JPS634876B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はコークス乾式冷却設備の余剰ガスを効
果的に燃焼させて放散する方法に関する。

コークス乾式冷却設備は、一般に第１図に示す
如く、上部にプリチヤンバー２を有し下部に冷却
室３を形成する冷却塔１内部に赤熱コークスを投
入し、循環フアン４により下部から導入するよう
にした循環ガスによつて前記赤熱コークスを冷却
し、更に該冷却によつて昇温された循環ガスを冷
却室３上端から導出して、除塵器５を介しボイラ
６に導き熱回収を行わしめた後、サイクロン７を
介して前記循環フアン４に導くようにした循環ガ
ス流路を構成している。こうしたコークス乾式冷
却設備には、循環ガスの成分調整のために供給さ
れた空気又はN₂ガスによつて生じる余剰のガス
を放出してプリチヤンバー２の圧力を調整する如
く冷却塔１への循環ガスの入側管路８に接続した
下部放散管９と、常時は赤熱コークスの投入に付
随して搬入される可燃成分をもつガスがプリチヤ
ンバー２内に蓄積して危険ガスとなるのを防止す
るためにプリチヤンバー２内ガスを放出させて前
記循環ガス（成分調整されている）をプリチヤン
バー２内に導入させるようにした上部放散管１０
が備えられている。図中１１，１２はブリーダー
弁、１３は炉蓋を示す。

しかし、従来方式においては、前記下部放散管
９及び上部放散管１０に夫々独自の燃焼装置Ａ，
Ｂを設け、別々に燃焼させることにより放散ガス
の無害化、無煙化を図るようにしているため、次
のような問題点を有していた。

(a) 上部放散ガスは、コークス炉ガスに近い成分
をもつ高カロリーのガスであり、約1000℃にて
放出される。このため上部放散ガスを燃焼する
と約2000℃を超える高温となる。従つて燃焼装
置Ｂは高熱負荷を受けることになるので、耐火
度の高い耐火物が要求されると共に、十分なる
厚みが要求され、高価な耐火物が多量に必要と
なる。また逆に、空燃比を大きくする等によ
り、燃焼方法を工夫して熱負荷を小さくする
と、多量の燃焼用空気が必要となり、燃焼装置
自体が大型となる。

(b) 下部放散ガスは、上部放散ガスとは反対に低
カロリーであり、また低温（約180℃）であり、
更に上部放散ガスに比し多量に放出される。こ
の下部放散ガスは多量のコークス粉を含むの
で、放出粉塵を減少し、無煙化する必要がある
が、そのためには燃焼温度を高くしなければな
らない。その方法として、下部放散ガスを高カ
ロリー化するため高カロリーガスを混入した
り、又は放散ガスを助燃装置Ｃにより予熱す
る、等の方法が採られるが、このため大量の高
カロリーガス（例えばコークス炉ガス）或いは
多量の助燃用燃料ガス等が必要となり、多大の
エネルギーを消費することになる。

又、近年、下部放散ガスを、ガス回収装置によ
り大気放散せずに回収させるようにした方式が考
えられている。

下部放散ガスをガス回収装置に依り回収する場
合、余剰ガスは大気放散しないので、下部放散ガ
ス燃焼装置は使用しない。しかし、プラントの立
上り時やプロセスの不安定時にはガス回収装置を
設けていても、下部放散ガス燃焼装置を介して大
気放散せざるを得ない。このため、下部放散ガス
燃焼装置の設置は不可欠であるが、使用頻度が低
いので一種の遊休設備となるという問題を有して
いる。

本発明は、こうした従来方式のもつ問題点を解
決すべくなしたもので、冷却塔上部のプリチヤン
バー内ガスの一部を放出する上部放散管と、冷却
塔への循環ガスの入側管路に接続して循環ガスの
一部を分岐して放出する下部放散管とを混合燃焼
装置に接続して上部放散ガスと下部放散ガスを混
合すると共に、空気導口から空気を導入すること
により、高温・高カロリーの上部放散ガスにより
下部放散ガスの無煙化燃焼を行わせることによ
り、装置の簡略化と、省エネルギー化を可能にし
たコークス乾式冷却設備のガス放散方法に係るも
のである。

以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第２図は本発明の方法を適用するコークス乾式
冷却設備の構成を示すもので、図中第１図と同一
符号を付したものは同一のものを示し、又冷却塔
１、除塵器５、ボイラ６、サイクロン７及び循環
フアン４によつて循環ガスを循環させ赤熱コーク
スの乾式冷却設備を構成している点も一般のコー
クス乾式冷却設備と同様である。

上記において、冷却塔１のプリチヤンバー２に
設けた上部放散管１０の上端、及び冷却塔１への
循環ガスの入側管路８に接続した下部放散管９の
上端を接続し、該接続部に混合燃焼装置１４を設
けることにより、下部放散ガス及び上部放散ガス
の双方を混合燃焼装置１４に導くように構成す
る。

第３，４図は混合燃焼装置１４の構成例を示す
もので、第３図は上部放散ガスを上部放散管１０
側に設けた空気導口１５からの空気によつて燃焼
させ、発生した高温の燃焼廃ガスで下部放散ガス
を加熱することにより、混合燃焼装置１４に設け
た空気導口１６からの空気によつて燃焼する場合
を示す。このとき、上部放散ガス燃焼用の空気を
過剰にすれば、下部放散燃焼用の空気を不要にす
ることも出来る。第４図は高温・高カロリーの上
部放散ガスを下部放散ガスに混入し、下部放散ガ
スを昇温し、且つ高カロリー化して混合燃焼装置
１４に設けた空気導口１６からの空気のみによつ
て燃焼する場合を示す。なお、上部放散ガス（又
は上部放散ガスの燃焼廃ガス）の混入方法、燃焼
用空気の取入れ法等は図示例にとらわれることな
く、種々の変更を加え得る。

このように、下部放散ガスと上部放散ガスを、
単一の混合燃焼装置１４に導いて混合することに
より、高温（約1000℃）・高カロリーの上部放散
ガスによつて、低温（約180℃）であり燃焼させ
るためには加熱・カロリーアツプが必要な下部放
散ガスを容易に無煙化燃焼させることが可能とな
る。これにより、設備、構成上において有利とな
るばかりでなく、上部放散ガスのもつ高温・高カ
ロリーを利用して下部放散ガスの無煙化燃焼を行
うために、特別の熱エネルギーを何等必要とせ
ず、省エネルギー上においても実用上非常に有利
なものとなる。

尚、本発明は上記実施例にのみ限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にお
いて種々変更を加え得るものである。

上述した本発明のコークス乾式冷却設備のガス
放散方法によれば、下記の如き優れた効果を奏し
得る。

(i) 下部放散ガスを無煙化して燃焼させるために
は、下部放散ガスの加熱、カロリーアツプが必
要であるが、高温・高カロリーの上部放散ガス
を下部放散ガスに混入させることにより上記目
的を達成して下部放散ガスの無煙化燃焼が可能
となり、従来下部放散ガスの無煙化燃焼のため
に必要としていた多量の高カロリー燃料ガス
（例えばコークス炉ガス）或いは助燃用燃料ガ
スが不要となる。

(ii) 下部放散ガスと上部放散ガスの燃焼が単一の
混合燃焼装置でよくなるため、専有空間が小さ
くなると共に、設備がコンパクトになる。

(iii) 下部放散ガスが回収利用される場合、大気放
散される機会が少ないが、ガス回収が行われて
いる間混合燃焼装置にて上部放散ガスを燃焼す
ることになるので、設備の有効利用が図れる。

(iv) 余剰ガス（下部放散ガス）回収時、上部放散
ガスを大きな空間を有する混合燃焼装置で燃焼
できるので、燃焼昇温による混合燃焼装置への
高い熱負荷の問題を解消できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的なコークス乾式冷却設備と従来
方式の一例を示す説明図、第２図は本発明の一実
施例を示す説明図、第３図及び第４図は混合燃焼
装置の構成例を示す縦断面図である。 １は冷却塔、２はプリチヤンバー、３は冷却
室、４は循環フアン、５は除塵器、６はボイラ、
７はサイクロン、８は入側管路、９は下部放散
管、１０は上部放散管、１４は混合燃焼装置、１
５，１６は空気導口を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 冷却塔上部のプリチヤンバー内ガスの一部を
   放出する上部放散管と、冷却塔への循環ガスの入
   側管路に接続して循環ガスの一部を分岐して放出
   する下部放散管とを混合燃焼装置に接続して上部
   放散ガスと下部放散ガスを混合すると共に、空気
   導口から空気を導入することにより、高温・高カ
   ロリーの上部放散ガスにより下部放散ガスを無煙
   燃焼させて放散することを特徴とするコークス乾
   式冷却設備のガス放散方法。