JPS6333260Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案はドラムヘツドの外周を押えるヘツド
押えフープをドラム胴側に締付けて前記ドラムヘ
ツドを緊張させるドラムヘツド緊張具に関するも
のである。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

バスドラム、スネアドラム、タムタム等のドラ
ムのドラムヘツド（ドラム膜）は、ドラムの周囲
に当間隔に設けた複数のドラムヘツド緊張具によ
り、ドラムヘツドの外周を押えるヘツド押えフー
プを複数箇所においてドラム胴側に締付けること
によつて緊張されている。

第１図は従来のドラムヘツド緊張具を示したも
ので、図中１はドラム胴Ａの外面に取付けられる
一般に船形と呼ばれている緊張具本体であり、こ
の緊張具本体１はドラム胴取付け面が開放する箱
形のものとされ、その内部には、ドラムヘツドａ
の外周を押えるヘツド押えフープ２に挿通された
フープ締付けボルト３と螺合するナツト４が回り
止めされた状態で設けられている。このナツト４
は外周に鍔部を有する筒状のもので、このナツト
４は、前記緊張具本体１の前記ヘツド押えフープ
２と対向する面に穿設されたナツト嵌合孔５に上
部を遊嵌させると共に、その鍔部を前記緊張具本
体１内に設けたコイルスプリング６によつて緊張
具本体１の内面に押圧することにより、緊張具本
体１の内面に、前記フープ締付けボルト３の傾き
に応じて揺動可能に受止められている。

このドラムヘツド緊張具は、前記緊張具本体１
内のナツト４に螺合させたフープ締付けボルト３
を締付けることにより、前記ヘツド押えフープ２
をドラム胴Ａ側に締付けて所望の緊張力でドラム
ヘツドａを緊張させるものであり、このドラムヘ
ツド緊張具は、前記緊張具本体１をドラム胴Ａの
外面に止めネジ７によつて固定して、ドラムの周
囲に所要数所定間隔で設けられている。

ところで、前記ドラムヘツドａを破損したり、
長期の使用によつてドラム胴ａが疲労した場合に
おけるドラムヘツドａの交換は、前記ドラムヘツ
ド緊張具のフープ締付けボルト３を緩めてこのフ
ープ締付けボルト３を緊張具本体１から外すこと
により、このフープ締付けボルト２と共にヘツド
押えフープ２をドラム胴Ａから外し、次いでドラ
ム胴Ａからドラムヘツドａを取外すことによつて
行われている。

しかしながら、上記従来のドラムヘツド緊張具
は、上記のように、フープ締付けボルト３と螺合
するナツト４を、緊張具本体１に穿設したナツト
嵌合孔５に遊嵌させると共に、その鍔部をコイル
スプリング６により緊張具本体１の内面に押圧す
ることによつて緊張具本体１内に外部に抜出さな
いように保持させているために、ドラムヘツドａ
の交換に際してヘツド押えフープ２を取外すには
前記フープ締付けボルト３を完全にナツト４から
抜き外してこのフープ締付けボルト３を緊張具本
体１から外さなければならず、またドラムヘツド
ａを交換した後も前記フープ締付けボルト３を再
び前記ナツト４に螺合させ直さなければならない
ために、ドラムヘツドａの交換が面倒で時間がか
かるという問題があつた。

〔考案の目的〕

この考案は上記のような実情にかんがみてなさ
れたものであつて、その目的とするところは、フ
ープ締付けボルトをナツトから完全に抜き外さな
くてもフープ締付けボルトを緊張具本体から外す
ことができるようにした、前記フープ締付けボル
トと共にヘツド押えフープをドラム胴から外して
行われるドラムヘツドの交換を容易にかつ短時間
で行なうことができるドラムヘツド緊張具を提供
することにある。

〔考案の概要〕

すなわち、この考案は、緊張具本体を、ドラム
胴外面に取付けられるベース部材と、前記ベース
部材にこのベース部材に対して接離回動可能に枢
支されたカバーとから構成し、かつ前記カバーは
前記ベース部材と対向する面が開放する箱形のも
のとすると共に、このカバーの前記ヘツド押えフ
ープと対向する面にこのカバーの開放面側に開放
するボルト挿入溝を設けてこのボルト挿入溝にフ
ープ締付けボルトを前記カバーの開放面側に抜き
外し可能に挿入し、さらに前記フープ締付けボル
トに螺合されるナツトを、前記フープ締付けボル
トに螺合させた状態のまま前記カバーの開放面側
に抜き出し可能にカバー内に挿入して、このナツ
トを前記カバーのボルト挿入溝形成面の内面に受
け止めさせた構成のものである。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を第２図〜第４図を
参照して説明する。

第２図及び第３図において、図中１１はドラム
胴Ａの外面に取付けられる緊張具本体であり、こ
の緊張具本体１１は、止めネジ１４によつてドラ
ム胴Ａの外面に取付けられる平板状のベース部材
１２と、前記ベース部材１２にこのベース部材１
２に対して接離回動可能に枢支されたカバー１３
とから構成されている。

前記カバー１３は、前記ベース部材１２と対向
する面が開放する箱形のものとされており、その
一端部（図上下端部）において前記ベース部材１
２に突設したカバー枢支部１５に支軸１６により
枢支されている。なお、第３図において１７は前
記支軸１６の抜け止め用プツシユナツトである。

また、このカバー１３のヘツド押えフープ１８
と対向する面（図上上面）には、このカバー１３
の開放面側（ベース部材１２側）に開放するボル
ト挿入溝１９が設けられており、またこのカバー
１３のボルト挿入溝形成面の内面は、円筒面状に
凹入するナツト受け面２０とされている。

また、２１は前記ヘツド押えフープ１８に挿通
されたフープ締付けボルト、２２は前記フープ締
付けボルト２１と螺合されるナツトであり、前記
フープ締付けボルト２１は、前記ボルト挿入溝１
９にカバー１３の開放面側に抜き外し可能に挿入
されてカバー１３内に挿入されている。

また、前記ナツト２２は、円柱状の横長金属材
の中央部に、その軸方向に対して垂直にネジ孔２
３を通設したもので、このナツト２２の外側に
は、前記ネジ孔２３の両端と合致する位置に前記
フープ締付けボルト２１のネジ部の外径より小径
なボルト嵌合孔２５を穿設した合成樹脂製の弾性
筒２４が密嵌させてある。

前記弾性筒２４は、ドラム演奏時の振動で前記
フープ締付けボルト２１が緩むのを防ぐためのも
ので、この弾性筒２４は、第４図に示すように、
そのボルト嵌合孔２５に嵌挿された前記フープ締
付けボルト２１のネジ部を前記ボルト嵌合孔２５
の内周面の弾性変形によりボルト２１のネジ山と
密着するようにつかんで、前記フープ締付けボル
ト２１を振動程度では回り動かないように保持す
るようになつている。

そして、前記弾性筒２４を密嵌させた前記ナツ
ト２２は、前記フープ締付けボルト２１に螺合さ
せた状態で前記フープ締付けボルト２１を前記カ
バー１３のボルト挿入溝１９にその開放端から挿
入することによつて、前記フープ締付けボルト２
１に螺合させた状態のまま前記カバー１３の開放
面側に抜き出し可能に前記カバー１３内に挿入さ
れており、このナツト２２は、前記カバー１３の
ナツト受け面２０（ボルト挿入溝形成面の内面）
に受け止められて前記フープ締付けボルト２１の
締付けによるドラムヘツドａの緊張力を受けるよ
うになつている。

しかして、ドラムヘツドａの交換を行なう場合
は、まず前記フープ締付けボルト２１を緩めて前
記ナツト２２をカバー１３のナツト受け面２０か
ら離間させ、この状態で前記カバー１３を第２図
に鎖線で示した状態に回動させて、前記フープ締
付けボルト２１をカバー１３のボルト挿入溝１９
からカバー１３の開放面側に抜き外すと共に、こ
のフープ締付けボルト２１に螺合されている前記
ナツト２２をそのままフープ締付けボルト２１と
一緒にカバー１３の開放面側に抜き出して、前記
フープ締付けボルト２１をナツト２２を螺合させ
たまま第２図に鎖線で示すように上方に引上げる
ことにより、このフープ締付けボルト２１と共に
ヘツド押えフープ１８をドラム胴Ａから外してや
ればよく、また、ドラムヘツドａを交換した後
は、上記ヘツド押えフープ１８の取外し手順と逆
の手順でヘツド押えフープ１８をセツトすると共
にフープ締付けボルト２１とナツト２２とを前記
カバー１３に挿入してカバー１３をベース部材１
２側に回動させてやればよい。

従つてこのドラムヘツド緊張具によれば、従来
のようにフープ締付けボルトをナツトから完全に
抜き外してやる必要はないし、またドラムヘツド
ａを交換した後にフープ締付けボルトを再びナツ
トに螺合させ直す必要もないから、前記フープ締
付けボルトと共にヘツド押えフープをドラム胴か
ら外して行われるドラムヘツドの交換を容易にか
つ短時間で行なうことができる。

また、このドラムヘツド緊張具においては、フ
ープ締付けボルト２１にナツト２２を螺合させた
状態のままフープ締付けボルト２１を緊張具本体
１１から外せるようにしているために、従来のド
ラムヘツド緊張具のように緊張具本体内にナツト
を緊張具本体内面に押圧するコイルスプリングを
設けてフープ締付けボルトを外した時でもナツト
が落下しないようにしておく必要はなく、従つて
前記コイルスプリングも不要であるから、従来の
ドラムヘツド緊張具の欠点の一つであつた、ドラ
ム演奏時のドラムの振動によりコイルスプリング
が振動して振動音（このコイルスプリングの振動
音は素人にはほとんど分らないが、プロのドラマ
ーはかなり気にしている）を発生するという問題
も解決することができる。

なお、上記実施例ではカバー１３をドラム胴Ａ
の周方向に沿う支軸１６に枢支して縦方向に回動
させるようにしているが、このカバー１３はドラ
ム胴の軸方向に沿う支軸に枢支して横方向に回動
させるようにしてもよく、その場合はカバーのヘ
ツド押えフープ１８と対向する側面にカバーの開
放面に開放するボルト挿入溝を設けると共にこの
側面の内面をナツトの受け止め面とすればよい。

〔考案の効果〕

この考案によれば、フープ締付けボルトをナツ
トから完全に抜き外さなくてもフープ締付けボル
トを緊張具本体から外すことができ、従つて、フ
ープ締付けボルトと共にヘツド押えフープをドラ
ム胴から外して行われるドラムヘツドの交換を容
易にかつ短時間で行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のドラムヘツド緊張具を示すドラ
ム取付け状態の縦断側面図、第２図及び第３図は
この考案の一実施例を示すドラムヘツド緊張具の
ドラム取付け状態の縦断側面図及びドラムヘツド
緊張具の分解斜視図、第４図は第２図のフープ締
付けボルトとナツトとの螺合部分の拡大図であ
る。 Ａ……ドラム胴、ａ……ドラムヘツド、１１…
…緊張具本体、１２……ベース部材、１３……カ
バー、１６……支軸、１８……ヘツド押えフー
プ、１９……ボルト挿入溝、２０……ナツト受け
面、２１……フープ締付けボルト、２２……ナツ
ト、２４……弾性筒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドラム胴の外面に取付けられる緊張具本体と、
   ドラムヘツドの外周を押えるヘツド押えフープに
   挿通されると共に前記緊張具本体内のナツトに螺
   合されて前記ヘツド押えフープをドラム胴側に締
   付けるフープ締付けボルトとからなるドラムヘツ
   ド緊張具において、前記緊張具本体を、ドラム胴
   外面に取付けられるベース部材と、前記ベース部
   材にこのベース部材に対して接離回動可能に枢支
   されたカバーとから構成し、かつ前記カバーは前
   記ベース部材と対向する面が開放する箱形のもの
   とすると共に、このカバーの前記ヘツド押えフー
   プと対向する面にこのカバーの開放面側に開放す
   るボルト挿入溝を設けてこのボルト挿入溝に前記
   フープ締付けボルトを前記カバーの開放面側に抜
   き外し可能に挿入し、さらに前記フープ締付けボ
   ルトに螺合されるナツトを、前記フープ締付けボ
   ルトに螺合させた状態のまま前記カバーの開放面
   側に抜き出し可能にカバー内に挿入して、このナ
   ツトを前記カバーのボルト挿入溝形成面の内面に
   受け止めさせたことを特徴とするドラムヘツド緊
   張具。