JPS6341523Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はロータリピストンエンジンのケーシン
グシール装置に関し、更に詳しくはロータハウジ
ング及びサイドハウジングのいずれかの接合面に
装着されたシール部材が燃焼ガスに対し十分に防
護され、又両ハウジングの接合面間の間隙に喰い
込んで破損することを防止し、かつシール部材を
構成する弾性材が不凍液を含む水及び熱により劣
化することがないようにしたケーシングシール装
置を提供するものである。

通常、この種のロータリピストンエンジンにお
いてはロータハウジング及びサイドハウジングの
熱膨脹による接合面間の相対的なすべりによる摩
耗或いは電解腐蝕によつてその接合面間に間隙が
でき、両ハウジングの接合部を密封するシール部
材ぎこの間隙に喰い込んだり、或いは燃焼ガスに
さらされることによつて破損することがあること
から、このシール部材の外周面すなわち冷却液通
路側にバツクアツプ層を、又内周面すなわち焼却
室側に防護層をそれぞれ設けている。このため、
従来ゴム製のシール主体の外周表面に薄板金属製
又は合成樹脂材製のバツクアツプ層を、内周面に
耐熱材料製防護層を、焼着時の手段によつてそれ
ぞれ接着されたものが提案されているが、この種
の従来のもにおいてはシール主体を構成するゴム
部に割れの発生が見られ耐久性が十分であるとは
言い難い。すなわち、シール部材がロータハウジ
ング及びサイドハウジング間に挟圧される際に、
シール主体の圧縮変形とバツクアツプ層及び防護
層の変形が必らずしも一様とならず、それぞれの
接着部において内部応力が生起し、該内部応力に
よつてシール主体が損壊させられる現象が認めら
れ、この対策として、シール主体とバツクアツプ
層及び防護層とを分離する構造が提案された（実
公昭55−50326号公報）。

しかし、この種シール装置においてはシール主
体が単一ゴム材料で形成されている。現在、不凍
液を含む水及び高温の両条件に十分耐える単一ゴ
ム材料が存在しないため、不凍液を含む水及び高
温の両方にさらされるロータリピストンエンジン
のケーシングにおいて十分に耐えるシール装置と
することができなかつた。

本考案はかかる点に着目してなされたもので、
両ハウジング間の間隙への喰い込み防止が十分な
され、かつシール主体の劣化に対しても対策を施
されたケーシングシール装置を提供するものであ
る。

すなわち、不凍液を含む水と接触するシール主
体の外周側部分を不凍液を含む水に対し耐水性の
良好なゴム材料、例えばシリコンゴムを用い、燃
焼ガスの様な高温雰囲気にさらされるシール主体
の内周側部分を耐熱性の良好なゴム材料、例えば
フツ素ゴムとすることにより改良されたシール装
置とできたものである。

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図及び第２図に示すロータリピストンエン
ジンは、ケーシング１と偏心軸に支承されケーシ
ング１内を遊星回転運動するロータ２とを有し、
ロータ２の回転により吸入口（図示せず）から作
動流体を作動室３内に吸入し、この作動流体を圧
縮、爆発の各行程を経て排気口（図示せず）から
排気として排出するように構成されている。この
ケーシング１は多円弧状の内周を有するロータハ
ウジング４と両側に位置するサイドハウジング５
にて構成されている。このロータハウジング４と
サイドハウジング５とは軸方向において多数の締
付ボルト６にて一体に接合されている。ロータハ
ウジング４は内壁７と外壁８とを同方向に所定の
間隙を保つてリブ９とボルトボス１０にて一体的
に結合して構成され、内部にサイドハウジング５
の冷却液通路１１に連通する冷却液通路１２を有
している。この内壁７の側面すなわちロータハウ
ジング側接合面１３には無端のシール部材２０装
着する環状の溝１５を備えている。

この環状の溝１５に装着されるシール部材２０
は、第３図に示す如く、外周側部分２４を不凍液
を含む水に対し耐久性の良好なシリコンゴムを用
い、内周側部分２５を耐熱性の良好なフツ素ゴム
を用いて製作されたシール主体２１、前記シール
主体２１の内周面に接合されたプロテクタ２２及
びシール主体２１の外周面に接合されたバツクア
ツプリング２３から成つている。

このシール部材２０の製作は、以下の様に製作
される。

このシール部材２０の製作は、相互の接着力が
弱く接合面に沿う方向に圧縮された際に接合が容
易に剥離され得る、例えば弗素樹脂材を用いたプ
ロテクタ２２及びバツクアツプリング２３にシリ
コーン系離型剤を塗布し、予め外周側部分がシリ
コンゴム層、内周側部分がフツ素ゴム層となる様
に一体成形したシール主体２１と共に金型に挿入
して成型する等により、シール主体２１とプロテ
クタ２２及びバツクアツプリング２３との接合が
強固な接着力を保持することなく、接合面に沿う
方向に圧縮された際に容易に剥離されるようにす
る。この様な構成になるシール部材２０は前記し
たハウジングの環状の溝１５に挿入されるまでは
シール主体２１とプロテクタ２２及びバツクアツ
プリング２３との接合状態を保つているが、ロー
タハウジング４及びサイドハウジング５によつて
挟圧された状態においては第４図に示す如くシー
ル主体２１とプロテクタ２２及びバツクアツプリ
ング２３の圧縮変形或いは曲り変形の状況が相異
するために、各接合部の接着は容易に分離せしめ
られシール主体２１、プロテクタ２２及びバツク
アツプリング２３はそれぞれ独立して変形し、従
来例において見られたシール主体２１に対する内
部応力の発生を見ることがなく、各々軸方向両端
面は環状の溝１５の底面及びサイドハウジング５
の接合面に圧接し、シール主体２１の弾性によつ
てロータハウジング４及びサイドハウジング５の
接合部に対するシール性をもたらし、プロテクタ
２２によつてシール主体２１が燃焼ガスに対して
防護され、更にバツクアツプリング２３によつ
て、シール主体２１がロータハウジング４及びサ
イドハウジング５の接合部に生じる間隙に喰い込
むことを防止される。

この考案は以上の説明から明らかなようにシー
ル主体によるシール性を十分に保持し、シール主
体を焼結ガスに対し十分に防護し、又シール主体
が弾性変形に伴なつてロータハウジング及びサイ
ドハウジングの接合部の間隙に喰い込むことを防
止し、かつ、シール主体を不凍液を含む水及び高
温に耐える複合ゴム層としたため、シール部材の
シール性能を長期に渡つて維持することができ
る。

なお、この考案は上記実施例においてプロテク
タ及びバツクアツプリングをそれぞれ弗素樹脂材
で形成したが、これに限定するものではなく、例
えば金属薄板の如く耐熱性を有するものであれば
この考案の効果を充分期待できる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すものである。第
１図はロータリピストンエンジンの水平切断側面
図、第２図はロータハウジングの一部正面図、第
３図は切断されたシール部材の斜視図、第４図は
シール部材の装着状態を示す要部拡大図である。 １……ケーシング、２……ロータ、３……作動
室、４……ロータハウジング、５……サイドハウ
ジング、６……締付ボルト、７……内壁、８……
外壁、９……リブ、１０……ボス、１１，１２…
…冷却液通路、１３……ロータハウジング側接合
面、１５……環状の溝、２０……シール部材、２
１……シール主体、２２……プロテクタ、２３…
…バツクアツプリング、２４……外周側部分、２
５……内周側部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 断面が略四角形状を呈するゴム状弾性材製の
   シール主体、前記シール主体の内周面に接合さ
   れたプロテクタ及び前記シール主体の外周面に
   接合されたバツクアツプリングから成るシール
   部材を、互いに接合されるロータハウジング及
   びサイドハウジングのいずれか一方の接合面に
   設けられた環状溝内に装着されてなるロータリ
   ピストンエンジンのケーシングシール装置にお
   いて、前記シール主体が外周側部分を耐水・耐
   不凍液性に適したゴム状弾性材料とし、内周側
   部分２５を耐熱性に適したゴム状弾性材料とし
   た多層構造であるロータリピストンエンジンの
   ケーシングシール装置。 ２ ロータハウジング４及びサイドハウジング５
   による挟圧力によつて、前記プロテクタ２２及
   びバツクアプリング２３が前記シール主体２１
   との接着を剥離されて、前記シール主体２１か
   ら分離する如くなした実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のロータリピストンエンジンのケー
   シングシール装置。