JPS6341776B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、リザーバに蓄えられた圧力流体をブ
レーキペダルの操作量に応じた圧力に調圧して吐
出するブレーキ弁と、該ブレーキ弁の吐出圧力に
応じた圧力の圧力流体をリザーバから後輪のブレ
ーキアクチユエータに供給可能とする中継弁と、
トレーラ連結時前記リザーバの圧力流体を該トレ
ーラのリザーバに供給するエマジエンシラインと
を備え、前記中継弁が、一端面側に前記ブレーキ
弁の吐出圧力の受圧面を他端面側に前記後輪のブ
レーキアクチユエータに供給される圧力の受圧面
を各々形成した中継ピストンと、該中継ピストン
の移動に応じて操作され前記リザーバから前記後
輪のブレーキアクチユエータの圧力流体を給排す
る給排弁とを有するトラクタ用エアブレーキ装置
に関する。

ところで、トラクタは、単独で走行する場合に
は、トレーラを連結した場合に比して、その後輪
に加わる荷重が著しく小さくなり、前後輪のブレ
ーキアクチユエータに同圧のブレーキ圧力を与え
ると、後輪と過大なブレーキが作用し、後輪がロ
ツクするという危険性がある。

そのため、従来より、上記ブレーキ装置におい
て、後輪のブレーキアクチユエータに供給される
ブレーキ圧力を後輪に加わる荷重に応じて制御す
る応荷重弁を後輪のブレーキ系統に設け、後輪の
ロツクを防止するようにしている。

しかし、この種の応荷重弁は、後輪に加わる荷
重変化により生じる後輪軸と車体との変位を荷重
検出アームによつて検出して、後輪のブレーキア
クチユエータに供給する圧力流体の圧力を制御す
るため、その取付場所が後輪軸附近に限定され、
ブレーキ配管が複雑になると共に、後輪に加わる
荷重を正確に検出するための荷重検出アームの長
さ調整を装着車毎に行なう必要があり、取付作業
が煩雑であつた。

こうした問題から、特開昭51−33424号公報に
示されるように、前記応荷重弁を設けることに代
え、前記中継弁に、中継ピストンの一端面と対向
する受圧面にブレーキ弁の吐出圧力を受け反対側
の受圧面にエマジエンシラインからの圧力を受け
て移動可能な補助ピストンを、中継ピストンの一
端面側と係合可能に、中継ピストンに対してその
軸方向に整列させて設けることが提案されてい
る。こうしたものによれば、エマジエンシライン
の圧力が零となるトラクタ単独時、補助ピストン
がブレーキ弁の吐出圧力により中継ピストンと相
反する方向に移動され、中継ピストンとの係合に
よつて中継ピストンに作用するブレーキ弁の吐出
圧力に応じた作用力が減じられるので、調節に手
間のかかる応荷重弁を用いることなく、後輪のブ
レーキアクチユエータに供給される圧力をブレー
キ弁の吐出圧力に比して低く制御することが可能
になる。しかしながら、ブレーキ弁から吐出され
る圧力流体は、リザーバに蓄えられる圧力流体を
ブレーキペダルの操作に応じて低い圧力に調圧し
た圧力流体であつて、その結果として吐出流量も
少なく制限されることから、こうしたブレーキ弁
からの圧力流体によつて補助ピストンを移動させ
るようにしたのでは、そのためにブレーキ弁から
吐出される圧力流体が浪費されて、その分、中継
ピストンの移動による給排弁の操作に遅れが生じ
てしまい、後輪のブレーキアクチユエータへの圧
力供給が遅れ、後輪ブレーキの応答性が悪くなる
という問題がある。

本発明は、上記問題に鑑み成されたものであつ
て、ブレーキ弁から吐出される圧力流体が中継弁
で浪費されることを防止して、後輪のブレーキア
クチユエータに供給される圧力をブレーキ弁の吐
出圧力に比して低く制御可能なトラクタ用エアブ
レーキ装置を提供することを目的とする。

本発明は、上記目的を達成するために、前記中
継弁に、一端面側に前記エマジエンシラインから
の圧力の受圧面を他端面側に前記後輪のブレーキ
アクチユエータに供給される圧力の受圧面を各々
形成され、前記中継ピストンの外周面に摺動自在
に嵌合し当該中継ピストンの前記他端面側に係合
可能な環状の制御ピストンを設けて成るものであ
る。

こうすることにより、エマジエンシラインの圧
力が零となるトラクタ単独時には、ブレーキ弁の
吐出圧力に応じた中継ピストンの移動によつて給
排弁が操作され、リザーバから後輪のブレーキア
クチユエータへ圧力流体が供給され始めると、制
御ピストンが、その供給される圧力流体の圧力を
受けて移動され、中継ピストンの他端面側と係合
する。

すなわち、制御ピストンの移動のために、調圧
により吐出流量を制限されたブレーキ弁からの圧
力流体ではなく、ブレーキ弁からの圧力流体に比
して高圧で流量を制限されることなくリザーバか
ら中継弁に直接供給される圧力流体の一部が使用
されて、制御ピストンの中継ピストン他端面側へ
の係合により、中継ピストンの一端面側の受圧面
積に対して他端面側の受圧面積が実質的に増加さ
れる。

このようにして、本発明によれば、トラクタ単
独時に、後輪のブレーキアクチユエータに供給さ
れる圧力をブレーキ弁の吐出圧力に比して低く制
御して、後輪のロツクを防止することができるの
みならず、調圧により吐出流量を制限されるブレ
ーキ弁からの圧力流体が浪費されることを防止し
て、後輪ブレーキの応答性が悪くなることも防止
することができる。

以下、本発明の具体的実施例について図面に従
つて詳しく説明する。

図において、１はブレーキ弁であつて、運転者
により操作されるブレーキペダル２を有し、イン
レツトポート３及び４は配管５及び６を介して、
常に所定圧力の圧力流体が、蓄えられているリザ
ーバ７及び８に接続している。

ブレーキ弁１のアウトレツトポート９は、配管
１０、急弛め弁１１、配管１２，１３を介して、
トラクタの前輪のブレーキチヤンバ１４及び１５
に接続しており、また、アウトレツトポート１６
は、配管１７を介して本発明に係る中継弁１８の
パイロツトポート１９に接続すると共に、配管２
０を介してトレーラにブレーキ弁１のブレーキ圧
力を伝達するため、公知の構造の中継弁２１のパ
イロツトポート２２に接続している。

中継弁１８のインレツトポート２３は配管２４
を介してリザーバ８に接続しており、そのデリベ
リポート２５は配管２６を介して後輪のブレーキ
アクチユエータ２７及び２８に接続している。

中継弁２１のインレツトポート２９は配管３０
を介してリザーバ８に接続すると共に、そのデリ
ベリポート３１は、サービスラインを構成する配
管３２、カプラ３３を介してトレーラのサービス
ライン３４に接続している。３５は締切コツクで
ある。

３７はシンクロ弁３６を操作する操作弁であ
り、３８は締切コツクである。そして、シンクロ
弁３６が操作弁３７により連通位置に操作され、
締切コツク３８が開いているとき、リザーバ８の
圧力流体は、配管３０、シンクロ弁３６、締切コ
ツク３８、エマジエンシライン３９、カプラ４０
及びトレーラのエマジエンシライン４１を通して
トレーラのリザーバ（図示していない）に供給さ
れる。４２はエマジエンシライン３９を中継弁１
８のコントロールポート４３に接続する配管であ
る。次に、中継弁１８について更に詳しく説明す
る。５０は中継弁１８の上部本体であり、５１は
その下部本体であつて、両本体５０及び５１はポ
ルト等（図示していない）により一体に結合され
ている。

５２は中継ピストンであつて、上部本体５０に
設けられた小径シリンダ孔５３内に摺動可能に嵌
入され、その上側にパイロツトポート１９に連通
するパイロツト室５４を区画すると共にその下側
にデリベリポート２５に連通するデリベリ室５５
を区画している。５６は環状の制御ピストンであ
つて、上部本体５０内に設けられた大径シリンダ
部５７と中継ピストン５２外周とに摺動自在にに
嵌合し、その上側にコントロールポート４３に連
通するコントロール室５８を区画すると共に、下
端内周に中継ピストン５２と係合する突起部７０
を有している。

５９は中継ピストン戻しばねであり、６０は制
御ピストン付勢ばねである。

６１は下部本体５１内に設けられた給排弁であ
つて、内部に排出孔６２を有し、給排弁６１と中
継ピストン５２の下端に取付けられた弁部材６３
とによつて、デリベリ室５５を排出孔６２を介し
て大気に接続する排出弁を構成し、また、給排弁
６１と下部本体５１に設けられた弁座６４とによ
つて、インレツトポート２３に供給される圧力流
体をデリベリ室５５に供給するための供給弁を構
成している。６５は弁ばねである。６６はゴム材
質のダストカバーであり、６７，６８，６９，７
０，７１，７２はシールリングである。

次に本実施例の作用について説明する。

トレーラが連結され、締切コツク３５，３８、
及びシンクロ弁３６が連通位置にある状態で、運
転者がブレーキペダル２を操作すると、そのペダ
ル２の操作量に応じた圧力の圧力流体がブレーキ
弁１のアウトレツトポート９及び１６より、配管
１０、配管１７，２０に送出される。

配管１０に送出された圧力流体は急弛め弁１
１、配管１２及び１３を経てブレーキチヤンバ１
４及び１５に供給され、ブレーキチヤンバ１４及
び１５が作動してトラクタの前輪にブレーキが作
用する。それと同時に配管１７に送出された圧力
流体は、中継弁１８のパイロツトポート１９を経
てパイロツト室５４に供給される。また、配管２
０に送出された圧力流体は中継弁２１のパイロツ
トポート２２に供給され、その流体圧力すなわち
ブレーキ弁１からのブレーキ圧力に実質的に等し
い圧力の圧力流体をそのデリベリポート３１より
トレーラのサービスライン３４に供給する。中継
弁１８のパイロツトポート１９よりパイロツト室
５４に圧力流体が供給されると、中継ピストン５
２はその上面に作用する圧力により、ばね５９の
ばね力に抗して下方に動き、弁部材６３が排出孔
６２を閉じると共に給排弁６１を下方に押し下げ
て供給弁を開く、すると、リザーバ８の圧力流体
は配管２４、インレツトポート２３、供給弁を通
つてデリベリ室５５に供給され、更にデリベリポ
ート２５、配管２６を経てブレーキアクチユエー
タ２７及び２８に供給され、ブレーキアクチユエ
ータ２７及び２８が作動して、トラクタの後輪に
ブレーキが作用する。

そして、デリベリ室５５の圧力が上昇し、その
圧力が、パイロツト室５４の圧力に等しくなる
と、中断ピストン５２はばね５９により上方に移
動し、供給弁が閉じデリベリ室５５の圧力上昇は
停止する。この時、デリベリ室５５の圧力は制御
ピストン５６の下面にも作用するが、コントロー
ル室５８には、リザーバ８の圧力流体が配管３
０、シンクロ弁３６、締切コツク３８、配管４
２、コントロールポート４３を通つて供給されて
いるので、制御ピストン５６は上方に動くことは
なく、よつて、中継ピストン５２と係合すること
はない。従つて、後輪のブレーキアクチユエータ
２７及び２８に供給される圧力流体の圧力は、ブ
レーキ弁１からパイロツト室５４に供給される圧
力流体の圧力すなわちブレーキ圧力に実質的に等
しい。

ブレーキを弛めるため、ブレーキペダル２の操
作を解除すると、配管１０の圧力流体がブレーキ
弁１より排出されるので、ブレーキチヤンバ１４
及び１５の圧力流体は急弛め弁１１より排出さ
れ、前輪のブレーキが弛む。それと同時に、中継
弁１８のパイロツト室５４の圧力流体がブレーキ
弁１より排出されるので、中継ピストン５２が上
方に移動し、排出弁が開いて、ブレーキアクチユ
エータ２７及び２８の圧力流体が排出孔６２より
排出され後輪のブレーキが弛む。

また、トレーラのサービスライン３４の圧力流
体は中継弁２１より排出される。

次に、トラクタのサービスライン３２が締切コ
ツク３５により、エマジエンシライン３９がシン
クロ弁３６又は切換コツク３８により締切られ、
トラクタが単独で走行する場合のブレーキ作用に
ついて説明する。

運転者がブレーキペダル２を操作すると、ブレ
ーキ弁１のアウトレツトポート９及び１６よりペ
ダル２の操作量に応じた圧力の圧力流体が送出さ
れ、配管１０、急弛め弁１１を経てブレーキチヤ
ンバ１４及び１５に圧力流体が供給されると共
に、配管１７を経て中継弁１８のパイロツト室５
４に圧力流体が供給される。すると、中継ピスト
ン５２が下方に移動し、排出弁が閉じ供給弁が開
いて、リザーバ８の圧力流体がデリベリ室５５を
経てブレーキアクチユエータ２７及び２８に供給
される。そして、デリベリ室５５の圧力が上昇す
ると、制御ピストン５６は、シンクロ弁３６又は
切換コツク３８が締切られ、コントロール室５８
に圧力流体が供給されていないため、ばね６０の
ばね力に抗して上方に移動し、突起部７０が中継
ピストン５２の下端に係合して中継ピストン５２
を上方に押圧する。

そのため、中継ピストン５２は、中継ピストン
５２の下面に作用するデリベリ室５５の圧力によ
る押圧力と、制御ピストン５６の下面に作用する
デリベリ室５５の圧力による押圧力からばね６０
のばね力を差引いた力との和により上方に押され
供給弁を閉じる。すなわち、パイロツト室５４の
圧力を受ける受圧面積が中継ピストン５２の断面
積であるのに対し、デリベリ室５５の圧力を受け
る受圧面積は中継ピストン５２の断面積と制御ピ
ストン５６の断面積の和となるので、ブレーキア
クチユエータ２７および２８に供給される圧力流
体の圧力は、ブレーキ弁１からパイロツト室５４
に供給される、ブレーキ圧力に比して、低く制御
される。

なお、ばね６０のばね力を変えることによつ
て、ブレーキアクチユエータ２７及び２８に供給
される圧力流体を低く制御し始める圧力を自由に
設定することができる。

以上説明した実施例においては、中継弁１８
に、上端面をエマジエンシラインからの圧力の受
圧面とし下端面を後輪のブレーキアクチユエータ
２７，２８に供給される圧力の受圧面として、中
継ピストン５２外周に嵌合しその中継ピストン５
２の下端面側に係合可能な環状の制御ピストン５
６を設けたことにより、エマジエンシライン３９
に圧力流体が供給されるトレーラ連結時には、ブ
レーキ弁１の吐出圧力に実質的に等しい圧力の圧
力流体がリザーバ８から後輪のブレーキアクチユ
エータ２７，２８に供給され、エマジエンシライ
ン３９の圧力が零となるトラクタ単独時には、制
御ピストン５６が中継ピストン５２の下端面側に
係合して、中継ピストン５２のデリベリ室５５側
の受圧面積がパイロツト室５４側の受圧面積に比
べて実質的に増加されるため、ブレーキ弁１の吐
出圧力に比して低い圧力に制御された圧力流体が
後輪のブレーキアクチユエータ２７，２８に供給
される。従つて、トラクタ単独時における後輪ロ
ツクを防止することができる。そしてさらに、ト
ラクタ単独時には、中継ピストン５２がブレーキ
弁１の吐出圧力を受けて給排弁６１を操作して、
リザーバ８からブレーキアクチユエータ２７，２
８への圧力流体の供給が始まると、その圧力流体
を受けて制御ピストン５６が中継ピストン５２に
向つて移動される。すなわち、制御ピストン５６
を移動させるために、所定の圧力をもつて蓄えら
れ流量を制限されることなくデリベリ室５５に直
接供給されるリザーバ８からの圧力流体の一部が
使用されて、前述した圧力制御が開始されるの
で、リザーバ８の圧力流体をペダル２の操作に応
じて調圧しそれにより吐出流量を制限されるブレ
ーキ弁１からの圧力流体が浪費されるのを防止し
て、ブレーキアクチユエータ２７，２８への圧力
供給の遅れが生じて、後輪のブレーキの応答性が
悪くなることを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例を示すトラクタ用エアブ
レーキ装置の部分断面図を含む配管図である。 １……ブレーキ弁、２……ブレーキペダル、
７，８……リザーバ、１１……急弛め弁、１４，
１５……ブレーキチヤンバ、１８，２１……中継
弁、２７，２８……ブレーキアクチユエータ、３
９……エマジエンシライン、５２……中継ピスト
ン、５６……制御ピストン、６１……給排弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ リザーバに蓄えられた圧力流体をブレーキペ
   ダルの操作量に応じた圧力に調圧して吐出するブ
   レーキ弁と、該ブレーキ弁の吐出圧力に応じた圧
   力の圧力流体をリザーバから後輪のブレーキアク
   チユエータに供給可能とする中継弁と、トレーラ
   連結時前記リザーバの圧力流体を該トレーラのリ
   ザーバに供給するエマジエンシラインとを備え、
   前記中継弁が、一端面側に前記ブレーキ弁の吐出
   圧力の受圧面を他端面側に前記後輪のブレーキア
   クチユエータに供給される圧力の受圧面を各々形
   成した中継ピストンと、該中継ピストンの移動に
   応じて操作され前記リザーバから前記後輪のブレ
   ーキアクチユエータへの圧力流体を給排する給排
   弁とを有するトラクタ用エアブレーキ装置におい
   て、前記中継弁に、一端面側に前記エマジエンシ
   ラインからの圧力の受圧面を他端面側に前記後輪
   のブレーキアクチユエータに給排される圧力の受
   圧面を各々形成され、前記中継ピストンの外周面
   に摺動自在に嵌合し当該中継ピストンの前記他端
   面側に係合可能な環状の制御ピストンを設けて成
   るトラクタ用エアブレーキ装置。