JPS6312864Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、衣類の清浄を行う技術分野にて利
用され、特に超音波を用いた洗濯機に関するもの
である。

（従来の技術） 従来洗濯機は洗濯槽に水と洗剤とを入れ、その
中に衣類を投入してこれを撹拌する形式をとつて
いた。したがつて、撹拌のために大きなモータを
必要とし、また洗濯後の衣類はしわ、ねじれが生
じていたみ易く、さらに当然のことながら洗剤を
要し洗剤による衣類の劣化も避けられなかつた。

一方超音波を用いたものとしては、工業用の超
音波洗浄機が知られていたが、これは例えば時計
等の工業製品用に開発されており、衣類には不向
きであつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上述の従来の問題を解決せんとするも
ので、装置の小型化、省エネルギー化、さらには
洗剤を不要とする、衣類に好適な超音波洗濯機を
提供するものである。

（問題を解決するための手段） 本考案は、上部に開口を有する金属製の洗濯槽
内に超音波発生装置を配設し、洗濯槽の底部には
気泡供給装置が設けられていることにより構成さ
れる。

超音波発生装置の超音波周波数は、洗濯される
衣類の材料および織りかたによつて定まり、材料
では人絹、綿、麻、絹、羊毛、ナイロンの順に高
くなり、その範囲は10〜60KHzとなる。したがつ
て衣類に用いられている布地の材料および織りか
た、すなわち材料の種類によつて、上記範囲内で
最適な周波数が選定できるようにしておくことが
好ましい。また洗濯槽内に配置される超音波振動
子は、その超音波が周囲に均等に伝播されるよう
に指向性のないものが望ましい。指向性のある振
動子の場合には、各方向に複数個配設するか、反
射体によつて乱反射させるかにより全周囲に伝播
させることができる。

洗濯槽は、超音波を有効に反射するために金属
製となつているが、その表面を錆防止のために薄
く合成樹脂等でコーテイングする程度ならば何ら
支障はない。

気泡供給装置は、多孔性材を通過して洗濯槽内
に空気を供給することも、また洗濯槽の底部に小
径穴を多数穿設し、ここに空気を供給することと
してもよい。

さらに本考案の洗濯機により消費される水の量
を低減させるために、排水口と給水口とをフイル
タを介して接続し、洗濯により汚れた水を浄化し
て再循環使用することもできる。

また、洗濯槽に金属製の突片を不規則に設ける
ならば、超音波が乱反射して槽内全体に超音波が
均等に行きわたると共に、衣類同士の間に空間が
でき水が速やかかつ十分に衣類に浸透し、効果的
に洗濯できる。

（作用） 上述の構成になる本考案の洗濯機の洗濯槽に衣
類及び適宜量の水を入れ、超音波発生装置から超
音波を発すると以下のごとく、衣類の洗濯がなさ
れる。

先ず水が衣類に十分浸透すると、衣類表面には
空気が存在しなくなるために、超音波の一部は直
接衣類に到達する。衣類の音響インピーダンス
（いわゆるpc）はほぼ（pc）_f＝2.9×10⁵cm・ｇ・
secで、水の音響インピーダンス（pc）_w＝1.5×
10⁵cm・ｇ・secに近いために、反射率は約0.097、
吸収率は0.903となつて、超音波エネルギーのほ
ぼ90％が衣類によつて吸収されることとなる。し
かし衣類の密度は平面的に粗であるからここで超
音波は、衣類が複数枚重ねられていてもその奥部
まで達する。上記超音波は衣類の繊維表面にキヤ
ビテーシヨン効果によつて気泡を生じ、該気泡に
よつて繊維表面についた異物（汚れ）を分離除去
してしまう。

上記超音波のキヤビテーシヨン発生の際水中に
溶解されている空気量が減少していくが、気泡供
給装置により水中に逐次気泡が供給されてその一
部が水中にに溶解されるために、水中には常時キ
ヤビテーシヨン発生のための空気が補給され、キ
ヤビテーシヨンの発生の度合が低下することはな
い。さらに上記気泡の残りは、水中を上昇する際
に、超音波を乱反射し、超音波を衣類に均一に投
射することとなる。この気泡による超音波の反射
は、水と空気の音響インピーダンスが大きく異な
るために生ずるものである。

なお、衣類に到達せず直接洗濯槽壁に向かつた
超音波は金属製の壁面で反射された後、衣類に達
し上述のごとくの洗浄作用をなす。

かくして衣類は完全に清浄化された後、取り出
され別途装置ですすぎ及びしぼり工程を経て洗濯
が完了する。

また排水口と給水口がフイルタを介して接続さ
れているならば、本発明では洗剤を使用しないた
め水をフイルタで浄化した後再循環し本装置洗濯
槽に戻して利用されるか、すすぎ水としても再利
用される。

さらに洗濯槽内に金属製の突片を有するときに
は、超音波の乱反射作用を助長すると共に、衣類
は固まらず水が速やかかつ十分に浸透し、洗浄効
果が向上する。

（実施例） 次に図面に示す本考案の一実施例について説明
する。

第１図において、１は金属製の洗濯槽で上方が
開口された円筒状になつている。該洗濯槽の底面
１１には小径穴１２が多数穿設されている。また
上記底面１１からは、複数の金属製の突片１３が
不規則な方向に向いて垂立している。

洗濯槽１の底面中央部には超音波発生装置２が
備えられ、その振動子２１は洗濯槽１の底面１１
より上方に突出し、基部でシール２２により水密
状態に保持されている。上記振動子２１の外周に
は、比較的目の粗い金網の篭体２３が取り付けら
れている。なお上記超音波発生装置２は、図示し
ないダイヤルにより衣類の布地の種類に応じて最
適な周波数を10〜60KHzの範囲で選択可能になつ
ている。

洗濯槽１の下には底板３２によつて、洗濯槽の
底面を覆う気泡供給室３３が形成されている。そ
して洗濯槽の外周上部位置にはエアポンプが取り
つけられ、大気を管３１を通じて上記気泡供給室
３３に送り込んでいる。

洗濯槽１の底面１１の排水口１５と、気泡供給
室３３の底面の排水口３５は共に切替バルブ４に
導かれている。該バルブ４は、一方の口に排水管
４１を接続し不要となつた水を排出可能とし、他
方の口はフイルタ４２を経てポンプ４３に接続さ
れている。該ポンプは、洗濯槽外周上部位置で給
水管４５に取いつけられた取水バルブ４４に接続
されている。

なおＳは洗濯機の枠体の輪部を示している。

次に本実施例装置による洗濯の手順について説
明する。先ず、衣類の量に応じた適宜量の水を給
水管４５より洗濯槽１内に入れる。このときバル
ブ４はポンプ４３に対しては閉状態にある。

次に、なるべく同一種の布になる衣類を上記洗
濯槽１内に投入する。衣類は水中を降下するが、
突片１３のために水中で固まることなく、速やか
かつ十分に水を含むようになり、繊維表面に空気
が残留しなくなる。なお、このとき手で衣類を少
しかき回せばなお効果的である。

次に、超音波発生装置２の周波数を衣類に適し
た値に設定した後そのスイツチをオンにする。す
ると超音波振動子２１は超音波を発し、該超音波
の一部は保護用の篭体２３の網目を通過、あるい
はここで乱反射した後直接衣類に、そして他は突
片１３や洗濯槽１で反射した後に上記衣類に達す
る。

一方上記超音波発生装置の作動と共にあるいは
後に、エアポンプ３も作動して、室内の空気を吸
いこれを管３１を通じて気泡供給室３３に送りこ
まれる。空気は、該気泡供給室３３の上面（すな
わち洗濯槽の底面１１）の多数の小径穴１２か
ら、気泡となつて洗濯槽１内の水の中を上昇す
る。該気泡は水中を上昇する際に、一部は水中に
溶解し、その他は気泡のまま水の上面に達してし
まう。その上昇する気泡にて、上記超音波は乱反
射し、洗濯槽１内でより一層均一に行きわたるよ
うになる。

かかる状態では、衣類に達した超音波は、繊維
表面でキヤビテーシヨン現象により気泡を生じ、
該気泡により汚れや異物を繊維から離脱せしめ
る。その際キヤビテーシヨンにより、水中に溶解
されていた空気は気泡となつて上昇してしまうた
め、次第にキヤビテーシヨンによる気泡が生じに
くくなるはずであるが、上述のごとく気泡供給室
３３からの気泡の一部が逐次水中に溶解している
ので、上記キヤビテーシヨンは常に一定して気泡
を生ずることができる。かくして衣類の汚れや異
物は完全に除去される。

次に、超音波発生装置２とエアポンプ３を停止
した後、バルブ４を排水管４１側に開にして洗濯
槽１および気泡供給室３３内の水を完全に排出し
て洗濯を完了する。

また、上記排水を行わず次の洗濯をするときに
は、バルブ４をポンプ４３側に切替えると共に、
該ポンプを始動する。すると排水されるべき上記
水はフイルタ４２を通り完全に浄化された後、ポ
ンプ４３により、バルブ４４を経て再び洗濯槽１
内に送り込むならば、フイルタ４２さえ適宜取り
替えれば、水は再利用またはすすぎ水として利用
でき節水可能となる。

（考案の効果） 以上のように本考案は水中に気泡を供給しつつ
超音波により洗濯を行うようにしたもので、次の
ような効果を生ずる。

従来のように撹拌用のモータを要しないの
で、装置が極めて小型化そして安価なものとな
り、かつ振動がなくなる。

超音波によりきわめてよく汚れがとれる上
に、衣類は撹拌されないのでいたみが少なく、
また乾燥に適した状態にて洗うことができる。

洗剤を全く要しないので、経済的である。ま
た水質や水温を選ばないので、いかなる水でも
その洗浄効果は低下することはない。

フイルタを使用するならば、水の再循環利用
が可能となり、水の少ない地方や、あるいは一
度に大量に洗濯を行う場合には節水効果が大き
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の洗濯機の概要を示
す部分破断斜視図である。 １…洗濯槽、１１…洗濯槽の底部、１３…突
片、２…超音波発生装置、３３…気泡供給装置
（気泡供給室）、４２…フイルタ、４３…ポンプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上部に開口を有する金属製の洗濯槽内に超音
   波発生装置を配設し、洗濯槽の底部には気泡供
   給装置が設けられていることとする超音波洗濯
   機。 (2) 超音波発生装置は、その周波数が10〜60KHz
   であることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第(1)項記載の超音波洗濯機。 (3) 超音波発生装置は、その周波数が10〜60KHz
   の範囲で任意の周波数に切り換え可能であるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第(2)項
   記載の超音波洗濯機。 (4) 洗濯槽の排水口と給水口とはフイルタ及びポ
   ンプを介して接続されていることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の超音波洗
   濯機。