JPS6335870Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はシートベルト巻取装置に係り、特に、
衝突時等に車両に加わる加速度を検出してシート
ベルトの巻出しをロツクするシートベルト巻取装
置に関する。

従来、車両用シートベルトに用いた巻取装置に
おいて、衝突時等の時に車両に作用する加速度を
検出し瞬時にしてシートベルトの巻出しを停止す
る巻取装置のロツク機構が種々提案されている。
しかし、これらの従来の巻取装置においては、車
両に作用する加速度に対する感応速度が鈍く、通
常イナーシヤルマスの揺動に伴つてパウルを上昇
させ、このパウルが、シートベルトを巻取るリー
ルに固定されたラチエツトホイールに噛合するこ
とによりシートベルトの巻出しを停止するもので
あつたが、前記パウルの上昇速度が遅かつた。

本考案の目的とするところは、衝突時等の様に
車両に大きな加速度が働いた時に、瞬時に感応し
てシートベルトの巻出しを停止すると共に、パウ
ルの上昇率を高め、確実なる乗員の拘束を達成す
ることにある。

本考案は上記従来技術の問題点を解決する手段
として、イナーシヤルマスを逆Ｕ字状支材で吊下
げ該逆Ｕ字状支材の頂部円弧部厚みを薄肉とした
揺動部材と、巻取装置本体に固定されＵ字状支材
を有し該Ｕ字状支材の下端円弧部厚みを薄肉とし
該下端円弧部内側に前記揺動部材をその逆Ｕ字状
支材頂部円弧部内側を接して吊下げた揺動部材支
持体と、前記揺動部材の頂部近傍に固着され該揺
動部材の揺動を伝達する揺動伝達部材と、該揺動
伝達部材上に載置され前記揺動部材支持体のＵ字
状支材の上部で該揺動伝達部材により伝達される
揺動を上下動に摺動案内され、頂部に押上用突起
を有する上下動部材と、前記巻取装置本体に一端
を揺動自在に支承され中央部が前記上下動部材の
押上用突起に接し他端に噛合用突起を有するパウ
ルと、該パウルの揺動に応じて前記噛合用突起と
噛合してその回転を停止するラチエツトホイール
と、該ラチエツトホイールと同軸的に固着されシ
ートベルトを巻取るリールと、を備えたものであ
る。

以下、本考案を図面に示す実施例に基いて説明
する。

まず第１図及び第２図に示すように、巻取装置
本体１には揺動部材支持体としてのブラケツト２
が固定され、このブラケツト２は特に第２図に示
すようにフレーム部２１，２２に囲まれるように
して後述する揺動部材３を支持するための支持部
２３を有している。この支持部２３は左右両端を
一体的にブラケツト２の本体に固定され、その中
央部には立上り２４が形成されている。この立上
り２４はその上部が略Ｕ字状に切り抜かれてＵ字
状端円弧部の厚みを薄肉とした内縁２５を有す
る。この内縁２５の下端円弧部が後述する揺動部
材３との接点２６となる。なお符号２７は、この
ブラケツト２を巻取装置本体１に取付けるための
取付穴であり、２８は後述するパウル６の取付穴
である。

このブラケツト２の支持部２３には車両の加速
度に感応して揺動する揺動部材３が載置されてい
る。この揺動部材３は全体として重りの作用をす
るイナーシヤルマス３１とこのイナーシヤルマス
３１を支持し前記ブラケツト２に直接載置される
吊下げ部材３２とから構成されている。この吊下
げ部材３２は特に第３図に示すように、全体とし
て逆Ｕ字状に形成され、その下端側３３において
イナーシヤルマス３１の切欠３４と係合されると
ともに組付時にかしめられて一体的に連結されて
いる。この吊下げ部材３２の頂部円弧部内縁３５
は薄肉に形成され、特にこの頂部円弧部内縁３５
の上端が前記ブラケツト２の支持部２３の接点２
６に載置される揺動部材３側の接点３６となる。
即ち、両接点２６，３６が接するような状態で揺
動部材３がブラケツト２の支持部２３に揺動自在
に載置されている。

また、この揺動部材３のほぼ上端部にはリング
状の揺動伝達部材４が一体的に形成されている。
さらに詳しくは、このリング状の揺動伝達部材４
は前記吊下げ部材３２の両側の端部に掛渡される
ようにかつこの両側の外端を円環の対称位置に有
するように一体的に設けられている。この揺動伝
達部材４の上端面４１は略皿状に陥没されて載置
部４２を有し、この載置部４２上には上下動部材
５が載置されている。この上下動部材５は鈴状に
形成され、すならち、シリンダ状の内周面を有す
る上部５１と裾広がりの下部５２を有し、この下
部５２が前記揺動伝達部材４の載置部４２に載置
されている。

また、前記ブラケツト２の立上り２４は揺動部
材３の吊下げ部材３２及び揺動部材４を超えて上
方に角状に伸び、前記上下動部材５のシリンダ状
の内周面を有する上部５１に揺動自在に嵌合され
ている。従つて揺動伝達部材４が揺動部材３とと
もに一体的に揺動すると、上下動部材５はこの立
上り２４に内周面を上下方向に揺動自在に案内さ
れるため、揺動することなく単に上下動を行う。

この上下動部材５の上端部には押上用突起５３
が設けられ、この押上用突起５３は半球状に形成
されている。この押上用突起５３上にはパウル６
の中央部が載置されている。このパウル６は前記
ブラケツト２に形成された取付穴２８にボルト等
を介して揺動自在に支承されている。このパウル
６のやや上方には周知のラチエツトホイール７が
位置する。こラチエツトホイール７はシートベル
ト８を巻取るリール９に同軸的に一体的に設けら
れ、前記パウル６の噛合用突起６１が揺動されて
上昇されることにより該ラチエツトホイールに噛
合され、リール９からのシートベルト８の巻出し
を停止するようになつている。

以上の構成より成る本考案の実施例の作用を説
明する。車内が衝突時等の場合のように大きな加
速度を受けた場合、重りであるイナーシヤルマス
３１が吊下げ部材３２を振子のようにして揺動さ
せる。ここで吊下げ部材３２は、自身および相手
方のブラケツト２の接触部が共に薄肉であるため
ほぼ接触点２６，３６で揺動部材支持体であるブ
ラケツト２に載置されているため、自由にかつ感
応速度を速くして揺動し、第１図に二点鎖線で示
すように揺動伝達部材４を一体的に揺動させる。
この揺動伝達部材４の外周リングのうち吊下げ部
材３２と接合している２点を結ぶ直線と直交する
直線上にあるリング部の一方は、前記ブラケツト
２と揺動部材３との接点２６，３６を中心として
揺動することにより上昇し、他方は降下する。こ
の上昇運動により上下動部材５は第１図の二点鎖
線で示すように、ブラケツト２の立上り２４に上
下方向に揺動案内されて上昇する。

これによりパウル６が二点鎖線で示すように、
上方に揺動され、その噛合用突起６１がリール９
のラチエツトホイール７に噛合する。これにより
車両に対する加速度の作用に素早く感応してシー
トベルト８の巻出しが停止され乗員が安全に拘束
する。

第４図には本考案の他の実施例が示され、この
図において前記第１〜第３図の符号と同一の符号
は同一部分を示し、その説明は省略する。この実
施例と前述の実施例と異なるところは、上下動部
材５が全体的に末広がり状に形成されるととも
に、この上下動部材５の押上用突起５３が前記実
施例においては半球状であつたのに対し、この実
施例ではするどく立ち上がる突起状に形成され、
この突起状の押上用突起５３に載置されるパウル
６の中央部には、この突起状の押上用突起５３を
包むように逆Ｕ字形に下方に開く受け部材６２が
形成されている点である。

この実施例によつても前記実施例と同様の作用
を奏するが、特にこの実施例では、パウル６の受
け部材６２と上下動部材５の押上用突起５３との
接合が確実となり、従つてパウル６の揺動が確実
となる。

なお、本考案は上記二つの実施例に限定される
ものではなく、本考案の要旨に基づき種々の変形
例が考えられる。

以上のように本考案によれば揺動部材支持体と
揺動部材との載置当接部が薄肉となつているため
ほぼ点接合となるので、上下動部材ひいてはパウ
ルの衝突時の上昇が速く、即ち、大きな加速度に
対する感応が極めて速く、従つてより安全に確実
に乗員をシートベルトによつて拘束することが出
来る。また、揺動部材と揺動支持体との接合がほ
ぼ点接合であるために揺動部材の揺動に対するパ
ウルの上昇効率が高く、従つてイナーシヤルマス
を軽くすることができ、巻取装置全体の軽量化を
達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかわるシートベルト巻取装
置の実施例を示す断面図、第２図は第１図に示す
ブラケツトを拡大して示す斜視図、第３図は同実
施例の要部を分解して示す斜視図、第４図は本考
案の他の実施例の要部を示す断面図である。 １……巻取装置本体、２……揺動部材支持体と
してのブラケツト、３……揺動部材、４……揺動
伝達部材、５……上下動部材、６……パウル、７
……ラチエツトホイール、８……シートベルト、
９……リール、２３……ブラケツトの支持部、２
５……支持部の内縁、３１……イナーシヤルマ
ス、３２……揺動部材の支持部材、３５……揺動
部材の上端内縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. イナーシヤルマスを逆Ｕ字状支材で吊下げ該逆
   Ｕ字状支材の頂部円弧部厚みを薄肉とした揺動部
   材と、巻取装置本体に固定されＵ字状支材を有し
   該Ｕ字状支材の下端円弧部厚みを薄肉とし該下端
   円弧部内側に前記揺動部材をその逆Ｕ字状支材頂
   部円弧部内側を接して吊下げた揺動部材支持体
   と、前記揺動部材の頂部近傍に固着され該揺動部
   材の揺動を伝達する揺動伝達部材と、該揺動伝達
   部材上に載置され前記揺動部材支持体のＵ字状支
   材の上部で該揺動伝達部材により伝達される揺動
   を上下動に摺動案内され、頂部に押上用突起を有
   する上下動部材と、前記巻取装置本体に一端を揺
   動自在に支承され中央部が前記上下動部材の押上
   用突起に接し他端に噛合用突起を有するパウル
   と、該パウルの揺動に応じて前記噛合用突起と噛
   合してその回転を停止するラチエツトホイール
   と、該ラチエツトホイールと同軸的に固着されシ
   ートベルトを巻取るリールと、を備えたシートベ
   ルト巻取装置。