JPS637757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両用オイルフイルタ主としてフル
フロー方式のものとバイパス方式のものとを一体
にしたオイルフイルタの改良に関する。

トラツクや産業車両のように中、大型のデイー
ゼルエンジンを搭載している車両では、潤滑油の
過装置として、給油部に送られるオイルの全量
を処理するフルフロー方式のものと、その一部だ
けを処理して直接オイルパンに戻すバイパス方式
のものを一つの容器中に一体的に組合せたフイル
タが使用されている。

この種のものは、一般に第１図のようにカート
リツジ容器C′の内部上段にフルフロー用の第１
過エレメント１′、例えば紙１a′を菊花状にプ
リーツ加工しその内外に多孔のチユーブ１b′，１
c′を嵌挿し、その上下に端板１d′，１e′を施した
エレメントを配設し、下段には、バイパス用の第
２過エレメント２′すなわち円形、角形等の孔
明き板状の厚手の紙２a′を多数積層した材の
上側には、この材を貫通するセンターパイプ３
a′を備えた上端板３′を施し、下側にはセンター
パイプ嵌挿孔４a′の周辺に複数のオイル通孔４
b′を備えると共に更にその周辺にゴムバルブu′の
環状取付け座４c′を有する下端板４′を施したエ
レメントを配設し、この第２の過エレメント
２′の下側に中心部にねじ孔５a′を有すると共に
その周辺にオイル入口孔５b′を設けた肉厚環状の
シートプレート５′と肉薄なカバープレート６′を
配設し、カバープレート６′の周縁とカートリツ
ジ容器C′の下端周縁とを互いにかしめ付けて固定
している。

そして、第２過エレメント２′のセンターパ
イプ３a′の下端部をエンジン側アダプタA′に設け
られ二重パイプ状に形成されたボス部１０′の中
心通孔１０a′に嵌挿すると共にシートプレート
５′のねじ孔５a′をボス部１０′上端のねじに螺合
して、フイルタをアダプタA′上に装着し、アダ
プタA′中の流入路１１′を通つてくるオイルをシ
ートプレート５′の入口孔５b′およびゴムバルブ
u′を介して容器周辺部に流入させ、これを上下の
過エレメント１′，２′を通過させて各エレメン
トの中心部に出し、第１過エレメント１′を通
つたオイルはセンターパイプ３a′およびボス部の
中心通孔１０a′を経由してアダプタA′の第１の流
出路１２′からエンジン摺動部に流れるようにな
し、第２過エレメント２′を通つたオイルは下
端板４′の通孔４b′およびボス部１０′の外側通孔
１０b′を通り抜けてアダプタA′の第２の流出路１
３′からオイルパンに戻るようになされている。

このように第１過エレメント１′で処理され
たオイルと第２過エレメント２′で処理された
オイルが混ざり合わないようにするために、第２
エレメントのセンターパイプ３a′の下端部をアダ
プタA′のボス部の中心通孔１０a′に嵌合し、また
ボス部１０′の上端面と下端板４′のパイプ挿通孔
４a′との間にシールリング７′を施している。

ところで、上記第２過エレメント２′の製作
に当たつては、通常中心にセンターパイプ３a′を
ろう付けした上端板３′を第２図イのようにセン
ターパイプ３a′を上向きにして作業台Ｄ上にお
き、次いで前記孔明き板状の紙２a′をセンター
パイプ３a′に嵌めるようにして端板３′上に順次
に多数積み重ね、更にその上に挿通孔４a′をパイ
プ３a′に挿通しつゝ上記下端板４′を載置し、こ
れらを締付器によつて上方から圧迫し、複数箇所
を針金８′で締結するようにしているが、その際、
圧迫力のかかり方のばらつきによつて往々にして
積層紙が横ずれして、図示のように下端板４′
が水平線ｌすなわち上端板４′に対し傾くことが
あり、この状態のものが、同図ロのように下端板
４′を下にしてバルブ取付座４c′を介してシート
プレート５′上に載置され、容器C′に組付けられ
ると、センターパイプ３′の軸線がアダプタA′の
ボス部１０′の軸線に整合せず、嵌合関係が巧く
いかなかつたり、オイル流路分けのシール状態が
不完全になつて、オイルが混り合う使用不能な不
良品になつてしまう。

そこで、この考案は上記のような不都合を改良
すべくなされたもので、バイパス用過エレメン
トの材の横ずれを防いでセンターパイプとアダ
プタボス部の整合関係を維持し、フルフロー側の
オイルとバイパス側のオイルが混ざり合うことの
ないオイルフイルタを提供するものであり、カー
トリツジ容器中にフルフロー用の第１過エレメ
ントと積層紙からなるバイパス用の第２過エ
レメントを上下に配設し、第１過エレメントを
通つたオイルは第２過エレメントの内側に設け
たセンターパイプおよびアダプタのボス部の中心
通孔を通じてエンジン摺動部に送り、第２過エ
レメントを通つたオイルは該エレメントの下端板
に設けた複数のオイル通孔およびボス部の外側通
孔を通じてオイルパンに戻すようにしたオイルフ
イルタとして、第２過エレメントの下端板の中
央部に積層紙の中央孔に嵌合する保持筒を設
け、この保持筒の上壁にセンターパイプの挿通孔
と複数のオイル通孔を設けたことを特徴としてい
る。

第３、第４図はこの考案の実施例を示すもので
あるが、カートリツジ容器Ｃの内部上段には、前
記のように紙１ａを菊花状にプリーツ加工しそ
の内外に多孔のチユーブ１ｂ，１ｃを嵌挿し、上
下に端板１ｄ，１ｅを施したフルフロー用の第１
過エレメント１が配設され、下段にはバイパス
用の第２過エレメント２、すなわち円形、角形
等の孔明き板状の厚手の紙２ａを多数積層し、
その上側には積層紙２ａを貫通するセンターパ
イプ３ａを施し、下側にはセンターパイプ嵌挿孔
４ａの周辺に複数のオイル通孔４ｂを有すると共
に更にその外側に板状ゴムバルブｕの環状取付け
座４ｃを設けた下端板４を施したエレメント２が
配設され、そして、第２過エレメント２の下側
に中心ねじ孔５ａを有すると共にその周辺にオイ
ル入口孔５ｂを備えた肉厚環状のシートプレート
５と肉薄なカバープレート６が配設され、そのカ
バープレート６の周縁と容器Ｃの下端周縁とがか
しめ付けられ、シートプレート５のねじ孔５ａに
よつてアダプタＡのボス部１０に螺合するように
した点の構成は前記従来のものと変りない。

ところで、この考案では第２過エレメント２
の下端板４の中央部に、積層紙２ａのほぼ半分
高さ程度に起立し、直径または外郭形状が積層
紙２ａの中央孔２ｂの内径または形状（円または
多角形）に一致する保持筒４ｄが形成され、その
保持筒４ｄの上壁部４d₁の中央に周縁がコ字状に
屈曲したセンターパイプ３ａの挿通孔４ａが設け
られると共にその周辺に複数のオイル通孔４ｂが
設けられており、また、保持筒４ｄの下端周辺が
ｕ字状に屈曲されて板状ゴムバルブｕの取付座４
ｃをなしている。

しかして、上記第２過エレメント２の組立て
に当たつては、第４図のようにセンターパイプ３
ａを上向きにして作業台Ｄ上におき、板状紙２
ａをセンターパイプ３ａに挿通しかつ中央孔２ｂ
を揃えるようにして端板３上に多数積層し、次い
で、ガイド筒上壁部４d₁（第４図では逆さのため
下になつている）の挿通孔４ａをセンターパイプ
３に嵌め込むと共に保持筒４ｄを積層紙２ａの
中心孔２ｂに嵌合させて下端板４を積層紙２ａ
の上に載置し、これらを締付器（図示せず）によ
つて圧迫し、複数箇所を針金８によつて締結す
る。

その際には、積層紙２ａの横ずれし易い上半
部（第４図において）は、中心孔２ｂに密に嵌合
する端板４の保持筒４ｄにより横ずれすることな
く定位置に保持され、したがつて紙２ａおよび
下端板４は傾かずに水平に保たれる。

この第４図の状態の第２過エレメント２は上
下を逆にして第３図のように第１過エレメント
１の下側に配設され、下端板４の取付座４ｃにゴ
ムバルブｕを取付けると共に取付座４ｃをシート
プレート５上に載置する状態にして容器Ｃ中に収
納装着される。

そして、使用時には、第２過エレメント２の
センターパイプ３ａの先端部をアダプタＡの二重
パイプをなしたボス部１０の中心通孔１０ａに嵌
合し、ボス部の中央上端面と保持筒４ｄの上壁屈
曲部との間にシールリング７を施し、かつシート
プレート５のねじ孔５ａをボス部１０の外側ねじ
に螺合することによりフイルタはアダプタＡ上に
装着され、通常のようにアダプタＡの流入路１１
から容器Ｃに入り、第１過エレメント１で処理
されたオイルはセンターパイプ３ａおよびボス部
の中心通孔１０ａを通つて第１の流出路１２から
エンジン摺動部に送られ、一方第２過エレメン
ト２を通つたオイルは下端板４の通孔４ｂおよび
ボス部の外側通孔１０ｂを通り抜けて第２の流出
路１３からオイルパンに戻される。

以上のようにこの考案では、一つのカートリツ
ジ容器中にフルフロー用の第１の過エレメント
とバイパス用の第２の過エレメントを上下に収
容した車両用のオイルフイルタにおいて、第２の
過エレメントの下端板の中央部に積層紙の中
央孔に嵌合する保持筒を設け、保持筒の上壁にパ
イプ挿通孔とオイル通孔を設けたので、第２過
エレメントの組立てに当たつて、積層紙の横ず
れによる傾斜が防止され、上端板と下端板との平
行を保つことができ、したがつてセンターパイプ
の軸線をアダプタボス部の軸線に整合させること
ができ、両者が嵌合し易くかつボス部上端面のシ
ールが良好となり、フルフロー側のオイルとバイ
パス側のオイルが混ざり合う恐れがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の組合せ式オイルフイルタの断面
図。第２図イ，ロはバイパス用過エレメントの
不良な組立て状態およびアダプタボス部との不整
合な関係を示す説明図。第３図はこの考案の実施
例の断面図。第４図はそのバイパス用過エレメ
ントの組立状態を示す説明図。 図中、Ｃ……容器、１……第１過エレメン
ト、２……第２過エレメント、２ａ……紙、
２ｂ……中心孔、３……上端板、３ａ……センタ
ーパイプ、４……下端板、４ａ……パイプ挿通
孔、４ｂ……オイル通孔、４ｃ……取付け座、４
ｄ……保持筒、５……シートプレート、６……カ
バープレート、７……シールリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カートリツジ容器中にフルフロー用の第１過
   エレメントと積層紙からなるバイパス用の第２
   過エレメントを上下に配設し、第１過エレメ
   ントを通つたオイルを第２過エレメントの内側
   に設けたセンターパイプを通じてエンジン摺動部
   に送り、上記第２過エレメントを通つたオイル
   を該エレメントの下端板に設けた複数のオイル通
   孔を通じてオイルパンに戻すようにした車両用の
   オイルフイルタにおいて、上記第２過エレメン
   トの下端板の中央には積層紙の中央孔に嵌合す
   る保持筒を設け、該保持筒の上壁に上記センター
   パイプの挿通孔と複数のオイル通孔を設けたこと
   を特徴とする車両用のオイルフイルタ。