JPS637883Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ミクロトームに実施して好適なナイ
フホルダーの改良に関する。

各種動植織の組識を形態学的に知る必要が生じ
た時、顕微鏡による観察を可能にする目的で、材
料を第１図に示した如きミクロトームを用いて薄
く截切することが従来より一般的に行なわれてい
る。即ち、第１図に於いて、１は截切する各種材
料（図示せず）を固定する固定台、２は固定台１
に対しガイド３に沿つて横方向に滑走自在に構成
した滑走台、４は滑走台２のナイフホルダー５に
取付けたミクロトームナイフであつて、上記した
構成から成る滑走式のミクロトームは、固定台１
上に材料を固定した後、滑走台２を横方向に滑走
させることにより、ミクロトームナイフ４が上記
の材料を薄く截切（スライス）する仕組に成つて
いる。

この様にミクロトームは顕微鏡観察に適した薄
いスライス材料を簡単に提供できるのであるが、
截切に当つては常時鋭利で且つきれいな切り口が
要求されるため、ミクロトームナイフ４は常に刃
先の鋭利な個所を選んで截切に当る必要があり、
従つて、截切が何度か行なわれるとナイフホルダ
ー５を緩めてミクロトームナイフ４を少し移動
し、鋭利で新らしい刃先を截切位置にセツトして
截切を行つていた。

ところが、従来のミクロトームナイフ４用のナ
イフホルダー５は、第１図に示す如く１本又は２
本の締付ネジ６を用いてミクロトームナイフ４を
ホルダー内に固定する構造であつたため、上述し
たミクロトームナイフ４の移動に当つては、締付
ネジ６の緩るめ操作と締付操作を繰返し頻繁に行
なう必要があつて、移動作業が頗る煩雑で作業者
の疲労を高める問題があり、加えて、締付ネジ６
の締め忘れとか、煩雑な作業性から起因する移動
の怠慢といつた問題も多く発生していた。

而して、本考案は上述した点に鑑み、ミクロト
ームナイフの固定と移動をワンタツチ操作で極め
て簡単に且つ適格に行なえる様に工夫したミクロ
トーム用ナイフホルダーを提供せんとするもので
あつて、以下に、本考案の好適な一実施例を添附
した図面を参照しながら詳細に説明する。

第２図乃至第５図に於いて、１０は前記第１図
に示したミクロトームの滑走台２側に直接又は間
接的に固定できる取付台であつて、この取付台１
０の上面は先端側に凹設した支点溝１０ａを中心
に左右に若干傾斜する傾斜面１０ｂ，１０ｃと成
つている。また、１１は先端側底面に凸設した支
点突起１１ａを上記の支点溝１０ａ内に回動自在
に嵌込んだ状態で取付台１０の上面に載置したホ
ルダーで、ホルダー１１の全体は、取付台１０と
ホルダー１１の根端側内部間に介在したスプリン
グ１２の弾発作用を受けて、前記支点溝１０ａを
中心にして常時第３図及び第４図に於いて反時計
回転方向に少し回動傾斜する仕組に成つている。
１３は同じく取付台１０とホルダー１１の根端間
にネジ込んだ角度調節用のボルトで、このボルト
１３のネジは下端側１３ａと上端側１３ｂが異と
なる方向に切られており、従つて、ボルト１３を
一方向に回わすと、ホルダー１１の全体を前記支
点溝１０ａを中心に第３図、第４図に於いてスプ
リング１２を圧縮しながら時計回転方向に少し回
動傾斜し、また、ボルト１３を他方向に回わした
場合には、ホルダー１１の全体を逆方向に少し回
動傾斜して、取付台１０に対するホルダー１１の
傾斜角、即ち、後述するミクロトームナイフの取
付角度を任意に微動調節することができる。

第２図に於いて、１４は取付台１０の側面に取
付けた指針体で、１５はホルダー１１の側面に取
付けた角度ゲージ板であり、ホルダー１１の傾斜
角、即ち、ミクロトームナイフの傾斜角はこれ等
指針体１４とゲージ板１５によつて確認すること
ができる。この様に所定の角度に設定されたホル
ダー１１の全体は、割り溝１１ｂ内に挿入した固
定ボルト（図示せず）によつて取付台１０と一諸
に前記滑走台２側に固定されるのであるが、ホル
ダー１１の角度調節を必要としない場合には、取
付台１０を除いてホルダー１１を直接滑走台２側
に固定してもよく、また、上記の角度調節機構は
実施の一例であつて、例えばカム機構とか油圧機
構等によつて角度調節する場合も考えられる。

次に、１６と１７は前記ホルダー１１の先端側
に間にミクロトームナイフ４の嵌込み間隔１８を
あけた状態で上下に対向させて連設した上顎体と
下顎体であつて、図示の場合、下顎体１７は中間
に欠落部１７′を設けて２脚構造に成つている。
また、上顎体１６の上面中央は凹部１６′と成つ
ていて、その両側が左右の側壁１６ａ，１６ｂと
成つており、更に、上記凹部１６′と成つている
上顎体１６の先端面部分には、下顎体１７に向け
て傾斜した嵌込溝１６ｃが先端面側から凹設さ
れ、この嵌込溝１６ｃの前面口は前板１６ｄによ
つて覆われて、嵌込溝１６ｃの全体は上顎体１６
の先端を上下に貫通する嵌込穴と成つている。

１９は上記嵌込溝１６ｃの内部に下顎体１７に
向けて作動自在に嵌込んだ押動体で、この押動体
１９の左右の側壁に縦設した溝１９ａ，１９ｂ内
に嵌込んだスプリング２０ａと２０ｂは、第５図
の如く上端を押動体１９の上面に取付けた天板２
１に弾接し、各下端を前記左右の側壁１６ａ，１
６ｂから挿入された各ピン２２ａ，２２ｂに係止
して、押動体１９を上方、即ち、第２図及び第３
図の様に下顎体１７から離間する方向に常時弾支
している。更に図中２１ａは上記天板２１の上面
に添設した被圧板を示す。また、２３は上記押動
体１９の略中心部にネジ込んだ押圧ボルトで、こ
のボルト２３の下端は押動体１９の底面を貫いて
前記ミクロトームナイフ４用嵌込み間隔１８の上
面部に少し突出しており、且つ、ロツクナツト２
４を取付けたボルト２３の上端は、押動体１９の
上面に突出している。この様に押動体１９にネジ
込んだ押圧ボルト２３は、ロツクナツト２４を緩
めるとドライバー等によつて自由に螺動調節する
ことができ、この螺動調節によつて上記間隔１８
の天井部分に突出したボルト下端の突出量を任意
に加減調節することができる。尚、図面で押圧ボ
ルト２３は１本だけネジ込まれているが、場合に
よつては２本の時もあり、ネジ込む本数は任意と
する。

また各図に於いて符号２５で全体的に示したの
は、第４図の様に回動操作すると上記押動体１９
をスプリング２０ａ，２０ｂに抗して押し下げ、
間隔１８内に嵌込んだミクロトームナイフ４を押
圧ボルト２３の下端と下顎体１７の間で挾持固定
することができる操作レバーで、このレバー２５
は、前記上顎体１６の左右の側壁１６ａ，１６ｂ
に下端部を夫々取付軸２６ａ，、２６ｂによつて
回動自在に軸支された２本のアーム２５ａ，２５
a′と、これ等２本のアーム２５ａ，２５a′と、上
記両アーム２５ａ，２５a′の下端に一体形成され
ていて、操作レバー２５の全体を第４図の如く回
動した時に、前記押動体１９の被圧板２１ａを
序々に押圧して押動体１９の全体を順次押下する
カム板２５ｃ，２５c′によつて構成されており、
操作レバー２５を第２図、第３図及び第５図の如
く引き上げた場合には、上記カム板２５ｃ，２５
c′による押動体１９の押下を解いて、ミクロトー
ムナイフ４に対する挾持を解く仕組に成つてい
る。

更に図中、２７は上記間隔１８の内奥に嵌込ん
だマグネツトで、ミクロトームナイフ４は押圧ボ
ルト２３による挾持が行なわれる前と、挾持が解
かれた後、このマグネツト２７に吸着されて脱落
による事故が防止される。

本考案は以上述べた如き構成であるから、ホル
ダー１１をミクロトームの滑走台２側に固定した
後、ミクロトームナイフ４を上顎体１６と下顎体
１７の間隔１８内に嵌込み、次いで、操作レバー
２５を第４図の様に回動すれば、ミクロトームナ
イフ４は操作レバー２５によつて押下される押動
体１９の押圧ボルト２３と、下顎体１７の間に挾
持されてホルダー１１側に固定され、滑走台２の
滑走によつて固定台１上の材料を薄く截切するこ
とができる。また、ミクロトームナイフ４をホル
ダー１１より取外したり、或は、移動して新しい
鋭利な刃先を截切位置にセツトする場合には、上
記の操作レバー２５を第３図の様に略直立した状
態に復帰回動すれば、押圧を解かれた押動体１９
はスプリング２０ａ，２０ｂの弾発力によつて上
昇し、押圧ボルト２３によるミクロトームナイフ
４の挾持を解除するので、ミクロトームナイフ４
の取外しと移動を簡単に行なうことができ、移動
後は再び操作レバー２５の回動によつて所定位置
に固定される。

従つて、本考案のミクロトーム用ナイフホルダ
ーによれば、操作レバーの開閉操作によつて極め
て簡単にミクロトームナイフの取付けと取外し、
及び移動を行なうことができるものであつて、特
に、鋭利な刃先を選ぶために頻繁に行なわれるミ
クロトームナイフの移動作業は、従来の締付ネジ
を用いたナイフホルダーに比較して頗る簡便と成
り、ワンタツチ操作による移動を可能にするもの
であつて、構成が簡単で実施が容易である点と相
俟つて、その実用的効果は極めて多大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のナイフホルダーを備えたミクロ
トームの斜視図、第２図は本考案の一実施例を示
した斜視図、第３図はその中央側断面図、第４図
は同じくロツク時の状態を示した中央側断面図、
第５図は第３図Ａ−Ａ線の断面図である。 １……固定台、２……滑走台、３……ガイド、
４……ミクロトームナイフ、１１……ホルダー、
１６……上顎体、１７……下顎体、１８……嵌込
み間隔、１９……押動体、２０ａ，２０ｂ……ス
プリング、２３……押圧ボルト、２５……操作レ
バー、２５ｃ，２５c′……カム板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 截切する材料を固定した固定台に対して滑走台
   を滑走させると、滑走台に取付けたミクロトーム
   ナイフが上記の材料を薄く截切する様に構成した
   ミクロトームに於いて、上記滑走台側に固定自在
   なホルダーの先端に、上記ミクロトームナイフ用
   の嵌込み間隔をあけて上顎体と下顎体を対向して
   連設し、上顎体の内部には押動体を下顎体に向け
   て作動自在に嵌込んで、この押動体をスプリング
   によつて常時下顎体に対し離間する方向に弾支す
   ると共に、上記上顎体の上面部分には回動すると
   前記押動体をスプリングに抗して下顎体の方向に
   押動する操作レバーを回動自在に取付け、また、
   上記押動体の内部には、螺動調節自在な押圧ボル
   トを下顎体に向けてネジ込んだことを特徴とする
   ミクロトーム用ナイフホルダー。