JPS6316035B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はセメント、石灰、ゴミ等の加熱焼成さ
らには金属酸化物の直接還元を行うロータリキル
ンの改良に関するものである。

ロータリキルンは耐火材を内張りした内筒状の
シエルに、セメント、石灰、ゴミ等の被加熱原料
をその一端より装入し、シエルの回転により被加
熱原料を撹拌流動させかつシエル軸方向に移動さ
せながら、シエルの他端に設けられた主バーナで
もつて焼成を行つている。

この種ロータリキルンは、横置きされた長尺シ
エルの底部に被加熱原料が存在するに過ぎないの
で、シエル軸付近で高温ガスの吹抜けを起し易く
熱効率が極めて低いこと、主バーナのみではシエ
ル軸方向の温度制御が不可能に近いこと等から以
下の改良がなされている。

例えば、第１図に示すようにロータリジヨイン
ト１を介して回転するシエル２の外周に燃料、空
気供給管３が配置され、この供給管３からシエル
２の中心方向に多数のサポート４をシエル２を貫
通してほヾ軸線部まで挿入し、その先端に補助バ
ーナ５を装着したロータリキルンや、第２図に示
すようにバーナノズル６が耐火材７から突出する
ことなく円周上に配置されたロータリキルンがあ
る。

しかし、上述の前者の補助バーナ５はシエル２
と一体回転することからシエル２の軸心付近に配
置され、被加熱原料を焼成するのに必ずしも適し
た位置にあるとは言えないこと、シエル２の回転
に伴いサポート４が被加熱原料と間欠的な接触を
繰返えし、熱や摩擦による損傷が激しく長期間の
使用に耐え得ないこと、シエル軸付近で高温ガス
が吹抜け易いこと等の欠点がある。また後者のノ
ズル６も被加熱原料から交番的な熱負荷を受け、
かつシエル２の回転に伴うノズル孔の開閉機構が
必要で、構成が複雑なロータリキルンとなりかつ
故障要因が増す欠点がある。

本発明は、シエル内の高温ガスの吹抜けを防止
し、かつ被加熱原料の位置する部分の所望温度の
調整や均温化を図つて熱効率を高めると共に、吹
込みノズルのサポートへの熱負荷変動を回避して
長寿命化を図り、加えてシエル内の高温ガスを回
収できるロータリキルンを提供することを目的と
する。

その特徴とするところは外周部が耐火材で被覆
された内筒をロータリキルンのシエル内部におい
ての軸方向に配置し、この内筒内に前記シエル外
部より供給される燃料、および空気またはいずれ
かを導入する流路を設けると共に、その流路に接
続された吹込みノズルを前記シエル内の被加熱原
料に向けて前記内筒に突設させたロータリキルン
である。

以下本発明をその実施例に基づいて詳細に説明
する。第３図は本発明に係るロータリキルンの全
体断面図で耐火材７が内張りされたシエル２は適
数個のローラ１１でもつてそのローラサポート１
２を介して基台１３上に支承され、シエル２の外
周に固着されたリングギヤー１４および駆動ギヤ
１５を介して駆動源１６でもつて回転される。シ
エル２はその一端に例えば原料装入側フード１
７、他端に原料排出側フード１８を備え、各フー
ド１７，１８の内端面でシール材１９を介して気
密的かつ回転自在に組立られている。

加えて、シエル２の外側部においてその両端が
基台２０に固定支持された内筒２１がシエル２内
を貫通する如く挿入され、それに適数個の吹込み
ノズル２２が内筒２１の長手方向に２２ａ，２２
ｂ，２２ｃ…および第４図に示すように周方向に
２２ａ，２２a′，２２a″の如く配置されている。
この内筒２１の外周は耐火材３２により覆われ、
内筒２１の内部には吹込みノズル２２用の燃料や
燃焼ガスを供給する流路２３である供給パイプが
配設され、内筒２１の外部において主バーナ２４
への供給パイプに枝設されている。上記吹込みノ
ズル２２の先端部２５は第３図の如くシエル２の
軸方向でもよいし第４図の如く被加熱原料８に向
けたシエル半径方向に装着してもよい。また吹込
みノズル２２のサポート２６は被加熱原料８の存
在する位置に適度に近く突設され、焼成に好適な
本数、半径方向および軸方向位置に選択される。

本発明は上述した如く構成したので被加熱原料
８を装入するシユート２７よりほヾ連続的に供給
される被加熱原料８は、シエル２の下り傾斜と回
転により第３図の矢符２８方向に移動し、主バー
ナ２４による焼成余熱と上記吹込みノズル２２に
よる加熱に加えて、耐火材３２の反射熱により加
熱焼成度が調整されつゝ主バーナ２４の存する完
全焼成域に至り、シエル２の端部より原料排出側
ワード１８の排出口２９を経て排出される。

このような操業において吹込みノズル２２の噴
出量をシエル２の長手方向位置における焼成度に
応じ制御するか予め噴出量を設定しておくと、シ
エル２内の長手方向の適切な温度分布を維持した
り均一化したりすることができ効率の良い焼成が
可能となる。また内筒２１の存在によりシエル２
の上部空間が狭められ高温ガスの吹抜けが防止さ
れる。なお、内筒２１の断面形状は円形に限るこ
となく第５図の如き任意の形状を採用することも
できる。

また吹込みノズル２２のサポート２６を第６図
の如く長尺体として、その先端部２５を被加熱原
料８に浸漬させるようにしてもよい。この場合回
転するシエル２内を移動する被加熱原料８の堆積
部の断面形状および位置はほヾ一定であるので吹
込みノズル２２を装着した内筒２１が固定されて
いるにも拘らず常にその先端部２５または吹込み
ノズル２２の全体が浸漬し、被加熱原料８がサポ
ート２６に接触することはない。したがつて、従
来技術で述べたような熱負荷変動がサポートに作
用することはなく、その損傷度は極めて軽減され
る。なお、被加熱原料中に可燃物を含んでいる時
は、この吹込みノズル２２からは空気のみを供給
するだけで十分である場合がある。

次に前記内筒２１の内面にジヤケツト３０を付
設した内筒例を第７図に示す。このジヤケツト３
０には例えば周方向に何室かを形成するように仕
切り３１が設けられ、この仕切室３１ａ，３１ｂ
…に吹込みノズル２２のための燃料、燃焼用ガス
を導入することができる。内筒２１の外周は耐火
材３２で覆われているが、シエル２内の熱の一部
が耐火材３２を介して内筒２内に伝熱されるの
で、ジヤケツト３０内を流過する燃料等を予熱す
ることができ、吹込みノズル２２での燃焼をより
助長することができる。このとき上記仕切室３１
ａ，３１ｂは前述した流路２３として機能し、各
吹込みノズル２２に導通されている。このジヤケ
ツト３０は上述の如く燃料等の予熱を目的として
使用してもよいが、それに代えて冷却媒体例えば
水を流過させて内筒の過熱を防止してもよい。

上述した内筒２１の一端部に例えば第８図の如
き高温ガス排出管３３を介在させることができ
る。この場合内筒２１の端部に通気穴３４を穿設
し、盲栓３５を有する前記排出管３３に前記穴３
４に対応する通気穴３６を穿設しているので、シ
エル２内の高温ガスが通気穴３４，３６を介して
排気管３３に流入し、矢符３７に従つて別途所定
の装置に供給されこの高温エネルギーを利用する
ことができる。このときシエル２の端面に設けら
れた端板３８には、シエル２の気密回転を維持し
うるシール材が介装されていることは云うまでも
ない。

上述した如く回転するシエル２内に固定された
内筒２が存在することを利用して、キルン運転調
整手段３９例えば温度検知器、ガスサンプリング
管、原料サンプリング管、シエル内部観察用窓等
を内筒に付設することができるので、従来シエル
内壁に装着していた場合に較べ被加熱原料８に接
触することなくまた適切な位置に近接させること
ができ、運転調整手段の長寿命化と正確な計測が
可能となる。

ついでながら第９図に示すように上述の内筒の
外周に突起物４０例えば螺旋状の耐火物を付設す
ることもできる。この突起物４０が被加熱原料８
に接触しない程度の寸法の場合には、シエル２内
のガスが旋回流となりシエル２内の温度の均一化
を図ることができるし、図のように接触する場合
には被加熱原料８の上層部を撹拌することができ
る。なお突起物４０が被加熱原料８の移動方向と
逆の螺旋状とすれば、被加熱原料８のシエル２の
軸方向の移動に逆つて上層部の被加熱原料８をシ
エル２内に長く滞留させることができる。これは
被加熱原料８の上層部に浮上する焼成されにくい
大塊の焼成時間を増長するのに都合がよい。この
突起物は吹込みノズル２２の存否に拘らず使用で
きるものであるが上述した吹込みノズルと共に用
いてもよいことは当然である。

次に、第１０図は直列に配置されたシエル２，
２ａに１本の内筒２１を挿通させた実施例を示
す。焼成時間を長くとる必要のある被加熱原料８
の場合に採用されるもので、シエルの数は３以上
あつても差支えない。但し各シエル間には気密を
維持しかつシエルの回転を阻害しないよう配慮さ
れた中間サポート４１が介装される。この中間サ
ポート４１は長尺の内筒が自重や熱により変形す
るのを防止するためのものである。なおこの場合
複数のシエルの各回転数やシエルの外径を異なる
ようにして、キルンプロセスの前段階と後段階で
の被加熱原料の受熱量を変えることができ、その
結果プロセスの最適な運転状態を得ることができ
る。

次に、上述したキルンを用いて金属酸化物の直
接還元を行なう例に当てはめて説明する。上述の
キルンに鉄鉱石等の金属酸化物とその還元剤であ
る炭素含有材を主たる被加熱原料として装入シユ
ート２７よりシエル２内に供給し、前記主バーナ
２４および吹込みノズル２２による加熱ならびに
内筒２の耐火材３２の反射熱を利用して還元反応
を行なわせると共に、キルンの回転と傾斜により
主バーナ側に被加熱原料８を移動させつゝ金属鉄
への精錬を進行させる。

このシエル２内において被加熱原料８は、それ
を構成する各原料の混合比がシエル２の長手方向
位置によつては異つたり金属酸化物と還元剤が偏
在することがあるので、上記内筒２１に図示しな
いが被加熱原料８を供給する輸送手段を介在さ
せ、適所に配置された投入口から金属酸化物また
は還元剤を反応不十分な箇所に供給し均一な還元
作用を進行させることができる。

以上述べたような手順で直接還元を行うと、従
来用いられてきたキルンで直接還元する場合に較
べその還元効率は極めて高くまたその制御も容易
となる。

本発明は以上に述べたようにキルンのシエル内
に固定した内筒を配置しこれに吹込みノズルを装
着したので、シエル内の高温ガスの吹抜けが防止
され、また従来型キルンのように補助バーナがキ
ルンのシエルに設けられている場合と異なり吹込
みノズルの位置が固定されており、従つて被加熱
原料と吹込みノズルによる熱源の相対距離が一定
に保たれるためシエル内の所望温度の制御が容易
となり、高熱効率のロータリキルンが提供され
る。その結果高精錬度の直接還元を比較的少ない
熱消費で行うことができる。また従来型キルンの
ように補助バーナがキルンのシエルに設けられて
いる場合と異なり、吹込みノズルが内筒に設けら
れかつ固定されているので、吹込みノズルが被加
熱原料と接しないかまたは接してもその接し方が
交番的に変らなく、またサポートが受ける熱負荷
も交番的に変ることなく一定であり、そのため吹
込みノズルの損傷度は極めて軽減される。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は均温化を図つたロータリ
キルンの従来例、第３図は本発明に係るロータリ
キルンの全体断面図、第４図はその―線矢視
図、第５図は内筒の断面形状例、第６図は長尺サ
ポートを利用した吹込みノズル例、第７図はジヤ
ケツトを付設した内筒例、第８図はシエル内高温
ガスの回収用排出管を介在させた内筒の端部断面
図、第９図は外周に螺旋状突起物を付設した内筒
例、第１０図は直列配置されたシエルに内筒を挿
通させたロータリキルン例である。 ２，２ａ…シエル、８…被加熱原料、１７…原
料装入側フード、１８…原料排出側フード、２０
…基台、２１…内筒、２２…吹込みノズル、２３
…流路、３２…耐火材、３３…排出管、３８…端
板、４１…中間サポート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外周部が耐火材で被覆された内筒をロータリ
   キルンのシエル内部においてその軸方向に配置
   し、この内筒内に前記シエル外部より供給される
   燃料および酸素含有ガスまたはいずれかを導入す
   る流路を設けると共に、その流路に接続された吹
   込みノズルを前記シエル内の被加熱原料に向けて
   前記内筒に突設させたことを特徴とするロータリ
   キルン。 ２ 前記吹込みノズルを前記内筒周上に２以上突
   設させたことを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載のロータリキルン。 ３ 前記吹込みノズルを前記内筒長手方向に２以
   上突設させたことを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載のロータリキルン。 ４ 前記内筒は、原料装入側フードおよび原料排
   出側フードおよびこれらに気密的に回転する前記
   シエルを貫通して、その外部で両端が基台に支承
   されたことを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載のロータリキルン。 ５ 前記内筒が直列配置された２以上のシエル内
   を挿通する如く配置され、かつこれらシエルの隣
   接部において各シエルが気密的に回転しうる中間
   サポートを介在させたことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載のロータリキルン。 ６ 前記吹込みノズルの一部または全体が前記被
   加熱原料内に常時浸漬されていることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載のロータリキルン。 ７ 前記内筒にはその一端部に前記シエル内の高
   温ガスを導出する排出管が嵌挿されると共に、前
   記内筒の同端部で気密的に回転する端板が介装さ
   れていることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載のロータリキルン。