JPS645479Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、表面に凹凸の多い比較的小規模の農
牧地や圃場において、乾草，生草，藁又は大豆穀
等の刈り入物をロール状ベールに束ね、その所定
量をフレーム上にストツクして運搬し、必要に応
じて所望の個所に荷おろしするロールベーラー付
自走運搬車に関する。

〔従来技術とその問題点〕

従来、草藁類を収集し圧縮して梱包処理し、該
梱包物を圃場の所望個所に荷おろしする装置に
は、例えば実開昭52−41745号公報に掲載された
「ヘイベーラにおける梱包物の一時集積装置」（以
下、従来装置という）がある。上記従来装置は、
走行機体の前部下方に横方向の集草掻込機構が設
けられ、集草掻込機構の上方に該集草掻込機構と
平行な横搬送機構が架設され、横搬送機構の終端
部が臨む走行機体の一側端部に圧縮結束機構が設
けられ、圧縮結束機構の位置からは走行機体の一
側に沿つて圧縮筒部が縦方向に延設され、圧縮筒
部の後端放出口が臨む位置からは無端帯よりなる
コンベアが走行機体の後端縁に沿つて他側端部に
至るまで横方向に延設された構造を備えている。
このような構造を備えた従来装置を平面視する
と、矩形をなす走行機体のフレーム上面に、前記
横搬送機構，圧縮結束機構，圧縮筒部及びコンベ
アがコの字状に配置され、前方に横架された横搬
送機構と後方に横設されたコンベアとの間には可
成り広い空間が存在している。上記の如き構造を
備えた従来装置で圃場の草藁類を処理するときに
は、まず前進する走行機体の集草掻込機構によつ
て草藁類を掻込み、掻込まれた草藁類は横搬送機
構に受取られて一側端部にある圧縮結束機構へ送
込まれ、縦方向に延設された圧縮筒部内を順次押
送りされる間に圧縮形成され、一定の大きさにな
つたときに梱包結束されて走行機体の後端縁にあ
るコンベアへ移載され、コンベアに移載された梱
包草藁類は横方向に搬送され、走行機体の他側端
部に至つて梱包草藁類は随時圃場の所望個所にお
ろされるようになつている。

ところで上記従来装置には次の如き問題があつ
た。その第１は、走行機体のフレーム上面に無駄
な空間が存在するので、その分だけ装置全体の大
型化は避けられず、製造コストが高くなる。その
第２は、収集された草藁類は走行機体の一側端部
で圧縮され、走行機体の一側に沿つて縦方向に延
設された圧縮筒部の内部で草藁は更に圧縮され梱
包結束されるから、草藁類は急に高比重となり、
積載荷重が走行機体の一方側に偏位する。この偏
位荷重は圃場面の凹凸による走行機体の振動荷重
と相俟つて、一側方の車輪軸に集中し、走行機体
が損傷されやすくなり、耐用寿命を短縮するおそ
れがある。その第３としては、上記の偏荷重と振
動荷重とによつて走行機体の運転が困難となり、
草藁類の集積処理作業性を悪化せしめる等であ
る。

〔問題解決手段とその作用〕

本考案は、前記従来装置のもつ問題を解決する
目的のもとに創案されたものであつて、その目的
達成のために講じられた手段は、ロールベーラー
付自走運搬車において、運搬車本体の左右前輪の
中間位の前方寄りにピツクアツプ装置が設けら
れ、該ピツクアツプ装置の後方位にロールベーラ
ー本体が前方の定置部と該定置部の上方位に枢支
した後方の揺動部とに分割可能な状態で設けら
れ、前記ピツクアツプ装置の上方位で且つロール
ベーラー本体の前方位にエンジン室が設けられ、
該エンジン室及び前記ロールベーラー本体に上位
して運転席が設けられ、前記ロールベーラー本体
の定置部の底部近傍から後にストツクコンベアー
が設けられてなり、該ストツクコンベアーは結束
ベールをその重心が自走運搬車のフレーム軸線上
に沿つて移動し得る如く後方へ向かつて延設され
ているところにある。

上記の手段によれば、ピツクアツプ装置，ロー
ルベーラー本体，エンジン室及びストツクコンベ
アーの諸機構が運搬車本体にコンパクトに配置さ
れ、運転席は視界の広い前方高位にあつて、前記
諸機構の稼働状況を監視できるので、操縦性が極
めて良好である。しかも自走運搬車全体に無駄な
空間を存在せしめることがないから、自走運搬車
自体を小型化することができると共に、結束ベー
ルのストツク機構を簡潔化することができる。ま
た結束ベールは自走運搬車のフレームの軸線上を
後方に向かつて移動するので積載荷重の偏位がな
く、車輪軸に対しても無理な過大荷重が作用しな
いから、自走運搬車の耐用寿命の延長に寄与す
る。更に、結束ベールはその重心が自走運搬車の
フレームの軸線上に位置してストツクされるか
ら、積載荷重が安定しており、凹凸面の多い圃場
での運転も容易であり、作業能率の向上に寄与す
る。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて説
明する。第１図は、本考案に係るロールベーラー
付自走運搬車の実施例を示す右側面図であつて、
図中１は運搬車本体である。該運搬車本体１は、
車体フレーム２の前方寄り左右に駆動車輪として
の前輪３，３が配設されていると共に、後方寄り
の左右に梶取り車輪としての後輪４，４が配設さ
れている。左右前輪３，３の中間位の前方寄りに
は、草藁等の刈り入物１４を掬い上げるべく、公
知のピツクアツプ装置５が前記車体フレーム２に
対して上下位置調節可能な状態で取付けられてい
る。該ピツクアツプ装置５の後方位には、該ピツ
クアツプ装置５に連なるロールベーラー本体６が
配設されている。該ロールベーラー本体６は、前
方の定置部６ａと、該定置部６ａの上方位に枢支
１３された後方の揺動部６ｂとから構成されてい
る。そして、揺動部６ｂを定置部６ａへ揺動接近
させたときに、内部閉塞状のベール室６ｃを形成
し、刈り入物１４は該ベール室６ｃ内でロール状
の結束ベール７（第２図参照）とされる。また反
対に、揺動部６ｂが定置部６ａから揺動離隔され
るに伴い、結束ベール７は後述するストツクコン
ベアー８へ排出されるようになされている。ベー
ル室６ｃの環状内周は、前方下方寄りに形成され
た導入口６ｄと、該導入口６ｄより下方に形成さ
れた搬入装置６ｅと、導入口６ｄ及び搬入装置６
ｅを除く所に形成した公知の束ね用搬送装置６ｆ
とから構成されている。前記ピツクアツプ装置５
の上方位で且つロールベーラー本体６の前方位に
は、エンジン室９が設けられ、該エンジン室９及
び前記ロールベーラー本体６に上位して運転席１
０が設けられている。該運転席１０は、前記運搬
車本体１を運転するためのハンドル，チエンジレ
バー，座席等からなる。該運転席１０の近傍に
は、必要に応じて前記ロールベーラー本体６及び
後述するストツクコンベアー８を操作するための
操作手段（図示省略）が配設される。前記ロール
ベーラー本体６の定置部６ａの底部近傍、即ち前
記搬入装置６ｅの終端部近傍の後部には、ストツ
クコンベアー８が後方へ向かう昇り勾配をもつて
延設されている。該ストツクコンベアー８は、第
２図に示す如く、前記車体フレーム２の内側の中
央軸線を挾んで左右に張架されたエンドレスチエ
ーン８ａ，８ａと、該エンドレスチエーン８ａ，
８ａ間に適宜ピツチ（例えば、25.4mm）に取付け
た搬送棒８ｂ，８ｂ…とからなり、前記ベール室
６ｃから排出された結束ベール７を受け止めると
共に、該結束ベール７を昇り勾配の移送路に沿つ
て後方へ搬出するように構成されている。従つて
結束ベール７は、その重心が常に車体フレーム２
の軸線上に位置する状態を維持したまま後方へ移
動する。しかも、その移動は昇り勾配に沿つてな
されるから、結束ベール７が断面円形であるにも
拘らず、不安定に揺動するようなことはない。ス
トツクコンベアー８の左右両側及び後方には、第
３図に示す如く、必要に応じて荷台１１が設けら
れる。また、該荷台１１の外側縁部には、三方開
きの扉１２が揺動自在に設けられている。前記前
輪３，３、ピツクアツプ装置５、ロールベーラー
本体６及びストツクコンベアー８は、前記エンジ
ン室９の出力をチエーン，クラツチ，減速機等か
らなる適宜伝導手段を介して伝達し、駆動するよ
うに構成されている。

次に、本考案に係るロールベーラー付自走運搬
車の稼働態様について説明する。第１図に示す如
く、ピツクアツプ装置５でピツクアツプされた刈
り入物１４はロールベーラー本体６の搬入装置６
ｅへ供給され、導入口６ｄを通過してベール室６
ｃ内へ導かれる。ベール室６ｃ内へ導かれた刈り
入物４は、矢符Ａ方向へ走行中の束ね用搬送手段
６ｆによりロール状に束ねられる。刈り入物１４
がロール状に束ねられたならば、ピツクアツプ装
置５の回転及び運搬車本体１の走行を停止させる
と共に、導入口６ｄ等から供給されたトワイン
（図示省略）でロール状の刈り入物１４を外周か
ら締結し、結束ベール７（第２図参照）とする。
該結束ベール７は、第２図に示す如く、ロールベ
ーラー本体６の揺動部６ｂの矢符Ｃ方向へ揺動上
昇により二分割されたベール室６ｃからストツク
コンベアー８の始端部へ排出される。排出された
結束ベール７は、ストツクコンベアー８の矢符Ｂ
方向への搬送により、前記揺動部６ｂの揺動降下
を阻止しない終端部寄り位置まで搬出される。次
に、前記揺動部６ｂを揺動降下させた後、ピツク
アツプ装置５及び運搬車本体１を駆動させて再び
刈り入物１４をベール室６ｃへ導き、前記と同様
にしてロール状の結束ベール７とした後ストツク
コンベアー８へ排出する。そして、結束ベール７
は、その重心を車体フレーム２の軸線上に置いた
まま後方へ送られる。なお、ベール室６ｃ内へ導
かれた刈り入物１４がロール状に束ねられたこと
を適宜手段で検知し、トワインで締結した後、揺
動部６ｂを揺動上昇させ結束ベール７をストツク
コンベアー８へ排出し、該ストツクコンベアー８
を駆動すると共に、揺動部６ｂを揺動降下させる
動作をシーケンス制御により自動的に繰返すこと
も勿論可能である。

〔考案の効果〕

本考案に係るロールベーラー付自走運搬車は、
以上詳述の如くであるので、次に列挙する実用的
効果を奏するものである。

ピツクアツプ装置，ロールベーラー本体，エ
ンジン室及びストツクコンベアーの諸機構が運
搬車本体にコンパクトに配置され、運転席は視
界の広い前方高位置にあつて、前記諸機構の稼
働状況を監視できるので、操縦性が極めて良好
である。

複数個の結束ベールをストツクできるストツ
クコンベアーを備えているので、結束ベールを
個々に圃場へ放出することなく、その複数個を
ストツクしたまま連続的に作業を行なうことが
できるので、従来圃場に放置されていた結束ベ
ールを回収する手間を省略でき、且つ結束ベー
ルを所定の格納場所等へ迅速に集合整理するこ
とができる。

自走運搬車全体に無駄な空間がないから、自
走運搬車自体を格段に小型化することができる
と共に、結束ベールのストツク機構を簡潔なも
のとすることができるので、製造コストの低減
に寄与する。

ストツクコンベアーは、自走運搬車のフレー
ムの中央軸線に沿つて後方へ延設されているの
で、結束ベールによる積載荷重に偏位が生ぜ
ず、車輪軸に対しても無理な過大偏荷重が作用
しないから、自走運搬車の耐用寿命の延長に寄
与する。

結束ベールはまた、その重心が自走運搬車の
フレームの軸線上に位置したまま後方に向かう
昇り勾配に沿つてストツクされるから、断面円
形の結束ベールであつても積載荷重が安定して
おり、凹凸面の多い圃場での運転も容易であ
り、作業能率の向上に寄与する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るロールベーラー付自走運
搬車の一実施例を示す右側面図、第２図は同上の
右縦断面図、第３図は第１図の平面図である。 １……運搬車本体、２……車体フレーム、３…
…前輪、４……後輪、５……ピツクアツプ装置、
６……ロールベーラー本体、７……結束ベール、
８……ストツクコンベアー、９……エンジン室、
１０……運転席。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 比較的小規模の農牧地や圃場での使用に適した
   小型のロールベーラー付自走運搬車において、運
   搬車自体の左右前輪の中間位の前方寄りにピツク
   アツプ装置が設けられ、該ピツクアツプ装置の後
   方位にロールベーラー本体が前方の定置部と該定
   置部の上方位に枢支した後方の揺動部とに分割可
   能な状態で設けられ、前記ピツクアツプ装置の上
   方位で且つロールベーラー本体の前方位にエンジ
   ン室が設けられ、該エンジン室及び前記ロールベ
   ーラー本体に上位して運転席が設けられ、前記ロ
   ールベーラー本体の定置部の底部近傍から後にス
   トツクコンベアーが設けられてなり、該ストツク
   コンベアーはロール状結束ベールをその重心が自
   走運搬車のフレーム軸線上に沿つて移動し得る如
   く後方へ向かう昇り勾配をもつて延設されている
   ことを特徴とするロールベーラー付自走運搬車。