JPS634206Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、有孔ロールフイルムの自動装填用巻
取スプール、更に詳しくはパーフオレーシヨンに
引掛爪を掛合させ、この引掛爪にて有孔ロールフ
イルムをパトローネから引き出しながら巻き取る
ようにした自動装填用巻取スプールに関する。

周知のように、カメラへのロールフイルムの自
動装填機構は、ゴム等でなる摩擦体とフイルムと
の間のフリクシヨンを利用して、フイルムのリー
ダー部を巻取スプールに装着するタイプのもの
と、フイルムに穿設されたパーフオレーシヨンに
巻取スプールに設けた爪を引掛けて、フイルムの
リーダー部を巻取スプールに装着するタイプのも
のとの２種類に大別される。

上記摩擦体を用いる自動装填機構の場合、摩擦
体を形成するゴム材の耐久性に難があり、機構の
信頼性が低く、実用化は可能であつても長期の使
用に耐え得るものではなかつた。また、フイルム
と摩擦体とのフリクシヨンを高めるために弾性手
段を用いた機構も知られているが、構造が複雑に
なると共に、フイルムに傷が付きやすいという欠
点があつた。

一方、巻取スプールに設けた爪を利用する自動
装填機構の場合には、フイルムが二巻目になると
フイルムの一側縁部が爪の上に載つかつて巻かれ
るので、重ね巻きが平均して行われないという欠
点があつた。このため、フイルムが真円状に巻き
取られないこととなり、フイルムが一方の側縁部
がわだけ引つ張られた状態となつたり、フイルム
の平面精度が悪くなつたり、フイルムに傷が付い
たり、フイルムの巻取が重くなつたりする等の不
具合が生じていた。

また、パーフオレーシヨンに爪を自動的に掛合
させることは難しく、あらかじめパーフオレーシ
ヨンを爪に掛合させておかなければ自動装填が行
なわれないという欠点があつた。そして、パーフ
オレーシヨンを爪に掛合させておいたとしても、
スプールの回転始動時にこの掛合が外れやすく、
動作の確実性に不安があつた。

そこで、本考案者は、これら従来の欠点を解消
するために、フイルムのパーフオレーシヨンに掛
合する引掛爪を有する引掛部材を、巻取筒に穿設
された引掛部材収納部に、上記引掛爪が同部より
突出するように配設し、上記引掛爪がパーフオレ
ーシヨンに自動的に掛合して、巻取筒の回転に基
づくフイルムの引張力により引掛部材が収納部内
に入り込むようにした有孔ロールフイルムの自動
装填用巻取スプールを考えた。

しかし、上記巻取スプールにおいては、フイル
ム巻戻の終了の際に引掛爪とパーフオレーシヨン
との係合が外れにくく、フイルムの巻戻の力によ
つて、引掛爪でパーフオレーシヨンの周囲のフイ
ルムを破らなければ、引掛部材とフイルムとを引
き離すことができないという不具合が生ずるおそ
れがあつた。

本考案の目的は、上述の点に鑑み、フイルムの
巻戻終了前に引掛爪の一部がスプール室前面開口
縁部に当接し、同引掛爪が自己の習性に抗して変
位することにより、引掛爪とパーフオレーシヨン
との掛合が極めて容易に解除されるようにした、
有孔ロールフイルムの自動装填用巻取スプールを
提供するにある。

本考案によれば、フイルムの巻戻操作の終了の
際に引掛爪の一部がスプール室前面開口縁部に衝
き当たり、これによつて同引掛爪がその付勢力に
抗して回動することにより引掛爪が変位してパー
フオレーシヨンとの掛合を解除するので、フイル
ムを破ることなく引掛部材からフイルムを離間さ
せることができ、フイルムを円滑に巻き戻すこと
ができる。

以下、本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。

図は、本考案の一実施列を示す、有孔ロールフ
イルムの自動装填用巻取スプールを示しており、
このスプール１は、カメラ本体７に形成されたス
プール室８内に配設される。このスプール１は、
カメラのフイルム巻上機構（図示されず）に連結
する巻上軸２と、この巻上軸２を内部に挿通し、
同軸２にスリツプ機構（図示されず）を介して連
結された巻取筒３と、この巻取筒３の外周面の下
端部寄りに形成された広幅の周溝でなる引掛部材
収納部３ａと、この引掛部材収納部３ａ内に基端
部を固定された弾性板でなる引掛部材４と、この
引掛部材４の先端部に図示しない付勢手段によつ
て反時計方向（図において）に回動する習性を与
えられて軸支された引掛爪５とで構成されてい
る。

上記巻取筒３は、その外周面の下端部寄りに上
記引掛部材４が格納される広幅の周溝からなる引
掛部材収納部３ａの穿設された円筒体で形成され
ている。そして、この引掛部材収納部３ａ内に基
端部４ａを同収納部３ａに固定された、弾性板か
らなる引掛部材４が配設され、同引掛部材４の先
端部の切欠部４ｂに、揺動爪部材で形成された引
掛爪５が支軸６によつて回動自在に配設されてい
る。

この引掛爪５は、上記切欠部４ｂ内に軸支され
た支軸６にその支点を回動自在に枢着された揺動
部材からなり、裏蓋１１がわに延び出した一端５
ａがフイルム１０のパーフオレーシヨン１０ａと
掛合する引掛部材となつていて、この一端５ａと
反対方向に延び出した他端５ｂはフイルム巻戻終
了直前に、スプール室８の前面開口縁部に当接す
る押圧部となつている。この引掛爪５は支軸６に
巻装された図示されない捻りばね等によつて支軸
６の周りに反時計方向に回動する習性が与えられ
ていて、この習性による回動は平生は一端５ａの
自由端部が切欠部４ｂの側縁に当接することによ
り阻止され、これによつて一端５ａの引掛爪部が
パーフオレーシヨン１０ａと掛合し得る引掛位置
に静止するようになつている。

なお、図中符号９はフイルム押え用圧板を示し
ている。

このように構成された巻取スプール１において
は、フイルム１０の巻戻し終了間際となり、引掛
部材４の先端部が収納部３ａから延び出すと、引
掛部材４の長さはその先端部がスプール室８の前
面開口縁部に達する程度の長さに選定されている
ので、図示のように押圧部を形成する他端５ｂが
スプール室８の前面開口縁部に衝合し、この衝合
によつて他端５ｂに加えられる力が、引掛爪部の
一端５ａに加えられるフイルム１０の引張力と相
俟つて、引掛爪５を点線で示す状態から実線で示
す状態まで、自己の習性に抗して支軸６の周りに
時計方向に揺動させる。よつてパーフオレーシヨ
ン１０ａは引掛爪５から即座に外れる。従つて、
巻戻時に引掛爪５にフイルム１０の引張力のみが
加えられて引掛爪とパーフオレーシヨンとの係合
を外すようにした場合に較べて、非常に外れやす
く、フイルム１０の巻戻しをより円滑に行なうこ
とができるようになる。

以上述べたように、本考案によれば、フイルム
の巻戻操作に基づくフイルムの巻戻終了直前にな
つたときには、引掛爪のスプール室前面開口縁部
への当接により引掛爪が変位し、パーフオレーシ
ヨンとの掛合を容易に外すので、使用上甚だ実用
的な有孔ロールフイルムの自動装填用巻取スプー
ルを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

図は、本考案の一実施例を示す、有孔ロールフ
イルムの自動装填用巻取スプールの断面図であ
る。 １……自動装填用巻取スプール、３……巻取
筒、３ａ……引掛部材収納部、４……引掛部材、
５……引掛爪、５ａ……一端、５ｂ……他端、１
０……有孔ロールフイルム、１０ａ……パーフオ
レーシヨン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 少なくとも一側縁にパーフオレーシヨンが列設
   された有孔ロールフイルムの、上記パーフオレー
   シヨンに掛合する引掛爪を有する引掛部材を、巻
   収筒の外周面部に穿設された引掛部材収納部に、
   上記引掛爪が同収納部より突出するように弱い力
   で偏倚させて配設した有孔ロールフイルムの自動
   装填用巻取スプールにおいて、 上記引掛爪を引掛部材の先端に回動可能にして
   同爪の一端がパーフオレーシヨンと掛合し得る引
   掛位置に付勢して支持し、この引掛爪の他端を上
   記一端に対して反対方向に突出させ、フイルム巻
   戻終了前に上記引掛爪の他端がスプール室前面開
   口縁部に当接することにより該引掛爪を上記付勢
   力に抗して回動させ、上記一端とフイルムパーフ
   オレーシヨンとの掛合を解除するようにしたこと
   を特徴とする有孔ロールフイルムの自動装填用巻
   取スプール。