JP2005237367A - ホスホリパーゼCεを分子標的とした新規抗がん剤のスクリーニング方法 - Google Patents

ホスホリパーゼCεを分子標的とした新規抗がん剤のスクリーニング方法 Download PDF

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【課題】 Rasの標的蛋白質の中で細胞の癌化に重要な役割を果たしている物質を見出し、同物質を分子標的とした新規抗がん剤のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】 ホスホリパーゼCε(PLCε)の染色体遺伝子を欠損させたノックアウトマウスを作製したところ、このマウスが化学発癌剤による皮膚腫瘍[初期の良性腫瘍(パピローマ)ならびにそれが進展した悪性腫瘍(扁平上皮癌)の両方]の発生に強い抵抗性を示すことを見出した。したがって、PLCεはras癌遺伝子による細胞の癌化に重要な役割を担っていると判断され、その機能阻害剤は抗がん剤として有望である。本発明は、新規抗がん剤のスクリーニング方法として、PLCεの酵素活性阻害剤の検索、および、PLCεとRas蛋白との結合阻害剤の検索の2つの方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホスホリパーゼCε(PLCε)を分子標的とした新規抗がん剤のスクリーニング方法に関するものであり、新規抗がん剤の開発およびそのリード化合物の発見に有用な発明である。
癌遺伝子として知られるras遺伝子には、これまで3種類の遺伝子(Ha-ras, Ki-ras, N-ras)の存在が報告されている。そして、これらの翻訳産物である蛋白質Ha-Ras, Ki-Ras, N-Rasは、いずれも低分子量GTP結合蛋白質であり、ほぼ同じ働きを有していると考えられている(以下では、これらras遺伝子によってコードされるRas蛋白質を単に「Ras」という)。
ヒトで発生する全悪性新生物(悪性腫瘍)のうち、約20%において上記ras遺伝子が突然変異により活性化されており、このras遺伝子の活性化が発癌の原因になっていると考えられている。特に、膵臓癌では70−90%、大腸癌では40−50%の割合でKi-rasが、皮膚癌では20−30%の割合でHa-rasが、骨髄球性白血病では約30%の割合でN-rasが活性化されている。このようにras遺伝子の活性化が関係する癌に対して、Rasの機能を抑制できる抗がん剤が開発できれば、その社会的かつ経済的効果は甚大である。
ところで、従来から発癌に関わる細胞内情報伝達系を構成する蛋白質を分子標的とした抗がん剤の開発が進められている。比較的最近の例であるが、慢性骨髄性白血病の治療薬として認可されたチロシンキナーゼablの選択的阻害剤であるGleevec(商品名「グリベック」)が最大の成功例である(例えば、総説としてNature 416, 470-474, 2002)。それ以外にも幾つかの分子標的薬が開発されている。
上述のようにRasの機能の阻害剤は抗がん剤として有望であり、現在までのところ、Rasの翻訳後修飾であるファルネシル化を阻害する薬剤であるファルネシル化阻害剤が幾つかの製薬会社によって開発され治験中である。しかし、未だ認可の下りたものはない。また、ファルネシル化阻害剤の抗腫瘍作用はRas以外の標的への作用が重要であるとの報告がある。
さらに、Rasは細胞の増殖に必須の蛋白質であるので、ファルネシル化阻害剤等の様なRasそのものを分子標的とした薬剤の投与によるRasの機能の全面的な抑制は、正常細胞の増殖抑制も引き起こし、副作用が大きい。
Rasは、複数の標的蛋白質(エフェクター)と結合することにより、細胞増殖シグナルを細胞核に伝える。これらの標的蛋白質の中で、Rafキナーゼ(Raf-1, B-Raf)が細胞癌化に関与することが一部の培養線維芽細胞株を用いた実験やある種の癌細胞(悪性黒色腫など)のゲノム解析により示唆されてきたが、一方でまたRaf以外の別の標的蛋白質も細胞癌化に必要なことが示唆されていた。しかし、Raf以外のいずれの標的蛋白質が細胞の癌化に重要かは不明であった。
Rasの標的蛋白質の1つとして、酵素ホスホリパーゼCεが知られている。このホスホリパーゼCεは、最初に線虫において、Rasに結合する新規なホスホリパーゼCとして本発明者によって発見され、その全構造が決定された(下記の非特許文献1・2参照)。また本発明者は、ヒトにおいてホスホリパーゼCεを発見し、その全構造を決定すると共に、Rasとの結合による同酵素の活性調節について明らかにした(下記の非特許文献3・4参照)。
上記ホスホリパーゼCεについて更に研究解析を進めた結果、本発明者は、(1)ヒト・ホスホリパーゼCεと低分子量GTP結合蛋白質Rap1との相互作用、ならびに細胞増殖因子刺激に伴うRasおよびRap1を介したホスホリパーゼCεの活性化(下記の非特許文献5・6参照)、(2)マウス・ホスホリパーゼCεの全構造の決定と神経細胞の分化に伴う発現誘導(下記の非特許文献7・8参照)についても明らかにした。
その他に、下記の非特許文献9・10にも、上記ホスホリパーゼCεの構造等について報告がある。しかし、ホスホリパーゼCεが細胞の癌化に重要な役割を果たしていることはこれまで知られていなかった。
GenBank/EBI accession number:AF190642 J. Biol. Chem. 273, 6218-6222, 1998 GenBank/EBI accession number:AF044576 J. Biol. Chem. 276, 2752-2757, 2001 J. Biol. Chem. 276, 30301-30307, 2001 Oncogene 21, 8105-8113, 2002 DDBJ/EMBL/GenBank accession number:AB076247 Eur. J. Neurosci. 17, 1571-1580, 2003 Lopez, I. et al. J. Biol. Chem. 276, 2758-2765, 2001 Kelley, G. G. et al. EMBO J. 20, 743-754, 2001
前述のようにRasの機能の阻害剤は抗がん剤として有望であるものの、Rasそのものを分子標的とした薬剤の投与によるRasの機能の全面的な抑制は、正常細胞の増殖抑制も引き起こし、副作用が大きい。
また、Rasの標的蛋白質の1つである前記Rafキナーゼを分子標的とした抗がん剤の開発も考えられるが、Rafキナーゼも細胞増殖に必須であり、その機能の全面的な阻害は正常細胞の増殖抑制も引き起こしてしまうという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、Rasの標的蛋白質の中で細胞の癌化に重要な役割を果たしている物質を見出し、同物質を分子標的とした新規抗がん剤のスクリーニング方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、(1)前記ホスホリパーゼCεの染色体遺伝子を欠損させたノックアウトマウスを作製したところ、このマウスが化学発癌剤による皮膚腫瘍[初期の良性腫瘍(パピローマ)ならびにそれが進展した悪性腫瘍(扁平上皮癌)の両方]の発生に強い抵抗性を示すこと、(2)したがって、ホスホリパーゼCεはras癌遺伝子による発癌に重要な標的蛋白質であると判断されること、(3)ホスホリパーゼCεを分子標的とした抗がん剤の開発には優れた点が多く、ホスホリパーゼCεの機能の阻害剤は抗がん剤として有望であること、等を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、医学上および産業上有用な発明として、下記A)〜K)の発明を含むものである。
A) ホスホリパーゼCεの酵素活性を阻害する物質を検索することを特徴とする新規抗がん剤のスクリーニング方法。
B) 試験管内または細胞内にて、被検物質投与に対するホスホリパーゼCεの酵素活性を測定することを特徴とする上記A)記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
C) ホスホリパーゼCεの全長蛋白質、または酵素活性領域を含む部分蛋白質を発現させ、その酵素活性を測定することを特徴とする上記B)記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
D) ホスホリパーゼCεまたはその酵素活性領域の高次構造の情報を用いることを特徴とする上記A)〜C)のいずれかに記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
E) ホスホリパーゼCεとRas蛋白質との結合を阻害する物質を検索することを特徴とする新規抗がん剤のスクリーニング方法。
F) 試験管内または細胞内にて、被検物質投与に対するホスホリパーゼCεとRas蛋白質との結合阻害の有無を測定することを特徴とする上記E)記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
G) ホスホリパーゼCεの全長蛋白質、またはそのRas結合領域を含む部分蛋白質を発現させ、Ras蛋白質との結合阻害の有無を測定することを特徴とする上記F)記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
H) ホスホリパーゼCεもしくはそのRas結合領域の高次構造の情報、又は、ホスホリパーゼCεとRas蛋白質との複合体の高次構造の情報を用いることを特徴とする上記E)〜G)のいずれかに記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
I) 上記A)〜G)のいずれかに記載のスクリーニング方法を用いて得られた抗がん剤。
J) ゲノム中のホスホリパーゼCε遺伝子配列の全部または一部を改変することにより得られ、相同染色体上の双方のホスホリパーゼCε遺伝子が破壊されたことを特徴とするノックアウト非ヒト動物。
K) 心臓疾患の研究解析に使用されることを特徴とする上記J)記載のノックアウト非ヒト動物。
本発明は、ホスホリパーゼCεを分子標的として新規抗がん剤をスクリーニングする方法である。ホスホリパーゼCεは酵素であり、酵素阻害剤の探索が比較的容易な上、RasやRafキナーゼの阻害剤と比較して、ホスホリパーゼCεの阻害剤は遥かに副作用が少ないと考えられるので、ras癌遺伝子の活性化が関係する種々の癌(例えば、上皮がん等)に対する新規抗がん剤として、あるいはそのリード化合物として有望である。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
前述のように、本発明者は、ホスホリパーゼCεの染色体遺伝子を欠損させたノックアウトマウスを作製したところ、このマウスが化学発癌剤による皮膚腫瘍[初期の良性腫瘍(パピローマ)ならびにそれが進展した悪性腫瘍(扁平上皮癌)の両方]の発生に強い抵抗性を示すことを発見した。尚、実験の詳細は、後述の実施例において説明する。
上記実験に用いた化学発癌系は、7, 12-dimethylbenz(a)anthracene (DMBA) をイニシエーターに、12-O-tetradecanoyl-phorbor-13-acetate (TPA) をプロモーターに用いる二段階皮膚発癌系という最も有名な系であり、この系では、DMBA処理によりHa-ras遺伝子が活性化されることが判明している。実際、上記ノックアウトマウスに発生したパピローマにおいてもHa-ras遺伝子の活性化は起こっていた。
上記実験結果は、ホスホリパーゼCεがras癌遺伝子による発癌に必要な標的蛋白質であることを示すものであり、少なくとも皮膚腫瘍発生において、ホスホリパーゼCεが癌化に重要な標的蛋白質であることを個体レベルで初めて明らかにしたものといえる。
さらに、ホスホリパーゼCεは、RasやRafキナーゼのように細胞増殖に必須ではなく、ホスホリパーゼCεを欠損するマウスは長期生存可能である。これらの知見から、ホスホリパーゼCεの機能を選択的に阻害する分子標的薬を開発すれば、その投与は細胞の癌化を抑制するのみで、他の副作用が非常に少ないことが強く期待される。
ところで、ホスホリパーゼCは、その基質phosphatidylinositol 4,5-bisphosphate (PIP2)を加水分解し、重要な細胞内二次メッセンジャーであるinositol 3,4,5-trisphosphate (IP3)とdiacylglycerol (DAG) を産生する酵素である。このホスホリパーゼCには、β,γ,δ,ε,ζの5分子種が知られており、上記ホスホリパーゼCε(PLCε)もその中の1つである。ホスホリパーゼCの活性阻害剤については、いくつか報告されているが、分子種特異的なものはなく、あまり良いものは発見されていない。一番有名な阻害剤は、U73122であるが、分子種特異的ではなく作用機構も不明である。さらに、文献的には、ホスホリパーゼC酵素活性阻害剤としてSC-alpha alpha delta(Mol. Cancer Ther. 1, 885-892, 2002)などが報告されているが、分子種特異的ではなく、他の作用も有している。
このように、ホスホリパーゼCの分子種特異的な阻害剤は未だ良いものが見つかっておらず、ホスホリパーゼCεの選択的阻害剤も未だ発見されていない。本発明は、新規抗がん剤として有望なホスホリパーゼCεの選択的阻害剤のスクリーニング方法を提供するものである。具体的には、(1)ホスホリパーゼCεの酵素活性阻害剤の検索と、(2)ホスホリパーゼCεとRasとの結合の阻害剤の検索との2つのスクリーニング方法に大別される。
(1)ホスホリパーゼCεの酵素活性阻害剤の検索
まず、試験管内活性測定系(cell-free system)でのスクリーニング方法を挙げることができる。例えば、本発明者は、ヒトおよびマウスのホスホリパーゼCεをバキュロウイルスベクターを用いて昆虫細胞にて発現して精製する系を開発し、精製したホスホリパーゼCεを用いて酵素活性を測定できる試験管内系を開発している(ヒト・ホスホリパーゼCεについては、J. Biol. Chem. 276, 2752-2757, 2001参照)。この系を用いて、様々の有機化合物のホスホリパーゼCε酵素活性阻害作用を測定することが可能である。
上記文献記載のホスホリパーゼCε酵素活性測定方法は、放射性同位元素標識された基質PIP2を用いる一般的方法であるが、多数の有機化合物のマススクリーニングのためには、例えば蛍光標識された基質が加水分解された時のみ蛍光を発生する活性測定系を用いることが好ましい。このような方法として、例えば文献Rukavishnikov, A. et al. Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 9, 1133-1136, 1999に記載の方法を挙げることができる。
他のホスホリパーゼC分子種であるβ,γ,δ,ζの活性阻害も全く同様の方法で並行して測定し、ホスホリパーゼCεを選択的に阻害するものを選び出すことができる。このとき、仮にホスホリパーゼ分子種に対して選択性を持たない阻害剤しか上記スクリーニングで発見できない場合でも、その物質をホスホリパーゼCε選択的阻害剤を分子設計により作り出すリード化合物として用いることができる。この分子設計の過程で、ホスホリパーゼCεとりわけその酵素活性領域(触媒部分)の高次構造の情報が非常に有用である。このような情報は、例えばホスホリパーゼCεの酵素活性領域のみを遺伝子組換え技術を用いて大量発現して精製し、結晶化の後、X線回折により高次構造を決定することで取得可能である。
尚、ここで酵素活性領域とは、ホスホリパーゼCεのXドメイン、Yドメイン、およびC2ドメインを含む領域をいい(図1参照)、例えばヒト・ホスホリパーゼCεの場合、そのアミノ酸配列中、少なくとも1392〜1944番目のアミノ酸配列を含む領域をいう。
勿論、本発明のスクリーニング方法は、上記例示の方法に限定されるものではなく、これとは異なる公知の種々の酵素活性測定方法が適用可能である。例えば、ホスホリパーゼCεの上記酵素活性領域を含む部分蛋白質を大腸菌等により発現させ、その酵素活性を測定するものであってもよい。
また、上記の方法は、試験管内反応系(cell-free system)でのスクリーニング方法であったが、培養細胞等を用いて細胞内で酵素活性を測定することによりスクリーニングを行ってもよい。細胞レベルでホスホリパーゼCの活性を測定する方法としては、例えば細胞を細胞増殖因子やホルモンなどで刺激し、活性化されたホスホリパーゼCが生成するIP3が小胞体から遊離させるカルシウムイオンの濃度上昇を蛍光標識カルシウム指示薬 (Fura-2やFluo-3等)を用いて検出する方法を挙げることができる。もっとも、この方法の場合、細胞内にはホスホリパーゼCε以外の種類のホスホリパーゼCも存在するので、それらも一緒に活性化されるといった問題が生ずる。そこで、ホスホリパーゼCεの活性のみを測定できる系を開発することが望ましい。例えば文献Oncogene 21, 8105-8113, 2002に記載されるように、ホスホリパーゼCγの活性化に必要な領域を欠損した細胞増殖因子受容体 (PDGF受容体) を発現する細胞などを用いることによって、ヒト・ホスホリパーゼCεの活性のみを測定できる系を開発することができる。さらに、このような細胞を用いることによって、ホスホリパーゼCε阻害剤をマススクリーニングする系を確立することができる。
(2)ホスホリパーゼCεとRasとの結合の阻害剤の検索
この場合のスクリーニング方法としては、物質間の結合の有無や解離の有無を調べる従来公知の種々の方法を適用することができ、特に限定されるものではない。例えば、本発明者は、ヒト・ホスホリパーゼCεのRas結合ドメイン(RAドメイン:図1参照)を大腸菌内で大量に発現して精製し、試験管内でRasとの結合を検出する系を確立しており (J. Biol. Chem. 276, 2752-2757, 2001参照)、この系を用いてホスホリパーゼCεとRasとの結合阻害を測定することができる。
上記文献記載の結合測定系においては、結合したRasの定量にウエスタンブロット法を用いているが、阻害剤のマススクリーニングに向けて98 wellまたは384 wellのマイクロタイタープレート等にヒト・ホスホリパーゼCεのRAドメインを固定し、それに結合したRasを酵素、蛍光色素あるいは放射性同位元素で標識した抗体によって検出する系を確立することも可能である。
さらに同様の方法により、Rafなどの他の標的蛋白質とRasとの結合阻害も調べ、ヒト・ホスホリパーゼCεのRAドメインとRasとの結合のみを選択的に阻害する物質を検索することは好ましい。
ホスホリパーゼCεとりわけそのRAドメインの高次構造の情報、並びに、ホスホリパーゼCεのRAドメインとRasとの複合体の高次構造の情報は、ホスホリパーゼCεとRasとの結合を特異的に阻害する阻害剤の分子設計に有用であるので、このような情報を利用するものであってもよい。
さらに、酵母two-hybrid法を用いて、ヒト・ホスホリパーゼCεのRAドメインとRasとの結合を検出することも可能であり、この系により酵母細胞を使って結合阻害剤をスクリーニングすることができる。この場合、Raf−1とRasとの結合阻害剤の発見に用いられたように、酵母の有機物質透過性を上昇させた株を用いることが好ましい(Kato-Stankiewicz, J. et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 14398-14403, 2002参照)。
そのほか、(1)ホスホリパーゼCεのRAドメインをカラムに固定してこれと結合する物質を検索する方法や、(2)免疫沈降―免疫ブロット法を用いてホスホリパーゼCεとRasとの結合を阻害する物質を検索する方法など、物質間の結合の有無や解離の有無を調べる従来公知の種々の方法を本発明のスクリーニング方法に適用可能である。
ホスホリパーゼCεとRasとの結合阻害剤をスクリーニングする方法の場合、使用するホスホリパーゼCεは全長蛋白質であってもよいが、上述のようにRas結合領域(RAドメイン)を含む部分蛋白質であっても勿論よい。同様に、この場合に使用するRasは全長蛋白質であってもよいし、部分蛋白質であってもよい。
尚、Ras結合領域(RAドメイン)は、例えばヒト・ホスホリパーゼCεの場合、そのアミノ酸配列中、2135〜2238番目の領域に相当する。
ホスホリパーゼCε、Rasなどの各蛋白質について、ヒト以外のもの、例えば、マウスホモログやラットホモログ、その他の生物の各ホモログを用いて本発明のスクリーニングを行ってもよい。また、常法にしたがってこれら野生型蛋白質の一部アミノ酸を置換または欠失させ、あるいはリン酸化を施したり、別のアミノ酸配列を付加する等して改変した蛋白質を使用してもよい。
(3)本発明のPLCεノックアウト動物
本発明のPLCεノックアウト動物、即ち、ゲノム中のホスホリパーゼCε遺伝子配列の全部または一部を改変することにより得られ、相同染色体上の双方のホスホリパーゼCε遺伝子(以下、「PLCε遺伝子」という。)が破壊された非ヒト動物は、遺伝子ターゲッティング法を用いて作製することができる。
尚、ここで「PLCε遺伝子が破壊された」とは、換言すれば、PLCε本来の機能(酵素活性)を持った蛋白質が発現されないことを意味する。したがって、PLCε本来の酵素活性を持たないPLCε蛋白の一部断片(ポリペプチド)が発現されるものであってもよい。
遺伝子ターゲッティング法は、通常の方法にしたがって行えばよい。一例を挙げれば、まず、相同組換えのためのターゲッティングベクター(ターゲッティングコンストラクト)を構築する。ターゲッティングベクターは、公知の方法により作製することができ、大略、PLCεゲノムDNAクローン、市販のプラスミド、ポジティブセレクション用のマーカー(PGK−neoカセット等)、およびネガティブセレクション用のマーカー(DTA遺伝子、HSV−tk遺伝子等)などの各フラグメントを適切に連結することにより作製することができる。このとき、目的とする制限酵素切断部位が適切な位置に配されるようターゲッティングベクターを設計するとよい。また、ターゲッティングの効率は相同領域の長さに依存するので、相同領域はできるだけ長いほうが好ましい。さらに、ターゲッティングベクターは環状より直鎖状のほうが好ましいので、直鎖状化のため相同領域以外の部分に一カ所適当な制限酵素切断部位を設けておくとよい。
上記方法により作製したPLCε遺伝子ターゲッティングベクターを、ES細胞等の対象動物由来の全能性細胞にエレクトロポレーション法等により導入し、その後、目的とする相同組換えが起こった細胞を選別する。選別は、ポジティブ−ネガティブ選択法により薬剤を用いて効率よくスクリーニングできる。選別後、目的とする相同組換えが起こった細胞を、サザンブロットやPCR法などによって確認する。最終的に相同組換えが確認された全能性細胞を、妊娠中の子宮から採取された胚盤胞(ブラストシスト)に導入する。胚盤胞への細胞の導入は、マイクロインジェクション法等により行うことができるが、これに限定されるものではない。
上記胚盤胞を常法に従い仮親に移植する。仮親から生まれた生殖系列キメラ動物(好ましくは雄)と、野生型PLCε遺伝子をホモで持つ野生型動物(好ましくは雌)とを交配させることにより、第1世代(F1)として、相同染色体上の一方のPLCε遺伝子が相同組換えにより破壊されたヘテロ接合体を得ることができる。さらに、これらヘテロ接合体同士を交配させることにより、第2世代(F2)として、相同染色体上の双方のPLCε遺伝子が破壊されたホモ接合体、即ち本発明のPLCεノックアウト動物を得ることができる。ホモ接合体の同定は、体の一部(例えば尻尾)を切断し、DNAを抽出してサザンブロットやPCR法などによって遺伝子型を調べればよい。また、第2世代(F2)として、PLCεノックアウト動物と同腹の野生型動物(野生型遺伝子をホモで持つ)を得ることができるが、この野生型動物は対照実験に好適に用いることができる。
以上説明した遺伝子ターゲッティング法は、あくまでその一例を示すものであって、公知の種々の変更が可能であることはいうまでもない。
PLCεノックアウト動物の対象となる動物は、特に限定されるものではないが、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどの哺乳動物が例示される。これらのうち、実験動物として用いるには、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットが好ましく、なかでも齧歯目がさらに好ましく、近交系が多数作出されており、受精卵の培養、体外受精等の技術が整っているマウスが、特に好ましい。また、全能性細胞としては、受精卵や初期胚のほか、多分化能を有するES細胞、体性幹細胞のような培養細胞を対象とすることができる。
本発明のPLCεノックアウト動物は、第1にPLCε遺伝子の機能解析に利用できるものであるが、PLCεと細胞癌化との関係について個体レベルで解析するツールとしても有用である。例えば、活性化したRasを臓器特異的に発現するマウスと交配させ、癌化が抑制されるかどうかを調べる実験等に利用してもよい。
また、本発明者が実際にPLCεノックアウトマウスを作製したところ、先天性の軽度〜中等度の大動脈弁の狭窄を伴う閉鎖不全と代償性の左心室の拡張を示した(後述の実施例参照)。この結果から、本発明のPLCεノックアウト動物は、心臓疾患の研究解析に利用することができ、とりわけ先天性大動脈弁閉鎖不全症のモデル動物としての利用が可能である。同疾患は、ヒトの先天性心臓病に一番多いと言われており、その発症メカニズムや病態解明などへの利用が期待できる。
以下、本発明の基礎をなす、PLCεノックアウトマウスの作製、および同ノックアウトマウスを用いた皮膚発癌実験の結果について、図面を参照しながら説明する。
〔実施例1:PLCεノックアウトマウスの作製〕
上述の遺伝子ターゲッティング法により、PLCεノックアウトマウスを作製した。図2には、使用したターゲッティングコンストラクトの構造が示される。同図に示すように、この遺伝子ターゲッティング法では、PLCεの触媒部分に相当するXドメインをコードするエクソンをneo遺伝子で置換したPLCεノックアウトマウスを作製した。尚、図中、「WT」は野生型のPLCεアレル、「KO」はノックアウトマウスにおけるPLCεアレル、「Transcripts of KO」はノックアウトマウスにおけるPLCε転写産物をそれぞれ示す。
上記方法により作製したノックアウトマウスの遺伝子型は、サザンハイブリダイゼーションおよびPCR法により決定した。PCR法による解析結果が図3に示される。同図に示すように、PLCεノックアウトマウス(KO)では、野生型のPLCεアレル(WTアレル)は増幅されず、Xドメインの一部エクソンがPGK-neoカセットで置換されたKOアレルのみバンドが検出された。野生型マウス(WT)では、WTアレルのみ増幅され、相同染色体上の一方のPLCε遺伝子が相同組換えにより破壊されたヘテロ接合体(H)では、WTアレルおよびKOアレルの双方が増幅された。
以上の解析結果から、作製したノックアウトマウス(KO)では、相同染色体上の双方のPLCε遺伝子が破壊されていることが確認された。
〔実施例2:PLCεノックアウトマウスにおけるパピローマの形成抑制〕
上記方法により作製したPLCεノックアウトマウスに対し、前述のように、DMBAをイニシエーターに用い、TPAをプロモーターに用いた二段階皮膚発癌系によって皮膚化学発癌処理を施し、この皮膚化学発癌に対するPLCε遺伝子破壊の影響を検討した。
実験では、野生型マウス(WT)、PLCε遺伝子の一方が破壊されたヘテロ接合体(H)、および、PLCεノックアウトマウス(KO)の各マウスに対して、DMBAによるイニシエーションの後、20週間TPAによるプロモーションを行い、その間およびその後に形成されたパピローマ(初期の良性腫瘍である皮膚腫瘍)を観察した。
図4は、イニシエーションの後30週目の各マウスの様子を示すものであり、同図に示すように、野生型マウス(WT)に比べてPLCεノックアウトマウス(KO)では、形成されたパピローマの数が少なく、またその大きさも顕著に小さかった。
図6は、イニシエーション後20週目までの各マウスにおけるパピローマの発生数の推移を比較して示すグラフであり、図7は、イニシエーション処理から20週後の各マウスにおけるパピローマの大きさを比較して示すグラフである。これらのグラフに示すように、野生型マウス(WT)に比べてPLCεノックアウトマウス(KO)では、パピローマの発生が遅い傾向があり、数も少なく、また、6mmより大きい腫瘍は発生しなかった。
以上の結果から、PLCεノックアウトマウスは、野生型マウスと比較して、化学発癌剤によって誘導されるパピローマの発生に強い抵抗性を示し、パピローマの形成が顕著に抑制されることが示された。
〔実施例3:PLCεノックアウトマウスにおける悪性腫瘍の形成抑制〕
上記化学発癌剤によって誘導される皮膚腫瘍は、初期の良性腫瘍(パピローマ)が進展すると、悪性腫瘍(扁平上皮癌)の発生する場合がある。
下記の表1は、野生型マウス(WT)、ヘテロ接合体(Hetero)、およびPLCεノックアウトマウス(KO)の各マウスについて、このような悪性腫瘍の発生数および発生割合を、実験開始後30週目において直径2 mm以上の腫瘍について解析し、まとめたものである。
上記表1に示すように、PLCεノックアウトマウスでは、悪性腫瘍はまったく発生しなかった。
あわせて、野生型マウス(WT)では悪性腫瘍が形成されているのに対して、PLCεノックアウトマウス(KO)では悪性腫瘍の形成が抑制されている様子が図5に示される。
以上の結果から、PLCεノックアウトマウスは、初期の良性腫瘍(パピローマ)のみならず、それが進展した悪性腫瘍(扁平上皮癌)の発生に対しても強い抵抗性を示すことが明らかとなった。
〔実施例4:PLCεノックアウトマウスにおける心臓異常〕
PLCεノックアウトマウスは、以下のように心臓に異常が見られた。
図8は、20週齢のPLCεノックアウトマウス(PLCε-/-)の心臓を、同腹の野生型マウス(PLCε+/+)と比較して示したものである。PLCεノックアウトマウスでは心臓が顕著に拡大化していた。
図9左側のグラフには、各時期における野生型マウス(+/+)、PLCεヘテロノックアウトマウス(+/-)、PLCεホモノックアウトマウス(-/-)の心臓重量を比較した結果が示される。横軸は測定時の週齢、縦軸は全重量に対する心臓の重量比(mg/g)を示す。PLCεホモノックアウトマウス(-/-)における心臓の拡大化は、新生児マウスにおいて既にその傾向が認められ、生後4週以降、顕著に観察される。
図9右側のグラフは、野生型マウス(+/+)とPLCεホモノックアウトマウス(-/-)との間で、心臓各部位の重量を比較した結果である。横軸は心臓各部位、縦軸は全重量に対する心臓各部位の重量比(mg/g)を示す。また、左が生後8週、右が生後20週の結果である。ノックアウトマウス(-/-)は、左心室(left ventricle)および右心室(right ventricle)ともに拡大化を示した。
図10は、Mモード心エコー図による解析結果を示すグラフである。横軸のLVIDd、LVIDs、IVSd、LVPWdは、それぞれ、左心室内径(拡張期)、左心室内径(収縮期)、心室中隔(拡張期)、左心室後壁(拡張期)を、縦軸は内径または壁厚(mm)を示す。また、左が生後8週、右が生後20週の結果である。野生型マウス(+/+)に比べて、ノックアウトマウス(-/-)の左心室内径が増大していることがわかる。他方、心室中隔および左心室後壁の壁厚には差異が認められなかった。この結果から、ノックアウトマウスの心臓の拡大は主として心室内径の増大・拡張によるものと考えられる。
PLCεノックアウトマウスにおける心室拡張の原因を検討するため、心臓の血流・血圧変化をドップラー心エコー図等により解析した。その結果が図11に示される。図中左は、大動脈弁における血流出速度を野生型マウスとノックアウトマウスとの間で比較した結果である。ノックアウトマウスでは、野生型マウスに比べて血流出速度が顕著に高かった。
図中右上は、得られたデータをもとに弁内外の血圧勾配(PG:pressure gradient)を算出した結果を示すグラフである。横軸AV、PA、MVは、それぞれ、大動脈弁、肺動脈弁、僧帽弁を、縦軸は算出した血圧勾配(mmHG)を示す。この結果から、ノックアウトマウスでは、大動脈弁の内外で約20 mmHgの異常に高い血圧勾配が生じていると考えられた。また、20週のノックアウトマウスでは、肺動脈弁内外にも血圧勾配が観察された。
図中右下には、さらに心臓カテーテル法によって大動脈弁(AV)内外の血圧勾配を実際に測定した結果が示される。ノックアウトマウスでは、左心室血流出路(LVOFT)と大動脈(Aorta)との間に約20 mmHgの血圧差が生じていた。他方、野生型マウスでは、この血圧差は殆どゼロであった。
以上の結果、PLCεノックアウトマウスでは、軽度〜中等度の大動脈弁(半月弁)狭窄が生じていると判断された。
また、ドップラー心エコー解析の結果、PLCεノックアウトマウスの心臓では、大動脈弁および肺動脈弁の双方に逆流が観察された(図12参照)。図中、AV、Ao、LV、LAはそれぞれ大動脈弁、大動脈、左心室、左心房を示す。左心室血流出路においてかなりの逆流が認められる(図中矢印AVからはじまる白く見える左下向きの血流が逆流を意味する)。
次に、ノックアウトマウスにおける半月弁の構造異常の有無を検討した。その結果を図13に示す。図中左には、野生型マウスおよびノックアウトマウスにおける、生後20週の大動脈弁が比較して示される。ノックアウトマウスでは、顕著な弁膜の肥厚が観察された。
図中右は、大動脈弁(Aortic valves)および肺動脈弁(Pulmonary valves)における切片のヘマトキシリン−エオジン染色結果を示す。上から順に、胎生14.5日、胎生16.5日、生後1日、生後4週の結果である。ノックアウトマウスの半月弁の弁膜は胎生14.5日まで正常であったが、胎生16.5日頃から肥厚化し、その後、肥厚化の度合いは強くなった。PLCεはこの時期に半月弁の形成に関与していると考えられる。
以上のように、PLCεノックアウトマウスでは半月弁における狭窄と逆流が観察され、これにより心臓に容量的な負荷がかかる結果、心室の増大・拡張が生じるものと考えられる。PLCεノックアウトマウスは、半月弁の異常に起因する先天性疾患のモデル動物として有用である。
半月弁の形成異常については、EGF受容体(EGFR)発現抑制マウスおよびヘパリン結合EGF(HB−EGF)ノックアウトマウスにおいても報告されている(Chen, B., et. al., Nat. Genet. 24:296-299 (2000)、および、Iwamoto, R., et. al., PNAS 100:3221-3226 (2003)参照)。HB−EGFはEGF受容体に結合してRas蛋白を活性化させる。PLCεはRasのエフェクターとして作用し、半月弁の形成を制御していると考えられる。
以上のように、本発明は、ホスホリパーゼCε(PLCε)を分子標的とした新規抗がん剤のスクリーニング方法に関するものであり、新規抗がん剤の開発およびそのリード化合物の発見に利用できるものである。
PLCεの構造を概略的に説明する図である。 本実施例の遺伝子ターゲッティング法を説明する図である。 本実施例のPLCεノックアウトマウスにおいて、染色体上の双方のPLCε遺伝子が破壊されていることを示す図である。 本実施例のPLCεノックアウトマウスにおいて、野生型マウス等と比較してパピローマの形成が顕著に抑制されていることを示す図である。 本実施例のPLCεノックアウトマウスにおいて、野生型マウスと比較して悪性腫瘍の形成が抑制されていることを示す図である。 皮膚化学発癌に対するPLCε遺伝子破壊の影響を検討した結果であり、本実施例のPLCεノックアウトマウスにおけるパピローマの発生割合を野生型マウス等と比較して示すグラフである。 皮膚化学発癌に対するPLCε遺伝子破壊の影響を検討した結果であり、実験開始20週後の本実施例のPLCεノックアウトマウスにおけるパピローマの大きさを野生型マウス等と比較して示すグラフである。 PLCεノックアウトマウスの心臓が拡大化していることを示す図である。 PLCεノックアウトマウスにおいて心臓重量に異常が見られることを示すグラフである。 Mモード心エコー図による解析結果を示すグラフである。 ドップラー心エコー図等により心臓の血流・血圧変化を解析した結果を示す図である。 ドップラー心エコー解析結果を示す図である。 PLCεノックアウトマウスにおいて心臓半月弁が肥厚していることを示す図である。

Claims (11)

  1. ホスホリパーゼCεの酵素活性を阻害する物質を検索することを特徴とする新規抗がん剤のスクリーニング方法。
  2. 試験管内または細胞内にて、被検物質投与に対するホスホリパーゼCεの酵素活性を測定することを特徴とする請求項1記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
  3. ホスホリパーゼCεの全長蛋白質、または酵素活性領域を含む部分蛋白質を発現させ、その酵素活性を測定することを特徴とする請求項2記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
  4. ホスホリパーゼCεまたはその酵素活性領域の高次構造の情報を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
  5. ホスホリパーゼCεとRas蛋白質との結合を阻害する物質を検索することを特徴とする新規抗がん剤のスクリーニング方法。
  6. 試験管内または細胞内にて、被検物質投与に対するホスホリパーゼCεとRas蛋白質との結合阻害の有無を測定することを特徴とする請求項5記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
  7. ホスホリパーゼCεの全長蛋白質、またはそのRas結合領域を含む部分蛋白質を発現させ、Ras蛋白質との結合阻害の有無を測定することを特徴とする請求項6記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
  8. ホスホリパーゼCεもしくはそのRas結合領域の高次構造の情報、又は、ホスホリパーゼCεとRas蛋白質との複合体の高次構造の情報を用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の新規抗がん剤のスクリーニング方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のスクリーニング方法を用いて得られた抗がん剤。
  10. ゲノム中のホスホリパーゼCε遺伝子配列の全部または一部を改変することにより得られ、相同染色体上の双方のホスホリパーゼCε遺伝子が破壊されたことを特徴とするノックアウト非ヒト動物。
  11. 心臓疾患の研究解析に使用されることを特徴とする請求項10記載のノックアウト非ヒト動物。

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