JPS6339031Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、磁気フイルム等のシート原反（シー
ト状物品）を所定の幅寸法に切断するための切断
装置に関する。

［従来の技術］ この種の装置として、たとえば第８図に示すも
のが知られている。この切断装置は、切断装置本
体１に複数の丸刃２を有する下刃（丸刃工具）３
を、軸受け箱４および軸受５を介して回転自在に
設けるとともに、切断装置本体１に複数の丸刃６
を有する上刃（丸刃工具）７を、下刃３と同様に
して回転自在に設けてなるものである。

この場合、他端側（第８図で右側）に位置する
軸受け箱４は、切断装置本体１に対して軸方向へ
移動可能とされ、一端側に位置する軸受け箱４は
締め付けナツト８，９によつて固定されている。
そして、前記締め付けナツト８，９を緩めた状態
で、下刃３を軸受け箱４，４とともに軸方向に移
動しうるようになつている。したがつて、ここの
切断装置によれば、丸刃２，６の側面どうしの面
圧を適宜調節することができ、これによつて被切
断物の切断後の幅寸法および切り口のシヤープ度
を良好に保つことができる。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記の切断装置においては、丸
刃２，６の側面どうしの面圧調節に長時間を要す
るという欠点があつた。すなわち、丸刃２，６間
の適切な面圧は、被切断物は、材質・丸刃２，６
の回転数および丸刃２，６の摩耗状況などによつ
て変化する。このような変化に迅速に対応するに
は、切断加工中に幅寸法および切り口のシヤープ
度を確認しながら面圧調節を行うことが望まし
い。ところが、上記の切断装置においては、面圧
調節を行う場合、締め付けナツト８，９を緩めな
ければならない。締め付けナツト８，９を緩める
とその緩めた量の分だけ下刃３が軸方向へ自由に
移動しうるようになる。この状態で切断加工を行
なうと、下刃３が振動し、丸刃２，６の切り刃部
分が欠損するおそれが生じる。したがつて、面圧
調節を行なうばあいには、いつたん切断加工を中
止し、その後下刃３の軸方向への位置調節を行な
い、ついで試験的に切断加工を行なわなければな
らない。しかも、それらを複数回にわたつて行な
わなければならず、このため面圧調節に長時間を
要していたのである。

この考案は上記欠点を解消するためになされた
もので、丸刃の面圧調節を短時間で行うことがで
きるシート状物品の切断装置を提供することを目
的としている。

［問題点を解決するための手段］ この考案の切断装置にあつては、シヤフトを、
ラツクの貫通孔内に軸受を介して回転自在にはめ
込むとともに、前記ラツクを切断装置本体に軸支
された歯車装置の歯車に噛合させてシヤフトの軸
方向に移動可能にかつ切断装置本体に取り付けら
れた固定部材によつて固定可能に設け、前記軸受
をラツクとシヤフトとにより挾持して構成してい
る。

［作用］ 歯車装置の歯車の回転により、ラツクを軸方向
に移動させ、丸刃どうしの適切な面圧が得られた
ところで歯車の回転を停止させる。シヤフトはラ
ツクに対して回転自在にはめ込まれているので、
これらの一連の操作は、シヤフトの回転中であつ
ても迅速に短時間で行うことができる。また、ラ
ツクを固定させるには、固定部材により行えばよ
い。

［実施例］ 以下、この考案の切断装置にかかる第１実施例
を第１〜４図に基づいて説明する。切断装置は切
断装置本体１１に設けられた下刃１２と、上刃１
３とから構成されている。

前記下刃１２は、シヤフト１４とこのシヤフト
１４の外周に嵌合固定された複数の丸刃１５とか
ら構成されている。前記シヤフト１４は、丸刃１
５を嵌合固定した嵌合軸部１４ａと、この嵌合軸
部１４ａの各端部にボルト１４ｄによりそれぞれ
固定した駆動軸部１４ｂおよび支持軸部１４ｃと
から構成されている。駆動軸部１４ｂは、軸受箱
１６および軸受１７，１７を介して回転自在に、
かつ軸方向へ移動不能に設けられている。切断装
置本体１１から突出した一側（第３図において左
側）の端部には、キー１８を介してプーリ（図示
せず）が設けられ、このプーリがベルト（図示せ
ず）によつて回転駆動されるようになつている。
また、支持軸部１４ｃは、軸受箱１９および軸受
２０，２０を介して回転自在に、かつ軸方向へ移
動不能に設けられている。切断装置本体１１から
突出した他側の端部には、プーリ２１が取付けら
れている。

他方、前記上刃１３は、シヤフト２２と、この
シヤフト２２の外周に嵌合固定された複数の丸刃
２３とから構成されている。シヤフト２２は、丸
刃２３を嵌合固定した嵌合軸部２２ａと、この嵌
合軸部２２ａの各端部にボルト２２ｄによりそれ
ぞれ固定した被動軸部２２ｂおよび支持軸部２２
ｃとから構成されている。被動軸部２２ｂは、軸
受箱２４および軸受２５，２５、スペーサ２５ａ
を介して回転自在に、かつ軸方向へ所定範囲移動
可能に設けられている。なお、符号２６は、プー
リ２１によつて回転させられるプーリである。

また、支持軸部２２ｃは、軸受箱２７および軸
受２８，２８、スペーサ２８ａを介して回転自在
に、かつ軸方向に所定範囲S1だけ移動可能に設
けられている。なお、符号３７は締め付けナツ
ト、３８は雄ねじ部材、３９は軸受である。

前記軸受け箱２７の一端側には、ボルト３１に
より取り付けられた歯車装置３０と、この歯車装
置３０に移動させられるラツク３３とからなる面
圧調節機構が設けられている。

前記歯車装置３０は、角筒状の箱体３０ａと、
その内側の上部に設置された歯車３０ｂと、この
歯車３０ｂを回転させるハンドル３０ｃとからな
つている。この歯車３０ｂの軸方向は、支持軸部
２２ｃの軸線方向に対して直交するように配設さ
れている。そしてこの歯車３０ｂには、ラツク３
３が、支持軸部２２ｃの軸方向に移動可能なよう
に噛合されている。

前記ラツク３３は、角柱状のもので、その中央
に貫通孔３３ａを有して形成されている。この貫
通孔３３ａ内には、軸受３４を介して支持軸部２
２ｃの一端が回転自在にはめ込まれている。この
軸受３４は、ラツク３３の他端の受け部３３ｂと
ラツク３３の一端に固定されかつその一端側を掩
蔽する蓋３５とにより、また支持軸部２２ｃの受
け部２２ｃ１と締め付けナツト３６とにより挾持
されている。そして、前記ラツク３３は、歯車装
置３０の箱体３０ａに螺合されたねじなどの固定
部材４０の圧接によつて軸方向の移動が阻止され
て固定されるようになつている。

つぎに、この考案の切断装置の作用、特に丸刃
１５，２３の面圧調節作用について説明する。

まず、ハンドル３０ｃを回転させ、歯車３０ｂ
を介してラツク３３を軸方向に移動させる。そし
て、丸刃１５，２３どうしの適切な面圧が得られ
たところでハンドル３０ｃの回転を停止させる。
支持軸部２２ｃ（シヤフト２２）は、ラツク３３
に対して回転自在にはめ込まれているので、ハン
ドル３０ｃの回転・停止の一連の操作は、支持軸
部２２ｃの回転中であつても迅速に短時間で行う
ことができる。また、ラツク３３を固定させるに
は、固定部材４０を回転させてラツク３３の側面
に圧接させて行えばよい。

つぎに、この考案の第２実施例を第５〜７図に
基づいて説明する。なおここでは、その特徴部分
についてのみ述べることとし、上記実施例と同様
な部分には同一符号を付してその説明を省略す
る。

この第２実施例の特徴は歯車装置５０としては
減速機構を組み込んだ点にある。この減速機構
は、支持軸部２２ｃのの軸方向と直交するように
回転軸を設けたハンドル５１と、このハンドル５
１の軸先端に取り付けられた小笠歯車５２と、こ
の小笠歯車５２に直交して噛合する笠歯車５３
と、この笠歯車５３と同軸状に取り付けられたウ
オーム５４と、このウオーム５４の軸方向に直交
して噛合するウオームホイール５５とから構成さ
れている。このウオームホイール５５の軸上に
は、前記第１実施例と同様な歯車３０ｂが取り付
けられている。

上記のように構成された減速機構においては、
ハンドル５１を回転させると、ウオーム５４と、
ウオームホイール５５とにより減速されてラツク
３３を低速度で軸方向に徐々に移動させる。した
がつて、減速機構を設けない場合に比べて、最も
適切な丸刃１５，２３の面圧位置を高精度に微調
節することができる。

なお、上記実施例では、上刃１３をその軸方向
へ移動可能としているが、面圧調節機構を、下刃
１２あるいは下刃１２および上刃１３の両者に設
けてこれらを移動可能としてもよい。また、上記
各実施例では、ハンドル３０ｃ，５１の軸を支持
軸部２２ｃの軸方向と直交する方向に配設した
が、ウオームをラツク３３に噛合させ、ウオーム
に取り付けたハンドルの軸を支持軸部２２ｃの軸
方向と平行となるように配置してもよい。

上記のようにこの考案では、面圧調節機構の一
部として歯車装置を用いているので、ハンドル軸
をいずれの方向でも任意に設定することができる
ので、設計上、大きな自由度がえられるばかりで
なく、この切断装置を狭いスペースに設置した場
合でも、高い操作性を得ることができる。

［考案の効果］ 上記構成の切断装置にあつては、面圧調節機構
を歯車とラツクとにより構成し、シヤフトをラツ
ク内に回転自在に貫通させたので、切断作業中で
あつても丸刃どうしの面圧調節を短時間で能率よ
く行うことができるという優れた効果をもつてい
る。また、歯車装置を用いているので、設計上の
自由度が大きくかつ高い操作性が得られる。さら
に、歯車装置として減速装置を設けた場合には、
より高精度で面圧を調節することができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は、この考案の第１実施例を示すも
ので、第１図は面圧調節機構の要部を示す部分縦
断正面図、第２図は要部の部分左側面図、第３図
は切断装置の一部を省略して示す縦断正面図、第
４図はその右側面図である。第５〜７図は第２実
施例を示すもので、第５図は第１図に相当する部
分正面図、第６図は第２図に相当する部分左側面
図、第７図は要部の部分平断面図である。第８図
は、従来技術を示すもので、切断装置の一部を省
略して示す縦断正面図である。 １１……切断装置本体、２２……シヤフト、１
５，２３……丸刃、３０ｂ……歯車、３３……ラ
ツク、３３ａ……貫通孔、３４……軸受、４０…
…固定部材、５４……ウオーム、５５……ウオー
ムホイール。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シヤフトにそれぞれ複数の丸刃を備えた一対
   の丸刃工具を切断装置本体に回転自在に設け、
   この一対の丸刃工具のうち少なくとも一方をそ
   の軸方向へ移動可能としたシート状物品の切断
   装置において、前記シヤフトは、ラツクの貫通
   孔内に軸受を介して回転自在にはめ込まれると
   ともに、前記ラツクは切断装置本体に軸支され
   た歯車装置の歯車に噛合されてシヤフトの軸方
   向に移動可能にかつ切断装置本体に取り付けら
   れた固定部材によつて固定可能に設けられ、前
   記軸受はラツクとシヤフトとにより挾持されて
   なることを特徴とするシート状物品の切断装
   置。 (2) 前記歯車装置は、ウオームとウオームホイー
   ルとからなる減速歯車装置を有するものである
   実用新案登録請求の範囲第一項に記載のシート
   状物品の切断装置。