JPS6350811Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はガス絶縁中性点接地抵抗装置に関す
るものである。

従来のこの種装置は、抵抗値の大きさおよび電
圧階級に応じて、抵抗体を金属容器に収納したユ
ニツトを絶縁碍子上に搭載し、抵抗体の一端を変
圧器の中性点に、他の一端を接地線に接続し、前
記抵抗体の絶縁および冷却媒体として空気を用い
て構成していた。

ところが、この構成によれば中性点の大地間電
位が上昇した場合、金属容器が高電圧となるた
め、周囲に保護フエンスが必要となる外、空気絶
縁のためこの種装置が大形化するのを避けること
ができないといつた不都合があつた。また抵抗体
が外気と接触するため、雰囲気の悪い場所では抵
抗体の劣化が問題となつている。

この対策として、抵抗体を密閉容器内に収納し
SF₆などの絶縁ガス雰囲気中に設置することが考
えられる。ところが、この種装置がつながれてい
る３相線路にたとえば１線地絡事故が生じると、
抵抗体に地絡電流が流れ、これにより抵抗体が発
熱して膨張するため、その熱応力によつて抵抗体
等が変形し、これがたび重なると破壊につながる
危惧があつた。

したがつて、この考案の目的は、構造が簡単で
しかも熱応力を容易に吸収できるガス絶縁中性点
接地抵抗装置を提供することである。

この考案の第１の実施例を第１図および第２図
に示す。すなわち、このガス絶縁中性点接地抵抗
装置は、密封容器１内に抵抗器２を絶縁配置し、
密封容器１の空間内に絶縁ガス３を封入する構成
である。抵抗器２は第１図に示すように、ジグザ
グ状に打抜き加工した複数枚の平板状抵抗板４を
積重ね、これらの抵抗板４間に絶縁材５、すなわ
ち図示例では２枚の断熱性を有する繊維状の絶縁
シート６を介在し、さらにこの絶縁シート６間に
絶縁耐力の大きい絶縁板７を介在したものであ
る。電気的には各抵抗板４は直列に接続されてい
る。この抵抗器２は、密封容器１の内底部に設置
された支持碍子等の絶縁支持物８上に下部金具９
が載置されてその上に重ねられ、最下部の抵抗板
４に電気接続される。また抵抗器２の上面には圧
縮ばね１７を介して上部金具１０が重ねられ最上
部の抵抗板４に電気的に接続されるとともに、上
部金具１０と密封容器１の天板１ａ間に磁器、エ
ポキシン樹脂，FRP等の絶縁支持物１１を縦架
して圧縮ばね１７により抵抗器２を積層方向に圧
縮状態に締付けている。図において、１２は低圧
側端子、１３は高圧側端子、１４は電界緩和シー
ルド、１５は絶縁スペーサ、１６は低圧側のブツ
シングである。

このように構成したため、系統に１線地絡事故
が生じ抵抗器２に数秒間大電流が流れて熱が発生
し抵抗板４が熱膨張しても、圧縮ばね１７で抵抗
器２を圧縮保持状態としてあるので、そのバネ力
により熱応力が吸収でき、抵抗板４の変形が防止
できる。また、抵抗板４間には断熱性を有する絶
縁シート６が介在されているので、抵抗板４の熱
は徐々に絶縁ガス３に伝達され、絶縁ガス３が急
激に温度および圧力を上昇するのを抑制できると
ともに、絶縁シート６も繊維状であるため前述の
抵抗板４の熱による膨張等に対して緩衝効果を有
する。さらに抵抗器２の抵抗板４は平板状の抵抗
素材を打抜いて形成し、絶縁シート６を介在して
積層してあるから、加工性および組立性に優れ
る。

さらに詳述すると、前記抵抗板４はジグザグ形
に限らず渦巻状等形状は任意であり、少なくとも
板状素材を打抜いて形成できればよい。また抵抗
板４の相互は抵抗特性に応じて並列に接続されて
もよい。必要に応じて設けられる前記絶縁シート
６は断熱と緩衝効果をもつガラスウール，アスベ
スト，シリカ・アルミナの混合物等のフアイバ状
のものが用いられる。これらの絶縁材料の断熱作
用は抵抗板４の温度上昇を抑制する効果はほとん
どないが、抵抗板４の熱を外部に伝えにくくする
効果が大きい。たとえば、アルミナ・シリカの混
合物のフアイバ状のものでは、密度を0.2〜0.3
ｇ／cm³とした場合、熱伝導率は0.05〜0.15Kcal／
m.h.cとなり、比熱は0.2程度であるから同体積の
アルミナの固体に比べて熱伝導率は1/200，また
熱容量は1/15程度となる。前記絶縁板７は電圧階
級に応じて、すなわち抵抗板４間の電圧が高くな
る場合に段間で内絡する可能性があるため使用さ
れる。この絶縁板７は抵抗板４が高温になる場合
マイカ板等の無機材料が用いられ、またそれ程高
温とならない場合ポリイミド，ノーメツクス，ポ
リエステル等の板材やフイルムが用いられる。し
かしこの考案の絶縁板５としては単に電気絶縁効
果をもつものであればよく上述した組合せに限ら
れることはない。さらに絶縁ガス３はSF₆，CO₂，
N₂等のガスが用いられる。

この考案の第２の実施例を第３図に示す。すな
わち、このガス絶縁中性点接地抵抗装置は、抵抗
器２の圧縮保持手段に関し、上部金具１０と下部
金具９を接続する絶縁支持物１１′で挾持したも
のである。また上部金具１０より抵抗器２の上面
に向けてねじ棒１８を垂下し、ねじ棒１８にナツ
ト１９を螺合して圧縮ばね１７′をねじ棒１８に
通し、両端をナツト１９と抵抗器２の上面との間
に圧縮し、ナツト１９を回すことによりばね１
７′の圧縮量を調節する。この実施例の場合、抵
抗器２を絶縁支持物１１′で挾持した状態で密封
容器１に組入れることができるので、第１の実施
例よりもさらに組立作業性がよくなる。なお、こ
の抵抗器２の圧縮保持手段は絶縁支持物１１′を
支柱ガイドとして引張ばねにより抵抗器２を圧縮
してもよい。その他の具体的構成は第１の実施例
と同様である。

以上のように、この考案のガス絶縁中性点接地
抵抗装置は、複数枚の抵抗板を絶縁材を介して積
層しかつばねにより圧縮状態に保持して抵抗器を
構成し、これを絶縁ガスの封入された密封容器に
絶縁配置したため、つぎの効果がある。すなわ
ち、 (1) 絶縁ガスを封入した密封容器内に抵抗器が絶
縁配置されているため、充電部が隠蔽され感電
の危険がなくなり、保護フエンスが不要となる
ため、設置スペースが大幅に縮小できる。

(2) 抵抗器が外気と遮断されるため、雰囲気の悪
いところでも劣化の心配がなくメンテナンスが
不要となる。

(3) 密封容器に全体が一体として構成されるた
め、運搬や据付けが簡素化される。

(4) 抵抗板を絶縁材を介して積層しばねにより圧
縮状態に保持したため、抵抗板の熱膨張による
応力を簡単な構成により吸収でき抵抗体の変形
が防止できる。

(5) 抵抗板が平板で形成されるため、加工が容易
であり、積層して組立てるため組立てが簡単で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１の実施例の抵抗器の積
層状態を示す部分斜視図、第２図は全体の断面
図、第３図は第２の実施例の断面図である。 １……密封容器、２……抵抗器、３……絶縁ガ
ス、４……抵抗板、５……絶縁材、６……絶縁シ
ート、７……絶縁板、１６……圧縮ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 大地電位の密封容器と、この密封容器内にその
   密封容器と絶縁間隔をおいて配設されて複数枚の
   平板状抵抗板を絶縁材を介在して積層するととも
   にばねにより圧縮状態に保持された抵抗器と、前
   記密封容器に封入された絶縁ガスとを備えたガス
   絶縁中性点接地抵抗装置。