JPS634167Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の技術分野） 本考案は、低損失光フアイバを用いる光フアイ
バ海底ケーブルに関するものである。

（従来技術とその問題点） ガラスを主材料とした光フアイバの強度要因
は、光フアイバ表面に散在するき裂（グリフイス
フロー）が主なものである。このためこのき裂の
成長を防止するため光フアイバの表面にシリコン
ゴム等の１次被覆が施されている。このような１
次被覆された光フアイバの長手方向に対する強度
は、弱強度から強強度迄不均一に分布しており、
長尺光フアイバには強度的に弱い部分が一定の確
率で存在する。

一方、光フアイバ表面のき裂は、水分によつて
拡大し機械的に弱くなり、さらに光フアイバに応
力が加わつた状態では強度劣化が加速されるが、
海水のように水以外に種々の成分を含んでいるも
のに対する20年以上の長期にわたる機械特性，伝
送特性のデータは未だない。

また、光フアイバは長手方向に不均一な力が加
わり微少な曲げを生じると光損失が増加する問題
がある。これらから、光海底ケーブルには、ケー
ブル中心軸に対し直角方向からの海水の浸入を防
ぐため金属チユーブを用い、かつ高水圧から光フ
アイバを機械的に保護するため耐水圧層が用いら
れる。このような光海底ケーブルにおいても、ケ
ーブル布設中に誤つてケーブル切断を起してケー
ブルを海中に落したり、ケーブル布設後にケーブ
ル切断障害を起すと、ケーブル断面からケーブル
の長手方向に海水が浸入するいわゆる水走りの問
題がある。

ケーブルの長手方向に海水の浸入が生じると、
光フアイバの機械特性と伝送特性の長期信頼性
の問題、光フアイバに対する耐水圧メカニズム
が変わることによる光フアイバの機械特性と伝送
特性の変化の問題、の２つの問題が生じる。

このため、光海底ケーブルは、ケーブル中心軸
に対し直角方向からの海水浸入対策とともにケー
ブル長手方向の海水浸入対策が必要である。

（考案の目的） 本考案は光フアイバ海底ケーブルの長手方向に
対する海水の浸入を防止することができる光フア
イバ海底ケーブルを提供することを目的としてい
る。

（考案の構成及び作用） 光フアイバには、その表面を保護するため厚さ
数μｍ〜数10μｍ程度の１次被覆を施しその外側
に外圧が光フアイバに直接加わらないようにする
ため厚さ200μｍ程度の緩衝層が設けられる。ま
た、光海底ケーブルでは、高水圧から光フアイバ
を保護するため緩衝層の外側に金属材料を用いた
耐水圧層が設けられる。光フアイバの１次被覆に
は、種々のプラスチツク材料の使用が行われてい
るが、その中で熱収縮率の大きな材料を用いるこ
とにより光フアイバ表面と１次被覆間は高度な密
着性を得ることができ、海水の浸入防止が可能で
ある。

一方、緩衝層にはシリコンゴム等のヤング率が
小なるプラスチツク材料を用いるため、ケーブル
断面に高水圧が加わると緩衝層が収縮し、緩衝層
と耐水圧層間に空隙が生じ海水が浸入するおそれ
がある。また、光フアイバ海底ケーブルでは引張
り張力にも耐えうるように耐水圧層の外側にピア
ノ線などをより合わせた複数の抗張力線を配置
し、さらに抗張力線の外側に金属チユーブ等を配
置した構造となつている。従つて、耐水圧層と金
属チユーブとの間にも間隙があり、ケーブルが切
断された場合には同様に海水が浸入して水走りが
生じる。

このため、本考案は耐水圧層の内側及び外側に
生じる間隙に接着剤または油性もしくはゼリー状
材料から成る高粘性物質を充填して、各層間の密
着性を向上させ浸入を防止することを特徴とする
ものである。

以下図面により本考案を詳細に説明する。

（実施例 １） 図１は本考案の第１の実施例であり、耐水圧層
に３分割の金属個片を用い複数本の光フアイバを
収めた光フアイバ海底ケーブルに本考案を適用し
た場合の具体例を示すものである。ここで光フア
イバ１は耐水圧層５で高水圧から保護されてお
り、６は抗張力線、７はケーブル中心軸に直角方
向から海水の浸入を防ぐための金属チユーブを示
し、８は絶縁用ポリエチレン層、９は外部ジヤケ
ツトを示している。図１において、耐水圧層５と
抗張力線６と金属チユーブ７で囲まれる間の空隙
はポリブテン等油性又はゼリー状材料からなる高
粘性物質１０によつて充填されている。これによ
り、耐水圧層５の外側についてケーブル断面から
海水の浸入防止が可能となる。

図２は、図１で用いている耐水圧層より中心側
（以下「フアイバユニツト１５」と称す）の拡大
図で、３分割された耐水圧層５のそれぞれのつき
合わせ面は接着剤１２で接着されている。また、
光フアイバ１の１次被覆と緩衝層３の間、緩衝層
３と耐水圧層５の間はそれぞれ接着剤１１，４が
用いられる。

（実施例 ２） 図３は、本考案の第２の実施例であり、実施例
１と異なる点は、耐水圧層５とフアイバユニツト
１５との間に油性又はゼリー状材料からなる高粘
性物質を充填したことである。

図３は、図１で用いている耐水圧層より中心側
の拡大図で耐水圧層内に複数本の光フアイバより
なるユニツトを収容する場合である。フアイバ１
と緩衝層３および緩衝層３とナイロン又は金属チ
ユーブによるフアイバユニツト１５の２次耐圧層
として働くジヤケツト１３との間に接着剤を用い
ると共にこの光フアイバユニツト１５のジヤケツ
ト１３と耐水圧層５の間の空隙にはオイル又は石
油系ゼリーから成る高粘性物質１０が充填されて
おり、この石油系ゼリー等が外部に漏れぬように
銅，アルミ等による金属チユーブ１４が用いられ
る。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案によれば光フアイバ
海底ケーブルの金属チユーブと耐水圧層との間の
空隙に油性もしくはゼリー状材料からなる高粘性
物質を充填するとともに、耐水圧層とフアイバユ
ニツトとの間の空隙に有機材料の接着剤または高
粘性物質を充填することにより、ケーブル切断時
ケーブル内の長手方向に海水が浸入することを防
止し、長期にわたり高信頼光海底ケーブルの実現
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

図１，図２は本考案の第１の実施例を示す横断
面図、図３は本考案の第２の実施例の一部詳細構
造を示す横断面図である。 １……光フアイバ、２……１次被覆、３……緩
衝層、４，１１，１２……接着剤、５……耐水圧
層、６……抗張力線、７，１４……金属チユー
ブ、８……ポリエチレン層、９……外部ジヤケツ
ト、１０……油性又はゼリー状材料からなる高粘
性物質、１３……ジヤケツト、１５……フアイバ
ユニツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の光フアイバをヤング率の小なる材料から
   成る緩衝層で保護したフアイバユニツトと、該フ
   アイバユニツトを外圧から保護するように配置さ
   れた耐水圧層と、該耐水圧層の外側に配置された
   複数本の抗張力線と、該抗張力線の外周に配置さ
   れた金属チユーブとを有し、該金属チユーブと前
   記耐水圧層との間の間隙に高粘性物質が充填され
   ると共に前記耐水圧層と前記フアイバユニツトと
   の間の間隙が接着剤で接着するかまたは該高粘性
   物質が充填されて前記間隙への海水の浸入が防止
   されるように構成された光フアイバ海底ケーブ
   ル。