JPS642977Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は相互に可動な二つの部材間に挿入され
るシール組立体に関し、殊に詳しくは（それに限
定されるものではないが）外レースと内レースと
の間に挿入されるシール組立体、とりわけ二つの
唇部を有する型式のシール組立体に関する。

内外レース間に形成されかつ内部に回動体を内
蔵した凹所を周囲の環境から隔離して、潤滑油の
漏洩或は水・ごみ等の汚染物の侵入を防止するた
めに回動ベアリングの内外レース間に挿入される
シール組立体には多くの型式がある。

これらのうちで最も典型的なシール組立体は、
軽度の打込ばめによつて、回動ベアリングの外レ
ースに設けた特殊な座に連結されるような適宜形
状の金属製リングと、弾性重合体製の弾撥性環状
唇部とを備え、該唇部を適宜手段で上記金属製リ
ングに連結すると共にベアリングの内レース上に
形成した特殊な表面上を所定の圧力を受けて摺動
するようにして上記表面で摺動シール面を構成す
る。

又二つの唇部を有する型式のシール組立体が公
知である。この組立体は軽度の打込ばめによつて
ベアリングの外レースに結合するようにした適宜
形状の金属リングと、弾性重合体材料で作つた第
２のリングとを備える。第２のリングは所定の圧
力をかけて内レースの外面上を摺動するようにし
た半径方向の二つの唇部を有して凹所内に侵入す
る外部物質及び凹所から漏洩する潤滑油との両者
をシールする摺動面を提供する。

最後に、弾性重合体材料で出来た適宜形状のリ
ングを有するシール組立体が公知である。上記リ
ングを外レースの特殊な座に打込ばめによつて挿
入して、弾性重合体材料のリングに取付けた弾性
金属部材によつて内レースの外面に所定の圧力を
かけて押付けた変形可能の突起を用いて内レース
上の摺動シールを構成する。

上述したシール組立体には多くの欠点がある。
殊に二つの唇部を有する型式のシール組立体は
往々にして全体寸法が大きくなり回動ベアリング
に適用するのは不向きである。一方一つの唇部を
有するシール組立体は全体寸法が小さいが、シー
ル効率が悪いだけでなく保護すべき凹所の外側か
ら内側に向けて或は内側から外側に向けての一方
向の通過を防止するだけである。上記は使用時に
受ける圧力と反対方向に作用する不測の圧力によ
つて、シール用唇部が持揚げられて該唇部が作用
しなくなる為である。又シール組立体に金属製の
弾性部材を備える場合は該弾性部材によつて上記
の欠点の一部が解消されるが、変形可能な突起と
該突起が摺動する面との間の角度的接触領域が唯
一つでかつせまいので効率が低い。

本考案の目的は、上述した欠点がなく、又シー
ル組立体で保護すべき凹所からの潤滑油の漏洩及
び該凹所へ向つて汚染物の侵入を防止するための
効率的なシールが可能であり、さらに全体寸法の
小さいシール組立体を提供することである。

本考案は相互に可動な二つの部材間に挿入し
て、該部材間に形成された凹所と該凹所を取巻く
外部環境間をシールするシール組立体であつて、
上記組立体が、上記部材のうちの一つに設けて
夫々強固に取付けた第１環状要素と第２環状要素
とを備え、少なくとも第１環状要素には互にほぼ
直角な第１摺動面と第２摺動面とを形成したシー
ル組立体において、上記第２環状要素に強固に取
付けた軟質でかつ弾撥性のある材料からなる第３
環状要素と、該第３環状要素に形成した環状座内
に収容した弾撥性要素とを備え、又上記第３環状
要素が、上記第１摺動面上を摺動するようにした
変形可能な環状突起と、該環状突起に対してほぼ
直角に延びかつ上記第２摺動面上を摺動するよう
にした変形可能な環状唇部とを有し、さらに上記
弾撥性要素が所定の圧力で、上記環状突起及び環
状唇部を夫々第１、第２摺動面に対して押圧する
ように形成したシール組立体を提供するものであ
る。

本考案をよりよく理解するために添付図面を参
照して、限定されることのない本考案の実施例に
ついて詳細に説明する。

第１図において、符号１は、互に向合つた二つ
の対称型内レース２と、外レース３と、外レース
３と両内レース２との間に位置する凹所５内に内
蔵した２列の回動体４とを備えた回動ベアリング
を総体的に示す。回動体４は外外レース３の内面
８と内レース２の外面９に夫々形成した経路６及
び７内を回動し、内レース２と外レース３との間
に挿入したシール組立体１０によつて凹所５の両
端部を閉鎖する。

第２図に示すように、夫々のシール組立体１０
は外レース３の内面８に形成した座１２に軽度の
打込ばめによつて嵌合した第２環状要素11と、
夫々の内レース２の外面９に軽度の打込ばめによ
つて係合した第１環状要素１４と、要素１１に強
固に結合すると共に二つの要素１１と１４間の凹
所に収容されたシール用リング１５と、該シール
用リング上に載置した弾撥性要素１８とを備え
る。

要素１１は金属又は強度の高い材料よりなり、
要素１１の軸線に平行でかつ座１２に係合するよ
うに配列された側壁１９と、該側壁１９に対して
ほぼ直角でかつ凹所１６に向つて折曲つた粗面仕
上部２１を底壁２０の中心孔と同軸状に形成した
底壁２０とを備えてほぼカツプ状に形成されてい
る。上記のように形成すると、底壁２０が回動体
４に向つて折曲つているので要素１１を座１２に
嵌合した場合に、粗面仕上部２１に対応した場所
において底壁２０には回動体４に対向した浅い凹
所２３が形成されることになる。この構造によつ
て、第１図に示すように殊に回動体４がボールで
ある場合にシール組立体１０の軸線方向の寸法を
減少させることができる。

環状要素１４も金属又は強度の高い材料よりな
り、内レース２の一つと係合する適宜厚さのさや
状部分２４と、該さや状部分の端部からさや状部
分に対して直角に延びたフランジ部分２５とを備
える。フランジ部分２５の外径は、組立後にフラ
ンジ部分２５と環状要素１１の側壁１９との間に
第２図に示すように所定の間隙ａを残すように定
められる。又二つの環状要素１１と１４は互に同
軸である。

これに対して、シール用リング１５は弾性重合
体、ゴム又は合成樹脂のような変形可能で軟かく
かつ弾撥性のある材料で作られ、中心孔の付近で
巻込み、接着、溶接等の適宜手段によつて環状要
素１１に結合される。シール用リング１５は環状
要素１１と結合するフランジ部分２７と、該フラ
ンジ部分２７に対してほぼ直角なさや状部分２８
とを備える。さや状部分２８の外面には、該さや
状部分２８上にリング状に巻いたらせんばねによ
つて形成した弾撥性要素１８を収容するための環
状座３０が形成されていて、収容したらせんばね
によつてシール用リング１５の軸線に対してほぼ
直角な力を作用させる。フランジ部分２７の弾撥
性要素１８付近には該要素１８に向き合つた環状
空間３１が設けられていて、座３０に弾撥性要素
１８を導入するのを容易にする。組付け終るとシ
ール用リング１５のさや状部分２８は環状要素１
４のさや状部分２４と同軸状にその外側に位置す
る。又シール用リング１５はさや状部分２８の端
部３３付近に一体に形成した変形可能の環状唇部
３２と、さや状部分２８の内面３５上で半径方向
に直角に延びてシール用リング１５と一体に形成
された環状突起３４とを備える。環状突起３４は
二つの斜面３６によつて形成され又さや状部分２
４の外面３８を摺動する頂点部３７を有する。環
状唇部３２はシール組立体の軸線に対してほぼ直
角の方向に若干傾斜して延び、端部が凹所１６の
方向に折曲つて、要素１４のフランジ状部分２５
の面４０上を摺動するように配列される。組付後
には面４０にシール用リング１５の端部３９が当
接する。従つて面３８と４０は互いほぼ直角にな
る。

突起３４の頂点部３７はシール組立体の軸線に
対して直角に働らく弾撥性要素１８の弾撥力の方
向に対して軸線方向に偏倚されており、従つて頂
点部３７を通過する半径方向の直線は弾撥性要素
１８の中心を通る半径方向の直線に対して軸線に
沿つて測つた所定の長さｂ（第２図）だけ偏倚し
ている。このように形成すると、弾撥性要素１８
はさや状部分２８の唇部３２を変形させると同時
に所定の圧力で突起３４の頂点部３７を面３８に
対して、又唇部３２の端部３９を面４０に対して
夫々押付ける。これと共に第２図に矢印で示した
突起３４に作用する力と面３８上の頂点部３７の
支承点によつて形成されたてこ台間のずれに原因
してモーメントが発生する。

使用に当つて、第１図に示すベアリング１のレ
ース２及び３のような相互に可動の二つの部材間
にシール組立体１０を挿入する。最初に座１２に
要素１１を収め、次にフランジ状部分２５が側壁
１９の外縁と面一となるように要素１４を収め
る。このようにすると唇部３２及び突起３４が変
形して夫々面４０及び３８に接触し、弾撥性要素
１８の働らきによる所定の圧力で面４０及び３８
を押圧する。かくして外部の汚染物は唇部３２に
よつて、又凹所５内の潤滑剤は突起３４によつて
二重にシールされる。さらに本考案によれば二つ
の摺動シールが提供される。即ち第１のシールは
軸線方向に、又第２のシールは半径方向即ち面４
０及び３８に対して作用する。凹所１６と就中壁
１９と部分２５間の狭い環状間隙ａは迷路の作用
をし、これによつて潤滑剤の不測の漏洩及び凹所
１６に対する外部汚染物の不測の侵入を歯止めす
る。さらに唇部３２、突起３４及び要素１４間の
空間にグリースを充填してシール効果を高めかつ
摺動シール部材を潤滑することができる。又回動
部材に要素１４を挿入すると、該要素のフランジ
部分２５によつて外部の汚染物の侵入を妨げる遠
心力作用を起すことができる。

上述の説明から本考案の利益は明らかになるで
あろう。殊に本考案は潤滑油の漏洩防止及び外部
汚染物の侵入防止に関して、その摺動シール部材
の位置によつて軸線方向に限られた寸法の効果的
なシール組立体を提供することができる。又摺動
シール作用は一方では半径方向に行なわれ、他方
では軸線方向に行なわれる。そして両摺動作用は
弾撥性要素とシール組立体の組付けに基因したシ
ール用リングの変形で発生した弾性張力とによつ
て強調される。このようにして不測の変化、移動
或は特に困難な作動条件に基因する不測の圧力に
よつても影響を受けることのない極めて効率的な
シールを提供する。さらに摺動シール部材に対し
て弾撥性要素を偏倚さすことによつて、この弾撥
性要素の作用を両摺動シール部材に同時に働らか
せ、構造を簡単にすると共に全体寸法を小さくす
ることができる。万一弾撥性要素が座から外れて
も、摺動シール部材が組付けによつて生じた弾性
変形による残留圧力を保持しているので摺動作用
が損なわれることがなく、又狭小な環状間隙の存
在によつて生ずる迷路作用があり、さらに剛体製
の環状要素相互間に凹所があり、かつ該凹所内に
ばねを保有するのでベアリングの回動体の破損を
さけることができる。

上記から明らかなように、本考案の範囲から外
れることなしに本考案のシール組立体を変形及び
変更することが可能である。殊に本考案にかかる
シール組立体は、例えば回転軸とベアリングの支
持ケースのように互に可動な対をなした部材間に
挿入することができる。この場合環状要素１１と
１４とは、打込ばめに限らず他の適宜手段、例え
ば弾撥性リング、リングナツト、胴付き等の適宜
の締結手段によつて取付けることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるシール組立体を挿入し
た２列のボール列を有する回動ベアリングの部分
破断断面図、第２図は第１図に示すシール組立体
の要部拡大断面図である。 ２，３……部材、５……凹所、１０……シール
組立体、１１……第２環状要素、１４……第１環
状要素、１５……第３環状要素、１６……空所、
１８……弾撥性要素、１９……側壁、２５……第
１環状要素のフランジ状部分、２７……第３環状
要素のフランジ状部分、２８……さや状部分、２
９……さや状部分の外面、３０……環状座、３２
……環状唇部、３３……さや状部分の端部、３４
……環状突起、３７……頂点部、３８……第１摺
動面、４０……第２摺動面、ａ……環状間隙。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 相互に可動な二つの部材２，３間に挿入し
   て、該部材２，３間に形成された凹所５と該凹
   所５を取巻く外部環境間をシールするシール組
   立体１０であつて、上記組立体が、上記部材
   ２，３のうちの一つに設けて夫々強固に取付け
   た第１環状要素１４と第２環状要素１１とを備
   え、少なくとも第１環状要素１４には互にほぼ
   直角な第１摺動面３８と第２摺動面４０とを形
   成したシール組立体において、上記第２環状要
   素１１に強固に取付けた軟質でかつ弾撥性のあ
   る材料からなる第３環状要素１５と、該第３環
   状要素１５に形成した環状座３０内に収容した
   弾撥性要素１８とを備え、又上記第３環状要素
   １５が、上記第１摺動面３８上を摺動するよう
   にした変形可能な環状突起３４と、該環状突起
   ３４に対してほぼ直角に延びかつ上記第２摺動
   面４０上を摺動するようにした変形可能な環状
   唇部３２とを有し、さらに上記弾撥性要素１８
   が所定の圧力で、上記環状突起３４及び環状唇
   部３２を夫々第１、第２摺動面３８，４０に対
   して押圧するように形成したことを特徴とする
   シール組立体。 ２ 上記弾撥性要素１８が、上記第３環状要素１
   ５のさや状部分２８の周りであつて該さや状部
   分２８の外面２９上に形成した環状座３０の周
   りにリング状に巻付けたらせんばねである実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のシール組立
   体。 ３ 上記弾撥性要素１８を、上記環状突起３４の
   頂点部３７に対して軸線方向に偏倚した位置に
   おいて上記さや状部分２８上に載置し、上記頂
   点部３７を上記第１摺動面３８に接触させ、該
   弾撥性要素１８によつて環状突起３４にモーメ
   ントが働くように、環状突起３４の頂点部３７
   は弾撥性要素１８がシール用リング１５に働く
   半径方向の力の方向に対してシール組立体の軸
   線方向にｂだけ偏倚された実用新案登録請求の
   範囲第１項又は第２項に記載のシール組立体。 ４ 上記第３環状要素１５が、上記第２環状要素
   １１に強固に結合したフランジ状部分２７を備
   え、上記さや状部分２８の内面には上記軸線に
   対してほぼ半径方向に上記環状突起３４を形成
   し、又上記さや状部分２８の端部３３には上記
   軸線に対してほぼ平行にかつ軸線に対して所定
   の傾きを以つて上記環状唇部３２を形成した実
   用新案登録請求の範囲第１項から第３項までの
   いずれか１項に記載のシール組立体。 ５ 上記第１及び第２環状要素１４，１１間に上
   記第３環状要素１５と上記弾撥性要素１８とを
   配設する空所１６を形成し、上記第２環状要素
   １１の側壁１９と上記第１環状要素１４のフラ
   ンジ状部分２５との間に所定寸法の環状間隙ａ
   を形成し、上記間隙ａと上記空所１６とでシー
   ル用迷路を構成した実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のシール組立体。 ６ 上記第１環状要素１４を回動部材２上に取付
   けた実用新案登録請求の範囲第１項記載のシー
   ル組立体。 ７ 上記第３環状要素１５が弾性重合体材料から
   なる実用新案登録請求の範囲第１項記載のシー
   ル組立体。 ８ 上記第３環状要素１５が合成樹脂製である実
   用新案登録請求の範囲第１項記載のシール組立
   体。 ９ 上記第１環状要素１４と第２環状要素１１が
   金属製である実用新案登録請求の範囲第１項記
   載のシール組立体。