JPS64279B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (a) 発明の技術分野 本発明は人工衛星に搭載した赤外線検知器等の
特殊部品を冷却する放射冷却器に具備された反射
板の冷却性能の改良に関するものである。

(b) 技術の背景 最近の資源探査衛星に搭載される赤外線カメラ
用の赤外線検知器にはHgCdTe等の光量子検知器
が用いられている。これらは高感度でかつ応答速
度も早いけれども100〓以下に冷却することが必
要である。しかしながらたとえば液体窒素等の冷
媒が使用できないうえ熱伝導媒体も存在しない宇
宙空間における冷却は著しく困難なものとなつて
おり、人工衛星においては放射冷却器を設け宇宙
空間の温度すなわち例えば４〓を利用して冷却す
るようにしている。このため該放射冷却器の熱放
射効率を向上させるための技術の開発が強く要望
されている。

(c) 従来技術と問題点 第１図は人工衛星に装設した従来の放射冷却器
を地球と共に示した概略図であり、従来の放射冷
却器は赤外線検知器４が取付けられた冷却板５
と、４枚の平板を組み合わせたホーン状の反射板
および外ケース７とも具備して成る。前記冷却板
５は地球１の表面から矢印Ａ方向に入射し走査ミ
ラー３を介して前記赤外線検知器４に到達する赤
外線１０を観測するための該検知器４を、宇宙空
間への熱放射によつて100〓以下の温度に冷却す
るために設けられており、前記反射板６と外ケー
ス７とは、太陽放射，地球アルベド，地球放射熱
８等外部からの入射光線を可能な限り遮断すると
ともに迷光的に入射する熱光線もほゞ完全に反射
して外部へ放射する構造となつている。そして前
記冷却板５の放熱面１５は常に宇宙空間を見るよ
うに姿勢を制御されているが、たとえば矢印Ｂ方
向から入射して前記反射板６で反射された地球放
射熱８の直射をさける必要から、前記冷却板５の
放熱面１５の宇宙空間に向けて凸型にして該放熱
面１５の面積を拡大することは不可能であつた。
なお宇宙空間における熱の放射量は放熱部の表面
積に比例するのはいうまでもない。

(d) 発明の目的 本発明は上記従来の欠点に鑑み放射冷却器に付
設された反射板の反射面（以下、鏡面と記する）
角度を改良することによつて赤外線検知器が取付
けられた冷却板の放熱面１５を凸型に出来るよう
にし放熱性能を向上させることを目的とするもの
である。

(e) 発明の構成 そしてこの目的は本発明によれば人工衛星に搭
載された赤外線検知器等の特殊部品を冷却する冷
却板５と、該冷却板の放熱面の前方に拡がるよう
に形成された外部からの入射熱を宇宙空間に反射
放出する反射板１１，１２，１３，１４とを具備
した放射冷却器における、前記反射板を前方に開
いた凹面鏡状に構成すると共に、前記冷却板の放
熱面を凸型に形成することを特徴とする放射冷却
器を提供することによつて達成される。

(f) 発明の実施例 以下本発明実施例を図面によつて詳述する。

第２図および第３図は本発明による放射冷却器
の実施例構造を示す断面図であり、第２図は多面
形反射板を用いた構成例、第３図は湾曲面形反射
板を用いた構成例をそれぞれ示す。なお本発明は
反射板の構造改良に伴なう冷却板の性能向上に関
するものであるため、これを従来型と比較しなが
ら重点的に説明し上記第１図と重複する部分には
同一符号をつけて説明を適宜省略する。

本発明は、従来のホーン状反射板が平板からな
る単一平面で構成されている反射板６の鏡面６′
の形状を、内側に湾曲した湾曲面（第３図）又は
その湾曲面を近似した連接多面（第２図）とする
もので、図示のようにこれによつて赤外線検知器
４が取付けられた冷却板５の放熱面積を増加する
ことが可能となり前記検知器４の冷却効果が高め
られる。

次に本発明の実施例を第２図および第３図によ
つてさらに具体的に説明する。ただし第２図と第
３図の実施例は形状の差異はあつても発明の基本
概念は同一でありかつ効果もほゞ同等であるため
第２図の場合を主体に説明する。

地球１から飛来して矢印Ｂ方向から上側の連接
多面による凹状反射板１１の上側反射鏡面群１
１′に入射した地球放射熱８は、前記上側反射鏡
面群１１′で反射して矢印B″方向に反転し下側の
連接多面による凹状反射板の反射鏡面群１２′で
再び反射して宇宙空間へ放射される。ここで従来
型反射板の反射鏡面（２点鎖線で示す）６′の場
合には前記地球放射熱８は反射鏡面６′で反射し
て矢印B′方向に進んでいたため赤外線検知器が
取付けられた冷却板の放熱面１５は、矢印B′方
向に進行する前記地球放射熱８の直射を避ける必
要上平坦面型とせざるを得なかつた。しかしこれ
を本発明による凹状反射板に改良することによつ
て前述したように前記地球放射熱８の反射方向が
矢印B″で示したように前記冷却板５の放熱面１
５から遠ざかるため該冷却板５の放熱面１５を
５′（斜線部）で示すように凸型にすることが可
能となり該放熱面１５の面積を増加することがで
きる。また前記凹状反射板１１，１２にすること
によつて反射板１１，１２から冷却板に入射する
熱量が減少する。したがつて該冷却板５の放熱効
果が著しく高められる。

第３図の構成においては、上側反射板１３と下
側反射板１４の反射鏡面をそれぞれ連続した湾曲
面１３′，１４′としたもので第２図の場合と同様
の効果が得られる。

(g) 発明の効果 以上詳細に説明したように本発明の放射冷却器
は反射鏡面の断面形状を改良することによつて人
工衛星に搭載された赤外線検知器等の特殊部品を
冷却する冷却板の性能を著しく高め得るといつた
効果大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は人工衛星に装設した従来の放射冷却器
を説明するための図、第２図および第３図はそれ
ぞれ本発明による放射冷却器の実施例構成を示す
断面図である。 図において１は地球、２は人工衛星、３は走査
ミラー、４は赤外線検知器、５は冷却板、６は反
射板、７は放射冷却器の外ケース、８は地球放射
熱、１０は赤外線、５′は冷却板の放熱部表面積
増加分、６′は従来型反射板の反射鏡面、１１は
上側多面型凹状反射板、１１′は上側多面型凹状
反射板の反射鏡面群、１２は下側多面凹状反射
板、１２′は下側多面型凹状反射板の反射鏡面群、
１３は上側湾曲面型凹状反射板、１３′は上側湾
曲面型凹状反射板の反射鏡面、１４は下側湾曲面
型凹状反射板、１４′は下側湾曲面型凹状反射板
の反射鏡面、１５は冷却板の放熱面をそれぞれ示
す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 人工衛星に搭載された赤外線検知器等の特殊
   部品を冷却する冷却板５と、該冷却板の放熱面の
   前方に拡がるように形成され外部からの入射熱を
   宇宙空間に反射放出する反射板１１，１２，１
   ３，１４とを具備した放射冷却器における、前記
   反射板を前方に開いた凹面鏡状に構成すると共
   に、前記冷却板の放熱面を凸型に形成することを
   特徴とする放射冷却器。