JPS6319678Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は変速機の歯車箱などの内部の異物除去
装置に関するものである。

［従来の技術］ 一般に、車両の変速機、トランスアクスル、差
動装置、油圧機器、エンジンなどの内部には、加
工屑（切粉）、鋳物砂などが付着し残存する場合
があり、さらに歯車の噛合部や摺動部の摩耗によ
り摩耗粉が生じ、摩耗粉が潤滑油に混入して繰り
返し噛合部や摺動部へ供給されると、噛合部や摺
動部の摩耗が助長される。

［考案が解決しようとする問題点］ このような異物対策として、歯車箱の底部の潤
滑油を歯車により掻き上げて噛合部や摺動部を潤
滑する車両の変速機では、実開昭56−111396号公
報に開示されるように、歯車箱の潤滑油を交換す
るためのドレンプラグに永久磁石を取り付けてい
るが、この程度では永久磁石の表面積が狭いので
補集効率が悪く、ドレンプラグの上端が開放され
ているので、非磁性の異物はドレンプラグの内部
へ落ち込んでも、潤滑油が撹拌されると、再び歯
車箱へ四散してしまうという欠点がある。

実開昭55−17950号公報に開示されるドレン装
置のように、集塵室の内部に、グラスウールなど
の再浮上防止具を充填したものでは、異物の集塵
室への浸入が再浮上防止具により妨げられるほ
か、小形で十分な異物の収容能力が得られない。

本考案の目的は、異物閉じ込め室の収容能力が
大きく、異物閉じ込め室から潤滑部への異物の逆
流がない、歯車箱などの内部の異物除去装置を提
供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成は歯
車箱の底部ねじ穴に螺合したケケースの上方開口
端部に、不規則に絡み合つた連続通孔を有する３
次元網目構造体からなる整波部材を結合し、ケー
スの内底部に異物閉じ込め用空室を区画したもの
である。

［作用］ ケース２０の上部開口に３次元網目構造体から
なる整波部材１２を配設しただけで、ケース２０
の内底部に収容能力の大きな異物閉じ込め用空室
１３が区画される。歯車箱２の潤滑油の異物は整
波部材１２を潜り抜けて異物閉じ込め用空室１３
へ流入するが、整波部材１２により異物閉じ込め
用空室１３での流動が抑えられる。異物が一時的
に浮上しても、整波部材１２の流路が３次元的に
曲りくねつているので、歯車箱２への逆流が阻止
される。

［考案の実施例］ 第１図に示すように、変速機は歯車４を支持す
る軸５の両端部を、歯車箱２の端壁に軸受により
回転可能に支持される。潤滑油は歯車４の一部分
が油面１０ａよりも下方へ浸漬するように充填さ
れる。油溜室１０の潤滑油は歯車４により掻き上
げられ、歯車４の噛合部や図示してない同期噛合
クラツチ機構の摺動部などへ滴下供給される。

本考案は潤滑油に混入する切粉、摩耗粉などの
異物が、変速機の停止中に油溜室１０の底部へ沈
下するのを利用して、これを効果的に捕捉するも
のである。このため、歯車箱２の底部にねじ穴を
設け、このねじ穴にカツプ状のケース２０が螺合
支持される。ケース２０の上方開口端部に、不規
則に曲りくねつた連続通孔を有する３次元網目構
造体からなる整波部材１２を取り付けられ、ケー
ス２０の内底部に異物閉じ込め用空室１３が形成
される。

第２図に示すように、ケース２０の開口端部
に、歯車箱２のねじ穴へ螺合されるねじ溝１４が
設けられる。ケース２０の内周面に形成した幅の
広い環状溝に、３次元網目構造体からなる整波部
材１２がケース２０の開口端部を覆うように嵌合
され、かつケース２０の縁部をかしめて固定され
る。整波部材１２によりケース２０の内底部に閉
じ込め用空室１３が区画される。

整波部材１２としての３次元網目構造体は、歯
車箱２と閉じ込め用空室１３との間を連通する網
目状の不規則に絡み合つた連続通孔を有するもの
で、例えば金属細線、ガラス、合成樹脂繊維など
を不規則に組み合せて層状に成形したもの、また
は発泡金属体を用いることができる。発泡金属体
は合成繊維ないしフイラメントを互いに絡み合せ
て立体的な網状体を形成し、この網状体に銅、ア
ルミニウムなどの金属メツキを施した後、これを
炉に装入してフイラメントを焼失させて、焼結体
の内部に樹枝状の連続した通孔を形成したもので
ある。

上述の構成において、歯車の噛合部や摺動部か
ら生じた摩耗粉や部品に付着していた切粉などの
異物は、運転停止中に歯車箱２の底部およびケー
ス２０へ沈降する。この場合異物は整波部材１２
の通孔を経て閉じ込め用空室１３へ落ち込む。整
波部材１２の通孔は複雑に屈曲しているので、異
物が一度通孔を通過すると、閉じ込め用空室１３
へ閉じ込めらる。

変速機の運転時油溜室１０の潤滑油が歯車４に
より撹拌され、激しく運動しても、潤滑油の流動
は整波部材１２により整流され、閉込め用空室１
３の潤滑油にはほとんど流動をもたらさない。し
たがつて、閉じ込め用空室１３の異物が浮上して
油溜室１０へ逆流することはない。

なお、第３図に示すように、閉じ込め用空室１
３の底部に永久磁石１６を配置すれば、磁性を有
する異物の捕捉効果が一層向上される。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、歯車箱の底部ねじ穴に
螺合したケースの上方開口端部に不規則に絡み合
つた連続通孔を有する３次元網目構造体からなる
整波部材を結合し、ケースの内底部に異物閉じ込
め用空室を区画したので、整波部材により歯車箱
の油の乱流が異物閉じ込め用空室へ伝わるのを阻
止され、整波部材を経てケースの内底部へ落ち込
んだ異物が安定に保持され、歯車箱へ戻ることが
ない。

整波部材によりケースの内底部に広い空室が区
画されるので、全体的に小形ながら大きな異物収
容能力が得られる。

本考案によれば、潤滑油の異物が次第に除去さ
れ、歯車の噛合部や摺動部へ供給される潤滑油が
清浄に保たれるから、異物の噛込みによる摩耗が
少なくなり、歯車装置の耐久寿命が延長され、潤
滑油の使用期間も延長される。

異物除去装置はドレンの口径を大きくするだけ
で装着できるので、歯車箱の仕様を変更すること
なく、容易に実施できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る異物除去装置を備えた歯
車箱の側面断面図、第２図は同異物除去装置の側
面断面図、第３図は本考案の部分変更実施例に係
る異物除去装置の側面断面図である。 ２……歯車箱、４……歯車、１０……潤滑油、
１２……整波部材、１３……異物閉じ込め用空
室、１６……永久磁石、２０……ケース。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 歯車箱の底部ねじ穴に螺合したケースの上方
   開口端部に、不規則に絡み合つた連続通孔を有
   する３次元網目構造体からなる整波部材を結合
   し、ケースの内底部に異物閉じ込め用空室を区
   画したことを特徴とする歯車箱などの内部の異
   物除去装置。 (2) 前記整波部材が発泡金属体である実用新案登
   録請求の範囲(1)に記載の歯車箱などの内部の異
   物除去装置。