JPS6363877B2

JPS6363877B2 -

Info

Publication number: JPS6363877B2
Application number: JP55049286A
Authority: JP
Priority date: 1980-04-15
Filing date: 1980-04-15
Publication date: 1988-12-08
Also published as: JPS56145388A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は新規な構造を有する加速器溶融塩増殖
炉に関する。溶融塩炉は減速材黒鉛の中に液体燃料（溶融
塩）を通して核分裂を起させるようにした原子炉
でこの構想は1947年〜1976年の間ORNLによつ
て開発された。溶融塩炉は、溶融塩の性質から低
い運転圧力で高温が得られるが、燃料が液体であ
ることなどから次の特徴をもつている。 (i) 燃料を成型加工する必要がない。 (ii) 放射線損傷を受けず熱輸送も兼ねられる。 (iii) 燃料再処理はオンサイトでできるので、燃料
再処理、再加工の時間遅れが非常に少なく、核
燃料の回転率が良い。 (iv) 運転中連続燃料交換ができるので、余剰反応
度を小さくして運転できる。 (v) 従つて、プロトアクチニウムおよび核分裂生
成物を連続除去できるので、熱中性子炉増殖炉
になり、しかも燃料比装荷量は小さい。この様な特徴は核燃料サイクル上、特に累計天
然ウラン所要量において重量な意義をもち、増殖
比1.07の溶融塩炉は増殖比約1.4の高速増殖炉の
効果にほぼ匹敵する性能をもつている。所で、当該分野において0.5〜1.5GeV程度の陽
子などによる重い原子核破砕反応によつて放出さ
れる数10ケの中性子を燃料親物質に吸収させて核
分裂性物質の生産、超ウラン元素その他の放射性
廃棄物などの消滅処理を行わせる加速器炉の研究
が進められている。本発明者も従来より当該研究
に携わり種々の提言を試みており、“加速器溶融
塩炉”という発明の名称ですでに特許出願をして
いる〔特開昭54−120399号（特願昭53−27178
号）〕。本発明の加速器溶融塩増殖炉は特開昭54−
120399号に開示された加速器溶融塩炉の更なる改
良型と理解されるべきである。従つて本発明の主目的は新規な構造を有する加
速器溶融塩増殖炉、即ち、天然トリウム、ウラン
を親物質として核分裂性物質を増殖する炉を提供
することである。本発明の別の目的はトリチウムを効率よく生産
し得る加速器溶融塩増殖炉を提供することであ
る。更に本発明の別の目的は生産されたトリチウム
を熱交換器を介して冷却材塩に抽出し、分離する
と同時に熱を回収する加速器溶融塩増殖炉を提供
することである。本発明の別の目的および利点は以下遂次明らか
にされる。本発明の加速器溶融塩増殖炉の構造上の特徴を
特開昭54−120399号明細書に記載されている加速
器溶融塩炉と対比して説明する。第１図は本発明
の加速器溶融塩増殖炉を示す概念図である。第２
図は特願昭53−27178号に係る加速器溶融炉の概
念を示す縦断面図である。本発明の加速器溶融塩増殖炉の構造上の特徴お
よびその利点の理解を容易にするため先ず第２図
の加速器溶融塩炉の構造およびその特徴を説明す
る。第２図において１１はターゲツト容器、１２
は加速器管、１３は窓、１４はターゲツト溶融
塩、１５は外部容器そして１６はブランケツト溶
融塩を示している。第２図においてターゲツト容
器１１の一端にある加速器管１２からのビームは
窓１３を通してターゲツト容器１１の内部にある
ターゲツト溶融塩１４に入射される。ターゲツト
溶融塩１４はポンプ循環または自然対流されつつ
外部容器１５の中のブランケツト溶融塩１６によ
つて強制冷却される。そして高温のブランケツト
溶融塩１６またはターゲツト溶融塩１４によつて
発電などのエネルギー回収が行われる。またブラ
ンケツト溶融塩１６ではターゲツト溶融塩１４の
中で生成された中性子により核分裂性物質が製造
される様に ²³²Th、 ²³⁸Uなどを含んだ塩が使用
される。一方第１図において１は炉容器、２は加
速器管、３および４は窓、５は溶融塩、６はポン
プ、７は熱交換器、８は細管、９は冷却材塩そし
て１０は配管を示す。第１図において、ターゲツ
トの溶融塩を収納する炉容器１の上部にある加速
器管２よりのビームをかなりの磁場で分散させつ
つ窓３および４を貫通させ溶融塩５に入射させ
る。溶融塩５はポンプ６で循環させつつ窓４を積
極的に冷却し容器外の熱交換器７の細管８に導か
れ熱およびトリチウムを冷却材塩９に渡して配管
１０を通つて炉容器１に戻る。上述した様に第２
図に示された加速器溶融塩炉はターゲツト容器と
ブランケツト部を各々設けた点が構造上の大きな
特徴である。一方本発明の加速器溶融塩増殖炉は
ターゲツト容器およびブランケツト部を各々独立
して設けることをせず両者を一体化した点が構造
上の大きな特徴であり改良である。本発明の様な
構造を採用することによつて、イ、ターゲツト容
器の放射線照射損傷の問題がなくなる。ロ、窓を
大きく設計出来、窓材の放射線照射損傷の問題を
大きく軽減出来る。ハ、炉心構造が最も単純にな
る等の利点が得られる。所で、本発明の加速器溶融塩増殖炉はトリチウ
ムを効率よく生産することが出来るという重要な
機能上の特徴を有している。従来、トリチウム生
産にはLi、LiAl、LiAlO₂等のリチウム化合物を
各種の核分裂炉に装入して中性子を吸収させてト
リチウムに核変換する方法が一般に利用されてい
る。然しながら従来の方法ではリチウムと反応す
る中性子を生成させるために(1)核分裂性物質を必
要とする(2)核分裂炉を臨界状態に保ち安定且つ安
全に運転する必要がある(3)場合によつては炉外に
持出されたLi化合物を化学処理・分離操作を行う
必要がある等の煩わしい問題がある。然しながら
本発明の加速器溶融塩増殖炉において後述する溶
融塩を使用することによつて、上述した従来のト
リチウム生産方法に付随していた問題を惹起する
ことなく効率よくトリチウムを生産することが出
来る。即ち、本発明の加速器溶融塩増殖炉は(1)照
射損傷、熱除去・容器の照射損傷等の対処を容易
にする(2)核分裂性物質を使用しない(3)炉室内でト
リチウム処理をすべて行える(4)事故対策、災害防
止に極めて優れている(5)核分裂再臨界事故のおそ
れ、化学的災害などがない等の利点を有してい
る。本発明で好ましく使用される溶融塩の組成例を
表−１に示す。【表】表−１に例示した溶融塩、例えばLiF−BeF₂−
ThF₄三元系溶融塩を使用することによつてトリ
チウム生産と同時に ²³³U生成により次第に溶融
塩増殖炉用燃料が形成される。所で、本発明の加速器溶融塩増殖炉にあつても
微量ながらアクチノイドが形成されるが、これは
表−１に例示した溶融塩、例えばLiF−BeF₂−
ThF₄のThF₄の一部（約0.1モル％以下）をAnF₃
（Anはアクチノイド元素）で置き換える事によつ
てアクチノイド消滅も兼ねることが出来る。即
ち、本発明の加速器溶融塩増殖炉にあつては溶融
塩の組成を適宜変えることによつて ²³³U増殖お
よびトリチウム生産という本来の目的の他同時に
アクチノイド、核分裂生成物消滅処理を行なわせ
しめることが出来る。以下実施例を掲げ本発明をより具体的に解説す
る。実施例ビームとして1GeV300ｍＡの陽子を使用した。
磁場によりビームを約5゜に分散させ、有効径1500
mmの窓にほぼ均一に入射させた。窓３はジルカロ
イ薄板から、また窓４はNbまたはMo薄板から製
作した。４の上面にはAl箔熱遮蔽板を置いた。
３および４の間の空間はHeガスを0.1〜0.5気圧で
強制送風した。３が破れてもHeが洩れるのみで
ある。４が破れれば、約1.2気圧（窓附近）の溶
融塩がHe空間に洩れ始めて検知される。洩漏が
起れば炉の運転を停止して窓の遠隔取かえを行
う。１，６，７，８，１０などはすべて
Hastelloy Ｎ（Ni−Mo−Cr合金）で製作した。
ターゲツト用溶融塩５の組成はLiF−BeF₂−
ThF₄（72−16−12mol％、融点500℃）であつた。
なおLiは天然組成のまま使用した。入口温度550
℃、出口温度700℃であつた。また炉容器は、直
径および深さを約６ｍに設計した。冷却材塩９は、NaBF₄−8mol％NaFを使用
し、その中に微量に残留する水分（約300ppm）
と生成されたトリチウムとがHastelloy Ｎ製伝
熱管８を介して交換反応を行い冷却材塩配管系の
カバーガス中にTHO、T₂Oなどとして出てくる。
これを分離・回収して、トリチウムを生産する。
トリチウムは日産約７ｇであつた。副産する
²³³Uは日産約300ｇであつて、特に取出しは行わ
ず一部は核分裂中性子源となる。これは将来溶融
塩増殖炉の燃料塩として使用出来る。本発明は前述した特徴および利点の他に； (1) 炉全体構成が極めて単純である。 (2) ターゲツト塩全体は約800トンとなるが、天
然Li、Thを使用しているので極めて安価であ
る。 (3) Beは中性子増倍反応（ｎ、2n）に利用でき
る。 (4) 黒鉛は直接溶融塩に浸漬でき又Hastelloy
Ｎにも問題はない。 (5) トリチウム挙動および分離技術は単純でよく
分つており、特に新しい装置、技術の追加開発
を要しない。 (6) 窓は３および４が同時に破れないかぎり塩の
噴出（加速器管等の汚染）はありえない。溶融
塩は充分低圧力にされている。 (7) 核分裂性物質は極めて低濃度で、化学的に安
定な物質のみからなり、またトリチウム管理も
簡単である。もし炉容器・配管からのトリチウ
ム漏洩が心配であれば、二重容器とすればよ
い。 (8) T₂Oに対するH₂Oの混入が好ましくないなら
ば、塩中H₂OをD₂Oで置換させておくこともで
きる。等の特徴および利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の加速器溶融塩増殖炉を示す概
念図である。第２図は従来の加速器溶融塩炉を示
す概念図である。

Claims

【特許請求の範囲】１イターゲツト物質及びブランケツト物質か
らなる溶融塩を収納する炉容器、ロ該炉容器に一部挿入されていて溶融塩に入射
される高速荷電粒子を発生させる加速器管、ハ溶融塩を炉容器内で循環させ且つ炉容器外に
配置されていて細管を備えた熱交換器へ導入す
るためのポンプ系、ニ該熱交換器内を還流していて該循環溶融塩か
ら熱およびトリチウムを回収するための冷却材
塩、及びホ熱及びトリチウムが除去された溶融塩を該炉
容器へ循環させるための配管系、から実質的に構成され、該炉容器がターゲツト物質を収納するためのタ
ーゲツト容器及びブランケツト物質を収納するた
めのブランケツト部を各々独立して具備せず、一
体化された１の容器となつていることを特徴とす
る加速器熔融塩増殖炉。２前記溶融塩がLiF−BeF₂−ThF₄（72−16−
12mol％）である特許請求の範囲第１項記載の増
殖炉。３前記溶融塩がLiF−BeF₂−ThF₄（71−９−
20mol％）である特許請求の範囲第１項記載の増
殖炉。４前記溶融塩がLiF−ThF₄（71−29mol％）で
ある特許請求の範囲第１項記載の増殖炉。５前記溶融塩がLiF−NaF−ThF₄（43.5−32.5
−24mol％）である特許請求の範囲第１項記載の
増殖炉。６前記溶融塩がLiF−UF₄（71−29mol％）であ
る特許請求の範囲第１項記載の増殖炉。７前記溶融塩がLiF−NaF−UF₄（43.5−29mol
％）である特許請求の範囲第１項記載の増殖炉。８前記溶融塩がLiF−RbF−UF₄（60−10−
30mol％）である特許請求の範囲第１項記載の増
殖炉。