JPS6341431B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、原子炉における燃料要素の浮上防止
装置に関する。

この装置は、特に、スペーサグリツド方式によ
り互に平行に保持された複数個の被覆燃料要素
と、２枚の平行な板即ち上板及び底板よりなる剛
節構造とを有し、これら上板及び底板間にはタイ
ロツドが燃料要素間の間隙に一様に配設されてい
る型式の通常水（l′eau ordinaire）型原子炉に適
用される。

周知の如く、上述した型式の原子炉において
は、燃料要素がそれに接触して流れる液体冷媒の
循環作用により燃料集合体の重量を超える垂直上
向きの動力学的推力を受ける。

そこで、燃料要素の浮上防止を目的とした種々
の装置が提案されている。例えば、下部グリツド
がグリツド構造体に溶接された長寸スリーブを有
し、該スリーブがベースプレート上に載置されて
おり、スリーブと該スリーブを貫通するタイロツ
ドとに波形を形成して両者を係合することでグリ
ツドの移動を阻止する装置が知られている。

また、「原子力委員会（Commissariat a｀
l′Energie Atomique）」により「核燃料集合体
（Assemblage de combustible nucle′aire）」の
名称で1977年５月13日に提出されたフランス特許
第7714754号は、照射によるグリツド、タイロツ
ド、及び燃料要素のあらゆる変形に適応し得る原
子炉燃料要素用のスペーサグリツド構造を開示し
ており、タイロツド基部を囲む管状セパレータに
より燃料要素の重量を炉の底板上に一様に分配し
ている。しかしながら、この構造は、燃料要素に
接触して流れる液体冷媒の動圧に基づく燃料集合
体の浮上を阻止するものではない。

本発明の目的は、上述した従来構造における欠
点を除去し且つ利点を生かした浮上防止装置、つ
まり、燃料要素に接触して流れる液体冷媒の循環
作用に基づく燃料要素の浮上を阻止し、且つ、燃
料要素の重量を底板上に一様に分配し、かつ燃料
要素が上方に自由に熱膨張できるといつた利点を
生かし得る燃料要素の浮上防止装置を提供する処
にある。

よつて、本発明の目的は、スペーサグリツド方
式により互いに平行に保持された複数個の被覆燃
料要素と、２枚の平行な板、即ち上板及び底板よ
りなる燃料要素とは独立した構造とを有し、これ
ら上板及び底板間にはタイロツドが燃料要素間の
間隙に一様に配設されており、グリツドスリーブ
がタイロツドの少なくとも幾つかを包囲してお
り、タイロツドの周りの下部グリツドのスリーブ
中に嵌装され下端が底板に固設されたケーシング
がその上端部に外側突起を有し、この突起が上記
スリーブの上方移動、ひいては、下部グリツド及
び燃料集合体の上方移動を阻止している燃料要素
の浮上防止装置を提供する処にある。

次に、本発明の好適実施例を添付図面に従い詳
細に説明する。これにより本発明の更なる目的及
び利点が明らかとなろう。

第１図において、参照番号１は、概略的に示さ
れたスペーサグリツドを総括的に表わしており、
垂直軸を有し互いに平行な複数個の被覆燃料要素
２を含んでいる。これら一群の燃料要素は、一連
のタイロツド５により間隔を開けて設けられた２
枚の水平な板、即ち底板３及び上板４の間に取り
付けられており、タイロツド５は燃料要素２の間
に適宜配設され、より詳細には、スペーサグリツ
ドの交差接合部に設けられている。タイロツド５
は、好ましくは24本であり、燃料要素２に近い直
径のものがよい。

タイロツド５の端部はエンドプレート、即ち底
板３及び上板４に固設され剛節構造をなしてい
る。つまり、タイロツド５の一端にはネジ込式の
取付部材６が付されており、これをナツト６ａで
底板３に係止することによりタイロツド５と底板
３が一体に結合される。

タイロツド５に対する燃料要素２の幾何的配置
は、燃料要素の長さ方向に適宜間隔を置いて平行
に設けられたグリツド７により維持される。各グ
リツド７は、良く知られた方法で互いに直交して
一連の方形小室を形成する二種類の金属板８，９
から構成され、各小室には燃料要素２が一本づつ
貫通している。グリツド７は、弾性支持リンクに
よりこれらの燃料要素２と一体に保持される。即
ち、グリツド７の金属板８，９には中央部にスロ
ツト１０が設けてあり、該スロツト１０の上端縁
及び下端縁は波形バンド１１で結合され、このバ
ンド１１は中間部１２が対応する方形小室を貫通
する燃料要素２と弾性接触可能に構成されてい
る。又、金属板８及び９の上部及び下部にはボス
１３があり、燃料要素２は波形バンド１１の中間
部１２によりこのボス１３に押圧される。こうし
た構造のため、グリツド７を燃料要素２の集合体
に対し必要に応じて摺動することも可能な状態で
適切に保持することが可能となる。しかして、グ
リツド７は一群の燃料要素２と一体となり、タイ
ロツド５と燃料要素２との熱膨張係数の差に基づ
き燃料要素２がタイロツド５に対して変位する
と、グリツド７も燃料要素２に追従してタイロツ
ドに対して変位する。

支承部材であるバンド１１とボス１３により燃
料要素２の集合体を保持する各グリツド７は、タ
イロツド５の配設位置に対応する箇所にグリツド
７に溶接されたスリーブ１５を有しており、これ
にタイロツド５が適宜の遊隙を以つて貫装されて
いる。従つて、グリツド７はタイロツド５に沿つ
て移動自在である。こうした構造により、照射に
よるグリツド、タイロツド、及び燃料要素のあら
ゆる変形に適応し得る保持が可能となる。しかし
ながら、かかる集合体は原子炉冷媒液の循環作用
による垂直上向きの動圧を受ける。

本発明に係る浮上防止装置２０は、下部グリツ
ド７ａのかかる上方移動を制限するものである。
第２図は、この浮上防止装置の要部を示してい
る。浮上防止装置２０は、タイロツド５の周りの
下部グリツド７ａのスリーブ１５中に導入された
ケーシング２１からなる。ケーシング２１はその
下端にタイロツド５の取付部材６と底板３の間に
係止される内側突起２３を有し、上端にはスリー
ブ１５の上方移動を適宜な遊隙で阻止する外側突
起２７を有する。このため、下部グリツド７ａの
上方移動の範囲が制限され、各グリツド７に燃料
要素２が多数の弾性リンクで保持されていること
から、燃料集合体の上方移動範囲も又制限され
る。

下部グリツド７ａは、浮上防止ケーシング２７
を囲みこの下部グリツド７ａのスリーブ１５と底
板３の間に介設された一連のスペーサチユーブ２
９上に載置される。このため、一群の燃料要素２
の重量が底板３に直接にかかり、タイロツド５に
余分な荷重を加えることなく底板３上へ均等に分
配され得、しかも、限定された範囲でタイロツド
５に対して移動自在な下部グリツド７ａと一体に
構成された燃料要素２はタイロツド５に対して自
由に熱膨脹することが出来る。

従つて、本発明に係る浮上防止装置は、グリツ
ド７及び燃料要素２からなる集合体の上方移動を
阻止すると共に、燃料要素２の自由膨脹及び燃料
要素の重量の底板３上への一様な分配を可能にす
るという利点を有している。

しかも、浮上防止ケーシング２１の形状から、
下部グリツド７ａに他のグリツドと同一のものを
使用できるため、経済的であるという利点を有し
ている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る浮上防止装置を含む原子
炉燃料要素支持構造の概略図、第２図はこの浮上
防止装置の詳細図である。 尚図面中において、１はスペーサグリツド、２
は燃料要素、３は底板、４は上板、５はタイロツ
ド、６は取付部材、７，７ａはグリツド、８，９
は金属板、１１は波形バンド、１５はスリーブ、
２０は浮上防止装置、２１はケーシング、２３，
２７は突起、２９はスペーサチユーブである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ スペーサグリツド方式により互いに平行に保
   持された複数個の被覆燃料要素と、２枚の平行な
   板、即ち上板及び底板よりなる燃料要素とは独立
   した構造とを有し、該上板及び底板間にはタイロ
   ツドが燃料要素間の間隙に一様に配設されてお
   り、燃料要素はグリツドと弾性接触により一体に
   構成され、グリツドはタイロツドの少なくとも幾
   つかを包囲するスリーブを備え、該グリツドのス
   リーブはタイロツドに沿つて移動自在であり、下
   部グリツドは底板と該下部グリツドのスリーブと
   の間に介設されたスペーサチユーブ上に載置され
   ており、タイロツドの周りの下部グリツドのスリ
   ーブ中には下端が上記底板に固設されたケーシン
   グが嵌装されており、該ケーシングはその上端部
   に外側突起を有し、該突起が上記グリツドのスリ
   ーブの上方移動、ひいては、グリツド及び燃料要
   素の上方移動の上限を画している燃料要素の浮上
   防止装置。 ２ 前記タイロツドの底板に固定された取付部材
   を末端に有し、前記ケーシングがその下端にタイ
   ロツドの該取付部材と底板との間に係止される内
   側突起を有していることを特徴とする前記特許請
   求の範囲第１項に記載の浮上防止装置。