JPS6330272Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、歯ブラシの柄の部分に歯間部清掃用
の糸（デンタルフロス）を装着しうるようにした
歯ブラシに関する。

〔従来の技術〕

従来の歯ブラシは歯の咬合面、頬側及び舌側側
面のみが清掃可能であり、歯間部の清掃は極めて
困難である。このため歯間部の清掃不良により、
歯間部から齲蝕が発生することが多い。

歯間部を清掃する用具として、合成繊維等の細
い単繊維を撚りをかけずに多数本束ねた糸よりな
るデンタルフロスが知られ、これを歯車に挿入し
て、摺動することにより、歯間を清掃する方法
が、歯間を清潔に保ち、齲蝕を防止する効果が大
であるとして勧められている。このデンタルフロ
スを細い柄の先に一定間隔を隔てて設けた突起間
に張渡して保持し、固定した歯間清掃器具（フロ
ツサー）も広く知られている。

しかし従来の上記歯間清掃器具は歯ブラシとは
別々になつているため、不便でもあり、歯間清掃
器具のみを購入する人は少なく、その有効性にも
拘わらず、普及率は極めて低い。

そこで、実開昭51−156265号、実開昭52−
148275号、実開昭52−150467号及び実開昭52−
148277号等に開示されるように、歯ブラシの柄の
基端部にＵ字形突起またはＵ字形切欠きを設け、
そのＵ字形の先端間にデンタルフロスを張渡し、
歯ブラシと歯間清掃器具を一体化したものが提案
されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記実開昭51−156265号公報に開示された歯間
清掃器具付き歯ブラシはデンタルフロスが歯ブラ
シの柄に交換不能に固着されており、デンタルフ
ロスは歯ブラシのブラシ部分に比較して遥かに速
く消耗するため、歯ブラシの寿命半ば以前にデン
タルフロスが損耗して、歯間清掃に充分役立たな
いという欠点があつた。

実開昭52−148275号及び実開昭52−150467号公
報に記載された歯間清掃器具付き歯ブラシは上記
の欠点に鑑みて、Ｕ字形枠に張渡したデンタルフ
ロスを、歯ブラシの柄に交換可能に取付けたもの
であるが、その取付け構造が不安定であつて、デ
ンタルフロスが歯ブラシの柄に確実に固定され
ず、その歯ブラシの柄を持つて歯間を清掃する際
にがたついて、使用に不都合である。

実開昭52−148277号公報に記載された歯間清掃
器具付き歯ブラシは、歯ブラシの柄の基端部に２
つの孔を穿け、デンタルフロス上に短い間隔で先
端をそれぞれ固定した２本の細いピンをその２つ
の孔にそれぞれ嵌着して、デンタルフロスを歯ブ
ラシの柄に交換可能に固着してあるが、細いピン
が歯ブラシの柄から横方向に大きく突出して、そ
の先端にデンタルフロスが張設されているため、
デンタルフロスに充分大きな張力を付与すること
ができない。デンタルフロスの張力が小さいと、
極めて密着した歯間にデンタルフロスを挿入し
て、磨くのが困難である。

従つて本考案は歯ブラシの柄にデンタルフロス
を着脱交換可能に取付けることができ、そのデン
タルフロスの固定が確実で、且つ、デンタルフロ
スを大きな張力で張設することができる、歯間清
掃器具付き歯ブラシを提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成すべく、本考案者は鋭意研究を
重ねた結果、歯ブラシの柄の基端部に凹部を設け
その凹部の入口の両側の互に対向する位置に、そ
れぞれデンタルフロスの両端に固着したピンを嵌
合するピン装着孔を穿け、その２つのピン装着孔
の互に対向する側の壁を切欠いて開放することに
より、ピン装着孔に挿入されたピンの部分の間に
デンタルフロスを張渡すことができ、大きな張力
でデンタルフロスを張設することができることを
見いだし、本考案を完成するに至つた。

即ち、本考案は弾性を有する歯ブラシの柄の基
端部に凹部を形成し、該凹部の入口の両側の互に
対向する位置にそれぞれ、該入口の両端部を結ぶ
直線に対して略直角方向に、ピン装着孔を穿孔
し、且つ２本の該ピン装着孔の互に対向する側の
壁の少なくとも一部に切欠き部を設け、一方合成
繊維の細い単繊維を多数束ねてなるデンタルフロ
スに、該ピン装着孔の間隔より若干短い一定距離
を隔てて２本のピンを固着し、該ピンをそれぞれ
該ピン装着孔に着脱可能に嵌着し、該デンタルフ
ロスを該切欠き部を通して張設したことを特徴と
する歯間清掃器具付き歯ブラシを要旨とする。

次に本考案の内容を図面により詳細に説明す
る。第１図は本考案の歯間清掃器具付き歯ブラシ
の斜視図であり、第２図は同要部の斜視図であ
る。

図面において、歯ブラシ１の柄２の基端部にＣ
字状の凹部３を形成し、その凹部３の入口の両側
の対向する位置に、その入口の両端を結ぶ線に対
して直角方向に、それぞれ小径の円筒状の孔より
なるピン装着孔４を穿孔し、且つそのピン装着孔
４の壁面のうち凹部３の入口に面し、互に他のピ
ン装着孔４に対向する側の壁面には切欠き部８を
設けて開放してある。歯ブラシ１の柄２は若干弾
性を有する合成樹脂等により成形するのが望まし
い。

一方、合成繊維の細い単繊維を多数撚り合わせ
ずに束ねてなるデンタルフロス５の両端に一定距
離を隔てて２本のピン６を固着し、そのピン６を
それぞれピン装着孔４に着脱自在に嵌合する。デ
ンタルフロス５に固着するピン６の間隔は、ピン
装着孔４の間隔よりも若干短くし、ピン６をピン
装着孔４に嵌着したとき、柄２の基端部の凹部を
囲むＣ字状の湾曲部７の弾力により、デンタルフ
ロス５に強い張力がかかるようにする。

凹部３の形状は図示のＣ字状に限定されず、Ｕ
字状、Ｖ字状その他の形状であつてよく、その周
囲の湾曲部７がデンタルフロス５に適当な張力を
与えるために必要な弾力を保持しうる太さであれ
ばよい。

ピン６及びピン装着孔４は断面が円形である必
要はなく、任意の断面形状であつてよい。またこ
れらに緩いテーパーを付してもよい。

ピン装着孔４の互に対向する側の壁面はピン装
着孔４の全長にわたつて切欠いて開放する必要は
なく、その一部が繋がつた状態であつてもよい。

デンタルフロス５にピン６を固着する方法はピ
ン６の周りにデンタルフロス５を巻付けて固定し
てもよいが、ピン６の間隔を一定に、確実に固着
するために、熱可塑性合成樹脂でピン６を構成
し、その成形時にデンタルフロス５を封入するよ
うにして、成形するのが最も好ましい。

〔作用〕

本考案の歯ブラシ１の柄２の凹部３の周りの湾
曲部７の弾力により、デンタルフロス５は常に適
当な張力に保たれる。ピン６に固着したデンタル
フロス５はピン装着孔４に嵌合されたピン６から
ピン装着孔４の切欠き部８を経て引き出されるの
で、デンタルフロス５に大きな張力がかかつて
も、ピン６及びピン装着孔４に無理な力がかかる
虞がない。一定の間隔で両端にピン６を固着した
デンタルフロス５を多数用意しておけば、歯ブラ
シ１が消耗するまでに、デンタルフロス５が切断
するたたびにこれを何度も取り替えることがで
き、常に新しい適当な張力に張設されたデンタル
フロス５を使用することができる。

〔宰案の効果〕

考案明の歯間清掃器具付き歯ブラシによれば、
歯ブラシの柄にデンタルフロスを着脱交換可能に
取付けることができ、そのデンタルフロスの固定
が確実で、且つ、デンタルフロスを大きな張力で
張設することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の歯間清掃器具付き歯ブラシの
一例の斜視図、第２図は同一部拡大斜視図であ
る。 １……歯ブラシ、２……柄、３……凹部、４…
…ピン装着孔、５……デンタルフロス、６……ピ
ン、７……湾曲部、８……切欠き部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弾性を有する歯ブラシの柄の基端部に凹部を形
   成し、該凹部の入口の両側の互に対向する位置に
   それぞれ、該入口の両端部を結ぶ直線に対して略
   直角方向に、ピン装着孔を穿孔し、且つ２本の該
   ピン装着孔の互に対向する側の壁の少なくとも一
   部に切欠き部を設け、一方合成繊維の細い単繊維
   を多数束ねてなるデンタルフロスに、該ピン装着
   孔の間隔より若干短い一定距離を隔てて２本のピ
   ンを固着し、該ピンをそれぞれ該ピン装着孔に着
   脱可能に嵌着し、該デンタルフロスを該切欠き部
   を通して張設したことを特徴とする歯間清掃器具
   付き歯ブラシ。