JPS6356445B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はマイクロ波加熱手段と、熱風加熱手段
とを備えた調理器、所謂熱風循環式の電子レンジ
に関するものである。マイクロ波加熱は焦げ目を
付すことができないという難点があり、このため
にヒータを付設して焦げ目を付けた調理に対する
要求にも応じられる電子レンジが種々提案されて
いる。このような調理器においては両機能を付す
ために大型化し、コスト高になることを回避し、
或いは他方の機能のために一方の機能が犠性にな
ることがないように配慮する必要がある。

本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであ
り、マイクロ波加熱及び熱風加熱を夫々を効果的
に行わしめると共にコスト増を抑制できる調理器
を提案することを目的とし、以下に本発明をその
実施例を示す図面に基いて詳述する。

第１図は本発明に係る調理器の模式的立断面図
である。調理室（キヤビテイ）１の上部にはマイ
クロ波撹拌用のスターラ２並びにシーズヒータ３
及びフアン４からなる熱風加熱手段等が設置され
ている。調理室１の上壁１ａにはフアン４の駆動
軸４ａが図示しない軸受等を用いて回転自在に垂
直に貫通配置されており、調理室１外に位置する
駆動軸４ａの上端部にはプーリ５が同心的に固着
されている。調理室１の側方の器内スペースには
マグネトロン６及びその冷却用のフアンモータ６
ａを備えており、上方に突出する該フアンモータ
６ａの出力軸にはプーリ７が固着されており、プ
ーリ７と前記プーリ５との間にベルト８を張掛し
てあり、フアンモータ６ａの回転により駆動軸４
ａを回転させ得るように構成してある。

駆動軸４ａは熱遮蔽板９を貫通させて、その下
端末を熱遮蔽板９の下向きの凹所９ａに位置せし
めている。熱遮蔽板９は陶器、磁器等、マイクロ
波を透過せしめて、その部分でのマイクロ波損失
が少く、しかも耐熱性に優れた（特に急熱、急冷
の衝撃に強い）素材からなり駆動軸９ａを貫通さ
せたその中央部を中心にして下向きの円形凹所９
ａを形成してあり、該凹所９ａの側壁はスターラ
２の羽根部分２ａの内周端形状に合せて上部が小
径、下部が大径となるようにテーパをとつてあ
る。該熱遮蔽板９はその周縁を調理室１の周壁に
当接させて固定して水平に取付けてある。

駆動軸４ａの凹所９ａ内にある下端部にはフア
ン４が取付けられており、その回転域の外周側で
あつて、熱遮蔽板９の側壁の内方に位置する部分
にはシーズヒータ３がフアン４を螺旋状に囲繞す
るように配設してある。このシーズヒータ３への
通電は後述するスターラ２の回転を妨げないよう
に熱遮蔽板９とスターラ２との間隙を利用して配
線されたリード線（図示せず）によつて行われ
る。

シーズヒータ３及びフアン４はいずれも熱遮蔽
板９の凹所９ａ内に位置せしめられており、この
凹所の下端開口部はフイルタ１０によつて覆われ
ている。このフイルタ１０は熱遮蔽板９同様マイ
クロ波透過性に優れ、且つ耐熱性に優れた陶器、
磁器等からなり、中央部にはフアン４の回転翼部
の内径と略等しい直径の吸込孔１０ａが開設され
ており、上記回転翼部より外周側の部分には多数
の小径の吸出孔１０ｂを有しており、凹所９ａの
下端部に着脱可能に取付けられている。フアン４
は吸込孔１０ａから調理室下部の被調理物側から
空気を吸込んでこれを外周のシーズヒータ３へ送
り、これによつて加熱された空気を吸出孔１０ｂ
から被調理物へ向けて送り出すようにその回転方
向及び回転翼の形状が定められている。このよう
にして凹所９ａ内を通流する風が含む油分、煙等
はこのフイルタ１０、特に吸出孔１０ｂを通過す
る際にフイルタ１０に付着し、熱風の清浄化が図
られる。

熱遮蔽板９の中央部の穴９ｂは駆動軸４ａに比
して稍々大径としてあり、両者の間隙を利用して
スターラ支持筒１１の下端末を嵌着してある。こ
の支持筒１１はオイルレスメタル等からなり、駆
動軸４ａの外径より稍々大きい内径を有し、駆動
軸４ａに同心的に外嵌されている。そして下端部
に近い熱遮蔽板９の上側に位置する部分には適宜
寸法の突起１１ａが周設されており、スターラ２
の中心部に形成した心筒２ｂを支持筒１に回転自
在に外装し、突起１１ａにてスターラ２の重量を
支持するようにしてある。

マグネトロン６によつて発せられたマイクロ波
は図示しない導波管を経て調理室１内に到るが、
フアン４或はフアンモータ６ａの回転によつて生
起せしめられる風がその回転翼２ａに当ることに
より駆動されるスターラ２にて撹拌され、これに
より食品載置台１２上に被調理物（図示せず）に
ムラなくマイクロ波を照射することになる。熱遮
蔽板９及びフイルタ１０によるマイクロ波の損失
は極めて少ないことは言うまでもなく、またフア
ン４はその回転によりマイクロ波撹拌作用を営む
ことになる。

而してシーズヒータ３に通電した場合は前述の
ようにフアン４の回転にて調理室１内の空気は吸
込孔１０ａから凹所９ａに入りシーズヒータ３の
配設位置を経て加熱され、吸出孔１０ｂから下方
へ出ていくので、シーズヒータ３と通流空気との
熱交換が効果的に行われ、室内温度は速やかに高
まり、また容易に100〜250℃程度の温度に維持す
ることが可能となる。そして本発明の調理器にお
いてはシーズヒータ３及びフアン４からなる熱風
加熱手段を熱遮蔽板９より下方に位置させてその
熱影響が熱遮蔽板９より上方の部分へ及ばないよ
うにしているので、スターラ２及びこれらと関連
する部分の素材は調理室の最高温度が250〜300℃
であるとしても、これに拘らず150℃程度に耐え
るものであればよい。そして調理室１内の空気は
フアン４の回転により吸込孔１０ａからフアン
４、ヒータ３の配設位置を経て熱遮蔽板９のテー
パをもたせた側壁に沿つて吸出孔１０ｂに至り効
率よく案内、循環され食品調理が効率よく行われ
る。

第２図は本発明の他の実施例を示す模式的立断
面図でありこの実施例は第３図に示すようにフア
ン４の駆動系が第１図のものと異つている。即ち
フアンモータ６ａの出力軸に固着したプーリ７
は、フアンモータ６ａの近傍に垂直に、回転自在
に支持された支軸２１に固定された中断プーリ２
２と、この間に張掛したベルト２３により連結さ
れている。支軸２１の中断プーリ２２により上の
部分には直径が小、中、大に異る変速用のプーリ
２４ａ，２４ｂ，２４ｃが一体的に固定されてお
りフアンモータ６ａの回転にてこれらのプーリ２
４ａ，２４ｂ，２４ｃが回転駆動されるようにし
てある。

プーリ２５は軸２６に回転自在に、且つ軸２６
に対する上下の移動を拘束されるように取付けら
れており、該プーリ２５とフアン４の駆動軸４ａ
の上端のプーリ５との間に伸縮力の強いベルト
８′が張掛されている。軸２６は上端より稍々下
方及び下端より稍々上方の各位置において支持片
２７ｕ，２７ｄに回転自在、且つ上下摺動可能に
挿通してあり、上端は引張りバネ２８を介して適
宜位置に固定してある。また下端は引張りバネ２
８よりも強い引張りバネ２９を介して電磁アクチ
ユエータ３０のプランジヤに接続されている。前
記支軸２１を上下にて支持する支持片３１ｕ，３
１ｄと軸２６の支持片との間には引張りバネ３２
ｕ，３２ｄが介装してある。更に軸２６における
プーリ２５と支持片２７ｄとの間には第３図に現
れない駆動軸４ａを中心とする円弧状の案内孔３
３ａを開設した案内片３３不動に設けられてお
り、軸２６はこの案内孔３３ａ内を挿通させてあ
る。バネ２９の一端を係止させた軸２６の下端に
はスイツチドツグ２６ａが形成してあり、電磁ア
クチユエータ３０を作動させて軸２６を下方へ移
動させた際のスイツチドツグ２６ａの通過域には
マイクロスイツチ３４が設けてあり、プーリ２５
がプーリ２４ｂと同高になつた場合に該マイクロ
スイツチ３４が作動するようにその位置に設定し
てある。而してこの実施例では実線で図示した如
くプーリ２５をプーリ２４ａ等から離隔させてお
いてフアン４への伝動を断つ休風モード、２点鎖
線で示すようにプーリ２５をプーリ２４ａ，２４
ｂ又は２４ｃに転接させ、フアン４を低速、中速
又は高速で回転させる弱熱、中熱又は強熱モード
の４種類のモードでの使用が可能なようにしてあ
る。即ちマイクロ波加熱のみによる場合は休風モ
ードが選択されるが、この場合は図示しない手段
により支持片２７ｕ，２７ｄをバネ３２ｕ，３２
ｄの弾性に抗して支持片３１ｕ，３１ｄから離反
させる方向に牽引拘束しておき、また電磁アクチ
ユエータ３０は非作動状態にする。これによりプ
ーリ２５は引張りバネ２８，２９の平衡によりプ
ーリ２４ａと同高を保つて該プーリ２４ａが離隔
した状態になりフアンモータ６ａからフアン４へ
の伝動が断たれる。

次に弱熱モードの場合は電磁アクチユエータ３
０は非作動状態のままで支持片２７ｕ，２７ｄの
拘束を解く。そうするとプーリ２５は小径プーリ
２４ａに転接する状態になりフアン４は低速で回
転することになる。次に中熱モードの場合は電磁
アクチユエータ３０を作動させて軸２６を下方へ
牽引し、スイツチドツグ２６ａがマイクロスイツ
チ３４に接触しこれを作動させ、牽引を停止する
状態にする一方、支持片２７ｕ，２７ｄの拘束を
解く、これによりプーリ２５は中径のプーリ２ｂ
に転接する状態になり、フアン４は中速で回転す
ることになる。次に強熱モードの場合は電磁アク
チユエータ３０を作動させて軸２６を、その下限
作動域まで牽引する一方、支持片２７ｕ，２７ｄ
の拘束を解く。これによりプーリ２５は大径のプ
ーリ２４ｃに転接する状態になり、フアン４は高
速で回転することになる。

なおプーリ２５とプーリ５との水平距離は案内
孔３３ａにより一定となされるものの、軸２６の
上下に伴い実際の距離は若干変動することになる
が、これはベルト８′の伸縮性により吸収される。
またプーリ２５の移動は必ず休風モードを経由し
て行われるように構成される。

以上のようにフアン４の回転速度を調節できる
構成とする場合は被調理食品に応じた調理が可能
になる。即ち第４図は調理室１の略中央部の点Ｐ
における温度を経時的に測定した結果を示すもの
であり、温度上昇速度の差、飽和温度の差を利用
して多様な調理が可能となる。

以上のように本発明に係る調理器はマイクロ波
加熱手段と、熱風加熱手段とを備えた調理器にお
いて、調理室上部に配したマイクロ波撹拌用スタ
ーラの下側に、ヒータ及びマイクロ波撹拌兼用の
フアンからなる熱風加熱手段を備え、該熱風加熱
手段とスターラとの間にマイクロ波透過性素材よ
りなる熱遮蔽板を介装したことを特徴とするもの
であるので、スターラ及びフアンの双方によりマ
イクロ波の撹拌が行われ、より均一なマイクロ波
加熱が行える。

一方、熱風加熱手段による場合は、熱風加熱手
段をスターラの下側に設けているので熱風がスタ
ーラに遮られることなく効率よく食品の加熱がで
きる。しかもこのような構成において熱風加熱手
段とスターラとの間に加熱遮蔽板を設けているの
でスターラは耐熱性材料を用いなくともよく、コ
スト増を回避できる。そして熱風加熱用のフアン
をマイクロ波アンテナに兼用するものが特開昭54
−69849号によつて知られているが、これとは異
なりフアンに電気構造上に制御がなく実用性が高
い。

更に調速可能な電気機構を設けてフアンを駆動
するものにおいては調理モードに応じた熱風を食
品に与えることが可能であり、この場合もスター
ラに遮られることなく熱風加熱が行え、またスタ
ーラの部品コストが抑制できる。そして前述の実
施例とは異なり、マイクロ波加熱の場合にもフア
ンを回転させることとすればマイクロ波加熱を均
一に行う効果も奏されることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の調理器の模式的立断面図、第
２図は本発明の他の実施例を示す模式的立断面
図、第３図はその要部を略示する斜視図、第４図
はその温度−時間特性を示すグラフである。 １……調理室、２……スターラ、３……シーズ
ヒータ、４……フアン、４ａ……駆動軸、６……
フアンモータ、９……熱遮蔽板、９ａ……凹所、
１０……フイルタ、１１……スターラ支持筒、２
４ａ，２４ｂ，２４ｃ……変速用プーリ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ マイクロ波加熱手段と熱風加熱手段とを備え
   た調理器において、調理室上部に配したマイクロ
   波撹拌用スターラの下側に、ヒータ及びマイクロ
   波撹拌兼用のフアンからなる熱風加熱手段を備
   え、該熱風加熱手段とスターラとの間にマイクロ
   波透過性素材よりなる熱遮蔽板を介装したことを
   特徴とする調理器。 ２ 前記熱遮蔽板は前記フアン駆動用の軸を挿通
   させてある特許請求の範囲第１項記載の調理器。 ３ 前記フアンの外周にヒータを囲繞配置し、前
   記熱遮蔽板はその中央部に下方に開口する凹所を
   有し、該凹所にフアン及びヒータを収容させた特
   許請求の範囲第１項記載の調理器。 ４ マイクロ波加熱手段と熱風加熱手段とを備え
   た調理器において、調理室上部に配したマイクロ
   波撹拌用スターラの下側に、ヒータ及びマイクロ
   波撹拌兼用のフアンからなる熱風加熱手段を備
   え、該熱風加熱手段とスターラとの間にマイクロ
   波透過性素材よりなる熱遮蔽板を介装してなり、
   前記フアンはマグネトロン冷却用のフアンのモー
   タを駆動源とし、且つフアンとフアンモータとの
   間には調速可能な伝動機構を備えたことを特徴と
   する調理器。