JPS6318447Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はサイクロン分離の改良、ことに液体か
ら微粒物質を分離するサイクロン分離装置に関す
るものである。

ここで、「微粒物質」という用語は、固体の微
粒物質のみならず、液体の小滴、気体の泡、さら
には固体、液体気体物質の混合物を総括して示す
ものとする。サイクロン分離器によれば、流体か
ら不純物を分離することが可能である。この不純
物とはインキ、ゴム、さらには「ステイキーズ」
と屡々呼ばれているその他の粘着物、または空
気、繊維などである。

微粒物質は“密度が大きい”ものと“密度が小
さい”ものとに区別される。密度大の微粒すなわ
ち“重い”微粒はこれが浮遊している流体の密度
より大きい密度のものであり、一方密度小の微粒
は前記流体の密度よりも小さい密度を持つたもの
である。またその粒径範囲は普通、サイクロン分
離器の上流側の装置により、及びこのサイクロン
分離器の大きさにより制限される。本考案の開発
が要望された流体は、製紙に使われる液体すなわ
ち固体微粒を水の中に含んだパイプ原料である。
以下本考案を記載するに際し、このようなパイプ
原料を例としてあげることとする。水の密度がそ
の中にとけ込んだ固体分で変えられない限り、こ
れら原料内の密度の小さい微粒は通常１ｇ／cm³よ
り少ない密度を有し、また密度の大きい微粒は１
ｇ／cm³より大きい密度を有する。

本考案の目的は、流体の微粒物質の分離を効率
よく果すサイクロン分離装置を提供するにある。
ことに本考案は軽重両方の不純物を取り除くサイ
クロン分離装置を提供するにある。

本出願人の欧州特許願第82300436・１号には軽
量（又は浮遊する）不純物の除去に特に適した単
一流（Uniflow）型サイクロン分離器で記述して
ある。この特許願の明細書に記載のものでは、不
純物を含む流体は円錐型サイクロン分離器の上端
部へ導かれ、このサイクロン分離器の中をらせん
状に取歛する径路をたどつて下方へと流れ、入口
から離れた分離器端部にある複数の出口へと向
う。密度の異なる各微粒分はこれら複数出口のい
ずれかから抽出される。

逆渦巻（reverse vortex）作用と呼ばれる作用
を有する他のサイクロン分離器では、分離した微
粒分用出口の少なくともひとつが入口にごく近接
しておかれ、また被処理流入流体はまずらせん状
径路を下へ通過し、その後微粒分は上方へ、すな
わち元のらせんの内方で逆方向へと流れる。この
微粒分は分離器底部から半径方向出口、円周方向
出口又は接線方向出口を通り抽出される。

これら２種の既知分離器の片方のみでは軽い微
粒および重い微粒の両方を流体から分離すること
はできない。

本考案は、流入流体をいくつかの異なつた密度
の分別部分にわけるサイクロン分離装置におい
て、重い不純物を取り出す逆渦巻型の第１サイク
ロン分離器と軽い不純物を取り出す単一流型の第
２のサイクロン分離器とを単一の単位として組合
せ、第１のサイクロン分離器には一端に流体入口
を、また他端には分離した重い不純物を通す第１
の出口を、さらに前記一端には重い不純物を除去
して部分的に洗浄された流体を通す第２の出口を
有する室を包含せしめ、第２のサイクロン分離器
には前記第２の出口が一端において通ずる室を包
含せしめ、この第２のサイクロン分離器の室の他
端にはいくつかの所望分別部分を抽出する複数の
出口を設けこれら出口の少なくともひとつを分離
器から軸線方向に延びるように配設したことを特
徴とするサイクロン分離装置にある。

上述のようにふたつのサイクロン分離器をひと
つの単位として組合せ、その一方の区画から他方
の区画へと中間通路を介して、半分洗浄した材料
を送ることは構成材料、配管、空間及びくみ上げ
エネルギを節減せしめるのである。

好適な実施例では第１及び第２のサイクロン分
離器は垂直方向におかれており、第１サイクロン
分離器は第２サイクロン分離器の下方におかれて
いる。第１及び第２サイクロン分離器は、それぞ
れの分離器室の端壁とし作用する共通の分離壁か
ら収歛する円錐室を有する。流体入口はこの共通
分離壁に近接して設けてある。これらの室の円錐
角度は異なつてもよい。各室は共通軸上にある方
がよいが、これは本質的なことではない。第１分
離器室と第２分離器室との間の中間通路は少くと
も第１分離器軸と同軸の直線穴を包含するものと
するのがよい。

上部室は中間通路と同じ直径とするのがよい。

別の実施例としては、中間通路は、第１分離器
室と同軸上にある開口部と、この開口部から半径
方向に延びる１個又はそれ以上の円周方向に間隔
をおいた通路から構成され、これらの通路は好適
には流体を第２分離室へ接線方向に噴出する１個
又はそれ以上の円周方向に間隔をおいた開口部を
形成して第２分離器室へ通ずる。この通路はらせ
ん状がよい。円錐形のコア安定装置がこれら開口
部と同心におかれてもよい。入口から遠い第１分
離器の端部出口はなるべく軸線方向が望ましい。

既述の実施例と実質的に類似な更に他の実施例
としては、通路が第１及び第２分離器室間の円錐
形のコア安定装置の軸線を通つているものがあげ
られる。この通路は第１分離器室の軸線へ移動し
た不純物を直接第２分離器室へ、さらに第２室の
廃棄物出口へと通す。

以下本考案を添付図面に例示したその好適な実
施例について詳述する。

先ず第１図において、サイクロン分離装置は一
般に符号１で示したハウジングを有する。これは
第１及び第２サイクロン分離器３、１９を画定し
ている。第１サイクロン分離器は逆渦巻型サイク
ロン作用を行なう。第１分離器室５は一般には円
錐で、この実施例では垂直方向の軸線を有する。
流体入口７は最も広い端部にある内５の一端に接
線方向に形成してある。流入流体は室５の端壁を
形成する渦形部９で円周方向通路へ向けられてい
る。出口１１は室５の反対側におかれている。本
出口は室５の軸線と同軸方向である。円錐形の弾
性先端部１３が出口１１に設けられ、ここには１
個又はそれ以上の円錐穴が設けてある。室５の内
壁は分離を促進するため平滑がよいし、又はらせ
ん状溝か突出した隆起部があつてもよい。先端部
装置には自動洗浄用洗浄装置例えば高圧流体によ
る洗浄装置が設けられてもよい。

他の出口すなわち中間通路１５が入口７に近い
室５の端部に設けられる。開口部は同軸線におか
れ、第２サイクロン分離器１９の室１７の端部へ
通じている。第２分離器は一方向への流動作用が
ある。本室は円錐形で出口端部２１へ収歛し、複
数の出口が配置されている。このうち２つの出口
が図示されている。ひとつの出口２３は軸線上に
おかれているが、第２の出口２５は半径方向にお
かれまた環状室２７へ通じており、この室は室１
７へ突出している出口２３の管状通路をかこむ環
状オリフイス２９を通り室１７と連絡している。
室１７の壁は分離を助けるため平滑か、らせん状
の溝又は突出した隆起部が設けられてもよい。

運転時、不純物を含む流体はふつうはポンプ作
用で入口７へ流入し、渦形部９で作られた室端壁
へ向けられる。これが室５内に円形らせん状流路
を発生させ、液体は最初円錐形の出口１１に向い
下方へ移動する。重い不純物は室５の壁を移動
し、円錐形の弾性先端部１３を通り排出される。
重い不純物を除かれた原料は、上方すなわち、逆
の流れ方向に、中間通路１５へ軸線方向及び回転
速度で通り、軽い不純物が除去される単一流型の
第２サイクロン分離器１９の室１７へ入る。軽い
不純物は室１７の中心軸線へ移動し、軸線上にお
かれた出口２３から外に出る。洗浄された流体は
環状オリフイス２９と環状室２７を通り出口２５
から外部へ出る。

従つて、重い不純物は第１サイクロン分離器で
分離され、軽い不純物は第２サイクロン分離器で
分離される。単一流型サイクロン分離器の作動原
理は本出願人の欧州特許願第82300436.1号に詳細
に記載され公知である。

数種の微粒物質は異なつた流線を途中で受け入
れる余分の環状室を設けることで単一流型サイク
ロン分離器で分離できる。

さて第２図には別の実施例が示されている。第
１図の説明で使つたのと同じ符号が同じ部品を表
示するために使われている。相違点は中間通路３
５の配置である。第１図では真直な軸上に合わせ
た穴が示されているに反し、本実施例では複数の
中間通路３５を有し、これらが第１サイクロン分
離器３の室５内の中心に配置された開口部３７か
ら放射状に広がつている。これら通路３５は第２
分離器１９の室１７へ出る。従つて複数の円周に
間隔をおいた開口部が作られる。形状が円錐のコ
ア安定装置３９がこれら複数の開口部内に同軸上
におかれている。中間通路３５は接線方向に出る
ようになるべく配置され、このためその中を通る
流体はらせん状進路へ向けられる。第２サイクロ
ン分離器に流入する流体は希望の分離を行なうに
必要な回転速度を得るためにらせん状進路を進ま
せるのである。

こゝに記載していない別の実施例では、第１サ
イクロン分離器の室から第２サイクロン分離器の
室へ導く中間通路３５をひとつとする。従つて１
個又はそれ以上の中間通路が本発明の異なつた実
施例に従い設けられてよい。

さて第３図には他の実施例が記載されている。
第１図及び第２図で使われたと同じ符号が対応し
た部品に使われている。

この実施例には第１および第２サイクロン分離
器３及び１９があり、その間に共通壁がある。壁
は円錐形のコア安定装置３９を構成し、また円周
に間隔をおいた中間通路３５と軸線方向通路４０
とを有する。軸線方向通路４０は第１及び第２サ
イクロン分離器間を直接連絡し、第１サイクロン
分離器３の軸線に沿い移動した不純物を直接第２
サイクロン分離器１９へ流入させ、更に第２サイ
クロン分離器の室の不純物出口２３へ流出させ
る。その他の点では第３図の実施例は第２図の実
施例と作用は一致している。

それぞれのサイクロン分離器の円錐角度は互い
に異なつていてもよいし、また必ずしも同じ軸線
上に配置する必要はない。単一流型サイクロン分
離器が円錐であることは本質的なことではない
し、またこれは中間通路１５の直径に対応した直
径の円筒でもよいし、事実逆渦巻型サイクロン分
離器室は円筒でもよい。２つのサイクロン分離器
のハウジングは中間通路１５がある共通分離壁の
部分で接続してもよい。

本考案は単一流型サイクロン分離器で垂直に最
上部へ向けられる実施例につき記載したが、これ
は本質的ではなく、どんな便利な方向角度でも使
用できる。休転時、記載の実施例で発生する重い
不純物出口の閉そくを防ぐため、単一流型サイク
ロン分離器が最下位にあるように方向を逆にする
ことも考えられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に従つた分離装置の第１の実施
例の断面図、第２図は本考案に従つた分離装置の
第２の実施例の断面図、第３図は本考案に従つた
分離装置の第３の実施例の断面図である。 １……ハウジング、３……第１サイクロン分離
器、５……第１分離器室、７……入口、９……渦
形部、１１……出口、１３……円錐形の弾性先端
部、１５……中間通路、１７……室、１９……第
２サイクロン分離器、２１……出口端部、２３，
２５……出口、２７……環状室、２９……オリフ
イス、３５……中間通路、３７……開口部、３９
……コア安定装置、４０……軸線方向通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流入流体をいくつかの異なつた密度の分別部分
   にわけるサイクロン分離装置において、重い不純
   物を取り出す逆渦巻型の第１のサイクロン分離器
   と軽い不純物を取り出す単一流型の第２のサイク
   ロン分離器とを単一の単位として組合せ、第１の
   サイクロン分離器には一端に流体入口を、また他
   端には分離した重い不純物を通す第１の出口を、
   さらに前記一端には重い不純物を除去して部分的
   に洗浄された流体を通す第２の出口を有する室を
   包含せしめ、第２のサイクロン分離器には前記第
   ２の出口が一端において通ずる室を包含せしめ、
   この第２のサイクロン分離器の室の他端にはいく
   つかの所望分別部分を抽出する複数の出口を設け
   これら出口の少なくともひとつをサイクロン分離
   器から軸線方向に延びるように配設したことを特
   徴とするサイクロン分離装置。