JPS6321757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はベーン式エアポンプに関する。

従来、この種エアポンプとして、円筒形ケーシ
ング内に、それの中心線に軸線を一致させたベー
ン軸と、ベーン軸を囲繞し、前記中心線に対し回
転中心線を偏心させた円筒形回転子とを配設し、
その回転子の周壁に前記回転中心線と平行な複数
の長孔を設け、各長孔にベーンを貫通させて、ベ
ーン先端が回転子の回転に伴いケーシング内周面
を摺動し得るようにベーン基端に所定の間隔をと
つて設けられた少なくとも２個の筒体をベーン軸
に軸受を介して回転可能に支承させ、各長孔の両
内側部にそれぞれベーンの両側面に圧接するシー
ル部材を設け、ベーンのうち、或ベーンに設けら
れた両側位置の二筒体をベーン軸の軸線に直交す
るベーンの二等分線に関して非対称に配設したも
のが知られている。

しかしながら、筒体を非対称配設したベーンに
おいては、それがベーン軸に片持的に支承される
ことになるので、回転時遠心力により各筒体の軸
受に不均等なラジアル荷重が発生して、軸受の耐
久性を損うだけでなく、ベーンが傾き傾向となつ
て偏摩耗するおそれがある。

本考案は上記に鑑み、筒体を非対称配設したベ
ーンの回転バランスを確保して各軸受の耐久性を
向上させると共にベーンの偏摩耗性を防止し得る
ようにした前記エアポンプを提供することを目的
とし、ベーンの二等分線に関し非対称に配設され
た二筒体にそれぞれのベーンと反対方向に突出す
るバランスウエイトを設け、ベーンの二等分線に
近い側のバランスウエイトの重量を、前記二等分
線に遠い側のバランスウエイトの重量より重く設
定したものである。

以下、図面により本考案の一実施例について説
明すると、円筒形ケーシング１内には、その中心
線に軸線を一致させたベーン軸２が配設され、そ
の軸２の一端はケーシング１の一方の端壁３に形
成された貫通孔４に嵌合され、その端壁３外面に
固定された当板５を貫通するボルト６をベーン軸
２の一端に螺着することによりベーン軸２はケー
シング１に対して回転不能に、且つ軸方向移動不
能に取付けられる。

また、ケーシング１内にはベーン軸２を囲繞す
る円筒形回転子７が配設され、その回転子７の一
方の環状端壁８は軸受９を介してケーシング１に
おける端壁３のボス部１０に回転可能に支承さ
れ、回転子７の他方の端壁１１に突設された駆動
軸部１２は軸受１３を介してケーシング１におけ
る他方の環状端壁１４に回転可能に支承される駆
動軸部１２は図示しない伝動機構を介してエンジ
ンに連結される。

回転子７の回転中心線はケーシング１の中心線
よりεだけ偏心しており、これにより回転子７外
周面の一部がケーシング１の内周面に常に摺接す
る。ベーン軸２の他端部１５はクランク状に形成
され、その軸端は軸受１６を介して回転子７の駆
動軸部１２に形成された軸受孔１７に支承され
る。

回転子７の周壁には、その回転中心線と平行に
３本の長孔１８が等間隔おきに形成され、各長孔
１８には第１〜第３ベーン１９₁〜１９₃が貫通し
ている第１ベーン１９₁の基端側は第１保持部材
２０₁の棒状二股部２１に、その溝２２に嵌込ま
れて複数のリベツト２３により固着され、その二
股部２１に所定の間隔で突設された一対の筒体２
４₁，２４₂が軸受としてのニードルベアリング２
５を介してベーン軸２に回転可能に支承される。
第２、第３ベーン１９₂，１９₃も同様に第２、第
３保持部材２０₂，２０₃にそれぞれ取付けられて
おり、二組の筒体２４₃，２４₄と２４₅，２４₆は
それぞれ第２、第３保持部材２０₂，２０₃に属す
る。

第４図に示すように第１保持部材２０₁の一方
の筒体２４₂は第１ベーン１９₁の一端部に配設さ
れ、他方の筒体２４₁は第１ベーン１９₁の中間部
に配設されており、また両筒体２４₁，２４₂間
の、ベーン軸２の軸線と直交する二等分線Ｖ−Ｖ
は第１ベーン１９₁のベーン軸２の軸線と直交す
る二等分線Ｚ−Ｚよりも第１ベーン１９₁の一方
の端縁にαだけ偏倚している。即ち、両筒体２４
_１，２４₂は第１ベーン１９₁の二等分線Ｚ−Ｚに
関して非対称に配設される。

両筒体２４₁，２４₂にはそれぞれ第１ベーン１
９₁と反対方向に突出する第１、第２バランスウ
エイトW₁，W₂が小ねじ３９により固着される。
第１ベーン１９₁の二等分線Ｚ−Ｚに近い側の第
１バランスウエイトW₁の重量は、前記二等分線
Ｚ−Ｚに遠い側の第２バランスウエイトW₂の重
量より重く設定される。

これにより第１ベーン１９₁の回転時大きなラ
ジアル荷重が作用する一方の筒体２４₁における
軸受２５側には重い第１バランスウエイトW₁が、
また前記ラジアル荷重に比較して小さなラジアル
荷重が作用する他方の筒体２４₂における軸受２
５側には第１バランスウエイトW₁より軽い第２
バランスウエイトW₂がそれぞれ配設されるので、
第１ベーン１９₁の回転バランスが確保され、各
軸受２５の耐久性を向上させ、また第１ベーン１
９₁の回転を円滑に行つてその偏摩耗を防止する
ことができる。

第３ベーン１９₃を持つ、第３保持部材２０₃に
おいても第１保持部材２０₁と同様にウエイト配
分が行われ、第４図に示すように両筒体２４₆，
２４₅に第３、第４バランスウエイトW₃，W₄が
それぞれ固着される。

第２ベーン１９₂を持つ第２保持部材２０₂にお
いては、前記二等分線Ｖ−ＶとＺ−Ｚが一致して
いるので、ウエイト配分は均等に行われ、第５図
に示すように両筒体２４₃，２４₄に同重量の第
５、第６バランスウエイトW₅，W₆がそれぞれ固
着される。

各ベーン１９₁〜１９₃の先端は回転子７がケー
シング１内周面に摺接する位置では回転子７内に
没入するが、回転子７の回転に伴いその外周面よ
り突出してケーシング１内周面を摺動し得るよう
になつている。

各長孔１８の両内側部には、それぞれ開口部を
相対向させた長溝２６が長孔１８の長手方向に形
成され、各長溝２６には第１〜第３ベーン１９₁
〜１９₃に圧接する第１、第２シール部材２７₁，
２７₂が嵌合される。各長溝２６の底部とそれと
対向する第１、第２シール部材２７₁，２７₂端面
間には第３図に示すように波板状の第１、第２ば
ね２８₁，２８₂がそれぞれ収容され、両ばね２８
_１，２８₂の弾発力により両シール部材２７₁，２
７₂が各ベーン１９₁〜１９₃に向けて付勢され、
これにより各ベーン１９₁〜１９₃に対する各シー
ル部材２７₁，２７₂の圧接が維持される。

ケーシング１の内周面には、回転子７外周面と
摺接するランド部Ｌを挾んで吸入チヤンバ２９の
出口３１と吐出チヤンバ３０の入口３２とがそれ
ぞれ開口する。３３，３４は吸入ポートおよび吐
出ポートに連通する吸入チヤンバ２９の入口およ
び吐出チヤンバ３０の出口をそれぞれ示す。

回転子７はエンジンより駆動されて第２図矢ａ
方向に回転するようになつており、それに伴い各
ベーン１９₁〜１９₃も同方向に回転するもので、
吸入チヤンバ２９の出口３１および吐出チヤンバ
３０の入口３２のベーン進入側口縁に連なる両チ
ヤンバ２９，３０の内壁面３５，３６は、それぞ
れケーシング１内周面の、各ベーン進入側口縁を
通る接線Ｘ−ＸおよびＹ−Ｙを含む平面に形成さ
れている。

また吐出チヤンバ３０における入口３２のベー
ン退出側口縁部はランド部Ｌ側から連続して突出
する突起部３８に形成され、その突起部３８に
は、吐出チヤンバ３０内方に膨出する円弧面３７
が設けられる。

次にこの実施例の作用について説明する。エン
ジンを運転してエアポンプを駆動すると、回転子
７は第２図矢ａ方向に回転し、それに伴い各ベー
ン１９₁〜１９₃が、回転子７とケーシング１内周
面との摺接部より180゜回転する間に回転子７外周
面からの突出長さを漸次増しながらケーシング１
内周面を摺動し、次いで180゜回転する間に回転子
７外周面からの突出長さを漸次減らしながらケー
シング１内周面を摺動する。これにより各ベーン
１９₁〜１９₃が吸入チヤンバ２９の出口３１より
空気を吸入してそれを搬送した後吐出チヤンバ３
０の入口３２に吐出し、ポンプ作用が行われる。

またエンジンのトルク変動等により各ベーン１
９₁〜１９₃の慣性力を第１ばね２８₁が支えきれ
なくなつて撓み、第１シール部材２７₁が第１ば
ね２８₁側へ移動すると、第２ばね２８₂の弾発力
により第２シール部材２７₂が第１シール部材２
７₁側へ移動し、これにより各ベーン１９₁〜１９
_３と第２シール部材２７₂間に間隙が発生すること
を防止してポンプ効率の低下を回避することがで
きる。

さらに吸入チヤンバ２９における出口３１のベ
ーン進入側口縁に連なるチヤンバ内壁面３５およ
び吐出チヤンバ３０における入口３２のベーン進
入側口縁に連なるチヤンバ内壁面３６の案内作用
により吸入チヤンバ２９および吐出チヤンバ３０
内の空気の流れがスムーズとなり、これにより両
チヤンバ２９，３０内で乱流および衝撃波が発生
することを抑制して騒音を低減することができ
る。

さらにまた吐出チヤンバ３０の入口３２におけ
る突起部３８の円弧面３７により、その面３７に
沿つて流れる空気の流速を速めて、その面３７周
辺の圧力を降下させ、これにより吐出チヤンバ３
０内へ空気を効率良く吸込んで回転子７とランド
部Ｌ間への空気の巻込み量を減らすことができ
る。したがつて、回転子７の各長孔１８開口部が
突起部３８を通過する際、その内部へ巻込まれる
空気が減るので、各長孔１８開口部がランド部Ｌ
を通過してもその開口部内の高圧空気量が少な
く、それが吸入チヤンバ２９の出口３１に吐出す
るとき発生する騒音を低減することがきる。

以上のように本考案によれば、ベーンの二等分
線に関して非対称に配設された二筒体に特定のウ
エイト配分を行うことにより前記ベーンの回転バ
ランスを確保して、各軸受の耐久性を向上させ、
またベーンの偏摩耗を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は縦断側面図、第２図は第１図−線断面図、
第３図は第２図−線断面図、第４、第５図は
ベーンの斜視図である。 W₁〜W₆……第１〜第６バランスウエイト、１
……ケーシング、２……ベーン軸、７……回転
子、１８……長孔、１９₁〜１９₃……第１〜第３
ベーン、２４₁〜２４₆……筒体、２５……軸受、
２７₁，２７₂……第１、第２シール部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒形ケーシング内に、それの中心線に軸線を
   一致させたベーン軸と、該ベーン軸を囲繞し、前
   記中心線に対し回転中心線を偏心させた円筒形回
   転子とを配設し、該回転子の周壁に前記回転中心
   線と平行な複数の長孔を設け、各長孔にベーンを
   貫通させて、該ベーン先端が前記回転子の回転に
   伴い前記ケーシング内周面を摺動し得るように該
   ベーン基端に所定の間隔をとつて設けられた少な
   くとも２個の筒体を前記ベーン軸に軸受を介して
   回転可能に支承させ、各長孔の両内側部にそれぞ
   れ前記ベーンの両側面に圧接するシール部材を設
   け、前記ベーンのうち、或ベーンに設けられた両
   側位置の前記二筒体を、前記ベーン軸の軸線に直
   交する該ベーンの二等分線に関して非対称に配設
   したベーン式エアポンプにおいて、前記二等分線
   に関して非対称に配設された前記二筒体にそれぞ
   れ該ベーンと反対方向に突出するバランスウエイ
   トを設け、前記二等分線に近い側の前記バランス
   ウエイトの重量を、前記二等分線に遠い側の前記
   バランスウエイトの重量より重く設定したことを
   特徴とするベーン式エアポンプ。