JPS6337124Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はストレートシヤンクを有する回転工具
の保持具の改良に関する。

ストレートシヤンクをもつた回転切削工具には
ドリル、エンドミル、リーマ等がある。これらの
回転切削工具を保持する保持具には種々あるが、
代表的なものを第１図、第２図に示した。第１図
では円筒形のストレートシヤンク５をテーパコレ
ツト３だけで保持し、スラスト荷重、切削トルク
を受けているので把持力が非常に弱く、切削中の
工具に過大なスラスト荷重や切削トルクがかかつ
たり、スラスト荷重、切削トルクの大きい工具を
使用すると、テーパコレツト３内で工具シヤンク
がスリツプして保持具内に工具が押しこまれた
り、工具切刃が無理な状態で加工物にくいこんだ
ままとなり、工具切刃にチヤピングが発生する等
の欠点があり、多軸ボール盤、トランスフアマシ
ン、マシニングセンタ等には使用できない。この
欠点を補うために第２図に示す保持具を使用して
いる。第２図では切削トルクを受けるドライブピ
ース８とスラスト荷重を受け工具長さを調整する
調整ねじ１１がある。本体１にはドライブピース
８の切削トルクを受け、工具長さを調整するため
のキー溝１０が軸方向に設けられていて、ドライ
ブピースが軸方向に自在に移動できるようになつ
ている。特にドリル等のようにスラスト荷重、切
削トルクの大きい工具の保持にはストレートシヤ
ンク後部に平取りタングをつけて第２図のように
ドライブピース８にストレートシヤンクの平取り
タング部を挿入しテーパコレツト３により締めつ
けて固定しているのでテーパコレツト３だけの保
持とちがつてスラスト荷重、切削トルクを調整ね
じ１１とドライブピース８により充分に支えられ
るようになつている。しかし、機械に取りつけ使
用する場合、切削中に工具が摩耗したり破損した
りした時、途中で工具交換をしなければならな
い。第２図の保持具では調整ねじ１１の操作は図
上貫通穴２の上方からドライバー又はレンチで操
作しなければならず、機械に保持具を取りつけた
ままで工具交換はでできても工具の突きだし長さ
を調整する場合調整ねじ１１を外部から操作でき
ない。従つて新らしい工具又は再研削した工具を
保持具に取りつけても、所定の工具突きだし長さ
にすることはできない。加工精度を要求されるも
のにおいては、工具交換の度に保持具を機械より
取りはずして、工具交換後調整ねじを操作して、
工具の必要な突きだし長さに合わせて、工具を保
持具に固定し更に機械に取りつけなければならな
い等非常に不便なために、多軸ボール盤、トラン
スフアマシン、マシニングセンタ等には安易に使
用することができない。又、ドライブピース８に
はピン９がうちこまれている。このピン９はドラ
イブピース８より両端が突きでていて本体１のキ
ー溝１０を（図上では上下軸方向）自在に移動で
き切削トルクを支えている、したがつて、この機
構の回転工具保持具ではドライブピース８状納部
の外径が小さくなるとキー溝１０を設けた分だけ
強度が小さくなり剛性が低下するため製作上の制
約を受ける等大きな欠点がある。

本考案はかかる従来製品の欠点を解決したもの
である。

このため本考案の実施例である第４、第５図お
よび第６図に示すように改良したものである。即
ち第４図は調整ねじ１１にタグ支え金１３をボル
ト１４で固定し一体化した調整なじである。こう
して一体化した調整ねじを第６図のように本体に
収納し、調整ねじ作用とドライブピースを兼ねさ
せ右刃工具には左ねじを、左刃工具には右ねじの
調整ねじを使用することによつて、工具から受け
るスラスト荷重、切削トルクを充分支えることが
できる。本考案の回転工具保持具を使用すると、
切削中の工具切刃の摩耗、破損等による工具交換
は保持具を機械に取りつけたままででき、しかも
工具の必要突きだし長さは外部から手で工具その
ものを手で回転させながら簡単に調整ができる。
又キー溝がないので剛性が高く巾広い寸法の工具
に適要することができる等大きな利点がある。

以下本考案の実施例につき図面に基づいて説明
する。

第４，５，６図において、調整ねじ１１には軸
方向に割り溝１５が切られていて、平面１５ａに
続いて円筒孔１６があり、円筒孔１６の先端には
円錐孔１７が形成されている。割り溝１５と座ぐ
り穴１９の間は軸中心に穴１８が貫通している。
タング支え金１３の端面にはタング挿入溝２０が
形成され、調整ねじ１１谷径より、わずかに小さ
な直径の円筒部２１と、それに連なる円錐部２
２、円筒部２３、平取り部２４、固定部２５が形
成されている。固定部２５にはボルト１４をねじ
こむねじ孔２６が穿孔されている。調整ねじ１１
の円錐孔１７から円錐孔１７の面に円錐部２２の
面が当接するまでタング支え金１３を挿入すると
固定部２５が穴１８に入る。穴１８に入つた固定
部２５のねじ穴２６に座ぐり穴１９側からボルト
１４をねじこんで締めつけ、調整ねじ１１にタン
グ支え金を固定し、第４図のように一体化する。

一体化した調整ねじは後端（図では上方）か
ら、ねじ１２に沿つて本体１の中へねじこまれて
いる。締めつけナツト４の開口部からタング付き
ストレートシヤンク５を挿入し、タング５ａの端
部がタング挿入溝の溝底に当接したら、工具を手
で回しながら工具突きだし長さを決め、締めつけ
ナツト４を締めつける。すると締めつけられたテ
ーパコレツト３は本体１のテーパ面６に沿つて図
上では上方に押し上げられ、テーパコレツト３は
たわんで内周面７が工具シヤンク５の外周面を押
圧して工具を強力に把持する。第６図に示す実施
例では右刃工具に左じの調整ねじを使用した。

今切削中に過大な切削トルクが工具にかかる
と、テーパコレツト３内でシヤツク５がスリツプ
する。スリツプする力が作用するとタング５ａか
ら支え金１３にトルクが作用して、平取り部２４
から調整ねじの平取り面１５ａに作用して、調整
ねじは下方に進み、これに伴い当然工具も下方に
押し下げられる。しかし具刃先は被加工物に突き
当つているため、むしろ工具はタング支え金１３
を押し上げる状態となる。つまり、タング５ａが
タング支え金１３を調整ねじ１１内に押しこむこ
とになる。押しこまれたタング支え金１３の円錐
部２２は調整ねじに割り溝１５があるため円錐孔
１７を押し広げる。押し広げられた円錐孔１７の
外周のねじは本体のねじ１２に食いこんで強力に
ロツクされる。ロツクされた調整ねじ１１は本体
に固定されるのでロツクされると同時に本体と同
じ回転に移る。調整ねじ１１の回転は割り溝１５
の平取り面１５ａからタング支え金１３の平取り
部２４に伝えられこれに伴つて工具も回転する。
これらの機構は瞬時に作動し、スラスト荷重、切
削トルクを完全に支えるので安定した切削を続け
ることができる。又、本考案の一体化した調整ね
じの結合面は回転トルクを伝える平取り面１５ａ
と平取り部２４以外は円筒と円錐に形成したので
本体１を傾けたり、横にしてもタング支え金１３
の位置が変らず安定していて、工具の取りつけが
容易である。調整ねじのロツク作用をスムーズに
するために円筒孔１６と円筒部２３の間にわずか
の空間を設けてある。この回転工具保持具は一般
市場にあるストレートシヤンク工具用に考案され
たものであり、実験による把持力は第１図のもの
と比較して、本考案のものは調整ねじのロツク相
乗効果により2.5倍以上である。

この回転工具保持具は機械にとりつけたまま外
部から工具交換ができ、工具の突き出し長さを工
具自身を手で回転させながら簡単に調整できるの
で安易に使用でき安定した切削を続けることがで
きるので、多軸ボール盤、トランスフアーマシ
ン、マシニングセンタ等に適しており、保持具の
剛性が大きい。しかもスラスト荷重や切削トルク
を充分に支えることができるだけでなく、切削中
に切削条件をこえたスラスト荷重や切削トルクを
受けて工具がスリツプした場合でも、調整ねじは
タング支え金の斜面に接して径方向に広がつて本
体のねじに食いこみ、強力にロツクされ、正常な
切削を続けることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来品の断面図、第３図は第
２図の側面図、第４図は本考案の調整ねじ組立断
面図、第５図は第４図のＡ−Ａ断面図、第６図は
本考案の実施例の断面図である。 １……本体、２……貫通穴、３……テーパコレ
ツト、４……締めつけナツト、５……ストレート
シヤンク、５ａ……タング、６……テーパ内周
面、７……テーパコレツト内周面、８……ドライ
ブピース、９……ピン、１０……キー溝、１１…
…調整ねじ、１２……ねじ、１３……支え金、１
４……ボルト、１５……割り溝、１５ａ……平取
り面、１６……円筒孔、１７……円錐孔、８……
穴、１９……座ぐり穴、２０……タング挿入溝、
２１……円筒部、２２……円錐部、２３……円筒
部、２４……平取部、２５……固定部、２６……
ボルトねじ穴、２７……平取り面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転工具保持具にストレートシヤンク工具を保
   持するテーパコレツトとテーパコレツトを締めつ
   けるナツトを有し保持具内部に工具突き出し長さ
   を調整し、スラスト荷重を受けとめる調整ねじを
   収納した、回転工具保持具において、調整ねじ１
   １の軸方向に割り溝１５を設け、割り溝の開口端
   から円錐孔１７、円筒孔１６、平取り面１５ａを
   順次形成し、一端にタング挿入溝２０を形成した
   タング支え金１３には前記円錐孔１７に対応する
   円錐部２２、円筒部２３、前記平取り面１５ａに
   対応する平取り部２４を順次形成すると共に、調
   整ねじと支え金を一体化し、調整ねじのねじれ方
   向を工具のねじれ方向と逆にしたことを特徴とす
   る回転工具保持具。