JPS6327177Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車用自動変速機において変速を
行なわせるために用いるバンドタイプのブレーキ
装置に関するものである。

（従来技術） 自動車用自動変速機としては、トルクコンバー
タ、多段変速トランスミツシヨンおよび油圧制御
装置を有し、多段変速トランスミツシヨンは遊星
歯車列およびこの遊星歯車列の動力伝達径路を切
換えるクラツチ・ブレーキ群からなり、このクラ
ツチ・ブレーキ群の作動を油圧制御装置により制
御するようにしたものがよく用いられている。

この時のブレーキ装置としては、デイスクタイ
プのブレーキと、バンドタイプのブレーキがあ
り、その使用条件や使用スペースとの関係で両者
が使い分けされている。バンドブレーキを使用す
る例として、例えば、実開昭57−65267号に開示
されているように、ブレーキバンドの一端をこの
ブレーキの作動を行なわせるサーボピストンに係
合し、他端を外方からトランスミツシヨンケース
に螺合するボルトにより固定支持するものがあ
る。この場合には、このボルトの螺合量を調整す
ることにより、ブレーキバンドの遊び調整等がで
きるという利点があるのであるが、トランスミツ
シヨンケースにこのボルトを螺合させるための肉
盛りを設け、ボルト取付けスペースも設ける必要
がある。特にブレーキバンドはブレーキ容量を十
分に確保するため等の要求から、最外径部近傍に
設けられるのが通常であり、上記のような肉盛
り、取付スペース等を設けると、トランスミツシ
ヨンケースが一部外方へ突出して変速機が大きく
なる恐れがある。

（考案の目的） 本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
で、簡単でしかもスペースをとらないようにブレ
ーキの遊び調整機構をサーボピストン装置に設け
るとともにの固定支持端であるアンカーエンド部
の固定支持構造が簡単で且つスペースをとらない
ような自動車用自動変速機のブレーキ装置を提供
することを目的とするものである。

（考案の構成） 本考案の自動車用自動変速機のブレーキ装置
は、自動変速機の変速を行なわせるブレーキバン
ドと該ブレーキバンドを作動させるサーボピスト
ン装置を備えたブレーキ装置であつて、該ブレー
キバンドの一方のアンカーエンド部を一端におい
て支持する支持ロツドと、該支持ロツドの他端を
回動自在に支持する支持ピンとを有してなり、上
記支持ロツドの他端はトランスミツシヨンケース
の内壁に形成された凹陥部に受容され、上記支持
ピンは上記トランスミツシヨンケースのオイルポ
ンプカバーとの合わせ面から穿けられた上記凹陥
部を貫通する有底の穴内に挿入され、その一端が
上記オイルポンプカバーにより抜け止めされてお
り、この凹陥部において上記支持ロツドの他端を
支持しているとともに、上記サーボピストン装置
は、上記ブレーキバンドの他方のアンカーエンド
部を支持するピストンロツドと、トランスミツシ
ヨンケースに形成されたシリンダ孔内に配設され
るとともに上記ピストンロツドが貫通螺合される
ピストンと、上記ピストンロツドの後端に螺合さ
れ上記ピストンロツドとピストンとの調整位置を
固定する保持部材と、を備えて構成されているこ
とを特徴とするものである。

（実施例） 以下、図面により、本考案の実施例について説
明する。

第１図は本考案によるブレーキ装置を備えた自
動変速機を断面して示す図である。この自動変速
機は、紙面に垂直な軸を有する遊星歯車列を中央
部６（詳細は図示せず）に有し、この遊星歯車列
を囲むように同軸に配されたブレーキドラム５
は、遊星歯車列の一部（例えば、リングギヤ）と
連結している。このドラム５を巻回してブレーキ
バンド４が配され、このブレーキバンド４の一方
のアンカーエンド部４ａは支持ロツド３の一端３
ａにより支持されている。支持ロツド３の他端３
ｂには、挿入孔３ｃが設けられており、この挿入
孔３ｃに支持ピン２が挿入され、支持ピン２に対
し支持ロツド３が回動自在になつている。この支
持ピン２は、上記遊星歯車列等を内蔵するトラン
スミツシヨンケース１に支持されて配され、この
ため、ブレーキバンド４の一方のアンカーエンド
部４ａは支持ロツド３および支持ピン２を介して
トランスミツシヨンケース１により固定支持され
ることになる。

一方、ブレーキバンド４の他方のアンカーエン
ド部４ｂは、サーボピストン装置１０のピストン
ロツド１１の先端１１ａが当接し、これに支持さ
れるようになつていて、サーボピストン装置１０
が作動してピストンロツド１１が図中において上
動した時、ピストンロツド１１の先端１１ａがブ
レーキバンド４の他方のアンカーエンド部４ｂを
押し、ブレーキバンド４をブレーキドラム５に押
し付けて、両者の間の摩擦力によりブレーキドラ
ム５の回転を止めるようになつている。サーボピ
ストン装置１０は、トランスミツシヨンケース１
に形成された図中上下方向のシリンダ孔１ａ内
に、ピストンロツド１１の後端１１ｂと螺合する
ピストン１２と後部蓋１６とを挿入してなり、後
部蓋１６はシリンダ孔１ａ内の溝に固定されたス
ナツプリング１７により外れないように止めら
れ、ピストン１２はスプリング１３により後部蓋
１６の方に付勢されている。

上記シリンダ孔１ａ内において、ピストン１２
と後部蓋１６とに囲まれたシリンダ室１４内に所
定の油圧が供給されると、ピストン１２はスプリ
ング１３の付勢力に抗して図中上動し、このピス
トン１２と螺合するピストンロツド１１も共に上
動する。すなわち、サーボピストン装置１０が作
動し、このピストンロツド１１により上述の如く
ブレーキドラム５の回転が阻止されるのである。
ブレーキドラム５の回転が阻止されると、中央部
６に配された遊星歯車列の動力伝達径路が変えら
れて変速がなされる。そして、上記ブレーキ装置
における、ブレーキの遊びの調整は、ピストン１
２とピストンロツド１１の螺合量を調整して行な
い、調整後は保持部材たるナツト１５により両者
の位置関係がずれないように固定される。

一方、上記シリンダ室１４内への油圧供給は、
図中左方においてトランスミツシヨンケース１に
取り付けられたトランスミツシヨンバルブ７によ
つて制御される。このトランスミツシヨンバルブ
７は自動車の負荷、速度等の走行状態に応じて、
遊星歯車列の伝達径路を切換えるクラツチ・ブレ
ーキ群を作動させる油圧を、各クラツチもしくは
ブレーキに選択的に供給するものであり、上記シ
リンダ室１４にも所定の走行状態の時に所定の油
圧供給がなされる。

第２図は、第１図の自動変速機の支持ロツド
３、ブレーキバンド４およびブレーキドラム５を
取り出して示す図であり、第１図と同一個所には
同一符号を付して示している。なお、詳細につい
ては第１図と同じなので説明を省略する。

第３図は、第１図の自動変速機における支持ロ
ツド３の取付部を矢印Ａ−Ａに沿つて切断して示
す図である。トランスミツシヨンケース１の後端
には、トランスミツシヨンバルブ７等への油圧供
給を行なうためのオイルポンプを取り付けるオイ
ルポンプカバー８が取り付けられており、このオ
イルポンプカバー８との合わせ面から、トランス
ミツシヨン軸と平行に止まり穴１ｃが穿けられて
いる。一方、トランスミツシヨンケース１の内壁
には凹陥部１ｂが設けられており、上記止まり穴
１ｃはこの凹陥部１ｂを貫通している。止まり穴
１ｃには支持ピン２が挿入され、凹陥部１ｂ内に
は支持ロツド３の挿入孔３ｃを有する他端３ｂが
受容されていて、この挿入孔３ｃに支持ピン２が
入り込んで支持ロツド３が支持ピン２に枢着され
ている。このため、支持ロツド３は支持ピン２を
介してトランスミツシヨンケース１に回動自在に
支持される。また、止まり穴１ｃはオイルポンプ
カバー８により塞がれるので、支持ピン２は特別
な抜け止めを設けることもなく抜けないようにな
つている。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、サーボ
ピストン装置のピストンロツドをピストンに貫通
螺合するとともに保持部材で両者の調整位置を固
定することによりブレーキバンドの遊び調整を行
うようになつているので、遊び調整のための機構
を簡単に構成することができる。また、これによ
り、ブレーキバンドの一方のアンカーエンド部を
支持する支持ロツドには遊び調整機能を持たせる
必要がなくなるので、トランスミツシヨンケース
にボルトを螺着する必要やこのボルト螺着用のス
ペースを確保するためにトランスミツシヨンケー
スに肉盛りをする必要もなくなり、トランスミツ
シヨンケースの一部外方突出を防止してスペース
の有効利用を図ることができる。しかも、上記支
持ロツドを支持ピンを介してトランスミツシヨン
ケースに回動自在に取り付けるにあたり、上記支
持ピンは、トランスミツシヨンケースの止まり穴
に挿着されるとともにオイルポンプカバーにより
抜け止めがなされる構成となつているので、トラ
ンスミツシヨンケースに螺着する必要がなく、し
たがつて、ブレーキ装置の組付作業性向上および
構成の簡素化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるブレーキ装置を備えた自
動変速機の断面図、第２図は第１図のブレーキ装
置を取り出して示す正面図、第３図は第１図にお
ける矢印Ａ−Ａに沿つて切断して支持ロツド取付
部を示す断面図である。 １……トランスミツシヨンケース、１ａ……シ
リンダ孔、１ｂ……凹陥部、１ｃ……止まり穴、
２……支持ピン、３……支持ロツド、４……ブレ
ーキバンド、５……ブレーキドラム、７……トラ
ンスミツシヨンバルブ、８……オイルポンプカバ
ー、１０……サーボピストン装置、１１……ピス
トンロツド、１５……ナツト（保持部材）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動変速機の変速を行なわせるブレーキバンド
   と該ブレーキバンドを作動させるサーボピストン
   装置を備えたブレーキ装置であつて、 該ブレーキバンドの一方のアンカーエンド部を
   一端において支持する支持ロツドと、 該支持ロツドの他端を回動自在に支持する支持
   ピンとを有してなり、 上記支持ロツドの他端はトランスミツシヨンケ
   ースの内壁に形成された凹陥部に受容され、 上記支持ピンは上記トランスミツシヨンケース
   のオイルポンプカバーとの合わせ面から穿けられ
   た上記凹陥部を貫通する有底の穴内に挿入され、
   その一端が上記オイルポンプカバーにより抜け止
   めされており、この凹陥部において上記支持ロツ
   ドの他端を支持しているとともに、上記サーボピ
   ストン装置は、上記ブレーキバンドの他方のアン
   カーエンド部を支持するピストンロツドと、トラ
   ンスミツシヨンケースに形成されたシリンダ孔内
   に配設されるとともに上記ピストンロツドが貫通
   螺合されるピストンと、上記ピストンロツドの後
   端に螺合され上記ピストンロツドとピストンとの
   調整位置を固定する保持部材と、を備えて構成さ
   れていることを特徴とする自動車用自動変速機の
   ブレーキ装置。