JPS6322160Y2

JPS6322160Y2 -

Info

Publication number: JPS6322160Y2
Application number: JP1982147669U
Authority: JP
Priority date: 1982-09-28
Filing date: 1982-09-28
Publication date: 1988-06-17
Also published as: JPS5950900U

Description

【考案の詳細な説明】利用産業分野この考案は、航空機等の回転翼のピツチ変換装
置に係り、油圧回路を使用することなく、小型で
高効率かつ整備性の良好なピツチ変換装置に関す
る。

背景技術近年、その必要性を増している省エネルギー型
航空機を実現するために有効な推進機関として期
待されているものに高速プロペラがある。

ところがこの種のプロペラは、従来のターボプ
ロツプに比べて小径にする必要があるため、ピツ
チ変換装置の入るスペースも小さくなる問題があ
る。

また、従来のプロペラのピツチ変換装置は主駆
動源に油圧装置を用いることが多いが、その整備
コストが高く、また効率も低いという問題があ
り、小形化、整備性の向上が要望されていた。

またさらには、航空機用プロペラは定速コント
ロール、フエザリング等のコントロール機能を具
備しなければならず、上記要望のあるピツチ変換
装置は、このコントロール機能を合せて満足する
必要がある。

プロペラのピツチ変更装置として、特許第
12824号明細書には、電動機、２組のウオームギ
ア、廻動筐、歯車と遊星歯車および内歯車よりな
る遊星歯車機構、変角管、傘歯車とより構成され
るピツチ変更装置が提案されているが、構成部品
数が多く、機構が複雑で装置自体が大型化する恐
れがあり、遊星歯車機構が架構内の廻動筐内に内
蔵されているため、その保守点検、分解修理時に
は構成部品をすべて分解取外して行なう必要があ
り、組込んだ状態での点検補修は不可能であり、
修理後の再組立も相当な工数が必要となつて整備
性が大変悪いという問題があつた。

また、架構内には廻動筐のみでなくこれを電動
機で回転するため２組のウオームとウオームホイ
ールが必要であり、変角管の回転を１組の傘歯車
によりプロペラ翼片に伝達しているため、伝達効
率が悪く、プロペラ翼が２枚程度のプロペラのピ
ツチ変換にしか利用できず、その用途が限定され
るという欠点があつた。

考案の目的この考案は、航空機等の回転翼のピツチ変換装
置において、油圧回路を使用することなく、必要
な機能を備え、小型で高効率かつ整備性の良好な
る差動ギア列及び減速ギア列とボールスクリユー
とから構成したピツチ変換装置を目的としてい
る。

考案の概要この考案は、多数のブレードを放射状に軸支し、かつ回転軸と
同軸で内挿固着した中空軸の後端部外周に軸止し
たハブ駆動ギアを介してエンジン出力軸の回転力
を受けるハブと、ハブに軸支される各ブレード軸を構成するナツト
と、ハブにブレード軸方向に直線運動可能に支持さ
れ、端部にカムデイスクのカムに拘束される嵌合
子を有し、前記ナツトに螺合するシヤフトと前記
ナツトにて構成されたボールスクリユーと、ハブ内の中空軸部外周に回転自在に嵌着され、端
面に上記シヤフトを直線運動させるためのカムを
突設し、内接ギアを付設したカムデイスクと、ハブ内の突出壁と中空軸のフランジ部間に軸支さ
れ、カムデイスクの内接ギアに歯合する第３固定
遊星歯車と、ハブの中空軸部内を挿通してハブ先端部に軸支
し、両端部に第２太陽歯車と第３太陽歯車を嵌着
したトルク伝達軸と、ハブ先端部に軸支され第３太陽歯車に歯合する第
２固定遊星歯車と、ハブ内のトルク伝達軸外周に回転自在に嵌着し、
第２、第３固定遊星歯車の各々に歯合する第４太
陽歯車と、サーボモーターに回転駆動されるウオームに歯合
するウオームホイールを付設し、第２太陽歯車に
歯合する遊星歯車を軸支したキヤリアと、ハブ外の中空軸後端に軸止された第１太陽歯車
と、固定ケーシングに軸支され、第１太陽歯車に歯合
する第１固定遊星歯車と、固定ケーシングに回転自在に担持され、上記遊星
歯車と第１固定遊星歯車の各々に歯合する歯面を
有する内接ギアと、から構成されたことを特徴とする回転翼のピツチ
変換装置である。

考案の構成と効果この考案による回転翼のピツチ変換装置は、遊
星歯車列からなる差動ギア列と減速ギア列とボー
ルスクリユーから構成され、ボールスクリユーを
ブレードに同軸に配置した機構であり、差動ギア
列の回転運動をボールスクリユー及びカムデイス
クを介してブレードピツチ角度変換運動に変換す
るものである。

したがつて、高い伝達効率、すぐれた整備性が
得られ、デジタルコンピユーターで制御しやすい
構成であるため、従来の可変ピツチ機構のコント
ローラとしての機能のほかに新たに制御機能を付
加するのが容易になる利点がある。

また、この考案は航空機用プロペラのほか、風
力発電用のブレード、船舶用プロペラ、一般産業
用フアン等各種の回転翼のピツチ変換装置に適用
できる。

この考案によるピツチ変換装置は、前述した従
来の装置に比べて、構成部品数が少なくかつ小型
軽量なため、ピツチ変換装置自体が小型化できハ
ブや固定ケーシング内に有効利用できる空間が多
く存在し、ブレード枚数が６〜12枚の多翼プロペ
ラのピツチ変換装置に使用することができ、ピツ
チ変換以外の機構や制御装置をハブ等に収納可能
となるため、航空機用の高速プロペラのピツチ変
換装置として要求される機能、すなわち、小型で
高効率かつ整備性が良好等の条件をすべて満足す
る利点がある。

考案の図面に基づく開示以下にこの考案を実施例の図面に基づいて説明
する。第１図はピツチ変換装置の要部縦断面図で
あり、第２図はカムデイスクの詳細な正面図であ
る。

複数枚のブレード１は、ハブ３にブレード軸が
軸支されて放射状に周配置されている。周配置さ
れたブレード軸はねじ孔を設けたナツト２にて構
成され、軸受１８によりハブ３に軸支されてい
る。

外周面に多条ボール溝を刻設されボールが多数
個収納されたシヤフト５がナツト２に螺合して構
成されたボールスクリユー４は、ナツト２がブレ
ード軸としてブレードに固着してあり、かつハブ
３に軸支され、さらにシヤフト５がハブ３にスプ
ラインでブレード軸方向に直線運動可能に結合し
てある。

また、シヤフト５の端部にはカム９に嵌合する
嵌合子６が形成してあり、ここでは一対のローラ
７でカム９面を挾持する構成となつている。

また、ハブ３の後端部には、同軸で内挿固定し
た中空軸１７があり、この軸内にトルク伝達軸１
０が挿通している。

さらに、ハブ３外側に突出した中空軸部１７に
ハブ駆動ギア１１が固着され、エンジン出力軸１
５の駆動ギア１６とハブ駆動ギア１１が歯合し、
エンジンの回転力が中空軸部１７を介してハブ３
に伝達される。なお、１２はカバーである。

このハブ３のドーム内には、減速ギア列Ｈ〜Ｌ
が配置されている。ハブ３先端内側で軸支された
トルク伝達軸１０には、ハブ３先端内側に第３太
陽歯車Ｈが嵌着してあり、これにはハブ３先端内
側に軸支した第２固定遊星歯車Ｉが歯合してい
る。

また、ハブ３内の中空軸１７のフランジ部とハ
ブ３内の突出壁とに軸支された第３固定遊星歯車
Ｋがある。

ハブ３内のトルク伝達軸１０の外周に、回転自
在に嵌着した第４太陽歯車Ｊは、上記の第３固定
遊星歯車Ｋと第２固定遊星歯車Ｉの各々に歯合す
る外接ギアJ₂、内接ギアJ₁の歯面を有している。

カムデイスク８は、ハブ３の中空軸１７の外周
に回転自在に嵌着され、第３固定遊星歯車Ｋに歯
合する内接ギアＬを付設してある。

さらに、第２図に示す如く、カムデイスク８端
面には、ここでは８本のブレード数に応じた数の
カム９が周配突設してあり、上記したボールスク
リユー４のシヤフト５の嵌合子６が嵌合してい
る。

また、トルク伝達軸１０の後端には第２太陽歯
車Ｇが固着してある。

キヤリアＢは、この第２太陽歯車Ｇに歯合する
遊星歯車Ｃを、ハブ３側の回転面に軸支し、さら
に他面側に、ウオームホイールB₁を付設してあ
り、電気サーボモーター１４の駆動軸に嵌着した
ウオームＡと歯合している。

ハブ３外側の中空軸１７後端には第１太陽歯車
Ｆが固着してあり、固定ケーシング１３にベアリ
ングで軸支された固定遊星歯車Ｅと歯合する。

固定ケーシング１３にローラベアリングで回転
自在に担持された内接ギアＤは、上記の遊星歯車
Ｃと固定遊星歯車Ｅの各々に歯合する歯面D₁と
D₂を設けてある。

次にピツチ変換装置の作動を説明する。

サーボモーター１４の回転は遊星歯車Ｃのキヤ
リアＢにウオームＡ、ウオームホイールB₁を介
して伝達される。

キヤリア、ギアＢ〜Ｆは遊星歯車Ｃを入力と
し、第２太陽歯車Ｇを出力とする差動ギア列であ
り、第１太陽歯車Ｆはハブ３に固定され、固定遊
星歯車Ｅは公転しない構成である。

したがつて、遊星歯車Ｃが公転しない場合は、
第２太陽歯車Ｇはハブ３と同じ、すなわちプロペ
ラの回転数と同じ回転数で回転し、遊星歯車Ｃが
公転する場合は、第２太陽歯車Ｇはハブ３の回転
数と遊星歯車Ｃの公転数が重畳した回転数で回転
する。

ハブ３に固着した第１太陽歯車Ｆと、トルク伝
達軸に固着した第２太陽歯車Ｇとは相対的に回転
することになる。

ここでサーボモーター１４を作動させて遊星歯
車Ｃに所定の公転を加えると、第２太陽歯車Ｇが
ハブ３に対して相対的に回転数が変動し、トルク
伝達軸１０と同軸の第３太陽歯車Ｈに伝達され、
歯車Ｈ〜Ｌの減速ギア列によつて回転数が落され
て、所要のカムデイスク８の回転となる。

さらにカム９によりカムデイスク８の回転運動
はブレード軸方向の直線運動に変換され、シヤフ
ト５はハブ３にスプライン結合してあるために直
線運動し、ボールスクリユー４のナツト２が回転
して、ブレード１のピツチが変換され、サーボモ
ーター１４入力に応じたピツチ変換が行なわれ
る。

なお、上述した伝達機構の構成要素のなかに、
非可逆機構であるウオームＡが配置されているた
め、ブレード１側からサーボモーター１４の方向
には自動的にロツクが働く構成となつている。

また、駆動源には制御性に優れた電気サーボモ
ーターを使用したが、油圧モーターあるいはエン
ジン動力等も使用できる。

また、ボールスクリユーには、リードをできる
だけ大きくしてボールスクリユーに掛かる軸力を
小さくし、さらに多条ボール溝を採用して荷重を
分担するボール個数を増加させて小型化を図ると
よい。

上述したこの考案による回転翼のピツチ変換装
置は、遊星歯車列からなる差動ギア列とボールス
クリユーとの機械要素で構成され、かつハブ３の
後方にこの制御部を配置しているため、着脱が容
易で整備性に優れており、また、ハブ３内空間の
有効利用が可能で小型化が容易である。

また、かかる機械要素から構成されるため、従
来多用されてきた油圧を使用する構成に比べて効
率が極めてよく、例えばデジタルコンピユーター
で制御し易い構成であり、各種の制御性に優れて
いる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による回転翼のピツチ変換装
置の要部縦断面図である。第２図は第１図の−
線矢視よりのカムデイスクの詳細な正面図であ
る。１……ブレード、２……ナツト、３……ハブ、
４……ボールスクリユー、５……シヤフト、６…
…嵌合子、７……ローラ、８……カムデイスク、
９……カム、１０……トルク伝達軸、１１……ハ
ブ駆動ギア、１２……カバー、１３……固定ケー
シング、１４……電気サーボモーター、１５……
エンジン出力軸、１６……駆動ギア、１７……中
空軸、１８……軸受、Ａ……ウオーム、Ｂ……キ
ヤリア、B₁……ウオームホイール、Ｃ……遊星
歯車、Ｄ……内接ギア、D₁，D₂……歯面、Ｅ…
…第１固定遊星歯車、Ｆ……第１太陽歯車、Ｇ…
…第２太陽歯車、Ｈ……第３太陽歯車、Ｉ……第
２固定遊星歯車、Ｊ……第４太陽歯車、J₁……内
接ギア、J₂……外接ギア、Ｋ……第３固定遊星歯
車、Ｌ……内接ギア。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】多数のブレードを放射状に軸支し、かつ回転軸
と同軸で内挿固着した中空軸の後端部外周に軸止
したハブ駆動ギアを介してエンジン出力軸の回転
力を受けるハブと、ハブに軸支される各ブレード軸を構成するナツト
と、ハブにブレード軸方向に直線運動可能に支持さ
れ、端部にカムデイスクのカムに拘束される嵌合
子を有し、前記ナツトに螺合するシヤフトと前記
ナツトにて構成されたボールスクリユーと、ハブ内の中空軸外周に回転自在に嵌着され、端面
に上記シヤフトを直線運動させるためのカムを突
設し、内接ギアを付設したカムデイスクと、ハブ内の突出壁と中空軸のフランジ部間に軸支さ
れ、カムデイスクの内接ギアに歯合する第３固定
遊星歯車と、ハブ内の中空軸内を挿通してハブ先端部に軸支
し、両端部に第２太陽歯車と第３太陽歯車を嵌着
したトルク伝達軸と、ハブ先端部に軸支され第３太陽歯車に歯合する第
２固定遊星歯車と、ハブ内のトルク伝達軸外周に回転自在に嵌着し、
第２、第３固定遊星歯車の各々に歯合する第４太
陽歯車と、サーボモーターに回転駆動されるウオームに歯合
するウオームホイールを付設し、第２太陽歯車に
歯合する遊星歯車を軸支したキヤリアと、ハブ外の中空軸後端に軸止された第１太陽歯車
と、固定ケーシングに軸支され、第１太陽歯車に歯合
する第１固定遊星歯車と、固定ケーシングに回転自在に担持され、上記遊星
歯車と第１固定遊星歯車の各々に歯合する歯面を
有する内接ギアと、から構成されたことを特徴とする回転翼のピツチ
変換装置。