JPS6352313B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、空気分離装置やエチレンプラント等
に用いることのできるプレートフイン型熱交換器
の改良に係り、特に気体及び液体の熱交換器への
入口部において気液二相流を得ることができるよ
うにした気液分散装置に関するものである。

例えばエチレンプラント等のように、液体（メ
タン）と気体（水素ガス）とを混合二相流として
加熱するような場合、熱交換器内での気液の混合
率が場所によつて異ると、均質な反応を得ること
ができず生産効率の低下を招くと共に、極端な場
合、単相流を生じてオーバーヒートとなり、ろう
付け部分が破損する等の問題がある。

このような点から、従来より気相と液相を有効
フインの幅方向に均一に分配（分散）させるため
に種々の改良がなされている。

第１図に示した例では、熱交換器への流体の供
給部であるヘツダ１内に多孔質の分散板２を設
け、供給口３より気体と液体とを混合させた状態
でヘツダ１内へ供給する。ヘツダ１内では分散板
２が流体の流れに対して抵抗となるため、流体が
矢印４で示す熱交換器の幅方向に拡散し、しかる
後に混合流は、分散板２を透過し、更にストレー
トフイン５及び分配フイン６を通つて有効フイン
７に入り、加熱される。この様に多孔質の分散板
２を用いる場合には、構造が簡単となる長所があ
るが、分散の確実性については問題があり、定量
的に確実な分散が行われているか否かを把握でき
ない欠点があると共に、二相流が熱交換器の上部
から下部へ流れる場合には、ヘツダ内で気液が分
離するため、正確な分散を行うことができない。

又第２図に示した例では、熱交換器の内部に幅
方向に配設されたスパージパイプ８に液体が供給
され、スパージパイプ８の長手方向に等間隔で穿
つたノズル孔９，９，…より噴霧された液体と、
取入口１０より分配フイン１１を通つて供給され
た気体とが、スパージパイプ８の下部で混り合
い、ストレートフイン１２を通つて有効フイン１
３に流入する。しかしこの場合には、スパージパ
イプ８への正確な穴加工が困難であるから精度の
よい分散が得られず、しかもスパージパイプは流
路に対して抵抗となつて流量が低下するばかり
か、スパージパイプを挿入した部分はフインが途
切れるので、この部分に高い圧力をかけることが
できない。フインはそれ自身プレートを連絡する
補強要素となつているからである。

更に、隣接する流体通路を仕切るプレートに穴
を明けて、コア内部で気液を混合するようにした
熱交換器（米国特許3559722号明細書参照）が知
られているが、大型熱交換器はプレートの寸法も
大きく、このような穴を中間に明けるのは極めて
困難であると共に、穴の精度も高いものが得られ
ないため、正確な分散が期し難く実用的でない。

従つて本発明の目的は、プレートフイン型熱交
換器のコア入口部までは、気液共に単相流で導入
し、コア入口部で一挙に二相流となし、気体及び
液体の正確な分散を図ること及び、簡単な構造で
製造しやすく、強度的にも優れたプレートフイン
型熱交換器の気液分散装置を提供することにあり
気液二相流と熱媒体との間で熱交換を行うプレー
トフイン型熱交換器において、気体及び液体をそ
れぞれ単相で熱交換器へ供給するための分散用コ
アを熱交換器の流体取入口に取り付け、該分散用
コア内に液体流層と気体流層とを隣接して配設
し、相隣接する液体流層と気体流層とを共に熱交
換器側の二相流層に連通せしめたことを特徴とす
るプレートフイン型熱交換器の気液分散装置を提
供するものである。

続いて、添付した図面に従つて本発明の具体的
実施例について、詳しく説明する。ここに第３図
は、本発明の第１の実施例に係る気液分散装置を
設けた熱交換器全体の外観斜視図、第４図は、同
装置の内部を示す斜視図、第５図は、同装置の断
層側断面図、第６図は、第５図におけるＸ−Ｘ矢
視断面図、第７図は、第２の実施例に係る気液分
散装置を設けた熱交換器全体の外観斜視図、第８
図は、同装置のＹ−Ｙ矢視断面図、第９図、第１
０図は、第８図におけるＡ−Ａ矢視断面図、Ｂ−
Ｂ矢視断面図である。

第３図及び第７図において、２０，２１は、気
液二相流と熱媒体との間で熱交換を行うプレート
フイン型熱交換器で、気体及び液体をそれぞれ単
相で取り入れ、二相流として熱交換器へ供給する
ための分散用コア２２及び２３を熱交換器の流体
取入口部に有している。

即ち、第３図に示した熱交換器の内部構造は、
第４図及び第５図に示した如くであり、中央に二
点鎖線で示した垂直方向の有効フイン２４が配設
されている。この有効フイン２４は、波形フイン
を積層状に重ね合わせたもので、二相流用の有効
フイン２５と熱媒体用の有効フイン２６とを交互
に隣接させ、その間にプレート２７，２７，…を
それぞれ１枚ずつ介在させている。即ち有効フイ
ン２５，２５，…が二相流層を、また、有効フイ
ン２６，２６，…が熱媒体層を形成する。

各有効フインの下部には、二相流用の有効フイ
ン２５，２５，…に連通する二相流用分配フイン
２８，２８，…と、熱媒体用有効フイン２６に連
通する熱媒体用分配フイン２９，２９，…とが配
設され、有効フイン２５，２５，…は上部のヘツ
ダ３０に接続された上部の分配フイン（不図示）
と連通し、また有効フイン２６は、上側部に取り
付けたヘツダ３１に接続された分配フイン（不図
示）と連通している。

上記下部の熱媒体用分配フイン２９は、熱媒体
を取り入れるヘツダ３２と直接連通し、二相流用
の分配フイン２８は、分散用コア２２を介して気
体用ヘツダ３３及び液体用ヘツダ３４と連通して
いる。即ち分散用コア２２は、水平方向の気体用
分散フイン３５，３５，…と斜め方向の液体用分
散フイン３６，３６，…とをプレート３７，３
７，…を挾んで交互に積層状に配設したもので、
第６図に示す如く、隣接する気体流層である１個
の気体用分散フイン３５と、液体流層である１個
の液体用分散フイン３６とが、１個の二相流層で
ある二相流用分配フイン２８と連通している。但
し、各分散フイン３５，３６と熱媒体用分配フイ
ン２９とはサイドバー３８によつて分離されてい
る。第５図は、このような各フインの接続状態を
側面から見て模式的に示したものである。第６図
に示した例では、二相流用分配フイン２８に連通
する気体用分散フイン３５と液体用分散フイン３
６とを仕切るプレート３９，３９，…が、二相流
用分配フイン２８の厚さ方向の中央に配設されて
いるため各分散フイン３５，３６との連通が可能
となつているが、気液の混合比率に応じて分散コ
ア全体を矢印４０で示すいずれかの方向に若干片
寄らせて取付けることによつて混合比率を変える
こともできる。

続いて上記実施例における各流体の流れについ
て説明する。まず入口４１よりヘツダ３２内へ入
つた熱媒体は、分配フイン２９に導かれて熱媒体
用有効フイン２６の幅方向に均一に分散され、有
効フイン２６中を上昇して図示せぬ上部の分配フ
インに入りヘツダ３１より外部へ流出する。一
方、入口４２よりヘツダ３３内へ入つた気体は、
分散コア２２内の気体用分散フイン３５中を水に
移動し、連通する二相流用分配フイン２８に流入
する。他方、入口４３よりヘツダ３４内へ入つた
液体は、液体用分散フイン３６に導かれて斜め上
方へ移動し、連通する二相流用分配フイン２８に
流入して気体と合流し、気液二相流となる。こう
して得られた気液二相流は、その成分である気体
及び液体が各分散フインで均一に分散された状態
で合流したものであるから、幅方向に均一な混合
比となつており、続いて二相流用分配フイン２８
から二相流用有効フイン２５に流入し、上昇する
うちに隣接する熱媒体層との間で熱交換を行い、
図示せぬ上部の分配フインを通つてヘツダ３０の
出口４４から外部へ取り出される。

この例では、分散用コア２２を熱交換器２０の
下側部に設け、しかもこの分散用コア２２への気
液供給口であるヘツダ３３，３４をそれぞれ別体
としたが、本発明は、これに限られるものでな
く、分散用コアを熱交換器の底部や上面部又は上
側部に取付けてもよく、又気体用ヘツダ３３及び
液体用ヘツダ３４は、一体に形成し、その中に分
散用コアを配置してもよく、この分散用コアによ
つて一体のヘツダ内を気体室と液体室とに区割し
てもよい。

第７図乃至第１０図に示したのは、分散用コア
２３を熱交換器２１の底部に取り付けた一体のヘ
ツダ４５内に装着し、分散用コア２３自身によつ
てヘツダ４５内を気体室４６と液体室４７に区割
した場合である。即ち、熱交換器２１の下部に
は、ストレートフイン４８及び、これと接続する
傾斜フイン４９を有する分配フイン５０が配置さ
れ、ストレートフイン４８は、ダミーフイン５１
と二相流用分配フイン５２及び熱媒体用分配フイ
ン５３を交互に積層状に配設したもので、各フイ
ンはプレート５４，５４，…によつて仕切られて
いる。分配フイン５０の下部に接して配置された
分散用コア２３は、垂直方向の液体用分散フイン
５５と、斜め方向の気体用分散フイン５６とを間
にプレート５７を挾んで交互に積層したもので、
気体用分散フイン５５は液体室４７に開口し、気
体用分散フイン５６は気体室４６に開口してい
る。但し、気体用分散フイン５６は、サイドバー
５８によつて液体室４７と仕切られ、液体用分散
フイン５５は、サイドバー５９によつて気体室４
６と絶縁されている。又、隣接する気体用分散フ
イン５６と液体用分散フイン５５とを仕切るプレ
ート６０，６０，…は、二相流用分配フイン５２
の幅方向の中間に配置されており、両分散フイン
５５，５６は、共に二相流用分配フイン５２に連
通している。但し、両分散フイン５５，５６とダ
ミーフイン５１又は熱媒体用分配フイン５３と
は、サイドバー６１又は６２によつて絶縁されて
いる。

従つて、ヘツダ４５の入口６３から液体室４７
に入つた液体は、続いて液体用分散フイン５５を
通つて二相流用分配フイン５２に流入する。ま
た、入口６４より気体室４６に入つた気体は、気
体用分散フイン５６を通つて二相流用分配フイン
５２に入り、液体と合流して二相流となり、傾斜
フイン４９を通つて有効フイン６４中を上昇す
る。

上記いずれの実施例においても、気体用入口と
液体用入口とを設計条件に合せて相互に交換する
ことは可能である。

本発明は、以上述べた如く、気液二相流と熱媒
体との間で熱交換を行うプレートフイン型熱交換
器において、気体及び液体をそれぞれ単相で取り
入れ、二相流として熱交換器へ供給するための分
散用コアを熱交換器の流体取入口に取り付け、該
分散用コア内に液体流層と気体流層とを隣接して
配設し、相隣接する液体流層と気体流層とを共に
熱交換器側の二相流層に連通せしめたことを特徴
とするプレートフイン型熱交換器の気液分散装置
であるから、熱交換器の入口までは、気体と液体
とがそれぞれ単相で供給されるので、分散の実体
を確実に把握でき、各分散フインによつて気液が
確実に分散され、分散斑による伝熱係数の低下の
問題が解消する。また、熱交換器の内部にスパー
ジパイプ等の特殊な構造物を設けないので、高圧
に対する耐久性が良く、ろう付け時のろう材の流
れに対してスパージパイプのような抵抗となるも
のが無く、ろう付け不良の心配がない。しかも上
向き流れ及び下向き流れのいずれに対しても適用
可能で、使途の拡大に寄与するものである。

また、分散用コアを一体のヘツダ内に装着し、
分散用コアによつてヘツダ内を気体室及び液体室
に区割した場合には、構造が極めて簡単になると
共に、製造コストの面からも有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、従来の気液分散装置の斜
視図、第３図は、本発明の第１の実施例に係る気
液分散装置を設けた熱交換器全体の外観斜視図、
第４図は、同装置の内部構造を示す斜視図、第５
図は同装置の断層側断面図、第６図は、第５図に
おけるＸ−Ｘ矢視断面図、第７図は、第２の実施
例に係る気液分散装置を設けた熱交換器全体の外
観斜視図、第８図は、同装置のＹ−Ｙ矢視断面
図、第９図、第１０図は、第８図におけるＡ−Ａ
矢視断面図、Ｂ−Ｂ矢視断面図である。 （符号の説明）、２０，２１……プレートフイ
ン型熱交換器、２２，２３……分散用コア、２
５，５２……二相流相（二相流用分配フイン）、
３５，５５……液体流層（液体用分散フイン）、
３６，５６……気体流層（気体用分散フイン）、
４５……ヘツダ、４６……気体室、４７……液体
室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 気液二相流と熱媒体との間で熱交換を行うプ
   レートフイン型熱交換器において、気体及び液体
   をそれぞれ単相で取り入れ、二相流として熱交換
   器へ供給するための分散用コアを熱交換器の流体
   取入口に取り付け、該分散用コア内に液体流層と
   気体流層とを隣接して配設し、相隣接する液体流
   層と気体流層とを共に熱交換器側の二相流層に連
   通せしめたことを特徴とするプレートフイン型熱
   交換器の気液分散装置。 ２ 分散用コアが熱交換器の流体取入口に設けた
   ヘツダ内に取り付けられ、ヘツダ内が上記分散用
   コアによつて液体室と気体室に区割されている特
   許請求の範囲第１項に記載したプレートフイン型
   熱交換器の気液分散装置。