JPS6327452Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、レーダ用アンテナに用いられるスロ
ツト導波管等の製作時に使用される工具に関する
ものである。

通常、スロツトアレイアンテナ素子として用い
られる導波管は、第１図図示の如く引き抜き法等
によつて作られた中空断面短形導波管１の導波管
壁となる一面１ａにスリツト２を多数切り込まれ
た構造になつている。導波管壁の一面１ａに切り
込まれたスリツト２を通して発射される電波の位
相及び強度は、相隣するスリツト２の間隔、スリ
ツト２の幅、切り込まれるスリツト２の傾斜角に
より制御され、最終的にスロツトアレイアンテナ
として所期の指向性が得られるようにスリツト２
が切り込まれる。

このスリツト２の切り込みに当つて、スリツト
２の切削加工は例えばミーリング機械等によつて
なされるが、加工後に第２図図示の如く所謂カエ
リ３，４が発生する。このカエリ３，４は上記説
明の如くスリツト２から発射される電波の位相及
び強度に重大な影響を与え、アンテナとして所期
の指向性が得られなくなるので、除去されねばな
らない。ところで、このカエリ３，４は切削加工
された各スリツト２毎に生ずるものであるから、
スロツトアレイアンテナ素子の長いもの、例えば
６フイートの中空断面短形導波管１にあつては、
数多くのスリツト２が切り込まれるため数多くの
カエリ３，４が発生する。そして中空断面短形導
波管１が長いため、その両端部に近いスリツト２
で発生するカエリ３，４は容易に取り除けるが、
中央部に切り込まれたスリツト２の切削加工によ
つて発生するカエリ３，４の取り除きは極めて困
難であつた。またアンテナとして所期の指向性を
得るために、スリツト２の切り込みの深さの機械
的誤差は、例えば±3/100mm以下の精度を必要と
しており、各スリツト２に発生したカエリ３，４
の取り除き作業は細心の注意を払つて行なわねば
ならず、カエリ３，４の除去作業に長時間を必要
とし、しかも上記説明の如く、中空断面短形導波
管１の中央部に切り込まれたスロツト２のカエリ
３，４について充分なカエリの取り除きができな
いでいた。

本考案は、上記の点を解決することを目的とし
ており、短時間にかつ充分なカエリの取り除きが
行なわれ得るスロツト導波管用工具を提供するこ
とを目的としている。そしてそのため本考案のス
ロツト導波管用工具はガイド穴が穿設された台材
と、該台材に穿設されたガイド穴に嵌挿されたね
じをガイドにして摺動可能に該台材と連結すると
共に、弾性体を介して上記台材を押圧する中間台
材と、中空断面矩形導波管にスリツトを切り込ん
だ際、スリツト切込み面の内壁に生じたカエリを
除去する上面刃と、その両側内壁に生じたカエリ
を除去する側面刃とをそれぞれ有する２個の矢形
切刃であつて上記台材と反対側の中間台材上にそ
れぞれ枢着され、かつ側面刃を相対向し相互に弾
性体で押圧している矢形切刃とを備え、中空断面
短形導波管の内面を圧接しながら上記側面刃と上
面刃とで中空断面短形導波管の内面に生じたカエ
リを取り除くようにしたことを特徴としている。
以下第３図以降の図面を参照しながら本考案に係
るスロツト導波管用工具の一実施例を説明する。

第３図は本考案に係るスロツト導波管用工具の
正面図、第４図はその側面図、第５図はその裏面
図、第６図は本考案に係るスロツト導波管用工具
の使い方を説明している説明図を示している。

第３図ないし第５図において、５は中間台材で
あり、該中間台材５上に矢形切刃６，７がねじ
８，９でそれぞれ枢着されている。矢形切刃６に
は側面刃６ａ及び上面刃６ｂが形成されており、
また矢形切刃７にも側面刃７ａ及び上面刃７ｂが
形成されている。矢形切刃６，７の側面刃６ａ，
７ａ側にバネ１０が埋め込まれており、該バネ１
０の弾性力によつて矢形切刃６，７は第３図図示
の如く扇形にやや開いている。この状態における
矢形切刃６，７の相対向する側面刃６ａ，７ａの
距離E₁は第２図図示の中空断面短形導波管１の
内径寸法Ｅより大きく、また矢形切刃６，７の側
面刃６ａ，７ａが形成されていない側の寸法E₂
は上記中空断面短形導波管１の内径寸法Ｅより少
し短かくなつている。

台材１１は該台材１１を貫通して設けられたガ
イド穴を介し、上記中間台材５に取り付けられた
ねじ１２をガイドに摺特可能に上記中間台材５と
連結され、さらに台材１１と中間台材５との間に
バネ１３が埋め込まれている。そして第４図図示
の如く矢形切刃６，７の上面刃６ｂ，７ｂの上端
面から台材１１の下端面までの距離H₁は第２図
図示の中空断面短形導波管１の内径寸法Ｈより少
し大きく構成される。

矢形切刃６，７の側面刃６ａ，７ａ側の中間台
材５の一端に設けられたねじ１４は中空断面短形
導波管１内に本考案に係るスロツト導波管用工具
を導入し、摺動させる際に必要となる紐或いは鎖
等を取り付けるために設けられている。

次に上記の如く構成された本考案に係るスロツ
ト導波管用工具の使用例を第６図を用いて説明す
る。

ねじ１４に紐或いは鎖を取り付け、スリツト切
削加工後の中空断面短形導波管１の一端より上記
紐或は鎖を通し、中空断面短形導波管１の他端か
ら引き出す（この時自重で中空断面短形導波管１
内を滑りながら通すには紐よりは鎖又は紐の先に
鎖等のおもりを結んだものが好都合である）。本
考案に係るスロツト導波管用工具を中空断面短形
導波管１の内側に挿入するに当つて、相対向して
いる側面刃６ａ，７ａ部を押してバネ１０を圧縮
させると共に、上面刃６ｂ，７ｂの上端面と台材
１１の下端面とを押しバネ１３を圧縮させる。こ
の時側面刃６ａ，７ａがスリツト２に当たる向き
に挿入されることは言うまでもない。本考案に係
るスロツト導波管用工具を中空断面短形導波管１
の内側に挿入されると、矢形切刃６，７の側面刃
６ａ，７ａ部はバネ１０の弾性力によつてねじ
８，９を支点に中空断面短形導波管１の内壁を適
度の強さ（この強さはバネ１０の弾性定数の適当
なものを選定することによつて得られる）で押圧
する。また矢形切刃６，７の上面刃６ｂ，７ｂ部
はバネ１３の弾性力によつて中空断面短形導波管
１のスリツト２が切り込まれた内壁を適度の強さ
（この強さもバネ１３の弾性定数の適当なものを
選定することによつて得られる）で押圧する。中
空断面短形導波管１の他端から引き出された紐或
いは鎖を引くことにより、中空断面短形導波管１
の内側に挿入された矢形切刃６，７の側面刃６
ａ，７ａは各スリツト個所に発生しているカエリ
３を切り取り、矢形切刃６，７の上面刃６ｂ，７
ｂは各スリツト個所に発生しているカエリ４を切
り取る。

このようにして中空断面短形導波管１のスリツ
ト全部について一方向に紐或いは鎖を引いてカエ
リ３，４を取り除くことができるが、この作業を
完全にするためには中空断面短形導波管１の反対
方向から本考案に係るスロツト導波管用工具を挿
入し摺動させる。

なお、本考案は上記説明の実施例に限定される
ものではなく、側面刃及び上面刃を中空断面短形
導波管の内壁を適当な強さで押圧しながら摺動さ
せカエリを取り除く構成のスロツト導波管用工具
は、すべて本考案に含まれる。

以上説明した如く、本考案によれば、極めて簡
単な構成で数多くのカエリを確実にかつ短時間で
取り除くことができる。そして特別の訓練を必要
としないので、熟練者でなくても熟練者によるも
のと同様の仕上りの作業ができ、製品の均一化が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はスロツト導波管の構造説明図、第２図
はスリツト切削加工により生ずるカエリの発生説
明図、第３図は本考案に係るスロツト導波管用工
具の正面図、第４図はその側面図、第５図はその
裏面図、第６図は本考案に係るスロツト導波管用
工具の使い方を説明している説明図を示してい
る。 図中、１は中空断面短形導波管、２はスリツ
ト、３，４はカエリ、５は中間台材、６は矢形切
刃、６ａは側面刃、６ｂは上面刃、７は矢形切
刃、７ａは側面刃、７ｂは上面刃、１０はバネ、
１１は台材、１３はバネをそれぞれ表わしてい
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガイド穴が穿設された台材と；該台材に穿設さ
   れたガイド穴に嵌挿されたねじをガイドにして摺
   動可能に該台材と連結すると共に、弾性体を介し
   て上記台材を押圧する中間台材と；中空断面矩形
   導波管にスリツトを切り込んだ際、スリツト切込
   み面の内壁に生じたカエリを除去する上面刃と、
   その両側内壁に生じたカエリを除去する側面刃と
   をそれぞれ有する２個の矢形切刃であつて上記台
   材と反対側の中間台材上にそれぞれ枢着され、か
   つ側面刃を相対向し相互に弾性体で押圧している
   矢形切刃とを備えたスロツト導波管用工具。