JPS6334681Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、災害時において上水管に消毒殺菌剤
を注入したり、水道管を修理したとき消毒のため
に消毒殺菌剤を注入したりするのに使用する消毒
殺菌剤送液装置に関する。

例えば、地震により上下水管に亀裂等ができる
と、漏水が生じるが、上水管と下水管は並列に埋
設されるのが普通であるから、下水管から漏れた
汚水が上水管にサイホン原理等により吸い込まれ
たり、あるいは地中の雑菌等が上水管内に混入す
るおそれがある。

このため、従来は漏水があつたときに給水を止
めて、給水車により給水を行つていた。しかし、
給水車により給水を行うことは不便であり、充分
に給水を受けることができない地域も生じる。

漏水の程度がひどくないときには、給水を止め
ることなくそのまま流し続け、貯水場等の給水源
で通常よりも多量の消毒殺菌剤（次亜塩素酸ナト
リウム）を投入することが考えられるが、途中で
汚水が混入することにより残留塩素が減少して充
分な殺菌効果が得られなくなる問題が生じる。こ
のようなとき、所定区間ごとに殺菌剤を注入すれ
ば残留塩素が減少するような問題は生じない。

また、水道管の修理時に分岐ラインを設けて給
水する場合にも殺菌剤を注入して消毒する必要が
ある。

以上のような場合に、簡単に殺菌剤を注入でき
る装置の開発が要望されていた。

本考案はこのような要望にこたえるべくなされ
たもので、地中に埋設されている水道管に付設さ
れたジヨイント部材と、薬液タンク、注入ポンプ
および発電機とよりなる可搬式薬液注入装置の該
注入ポンプの吐出口とを適宜の連通管で接続した
ことを特徴とする。

以下本考案の一実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図〜第３図は本考案の消毒殺菌送液装置を
構成する可搬式薬液注入装置の一例を示してい
る。この可搬式薬液注入装置Ａは、手押し台車１
上に薬液タンク２と定量吐出ポンプ３とエンジン
駆動型発電機４と制御盤５と収納箱６を装備して
なり、人力により移動操作可能である。

手押し台車１の一端部にはほぼコ字状のハンド
ル７が立設されており、また一端部端面と他端部
端面の両端位置にはそれぞれ把持棒８が取付けら
れている。この把持棒８は手押し台車１をトラツ
クの荷台等から降ろすときに第２図の二点鎖線に
示すように起こし、通常は第３図に示すように倒
しておく。

薬液タンク２は、容量が100程度で、その外
側面に液量計９が設けられ、またその内部に消毒
殺菌剤として通常よりも高濃度の次亜塩素酸ナト
リウム溶液（６％程度）が充填されている。

定量吐出ポンプ３は、配管１０を介して薬液タ
ンク２から殺菌剤を吸引し、これを手押し台車１
の下面中央部に設けた吐出口１１（第３図参照）
から一定量ずつ吐出する。吐出量は、ポンプ３の
上面中央部に設けた調整ハンドル１２でピストン
（図示せず）のストロークを変えることにより調
整される。

エンジン駆動型発電機４は、定量吐出ポンプ３
を駆動するもので、制御盤５のスイツチ（図示せ
ず）をONしたとき定量吐出ポンプ３のモータ１
３に通電され、またOFFにしたとき通電が遮断
される。

収納箱６内にはメンテナンス用の工具類やホー
ス等が収納されている。

これら薬液タンク２、定量吐出ポンプ３等は第
１図に示すように、カバー１４により覆われて、
このカバー１４に設けられた開閉窓部１５，１５
から制御盤５のスイツチ、定量吐出ポンプ３の調
整ハンドル１２等を操作することができる。

次に第４図を参照して定量吐出ポンプ３の吐出
口１１を上水管（水道管）に接続するジヨイント
部材Ｂについて説明すると、サドル分岐栓１６と
注入ノズル部材１７とから構成されている。

サドル分岐栓１６は、ボールケース１８を有し
た本体１９とカバー２０と締付ボルト２１とから
構成されていて、上水管Ｃに取付けるとき締付ボ
ルト２１により本体１８とカバー２０とが互いに
連結される。

ボールケース１８の上面及び側面にはそれぞれ
ポート２２，２３が設けられており、また内部に
はスピンドル２４により回転可能に支持されてボ
ール弁体２５が設けられている。

注入ノズル部材１７は、注入ノズル２６と注入
ノズルガイド２７とテイーズ２８と注入弁２９と
から構成されている。

注入ノズル２６は、ポート２２、ボール弁体２
５から管Ｃの穿孔部３０（サイド分岐栓１６を上
水管Ｃに取付けたとき穿設される）を通つて管Ｃ
内に臨んでいる。この注入ノズル２６は、管Ｃの
径に応じて複数本連結する。また、注入ノズルガ
イド２７は、その袋ナツト部２７ａをポート２２
の外周面に設けたネジ部に螺合することによりサ
イド分岐栓１６の本体１９に取付けられて、注入
ノズル２６をガイドする。また、テイーズ２８
は、注入ノズルガイド２７から突出した注入ノズ
ル２６の一端部に取付けられる。このテイーズ２
８には、注入ノズル２６と連通する流路３１が設
けられていて、注入弁２９はこの流路３１に接続
されている。注入弁２９は管Ｃから水が注入ノズ
ル２６を通つて逆流するのを阻止するもので、パ
イプ３２を介して前述の吐出口１１と接続され
る。

なお、管Ｃ内に臨む注入ノズル１６の端部には
ストツパ３３が設けられている。このストツパ３
３は注入ノズル部材１７をサドル分岐栓１６から
外したとき、注入ノズル２６が注入ノズルガイド
２７から抜脱するのを阻止する。また、テイーズ
２８にはドレンバルブ３４が設けられていて、流
路３１内に残留した液体を外部に排出する。ま
た、本体１８の内周面にはパツキン３５が設けら
れていて、穿孔部３０から管Ｃの外周面と本体１
８の内周面との間を通つて漏水するのを阻止す
る。

なお、第４図中３６は袋ナツト、３７，３８は
パツキン、３９はＯリング、４０はメクラナツト
である。

次に上記実施例の作用を説明する。例えば、地
震により上水管Ｃから漏水があつて、この漏水が
それほどひどくないとき、給水を止めることなく
そのまま流し続ける。そして、第５図に示すよう
に、上水管Ｃの破損した前後区間内に例えば500
ｍおきに可搬式薬液注入装置Ａを配備する。これ
は、トラツクにより所定場所に可搬式薬液注入装
置Ａを運んだ後、人力により上水管Ｃの近傍まで
移動させて行う。

次いで、上水管Ｃにジヨイント部材Ｂを取付け
る。これは、まず上水管Ｃの穿孔部３０周辺を清
掃してサドル分岐栓１６の本体１９を該穿孔部３
０位置にのせ、穿孔部３０と反対側にのせたカバ
ー２０と締付ボルト２１，２１により互いに連結
する。このようにしてサドル分岐栓１６を取付け
たら、ボール弁体２５を開き、ポート２２から穿
孔機（図示せず）を使用して穿孔部３０を形成す
る。この後、ポート２２、ボール弁体２５、穿孔
部３０を通して注入ノズル２６を上水管Ｃ内に臨
ませ、袋ナツト部２７ａをポート２２のネジ部に
螺合して注入ノズルガイド２７をサドル分岐栓１
６に取付ける。

この後、注入弁２９と吐出口１１とをパイプ３
２で連結し、エンジン駆動型発電機４を駆動して
制御盤５のスイツチをONにする。これにより、
薬液タンク２内の殺菌剤が定量吐出ポンプ３によ
つて吐出口１１、バイプ３２、注入弁２９、流路
３１、注入ノズル２６を通り上水管Ｃ内に注入さ
れる。このとき、吐出圧力は上水管Ｃ内の水圧よ
り高く設定されていて、該水圧に抗して殺菌剤が
注入される。

殺菌剤の注入量は、上水管Ｃの径（水量）に応
じて設定され、給水中の次亜塩素酸ナトリウム濃
度は通常の10倍程度（ほぼ10ppm）になる。これ
により各家庭で安全に給水を受けることができ
る。

殺菌剤の注入が必要なくなつたら、注入ノズル
部材１７をサドル分岐栓１６から外して、ボール
弁体２５を閉じポート２２にメクラナツトを螺合
する。サドル分岐栓１６は取付けたままにしてお
く。これにより、穿孔部３０から水が漏れるのを
阻止する。

水道管を修理する場合にも、分岐ラインに適宜
間隔をおいて、薬液注入装置Ａを配置して、上述
の場合と同様にして殺菌剤を注入し消毒する。

以上説明したように本考案によれば、薬液タン
ク、注入ポンプ（定量吐出ポンプ）及び発電機を
装備して可搬式となつているのでどこでも容易に
配備でき、また電源のないところでも使用でき
る。また、ジヨイント部材を水道管に取付けて、
適宜の連通管を介して注入ポンプの吐出口と接続
するので、手間がかからず簡単に消毒殺菌剤を注
入することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は可搬式薬液注入装置の全体斜視図、第２図はカ
バーを外した状態の同平面図、第３図は同側面
図、第４図はジヨイント部材を取付けたときの断
面図、第５図は使用状態の説明図である。 Ａ……可搬式薬液注入装置、Ｂ……ジヨイント
部材、Ｃ……上水管、１……手押し台車、２……
薬液タンク、３……注入ポンプ（定量吐出ポン
プ）、４……エンジン駆動型発電機、１１……吐
出口、１６……サドル分岐栓、１７……注入ノズ
ル部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 地中に埋設されている水道管に付設されたジヨ
   イント部材と、薬液タンク、注入ポンプ及び発電
   機とよりなる可搬式薬液注入装置の該注入ポンプ
   の吐出口とを適宜の連通管で接続したことを特徴
   とする消毒殺菌剤送液装置。