JPWO2001074243A1 - 超電導磁石装置及びこれを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Abstract
磁気共鳴撮像領域2を挟んで対向配置された超電導コイル9を有する静磁場発生源1A、1Bは、冷却容器3A、3Bに収納されたコイル支持体10に固定支持され、コイル支持体10は2本の梁11A,11Bを介して静磁場中心0に対して偏心させて配置された2本の支柱4A、4Bに支持され、各々の梁11A,11Bは一端が支柱4A、4Bの端部に結合され、他端同士が磁石荷重の作用中心点近傍の位置(以下S軸という)14で結合され、かつコイル支持体10に結合され、支柱4A、4Bも冷却容器5に収納し、S軸に向かう方向の断面二次モーメントが大きくなる断面形状にし、S軸の位置を内分点22よりも磁場中心軸8側寄りに設定することにより、磁石の荷重のモーメントに対する高い剛性を持ち、開放性、被検体アクセス性の優れたものとする。
Description
技術分野
本発明は開放型磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という)に適した超電導磁石装置に係り、特に超電導コイル間に働く電磁力に対する支持構造を強化した超電導磁石装置に関する。
背景技術
現在、MRI装置などの均一磁場を用いて被検体の画像を撮像する医療用装置では、画像の高解像度化が要求され、高磁場強度を発生することができる超電導磁石が多用される傾向にある。また、近年では、被検体に閉塞感を与えない開放型の磁石を用いたMRI装置が主流になりつつある。開放型の磁石は、磁気共鳴イメージング領域(MRI領域)を挟んで一対の静磁場発生源が対向して配置されたもので、MRI領域の周囲が開放されているため、被検体にとって検査時の圧迫感が緩和される。これらの開放型磁石の装置構造に関して、被検体にとっての開放感を向上させ、かつ術者が被検体にアクセスするのに容易な構造とするための様々な磁石構造が提案されてきた。
開放型の超電導磁石装置の第1の従来例が、特開平9−187439号公報に開示されている。この従来例の超電導磁石装置は、円環状の超電導コイルを有して構成される静磁場発生源を2組有し、それら2組の静磁場発生源をMRI領域を挟んで対向させて配置して構成されている。それら2組の静磁場発生源は、それぞれ円環状の冷却容器に収納されている。そして、2組の冷却容器同士を4本の支柱で機械的に連結することによって冷却容器と静磁場発生源の荷重を支持している。特に、4本の支柱によって2組の超電導コイル相互間に作用する電磁力を支持することにより、超電導コイル相互間の間隔が変化するのを防止している。また、静磁場の軸方向と垂直な断面における4本の支柱の幾何学的な中心点を、静磁場の中心軸に一致させて配置している。したがって、静磁場発生源を剛体と仮定した場合には、4本の支柱に作用する軸方向荷重は均等になるから、超電導磁石装置全体に大きな曲げモーメントが作用することはない。
また、第1の従来例の4本の支柱は室温環境に配置されるため、冷媒(液体ヘリウム)温度に冷却された超電導コイルとの間に、断熱支持する部材、冷媒槽及び真空槽等の容器が介在されている。そのため、超電導コイルの電磁力はそれらの断熱部材等を介して支柱に伝達されることになる。
また、開放型の超電導磁石装置の第2の従来例として、USP No.5,883,558号公報に開示されたものがある。この例の超電導磁石装置も、第1の従来例と同様に、円環状の超電導コイルを有して構成される静磁場発生源を2組有し、それら2組の静磁場発生源をMRI領域を挟んで対向配置して構成されている。それら2組の静磁場発生源は、それぞれ円環状の冷却容器に収納されている。そして、冷却容器の円環上の1箇所に配置された1本の支持部材によって、2組の冷却容器を連結支持している。これにより、装置全体の断面形状がC型に形成されるので、開放感に優れている。この例の場合も、支持部材は、第1の従来例と同様に周囲の空気中に配置されているので、超電導コイルの電磁力は断熱部材等を介して支持部材に伝達されることになる。
また、開放型の超電導磁石装置の第3の従来例として、特開平10−340811号公報に開示されたものがある。この例の超電導磁石装置は、円環状の超電導コイルを有して構成される静磁場発生源を2組有し、それら2組の静磁場発生源をMRI領域を挟んで対向させて配置して構成されている。それら2組の静磁場発生源はそれぞれ円環状の冷却容器に収納され、それらの冷却容器はそれぞれ超電導コイの巻枠とされている。そして、2組の冷却容器は冷媒が通流する2本の連結管によって連結され、これによって2組の磁場発生源間に働く電磁力を支持している。また、2本の連結管は冷却容器の円環中心軸に対して非対称位置に配設されている。特に、超電導コイル相互間に働く電磁力によって冷却容器が変形するのを防止するために、電磁力が作用する容器壁の一部を厚肉に形成して補強している。
すなわち、第3の従来例では、冷媒容器のMRI領域に対向する側壁は超電導コイルの巻枠を兼用しているので、冷媒容器の側壁が電磁力によって変形すると、超電導コイルも変形することになる。そこで、電磁力を受ける冷媒容器の側壁を厚肉にすることにより、超電導コイルの変形を防止して、超電導破壊を起こさないように耐クエンチ性を向上させている。
上記の第1の従来例では、一定の開放感を満たすために、円環状の冷却容器の周方向の対称位置に支柱を2本づつ片寄せて配置している。しかし、広く開かれた支柱間から被検体をMRI領域に挿入すると、術者が被検体に対してその体軸と直交する方向からアクセスしようとする場合、2本づつ片奇せて配置された支柱が障害になってしまう。また、被検体にとっても、検査部位の両側近くに2本づつ支柱が存在するため、開放感は必ずしも優れているとは言えない。
また、第2の従来例では、円環状の冷却容器の周方向に支持部材が1箇所しかないので、術者のアクセス性と被検体の開放感は良好である。しかし、2組の静磁場発生源の相互間に作用する電磁力を、電磁力の中心軸から離れた1箇所の支持部材で支持する構造であることから、支持部材を支点に2組の静磁場発生源の支持構造がたわみ変形を生じ、静磁場の均一度を低下させる問題が生じる。また、そのたわみ変形を防止するためには、対向する冷却容器相互間を強固に固定するために支持部材を大形にする必要があり、装置の重量が増加するという問題がある。
また、第3の従来例では、電磁力による冷却容器自体の変形は防止される。また、冷媒容器を支持する連結管が超電導コイルの中心軸に対して対称に配置される場合は、電磁力による連結管の変形は小さいとみられる。しかし、開放型磁石において、連結管が超電導コイルの中心軸に対し非対称に配置された場合には、第2の従来例と同様に、電磁力による装置全体の変形防止が必要である。
更に、上記の第1及び第2の従来例では、対向する静磁場発生源である超電導コイル相互間は、冷媒温度に冷却された超電導コイルを断熱支持する部材や、超電導コイルを収納する冷却容器を介して機械的に結合されている。そのため、常温で組立てられた超電導コイル構造体を冷媒温度まで冷却する過程で熱収縮により超電導コイル相互間の相対的距離が変化する。その変化は複雑であるから、超電導コイル相互間の位置制御には困難を伴う。加えて、第1及び第2の支持部材又は支柱は、室温環境下で用いられるため、その温度変化によって、超電導コイル相互間の相対位置も微妙に変化し、MRI領域の磁場均一度に悪影響を及ぼす問題がある。
発明の開示
本発明は、被検体の開放感や術者のアクセス性に優れ、電磁力等の作用荷重によるたわみ変形が少なく、かつ周囲温度変化や超電導コイル冷却時の位置制御を容易にすることを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の超電導磁石装置は、2組の超電導コイルと、該超電導コイルをそれぞれ支持、固定する2組のコイル支持体と、前記2組の超電導コイルを磁気共鳴撮像領域を挟んで対向配置するよう支持する2組の支持構造体と、前記超電導コイルをそれぞれ収納する2つの冷却容器とを具備し、
前記2組の支持構造体は、2本の支柱と、該各支柱と前記各コイル支持体とを結合する2本の梁とを有して構成され、
前記2本の支柱は、前記磁気共鳴撮像領域における静磁場の方向と平行に配列され、かつ前記静磁場の方向に直交する面内において前記2本の支柱を結ぶ直線の内分点が静磁場の中心軸から離れた位置に配置されてなり、
前記2本の梁は、その長軸の延長線が互いに交差するように配置され、該交差点を通り前記静磁場の方向に平行な軸(以下、S軸という)が前記内分点よりも静磁場の中心軸側に位置されてなることを特徴とする。
この構成では、超電導コイルを固定、支持するコイル支持体を、磁気共鳴撮像領域(以下、MRI領域という。)の両側に配置した2本の支柱が、これに結合された2本の梁を介してコイル支持体を支持しているので、超電導コイルは強固に支持されると共に、磁石の開放性、被検体アクセス性が保持される。更に、2本の梁同士の端部が接する、又はその延長線が交差する軸(S軸)が磁石にかかる電磁力などの荷重の作用中心点の近傍にあるので、支柱と梁からなる支持構造体による超電導コイルの支持強度は向上する。この結果として、一対の静磁場発生源の間隔が殆ど変化なく維持されるので、MRI領域の静磁場の磁場均一度を向上させることができる。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記梁の他の一端同士が前記S軸において結合されている。この構成では2本の梁の端部同士が磁石の荷重の作用中心点の近傍であるS軸において結合されているので、コイル支持体を支持する支持強度が更に向上する。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記S軸は前記内分点と静磁場の中心軸とを結ぶ直線上に位置され、かつ静磁場の中心軸と該中心軸に対して前記内分点と反対側に位置する超電導コイルの最大外周位置との間に位置されてなる。この構成では、2本の梁同士の端部が接する、又はその延長線が交差するS軸が、磁石にかかる電磁力などの荷重の作用中心点により接近するので、支持構造体による超電導コイルの支持強度は更に向上する。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記支柱の断面形状が前記S軸又はその近傍に向かう方向の断面二次モーメントがそれに直交する方向の断面二次モーメントよりも大きくなるような形状である。この構成では、磁石にかかる電磁力などの荷重の作用中心点の近傍に位置するS軸又はその近傍方向における支柱の曲げ剛性が大きくなっているので、磁石にかかる荷重による変形は格段に低減され、これに支持される静磁場発生源相互間の間隔は殆ど一定に維持される。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記支柱の断面形状が前記S軸又はその近傍に向かう方向を長手方向とする長円形又は長方形である。この構成では、支柱のS軸又はその近傍方向の断面二次モーメントが大きくなるので、支柱のS軸又はその近傍方向の支持強度が向上する。また、支柱の断面形状が長円形又は長方形であることから、支柱の加工は容易となる。
本発明の超電導磁石装置では更に、2本の支柱は、第1の支柱と第2の支柱とを有してなり、第1と第2の支柱は前記梁の長手方向又はその近傍の方向に沿って位置をずらして配置されている。この構成では、梁の長手方向又はその近傍方向に2個の支柱を位置をずらして配置したことにより、梁の長手方向又はその近傍方向の断面二次モーメントが大きくなり、梁の長手方向又はその近傍方向の支柱の支持強度が向上する。また、各々の支柱の断面形状を円形又は長方形などとすることにより、支柱の加工は容易となる。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記支柱と前記梁とからなる前記支持構造体の一部又は全部が前記冷却容器に収納されている。この構成では、超電導コイルと共に支持構造体が冷却されるので、外気温度の変化にかかわらず、一対の静磁場発生源間の距離は一定に保持されるので、MRI領域の静磁場の磁場均一度は安定に保持される。
また、本発明は上述の超電導磁石装置を磁気共鳴イメージング装置に備えたものである。
その他本発明は、磁気共鳴撮像領域を形成する一対の静磁場発生手段と、前記静磁場発生手段により形成される静磁場方向と平行に配置され、前記一対の前記静磁場発生手段を対向させて支持する2つの支柱とを備え、前記静磁場方向と平行で、かつ前記支柱を結んだ直線の中点を通る第1の直線が、前記静磁場方向と平行で、かつ前記磁気共鳴撮像領域の静磁場の中心点を通る第2の直線とは異なる位置に配置されてなる磁気共鳴イメージング装置において、
前記各支柱の一端に前記静磁場発生手段と当該支柱とを連結する連結部材をそれぞれ備え、該各連結部材はその延在方向の先端あるいは延長線がそれぞれ交差するように配置され、該交差点を通り前記静磁場方向と平行な第3の直線が、前記第1の直線と第2の直線を含む平面上に配置されたことを特徴とする。
この場合において、前記第3の直線は前記第2の直線に対し、前記第1の直線とは反対側の位置に配置されたもの、前記第3の直線と前記第2の直線との間の距離が、前記第1の直線と前記第2の直線との間の距離よりも短かいものとすることができる。
さらに、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、静磁場を発生する一対の静磁場発生手段と、該一対の前記静磁場発生手段を対向させて支持する支持構造体とを備え、該支持構造体は2つの支柱と、該2つの支柱間に渡して前記一対の静磁場発生手段に接合された梁部材とを有し、該梁部材は、該梁部材の長軸部分が前記静磁場の方向に垂直な面上で前記各静磁場発生手段に接合され、かつ前記長軸部分によって区分された前記各静磁場発生手段の第1の領域と第2の領域の前記一対の静磁場発生手段間に作用する力によって生ずるモーメントを打消し合う位置に配置されてなる構成とすることができる。
この場合において、前記2つの支柱は、該2つの支柱を結ぶ線が前記一対の静磁場発生手段が形成する静磁場の中心軸から離れた位置にずらして配置され、前記梁部材は、該梁部材の中点が前記2つの支柱を結ぶ線の中点と静磁場の中心軸を含む面上に配置されてなることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る超電導磁石装置の実施例を添付図面に従って説明する。
図1〜図3に、本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例を示す。図1は装置の全体斜視図、図2は図1のII−II線における断面図、図3は図2のIII−III線における断面図である。図1では超電導磁石装置の全体構成について、図2と図3では静磁場発生源とそれを支持する支持構造について、それぞれ説明する。
図1において、先ず磁気共鳴撮像領域(MRI領域)2の磁場中心0を原点とする3次元直交座標系を定義する。図1における上下方向をZ軸8、左右方向をX軸6、紙面に垂直な方向をY軸7とする。本実施例の超電導磁石装置では、2組の静磁場発生源1A、1Bはそれぞれ冷却容器3A、3Bに収納されており、これらの冷却容器3A、3BがMRI領域2を挟んで上下(Z軸8方向)に対向して配置されている。上下の冷却容器3A、3Bは、Y−Z平面に対して対称位置に配置された支持構造体を構成する支柱4A、4Bによって接続、支持されている。MRI領域2には上下方向(Z軸8方向)の静磁場が生成される。MRI領域2の静磁場方向の中心軸(以下、磁場中心軸という)は、磁場中心0を通るZ軸8に相当するので、以下において磁場中心軸とZ軸8とは同一ものとして扱うことにする。
図2は、図1の冷却容器3Aの部分をZ軸8に垂直な面で切断したII−II線における断面図である。図2には、冷却容器3A内の静磁場発生源1Aの配置及び冷却容器3Aを支持する支柱4A、4Bの配置が示されているが、冷却容器3Bと静磁場発生源1Bについても同様である。図2において、静磁場発生源1A(1B)は、Z軸8を中心軸にして配置されている。つまり、各々の静磁場発生源1A、1BはZ軸8を中心軸とする円環状に形成された複数の超電導コイル9で構成されている。これらの超電導コイル9はコイル支持体10によって強固に固定、支持されている。
ここで、静磁場発生源1A、1Bをそれぞれ構成する超電導コイル9は、2個のものに限られるものではなく、1個又は3個以上を組合わせたものでもよい。また、静磁場発生源1A、1Bは、超電導コイル9に加えて、磁性体からなるリング状の磁極を備えて構成されるものであってもよい。
コイル支持体10の構造例を図4に示す。図4(A)は組立品の透視外観図、図4(B)は組立前の構成部品の外観図である。図4において、コイル支持体10は超電導コイル9の環状方向に沿って分散配置された例えば8個の支持板31と、これらの支持板31を接続する扇形の例えば16個の接続板32とから成る。支持板31は超電導コイル9を支持するコイル支持穴33を備えた長方形の板で、通常非磁性のステンレス鋼やアルミニウムなどから成る。この支持板31は長方形の長手方向がコイル支持体10の中心軸を向くようにして例えば45度間隔で配置される。接続板32は開き角度45度の扇形の板で、支持板31と同じ材料から成る。図示の如く、支持板31の長辺の長さと、接続板32の直線辺の長さは同じに作られており、両者は支持板31の長辺と接続板32の直線辺とを溶接又はろう付けなどにより接合することにより組み立てられる。
コイル支持体10の組立品では、支持板31は超電導コイル9を支持するために円周方向にほぼ等間隔に配置され、接続板32は支持板31の間隔を確保し、支持板31を補強するために、支持板31に接合されている。8個の接続板32は全体としては、2枚の円板状体を形成している。
コイル支持体10による超電導コイル9の支持は、超電導コイル9を支持板31のコイル支持穴33に挿入して固定することによって行われる。なお、コイル支持穴33には超電導コイル9を導き入れるための導入口を設けるとよい。また、この導入口の幅をコイル支持穴33の幅と同等に拡げて、コイル支持穴33を超電導コイル9の巻枠とすることもできる。
コイル支持体10を形成する支持板31と接続板32の個数は上記に限定されず、また、支持板31の配置も等間隔でなくてもよい。また、コイル支持体10の構造に関しては、図4はその一例を示したもので、これに限定されず、超電導コイル9を強固に支持し、後述の梁11と結合できるものであればよい。
また、超電導コイル9は冷却容器3A、3Bの内部に貯えられた液体ヘリウム等の低温冷媒で超電導転移温度以下になるように冷却されている。なお、冷却容器3A、3Bは、図示していないが、低温冷媒を貯える冷媒容器と、冷媒容器を内包する断熱シールドと、断熱シールドを内包する真空容器等で構成されている。
また、冷却容器3A、3Bを支持する2本の支持構造体を構成する支柱4A、4Bは、磁場中心0を通るX軸6上ではなく、X軸6からY軸7の(+)方向に一定寸法ずらして配置されている。つまり、Z軸8に対して非対称の位置に配置されている。このため、MRI領域2から外側を見た場合、上下方向の視野は冷却容器3A、3Bによって遮られるが、水平方向の視野は前方(Y軸(−)方向)及び左右方向(X軸(+)、(−)方向)に大きく開けている。この結果、MRI領域2に挿入された被検体にとって大きな開放感が得られ、また左右方向及び前方からの術者のアクセス性は非常に優れたものとなる。特に、Y軸(+)側の支柱4A、4Bの間隔を、被検体を仰臥させたベッドが挿入可能な寸法にすることにより、手術者はX軸、Y軸のいずれの方向からもアクセスすることができるので、使い勝手がよい。
図3は、図2のIII−IIIにおける断面図であり、支柱4Bによる静磁場発生源1A、1Bの支持構造を示している。なお、支柱4Aによる静磁場発生源1A、1Bの支持構造も同様である。以下、図2と図3を用いて、本実施例での支柱4A、4Bの構造と静磁場発生源1A、1Bの支持構造の詳細について説明する。先ず、図2において、2本の支柱4A、4Bは被検体の開放性を向上するために、X軸6より後方(Y(+)側)であって、Y軸7から等距離の位置に配置されている。支柱4A、4Bは支持体冷却容器5A、5Bに収納され、静磁場発生源1A、1Bと同様に冷却されている。ここで、支持体冷却容器5A、5Bは冷却容器3A、3Bと連結されていて、上下の冷却容器3A、3Bを熱的及び機構的に接続する役割も担っている。
次に、図3において、静磁場発生源1A、1Bを構成する超電導コイル9はコイル支持体10に支持されている。コイル支持体10は、梁11B(11A)と補助梁12を介して支柱4B(4A)に支持されている。つまり、上下のコイル支持体10の外側面に梁11B(11A)が固定され、上下のコイル支持体10の外周面に補助梁12が固定され、梁11B(11A)と補助梁12は支柱4B(4A)に結合されている。このようにして、静磁場発生源1A、1Bはコイル支持体10に結合された梁11A、11Bからなる連結部材によって支柱4A、4Bに支持されている。また、コイル支持体10と支柱4A、4Bの結合体は、全体として、下側の冷却容器3B内で、複数個の支持体13によって、支持、固定されている。
図2及び図3において、本実施例の開放型超電導磁石装置では、上下の静磁場発生源1A、1Bの間に電磁吸引力が作用する。また、上側の冷却容器3A全体の重力がかかり、左右の支柱4A、4Bに荷重が作用する。これに対し、支柱4A、4Bは超電導磁石装置の前方側(Y(−)側)の開放感を向上させるために、磁場中心軸であるZ軸8よりも後方(Y(+)側)に配設されている。このため、左右の支柱4A、4Bには電磁力などの曲げ荷重がかかり、曲げ変形が生ずることになる。本実施例では、この曲げ変形を低減するために、支柱4A、4Bの断面形状を改善するとともに、2本の支柱4A、4Bの間に2本の梁11A、11Bを配設している。この2本の梁11A、11Bは上下の静磁場発生源1A、1Bに対して同様に配設されている。
ここで、本実施例における2本の梁11A、11Bの配置関係について詳細に説明する。図2において、左右の支柱4A、4Bの断面の幾何学中心(以下、支持構造体中心という)20A、20Bを結ぶ線を内分線21、支持構造体中心20A、20Bの中間点を内分点22と呼ぶことにする。まず、内分点22が、Z軸8よりもY軸7方向の後方(Y(+)側)にずれているために、上記の曲げ変形に起因するたわみ変位は、内分線21を基準にして、Y軸7方向の前方向(Y(−)側)で大きく、Y軸7方向の後方側(Y(+)側)で小さくなる。このたわみ変位を生じさせる電磁力などの荷重による曲げ変形の作用中心点の位置は、内分線21を中心軸としてY軸(+)側に作用する曲げモーメントとY軸(−)側に作用する曲げモーメントの差を、内分線21を中心軸としてY軸(+)側に作用する荷重とY軸(−)側に作用する荷重の差で除することにより求められる。
すなわち、図2において、支柱5A、5B及び静磁場発生源1A(又は1B)はY軸7に関して対称であるから、電磁力などの荷重による曲げモーメントをY軸上に換算して求めることができる。また、曲げモーメントは内分線21のY軸(+)側とY軸(−)側で逆向きとなるから、合成曲げモーメントの大きさはY軸(+)側とY軸(−)側とにそれぞれ作用する曲げモーメントの差になる。そして、合成曲げモーメントの作用中心点の位置は、合成曲げモーメントを内分線21のY軸(+)側に作用する電磁力などの荷重から、Y軸(−)側に作用する電磁力などの荷重を引いた値で除することにより、内分点22からの距離として求めることができる。さらに、言いかえれば、2本の支柱5A、5Bに渡して設けられたV字形の梁(11A、11B)の長軸部分が静磁場発生源1Aに接合され、この梁(11A、11B)によって区分される大小2つの扇形状の領域を、例えばY軸(+)側を第1の領域、Y軸(−)側を第2の領域とする。そして、これらの第1の領域と第2の領域に作用するモーメントが打消し合うように梁(11A、11B)の中点を、支柱5A、5Bを結ぶ線の中点と静磁場の中心軸Sを含む面上に位置させる。これにより、梁(11A、11B)によってバランスよく静磁場発生源1Aを支持することができる。
上記のたわみ変形を抑制し、上下の静磁場発生源1A、1B間の距離を一定に確保するには、この曲げモーメントに対する剛性を上げる必要がある。そこで、本実施例では上記の作用中心点に向かった方向の剛性を向上することにした。本実施例の磁石構造において、上記の作用中心点の位置を概算すると、この作用中心点は磁場中心0を通るZ軸8より少しY軸7方向の前方向(Y(−)側)に位置する。図2において、この作用中心点又はその近傍を通り、Z軸8に平行な線をS軸14として示している。コイル支持体10の支持強度を向上するため、本実施例では、S軸14と支柱4A、4Bの間に渡して梁11A、11Bを配設し、これらの梁11A、11Bにてコイル支持体10を支持している。特に、2本の梁11A、11Bの端部をS軸14において結合している。
上記のS軸14の位置に関しては、効果の面から見て、S軸14が作用中心点を通るのが理想的である。しかし、これに限定されず、S軸14は作用中心点の近傍にあれば実用上の効果が得られる。実用的見地から見て、S軸14は内分線21よりもY軸7方向前方向(Y(−)側)にあれば効果はある。特に、Z軸8からY軸7方向前方側(Y(−)側)へ向かって、コイル支持体10の外周までの範囲にS軸14を選定すれば支持強度向上の効果は大きくなる。本実施例においては、コイル支持体10は円盤状であるが、円盤状でない場合には、上記のコイル支持体10の外周としては、コイル支持体10の最大外周をとればよい。
また、支柱4A、4Bの断面については、図2に示す如く、長円形とし、その長円形の長手方向をS軸14又はその近傍の方向に向くように支柱4A、4Bを配設する。このように構成することにより、支柱4A、4BのS軸14又はその近傍方向の断面二次モーメントが増加するので、上記曲げモーメントに対する剛性が向上し、支柱4A、4Bの曲げたわみ角が小さくなり、結果として上下の静磁場発生源1A、1B間の変位が抑制される。
支柱4A、4Bの断面形状は、上記の長円形に限定されず、長方形や多角形などでもよく、S軸14又はその近傍の方向の長さが長く、直交する方向の長さが短くなるような形状であって、S軸14又はその近傍の方向の断面二次モーメントが他の方向より大きいものであれば効果がある。従って、内部に穴のあいた中空部材などであってもよい。また、断面形状が長円形や長方形のものでは加工性もよく、コストも低減することができる。
図5に、コイル支持体10と梁11A、11Bとの結合構造例を示す。図示のものは上側のコイル支持体10の例を示したものである。図5において、2本の梁11A、11Bの下面が、コイル支持体10の上面34、すなわち接続板32が形成する円板状面に、V字形の配置で、溶接などにより強固に結合されている。また、2本の梁11A、11Bの一方の端部同士がS軸14に相当する位置において、溶接などによって結合されている。2本の梁11A、11Bの他方の端部は図示していないが、2本の支柱4A、4Bの端部に結合される。この梁11A、11Bの材料としては、非磁性のステンレス鋼などから成る長方形の角材やその中空角材又はH形材などが用いられる。
図示の例では、2本の梁11A、11BはS軸14に対応する位置において結合されることにより、2本の梁11A、11Bが一体化されることで、梁11A、11Bがコイル支持体10を支持する支持強度が向上する。しかし、梁11A、11Bとコイル支持体10との結合は図示のものに限定されるものではない。例えば、2本の梁11A、11Bの端部同士を結合せずに離して配置しても、2本の梁11A、11Bの延長線がS軸14又はその近傍を通るように配置すればよい。この場合でも、2本の梁11A、11Bによるコイル支持体10の支持強度は十分に確保される。
本実施例において、2本の梁11A、11Bはコイル支持体10とは別個の構成要素として説明したが、2本の梁11A、11Bとコイル支持体10とを一体に構成してもよい。両者とも超電導コイル9を支持するための構成要素であるので、磁石として完成した状態では、両者は結合されて一体化されたものとなる。
図6には、支柱4A、4Bと梁11A、11Bとの結合構造例を示す。図示のものは上側の梁11A、11Bの場合を示している。図6において、支柱4A、4Bの上端面に梁11A、11Bの端部をのせて溶接などにより接合されている。この例では、支柱4A、4Bの断面は長方形又は中空長方形である。この長方形の長辺と梁11A、11Bの長さ方向がほぼ一致するように接合されている。
また、図3において、コイル支持体10を支柱4A、4Bに支持する構造には、梁11A、11Bの他に補助梁12が使われている。本実施例では、上側のコイル支持体10は上側から梁11A、11Bによって支持、固定され、下側から補助梁12によって支持、固定されている。また、下側のコイル支持体10は下側から梁11A、11Bによって支持、固定され、上側から補助梁12によって支持、固定されている。更に、支柱4A、4Bとコイル支持体10との結合体は、複数個の支持体13によって支持されている。
本実施例において、静磁場発生源1A、1Bを構成する超電導コイル9を支持するコイル支持体10、梁11A、11B、補助梁12、支柱4A、4B、支持体13などの構成要素の材料としては、非磁性のステンレス鋼やニッケル基合金などの金属材料やFRPなどの繊維強化型の複合材料を使用するのが好ましい。一般に、これらの材料の機械的強度は、使用温度が低くなるにつれて高くなる傾向にあるため、例えば液体ヘリウム温度などの低温で使用する場合には、常温で使用する場合に比べて少ない断面積の材料でよいため、重量とコストを低減することができると共に、機械的安全性を向上することができる。なお、前記の如く、支柱4A、4Bは、中空のパイプ構造でも、あるいはロッド構造でもどちらでもよく、前者の場合は軽量化をはかることができる。
また、本実施例の如く、超電導コイル9から構成される上下の静磁場発生源1A、1B相互をコイル支持体10、梁11A、11B及び支柱4A、4Bによって強固に直接的に拘束する構造では、それらの構造部材が超電導コイル9と同様に液体ヘリウムなどの低温冷媒に浸漬されている。そのため、静磁場発生源1A、1Bとこれらを支持する構造部材が常時一定温度に保持されるため、上下の静磁場発生源1A、1B間の相対位置は常時安定して一定に保持されることになる。その結果、周囲環境の温度が変化しても、上下の静磁場発生源1A、1B間の相対位置は変化しにくいので、本実施例のMRI領域2の静磁場の磁場均一性とその安定度が優れたものとなる。
図7、図8に、本発明に係る超電導磁石装置の第2の実施例を示す。本実施例の装置の外観図は図1とほぼ同様であるので省略した。図7は装置の横断面図で、図2と同様に冷却容器3の部分をZ軸8に垂直な面で切断したものである。図8は、図7のVIII−VIIIにおける断面図で、図3と同様に静磁場発生源1A、1Bの支持構造を示している。
本実施例では、静磁場発生源1A、1B及びこれを支持するコイル支持体10の構造などは第1の実施例と同様であるが、支柱4A、4Bの構造が異なる。図7において、左右の支柱4A、4Bは各々2種類の平行な支柱、即ち第1の支柱25と第2の支柱26の複合体で構成されている。第1の支柱25は磁場中心0に近い側に、第2の支柱26は磁場中心0から遠い側に離して配設されている。第1の支柱25と第2の支柱26は共に梁11A、11Bに結合され、2本の梁11A、11B同士はS軸14において結合されている。本実施例の場合も、第1の実施例と同様に、これに限定されず、2本の梁11A、11Bはその延長線がS軸において交差するようにコイル支持体10に結合されていてもよい。
図7、図8において、第1の支柱25と第2の支柱26は梁11A、11Bの長さ方向に配列されていて、梁11A、11Bを梃子の棒とした場合、第1の支柱25は梃子の支点を、第2の支柱26は挺子の片端を支持する役割を果たしている。本実施例においても、第1及び第2の支柱25、26は支持構造体冷却容器5内に収納されている。
本実施例の如く梃子の原理を応用した支柱の構造は、上下の静磁場発生源1A、1B間に作用する電磁力が大きい磁石で、第1の実施例による長円形又は長方形断面の支柱を適用しても、その荷重を変形の許容限度内で支持することができない場合などには、有効である。
また、本実施例の場合も、第1の支柱25と第2の支柱26を結ぶ線は、S軸又はその近傍方向を通る線上に配列される。したがって、支柱全体としてのS軸又はその近傍方向の断面二次モーメントは大幅に増加し、曲げ剛性は格段に向上している。また、第1の支柱25と第2の支柱26の断面形状については、図示の場合両者ともほぼ等しい直径をもつ円形状にしているので、加工は容易である。両者の断面形状については、これに限定されず、長方形などにしてもよい。また、両者の断面形状は別個のもの、例えば、円形と長方形にしてもよい。また、両者の断面積の大きさも別個のもの、例えば第1の支柱25の断面積を大きくし、第2の支柱26の断面積を小さくしてもよい。本実施例の如く、第1の支柱25と第2の支柱26に分割することにより、一体の場合より加工対象物が小さくなるので、加工性がよくなる場合が多い。
また、本発明は、液体ヘリウム等の冷媒浸漬式の超電導磁石のみならず、低温冷媒を使用せずに、小型冷凍機から伝熱部材を介して伝導冷却する方式の超電導磁石にも適用できる。この場合には装置の小型化を図ることができる。
また、超電導磁石以外の常電導磁石あるいは永久磁石にも適用することができる。さらに、梁11A、11Bはたわみ変形を防止することが達成されれば、棒状体でなくとも円弧状や鋸状、波状など種々の形状を適用してもよい。さらにまた、梁11A、11Bは独立して支柱からそれぞれ延長されたものになっているが一体に形成することもできる。例えば山型形状や弓形状、円弧形状にし端部を支柱に接合させることもできる。
図9は、本発明の超電導電磁石装置を静磁場発生装置に適用してなる磁気共鳴イメージング装置の一実施例の全体構成図を示す。図に示すように、磁気共鳴イメージング装置は、静磁場発生装置101、傾斜磁場発生装置102、送信系103、受信系104、信号処理系105、シーケンサ106、及び中央処理装置(CPU)107等を備えて構成される。静磁場発生装置101は、被検体109が置かれる空間に均一な静磁場を発生させるものであり、前述した超電導電磁石装置が適用されている。その静磁場の方向は、通常、被検体109の体軸方向又は体軸に直交する方向である。傾斜磁場発生装置102は、直交3軸(X、Y、Z)方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル110と、その傾斜磁場コイル110の駆動電流を供給する傾斜磁場電源111を有して構成されている。傾斜磁場電源111は、シーケンサ106の命令に従って直交3軸(X,Y,Z)方向の傾斜磁場Gs、Gp、Gfを被検体109に印加するようになっている。この傾斜磁場の与え方によって断層像のスライス面を設定することができる。シーケンサ106はCPU107の制御により動作し、パルスシーケンスと称される撮像シーケンスに従って、傾斜磁場発生装置102、送信系103、受信系104等に命令を送り、断層像を撮像するのに必要な制御を実行するものである。
送信系103は、高周波磁場パルスにより被検体109の生体組織を構成する原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波パルスを照射するもので、高周波発振器112、変調器113、高周波増幅器114及び高周波照射コイル115を有して構成されている。そして、送信系103は、シーケンサ106の命令に従って、高周波発振器112から出力される高周波パルスを変調器113で振幅変調し、さらに高周波増幅器114で増幅した後、高周波照射コイル115に供給して高周波磁場パルス(RFパルス)を被検体109に照射するようになっている。
受信系104は、被検体109の生体組織の原子核の核磁気共鳴により放出されるエコー信号などの磁気共鳴信号を検出するもので、受信側の高周波受信コイル116、増幅器117、直交位相検波器118及びA/D変換器119を有して構成される。高周波受信コイル116により受波された磁気共鳴信号は増幅器117で増幅され、直交位相検波器118で検波された後、A/D変換器119でディジタル信号の計測データに変換される。なお、シーケンサ106の制御によるタイミングで直交位相検波器118により位相を90°ずらしてサンプリングされた二系列の計測データは、信号処理系105に送られる。
信号処理系105は、CPU107、ROM120、RAM121、光磁気ディスク122、CRTなどのディスプレイ123及び磁気ディスク124を有して構成される。CPU107は、入力される計測データをフーリエ変換処理を含む画像再構成処理を行い、任意断面の信号強度分布あるいは所定の処理をした画像を作成して、ディスプレイ123に断層像として表示するようになっている。ROM120は、経時的な画像解析処理及び計測を行なうプログラムや、その実行に用いる不変のパラメータなどを記憶する。RAM121は、前計測で用いた計測パラメータや、送信系104で検出したエコー信号、及び関心領域設定に用いる画像を一時保管すると共に、その関心領域を設定するためのパラメータなどを記憶する。光磁気ディスク122及び磁気ディスク124は、CPU107により再構成された画像のデータを記録する。ディスプレイ123は、光磁気ディスク122及び磁気ディスク124に格納されている画像データを映像化して断層像として表示する。操作部108は、信号処理系で実行する処理の制御情報を入力するものであり、例えば、トラックボール又はマウス125やキーボード126を備えて構成される。
このように構成される磁気共鳴イメージング装置の静磁場発生装置101は、前述した第1又は第2の実施例に係る超電導電磁石装置が適用される。そして、被検体109の診断部位をMRI領域に位置させ、静磁場発生装置101を駆動して被検体109の診断部位に均一な静磁場を印加することができる。
本実施例によれば、対向する2組の静磁場発生源を2本の支柱によって支持するとともに、2本の支柱を結ぶ線がMRI領域から外れた位置に来るように、かつ2本の支柱の狭い方の間隔を一定以上に広げて配置したことから、被検体109に大きな開放感を与え、術者にとって被検体109へのアクセス性に優れたものとすることができる。
特に、2本の支柱の端部に固着された2本の梁の他端または軸線の交点を、2本の支柱を結ぶ線に対してMRI領域を挟んだ反対側に位置させて、それらの梁に超電導コイルを組付けた円盤状のコイル支持体を直接固着したことを特徴とする。すなわち、断熱部材などを介在させずに、対向配置された2組の超電導コイルを強固に支持固定することから、超電導コイル相互間に作用する電磁力等の荷重による撓み変形を小さくすることができる。その結果、MRI領域の静磁場均一度を著しく向上させることができる。
また、支柱を支持体冷却容器内に収納し、支柱と梁とコイル支持体とによって直接に超電導コイルを支持する構造にしていることから、周囲温度変化や超電導コイル冷却時の位置制御が容易な超電導磁石装置を実現できる。しかも、支柱と梁とコイル支持体とからなる支持構造体を、超電導コイルと同じ冷媒によって冷却する構造を採用していることから、低温になるほど強度が向上する材料(ステンレス鋼、ニッケル基合金、FRP等)を用いることにより、支持構造体の重量およびコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例の全体斜視図、図2は図1のII−II線における断面図、図3は図2のIII−IIIにおける断面図、図4はコイル支持体の構造例、図5はコイル支持体と梁との結合構造例、図6は支柱と梁との結合構造例、図7は本発明に係る超電導磁石装置の第2の実施例の冷却容器部分の横断面図、図8は図7のVIII−VIII線における断面図、図9は本発明の一実施例の磁気共鳴イメージング装置の全体構成図である。
本発明は開放型磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という)に適した超電導磁石装置に係り、特に超電導コイル間に働く電磁力に対する支持構造を強化した超電導磁石装置に関する。
背景技術
現在、MRI装置などの均一磁場を用いて被検体の画像を撮像する医療用装置では、画像の高解像度化が要求され、高磁場強度を発生することができる超電導磁石が多用される傾向にある。また、近年では、被検体に閉塞感を与えない開放型の磁石を用いたMRI装置が主流になりつつある。開放型の磁石は、磁気共鳴イメージング領域(MRI領域)を挟んで一対の静磁場発生源が対向して配置されたもので、MRI領域の周囲が開放されているため、被検体にとって検査時の圧迫感が緩和される。これらの開放型磁石の装置構造に関して、被検体にとっての開放感を向上させ、かつ術者が被検体にアクセスするのに容易な構造とするための様々な磁石構造が提案されてきた。
開放型の超電導磁石装置の第1の従来例が、特開平9−187439号公報に開示されている。この従来例の超電導磁石装置は、円環状の超電導コイルを有して構成される静磁場発生源を2組有し、それら2組の静磁場発生源をMRI領域を挟んで対向させて配置して構成されている。それら2組の静磁場発生源は、それぞれ円環状の冷却容器に収納されている。そして、2組の冷却容器同士を4本の支柱で機械的に連結することによって冷却容器と静磁場発生源の荷重を支持している。特に、4本の支柱によって2組の超電導コイル相互間に作用する電磁力を支持することにより、超電導コイル相互間の間隔が変化するのを防止している。また、静磁場の軸方向と垂直な断面における4本の支柱の幾何学的な中心点を、静磁場の中心軸に一致させて配置している。したがって、静磁場発生源を剛体と仮定した場合には、4本の支柱に作用する軸方向荷重は均等になるから、超電導磁石装置全体に大きな曲げモーメントが作用することはない。
また、第1の従来例の4本の支柱は室温環境に配置されるため、冷媒(液体ヘリウム)温度に冷却された超電導コイルとの間に、断熱支持する部材、冷媒槽及び真空槽等の容器が介在されている。そのため、超電導コイルの電磁力はそれらの断熱部材等を介して支柱に伝達されることになる。
また、開放型の超電導磁石装置の第2の従来例として、USP No.5,883,558号公報に開示されたものがある。この例の超電導磁石装置も、第1の従来例と同様に、円環状の超電導コイルを有して構成される静磁場発生源を2組有し、それら2組の静磁場発生源をMRI領域を挟んで対向配置して構成されている。それら2組の静磁場発生源は、それぞれ円環状の冷却容器に収納されている。そして、冷却容器の円環上の1箇所に配置された1本の支持部材によって、2組の冷却容器を連結支持している。これにより、装置全体の断面形状がC型に形成されるので、開放感に優れている。この例の場合も、支持部材は、第1の従来例と同様に周囲の空気中に配置されているので、超電導コイルの電磁力は断熱部材等を介して支持部材に伝達されることになる。
また、開放型の超電導磁石装置の第3の従来例として、特開平10−340811号公報に開示されたものがある。この例の超電導磁石装置は、円環状の超電導コイルを有して構成される静磁場発生源を2組有し、それら2組の静磁場発生源をMRI領域を挟んで対向させて配置して構成されている。それら2組の静磁場発生源はそれぞれ円環状の冷却容器に収納され、それらの冷却容器はそれぞれ超電導コイの巻枠とされている。そして、2組の冷却容器は冷媒が通流する2本の連結管によって連結され、これによって2組の磁場発生源間に働く電磁力を支持している。また、2本の連結管は冷却容器の円環中心軸に対して非対称位置に配設されている。特に、超電導コイル相互間に働く電磁力によって冷却容器が変形するのを防止するために、電磁力が作用する容器壁の一部を厚肉に形成して補強している。
すなわち、第3の従来例では、冷媒容器のMRI領域に対向する側壁は超電導コイルの巻枠を兼用しているので、冷媒容器の側壁が電磁力によって変形すると、超電導コイルも変形することになる。そこで、電磁力を受ける冷媒容器の側壁を厚肉にすることにより、超電導コイルの変形を防止して、超電導破壊を起こさないように耐クエンチ性を向上させている。
上記の第1の従来例では、一定の開放感を満たすために、円環状の冷却容器の周方向の対称位置に支柱を2本づつ片寄せて配置している。しかし、広く開かれた支柱間から被検体をMRI領域に挿入すると、術者が被検体に対してその体軸と直交する方向からアクセスしようとする場合、2本づつ片奇せて配置された支柱が障害になってしまう。また、被検体にとっても、検査部位の両側近くに2本づつ支柱が存在するため、開放感は必ずしも優れているとは言えない。
また、第2の従来例では、円環状の冷却容器の周方向に支持部材が1箇所しかないので、術者のアクセス性と被検体の開放感は良好である。しかし、2組の静磁場発生源の相互間に作用する電磁力を、電磁力の中心軸から離れた1箇所の支持部材で支持する構造であることから、支持部材を支点に2組の静磁場発生源の支持構造がたわみ変形を生じ、静磁場の均一度を低下させる問題が生じる。また、そのたわみ変形を防止するためには、対向する冷却容器相互間を強固に固定するために支持部材を大形にする必要があり、装置の重量が増加するという問題がある。
また、第3の従来例では、電磁力による冷却容器自体の変形は防止される。また、冷媒容器を支持する連結管が超電導コイルの中心軸に対して対称に配置される場合は、電磁力による連結管の変形は小さいとみられる。しかし、開放型磁石において、連結管が超電導コイルの中心軸に対し非対称に配置された場合には、第2の従来例と同様に、電磁力による装置全体の変形防止が必要である。
更に、上記の第1及び第2の従来例では、対向する静磁場発生源である超電導コイル相互間は、冷媒温度に冷却された超電導コイルを断熱支持する部材や、超電導コイルを収納する冷却容器を介して機械的に結合されている。そのため、常温で組立てられた超電導コイル構造体を冷媒温度まで冷却する過程で熱収縮により超電導コイル相互間の相対的距離が変化する。その変化は複雑であるから、超電導コイル相互間の位置制御には困難を伴う。加えて、第1及び第2の支持部材又は支柱は、室温環境下で用いられるため、その温度変化によって、超電導コイル相互間の相対位置も微妙に変化し、MRI領域の磁場均一度に悪影響を及ぼす問題がある。
発明の開示
本発明は、被検体の開放感や術者のアクセス性に優れ、電磁力等の作用荷重によるたわみ変形が少なく、かつ周囲温度変化や超電導コイル冷却時の位置制御を容易にすることを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の超電導磁石装置は、2組の超電導コイルと、該超電導コイルをそれぞれ支持、固定する2組のコイル支持体と、前記2組の超電導コイルを磁気共鳴撮像領域を挟んで対向配置するよう支持する2組の支持構造体と、前記超電導コイルをそれぞれ収納する2つの冷却容器とを具備し、
前記2組の支持構造体は、2本の支柱と、該各支柱と前記各コイル支持体とを結合する2本の梁とを有して構成され、
前記2本の支柱は、前記磁気共鳴撮像領域における静磁場の方向と平行に配列され、かつ前記静磁場の方向に直交する面内において前記2本の支柱を結ぶ直線の内分点が静磁場の中心軸から離れた位置に配置されてなり、
前記2本の梁は、その長軸の延長線が互いに交差するように配置され、該交差点を通り前記静磁場の方向に平行な軸(以下、S軸という)が前記内分点よりも静磁場の中心軸側に位置されてなることを特徴とする。
この構成では、超電導コイルを固定、支持するコイル支持体を、磁気共鳴撮像領域(以下、MRI領域という。)の両側に配置した2本の支柱が、これに結合された2本の梁を介してコイル支持体を支持しているので、超電導コイルは強固に支持されると共に、磁石の開放性、被検体アクセス性が保持される。更に、2本の梁同士の端部が接する、又はその延長線が交差する軸(S軸)が磁石にかかる電磁力などの荷重の作用中心点の近傍にあるので、支柱と梁からなる支持構造体による超電導コイルの支持強度は向上する。この結果として、一対の静磁場発生源の間隔が殆ど変化なく維持されるので、MRI領域の静磁場の磁場均一度を向上させることができる。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記梁の他の一端同士が前記S軸において結合されている。この構成では2本の梁の端部同士が磁石の荷重の作用中心点の近傍であるS軸において結合されているので、コイル支持体を支持する支持強度が更に向上する。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記S軸は前記内分点と静磁場の中心軸とを結ぶ直線上に位置され、かつ静磁場の中心軸と該中心軸に対して前記内分点と反対側に位置する超電導コイルの最大外周位置との間に位置されてなる。この構成では、2本の梁同士の端部が接する、又はその延長線が交差するS軸が、磁石にかかる電磁力などの荷重の作用中心点により接近するので、支持構造体による超電導コイルの支持強度は更に向上する。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記支柱の断面形状が前記S軸又はその近傍に向かう方向の断面二次モーメントがそれに直交する方向の断面二次モーメントよりも大きくなるような形状である。この構成では、磁石にかかる電磁力などの荷重の作用中心点の近傍に位置するS軸又はその近傍方向における支柱の曲げ剛性が大きくなっているので、磁石にかかる荷重による変形は格段に低減され、これに支持される静磁場発生源相互間の間隔は殆ど一定に維持される。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記支柱の断面形状が前記S軸又はその近傍に向かう方向を長手方向とする長円形又は長方形である。この構成では、支柱のS軸又はその近傍方向の断面二次モーメントが大きくなるので、支柱のS軸又はその近傍方向の支持強度が向上する。また、支柱の断面形状が長円形又は長方形であることから、支柱の加工は容易となる。
本発明の超電導磁石装置では更に、2本の支柱は、第1の支柱と第2の支柱とを有してなり、第1と第2の支柱は前記梁の長手方向又はその近傍の方向に沿って位置をずらして配置されている。この構成では、梁の長手方向又はその近傍方向に2個の支柱を位置をずらして配置したことにより、梁の長手方向又はその近傍方向の断面二次モーメントが大きくなり、梁の長手方向又はその近傍方向の支柱の支持強度が向上する。また、各々の支柱の断面形状を円形又は長方形などとすることにより、支柱の加工は容易となる。
本発明の超電導磁石装置では更に、前記支柱と前記梁とからなる前記支持構造体の一部又は全部が前記冷却容器に収納されている。この構成では、超電導コイルと共に支持構造体が冷却されるので、外気温度の変化にかかわらず、一対の静磁場発生源間の距離は一定に保持されるので、MRI領域の静磁場の磁場均一度は安定に保持される。
また、本発明は上述の超電導磁石装置を磁気共鳴イメージング装置に備えたものである。
その他本発明は、磁気共鳴撮像領域を形成する一対の静磁場発生手段と、前記静磁場発生手段により形成される静磁場方向と平行に配置され、前記一対の前記静磁場発生手段を対向させて支持する2つの支柱とを備え、前記静磁場方向と平行で、かつ前記支柱を結んだ直線の中点を通る第1の直線が、前記静磁場方向と平行で、かつ前記磁気共鳴撮像領域の静磁場の中心点を通る第2の直線とは異なる位置に配置されてなる磁気共鳴イメージング装置において、
前記各支柱の一端に前記静磁場発生手段と当該支柱とを連結する連結部材をそれぞれ備え、該各連結部材はその延在方向の先端あるいは延長線がそれぞれ交差するように配置され、該交差点を通り前記静磁場方向と平行な第3の直線が、前記第1の直線と第2の直線を含む平面上に配置されたことを特徴とする。
この場合において、前記第3の直線は前記第2の直線に対し、前記第1の直線とは反対側の位置に配置されたもの、前記第3の直線と前記第2の直線との間の距離が、前記第1の直線と前記第2の直線との間の距離よりも短かいものとすることができる。
さらに、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、静磁場を発生する一対の静磁場発生手段と、該一対の前記静磁場発生手段を対向させて支持する支持構造体とを備え、該支持構造体は2つの支柱と、該2つの支柱間に渡して前記一対の静磁場発生手段に接合された梁部材とを有し、該梁部材は、該梁部材の長軸部分が前記静磁場の方向に垂直な面上で前記各静磁場発生手段に接合され、かつ前記長軸部分によって区分された前記各静磁場発生手段の第1の領域と第2の領域の前記一対の静磁場発生手段間に作用する力によって生ずるモーメントを打消し合う位置に配置されてなる構成とすることができる。
この場合において、前記2つの支柱は、該2つの支柱を結ぶ線が前記一対の静磁場発生手段が形成する静磁場の中心軸から離れた位置にずらして配置され、前記梁部材は、該梁部材の中点が前記2つの支柱を結ぶ線の中点と静磁場の中心軸を含む面上に配置されてなることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る超電導磁石装置の実施例を添付図面に従って説明する。
図1〜図3に、本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例を示す。図1は装置の全体斜視図、図2は図1のII−II線における断面図、図3は図2のIII−III線における断面図である。図1では超電導磁石装置の全体構成について、図2と図3では静磁場発生源とそれを支持する支持構造について、それぞれ説明する。
図1において、先ず磁気共鳴撮像領域(MRI領域)2の磁場中心0を原点とする3次元直交座標系を定義する。図1における上下方向をZ軸8、左右方向をX軸6、紙面に垂直な方向をY軸7とする。本実施例の超電導磁石装置では、2組の静磁場発生源1A、1Bはそれぞれ冷却容器3A、3Bに収納されており、これらの冷却容器3A、3BがMRI領域2を挟んで上下(Z軸8方向)に対向して配置されている。上下の冷却容器3A、3Bは、Y−Z平面に対して対称位置に配置された支持構造体を構成する支柱4A、4Bによって接続、支持されている。MRI領域2には上下方向(Z軸8方向)の静磁場が生成される。MRI領域2の静磁場方向の中心軸(以下、磁場中心軸という)は、磁場中心0を通るZ軸8に相当するので、以下において磁場中心軸とZ軸8とは同一ものとして扱うことにする。
図2は、図1の冷却容器3Aの部分をZ軸8に垂直な面で切断したII−II線における断面図である。図2には、冷却容器3A内の静磁場発生源1Aの配置及び冷却容器3Aを支持する支柱4A、4Bの配置が示されているが、冷却容器3Bと静磁場発生源1Bについても同様である。図2において、静磁場発生源1A(1B)は、Z軸8を中心軸にして配置されている。つまり、各々の静磁場発生源1A、1BはZ軸8を中心軸とする円環状に形成された複数の超電導コイル9で構成されている。これらの超電導コイル9はコイル支持体10によって強固に固定、支持されている。
ここで、静磁場発生源1A、1Bをそれぞれ構成する超電導コイル9は、2個のものに限られるものではなく、1個又は3個以上を組合わせたものでもよい。また、静磁場発生源1A、1Bは、超電導コイル9に加えて、磁性体からなるリング状の磁極を備えて構成されるものであってもよい。
コイル支持体10の構造例を図4に示す。図4(A)は組立品の透視外観図、図4(B)は組立前の構成部品の外観図である。図4において、コイル支持体10は超電導コイル9の環状方向に沿って分散配置された例えば8個の支持板31と、これらの支持板31を接続する扇形の例えば16個の接続板32とから成る。支持板31は超電導コイル9を支持するコイル支持穴33を備えた長方形の板で、通常非磁性のステンレス鋼やアルミニウムなどから成る。この支持板31は長方形の長手方向がコイル支持体10の中心軸を向くようにして例えば45度間隔で配置される。接続板32は開き角度45度の扇形の板で、支持板31と同じ材料から成る。図示の如く、支持板31の長辺の長さと、接続板32の直線辺の長さは同じに作られており、両者は支持板31の長辺と接続板32の直線辺とを溶接又はろう付けなどにより接合することにより組み立てられる。
コイル支持体10の組立品では、支持板31は超電導コイル9を支持するために円周方向にほぼ等間隔に配置され、接続板32は支持板31の間隔を確保し、支持板31を補強するために、支持板31に接合されている。8個の接続板32は全体としては、2枚の円板状体を形成している。
コイル支持体10による超電導コイル9の支持は、超電導コイル9を支持板31のコイル支持穴33に挿入して固定することによって行われる。なお、コイル支持穴33には超電導コイル9を導き入れるための導入口を設けるとよい。また、この導入口の幅をコイル支持穴33の幅と同等に拡げて、コイル支持穴33を超電導コイル9の巻枠とすることもできる。
コイル支持体10を形成する支持板31と接続板32の個数は上記に限定されず、また、支持板31の配置も等間隔でなくてもよい。また、コイル支持体10の構造に関しては、図4はその一例を示したもので、これに限定されず、超電導コイル9を強固に支持し、後述の梁11と結合できるものであればよい。
また、超電導コイル9は冷却容器3A、3Bの内部に貯えられた液体ヘリウム等の低温冷媒で超電導転移温度以下になるように冷却されている。なお、冷却容器3A、3Bは、図示していないが、低温冷媒を貯える冷媒容器と、冷媒容器を内包する断熱シールドと、断熱シールドを内包する真空容器等で構成されている。
また、冷却容器3A、3Bを支持する2本の支持構造体を構成する支柱4A、4Bは、磁場中心0を通るX軸6上ではなく、X軸6からY軸7の(+)方向に一定寸法ずらして配置されている。つまり、Z軸8に対して非対称の位置に配置されている。このため、MRI領域2から外側を見た場合、上下方向の視野は冷却容器3A、3Bによって遮られるが、水平方向の視野は前方(Y軸(−)方向)及び左右方向(X軸(+)、(−)方向)に大きく開けている。この結果、MRI領域2に挿入された被検体にとって大きな開放感が得られ、また左右方向及び前方からの術者のアクセス性は非常に優れたものとなる。特に、Y軸(+)側の支柱4A、4Bの間隔を、被検体を仰臥させたベッドが挿入可能な寸法にすることにより、手術者はX軸、Y軸のいずれの方向からもアクセスすることができるので、使い勝手がよい。
図3は、図2のIII−IIIにおける断面図であり、支柱4Bによる静磁場発生源1A、1Bの支持構造を示している。なお、支柱4Aによる静磁場発生源1A、1Bの支持構造も同様である。以下、図2と図3を用いて、本実施例での支柱4A、4Bの構造と静磁場発生源1A、1Bの支持構造の詳細について説明する。先ず、図2において、2本の支柱4A、4Bは被検体の開放性を向上するために、X軸6より後方(Y(+)側)であって、Y軸7から等距離の位置に配置されている。支柱4A、4Bは支持体冷却容器5A、5Bに収納され、静磁場発生源1A、1Bと同様に冷却されている。ここで、支持体冷却容器5A、5Bは冷却容器3A、3Bと連結されていて、上下の冷却容器3A、3Bを熱的及び機構的に接続する役割も担っている。
次に、図3において、静磁場発生源1A、1Bを構成する超電導コイル9はコイル支持体10に支持されている。コイル支持体10は、梁11B(11A)と補助梁12を介して支柱4B(4A)に支持されている。つまり、上下のコイル支持体10の外側面に梁11B(11A)が固定され、上下のコイル支持体10の外周面に補助梁12が固定され、梁11B(11A)と補助梁12は支柱4B(4A)に結合されている。このようにして、静磁場発生源1A、1Bはコイル支持体10に結合された梁11A、11Bからなる連結部材によって支柱4A、4Bに支持されている。また、コイル支持体10と支柱4A、4Bの結合体は、全体として、下側の冷却容器3B内で、複数個の支持体13によって、支持、固定されている。
図2及び図3において、本実施例の開放型超電導磁石装置では、上下の静磁場発生源1A、1Bの間に電磁吸引力が作用する。また、上側の冷却容器3A全体の重力がかかり、左右の支柱4A、4Bに荷重が作用する。これに対し、支柱4A、4Bは超電導磁石装置の前方側(Y(−)側)の開放感を向上させるために、磁場中心軸であるZ軸8よりも後方(Y(+)側)に配設されている。このため、左右の支柱4A、4Bには電磁力などの曲げ荷重がかかり、曲げ変形が生ずることになる。本実施例では、この曲げ変形を低減するために、支柱4A、4Bの断面形状を改善するとともに、2本の支柱4A、4Bの間に2本の梁11A、11Bを配設している。この2本の梁11A、11Bは上下の静磁場発生源1A、1Bに対して同様に配設されている。
ここで、本実施例における2本の梁11A、11Bの配置関係について詳細に説明する。図2において、左右の支柱4A、4Bの断面の幾何学中心(以下、支持構造体中心という)20A、20Bを結ぶ線を内分線21、支持構造体中心20A、20Bの中間点を内分点22と呼ぶことにする。まず、内分点22が、Z軸8よりもY軸7方向の後方(Y(+)側)にずれているために、上記の曲げ変形に起因するたわみ変位は、内分線21を基準にして、Y軸7方向の前方向(Y(−)側)で大きく、Y軸7方向の後方側(Y(+)側)で小さくなる。このたわみ変位を生じさせる電磁力などの荷重による曲げ変形の作用中心点の位置は、内分線21を中心軸としてY軸(+)側に作用する曲げモーメントとY軸(−)側に作用する曲げモーメントの差を、内分線21を中心軸としてY軸(+)側に作用する荷重とY軸(−)側に作用する荷重の差で除することにより求められる。
すなわち、図2において、支柱5A、5B及び静磁場発生源1A(又は1B)はY軸7に関して対称であるから、電磁力などの荷重による曲げモーメントをY軸上に換算して求めることができる。また、曲げモーメントは内分線21のY軸(+)側とY軸(−)側で逆向きとなるから、合成曲げモーメントの大きさはY軸(+)側とY軸(−)側とにそれぞれ作用する曲げモーメントの差になる。そして、合成曲げモーメントの作用中心点の位置は、合成曲げモーメントを内分線21のY軸(+)側に作用する電磁力などの荷重から、Y軸(−)側に作用する電磁力などの荷重を引いた値で除することにより、内分点22からの距離として求めることができる。さらに、言いかえれば、2本の支柱5A、5Bに渡して設けられたV字形の梁(11A、11B)の長軸部分が静磁場発生源1Aに接合され、この梁(11A、11B)によって区分される大小2つの扇形状の領域を、例えばY軸(+)側を第1の領域、Y軸(−)側を第2の領域とする。そして、これらの第1の領域と第2の領域に作用するモーメントが打消し合うように梁(11A、11B)の中点を、支柱5A、5Bを結ぶ線の中点と静磁場の中心軸Sを含む面上に位置させる。これにより、梁(11A、11B)によってバランスよく静磁場発生源1Aを支持することができる。
上記のたわみ変形を抑制し、上下の静磁場発生源1A、1B間の距離を一定に確保するには、この曲げモーメントに対する剛性を上げる必要がある。そこで、本実施例では上記の作用中心点に向かった方向の剛性を向上することにした。本実施例の磁石構造において、上記の作用中心点の位置を概算すると、この作用中心点は磁場中心0を通るZ軸8より少しY軸7方向の前方向(Y(−)側)に位置する。図2において、この作用中心点又はその近傍を通り、Z軸8に平行な線をS軸14として示している。コイル支持体10の支持強度を向上するため、本実施例では、S軸14と支柱4A、4Bの間に渡して梁11A、11Bを配設し、これらの梁11A、11Bにてコイル支持体10を支持している。特に、2本の梁11A、11Bの端部をS軸14において結合している。
上記のS軸14の位置に関しては、効果の面から見て、S軸14が作用中心点を通るのが理想的である。しかし、これに限定されず、S軸14は作用中心点の近傍にあれば実用上の効果が得られる。実用的見地から見て、S軸14は内分線21よりもY軸7方向前方向(Y(−)側)にあれば効果はある。特に、Z軸8からY軸7方向前方側(Y(−)側)へ向かって、コイル支持体10の外周までの範囲にS軸14を選定すれば支持強度向上の効果は大きくなる。本実施例においては、コイル支持体10は円盤状であるが、円盤状でない場合には、上記のコイル支持体10の外周としては、コイル支持体10の最大外周をとればよい。
また、支柱4A、4Bの断面については、図2に示す如く、長円形とし、その長円形の長手方向をS軸14又はその近傍の方向に向くように支柱4A、4Bを配設する。このように構成することにより、支柱4A、4BのS軸14又はその近傍方向の断面二次モーメントが増加するので、上記曲げモーメントに対する剛性が向上し、支柱4A、4Bの曲げたわみ角が小さくなり、結果として上下の静磁場発生源1A、1B間の変位が抑制される。
支柱4A、4Bの断面形状は、上記の長円形に限定されず、長方形や多角形などでもよく、S軸14又はその近傍の方向の長さが長く、直交する方向の長さが短くなるような形状であって、S軸14又はその近傍の方向の断面二次モーメントが他の方向より大きいものであれば効果がある。従って、内部に穴のあいた中空部材などであってもよい。また、断面形状が長円形や長方形のものでは加工性もよく、コストも低減することができる。
図5に、コイル支持体10と梁11A、11Bとの結合構造例を示す。図示のものは上側のコイル支持体10の例を示したものである。図5において、2本の梁11A、11Bの下面が、コイル支持体10の上面34、すなわち接続板32が形成する円板状面に、V字形の配置で、溶接などにより強固に結合されている。また、2本の梁11A、11Bの一方の端部同士がS軸14に相当する位置において、溶接などによって結合されている。2本の梁11A、11Bの他方の端部は図示していないが、2本の支柱4A、4Bの端部に結合される。この梁11A、11Bの材料としては、非磁性のステンレス鋼などから成る長方形の角材やその中空角材又はH形材などが用いられる。
図示の例では、2本の梁11A、11BはS軸14に対応する位置において結合されることにより、2本の梁11A、11Bが一体化されることで、梁11A、11Bがコイル支持体10を支持する支持強度が向上する。しかし、梁11A、11Bとコイル支持体10との結合は図示のものに限定されるものではない。例えば、2本の梁11A、11Bの端部同士を結合せずに離して配置しても、2本の梁11A、11Bの延長線がS軸14又はその近傍を通るように配置すればよい。この場合でも、2本の梁11A、11Bによるコイル支持体10の支持強度は十分に確保される。
本実施例において、2本の梁11A、11Bはコイル支持体10とは別個の構成要素として説明したが、2本の梁11A、11Bとコイル支持体10とを一体に構成してもよい。両者とも超電導コイル9を支持するための構成要素であるので、磁石として完成した状態では、両者は結合されて一体化されたものとなる。
図6には、支柱4A、4Bと梁11A、11Bとの結合構造例を示す。図示のものは上側の梁11A、11Bの場合を示している。図6において、支柱4A、4Bの上端面に梁11A、11Bの端部をのせて溶接などにより接合されている。この例では、支柱4A、4Bの断面は長方形又は中空長方形である。この長方形の長辺と梁11A、11Bの長さ方向がほぼ一致するように接合されている。
また、図3において、コイル支持体10を支柱4A、4Bに支持する構造には、梁11A、11Bの他に補助梁12が使われている。本実施例では、上側のコイル支持体10は上側から梁11A、11Bによって支持、固定され、下側から補助梁12によって支持、固定されている。また、下側のコイル支持体10は下側から梁11A、11Bによって支持、固定され、上側から補助梁12によって支持、固定されている。更に、支柱4A、4Bとコイル支持体10との結合体は、複数個の支持体13によって支持されている。
本実施例において、静磁場発生源1A、1Bを構成する超電導コイル9を支持するコイル支持体10、梁11A、11B、補助梁12、支柱4A、4B、支持体13などの構成要素の材料としては、非磁性のステンレス鋼やニッケル基合金などの金属材料やFRPなどの繊維強化型の複合材料を使用するのが好ましい。一般に、これらの材料の機械的強度は、使用温度が低くなるにつれて高くなる傾向にあるため、例えば液体ヘリウム温度などの低温で使用する場合には、常温で使用する場合に比べて少ない断面積の材料でよいため、重量とコストを低減することができると共に、機械的安全性を向上することができる。なお、前記の如く、支柱4A、4Bは、中空のパイプ構造でも、あるいはロッド構造でもどちらでもよく、前者の場合は軽量化をはかることができる。
また、本実施例の如く、超電導コイル9から構成される上下の静磁場発生源1A、1B相互をコイル支持体10、梁11A、11B及び支柱4A、4Bによって強固に直接的に拘束する構造では、それらの構造部材が超電導コイル9と同様に液体ヘリウムなどの低温冷媒に浸漬されている。そのため、静磁場発生源1A、1Bとこれらを支持する構造部材が常時一定温度に保持されるため、上下の静磁場発生源1A、1B間の相対位置は常時安定して一定に保持されることになる。その結果、周囲環境の温度が変化しても、上下の静磁場発生源1A、1B間の相対位置は変化しにくいので、本実施例のMRI領域2の静磁場の磁場均一性とその安定度が優れたものとなる。
図7、図8に、本発明に係る超電導磁石装置の第2の実施例を示す。本実施例の装置の外観図は図1とほぼ同様であるので省略した。図7は装置の横断面図で、図2と同様に冷却容器3の部分をZ軸8に垂直な面で切断したものである。図8は、図7のVIII−VIIIにおける断面図で、図3と同様に静磁場発生源1A、1Bの支持構造を示している。
本実施例では、静磁場発生源1A、1B及びこれを支持するコイル支持体10の構造などは第1の実施例と同様であるが、支柱4A、4Bの構造が異なる。図7において、左右の支柱4A、4Bは各々2種類の平行な支柱、即ち第1の支柱25と第2の支柱26の複合体で構成されている。第1の支柱25は磁場中心0に近い側に、第2の支柱26は磁場中心0から遠い側に離して配設されている。第1の支柱25と第2の支柱26は共に梁11A、11Bに結合され、2本の梁11A、11B同士はS軸14において結合されている。本実施例の場合も、第1の実施例と同様に、これに限定されず、2本の梁11A、11Bはその延長線がS軸において交差するようにコイル支持体10に結合されていてもよい。
図7、図8において、第1の支柱25と第2の支柱26は梁11A、11Bの長さ方向に配列されていて、梁11A、11Bを梃子の棒とした場合、第1の支柱25は梃子の支点を、第2の支柱26は挺子の片端を支持する役割を果たしている。本実施例においても、第1及び第2の支柱25、26は支持構造体冷却容器5内に収納されている。
本実施例の如く梃子の原理を応用した支柱の構造は、上下の静磁場発生源1A、1B間に作用する電磁力が大きい磁石で、第1の実施例による長円形又は長方形断面の支柱を適用しても、その荷重を変形の許容限度内で支持することができない場合などには、有効である。
また、本実施例の場合も、第1の支柱25と第2の支柱26を結ぶ線は、S軸又はその近傍方向を通る線上に配列される。したがって、支柱全体としてのS軸又はその近傍方向の断面二次モーメントは大幅に増加し、曲げ剛性は格段に向上している。また、第1の支柱25と第2の支柱26の断面形状については、図示の場合両者ともほぼ等しい直径をもつ円形状にしているので、加工は容易である。両者の断面形状については、これに限定されず、長方形などにしてもよい。また、両者の断面形状は別個のもの、例えば、円形と長方形にしてもよい。また、両者の断面積の大きさも別個のもの、例えば第1の支柱25の断面積を大きくし、第2の支柱26の断面積を小さくしてもよい。本実施例の如く、第1の支柱25と第2の支柱26に分割することにより、一体の場合より加工対象物が小さくなるので、加工性がよくなる場合が多い。
また、本発明は、液体ヘリウム等の冷媒浸漬式の超電導磁石のみならず、低温冷媒を使用せずに、小型冷凍機から伝熱部材を介して伝導冷却する方式の超電導磁石にも適用できる。この場合には装置の小型化を図ることができる。
また、超電導磁石以外の常電導磁石あるいは永久磁石にも適用することができる。さらに、梁11A、11Bはたわみ変形を防止することが達成されれば、棒状体でなくとも円弧状や鋸状、波状など種々の形状を適用してもよい。さらにまた、梁11A、11Bは独立して支柱からそれぞれ延長されたものになっているが一体に形成することもできる。例えば山型形状や弓形状、円弧形状にし端部を支柱に接合させることもできる。
図9は、本発明の超電導電磁石装置を静磁場発生装置に適用してなる磁気共鳴イメージング装置の一実施例の全体構成図を示す。図に示すように、磁気共鳴イメージング装置は、静磁場発生装置101、傾斜磁場発生装置102、送信系103、受信系104、信号処理系105、シーケンサ106、及び中央処理装置(CPU)107等を備えて構成される。静磁場発生装置101は、被検体109が置かれる空間に均一な静磁場を発生させるものであり、前述した超電導電磁石装置が適用されている。その静磁場の方向は、通常、被検体109の体軸方向又は体軸に直交する方向である。傾斜磁場発生装置102は、直交3軸(X、Y、Z)方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル110と、その傾斜磁場コイル110の駆動電流を供給する傾斜磁場電源111を有して構成されている。傾斜磁場電源111は、シーケンサ106の命令に従って直交3軸(X,Y,Z)方向の傾斜磁場Gs、Gp、Gfを被検体109に印加するようになっている。この傾斜磁場の与え方によって断層像のスライス面を設定することができる。シーケンサ106はCPU107の制御により動作し、パルスシーケンスと称される撮像シーケンスに従って、傾斜磁場発生装置102、送信系103、受信系104等に命令を送り、断層像を撮像するのに必要な制御を実行するものである。
送信系103は、高周波磁場パルスにより被検体109の生体組織を構成する原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波パルスを照射するもので、高周波発振器112、変調器113、高周波増幅器114及び高周波照射コイル115を有して構成されている。そして、送信系103は、シーケンサ106の命令に従って、高周波発振器112から出力される高周波パルスを変調器113で振幅変調し、さらに高周波増幅器114で増幅した後、高周波照射コイル115に供給して高周波磁場パルス(RFパルス)を被検体109に照射するようになっている。
受信系104は、被検体109の生体組織の原子核の核磁気共鳴により放出されるエコー信号などの磁気共鳴信号を検出するもので、受信側の高周波受信コイル116、増幅器117、直交位相検波器118及びA/D変換器119を有して構成される。高周波受信コイル116により受波された磁気共鳴信号は増幅器117で増幅され、直交位相検波器118で検波された後、A/D変換器119でディジタル信号の計測データに変換される。なお、シーケンサ106の制御によるタイミングで直交位相検波器118により位相を90°ずらしてサンプリングされた二系列の計測データは、信号処理系105に送られる。
信号処理系105は、CPU107、ROM120、RAM121、光磁気ディスク122、CRTなどのディスプレイ123及び磁気ディスク124を有して構成される。CPU107は、入力される計測データをフーリエ変換処理を含む画像再構成処理を行い、任意断面の信号強度分布あるいは所定の処理をした画像を作成して、ディスプレイ123に断層像として表示するようになっている。ROM120は、経時的な画像解析処理及び計測を行なうプログラムや、その実行に用いる不変のパラメータなどを記憶する。RAM121は、前計測で用いた計測パラメータや、送信系104で検出したエコー信号、及び関心領域設定に用いる画像を一時保管すると共に、その関心領域を設定するためのパラメータなどを記憶する。光磁気ディスク122及び磁気ディスク124は、CPU107により再構成された画像のデータを記録する。ディスプレイ123は、光磁気ディスク122及び磁気ディスク124に格納されている画像データを映像化して断層像として表示する。操作部108は、信号処理系で実行する処理の制御情報を入力するものであり、例えば、トラックボール又はマウス125やキーボード126を備えて構成される。
このように構成される磁気共鳴イメージング装置の静磁場発生装置101は、前述した第1又は第2の実施例に係る超電導電磁石装置が適用される。そして、被検体109の診断部位をMRI領域に位置させ、静磁場発生装置101を駆動して被検体109の診断部位に均一な静磁場を印加することができる。
本実施例によれば、対向する2組の静磁場発生源を2本の支柱によって支持するとともに、2本の支柱を結ぶ線がMRI領域から外れた位置に来るように、かつ2本の支柱の狭い方の間隔を一定以上に広げて配置したことから、被検体109に大きな開放感を与え、術者にとって被検体109へのアクセス性に優れたものとすることができる。
特に、2本の支柱の端部に固着された2本の梁の他端または軸線の交点を、2本の支柱を結ぶ線に対してMRI領域を挟んだ反対側に位置させて、それらの梁に超電導コイルを組付けた円盤状のコイル支持体を直接固着したことを特徴とする。すなわち、断熱部材などを介在させずに、対向配置された2組の超電導コイルを強固に支持固定することから、超電導コイル相互間に作用する電磁力等の荷重による撓み変形を小さくすることができる。その結果、MRI領域の静磁場均一度を著しく向上させることができる。
また、支柱を支持体冷却容器内に収納し、支柱と梁とコイル支持体とによって直接に超電導コイルを支持する構造にしていることから、周囲温度変化や超電導コイル冷却時の位置制御が容易な超電導磁石装置を実現できる。しかも、支柱と梁とコイル支持体とからなる支持構造体を、超電導コイルと同じ冷媒によって冷却する構造を採用していることから、低温になるほど強度が向上する材料(ステンレス鋼、ニッケル基合金、FRP等)を用いることにより、支持構造体の重量およびコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例の全体斜視図、図2は図1のII−II線における断面図、図3は図2のIII−IIIにおける断面図、図4はコイル支持体の構造例、図5はコイル支持体と梁との結合構造例、図6は支柱と梁との結合構造例、図7は本発明に係る超電導磁石装置の第2の実施例の冷却容器部分の横断面図、図8は図7のVIII−VIII線における断面図、図9は本発明の一実施例の磁気共鳴イメージング装置の全体構成図である。
Claims (13)
- 2組の超電導コイルと、該超電導コイルをそれぞれ支持、固定する2組のコイル支持体と、前記2組の超電導コイルを磁気共鳴撮像領域を挟んで対向配置するよう支持する2組の支持構造体と、前記超電導コイルをそれぞれ収納する2つの冷却容器とを具備し、
前記2組の支持構造体は、2本の支柱と、該各支柱と前記各コイル支持体とを結合する2本の梁とを有して構成され、
前記2本の支柱は、前記磁気共鳴撮像領域における静磁場の方向と平行に配列され、かつ前記静磁場の方向に直交する面内において前記2本の支柱を結ぶ直線の内分点が静磁場の中心軸から離れた位置に配置されてなり、
前記2本の梁は、その長軸の延長線が互いに交差するように配置され、該交差点を通り前記静磁場の方向に平行な軸(以下、S軸という)が前記内分点よりも静磁場の中心軸側に位置されてなる超電導磁石装置。 - 請求の範囲1に記載の超電導磁石装置において、前記2本の梁は前記S軸の位置において結合されていることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求の範囲1又は2に記載の超電導磁石装置において、前記S軸は前記内分点と静磁場の中心軸とを結ぶ直線上に位置され、かつ静磁場の中心軸と該中心軸に対して前記内分点と反対側に位置する超電導コイルの最大外周位置との間に位置されてなることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求の範囲1乃至3のいずれかに記載の超電導磁石装置において、前記支柱のの断面形状が前記S軸又はその近傍に向かう方向の断面二次モーメントがそれに直交する方向の断面二次モーメントよりも大きくなるような形状であることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求の範囲4に記載の超電導磁石装置において、前記支柱の断面形状が前記S軸又はその近傍に向かう方向を長手方向とする長円形又は長方形であることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求の範囲1乃至3のいずれかに記載の超電導磁石装置において、前記支柱は、第1の支柱と第2の支柱とを有してなり、第1と第2の支柱は前記梁の長手方向又はその近傍の方向に沿って位置をずらして配置されていることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求の範囲1乃至6のいずれかに記載の超電導磁石装置において、前記支柱と前記梁とからなる前記支持構造体の一部又は全部が前記冷却容器に収納されていることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求の範囲1乃至7のいずれかに記載の超電導磁石装置を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 磁気共鳴撮像領域を形成する一対の静磁場発生手段と、前記静磁場発生手段により形成される静磁場方向と平行に配置され、前記一対の前記静磁場発生手段を対向させて支持する2つの支柱とを備え、前記静磁場方向と平行で、かつ前記支柱を結んだ直線の中点を通る第1の直線が、前記静磁場方向と平行で、かつ前記磁気共鳴撮像領域の静磁場の中心点を通る第2の直線とは異なる位置に配置されてなる磁気共鳴イメージング装置において、
前記各支柱の一端に前記静磁場発生手段と当該支柱とを連結する連結部材をそれぞれ備え、該各連結部材はその延在方向の先端あるいは延長線がそれぞれ交差するように配置され、該交差点を通り前記静磁場方向と平行な第3の直線が、前記第1の直線と第2の直線を含む平面上に配置されたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求の範囲9に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記第3の直線は前記第2の直線に対し、前記第1の直線とは反対側の位置に配置されたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求の範囲9又は10に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記第3の直線と前記第2の直線との間の距離が、前記第1の直線と前記第2の直線との間の距離よりも短いことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 静磁場を発生する一対の静磁場発生手段と、該一対の前記静磁場発生手段を対向させて支持する支持構造体とを備え、該支持構造体は2つの支柱と、該2つの支柱間に渡して前記一対の静磁場発生手段に接合された梁部材とを有し、該梁部材は、該梁部材の長軸部分が前記静磁場の方向に垂直な面上で前記各静磁場発生手段に接合され、かつ前記長軸部分によって区分された前記各静磁場発生手段の第1の領域と第2の領域の前記一対の静磁場発生手段間に作用する力によって生ずるモーメントを打消し合う位置に配置されてなる磁気共鳴イメージング装置。
- 請求の範囲12に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記2つの支柱は、該2つの支柱を結ぶ線が前記一対の静磁場発生手段が形成する静磁場の中心軸から離れた位置にずらして配置され、前記梁部材は、該梁部材の中点が前記2つの支柱を結ぶ線の中点と静磁場の中心軸を含む面上に配置されてなることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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