JPS6319009B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はソフトコンタクトレンズの空洞容積を
測定する方法およびその方法を実施する装置に関
するものである。

ソフトコンタクトレンズを選択する場合、被検
者の眼の形状を検査しその検査結果に応じて正し
い選択を行なうのに必要な、ソフトコンタクトレ
ンズ（親性水、疎水性のいずれを問わず）の形状
の特徴づけを行なうのに従来下記の方法が用いら
れて来た。すなわち、 (1) 平面台面に周部を遊動自在に置いたレンズの
中心に、レンズの内頂部にくまで針を移動させ
る。このようにして求めたレンズの矢状深さ
は、レンズの直径実測値と共に、レンズの全凸
度の大まかな目安となる。

(2) 同様に、任意直径の円形縁部に相称的に置い
たレンズ中に針を摺入させ、こうして上記直径
より上方のレンズの平均曲率を測定する。

(3) セルに浸漬用液体を容れ、これにレンズを遊
動自在に入れて、投射または写真撮影装置を用
いて同レンズの測定を行なう。

(4) 表面に水気のないレンズを反射法で測定して
その内または外曲面の全コースを求める。

しかしながら、上記方法のうち、(1)，(2)，(4)に
は重力によるソフトレンズの変形に起因する誤差
が伴なつている。またかかる測定は超薄肉のレン
ズでは全く不可能である。

方法(3)は、レンズを液体に浸漬するために上記
のような変形力がレンズに加わらないので、レン
ズ形状の測定には信頼性があるが、投射を査定す
るのに像を結ばせそれを更に精密に測定しなけれ
ばならないために、その方法は極めて煩雑であ
る。これに加えて、側方投射の時に正接方向に照
光される面の強い反射が生じるので内表面の信頼
できる測定が不可能になる。この内表面はコンタ
クトレンズ装着の場合、その外表面よりはるかに
重要であるから、本方法(3)も満足できるものでは
ない。

上記従来の方法は本発明のソフトコンタクトレ
ンズの空洞容積を測定する方法により解消される
ものであつて、本発明の方法はコンタクトレンズ
を浸漬用液体、好ましくは水または生理的食塩
水、中で平面状または凸状表面に遊動自在に置
き、コンタクトレンズの内表面と平面状または凸
状吸着面との間の空間の中の浸漬用液体を排除
し、コンタクトの特性定数である、その液体の重
さ測定することを特徴としている。吸着排除され
た液体の量は毛細管内の測定済み液により両側か
ら封じられた水銀柱の移動で示すのが好ましい。
このために、水銀滴の初期位置は毛細管をその少
なくとも１つの端部で上方に向けて広げることに
より容易に調整できるようにしてもよい。毛細管
の片方もしくは両側の端における水銀滴の端位置
はその端部において毛細管の内径を上向きに広げ
て、多数の内径を有するチヤンバへと到らせてい
るので固定されており、このため水銀は液の流れ
が強くても押し流されない。流体の流れが止むと
水銀はチヤンバの広げられた入口部で玉形状で滞
溜し毛細管を画然と閉じる。液体が逆流すると水
銀滴は測定用毛細管に沿つて短い柱として移動す
る。同時に、水銀はその高い表面張力で毛細管の
壁面に強く押圧されるので、水銀滴位置では壁面
に残るのは極めて薄い膜状の液体だけであり、毛
細管の空間は水銀滴により極めて精密に分割され
る。水銀滴を押圧する圧力は下式により毛細管の
直径に反比例する。

ｐ＝0.0153／ｄ（Kg／cm²） ここでｐは圧力、ｄは毛細管の内径（mm）であ
る。

先ず、水銀滴を通す部位で毛細管の壁面に付着
する薄膜状の液体の厚みが壁面に加わる水銀滴に
よる圧力と反比例するとすれば、毛細管中を移動
させられる液体の量と付着膜状液体の量との割合
は与えられた移動速度では不変であり、毛細管の
内径に左右されないと結論できる。これから解る
ように、本発明の方法では、非常に細い毛細管を
使用しても容積実測値の正確が確保され、そのた
め極めて少量の液体でも精密測定できる。

ソフトレンズを適当に選んだ表面（ベース）に
完全に吸着させるにはほんのわずかの負圧しか、
すなわち、２乃至10cm水柱程度の負圧しか要らな
いことが解つた。この負圧では最大厚みのレン
ズ、例えばaphakicks用レンズでも保持できる。
これから明らかな如く、本発明の測定方法に利点
がある。ピストンまたは波形箱による吸着排除量
の測定は、機械抵抗に打克つには、吸着に必要な
最小限の力よりも大きな力が必要となるので、誤
差が大きくなる。これに加え、吸着排除された液
の測定精度としては１mm³程度が要求されるので
機械的部品は高精度を必要とする。

極めて少量の液体の精密測定のために、例え
ば、測定管内のゼロ位置を自動的に設定する容積
微分析のために多数の方法および相応の装置が開
発された。常に高い精度を必要としかつそれ故に
比較的コスト高の、機械的制御式のピストン装置
を別とすれば、多数のいわゆる自動マイクロビユ
レツトが開発された。これらのマイクロビユレツ
トでは、測定管内液体レベル設定が、流体静力学
方式の装置により、主に、ゼロレベルを越える液
体をオーバフローから流出させる、あるいは、精
確な深さに浸漬された固定の細い補助毛細管を通
じてその液体を吸着により流出させることにより
行なわれる。これらの装置の不都合は小径管のメ
ニスカスの不均一形状にあり、そのために、液体
による壁面の様々に湿潤の結果ゼロ設定に差異が
生じる。

本発明の別の目的は、浸漬用液体の容器からな
り、この容器の底は同様にその浸漬用液体を充填
されている測定毛細管に接続された穴を備えた平
面状または凸面状、好ましくは球面状の吸着面を
有している、上記本発明の方法を実施する装置を
提供することにある。測定毛細管はその容積に相
応した目盛を施されており、そしてその入口部
が、上方に位置する広げられた入口チヤンバと接
続されている。測定毛細管の出口部は広い出口チ
ヤンバを通じて測定済み液体の排出部と接続され
ており、水銀滴が広い入口チヤンバ内に容れられ
ている。出口チヤンバは圧力を変化させる装置に
接続させるのが好ましい。この圧力変化装置は、
出口チヤンバを正圧タンクまたは負圧ドレンのい
ずれかと接続させる二方コツク、または同様の機
能をもつ弁システムで構成するのが好ましい。

半径12.5mmの球面状吸着面を利用すると特に有
益である。この吸着面は13.5mm、14.5mmの直径を
有し、これらの直径は同じ直径上の平均的な眼と
同じ接線を中心としている。平均的な眼のセクシ
ヨン・キヤツプの体積と、同一幅および半径12.5
mmの球面キヤツプの体積との差は従つて実際には
一定である（67mm³）。毛細管に水銀滴の初期位置
が目盛上の−67mm³を指すように直線容積目盛を
セツトすれば、レンズ吸着後の水銀滴の位置がレ
ンズの空洞容積と、同一半径の平均的な眼の軸方
向セグメントの容積、すなわち、平均的な眼にレ
ンズを吸着させるいわゆる吸着容積との差を直示
する。被検者の眼の13.5乃至14.5mm幅の軸方向セ
グメントの、同じ幅の平均的な眼のセグメントか
らの容積偏差が、得られたパラメータから得られ
るように被検者の眼を測定すれば、その偏差を同
じ平均的な眼からのレンズの実測容積偏差と直接
比較してもよい。このようにして、被測定レンズ
を検査した眼に装着するのにどの吸着容積が適当
するかを客観的に確認できる。

吸着排除される液体の量は比較的小さく、約10
マイクロリツタである。約±１マイクロリツタの
測定精度が要求されかつ水銀滴の位置を拡大鏡ま
たはカテトメータを使用せずに裸眼で同じ精度で
目盛読取りしなければならない場合、毛細管の内
径は約１mm以上であつてはならない。他方、極め
て小さい直径のものは、水柱の視度が低下し、ま
た毛細管壁の不規則なあるいは再現不可能な湿潤
による誤差の増大が懸念されるために使用できな
い。経験によれば、最適な毛細管内径は0.5乃至
２mmである。

毛細管の材料としては、透明もしくは少なくと
も半透明であることが必須条件である。

ガラス製毛細管が明らかに最良である。他方、
測定の場合は、容器また制御用空圧装置との接続
を同時に行なう毛細管を用いるほうが簡単であ
る。システム内の圧力変化が最低であるから、比
較的軟い材料、例えばプラスチツク化塩化ビニー
ルあるいはシリコン・ゴム等で作つた毛細管を用
いてもよい。

測定用毛細管の位置は測定精度に何ら影響を乃
ぼさない。従つて毛細管の位置としては垂直、水
平あるいは傾斜させてもよい。

従来の技術と比較して、本発明の進歩性は極薄
のコンタクトレンズでも迅速、高信頼度で測定で
きることであり、その測定は公知の方法に比べ速
く行なえ、投資は実質上より少なくて済み、また
職業的に熟練した人が不要である。

次に、ソフトコンタクトレンズの空洞容積を測
定する装置を示す添付図面に従い、本発明を更に
詳細に説明する。

本装置は浸漬用液体２用の容器１を具備し、こ
の容器の底３は平面状あるいは凸面状、例えば球
面状の吸着面を有し、この吸着面には、同じ浸漬
用液体を充填した測定用毛細管５と連通する穴
（管）４が接続されている。この測定用毛細管５
はその容積に相応した目盛６を備えている。この
毛細管５の上方入口部には拡大された広入口チヤ
ンバ７が設けられ、また下方出口部には拡大され
た広出口チヤンバ８が設けられる。毛細管５の出
口部はこの広出口チヤンバ８を介して測定液体の
ドレン（排水容器）１２に接続される。水銀滴９
が広入口チヤンバ７内に容れられている。広出口
チヤンバ８は圧力変化装置に接続される。この圧
力変化装置は二方コツク１０又はこれと同様の機
能を備えた弁システムからなり、広出口チヤンバ
８を正圧タンク１１又は負圧ドレン１２のいずれ
かに接続させる。

本装置は、測定用毛細管及びコンタクトレンズ
を入れた容器等毛細管全系統に生理的食塩水が充
填されかつ水銀滴９がタンク１１からの液体の流
れにより広入口チヤンバ７内に移送されると測定
準備が完了する。次にコツク１０を短時間（約30
秒）だけ閉じて水銀滴９を測定用毛細管５の最上
部に位置させる。また、容器１内に入れたコンタ
クトレンズ１４を容器１の底３の半球状吸着面上
に正しく乗せる。次に二方コツク１０を回して毛
細管を下方位置のドレン１２に接続して負圧を生
じさせる。この負圧によりコンタクトレンズが吸
引されて変形し容器１の底３上に完全に吸着され
る。この吸着により排除されたコンタクトレンズ
１４の内表面と吸着面とにより囲まれた測定空間
内の液体量が測定用毛細管５内の水銀滴９の移動
位置で示される。求めるべきコンタクトレンズ内
面の空洞容積はこの水銀滴９により指示された容
積とコンタクトレンズで覆われた部分の容器１の
底３の凸状部の占める体積との和である。底が球
面状であれば、コンタクトレンズ内面の空洞容積
は、レンズ径に対応した補助目盛１３を用いて、
スライド目盛６を測定用毛細管５の最上部が被測
定コンタクトレンズの直径に対応する容器の底の
球面部体積に相応する目盛の位置に設定すること
によつて直読できる。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明のソフトコンタクトレンズの
空洞容積を測定する装置の概略図である。 １…容器、２…浸漬用液体、３…容器底、４…
穴、５…測定用毛細管、６…目盛、７…広入口チ
ヤンバ、８…広出口チヤンバ、９…水銀滴、１０
…二方コツク、１２…負圧ドレン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 浸漬用液体、好ましくは水または生理的食塩
   水に浸漬したコンタクトレンズを平面状または凸
   面状の吸着面上に遊動自在に置き、該コンタクト
   レンズの内表面と前記吸着面とにより囲まれた測
   定空間内の浸漬用液体を吸引排除してその排除量
   を測定することを特徴とするソフトコンタクトレ
   ンズの空洞容積測定方法。 ２ 前記浸漬用液体の吸引排除量は、両端が浸漬
   用液体の溜り部に連通しかつ前記測定空間に連通
   する毛細管内の水銀滴の移動位置により指示する
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の方
   法。 ３ 浸漬用液体２用の容器１を具備し、この容器
   １の底３は平面状または凸面状、好ましくは球面
   状の吸着面を有し、この吸着面には、同じ浸漬用
   液体を充填した測定用毛細管５と連通する管４が
   接続され、上記測定用毛細管５はその容積に相応
   した目盛６を備え、この毛細管はその入口部が同
   毛細管５の上方に位置する広入口チヤンバ７に、
   また出口部が広出口チヤンバ８を通じて測定液体
   のドレンに、それぞれ接続され、水銀滴９が上記
   広入口チヤンバ７の中に容れられていることを特
   徴とするソフトコンタクトレンズの空洞容積測定
   装置。 ４ 前記出口チヤンバ８が圧力変化装置と接続さ
   れていることを特徴とする特許請求の範囲第３項
   記載の装置。 ５ 上記圧力変化装置は、出口チヤンバ８を正圧
   タンク１１あるいは負圧ドレン１２のいずれかに
   接続するための二方コツク１０あるいは同様の機
   能を備えた弁システムからなることを特徴とする
   特許請求の範囲第４項記載の装置。 ６ 前記容器の底３が半径12.5±0.5mmの球面で
   形成されたことを特徴とする特許請求の範囲第３
   項から第５項までのいずれか１項記載の装置。