗体やモノクローナル抗体が挙げられる。抗体は必要に応じて標識される。
ヒスタミン受容体H3タンパク質に結合する抗体は、当業者に公知の方法により調製することが可能である。ポリクローナル抗体であれば、例えば、次のようにして得ることができる。天然のヒスタミン受容体H3タンパク質、あるいはGSTとの融合タンパク質として大腸菌等の微生物において発現させたリコンビナントヒスタミン受容体H3タンパク質、またはその部分ペプチドをウサギ等の小動物に免疫し血清を得る。これを、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、ヒスタミン受容体H3タンパク質や合成ペプチドをカップリングしたアフィニティーカラム等により精製することにより調製する。また、モノクローナル抗体であれば、例えば、ヒスタミン受容体H3タンパク質若しくはその部分ペプチドをマウスなどの小動物に免疫を行い、同マウスより脾臓を摘出し、これをすりつぶして細胞を分離し、該細胞とマウスミエローマ細胞とをポリエチレングリコール等の試薬を用いて融合させ、これによりできた融合細胞(ハイブリドーマ)の中から、ヒスタミン受容体H3タンパク質に結合する抗体を産生するクローンを選択する。次いで、得られたハイブリドーマをマウス腹腔内に移植し、同マウスより腹水を回収し、得られたモノクローナル抗体を、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、ヒスタミン受容体H3タンパク質や合成ペプチドをカップリングしたアフィニティーカラム等により精製することで、調製することが可能である。
本発明の検査薬においては、有効成分であるオリゴヌクレオチドや抗体以外に、例えば、滅菌水、生理食塩水、植物油、界面活性剤、脂質、溶解補助剤、緩衝剤、タンパク質安定剤(BSAやゼラチンなど)、保存剤等が必要に応じて混合されていてもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1]ヒスタミン受容体H3遺伝子改変マウスの作製およびその遺伝子改変マウスの解析
(1)マウスヒスタミン受容体H3遺伝子の相同組み換え用ベクターの構築
ラットヒスタミン受容体H3 cDNA(Lovenberg T.W.et.al.,Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,293:771−778,2000)をプローブにしてマウス129/Sv genomic library(Stratagene)をスクリーニングし、マウスヒスタミン受容体H3 genomic cloneを得た。そのうち1つのクローンの全塩基配列16760bpをショットガンクローニング法により決定した。この塩基配列を配列番号:1に示す。
マウスヒスタミン受容体H3遺伝子は3つのエキソンから成り立ち、そのうちのエキソン1をPGKneoカセットで置き換えるような相同組み換え用ベクターを作製した。すなわちXba I−Xba I(1.9kb)、Sma I−Xba I(6.0kb)フラグメントをPGKneoカセットの上流と下流に配置した。エキソン1は膜貫通ドメインの2の途中までを含む。
(2)相同組み換えによるマウスヒスタミン受容体H3遺伝子改変ES細胞の樹立
相同組み換え用ベクターをエレクトロポレーションによりマウス由来のES細胞(129系統由来)に導入し、G418選別を行いネオマイシン耐性クローンを得た。相同組み換えによってヒスタミン受容体H3遺伝子を欠失させたES細胞クローンをサザンハイブリダイゼーション解析によって、遺伝子組み換えが生じているか否かを確認した。野生型のアリルと相同組み換えが起きたアリルの選別には相同組み換えによって新たに生じたBam HIの多型を検出することで行った。検出には上記のXba I−Xba Iフラグメント上の865bp(left probe)、Sma I−Xba Iフラグメント上の965bp(right probe)の領域をプローブとして用いた。
(3)ヒスタミン受容体H3遺伝子改変ES細胞によるキメラマウスの作製
ヒスタミン受容体H3遺伝子欠損ES細胞(129系統由来)を胚盤胞(C57BL/6N由来)に注入した。ES細胞を注入した胚盤胞は、その日のうちに直接仮親の子宮に移植し、キメラマウスを出産させた。
(4)1世代目(F1)のヒスタミン受容体H3遺伝子改変マウスの作製およびその遺伝子改変マウスの解析
ヘテロ接合型遺伝子改変マウス(F1)を作製した。ヘテロ接合型遺伝子改変マウスの雌雄を交配させること(インタークロス)によりホモ接合型遺伝子改変マウスを得た。1世代目のホモ接合型遺伝子改変マウスは発生過程に問題は認められず発生、生育に野生型マウスのリターメイト(同腹仔)と比べて顕著な違いは認められなかった。体重も遺伝子改変マウスを作製しただけでは野生型マウスとの差は認められなかった(図1)。
[実施例2]戻し交配(バッククロス)による2世代目以降のヒスタミン受容体H3遺伝子改変マウスの作製およびその遺伝子改変マウスの解析
遺伝子改変マウスはその作製過程上129系統とC57BL/6系統のハイブリッドとして作製されてしまう。そのために体重などの重要な生体パラメーター並びに行動学的パラメーターなどが観察できない場合がある。このような遺伝子改変マウス作製過程で生じた遺伝的背景をなくすために、本発明者らは、戻し交配という手法で、2世代目以降の遺伝子改変マウスを作製した。
戻し交配は生後10週を過ぎたヘテロ接合型遺伝子改変マウスのオスをC57BL/6Nのメスと交配させて行った。交配翌日からC57BL/6Nのメスのプラグチェックを行った。プラグが確認され次第、ヘテロ接合型遺伝子改変マウスのオスには別のC57BL/6Nのメスとの交配を開始させた。プラグが観察されたC57BL/6Nのメスには巣作り用のマテリアルを与えた。約20日後に出産を確認した。
生まれた仔は生後4週目に離乳させ雌雄を別けた(1ケージあたり5匹以下)。離乳時に尾の切断を行い同時にイアーパンチにより動物識別タグを付けた。尾の切断は手術用はさみで尾の末端約1センチを切断した。切断した尾からゲノムDNAを抽出、精製しサザン解析により遺伝子型の判定を行った。遺伝子型の判定によって野生型とヘテロ接合型遺伝子改変マウスの識別を行った。
ヘテロ接合型遺伝子改変マウスのオスは再びC57BL/6Nのメスと交配を開始する。交配、出産に世代あたり約4ヶ月かかる。以上のC57BL/6Nへの戻し交配を3世代行った。得られた4世代目のヘテロ接合型遺伝子改変マウスの雌雄を交配させることでホモ接合型遺伝子改変マウスを作製した。ヘテロ接合型遺伝子改変マウスの雌雄の交配にも生後10週以降のマウスを使用した。
以下は戻し交配と同様に行った。4世代目のヘテロ接合型遺伝子改変マウスの雌雄を交配によって得られたリターメイトの体重を調べた。その結果を図2に示す。4世代目のホモ接合型遺伝子改変マウスでは、野生型マウスに比べ、その体重が有意に増加していることが確認された。また、生後19週から2週間摂食量を測定した。約80グラムのPA−1(普通食)をセットし翌日重量を測定した。これを毎日測定した。その結果、ホモ接合型遺伝子改変マウスで摂食量が有意に増加していた(図3)。
さらに、血中パラメーター(自由摂食時)の測定も行った。生後11から15週齢までのマウスの尾静脈よりヘパリン採血を行い血漿を調製し、ELISA法(Morinaga)によりインスリン量、レプチン量を測定した。その結果ホモ接合型遺伝子改変マウスで血中インスリン量とレプチン量が有意に上昇していた(図4、5)。
産業上の利用の可能性
本発明らによって、ヒスタミン受容体H3遺伝子と体重または摂食量の変化との関連性が見出された。このことから、本発明者らによって、体重または摂食量を調節する化合物の同定またはスクリーニング方法が提供された。該スクリーニング方法により単離される化合物は、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療のための化合物となることが期待される。さらに、ヒスタミン受容体H3遺伝子の変異および発現量を調べることにより、上記疾患の検査が可能となった。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
図1は、生後20週目の野生型マウスと1世代目のヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウスの体重を示す図である。WTは野生型マウス、KOはヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウス(1世代目)を示す。
図2は、生後20週目の野生型マウスとヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウス(4世代目)の体重を示す図である。WTは野生型マウス、KOは4世代目のヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウスを示す。
図3は、生後19週目から2週間目までの野生型マウスとヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウス(4世代目)の24時間あたりの摂食量を示す図である。WTは野生型マウス、KOは4世代目のヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウスを示す。
図4は、野生型マウスと4世代目のヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウスの血中インスリン量を示す図である。WTは野生型マウス、KOは4世代目のヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウスを示す。
図5は、野生型マウスと4世代目のヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウスの血中レプチン量を示す図である。WTは野生型マウス、KOは4世代目のヒスタミン受容体H3遺伝子ホモ接合型ノックアウトマウスを示す。

Claims (28)

  1. 以下の(a)〜(d)のいずれかを有効成分とする、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための薬剤。
    (a)ヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNA
    (b)ヒスタミン受容体H3タンパク質
    (c)ヒスタミン受容体H3タンパク質のアゴニスト
    (d)ヒスタミン受容体H3タンパク質のアンタゴニスト
  2. アゴニストがN−α−メチルヒスタミン(methylhistamine)、R−α−メチルヒスタミン(methylhistamine)、BP2.94、SCH50971、SCH49648、イミテット(Imitet)、イメピップ(Immepip)、GT2104、およびGT5140からなる群より選択される、請求項1に記載の薬剤。
  3. アンタゴニストがクロベンプロピット(Clobenpropit)、シプロキシファン(Ciproxifan)、BP2.421、BP3.359、BP3.181、AQ−0145、UCL1390、UCL1409、UCL1199、SCH−49648、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects)No 5376、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects)No 4584、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects)No 4841、4−(3−(4−エチニルフェノキシ)プロピル)−1H−マレイン酸イミダゾール(4−(3−(4−Ethynylphenoxy)propyl)−1H−imidazole maleate)、およびGR−175737からなる群より選択される、請求項1に記載の薬剤。
  4. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法。
    (a)ヒスタミン受容体H3タンパク質と被験化合物を接触させる工程
    (b)前記ヒスタミン受容体H3タンパク質と被験化合物との結合を検出する工程
    (c)前記ヒスタミン受容体H3タンパク質と結合する被験化合物を選択する工程
  5. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法。
    (a)ヒスタミン受容体H3遺伝子を発現する細胞に、被験化合物を接触させる工程
    (b)該ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現レベルを測定する工程
    (c)被験化合物を接触させない場合と比較して、該発現レベルを上昇または減少させる化合物を選択する工程
  6. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法。
    (a)ヒスタミン受容体H3遺伝子の転写調節領域とレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被験化合物を接触させる工程
    (b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程
    (c)工程(b)において測定したレポーター遺伝子の発現レベルを、被験化合物の非存在下において測定した場合と比較して、上昇または減少させる化合物を選択する工程
  7. ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている非ヒト高等動物細胞。
  8. ヒスタミン受容体H3遺伝子の遺伝子対の一方または双方の遺伝子が改変していることを特徴とする非ヒト高等動物細胞であって、個体へ分化させることが可能な請求項7に記載の非ヒト高等動物細胞。
  9. 非ヒト高等動物がマウスである、請求項7または8に記載の非ヒト高等動物細胞。
  10. ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている非ヒト高等動物。
  11. ヒスタミン受容体H3遺伝子の遺伝子対の一方または双方の遺伝子が改変していることを特徴とする請求項10に記載の非ヒト高等動物。
  12. 体重、摂食量、血中インスリン量、または、血中レプチン量のいずれかの増加を表現型とする請求項10または11に記載の非ヒト高等動物。
  13. 非ヒト高等動物がげっ歯類である、請求項10〜12のいずれかに記載の非ヒト高等動物。
  14. げっ歯類がマウスである、請求項13に記載の非ヒト高等動物。
  15. 請求項10〜14のいずれかに記載の非ヒト高等動物から調製されたヒスタミン受容体H3遺伝子の発現が人為的に抑制されている非ヒト高等動物細胞。
  16. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の治療または予防のための医薬品候補化合物のスクリーニング方法。
    (a)被験化合物を請求項10〜14のいずれかに記載の非ヒト高等動物に投与する工程
    (b)該非ヒト高等動物の体重、摂食量、血中インスリン量、または、血中レプチン量のいずれかを測定する工程
    (c)被験化合物を投与していない場合と比較して、体重、摂食量、血中インスリン量、または、血中レプチン量のいずれかを変化させる化合物を選択する工程
  17. ヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子の制御領域におけるDNAの変異を検出する工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
  18. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項17に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
    (a)被検者からDNA試料を調製する工程
    (b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを単離する工程
    (c)単離したDNAの塩基配列を決定する工程
    (d)工程(c)により決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する工程
  19. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項17に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
    (a)被検者からDNA試料を調製する工程
    (b)調製したDNA試料を制限酵素により切断する工程
    (c)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
    (d)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
  20. 以下の(a)〜(e)の工程を含む、請求項17に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
    (a)被検者からDNA試料を調製する工程
    (b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する工程
    (c)増幅したDNAを制限酵素により切断する工程
    (d)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
    (e)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
  21. 以下の(a)〜(e)の工程を含む、請求項17に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
    (a)被検者からDNA試料を調製する工程
    (b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する工程
    (c)増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる工程
    (d)解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する工程
    (e)分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
  22. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項17に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
    (a)被検者からDNA試料を調製する工程
    (b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する工程
    (c)増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する工程
    (d)分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
  23. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項17に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
    (a)被検者からDNA試料を調製する工程
    (b)被検者由来のヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするDNAを増幅する工程
    (c)増幅したDNAを、質量分析器で分離する工程
    (d)分離したDNAの質量を対照と比較する工程
  24. ヒスタミン受容体H3遺伝子の発現量または発現した遺伝子の分子量を検出する工程を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
  25. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、請求項24に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
    (a)被検者からRNA試料を調製する工程
    (b)該RNA試料に含まれるヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするRNAの量または分子量を検出する工程
    (c)検出されたヒスタミン受容体H3タンパク質をコードするRNAの量または分子量を対照と比較する工程
  26. 以下の(a)〜(c)の工程を含む、請求項24に記載の体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査方法。
    (a)被検者からタンパク質試料を調製する工程
    (b)該タンパク質試料に含まれるヒスタミン受容体H3タンパク質の量または分子量を検出する工程
    (c)検出されたヒスタミン受容体H3タンパク質の量または分子量を対照と比較する工程
  27. ヒスタミン受容体H3遺伝子または該遺伝子の制御領域にハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査薬。
  28. ヒスタミン受容体H3タンパク質に結合する抗体を含む、体重または摂食量の変化を特徴とする疾患の検査薬。
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