JPS6331266Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はテープカセツトのパツドばねに関す
る。

テープカセツトのパツドばねは、周知のように
板ばねで形成されており、テープカセツト前面の
窓孔に沿つてカセツト内に展張された磁気テープ
の背面側に配設されて、窓孔から進入した磁気ヘ
ツドに、パツドを介してテープを圧接させる役目
をしている。

このパツドばね１は、従来第１図ａ，ｂに示す
ように、その動作支点となる２個の突起２ａ，２
ｂ、を中央部に設け、中央の折り曲げ部から夫々
延在させた自由端部３ａ，３ｂにパツド４ａ，４
ｂを貼着させている。

このように構成されたパツドばね１に対して、
ヘツド５をパツド４ｂに向けて進入させると、こ
の位置でヘツド５はP′点で最初にパツド４ｂに当
接する。さらに、ヘツド５が完全に入り込んで距
離ｘだけ移動するとヘツド５とパツド４ｂの当接
点は、Ｐ点に移動する。

即ち、テープ走行方向（図では左右方向）にＡ
だけ当接位置がずれる。なお、ここでパツドばね
１の動作支点となる凸起２ｂが当接する支点受部
６と、パツド４ｂとヘツド５が完全に当接した位
置Ｐまでの距離をｃとし、凸起２ｂからＰ点まで
の距離をＬとする。

ところで、テープレコーダのヘツドは、調整の
困難さから、必ずしも正しい位置に設けられてい
るとは限らない。たとえば、第１図ｄに示すよう
にパツド表面に対してある角度θだけ傾いて設け
られていることが多い。

この場合、ヘツド５がパツド４ｂに最初に当接
してから、完全に当接を完了するまで、距離ａだ
け凸起２ｂがテープ幅方向、即ち図で上下方向に
ずれることになる。

従つて、ヘツドの移動に伴う上記ずれＡ，ａが
大きければ大きい程、ヘツドに対するパツドばね
の追従性が悪くなり、出力低下またはレベル変動
が大きくなる原因となつていた。

そこで、パツドとヘツドの当接時における変位
量を極めて小さくする事がパツドばねを設計する
上で望まれていた。

この考案は上記の要望を満足し、変位量も極め
て少なく、かつパツドとヘツドのなじみをよく
し、良好な録音再生を行う事の出来るテープカセ
ツトのパツドばねを提供することを目的とする。

以下、この考案の一実施例を図面を参照しつつ
説明する。第２図はこの考案のパツドばね１０を
カセツトハーフ１１内に装填した状態を示すもの
で、パツドばね１０の詳細は第３図ａ，ｂを用い
て説明する。パツドばね１０の形状は従来のもの
と殆んど変わりないが、凸状に折曲した中央部１
２の連結部１２ａを巾狭なものとし、中央のキヤ
プスタン軸孔１３を略囲むように形成している。

また、カセツトハーフ１１内に突出した中央部
１２から夫々延在した自由端部１４ａ，１４ｂの
先端部にはパツド１５ａ，１５ｂが夫々貼着して
ある。

更にパツドばね１０の自由端部１４ａ，１４ｂ
の基部、即ち中央部１２に極めて近接した位置
で、しかもパツド１５ａ，１５ｂの裏側に動作支
点となる甲丸状の凸起１６ａ，１６ｂを設けてい
る。

このように形成したパツドばね１０を収納する
カセツトハーフ１１も当然のことながら、動作支
点の固定側となる凸起受け１７ａ，１７ｂを夫々
設けている。

このようにしてパツドばね１０の動作支点とな
る凸起１６ａ，１６ｂを自由端部１４ａ，１４ｂ
の裏側に設けると、パツド１５ａ，１５ｂとの距
離が極めて短いためパツドとヘツドのなじみがよ
くなる。

即ち第４図、第５図を参照してパツドとヘツド
の動作状態を説明すると、第１図ｃで従来のパツ
ドとヘツドの距離等を説明したが、同図を参考に
比較すると、動作支点の凸起とパツドが動作状態
となつたときのパツドばねの距離Ｌと、ヘツドが
パツドに当接するまでの距離ｘを夫々一定とす
る。このように設定すると凸起とパツドが動作状
態となつた時の距離ｃ及びc′はｃ＞c′の関係とな
るから、パツドとヘツドの接触点P′，Q′は夫々
Ｐ，Ｑに移動することになり、その移動量は夫々
Ａ，Ｂとなる。しかし、距離Ｌは、距離ｃ及び距
離c′に対して十分長いため、移動量Ａ，Ｂはほど
んど変わらない。

ところが、ヘツドが当接すべきパツド面に対し
て所定の角度θ傾いている場合は、第１図ｄ及び
第５図から、明らかなように、支点である凸起の
移動量は従来のパツドばねに比べて小さくなる。

第５図において、ヘツド５がバツド１５ｂに向
かつて移動すると、まずパツド１５ｂの上端部が
ヘツド５と当接する。ヘツド５がパツド１５ｂに
向かつてさらに移動すると、パツド１５ｂの上端
部を中心にパツド１５ｂが時計方向に回動するた
め、これに伴つて凸起１６ｂも距離ｂだけ下方に
移動する。

そして、ヘツド５の表面とパツド１５ｂの表面
は、図示しないテープを挾んで実線で示すように
当接する。

上記移動距離ｂはc′＜ｃであるため、第１図ｄ
に示す従来のパツドばねにおける凸起２ｂの移動
距離ａより小さくなる。即ちｂ＜ａとなる。

従つて、この考案のパツドばねによれば、ヘツ
ドがパツド表面に対して傾いていても、ヘツドが
パツドに最初に当接してから当接が完了するまで
の凸起の移動量が従来のものに比べて少なくて済
み、ヘツドとパツドのなじみは極めて良好とな
る。

以上、詳述したようにこの考案のテープカセツ
トのパツドばねによると、 磁気テープが収納されたカセツト内に配設さ
れ、キヤプスタン軸孔を逃げるため凸状に折曲し
た中央部から両側に直線状に延在した夫々の自由
端部の先端部にパツドを貼着し、上記パツドばね
の動作支点となる凸起をそれぞれ上記自由端部の
基部であつて、上記パツドを貼る面の裏側に設け
たので、たとえヘツドがパツド面に対して傾いて
いても、ヘツド当接時におけるパツドばねの移動
量が少なく、ヘツドに対するパツドばねの追従性
がよい。

従つて、ヘツドとパツドのなじみがよくなり、
極めて良好な、記録再生を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のパツドばねを示すものでａ，ｂ
はその構成図、ｃ，ｄはその動作を説明するため
の図、第２図はこの考案の一実施例を説明するた
めのカセツトハーフ、第３図ａ，ｂはこの考案の
一実施例を示す構成図、第４図乃至第５図は同例
の動作を説明するための図である。 ５……ヘツド、１０……パツドばね、１１……
カセツトハーフ、１２……中央部、１３……キヤ
プスタン軸孔、１４ａ，１４ｂ……自由端部、１
５ａ，１５ｂ……パツド、１６ａ，１６ｂ……凸
起、１７ａ，１７ｂ……凸起受。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 磁気テープが収納されたカセツト内に配設さ
   れ、キヤプスタン軸孔を逃げるため凸状に折曲し
   た中央部から両側に直線状に延在した夫々の自由
   端部の先端部にパツドを貼着したパツドばねにお
   いて、上記パツドばねの動作支点となる凸起をそ
   れぞれ、上記自由端部の基部であつて、上記パツ
   ドを貼る面の裏側に設けたことを特徴とするテー
   プカセツトのパツドばね。