JPS6336808Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はシリンダを下方に、ピストンロツドを
上方に配して成る正立型であつて、シリンダの下
部側とピストンロツドの上部側とに張設したコイ
ルスプリングを荷重の増大に応じて下方より押圧
し、自動的に車高調整を行うようにした油圧緩衝
器において、上記コイルスプリングを下方より押
圧するための蓄圧室からダストの侵入に起因して
油が漏れるのを防止し、ダストを外部へ逃がすよ
うにした油圧緩衝器に関する。

シリンダ側の下部外周と、該シリンダの下端側
に装着される筒状のアジヤスタガイドと、該ガイ
ドと上記シリンダとの間に摺動自在に嵌合した筒
状のスプリングアジヤスタとで形成される蓄圧室
を備え、該蓄圧室に供給される圧油を上記アジヤ
スタに作用させて該アジヤスタを摺動せしめ、こ
れにより該アジヤスタに下端を支持されるコイル
スプリングを伸縮せしめて車高を自動的に調整す
るようにした油圧緩衝器は知られている。

ところでこの種油圧緩衝器にあつては、下方に
配置されたシリンダが外部に露出しているため、
シリンダの外周と、これに摺動するアジヤスタの
内周との間に上方からダストが入り込み、ダスト
がアジヤスタの内周に嵌着したＯリングを擦り、
これによりシール性が減退し、蓄圧室から油が漏
れ、圧力低下を来し、その機能が低下してしま
う。

本考案は以上の不都合を解消すべく成されたも
ので、その目的とする処は、蓄圧室から外部への
油漏れを防止して車高調整機能を確実に維持する
とともに、ダストを機器の外部へ逃がし易くした
自動車高調整機構付油圧緩衝器を提供するにあ
る。

斯かる目的を達成すべく本考案は、前記スプリ
ングアジヤスタの上部内周にリング状のダストシ
ールを嵌着するとともに、該アジヤスタの上面に
径方向へダスト逃がし溝を形成したことを要旨と
している。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図は本考案に係る油圧緩衝器の中央縦断面
図で、油圧緩衝器１は下方にシリンダ２を、上方
にピストンロツド７を配して成り、内筒３及び外
筒４をもつて構成されるシリンダ２の内筒３内に
ピストンロツド７の下部に固着したピストン５が
摺動自在に嵌合している。

ピストンロツド７は中空ロツド８と、該中空ロ
ツド８内に摺動可能に嵌挿した長尺の中実ロツド
９とから成り、中空ロツド８の上方に突出する中
実ロツド９の上部には取付ブラケツト１１が螺着
され、該ブラケツト１１の外周にはスプリングシ
ート１２がストツパリング１３にて上動限を規制
されて嵌合しており、又中空ロツド８の下方に突
出する中実ロツド９の下部には減衰力発生バルブ
機構６を付設したピストン５が固着され、斯かる
中実ロツド９の下端面から中間部まで円穴１０が
形成されている。

尚中空ロツド８の下端にはリバウンドラバー１
８及びリバウンドシート１９が取付けられてい
る。

一方シリンダ２の下端には閉塞部材２０を介し
て取付ブラケツト２７が連結され、閉塞部材２０
の中央には前記円穴１０よりも外径が小径なる中
空ロツド３０が起設され、又シリンダ２を構成す
る外筒４は内筒よりも長尺であり、斯かる外筒４
の上部内周にはロツドガイド２８及びオイルシー
ル２９が取付けられている。

ピストンロツド７を構成する中空ロツド８の中
間部は前記ロツドガイド２８及びオイルシール２
９に摺接し、中実ロツド９の下部に固着したピス
トン５はシリンダ２の内筒３内に嵌合するととも
に、中実ロツド９に形成した円穴１０内には下方
からシリンダ２側の中空ロツド３０が〓間Ｃを形
成して遊合している。この〓間Ｃは中実ロツド９
の下端に螺着した筒部材１４内に連通し、又筒部
材１４の下端内周はシリンダ２側の中空ロツド３
０の中間部外周に密嵌して摺接しており、筒部材
１４にはシリンダ２の作動室S₁内の作動油の圧が
高まつた時に当該筒部材１４内へ圧油を流入する
チエツクバルブ１５が付設されている。又図中１
６はストツパラバーである。

尚シリンダ２側の中空ロツド３０の筒部材１４
と摺接する中間部には小孔３１が形成され、該小
孔３１が筒部材１４より下方に臨むと当該中空ロ
ツド３０内と前記作動室S₁とが連通される。

更にシリンダ２側の中空ロツド３０の下部外周
にはカラー３２が固着され、該カラー３２を介し
て閉塞部材２０の中央に形成した円穴２１内に中
空ロツド３０が嵌合されるとともに、円穴２１内
にはコイルスプリング３５により上動付勢されて
カラー３２の下端面に圧接するピストン３３が嵌
合しており、ピストン３３に形成したオリフイス
３４により中空ロツド３０内と円穴２１が連通せ
しめられている。斯かる円穴２１から閉塞部材２
０の径方向には油路２２，２３が対向して形成さ
れ、一方の油路２３内には円穴２１内の油圧が所
定値を越えた場合に該油路２３を中間部で遮断す
るリリーフバルブ２４が介設されている。このリ
リーフバルブ２４の手前の油路２３の中間部から
閉塞部材２０の上面には戻し油路２５及びこれに
連らなるリンク状溝２６が形成され、リング状溝
２６は前記カラー３２の外周に固着されて前記作
動室S₁内に圧油を戻すチエツクバルブ３６にて常
時は遮断されている。

そして閉塞部材２０の油路２２，２３より下位
の下部外周には円筒状のアジヤスタガイド４０が
その下部円筒体４１をストツパリング４５にて下
動限を規制されて嵌合している。斯かるアジヤス
タガイド４０は中間部を漸次上方に拡開形成した
テーパ部４２と、その上下に連らなる上部円筒体
４３及び下部円筒体４１とから成つており、上部
円筒体４３の内径はシリンダ２の外筒４の外径よ
りも充分に大径であり、且つ外筒４の下部を囲繞
している。

一方シリンダ２の外筒４の下部外周には円筒状
のスプリングアジヤスタ５０が摺動自在に嵌合し
ている。斯かるスプリングアジヤスタ５０は内筒
体５１と、外筒体５３と、これら筒体５１及び５
３を上部で連続する環状部５２とから成り、内筒
体５１が摺接するシリンダ２の外筒４の下部外周
に嵌着したストツパリング５５にてその上動限を
規制され、又外筒体５３の内周は前記アジヤスタ
ガイド４０の上部円筒体４３の外周に嵌合されて
いる。

斯くしてシリンダ２の外筒４の下部外周及び閉
塞部材２０の外周と、アジヤスタガイド４０と、
スプリングアジヤスタ５０との間には前記油路２
２，２３と連通する蓄圧室Ｓが形成される。

尚スプリングアジヤスタ５０の内筒体５１の中
間部内周及び外筒体５３の下部内周には夫々Ｏリ
ング５６，５７が嵌着され、又アジヤスタガイド
４０の上部円筒体４３の上部外周にはガイドブツ
シユ４６が嵌着されている。

そして本考案では、スプリングアジヤスタ５０
の内筒体５１の上部内周に上面側へも開放された
リング状の嵌着溝５８を形成するとともに、該嵌
着溝５８から径方向へ放射状に当該アジヤスタ５
０の内筒体５１、環状部５２及び外筒体５３の上
面に複数のダスト逃がし溝５９…（実施例では第
２図に示す如く３本）を形成する。而して嵌着溝
５８にリング状のダストシール６０を嵌着し、該
ダストシール６０の内周をシリンダ外筒４の外周
に圧接せしめる。

尚斯かるスプリングアジヤスタ５０の外筒体５
３の下部外周とアジヤスタガイド４０の下部円筒
体４１の外周とにはダストブーツ６１が架設され
ている。

更にシリンダ２の外筒４の外周にスプリングシ
ート６２を摺動自在に嵌合し、該スプリングシー
ト６２と、前記ピストンロツド７の上部側に装着
したスプリングシート１２との間にコイルスプリ
ング６６を張設し、下部スプリングシート６２の
円板部６３をスプリングアジヤスタ５０の上面に
圧接する。ここで下部スプリングシート６２の円
筒体６４の上端は雄テーパ部６５に形成されてお
り、この雄テーパ部６５によりシリンダ外筒４に
対する当該スプリングシート６２の上動時に、外
筒４に付着しているダストを取り除くことができ
る。

斯くして油圧緩衝器１内に夫々区画形成された
シリンダ２の内筒３内の作動室S₁、ピストン５よ
り上方の内筒３内の作動室S₂、内・外筒３，４間
のリザーバ室S₃、ピストンロツド７内の円穴１
０、シリンダ２側の中空ロツド３０、閉塞部材２
０の円穴２１及び油路２２，２３、更に前記蓄圧
室Ｓ内に作動油を封入する。

而して車体側からピストンロツド７に荷重が作
用すれば、シリンダ２に対してピストンロツド７
が下動し、ピストン５がシリンダ内筒３内を下動
してシリンダ２側の中空ロツド３０の小孔３１を
筒部材１４が閉じ、作動室S₁内の圧油の一部が筒
部材１４に付設したチエツクバルブ１５を開き、
〓間Ｃを経て中実ロツド９の円穴１０に流入す
る。円穴１０内に流入した圧油は更にシリンダ２
側の中空ロツド３０内を経て閉塞部材２０の円穴
２１に流入し、通路２２，２３を介して蓄圧室Ｓ
に流入する。これによりスプリングアジヤスタ５
０が上動し、下部スプリングシート６２を介して
コイルスプリング６６の下端を押し上げ、コイル
スプリング６６が圧縮せしめられ、そのスプリン
グ荷重を増す。そしてこのスプリング荷重の増大
に伴うコイルスプリング６６の反作用としてピス
トンロツド７が上動し、緩衝器１全体が伸長し、
この結果車高は自動的に高く調整される。ここで
車高位置はシリンダ２側の中空ロツド３０の小孔
３１が筒部材１４の下端から作動室S₁に臨んだ状
態で保持されている。

斯かる自動車高調整機構付きの油圧緩衝器１の
上述の如き車高調整を行う作動部材であるスプリ
ングアジヤスタ５０の上部内周にはリング状のタ
ストシール６０が嵌着され、該ダストシール６０
の内周がシリンダ外筒４の外周に圧接しているた
め、下部スプリングシート６２の雄テーパ部６５
でも取り除けない微細なるダストをスプリングア
ジヤスタ５０の上動時にダストシール６０により
シリンダ外筒４から取り除くことができる。

更にダストシール６０により取り除かれたダス
トは、スプリングアジヤスタ５０の上面に径方向
へ、実施例では放射状に３本のダスト逃がし溝５
９…を形成したため、これらダスト逃がし溝５９
…に案内されて外部に排出されることとなる。

尚ダスト逃がし溝の本数は任意である。

以上の説明から明らかな如く本考案によれば、
下方に配置されるシリンダ側に装着されるスプリ
ングアジヤスタの上部内周にリング状のダストシ
ールを嵌着するとともに、該アジヤスタの上面に
径方向へダスト逃がし溝を形成したため、蓄圧室
へのダストの侵入を防止することができ、しかも
ダストを機器の外部へ容易に排出することがで
き、以つて車高調整機能を確実に維持することが
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案に係る油圧緩衝器の中央縦断面図、第２
図はスプリングアジヤスタの平面図である。 尚図面中１は油圧緩衝器、２はシリンダ、５は
ピストン、７はピストンロツド、４０はアジヤス
タガイド、５０はスプリングアジヤスタ、５９は
オイル逃がし溝、６０はダストシール、６６はコ
イルスプリング、Ｓは蓄圧室である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダ側の下部外周と、該シリンダの下端側
   に装着される筒状のアジヤスタガイドと、該ガイ
   ドと上記シリンダとの間に摺動自在に嵌合した筒
   状のスプリングアジヤスタとで形成される蓄圧室
   を備え、上記シリンダ内に摺動自在に嵌合するピ
   ストンを下部に固着したピストンロツドの上部側
   と上記アジヤスタとの間にコイルスプリングを張
   設し、上記蓄圧室に供給される圧力で上記アジヤ
   スタを摺動せしめて自動的に車高調整を行うよう
   にした油圧緩衝器において、上記アジヤスタの上
   部内周にリング状のダストシールを嵌着するとと
   もに、該アジヤスタの上面に径方向へダスト逃が
   し溝を形成したことを特徴とする自動車高調整機
   構付油圧緩衝器。