JPS6349048B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は例えば船外機に用いられる水冷式４サ
イクル内燃機関に関する。

船外機に用いられる４サイクル内燃機関には、
ウオータポンプで汲み上げた機外の湖水や海水等
をシリンダブロツクやシリンダヘツドのウオータ
ジヤケツト内に冷却水として送り込み、内燃機関
内の各部を水冷するようにしている。このような
水冷式内燃機関は、通常ウオータジヤケツトの流
出端にサーモスタツト収容室を連続して設け、こ
の収容室内に冷却水温を最適温度に保つためのサ
ーモスタツトを配置してある。このサーモスタツ
トは、始動時等において冷却水温が一定温度以下
である場合に弁孔を閉じて冷却水の流出を阻止す
るとともに、運転開始後において冷却水温が一定
温度以上に達した場合に弁孔を開いて冷却水を流
出させ、冷却水温の自動調整をなすものであるこ
とは知られている。そしてこの場合、シリンダヘ
ツド等を冷却して高温となつた冷却水は、軽くな
つてウオータジヤケツトの上部に集まるので、冷
却水温を適確に制御するためには、上記サーモス
タツトをウオータジヤケツトの最上部に配置する
ことが望ましい。

ところで、上記サーモスタツト収容室の開口端
はシリンダブロツクもしくはシリンダヘツドの外
面に開口されているものであり、ここには弁孔を
形成する弁座が設けられるとともに、サーモスタ
ツトを覆うサーモスタツトカバーが被冠されてい
る。このサーモスタツトカバーはサーモスタツト
を覆うばかりでなく、内部に上記弁孔によつてサ
ーモスタツト収容室とは区画された流出室を備え
ているので、シリンダブロツクやシリンダヘツド
の外面よりも大きく突出する。したがつて、内燃
機関のコンパクト化が妨げられ、設置場所に比較
的広いスペースを必要とすることになり、特に船
外機のように内燃機関をカウリング内の限られた
空間内に収容する場合には好ましくないものとな
る。

本発明はこのような事情にもとづいてなされた
もので、その目的とするところは、冷却水温の温
度制御を適確に行なえるのはもちろん、サーモス
タツトを内燃機関のデツドスペースを利用して有
効に配置でき、内燃機関全体のコンパクト化を図
る上で好都合となる船外機の水冷式４サイクル内
燃機関を提供しようとするものである。

すなわち、本発明は上記目的を達成するため、
サーモスタツト収容室を、ウオータジヤケツトの
最上部に連なる箇所に設けるとともに、カムシヤ
フトとクランク軸との間に張設されたタイミング
ベルト等の巻掛伝動体の張り側と弛み側との間に
配置したことを特徴とするものである。

以下本発明の一実施例を、船外機に適用した図
面にもとづいて説明する。

第１図は船外機を示し、１はロアケーシング、
２はアツパケーシング、３はカウリングである。
カウリング３内には水冷式４サイクル２気筒エン
ジン４が収容されており、このエンジン４はアツ
パケーシング２の上端開口部に取着したエキゾー
ストガイド５上にリジツドマウントされている。
このエンジン４はシリンダブロツク６内に１対の
シリンダ７，７を上下に並置してなり、各シリン
ダ７，７はそのシリンダ軸が前後方向に沿うよう
にして水平に設けてある。各シリンダ７，７の内
面にはスリーブ８，８が取着されており、これら
スリーブ８，８内にはピストン９，９が収容され
ている。そしてシリンダブロツク６の前端面には
クランクケース１０が取着されている。クランク
ケース１０内にはクランク軸１１が上下方向に沿
つて縦置きに配置されており、このクランク軸１
１はコネクテイングロツド１２，１２を介してピ
ストン９，９に連結されているとともに、その上
下端部がシリンダブロツク６とクランクケース１
０との衝合面に軸受１３を介して回転自在に軸支
されている。また、このクランク軸１１の上下端
部は外方に導出されており、この上端導出部には
半月キー１４を介して駆動ギヤ１５が固定されて
いるとともに、下端導出部には上記ケーシング
１，２内を上下方向に沿つて挿通されたドライブ
シヤフト１６の上端部がスプライン係合されてい
る。なお、このドライブシヤフト１６はプロペラ
シヤフト１７を介してプロペラ１８を回転駆動さ
せるようになつている。

一方、シリンダブロツク６の後端面にはシリン
ダヘツド１９が取着されており、このシリンダヘ
ツド１９は各シリンダ７，７に連なる燃焼室２
０，２０を有している。各燃焼室２０，２０には
吸気ポートおよび排気ポート（図示せず）が開設
されており、これら吸排気ポートは夫々図示しな
い吸気バルブおよび排気バルブによつて開閉され
るようになつている。そしてシリンダヘツド１９
の後端部にはヘツドカバー２１が被着されてお
り、これらシリンダヘツド１９とヘツドカバー２
１との間にはカムシヤフト収容室２２が形成され
ている。カムシヤフト収容室２２内には、上記吸
排気バルブを開閉駆動させるための１本のカムシ
ヤフト２３が上下方向に沿つて縦置きに配置され
ている。このカムシヤフト２３は上端部がシリン
ダヘツド１９上部に軸受２４を介して回転自在に
軸支されているとともに、下端部がシリンダヘツ
ド１９の下部に一体的に組み込んだオイルポンプ
２５のハウジング２６に回転自在に軸支されてい
る。そしてカムシヤフト２３の上端部は外方に導
出されており、この上端導出部には半月キー２７
を介して従動ギヤ２８が固定されている。この従
動ギヤ２８と上記駆動ギヤ１５との間には無端状
をなした歯つきベルト２９が掛け渡されており、
したがつてカムシヤフト２３は、クランク軸１１
によつて回転駆動されるようになつている。

また、上記エキゾーストガイド５の下面には潤
滑オイルを収容するオイルパン３０が吊支固定さ
れており、このオイルパン３０はアツパケーシン
グ２内の上部に収容されている。アツパケーシン
グ２内の下部にはドライブシヤフト１６によつて
駆動されるウオータポンプ３１が装着されてお
り、このポンプ３１の吸入口はロアケーシング１
の側面に開口されたウオータインレツト３２…に
連通されている。そしてウオータポンプ３１の吐
出口にはウオータチユーブ３３が接続されてお
り、このウオータチユーブ３３はアツパケーシン
グ２内を上方に向つて挿通されて、上記オイルパ
ン３０内に一体的に設けた冷却水通路３４に連通
されている。

なお、アツパケーシング２内の上部後方には内
壁３５によつて貯水室３６が区画形成されてお
り、上記アツパケーシング２にはこの貯水室３６
内の底部と機外とを連通させる排水孔３７が開設
されている。

しかして、上記シリンダブロツク６内にはウオ
ータジヤケツト３８が形成されている。このウオ
ータジヤケツト３８はシリンダ７，７の周囲なら
びにシリンダブロツク６内に設けた排気通路３９
の周囲を取り巻いており、一端がシリンダヘツド
１９との衝合面に開口されているとともに、排気
通路３９を取り巻いた部分において上記冷却水通
路３４と連通されている。そしてこの排気通路３
９を取り巻いた部分には、図示しないバイパス管
が接続されており、このバイパス管はアツパケー
シング２内の貯水室３６に導びかれている。ま
た、上記シリンダヘツド１９内にもウオータジヤ
ケツト４０が形成されており、このウオータジヤ
ケツト４０は燃焼室２０，２０の周囲を取り巻く
とともに、一端がシリンダブロツク６との衝合面
に開口されている。そしてシリンダブロツク６の
ウオータジヤケツト３８の開口とシリンダヘツド
１９のウオータジヤケツト４０の開口とは、これ
らシリンダブロツク６とシリンダヘツド１９との
衝合面にて対向合致されて連通され、これら両ウ
オータジヤケツト３８，４０内をシリンダブロツ
ク６側からヘツド１９側に向つて冷却水が流通す
るようになつている。

ところで、シリンダブロツク６のシリンダヘツ
ド側の上面にはサーモスタツト収容部４１が突設
されている。このサーモスタツト収容部４１内は
中空状に形成されてサーモスタツト収容室として
の流入室４２をなしており、この流入室４２は、
一端がウオータジヤケツト３８の最上部壁面に開
口されてここと連通されている。そして流入室４
２の他端開口つまりサーモスタツト収容部４１の
上端開口部には、サーモスタツトカバー４３が被
冠されており、このサーモスタツトカバー４３内
は流出室４４を構成している。また流入室４２の
他端開口内周面は弁孔４５をなしており、この弁
孔４５にはサーモスタツト４６が取り付けられて
いる。サーモスタツト４６は詳図しないが、冷却
水温度が所定値以上になると弁孔４５を開き、流
入室４２内に充満されている冷却水を矢印で示す
如く流出室４４に向けて流出させるようになつて
いる。そしてこのサーモスタツト収容部４１およ
びサーモスタツトカバー４４は、第２図および第
６図に示されるように上記駆動ギヤ１５と従動ギ
ヤ２８との間、すなわち歯つきベルト２９の張り
側とゆるみ側との間に配置されている。

なお、上記サーモスタツトカバー４３の流出室
４４にはホース４７が接続されており、このホー
ス４７は上記貯水室３６に導びかれている。

しかして、エンジン４が始動されると、ウオー
タインレツト３２…から機外の水が冷却水として
吸引される。この冷却水はウオータポンプ３１に
よつて増圧されて、まずシリンダブロツク６のウ
オータジヤケツト３８に圧送され、排気通路３９
やシリンダ７，７等のシリンダブロツク６内各部
を冷却したのち、シリンダヘツド１９のウオータ
ジヤケツト４０に送られる。そしてこの冷却水は
燃焼室２０，２０の周囲を冷却し、これによつて
高温となつた冷却水はウオータジヤケツト３８お
よび４０の上部に集まり、ここから流入室４２に
流入する。

ところで、サーモスタツト４６は、冷却水温度
が所定値を上回つた時に弁孔４５を開くものであ
るため、始動直後等のように冷却水温が未だ低い
場合には弁孔４５を閉塞しており、このため冷却
水の流出は行なわれない。したがつて、エンジン
４の作動温度が短時間に上昇する。なお、この場
合ウオータポンプ３１は連続して駆動されている
ので、ウオータジヤケツト３８，４０内の水圧は
徐々に上昇することになるが、ウオータジヤケツ
ト３８にはバイパス管が接続されているので、ウ
オータジヤケツト３８内へ流れ込んできた冷却水
は、バイパス管を介して貯水室３６に排出され、
よつて水圧が所定値を上回ることはない。

そして、始動後において冷却水温度が所定値を
上回つてサーモスタツト４６が弁孔４５を開く
と、流入室４２内の冷却水が流出室４４内へ流れ
込み、ここからホース４７を介して貯水室３６に
導びかれ、排水孔３７を介して機外へ排出され
る。したがつて、ウオータジヤケツト３８，４０
内の冷却水が入れかわり、冷却水温が一定範囲内
に自動制御される。

しかして、このような構成によると、サーモス
タツト４６はエンジン４内の各部を冷却して高温
となつた冷却水が集まる位置に設けてあるので、
冷却水の温度管理を適確に行え、正確な温度調整
が可能となつてエンジン４の作動温度を最適温度
に維持することができる。加えて、サーモスタツ
ト４６はウオータジヤケツト３８，４０の最上部
に設けてあるので、このサーモスタツト４６が開
動作した場合にはウオータジヤケツト３８，４０
内の冷却水は完全に入れ替る。すなわち、サーモ
スタツト４６をウオータジヤケツト３８，４０の
最上部よりも低い位置に設けると、このサーモス
タツト４６よりも高い箇所の冷却水が流出しなく
なり、温度調整が不正確となるものであるが、上
記構成によればこのような不具合はなく、冷却水
温の制御上好都合となる。

また、サーモスタツト４６を収容するサーモス
タツト収容部４１およびサーモスタツトカバー４
３はシリンダブロツク６の上面よりも突出する
が、これら両者は歯つきベルト２９の張り側とゆ
るみ側とに挾まれた位置に設けてある。すなわち
換言すれば、シリンダブロツク６およびヘツド１
９の上面に露出されている駆動ギヤ１５と従動ギ
ヤ２８との間のスペースに納めてあるので、エン
ジン４のデツドスペースを有効に利用することに
なり、上記収容部４１やサーモスタツトカバー４
３がエンジン４の外面から大きく突出せずに済
む。したがつて、エンジン４全体のコンパクト化
を図れ、本実施例のようにエンジン４をカウリン
グ３内に限られた空間内に収容する場合に好都合
となる。

なお、上記実施例では、サーモスタツト収容部
つまり流入室をシリンダブロツクに設けたが、シ
リンダヘツド側に直接設けても良い。

また、駆動部材、従動部材としてギヤを用いて
いるが、プーリーでもよい。

以上詳述した本発明は、サーモスタツト収容室
を、ウオータジヤケツトの最上部に連なる箇所に
設けるとともに、クランク軸の回転力をカムシヤ
フトに伝える巻掛伝動体の張り側とゆるみ側との
間に配置したものである。このものによれば、サ
ーモスタツトはシリンダブロツク等の内燃機関の
各部を冷却して高温となつた冷却水が集まる位置
に設けてあるので、冷却水の温度管理を適確に行
え、内燃機関の作動温度を最適温度に維持でき
る。それとともに、サーモスタツトが開動作した
場合には、冷却水はウオータジヤケツト内に残る
ことなく完全に入れ替り、冷却水温の温度管理を
容易に行なえる利点がある。しかも、サーモスタ
ツト収容室はシリンダヘツドやクランクケースの
外方に設けられている駆動部材と従動部材との間
に挾まれたスペースに配置されているので、デツ
ドスペースを有効に利用でき、この収容室が大き
く突出することはなく、したがつて、内燃機関の
外面に凸部が少なくなり、全体のコンパクト化を
図る上で有利となる等の優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は船外
機の側面図、第２図は内燃機関の断面図、第３図
はアツパケーシング部分の断面図、第４図はシリ
ンダブロツクの正面図、第５図はシリンダヘツド
の正面図、第６図は第２図中−線に沿う矢視
図である。 ６……シリンダブロツク、１０……クランクケ
ース、１１……クランク軸、１５……駆動部材
（駆動ギヤ）、１９……シリンダヘツド、２３……
カムシヤフト、２８……従動部材（従動ギヤ）、
２９……巻掛伝導体（歯つきベルト）、３８，４
０……ウオータジヤケツト、４１……サーモスタ
ツト収容室（収容部）、４６……サーモスタツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダブロツクおよびシリンダヘツド内に
   冷却水が流通されるウオータジヤケツトを設ける
   とともに、クランク軸およびカムシヤフトの一端
   をクランクケースおよびシリンダヘツドから突出
   させ、この突出端部に駆動部材および従動部材を
   夫々設けるとともに、これら駆動部材および従動
   部材間にカムシヤフト駆動用の無端状をなした巻
   掛伝動体を張設してなる水冷式４サイクル内燃機
   関において、上記ウオータジヤケツトの最上部に
   連なる箇所にサーモスタツトを収容するサーモス
   タツト収容室を設け、このサーモスタツト収容室
   は上記巻掛伝動体の張り側と弛み側との間に位置
   して設けたことを特徴とする船外機の水冷式４サ
   イクル内燃機関。