JPS6339038B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、フルフラールを用いて鉱油中の芳香
族成分を抽出するフルフラール抽出装置の防食方
法に関する。 フルフラールは鉱油中の芳香族成分に対して大
きな溶解力をもち、しかも高い選択性があるた
め、例えば潤滑油留分から芳香族成分を抽出除去
する潤滑油の溶剤精製、その他芳香族成分の抽出
除去に広く用いられている。 ところで、フルフラールは、非常に反応性に富
み、特に熱的に不安定で、容易に分解又は重合を
起こす。このフルフラールの分解又は重合は、フ
ルフラールの損失のみでなく、アルデヒドや有機
酸等の生成のため、装置の腐食をもたらしてい
た。 このため従来は、アルカリ物質（例えば炭酸ソ
ーダ水溶液）の注入により、上記酸物質を中和除
去することにより装置の腐食の防止が行われてい
た。 しかしながら、アルカリ物質による中和方法
は、フルフラールを蒸発回収する際析出し、熱交
換器等のチユーブ等を閉塞させるため、蒸発回収
系では使用することができない。 本発明者は、かかる問題を解決すべく鋭意検討
した結果、フルフラールに２，６―ジ―tert―ブ
チル―４―メチルフエノールを添加することによ
り、装置の腐食が著るしく抑制でき、さらにはフ
ルフラールの損失も顕著に防止できることを見い
出した。 本発明はかかる知見に基いてなされたもので、
本発明の目的は、フルフラール抽出装置の優れた
防食方法を提供するとともに、フルフラールの損
失防止方法をも提案するものである。 すなわち、本発明は、フルフラールを用いて鉱
油中の芳香族成分を抽出するフルフラール抽出装
置の防食方法において、前記フルフラールに２，
６―ジ―tert―ブチル―４―メチルフエノールを
添加するもので、特に、該化合物の添加が、抽出
油とフルフラールの混合物に対し少なくとも
1ppmであるフルフラール抽出装置の防食方法で
ある。 以下に本発明について詳細に述べる。 本発明は、フルフラールを用いて鉱油中の芳香
族成分を抽出するフルフラール抽出装置、特には
原油の減圧蒸留留分或いは減圧蒸留残渣の脱れき
油から芳香族成分を除去し、安定性に優れた潤滑
油基油の製造に用いられているフルフラール抽出
装置に好適である。 この２，６―ジ―tert―ブチル―４―メチルフ
エノールは、フルフラールに添加すれば何処に添
加しても支障はないが、鉱油とフルフラールとを
接触抽出した後の抽出油とフルフラールの混合
物、すなわちフルフラール回収系でフルフラール
を加熱回収する前に注入添加することが好まし
い。 上記化合物の添加量は、上記抽出油とフルフラ
ールの混合物に対し少なくとも1ppmとなるよう
に添加することが好ましく、これ以下では腐食防
止効果及びフルフラールの損失の防止の効果が十
分には期待できない。一方、添加量は、多い方が
その効果も増大するが、１％以下が経済的理由に
より好ましい。 以下に本発明をフルフラール抽出装置である潤
滑油精製装置に適用した例について図に基いて述
べる。 図中１は抽出塔で、下部に鉱油、すなわち潤滑
油留分２が導入され、上部に後述するフルフラー
ル脱水塔４で回収されたフルフラール３が導入さ
れ、潤滑油留分中の芳香族成分が抽出される。抽
出後のラフイネートは、抽出塔１の上部より抜出
され、ラフイネートストリツパー５で少量含まれ
ているフルフラールが上部より除かれ、下部より
製品となるラフイネートが得られる。 一方抽出塔２で抽出された抽出油とフルフラー
ルの混合物は抽出塔１の下部より抜出され、加熱
されて先ず常圧フラツシユ塔６に導入される。次
いでさらに加熱されて加圧フラツシユ塔７に導入
される。これらのフラツシユ塔６，７で回収され
たフルフラールは、フルフラール脱水塔４で脱水
され、下部より抜出されて抽出塔１へ循環され
る。 一方、加圧フラツシユ塔７の下部からは抽出油
が回収され、エキストラクトストリツパー８によ
り残存するフルフラールが除去され、下部より抽
出油として回収される。 ラフイネートストリツパー５、エキストラクト
ストリツパー８及びフルフラール脱水塔の上部よ
り回収される水を含んだフルフラールは、CBM
槽９により水層とフルフラール層に層分離され、
フルフラール層はフルフラール脱水槽へ、水層は
廃水ストリツパー１０にそれぞれ導入され残存フ
エノールが回収される。 このようなフルフラール抽出装置において、特
に常圧フラツシユ塔６と加圧フラツシユ塔７との
間に腐食が発生しやすい。従つて、この腐食を効
果的に防止するため、抽出塔下部から抜き出され
る抽出油とフルフラールの混合物が加熱される前
に２，６―ジ―tert―ブチル―４―メチルフエノ
ール11を注入することが好ましい。この２，６―
ジ―tert―ブチル―４―メチルフエノール11は、
一般に常温では固体であるため適当な溶剤、特に
好ましくは、フルフラールに溶解或いは分散させ
てポンプにより注入することが好ましい。注入量
は、抽出油とフルフラールの混合物に対し上記化
合物が少なくとも1ppmとなるように注入される。 注入された上記化合物は、常圧フラツシユ塔６
の導入前の加熱により変性するフルフラールに作
用し、フルフラールの変性連鎖反応を停止させ、
腐食物質の生成を抑制させるとともにフルフラー
ルの損失を防止させる。 以上のような本発明は、フルフラール抽出装置
の腐食を防止させるとともに、フルフラールの損
失を抑えることができる効果を奏する。 以下に、本発明の効果を実施例及び比較例を用
いて述べる。 実施例１〜４、比較例１〜３ 重質潤滑油留分（常圧換算沸点430〜590℃）の
抽出油〔比重（15／４℃）1.02、粘度（100℃）
34.3cSt、残炭4.5wt％〕を15wt％及びフルフラー
ル85wt％に２，６―ジ―tert―ブチル―４―メチ
ルフエノール、１，２，３ベンゾトリアゾール及
びＮ，N′―sec―ブチル―ｐ―フエニレンジアミ
ンをそれぞれ添加したものをオートクレーブに入
れ、これに炭素鋼（JIS規格 STB35、15mm×15
mm×３mm）又は合金鋼（JIS規格 STBA22、15
mm×15mm×３mm）の試験片をそれぞれ浸積し、
240℃の温度で30時間保持した。次いで冷却後、
試験片の減量より侵食度を測定した。又、フルフ
ラールの損失量をガスクロマトグラフイーにより
測定した。これらの結果を第１表に示す。

【表】 以上の結果から明らかなように２，６―ジ―
tert―ブチル―４―メチルフエノールを1ppm以
上添加すると、ベンゾトリアゾールやフエニレン
ジアミン等の添加に比べ、炭素鋼又は合金鋼の腐
食が著るしく抑制され、又フルフラールの損失を
防止できることが分かる。 実施例 ７ 装置能力9000BPSDの図に示すような潤滑油溶
剤精製装置において図中１１より２，６―ジ―
tert―ブチル―４―メチルフエノールを抽出油と
フルフラールの混合物に対し1ppm添加して１年
間運転した。この結果、常圧フラツシユ塔６と加
圧フラツシユ塔７の間にある熱交換塔のチユーブ
を検査したところ、前年の酸化防止剤を添加して
いないときと比べて、肉厚減及びピツチングの発
生が大巾に減少していた。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明が適用されるフルフラール抽出装
置の一例である潤滑油溶剤精製装置を示す。 図中１は抽出塔、６は常圧フラツシユ塔、７は
加圧フラツシユ塔を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フルフラールを用いて鉱油中の芳香族成分を
   抽出するフルフラール抽出装置の防食方法におい
   て、前記フルフラールに２，６―ジ―tert―ブチ
   ル―４―メチルフエノールを添加することを特徴
   とするフルフラール抽出装置の防食方法。 ２ 特許請求の範囲第１項において、２，６―ジ
   ―tert―ブチル―４―メチルフエノールの添加が
   抽出油とフルフラールの混合物に対し少なくとも
   1ppmであることを特徴とするフルフラール抽出
   装置の防食方法。