JPS6324112Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は精錬・製鋼過程において酸素ガスと
共に粉粒状物質を供給するための上吹きランスに
か関するものであ。

従来の技術 例えば転炉製鋼法において、上吹きランスから
酸素ガスと共にCaO等の造滓材やMn等の脱酸剤
を吹き込むことは周知の通りであるが、最近で
は、冷材（スクラツプ）の増量を図るために、粉
状炭素含有物質を酸素と共に吹き込んで熱源を補
償することが行なわれるようになつてきている。
例えば特開昭58−144409号公報においては、微粉
炭素をランスノズルの中心部から噴射し、酸素ガ
スをその周辺部のノズル孔から噴射する方法が提
案されている。また特開昭58−181846号公報にお
いては、上吹き多孔ランスの中心部から粉状炭素
物質を噴射し、その周辺部のノズル孔からCrや
Mn等の金属鉱石を粉粒状にして酸素ガスと共に
吹き込み、金属鉱石を溶融還元して合金鉄を製造
する技術が提案されている。

考案が解決しようとする問題点 熱源補償のための粉粒状物質を酸素ガスと同時
に吹き込む場合、両者の量的な比率を一定に保
ち、また炭素噴出流と酸素流との混合燃焼位置を
適宜に調整することが望まれ、そのためには酸素
噴射孔の開口面積および角度を変えることが必要
である。しかるに前述した従来の上吹きランスに
あつては、粉粒状物質の噴射流の周囲に酸素ガス
を噴射することができるが、本体部分からノズル
までの全体を一体構造としてあるために、噴射量
や噴射速度、あるいは酸素ガスの噴射角度を変え
るにはランス自体を交換しなければならず、その
ために噴射量や噴射角度等の変更作業に多大の時
間を要し、その結果、稼働率が低下して生産性が
悪くなり、また多種類のランスを準備しておく必
要があるために設備コストが高くなる問題があつ
た。

この考案は上記の事情に鑑み、酸素ガスの噴射
速度や噴射角度の変更を容易に行なうことのでき
る上吹きランスを提供することを目的とするもの
である。

問題点を解決するための手段 この考案は、上記の目的達成するために、粉粒
状物質供給用の内管の先端部と、その内管に対し
同心状に配置した２重管構造の冷却管の先端内周
部とに、ノズルカラーを着脱自在に取付けるとと
もに、これらのノズルカラーのうち少なくとも冷
却管に取付けたノズルカラーの先端内周面を、前
記内管と冷却管との間の酸素供給用管路を経て送
られる酸素ガスを中心側に向かう酸素ジエツトと
する先細りのテーパ面とし、そのテーパ面と前記
内管に取付けたノズルカラーの先端外周面との間
の間隔を規定する突起部を、前記テーパ面とこれ
に対向する面とのいずれか一方に突出退入自在に
設けたことを特徴とするものである。

作 用 したがつてこの考案においては、内管に取付け
るノズルカラーおよび冷却管に取付けるノズルカ
ラーとして、先端部の形状の異なる多種類のもの
を用意しておき、そのうちの適宜のものを取付
け、また交換すれば、酸素ガスの噴射孔の角度や
粉粒状物質噴射口の開口面積が変り、また突起部
の突出長さを変えることにより、酸素ガスの噴射
孔の面積が変わり、したがつてランス自体はその
ままで酸素ガスや粉粒状物質の吹き込み速度や角
度が変わる。

実施例 以下、この考案の一実施例を添付の図面を参照
して説明する。第１図ないし第３図はこの考案の
一実施例を示す図であつて、ここに示すランス１
は、直管状の内管２の外周側に、２重管構造の冷
却管３を同心状に配置した構成であり、内管２の
内周面には、耐摩耗性の被覆もしくはスリーブ４
が設けられていて、Cr鉱石等の金属鉱石粉や微
粉炭などの粉粒状物質を不活性ガスによつて送給
する粉粒状物質供給管路５を形成している。また
内管２の外周面と冷却管３の内周面との間の空隙
部が、酸素ガス供給管路６とされている。さらに
冷却管３は、内周側の冷却水流路と外周側の冷却
水流路とを先端部で連通させた２重管構造であつ
て、内周側の冷却水流路に冷却水を供給するとと
もに、外周側の冷却水流路に還流水を流すことに
より、ランス１を冷却するよう構成されている。

前記内管２の先端部に、耐摩耗性スリーブ７を
内周側に嵌め込んだ円筒状のノズルカラー８が、
ネジ９によつて着脱自在に取付けられている。こ
のノズルカラー８の先端外周面は先細りのテーパ
面１０とされ、そのテーパ面１０に隙間調整用の
突起部としてのボルト１１がねじ込まれている。

また冷却管３の先端内周面にノズルカラー１２
がネジ１３によつて着脱自在に取付けられてお
り、このノズルカラー１２の先端内周面が前記テ
ーパ面１０と対向する先細りのテーハ面１４とさ
れている。

上記のように構成したランス１を用いて吹錬を
行なう場合、Cr鉱石等の金属鉱石粉と微粉炭と
をN₂ガスなど不活性ガスをキヤリヤーガスとし
て前記粉粒状物質供給管路５に送給し、内管２の
先端部に取付けたノズルカラー８から噴射させ、
また酸素ガスは内管２と冷却管３との間の酸素ガ
ス供給管路６に送給し、各ノズルカラー８，１２
のテーパ面１０，１４の間の隙間から噴射させ
る。その場合、酸素ガスは各ノズルカラー８，１
２のテーパ面１０，１４の間で絞られてジエツト
流となつて噴出するが、その噴射速度は供給圧力
が一定であれば、絞りの度合いによつて変り、し
たがつて上記のランス１では、ノズルカラー８，
１２のねじ込み量を変えて各テーパ面１０，１４
の間隔を調整することにより、酸素ジエツトの速
度および噴射量が変化する。なお、テーパ面１
０，１４の間隔は、前記ボルト１１の突出長さを
予め調整しておき、ノズルカラー１２のテーパ面
１４がそのボルト１１に接触するようノズルカラ
ー１２をねじ込むことにより容易に行なうことが
できる。他方、酸素ジエツトの噴射角度は、各テ
ーパ面１０，１４の角度によつて決まり、したが
つて上記のランス１では予め用意したテーパ角の
異なるノズルカラー８，１２を交換して取付ける
ことにより、酸素ジエツトの噴射角度を適宜に設
定し、粉粒状物質との混合燃焼位置を調整でき
る。

上記のようにして吹き込まれたCr鉱石等の金
属鉱石粉および微粉炭は、空中で酸素と混合され
て燃焼かつ溶融し、また還元され、熱および合金
鉄成分の補給の用に供される。

考案の効果 以上説明したようにこの考案によれば、ノズル
カラーを交換することにより、酸素ガスの噴射
量、噴射角度、および噴射速度を変えることがで
きるから、多様な条件に合つた吹き込みを容易に
行なうことができ、しかも吹き込み条件の変更を
短時間に行なえるため、稼働率の低下に伴う生産
性の悪化を防止でき、さらにランス本体部分は交
換する必要がないため、その必要本数が少なくて
よく、その結果、設備コストの低廉化を図ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す縦断面図、
第２図は第１図の−線矢視図、第３図はこの
考案の一実施例を示す分解縦断面図である。 １……ランス、２……内管、３……冷却管、５
……粉粒状物質供給管路、６……酸素ガス供給管
路、８，１２……ノズルカラー、１０，１４……
テーパ面、１１……ボルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 粉粒状物質供給用の内管と該内管に対しその外
   周側に同心状に配置した２重管構造の冷却管との
   間の空隙部を酸素供給管路とした上吹きランスに
   おいて、 前記内管の先端部と冷却管の先端内周部とのそ
   れぞれにノズルカラーが着脱自在に取付けられる
   とともに、これらのノズルカラーのうち少なくと
   も冷却管に取付けたノズルカラーの先端内周面
   が、酸素ジエツトを中心側に向けるよう先細りの
   テーパ面とされ、さらに前記内管に取付けたノズ
   ルカラーの先端外周面と冷却管に取付けたノズル
   カラーの先端内周面とのいずれか一方に両者の間
   隔を規定する突起部が、突出退入自在に設けられ
   ていることを特徴とする上吹きランス。