JPS632224Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 技術分野 本考案は鋳型内に注湯された溶融金属表面に発
生するドロスが掻取り装置で掻取られた後、固化
しつつある該溶融金属上に落下しないようにして
回収することができる掻取りドロスの回収装置に
関するものである。

(ロ) 背景技術 溶融金属はカツプ等により鋳型内へ注湯されイ
ンゴツトとされるが、その際発生するドロス（メ
タルかす）は、従来シリンダの作動で掻取板を動
かし鋳型中央部へ集めて掻取られ、そのまま掻取
板を上昇させて鋳型外に配置した固定受皿上方へ
移動させた後、掻取板を開いて掻取られたドロス
を該受皿に落下させるようになつていた。

しかし、この方法によるとドロスを掻取つて受
皿方向へ移動する際に、固化しつつある鋳型内の
溶湯上にドロスが一部滴下するため、製品インゴ
ツトの表面にドロス中の酸化物を残したり、ドロ
ス中の金属が滴下付着して表面に凹凸が生じるな
ど、インゴツトの品質を低下させる原因ともなつ
ており、しかも受皿にたまつたドロスは人手によ
つて剥離除去しなければならず、その作業も面倒
であつた。

(ハ) 考案の開示 本考案はこれら従来の欠点を解決し、掻取られ
たドロスを鋳型内の溶湯上に落下させないように
して系外へ排出回収することができるドロス回収
装置を提供するものである。

即ち、本考案は鋳型列の所定位置の鋳型上方中
央部付近に先端部を臨ませた鋳型の移動方向と直
角方向の平行する２本のガイドフレームの鋳型列
外方基部を下向き勾配に形成し、該両ガイドフレ
ーム間には先端部上面に突出部材を立設固定した
皿板が該フレームに沿つて移動自在に載置され、
掻取板を下側にそれぞれ備えて鋳型移動方向と直
角方向にスライドしかつ上下にも移動可能な平行
な２枚の支持板のうち上記フレーム基部側の支持
板下面には該支持板が降下して鋳型中央部上へス
ライド移動する際に上記皿板の突出部材内側に係
合する短尺な係合体が垂設固定され、他方の支持
板下面には該支持板が上昇して上記フレーム基部
側へスライド移動する際に上記突出部材外側に当
接する上記係合体より長尺な押圧体が垂設固定し
てなる掻取りドロスの回収装置に関するものであ
る。

以下、本考案の実施例を図により説明する。

(ニ) 実施例 第１図は本考案装置の全体斜視図であり、１は
溶融金属２が注湯されて並列しながら順次移動し
て行く鋳型で、該鋳型列の所定位置には本考案装
置が配置されている。

３はシリンダ（図示せず）の作動により鋳型列
の上方において鋳型１の移動方向と直角方向に往
復動して互いに接近、離反する平行な２枚の支持
板４ａ，４ｂ下側にそれぞれ２個の鋳型１ａ，１
ｂ内の表面ドロスを同時に鋳型１中央へ掻集める
ことができるよう間隔を置いて鋳型移動方向に直
列に固設した２枚の掻取板で、両支持板４下側で
対向し合う該２対の掻取板３ａと３ｃ，３ｂと３
ｄにより掻集められたドロスは他のシリンダ（図
示せず）により両支持板４を上昇させることによ
つてそのまますくい上げられ、さらに別のシリン
ダ（図示せず）の作動によつて鋳型列の外方（第
１図左方向）へスライイド移動する構成となつて
いる。

５は基部を鋳型１列側方に配設した支柱６に固
定され先端部を鋳型１列上方中央部付近に臨ませ
た断面略Ｌ字形の平行する２本のガイドフレーム
で、該フレーム５は互いに前記掻取板３によりド
ロス掻集めに支障がない程度の間隔を置いてその
底端面が対向するよう設けられ、しかも両フレー
ム５の鋳型１上に臨ませた部分は水平に形成さ
れ、鋳型１側端部上方より屈曲して基部端へ向け
ては下り勾配に形成されている。

７は上記両ガイドフレーム５間に差渡され両フ
レーム５内側面に規制されて該フレーム５底面上
を摺動可能な１枚の皿板で、両フレーム５底面部
の所要個所には該皿板７のスライド移動をスムー
ズにするため複数のローラー８が設けてある。こ
の皿板７はその前端部が上記フレーム５先端部ま
で移動して来たときにその後端部がフレーム５の
上記屈曲部よりやや外方へ出る程度の長さを有
し、該皿板７上面前端中央部には板状又は棒状の
突出部材９が立設固定されており、また皿板７下
面後方中央部には該皿板７が上記フレーム５の傾
斜基部端へ後退して来たときに支柱６底部の基枠
１０上のストツパー１１に当接して停止させるよ
うにした衝突板１２が固設されている。

１３は前記皿板７がガイドフレーム５の傾斜部
上にあるときに皿板７上の前記突出部材９外側に
当接して引掛け可能な棒状又は板状の掻取板３よ
り短尺な係合体で、ガイドフレーム５基部側の一
方の支持板４ａ下面の両掻取板３ａ，３ｂ間中央
の上記フレーム５側に寄せて垂設固定してあり、
上記掻取板３によるドロス掻集めのために支持板
４ａが鋳型１中央部上へスライド移動して来ると
きに上記皿板７の突出部材９を引掛けて該皿板７
を鋳型１上へ引つ張つて前進させて来るように構
成されている。

１４はフレーム５基部とは反対側の他方の支持
板４ｂ下面の両掻取板３ｃ，３ｄ間中央のフレー
ム５と反対側に寄せて垂設固定した棒状又は板状
の掻取板３と同程度の長さを有する押圧体で、該
押圧体１４は各掻取板３によりドロスを掻集めて
そのまま両支持板４ａ，４ｂが上昇してフレーム
５基部側へ同時にスライド移動して行く際に、フ
レーム５の水平部分上にある上記皿板７の突出部
材９に当接しながら該皿板７をフレーム５の傾斜
部分まで押圧後退させるようになつている。

しかして、本考案装置の作用を第２図により説
明すると、各鋳型１内に溶湯が注入されて順次本
装置部分へ移動して来る。このとき、両支持板４
ａ，４ｂは降下しかつ離隔していて、２対の掻取
板３はそれぞれ鋳型１内の左右両端上縁部で待機
している。その際、皿板７はガイドフレーム５上
の傾斜部分にあり、その下面の衝突板１２が基枠
１０上のストツパー１１に当つて停止されてお
り、しかも皿板７上前端部の突出部材９は該スト
ツパー１１側の支持板４ａ下面の係合体１３内側
に接して係止されている（第２図イ）。

次にシリンダの作動により両支持板４ａ，４ｂ
が互いに接近して行き、下側の掻取板３が鋳型１
中央部まで前進して溶湯２上のドロス１５を掻集
め互いに対向する掻取板３下端が鋳型１中央部で
接することにより閉塞して該両掻取板３内にドロ
スを捕集する。支持板４ａが前進する際、皿板７
は上記の如くその前端上部の突出部材９が該支持
板４ａ下側の係合体１３に係止されていることに
より同時に引張られてガイドフレーム５の屈曲部
を乗り越え水平部分上へ前進し、その前端は鋳型
１上中央部付近まで到達する（第２図ロ）。

ドロス１５の捕集が終ると、他のシリンダによ
り両支持板４ａ，４ｂが同時に上昇し、次いで別
のシリンダが作動して掻取板３内側にドロス１５
を収容したままフレーム５の傾斜部分方向へ水平
移動して行く（第３図ハ）。なお、この場合係合
体１３は支持板４ａが上昇しているので皿板７の
突出部材９に係合することなく該部材９上を通過
する。

掻取板３が皿板７上を移動後退する際、今度は
他方の支持板４ｂ下側の押圧体１４が皿板７上の
突出部材９外面を押圧し、該支持板４ｂの後退に
伴なつて該部材９を押圧体１４で引掛けたまま皿
板７をフレーム５の傾斜部分上まで後退させて行
く。掻取板３が皿板７と共にフレーム５の傾斜部
分まで到達すると、皿板７はフレーム５の傾斜部
分上を降下して行き、皿板７下面の衝突板１２が
基枠１０上のストツパー１１に衝突停止させられ
る。なお、ストツパー１１に代え又はこれと併用
して両フレーム５基端部に制止片１６を取付け、
皿板７が降下端において該皿板７の左右後端部を
支持するようにしてもよい。一方、皿板７の降下
と同時に両支持板４ａ，４ｂは前記掻集め用のシ
リンダーの作動で多少離隔し、掻取板３を開いて
ドロス１５を皿板７上に落下させ、傾斜した皿板
７上を流下して外部へ排出させ回収するのである
（第２図ニ）。この場合、掻取板３の開く時期を皿
板５の降下停止直前に合せれば、衝突板１２のス
トツパー１１への衝突の衝撃により皿板７上に落
下したドロス１５の系外への流下排出回収がさら
に良好となる。１７は皿板７左右両側に寄せて配
設したドロス流れ止めである。

ドロス１５の皿板７外への排出が完了すると、
各シリンダの作動で再び元の状態（第２図イ）に
復帰する。

なお、上述の実施例では２個の鋳型内のドロス
を同時に掻取れるよう各支持板４ａ，４ｂにそれ
ぞれ直列して２枚づつ都合２対の掻取板３を備え
ているが、両支持板４ａ，４ｂに互いに対面する
１枚の掻取板だけを設けて、鋳型１個づつのドロ
ス回収を行なつてもよく、この場合には、皿板７
上の突出部材９は例えば左右両端の一方又は双方
に寄せて配設し、またこれに合せて支持板４下側
の係合体１３ならびに押圧体１４も左右両端の一
方又は双方に寄せて配設するようにする。

(ホ) 考案の効果 本考案は以上のように構成され、掻取板の動き
に応じて皿板を移動させ、掻取られたドロスはす
ぐに該皿板で受けながら傾斜させた該皿板上に落
下させ回収して外部へ流下排出するようにしたの
で、従来のようにドロスを固定された外部の受皿
まで移送する間にその一部が鋳型内の溶湯に滴下
して製品インゴツトの表面に酸化物が残存したり
凹凸が生じたりすることのない良質のインゴツト
が得られるのである。

さらに、本考案装置によれば構造が簡単で製作
費も低廉であり、従来のように受皿上に固化した
ドロスを剥離除去する手間も省けて保守も容易で
ある等種々の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の全体斜視図であり、第２
図イ〜ニはその作用説明図である。 符号の説明、１……鋳型、２……溶融金属、３
……掻取板、４……支持板、５……ガイドフレー
ム、６……支柱、７……皿板、８……ローラー、
９……突出部材、１０……基枠、１１……ストツ
パー、１２……衝突板、１３……係合体、１４…
…押圧体、１５……ドロス、１６……制止片、１
７……流れ止め。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 鋳型列の所定位置の鋳型上方中央部付近に先
   端部を臨ませた鋳型の移動方向と直角方向の平
   行する２本のガイドフレームの鋳型列外方基部
   を下向き勾配に形成し、該両ガイドフレーム間
   には先端部上面に突出部材を立設固定した皿板
   が該フレームに沿つて移動自在に載置され、掻
   取板を下側にそれぞれ備えて鋳型移動方向と直
   角方向ならびに上下に移動可能な２枚の支持板
   のうち上記フレーム基部側の支持板下面には該
   支持板が降下して鋳型中央部上へ水平方向に移
   動する際に上記皿板の突出部材内面に係合する
   短尺な係合体が垂設固定され、他方の支持板下
   面には該支持板が上昇して上記フレーム基部側
   へ水平方向に移動する際に上記突出部材外面に
   当接する上記係合体より長尺な押圧体が垂設固
   定されてなることを特徴とする掻取りドロスの
   回収装置。 (2) 前記両支持板下側の掻取板はそれぞれ鋳型の
   移動方向に直列に間隔を置いて２枚づつ設けら
   れて２個の鋳型内ドロスを同時に掻取り可能に
   構成され、前記突出部材は皿板の前端中央部に
   固設され、前記係合体はその支持板下面中央の
   前記フレーム基部側に、また押圧体はその支持
   板下面中央の上記フレーム基部と反対側にそれ
   ぞれ寄せて垂設されてなる実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の掻取りドロスの回収装置。 (3) 前記突出部材は板状体であり、前記係合体な
   らびに押圧体は棒状体である実用新案登録請求
   の範囲第１項又は第２項記載の掻取りドロスの
   回収装置。 (4) 前記皿板下面後方中央部には前記ガイドフレ
   ームの傾斜基部を支持する支柱底部の基枠上に
   立設固定したストツパーに当接可能な衝突板が
   設けられてなる実用新案登録請求の範囲第１
   項、第２項又は第３項記載の掻取りドロスの回
   収装置。