JPS641634Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は種々な物質の自然発火性等を試験する
装置に関する。

自然発火は堆積された物質の発生するわづかな
熱がその堆積内に蓄積されて次第に温度が上昇し
遂に発火に至る現象である。従つて種々な物質の
小量を用いてその自然発火性を試験するには、そ
の物質の相当量の堆積に相当する断熱的な環境を
作る必要がある。この場合試料から揮発性物質が
揮発して行くと、揮発熱の形で試料から熱が持ち
去られるので、試料を断熱しておくと云う条件が
崩れる。このため試料はセル内に密封する必要が
あるが、このようにすると異常反応が起きたり爆
発が起つた場合、セルが破裂し、発火装置内部を
破損したり、試料によつて汚染したりして装置の
以後の使用に支障を来し、時にはより大きな被害
を生ずると云つた危険がある。

本考案は自然発火試験装置において、試料を密
封しながらしかも上述した支障や危険を回避でき
るようにした試料セルを得ることを目的としてな
された。本考案はセルの一部に構造的に弱い部分
を設けておき、セル内の圧力が或る程度以上に上
昇したとき、その弱い個所が破れてセル内のガス
を一定の経路に導いて排出させるようにしてセル
の破裂による装置の破損、汚染或は他への被害を
避けるようにした自然発火試験装置を提供する。
以下実施例によつて本考案を説明する。

第１図は自然発火試験装置の全体を示す。１は
恒温槽で中の断熱ヒータブロツク２が設置してあ
る。断熱ヒータブロツクは内容積約100c.c.の円筒
で上方が開口しており、多孔質栓３が嵌着してあ
り、この断熱ブロツクの中に試料セル４がセツト
される。試料セル４には上方から測温用熱電対５
が石英の案内管６を通して挿入される。試料セル
４は内容積約１c.c.で石英ガラス或はパイレツクス
のような耐熱ガラスで作られている。断熱ヒータ
ブロツク２は同ブロツク内の温度が試料セル内の
試料温度と等しくなるように温度制御され、この
ため試料セル４とその周囲雰囲気との間に熱の流
れがなく、試料は相対的に断熱されている。

第２図は本考案に係る試料セル４の一例を示
す。４１はセル本体、４２はセル本体の蓋で共に
パイレツクス等で作られている。蓋４２には熱電
対５を挿入する管４３が下方に突出させて形成さ
れており、管４３の下端は閉じている。セル本体
４１と蓋４２との間にはシリコンゴムのＯリング
４６を介在させ、蓋４２の上にフツ素樹脂のガス
ケツト４７をクツシヨンとして介在させ案内管６
の下端フランジを載せ、全体をねじ環４４と袋ナ
ツト４５とによつて締付けて試料セルを密封す
る。この実施例における特徴は蓋４２において管
４３と蓋４２とのつながりの部分４８が薄肉にな
つている所にある。このためセル４内の圧力が異
常上昇すると必ずこの薄肉部分が破損する。そう
するとセル内のガスは案内管６を通して排出さ
れ、セル本体４１が破裂して断熱ヒータブロツク
を損傷したり、セル内の試料が散乱して発火試験
装置内部に付着したり、更には装置全体をこわし
てしまうと云つたトラブルが回避される。

第３図の実施例は試料セルに設けた弱い個所の
強度を適宜に調節し得るようにした実施例であ
る。この実施例では試料セル４において蓋４２が
全体に薄肉（0.3〜0.55mm）に作られており、ガ
スケツト４７の管４３に対応する個所に穿つた孔
４９の直径ｄを大小選択することにより蓋４２の
実質的な弱点部の面積を変えるようにしたもので
ある。蓋４２で上面にガスケツト４７が当る部分
はガスケツト４７が後支えになるが孔４９の部分
ではこの後支えがなく蓋４２が薄いので、異常昇
圧のときはこの孔４９の所で蓋４２が破れる。孔
径ｄが大きければ弱い部分の面積が増しより低い
圧力で破れるようになるから、孔径ｄを選択する
ことにより試料セルの耐圧力を調節できることに
なる。

上述実施例では試料セルに設ける薄肉部分は蓋
に設けられているが、これは管４３の部分を薄肉
にしてもよく、一定の径路に沿つてガスを放出で
きる位置であればその場所は任意である。また薄
肉にする方法として或る面積を薄肉にする他、筋
に沿つて薄肉にしてもよく、従つてカツターで痕
をつけると云う方法によることもできる。また上
の実施例では試料セルはガラス製であるが、これ
は一般的な耐蝕性、試料との間の化学反応がない
等の要求を満すためで、試料によつては金属セル
でもよいことは云うまでもない。

本考案自然発火試験装置は上述したような構成
で、試料を密封したセルの内圧が或る程度以上上
昇すると一定の場所が破れ、その破れる場所が温
度検出器挿入する案内管の管端開口に覆われてい
るので、破れた部分を通して密封セルと案内管が
導通し、同案内管によつてセル内ガスを放出する
ことができ、セルの破裂により発生する種々なト
ラブル例えば恒温槽内の試料による汚染とか危険
が回避でき別途排気管を設ける必要もなく安全に
測定ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自然発火試験装置の全体を示す縦断側
面図、第２図は本考案の一実施例における試料セ
ルの縦断側面図、第３図は本考案の他の一実施例
における試料セルの要部縦断側面図である。 ４……試料セル、６……熱電対を挿入する案内
管、４１……試料セル本体、４２……試料セルの
蓋、４３……熱電対挿入管、４７……ガスケツ
ト、４８……薄肉部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 恒温槽内で断熱ブロツクに囲まれた試料を封入
   する密封セルの一部に構造的弱点を設け、密封セ
   ルの外側に上記弱点部を覆つて温度検出器を挿入
   する案内管の管端開口を接続し、密封セルの内圧
   が異常上昇したとき、上記弱点部が破損して、密
   封セル内と上記案内管とが導通するようにした自
   然発火試験装置。