JPS639123Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の属する技術分野〕 本考案は、円形または正方形導波管内を伝搬す
る２つの直交した偏波の電界をモード変換するこ
とにより同一方向に並設した２つの端子に分波す
る偏分波装置に関する。

〔従来技術の説明〕

従来、電波の有効利用のためにマイクロ波帯の
給電系フイーダやパラボラ反射鏡形アンテナの多
くに使用されている直交偏波共用の偏分波装置
は、工事設計の簡略化のために、またパラボラ反
射鏡形アンテナの放射特性に影響を与える開口面
内の電波の乱れを小さくするために、その構造を
単純化することが望まれてきた。

従来の偏分波装置は、最も代表的な一例とし
て、第１図に示すように円形導波管１に互いに直
交しかつ間隔をおいて配設された２つの分波端子
２および３と、この円形導波管１内を伝搬する２
つの直交偏波である水平偏波（以下「E_H波」と
いう。）と垂直偏波（以下「E_V波」という。）に
対し、互いに平行な状態でそれぞれの給電側の分
波端子周辺部に配置されているモード阻止部４お
よび５より構成されていた。そのため他装置と組
合せる場合には３次元の立体構造となり、小さく
まとめるために曲り導波管等を使用する必要があ
り、構造的にも複雑になる欠点があつた。

またこれらの欠点を解決するために、第２図に
示すように２つの分波端子２および３を同一平面
内に配設した平面構造の偏分波装置も考案された
が、これらは２つの分波端子２および３の間に一
方の分波端子の電界を90゜回転するための捻り導
波管部６とこの捻り導波管部６に広帯域で良好な
反射特性を得るための整合素子７を備えていたの
で、偏分波装置の円形導波管１としては長い構造
となる欠点があつた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、上記欠点を解決するもので、
経済的かつ簡単な構造であつて、２つの分波端子
を同一面内に配設し、なおかつ分波端子間の距離
を短くした偏分波装置を提供することにある。

〔考案の要旨〕 本考案は、主導波管に間隔をおいて垂設された
２つの分波端子が同一平面内に設けられ、この２
つの分波端子のいずれか一方の分波端子を上記主
導波管と同軸モードで結合する同軸モード用分波
端子とし、この同軸モード用分波端子は、その分
岐結合部分に上記主導波管内を伝搬する導波管モ
ードと同軸モード用分波端子を伝搬する同軸モー
ドとのモード変換を行うモード変換器と、同軸モ
ードを伝搬する同軸導波管部分と、この同軸導波
管部分の同軸モードとこの分波端子の導波管モー
ドとのモード変換を行うループ結合型同軸導波管
変換器とを備えたことを特徴とする。

すなわち、本考案は、円形導波管または正方形
導波管内に励振する場合に、同一方向から励振し
た導波管モードと同軸モードとでは発生する電界
の方向が90゜異なる性質を利用して、円形導波管
または正方形導波管内を伝搬する直交する２つの
偏波をそれぞれの導波管モード用分波端子または
同軸モード用分波端子より取出せるように２種類
の分波端子を同一平面内に配設した偏分波装置で
ある。

〔実施例による説明〕

次に本考案を実施例図面に基づいて詳しく説明
する。

第３図は本考案第一実施例装置の一部破断斜視
図である。第３図において各符号は、第１図およ
び第２図の各符号にそれぞれ対応する。

本実施例の特徴ある構成は、円形導波管１に間
隔をおいて同一平面内に２つの分波端子２および
３を垂設し、この分波端子２を同軸モードによる
分波端子とし、もう一方の分波端子３を導波管モ
ードによる分波端子とし、この分波端子２と３と
の間の円形導波管１内にE_H波に平行なモード阻
止部４を設け、分波端子２の分岐結合部分に主導
波管の導波管モードから同軸モードに変換するプ
ローブ９が給電用の円形導波管１内に延設される
ように設け、分波端子２の導波管モードに同軸モ
ードからモード変換を行うループ結合型同軸導波
管変換器８を設けて、さらに分波端子２の給電側
の近傍の円形導波管１内にE_V波に平行なモード
阻止部５を設けたところにある。

このような構成で、円形導波管１内を独立に伝
搬している直交した２つの偏波E_H波およびE_V波
のうち、E_H波はモード阻止部４により全反射さ
れるので、このモード阻止部により先に伝搬され
ず分波端子３に伝搬して行く。一方E_V波はE_H波
のモード阻止部４と直角の関係にあるので、この
モード阻止部３を通過して同軸モードに変換する
プローブ９を励振して導波管モードから同軸モー
ドに変換される。同軸モードに変換されたのち同
軸導波管部分１０を通り、分波端子２内のループ
結合型同軸導波管変換器８により導波管モードに
モード変換されて分波端子２に伝搬される。円形
導波管１内のE_V波はモード阻止部５により全反
射されるので、このモード阻止部５より先には伝
搬されない。

第４図ａは本実施例装置のインピーダンス整合
の特性図であつて、１１は分波端子２より見たイ
ンピーダンス整合特性、１２は分波端子３より見
たインピーダンス整合特性を示す。

また第４図ｂは本実施例装置のＶ−Ｈ結合減衰
量を示す図である。

なお、ここでそれぞれの分波端子２と３とを逆
にすることも可能であるが、第３図に示した配置
のように分波端子２にループ結合型同軸導波管変
換器８を設ける方が、同軸モードによる他方の分
波端子への影響を小さくすることができ、広帯域
で良好な反射特性が得られる。

またE_H波のモード阻止部４とE_V波の同軸モー
ド変換部のプローブ９との機械的な直交度を高め
れば、E_H波およびE_V波相互の結合減衰量特性を
最良にすることができる。

第５図は本考案第二実施例装置の一部破断斜視
図である。第５図において、各符号は第３図の各
符号にそれぞれ対応する。

本実施例の特徴ある構成は、第３図に示した円
形導波管１の代わりに正方形導波管１′を用いた
ところにある。

本実施例の動作原理は円形導波管１の場合と同
様に正方形導波管１′内を独立に伝搬する２つの
直交した偏波E_H波とE_V波をそれぞれの分波端子
３および２へ導くことができる。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案による偏分波装置
は、従来の偏分波装置に比べ分波端子部に設けた
簡単なループ結合型同軸導波管変換器により、２
つの分波端子を同一面内に配設し、かつ分波端子
間の間隔を極端に短くすることができるので、装
置が小型化でき給電系フイーダの工事設計が簡略
化され、重量も軽減されるので、製作工数および
取付工数を節減することができる。

また本考案による偏分波装置を直交偏波共用パ
ラボラ反射鏡形アンテナの一次輻射器のホーンの
給電部の一部に適用すれば、従来のものに比べて
放射特性の開口面における乱れを小さくし、高い
利得効率と良好な指向特性のアンテナが実現で
き、経済的にも有利である。

さらに本考案の実施例で説明したように、円形
導波管でもまた正方形導波管でも導波管の種類に
より限定を受けることなく広範囲の適用が可能と
なる大きな利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来例装置の一部破断斜
視図。第３図は本考案第一実施例装置の一部破断
斜視図。第４図はそのインピーダンス整合特性お
よび結合減衰量を示す図。第５図は本考案第二実
施例装置の一部破断斜視図。 １……円形導波管、１′……正方形導波管、２，
３……分波端子、４……E_H波のモード阻止部、
５……E_V波のモード阻止部、６……捻り導波管
部、７……整合素子、８……ループ結合型同軸導
波管変換器、９……プローブ、１０……同軸導波
管部分、１１……分波端子２より見たインピーダ
ンス整合特性、１２……分波端子３より見たイン
ピーダンス整合特性。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 主導波管に間隔をおいて垂設された２つの分波
   端子を備えた偏分波装置において、 この２つの分波端子が同一平面内に設けられ、 上記２つの分波端子のいずれか一方の分波端子
   を上記主導波管と同軸モードで結合する同軸モー
   ド用分波端子とし、 この同軸モード用分波端子２は、 その分岐結合部分に上記主導波管内を伝搬する
   導波管モードと同軸モード用分波端子を伝搬する
   同軸モードとのモード変換を行うモード変換器９
   と、 同軸モードを伝搬する同軸導波管部分１０と、 この同軸導波管部分の同軸モードとこの分波端
   子の導波管モードとのモード変換を行うループ結
   合型同軸導波管変換器８と を備えたことを特徴とする偏分波装置。